第12話 最強と最恐
どうも~、パパイア・サーバーで~す。
いよいよ始まる四天王筆頭戦。
はたして、勝利するのは!
真っ黒な笑いのすてきな千鶴子か!
悪役そのもののチェネザリか!
ちなみに本編の主人公のアニスは何の役職にも就いていないのでここにはいません、あ・し・か・ら・ず。
◇◇◇◇
ここは王宮にある兵士訓練場。
ここでは大規模な演習も行われることから、見学用の客席や客席を守る魔法結界も完備されている。
今回の決闘、一応使用魔法に制限は無しだが、非殺傷限定が義務づけられている。
もっとも、あの男が素直にそんなこと聞くとは思えないが…。
どう見てもあの顔は『戦いに事故はつきもの』と言う気満々にしか見えない。
「ちょっと、大丈夫なんでしょうね?」
客席ですっかり観戦モードになっている私の周りにマジックや将軍達が集まってきた。
…ああ、そうか彼女たちはこれまで千鶴子が戦う所を見たことがなかったっけ。
たしかに、千鶴子は魔法Lv2とはいえ戦いに向いていないとされる情報魔法の使い手、不安になるのも仕方ないか。
あっちの貴賓席に座ってるガンジー王はこれまで一緒に冒険に行ったりして実力を知っている分、実に楽しそうにしているけど。
………あのポップコーンどっから持ってきたのかしら?
「そうね、マジック様…」
「マジックでいいわ、同じ四天王でしょう。」
あら、あの天の邪鬼が随分と素直になったこと。
あの親子の和解から少しは成長したみたいね。
「じゃあ、マジック、ゼス最強の魔法使いって、誰だと思う?」
「え、え、え~と、お父様?…いえ、ガバッハーン将軍?」
まあ、普通ならこの二人を出すわよね。
「残念、はずれよ。正解はアニス。
確かにお二人は魔法力も多いし経験も豊富、けどね、そんな有利さもアニスの前では吹き飛んでしまうの。」
そう、これは単純に魔力量の違い。
簡単に言えば、魔法レベルのない普通の魔法使いを1とする。
なら、魔法Lv1なら10がスタート地点。
そして魔法Lv2は100、魔法Lv3が1,000だ。
簡単に数値化したがだいたいこんなものだ、細かい所は違うし個人差が在るけれど。
そこから魔力は、身体の成長とレベルアップで増えていくが、天賦の才や、努力が加算されることによってさらに増えていく。
それでも限界が在るようで、同じLv2でも大抵は300くらいで落ち着く、だが現在この国にいるLv2は優秀なようで、将軍達で500くらい。
おそらくだけどナギで600、チェネザリで700くらいだと思う。
そして私が700。千鶴子でも800無いだろう普段は。
別格なのがこの二人、ガンジー王は1,000くらい、ガバッハーン将軍は元々の魔法量+雷精達の分を合わせて1,500は在るだろう。
これは人が許容しうる最大量に近い。
しかし、アニスは通常時で3,000、本気をだせば5,000を軽く越える、というかどれだけあるのか見当もつかない。
魔法使い同士の戦いでは、200や300、いや上手くいけば1,000の差があっても、経験と技術でなんとか戦えるかも知れない。
しかし差が2,000になるともう比べるだけ無駄だ、アニスがただ魔法力を放出するだけで勝負がついてしまう。
むろん、『出来れば!』だが。
と、いうことでゼス最強はアニスになる。
なんていう内容を説明して上げたらマジックの顔色が変わっていた。
「なにものなのアニスって?」
「…私の大事な友達よ。」
「あっ、ごめんなさい!」
私の一言にマジックは直ぐに謝ってくれたけど、心情とすれば判らなくもないのよねぇ。
「まぁ、いいわ、ここからが本番。
そのアニスが言った言葉よ。」
『確かに強いのは私かも知れません、けど怖いのは千鶴子さまです。
おそらく1対1の戦いで私は千鶴子さまに勝てません。』
「だ、そうよ。
そしてこの事についてはこの2人と一番長く過ごしてきた私も同感ね。
『最強』はアニス。
けど、『最恐』は千鶴子よ。」
私の言葉を聞いたマジックと将軍達、あっけにとられてるわね。
まあ、今から始まる戦いを見てれば直ぐ納得できるでしょう。
戦う双方が訓練場の中央に集まった。
千鶴子とチェネザリその後ろにはナギもいる。
やっぱり2人掛かりで戦うつもりかしら。
「あら、やっぱり2人掛かりで戦うことにしましたの?」
「ほざけ、小娘が。曲がりなりにもこいつが四天王だ、現場にくらいおらんとまずいだろ。」
「あらあら、別に構いませんでしたのに、けっか「…黒色破壊光線!」」
ズゴオオオン!!
