第11話 悪役登場!
どうも~、パパイア・サーバーで~す!!
今回は主人公がいないシーンがあるので、私がご案内しま~す。
ちなみに、ここでの私のしゃべり方が本編と違うというのは、スルーしてくださるとパパイア嬉しいな!
あの手紙からしばらくして私達は首都に戻った。
別れ際、アニスは仲良くなったムシ使いの女の子をナチュラルに連れて行こうとする、などというほほえましいイベントもあったが(いや、それ誘拐だから……by千鶴子)千鶴子の鉄拳とそのムシ使いの女の子の説得でどうにか落ち着いた。
ムシ使い村から戻った、私達はお互いに話し合った結果、自分たちを鍛えることにした。
今後、更に混迷するであろう国内情勢に入り込むため。
そして自分の実力不足のために何かを諦めないように。
目標としては
①冒険による大幅なレベルアップ。
最低でもLv50を目指すこと。
最初、トレーニング施設での急速なレベルアップも考えられたが、緊急時の対応力の強化と思考の柔軟性はトレーニングではつかないとの意見が出たためこちらに決まった。
②新魔法の開発
これは今後、ゼスのトップに上り詰めるためには隠し球が必要と考えられたからだ。
高レベルの魔法使いが揃っているうえ、王子の援助も受けられることからかなり高度な研究が実現可能となった。
これは今後まず間違いなくあるだろう、他の高レベル魔法使いとの戦いを見越したものだ。
もっともアニスはもっと先を見ているようだけど。
……対魔人魔法か、あの子の瞳は何処まで先を見ているのだろう。
③冒険によるレアアイテムの収集
ゼスには魔族領と隣接しているだけでなく何度も侵攻を受けていることから魔族がらみのダンジョンが多い。
また、聖魔教団の激戦地であったことから墜落した闘神都市が結構な数、埋まっており(壊れているけど)、なおかつ、その危険性から未探索のものが多い。
聖魔教団は魔人と戦い、勝てないまでも長い間五分に持ち込んでいたのだ、今後私達の助けになるものが在る可能性が高い。
ならば修行がてらそれらを収集、研究しようと考えたのだ。
これら3つが重点だ。
実は本来なら魔法力の増強が入るはずなのだがこれに限っては私達には当てはまらなかった。
アニスだ。
詳しくは分からないが、この子のあふれ出る魔法力の所為か一緒にいるだけで魔力があがり、レベルアップをしたときなど異常なくらい上昇することが判明した。
千鶴子曰く、これはアニスの魔力に刺激されて本来眠ったままになるはずの才能が付加されているんじゃないかとか。
ここ数年魔法力の成長が止まっていたガンジー王子ですらどんどん魔力があがっている。
これはちょっと反則な気がするのよね。
しかし、以前一緒にモンスター退治をしていたムシ使い達は元々魔法の才能が無い所為か殆ど魔力は上がってなかった。
他の魔法使い達はそれこそ魔力を上げるため危険な薬品をつかったり、肉体に魔力増幅の紋章を刻んだりしているのに…。
現在千鶴子がアニス抜きでも、レベルアップ時の魔力増幅が出来るよう研究中だとか。
もっとも、これは完成してもLv2以上の才能とある一定以上の魔法力がないと無理との見解だそうで。
ただ、この魔力に関する有利性は今後の私達に大きなプラスとなるだろう。
◇◇◇◇
あれから2年、修行に研究と随分といい感じに濃い毎日をおくった。
…かなり無茶な冒険をやっていたと我ながら思うわ。
回復役のアニスがいなかったらどうなっていたことか……。
どう考えても『努力・友情・勝利』は私のキャラじゃないんだけどなぁ。
そんな時王子から連絡が入った、そろそろ国王が危ないらしい。
何も出来ず、何もしなかった現国王、身内の王子には悪いが私には特に感慨はない。
だが、いよいよ王子の戴冠が近い、その為、味方の結束を図るため集会をするらしい。
雷、炎、氷の将軍達も集まるとか。
今回集まるメンバーは今後それなりの地位に就く予定のため今後こんな集まりは難しいでしょうね。
さて改革、第一幕のはじまりよ。
今回の集まり、数こそそう多くないがなかなかのメンバーだ。
私達3人に3将軍。
まだ魔法応用学校にも入学していない王子の娘マジック。
その家庭教師であり、また王族に連なる上級貴族で俊英と名高いアレックス・ヴァルス。
王の身辺警護であるクインシー家とスケート家からも人が来ている。
そして開口一番、王子の口から語られたのは自分が王になってからの改革案だった。
・新四天王制度の導入
実力重点四天王に切り替えるということで、私、千鶴子、マジックちゃんを推薦するというもので、これを聞いたマジックちゃんがいきなり王子に噛み付いた。
まぁ、親の七光りで重要な役目に着けられるといったところが気に入らないんでしょうけど。
ただ、この抗議はあらかじめ予想ができていたことから、王子自身がこれまでマジックちゃんのことを放っておいたことを謝ったうえでその理由を説明し、現在の国の情勢と改革に必要性について説明することで収まった。
というかマジックちゃん、普段の無責任王子と違う姿を見せられて頭の中が処理し切れていない様ね。
目をパチクリさせて可愛い……!
その後千鶴子からも説明を受けて、もし実力について心配なら、他の四天王である私達が修行を着けてあげるといったのだが、あの子天の邪鬼みたいだから意地になって自分で訓練するんじゃないかな。
まぁ、所々でサポートしてあげればいいか。
私自信については本来四天王なんて柄じゃないし、父のこともあるから本当は辞退したいけど、四天王の権力維持は今後の大きな要だ、個人的な感情は納めることにした。
アニスの処遇は私達の間で以前から色々話し合っていた。
結果、やはり魔法Lv3は目立ちすぎるということで『へっぽこ魔法使い』『味方殺し』という一般の評判のまま、『危険なので四天王筆頭の千鶴子が管理保護する』との体裁を整えることにした。
・四将軍に対する独立行動の許可と長官からの命令拒否権の文書化
これについては3将軍からも危険性を懸念する声がでた。
この権限は下手をすると軍人の暴走を招く。
まぁ、将軍自身が危険を口に出している分、その心配は無いでしょうけど。
これについては私達の中で随分ともめた。
ただ、どうしてもウスピラ将軍への危険性が捨てきれなかったため決定した。
……ウスピラ将軍は貴族ではない。
確かに少女と呼ばれる頃から軍人になり、幾多の死線を乗り越え、実力でこの若さにかかわらず将軍になった。
これは確かにすばらしいことだが反面、弱点でもある。
言い換えれば彼女には後ろ盾がない。
すなわち、自分の良心のままに長官達の命令に逆らうことが難しいということだ。
何かと四軍にちょっかいを掛けてきている長官達のこと、独立権を文章化していないと王子の居ない間に長官権限で市民への虐殺命令くらい出しかねない。
この事を説明するとサイアス将軍が随分と熱心に賛成してくれた。
・光の将軍をアレックスに交替
アレックスくん、一連の話を聞いてやたらと感激していたようだけど、これを聞いて流石に慌てだした。
だが、四天王の権力維持と四軍の確保は必須だ、ここはいやでも請けてもらう。
もっとも、これは直ぐには無理だ。いくら現将軍が長官派とはいえ曲がりなりにも将軍だ、なんとか引きずり降ろして交替させるまでには3年くらいは掛かるだろう。
あとは、細々とした決定や今後の集会や連絡法について確認しあった。
2級市民達との連携も議題にあがったがこれは後に持ち越しとなった。
なにぶん市民解放運動の最大手がテロ集団のペンタゴンだ、どう考えても話し合いにならない。
………済みません、うちの父がご迷惑をおかけして………。
◇◇◇◇
GI1013年