いきなりナギがチェネザリの影から最大魔法をぶつけてきた。
父親の影でこそこそしていたのは呪文の詠唱を悟られないためか。
チェネザリが千鶴子と話している間に詠唱時間をかせぎ、ガンジー王の開始の号令すら掛けられていない油断している所に最大魔法の一撃。
なかなか姑息で有効な戦術よ。普通の者ならね!
「はぁっははは!これは失礼。散々挑発された所為で娘の辛抱の限界が来ていたようだ。
不意打ちの様な状況になってしまったことについて謝罪する。
もっとも、この有様では私の謝罪も聞けんか。」
魔法の爆発の余波で砂塵が舞い散る中勝ち誇るチェネザリ!
けどね、私の友達はそんなに甘くないの。
今あなたは自分の死刑執行書にサインしたのよ。
砂塵が薄れてきた、そこに見えるのは!
ずたぼろになった千鶴子ではなく空間に浮かび上がった一つの魔法陣だった。
「別に謝罪など結構ですわよ、チェネザリ!
私の親友が言っていましたわ、戦いとは戦うと決められた時から既に始まっていると、なら、不意打ちなど受けると言うのはその者がまぬけなだけですわ。」
砂塵の中から現れたのは、片手で魔法陣を展開し、何時もと変わらない姿の千鶴子だった。
「な、な、な、なんだとぉ~!!」
砂塵の中、妖絶に微笑む千鶴子に激昂するチェネザリ。
「な、な、なんですの、今のは?
なんで黒色破壊光線が片手で防げますの!?」
今の光景を見て驚愕しているのはこちらも同じ様ね。
「ふふ、マジック、今のはね…「ナギ!合わせろ!!『合体!黒色破壊光線×2!!!』」
あらぁ、せっかちさんね。まだ説明が終わってないのに。
放たれたのは軍団殲滅用の戦術級合体魔法。
魔法Lv2が2人以上いて初めて使用できるレアな魔法。
けど!千鶴子には通用しない!!
「マルチタスク!」
その発動ワードと共に千鶴子の周りに幾つもの魔法陣が浮かび上がった。
「術式解凍!敵弾吸収陣!!!」
更に追加された発動ワードに、浮かんでいた魔法陣達が6つの魔法陣を基点とした六方星の魔法陣を展開。
さらに、その周りを無数の魔法陣が浮かび上がり中央の六方星を補助するように展開する。
そしてその力は千鶴子の前に展開された魔法陣に集中され、チェネザリ達から放たれた魔法を全て吸い込んでいく。
そうこれがアニス考案、千鶴子作成、パパイア編集による新魔法!
『敵弾吸収陣』
これまでLv1くらいの魔法なら吸収してしまう『魔法防御』という支援魔法が在ったがこれはそんなちゃちなものじゃない、どんな大魔法でもその使用者のレベルに応じて吸収し、その吸収した魔法力の一部を使用者に上乗せすることが出来る超魔法だ。
その分制御に手間が掛かる上、今のところ情報魔法が得意の千鶴子にしか使えないがそれだけの価値はある。
さっきの砂塵は魔法が当たった衝撃で発生したんじゃない、瞬間的に発生した大魔法の余波で吹き飛んだのだ。
あまりといえばあまりの光景に呆然となるチェネザリ、だけど千鶴子はそれを黙って見てあげるほどやさしくない!
「次は私の番ね。マルチタスク!!」
言葉と共に空中に浮かぶいくつもの魔法陣。
これも3人で作り上げた新魔法、
『マルチタスク』
情報魔法が得意な千鶴子だから出来た魔法…。
いくつもの情報を同時に並列処理する情報魔法の特性を利用し、これまでは両腕に2つしか展開出来なかった魔法を魔法陣の数だけ使用可能にする補助魔法!
これは魔法の増幅も可能にし、使用される魔法量の関係で魔法Lv3の魔法に設定されていた超魔法の使用も可能にする。
さっきの『敵弾吸収陣』もこれを利用して起動する特殊な魔法なのだ。
「せめて、これくらいは耐えなさいよ。雷神雷光!!」
空中に浮かび上がった魔法陣から雷光の奔流が豪雨のようにチェネザリ達に集まっていく。
そして大爆発!!!
……あらあら、これは跡形も残ってないんじゃない?
再び充満する煙と千鶴子の放った雷神雷光の余波ではじける電光!
しかし、その予測に反して、爆撃跡から出てきたのは光の壁の後ろに隠れているチェネザリとズタボロになり倒れているナギだった。
あの光の壁、……新魔法ね。
従来の魔法壁を集中圧縮させ、それを幾つも作りだし網の目のようにして完全な防壁を作るってところか…。
けど、これじゃあとんでも無い魔力が……。
私はチェネザリの直ぐ近くで倒れているナギに気づいた。
…なるほど、あの瞬間、娘の魔法力を利用して防壁をはったのね。
あの娘の身体の紋章にはそんな効果も付けられていたと。
おかげでナギは通常の魔法防御も出来なくなり一瞬でボロボロになった訳か。
こんな状況でも非殺傷設定をしていた千鶴子じゃ無かったら跡形も残ってなかったわよ。
なかなか外道っぷりね、チェネザリ!
千鶴子も同じ事に気づいたようで、ため息を吐いているわ。
「なめるな!小娘、こちらの魔法が通用しないようだが同じ様なことが出来ないとでも思ったか!」
どう聞いても強がりにしか聞こえないセリフを吐くチェネザリ。
けどね、新魔法がこれだけと誰がいいました?
「そうですか、ならそのちんけな壁を破ればよいのですね。」
そう言って、またため息を一つ吐くと、その両手に魔力を集中させる。
「右腕固定『白色破壊光線』!
左腕固定『黒色破壊光線』!
術式統合!!
混沌槍『巨神ごろし』!!!」
千鶴子は全く属性の違う魔法を統合させ、魔法の巨大な槍を作り出した。
「…な、なんなのだ、その魔法は!
しらん、しらんぞそんな魔法!」
狼狽しパニックに陥るチェネザリ、その槍からあふれ出る魔力でこの槍がどれだけとんでも無いものか分かったのだろう。
だが、こちらとしてはそれこそ知ったことではない!
「滅びなさい、チェネザリ!」
「死なん、死なんぞ私は!!」
千鶴子から槍が投擲された瞬間、辺りは光に包まれた。
その光の奔流が収まったとき見えたものは……。
光の槍に貫通されたチェネザリではなく、なにかマジックアイテムらしい箱を掲げている男の姿だった。
「……魔法封じ結界か、
…その箱が原因ね。」
「…ふははは、その通り。
私くらいになればこの程度の隠し球の1つや2つ持っているものだ。」
「この結界ではお互いに魔法が使えませんよ、どうするおつもりで?」
「これを見ろ!」
あきれたように話す千鶴子に対しチェネザリは勝ち誇った様に左腕を見せつける。
そこにあったのは無骨な手甲、『ポイズンガントレット』。
「確か毒の爪が射出され相手を殺害するマジックアイテムでしたっけ。」
「よく知っている、これからお前をこいつでもてなそうと思ってな。」
「…魔法の勝負じゃ、ありませんでしたっけ。」
「しったことか!死ねっ!!」
チェネザリの手甲から打ち出される毒の爪、それは千鶴子の胸元にに吸い込まれるように……。
千鶴子が消えた!!