遂に国王が崩御し、ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー王が擁立された。
長官達は最後まで、自分たちの最大の敵が王座に就いたことに気づけなかった。
さぁて、いよいよ忙しくなるわね。
けど、しばらくは王位変更のごたごたが在るから、新四天王決定は来年になるか…。
◇◇◇◇
やはり、新四天王決定は揉めた。
しかし、最後には四天王に対する王の決定権と『最強の魔法使いが四天王になる』という大義名分の前に押し切られることになった。
もっとも、旧四天王のメンバーに1人でも魔法Lv2がいればここまですんなりとは行かなかったでしょうけど。
予定どおり新四天王には私、千鶴子、マジックの3人が推薦され決定した。
残りの1人に長官達は罷免された旧四天王の内から誰か選ぶかと思っていたら、『ナギ・ス・ラガール』という13歳の女の子を出してきた。
本来はその父親の『チェネザリ・ド・ラガール』を候補に挙げていたそうだが、人嫌いで尊大なその男は、世俗のことで魔法の研究に時間を取られることを嫌った為、最初は相手にされなかった。
しかし、長官達はチェネザリが四天王のトップに立つならという約束で幾つかの破格の交換条件を出して納得させた様だ。
しかし、候補に挙がった他の四天王が一番年上の私ですら16歳ということを聞き、えらくプライドを傷つけられたそうで、結局娘を出してきたらしい。
流石にこの任命式だけは娘に付いてきたようだけど、なんて嫌な目!
一目見て判ったわ、あの目は自分以外全てを馬鹿にしている目ね。
これは一緒にいる娘を見ても判る。
身体彫り込まれた刻印……。
なにを考えているの!
あんな小さな頃からあんなもの彫り込まれたら身体だけじゃない、精神にまで影響が来るわ。
しかもあの刻印、オリジナルの様だけどかなりたちが悪い、あんなもの実の娘に彫り込むなんて正気を疑う、娘を実験動物位にしか考えてないとしか思えない。
まぁ、あの娘の濁った瞳を見れば一目瞭然なんだけど……、あれは洗脳も受けてるわね。
「………な・に・をかんがえてるの………。」
あらら千鶴子、か・な・り怒ってるわね。
そう言えばあの娘とアニスって、同じくらいだからダブっちゃってるのかな?
するといきなり千鶴子が大声を上げた。
「では、この中でもっとも強い私が四天王筆頭を務めさせていただきます。異議はございませんね!」
あ、あの~、千鶴子さん、いきなりなにを…。
あはっ、あはははは、よっぽど頭に来たみたいね、千鶴子。
顔は笑ってるのにバックに『ゴゴゴゴゴ!』とか鳴りしてるような……。
…本当ならゆっくり緩やかに実権を掴む予定だったのに。
「あ、あの千鶴子さん?」
「あら、なにかしらマジック?」
うわわぁ~!怖い!怖すぎるわ、笑顔なのに何でそんなに怖いの。
あの気の強いマジックが恐怖で固まってしまったじゃない。
千鶴子、あなたそんな顔も出来たのね。
けど、味方に向ける顔じゃないわよ、どうみても。
だが、その挑発は見事に決まった。
自分以外を馬鹿にしている男が自分の娘のような年頃の娘に馬鹿にされたのだ、どうなるかは押して知るべしだろう。
「つまらん挑発だ、だが貴様が私の最高傑作『ナギ』より上というのは小娘の戯言とはいえ聞き逃せんな。」
「あら、薄暗い部屋に籠もりきりで耳までおかしくなったのかしら、私は『この中で』と言ったのよ。」
「こここ、小娘が!!
わしよりも優れているだと!!」
「それ以外に聞こえました?
それなら一度お耳の医師に掛かるべきですわね。
もっとも、頭の方は急いで掛かった方がよろしいようですけど。」
そこからはお互いの口喧嘩が始まった。
激昂するチェネザリ、冷笑し挑発する千鶴子。
延々と続き段々不毛になってきた頃、王からの決定が下った。
すなわち『互いに戦い、お互いの実力を確認すればよいであろう』と。
狙ってたわね、千鶴子………。