「なっ!」
驚愕するチェネザリ!
その瞬間、後ろから声がする。
「いい夢は見れた?」
チェネザリの後ろには『ナックル』という格闘戦用の武器を両手に着けた千鶴子が居た。
「残念ながらこれからは悪夢の時間よ。」
その瞬間千鶴子の右拳はチェネザリのあごに入っていた。
「ふげっ!ふがっがっ!」
顔面を血だらけにし吹き飛ばされるチェネザリ。
「言ってませんでしたね。私、格闘戦闘Lv2を持っていますの。」
この言葉にあっけにとられる敵味方。
…だから言ったでしょう『最恐』だって。
弱点が在るようじゃ『最恐』とは言わないわよ。
腰が抜けたのか倒れながら後ずさっていくチェネザリ。
そんな男に千鶴子はにっこり笑って、
「安心してください、殺したりしませんから、もっとも『死んだ方がまし』になってるかもしれませんが。」
と話しかけた。
…だから怖い、怖いって千鶴子、周りが完全にどん引きしてるよ。
そこからは単なる残虐風景だから詳しい描写は割愛しとく、ただチェネザリが訓練場から運ばれる際『人間だったもの』になってたような気がするのだけど。
千鶴子の事だから殺してはいないと思う…。
その後そこに残ったのは、千鶴子と、何時の間にか目を覚まして父親の残酷風景に出会って恐怖を植え付けられたナギだった。
「ナギ…」
「ひいっ」
名前を呼びながら顔に手をやる千鶴子、ナギは完全に怯えている。
今の恐怖とショックで洗脳が説けたかな?
で、相手のあごに手をやり一言、
「私のものになりなさい、ナギ。」
………ちょっと。
セリフが、セリフがおかしいって。
「私に着いてくれば、こんな戦いですら楽しめるようにしてあげるわ。」
「あ、あう、ああ。」
ナギ、完全に思考が麻痺してるわね。
けどね千鶴子、自分が何言ってるのか判ってるのかしら?
しっかりしているようでそっちの事には鈍感だからねぇ。
「…ふむ、まだ洗脳が解けてないか。」
そう言うとナギの首根っこ掴み引きずり始めた。
「ちょ、ちょっと千鶴子どこにいくの?」
「ああ、パパイア、私ちょっと、この娘と『O・HA・NA・SHI』してくるから、後はお願いね。」
え~と、千鶴子さん?
その『O・HA・NA・SHI』て、非殺傷限定掛けた大魔法ぶつけてトラウマもののボロボロにした後に優しい言葉を掛けてやるというあの………。
アニス談、リリカル説得術?
…まぁ、ナギが以前よりは幸せに成れると思うからいいか。
そうして千鶴子はナギを引きずって立ち去っていった。
ただこの後、残った私があっちこっちから質問攻めに合ったのは余計だったけどね。
今回使っただけで、
『敵弾吸収陣』
『マルチタスク』
『術式固定』
『術式統合』
などなど、新魔法、新理論のオンパレードだ。
ただどれも、ある程度実力のあるものにしか使えないのが問題だけど。
それ、これからわたしが説明するの………勘弁してよ。
◇◇◇◇
私とアニスが待ち合わせ場所にしていた喫茶室で千鶴子を待っていたら、やってきた千鶴子は1人ではなかった。
「あの~千鶴子さま、そちらの千鶴子さまの腕にくっいてる方は?」
「あ、あのね、アニス…。」
珍しく慌てる千鶴子。
「私は新しく四天王になったナギ・ス・ラガールだ。お前は?」
うわ~、女のカンかしらね、警戒心出しまくりよ。
「私の名前はアニス・沢渡、千鶴子さまの幼なじみで親友ですよ。」
「しんゆう?」
おおっ、アニスも対抗心を出したわ、これは珍しい。
「…ふん!なら、ナギは千鶴子の愛人だ。」
ガラガラガッシャーン!!
あ、アニスがこけた。
「ち、ちがうのよ、アニス、これはね………。」
「違わない、千鶴子はナギに
『私のものになれ』
と言った。
それを受け入れたからナギは千鶴子の愛人なんだ。」
ガン!!
あっ、止めの一撃、アニスは倒れて痙攣を起こしている。
「…千鶴子さま?」
あ、生きてた、倒れたまま尋ね掛けるアニス。
「な、な~に、アニス?」
「今、ナギが言った事は、ほ・ん・と、なのですか?」
「あ、あのね……。」
「ほ・ん・と、なのですね!!」
「……………………………………うん。」
おお、アニスがカエルの様に飛び上がった。
「ち、千鶴子さまの浮気者~!!
千鶴子さまのロリコン~!!」
「落ち着いてアニス、そうじゃなくて……。」
「そうだアニス、千鶴子にはもう私が居る、お前とのことはもう遠い過去のことなんだ。」
ピシッ!!
アニスが固まった。
「……ううう、うえ~ん、私も浮気してやる、パパイアさんと浮気してやる~!!」
そう、捨てぜりふを残してアニスは走り去って行った。
見事な負け犬っぷりね。
「え~と、千鶴子?」
千鶴子の方を見るとこちらも膝を落として真っ白に燃え尽きていた。
「あの、アニスには私から説明しとくから。」
「あ、ああ、うん、よろしくお願い……。」
完全に魂が抜けてるわね。
隣でナギが「大丈夫か?しっかりしろ!ナギが付いているぞ。」なんて言ってるけど、あなたの所為でしょうが。
おもしろいから言わないけど。
アニスを探していたら王都で借りている私の部屋にいた 。
少し頭が冷えたら、説明が欲しくて一番状況に詳しいだろう私のところに来たわけね。
「あ、あの、ぱぱいあさん……。」
「はいはい、わかっているわよ、ちゃんと説明してあげるから。」
そこで私はアニスが居ない間に起こった事を全て説明した。
『私のものになれ』
発言についてもどういう状況だったかちゃんと説明してあげた。
ちょっとだけ、おもしろくねつ造することも考えたがやめにした。
…友達だからよ、けっしてばれた時が怖いからじゃないわよ。
「そんな事だと思いました。だいたい千鶴子さまはそちらのことに関して鈍感すぎます。」
なんて、アニスがブツブツ文句を言っている。
まぁ、色恋沙汰に鈍感なのはアニスも一緒なんだけどね。
そんな、可愛くブツブツ言っていじけているアニスを見ている内に、ちょっとした悪戯心が湧いてきた。
ふっふっふっふ………。
ちゅっ!
「へ?
………なななななななな、何をするのですかパパイアさん!!!」
「ん~、キス?」
「何で疑問系なんですか、ていうか、いきなり何を。」
「いや~、いじけてるアニスを見ていたらついむらむらして。」
「むっ、むらむらって……」
「ごめんごめん、もしかしてファーストキスだった?」
するとアニスちゃん、パニックを起こしていたのが一転、勝ち誇りだした。
「甘い、甘いですよ、パパイアさん!
ファーストキスなどとっくの昔に千鶴子さまに捧げ済みです。」
「あ、そう、じゃあサードキッスもいただき!」
ぶちゅ!
今度はさっきの触れるだけとは違う、濃厚なディープなやつをおみまいした。
「う、うう、もがっ!(し、舌が、入って!)」
そして、そのまま巧みに誘導してベットに押し倒した。
「も、もがが、うう、もがもがあっ、もがもがががが。(こ、ここは、ああ、服を脱がさないで、何処に手を入れてるのですか。)」
そこで私はいったん唇を離した。
「パ、パパイアさん何を……。」
アニスは追いつめられた小動物の様にふるえ、目尻に涙まで浮かべている。
私ってば、Sの気もあったのね。
いつもの笑っているアニスもいいけど、泣いているアニスもなんかこう……、
『そそるわね』
うふふ、何をって、ここまできたら決まってるじゃない。
私はアニスの目をじっと見つめて宣言した。
「いただきます。」
「きゃあーーーーーー!!!」
あっ!
………はらり(花びらの落ちる音)