第14話 アリスちゃん参上!~私が女になった訳~
どうも、へっぽこ魔法使いのアニスです。
前回、ハニーの神秘に触れ驚愕中です。
あんな短い手で投げ技やら組技をしたり、あんな体型で足払い出来るなんて…………、驚愕です。
又1つこの世界の謎が深まった気がします。
………なに、このデタラメな世界。
◇◇◇◇
前回ケビンさんの修行を終え、私達は久しぶりに家に帰ってきました。
今回は思わぬ長期間の冒険になってしまいましたが、予想外の収入もありました。
何度も繰り返し思いましたが、改めてこの世界、そしてこの身体は元の世界と違うと、思い知りました。
確かに回復魔法の存在で身体の故障を気にせず修行ができるんですが……、たった2週間で、元の世界では伝説の体術『縮地』が使えるようになるなんて、どこのスーパーマンですか!
ケビンさん曰く、ある程度以上の戦士なら使える者はゴロゴロいるそうでけど。
……私、本当に異世界にいるんですね。
さて、今回の冒険、モンスターこそ、弱々だったもののそれなりの数を倒していますし、その上ケビンさんとの修行も経験値に加算されています…。
そろそろ、レベルアップできそうですね。
実は私まだ専属のレベル神が付いていません。
まぁ確かにレベルが上がれば誰でも付くというものでも無いそうですが、千鶴子さまやパパイアさんは既に付いているのに私だけ付いていないと言うのも何か悲しいものがあります。
今回上がればレベル30、ちょっと期待できそうです。
さて、レベル屋さんに行ってみますか。
「あんたには既にレベル神さまが付いておられるよ。」
「へっ?」
私がレベル屋さんでレベルアップしてもらうため確認していただいたところ、前記のようなお言葉をいただきました。
そろそろとは思っていましたが、これは嬉しい不意打ちです。
これまで、千鶴子さまやパパイアさんにまとめてレベルアップをやって貰ったり、わざわざ街まで戻ってレベル屋で上げていたのですがその手間がなくなります。
ふふふ、さっそく呼び出してみましょう。
私は教えてくれたレベル屋のおにーさんにお礼を言って、レベル神召還用の水晶球を購入し帰宅しました。
ここは自宅の私の部屋。
初めてのレベル神召還のため戻ってきました。
といっても、召還方法は至極簡単で、レベル屋さんで購入した水晶球に意識を集中し、呼び出すだけです。
基本的に男の人には女性のレベル神が、女の人には男性のレベル神が付くそうですが、
……なら私には男性のレベル神がつくのですかね?
マリアさんにはやけにフランクなレベル神が付いていたと思いますが、私にはどんな方が付くのでしょうか?
…怖い考えになってきた。
……更に怖い考えになってきた。
………もっと怖い考えになってきた。
「…………だぁーーーーー!!!!」
はぁ、はぁ。
今、何か頭の中ですざまじくおぞましいものが。
……考えるのやめましょう。
どうも最近ネガティブな思考になりやすくて。
「アニス・沢渡が願います、
いでよ、レベル神!!」
私の叫びと共に水晶玉が光り、煙が周りに充満する。
いよいよ、私のレベル神の登場です。
ちょっとワクワクしてきましたよ。
……………あれっ?
この煙って、スモーク?
てっ、なにか光が七色にきらめき出しましたよ。
カ、カクテルライト?
え、え、え、なにか音楽が聞こえ出し始めましたよ!
あ、誰かでてきた。
「みんな、抱きしめて!!銀河の果てまで!!」
………
……
…
「はぁ?」
「はじめまして、私、ランカ・リー!
まだ、レベル神に成り立ての新人だけど、夢を叶えるためがんばります!」
コケッ!
「あなたが、今度私が担当する、アニス・沢渡さんね………
どうしたの?
逆さまになって。」
「は、ははははっは………」
「歯?」
「白色破壊光線!」
ドガン!
あまりの出来事に、思考がショートして思わず魔法をぶっ放してしまいましたよ。
と、こんなコトしてる場合じゃない!
私はいきなり魔法を喰らって目を回している自称『ランカ・リー』(どう見ても本物っぽいのですが)の襟首を掴み揺さぶりました。
「起きなさい!
非殺傷限定の上、無詠唱でぶっ放したから殆ど攻撃力は無かったはずです。
何であなたがここにいるのですか、作品が違うでしょう!」
確かにアリスソフトの作品は、
『著作権とかいいんだろうか?』
と思うようなキャラクターがでていることがちょくちょくありますが、流石にここまでそっくりの上、名前まで同一なのは問題有りでしょう。
しかも『マク○スF』って、
………まだオマージュされてませんでしたよね。
そんなことを考えながら、自称レベル神を揺すっていた所、漫画のようにぐるぐるお目目になっていたランカちゃんがいきなり目を覚まし泣き出しました。
「ふぇ~ん、いきなりデビューで躓いてしまいました。
えぐ、えぐ、
やっぱり、私なんかが夢を叶えようなんて、大それた事だったんだ。
………うぇ~ん。」
あ、あ、あー、ちょっとやりすぎました?
やっぱり悪いのは私ですか?
「ちがうわよ、ランカちゃん!」
泣いているランカちゃんを見てちょっと反省の気持ちが出てきたところで再び水晶球が光り、その光の中から又誰かが出てきました。
え?このひとって………、
「ああっ、あなたはシェリルさん!」
「そう、私の名はシェリル!
ハイレベル神にして銀河の妖精と名高い、
シェリル・ノームよ!」
ガン!
又こけてしまいました。
なんなんですか!これは!!
「ランカちゃん、夢はね、叶えようと努力することが大切なの。
今回の失敗も『糧にしてやる!』そんな位の気概を持ってなくっちゃだめよ。
あなたはまだ、羽ばたいたばかりなんだから。」
「シェリルさん…………。
はい!
私頑張ります、きっと夢を叶えてみせます!」
「それでこそランカちゃんよ、…………………………。」
……しかもいきなり私を無視して、
『熱血、アイドルへの道(新人編)』
を始めてますし。
………なにかもう、どうでも良くなってきました。
あっちはあっちで盛り上がっているみたいですし、もう、私いなくてもいいよね。
私は長い冒険で疲れているのです。
おやすみなさ……………………ガン!!
「ぎゃん!」
布団に入ろうとしている私の頭に何かが猛スピードでぶつかりました。
………花瓶!?
「いきなりなにをするのですか!」
「なに、いきなりこっちを無視して寝ようとしてるのよ!!」
私の非難に非難で返されてしまいました。
シェリルさん、絶世の美人なだけに怒るととんでも無い迫力が………。
「いえ、なにかそちらはそちらで盛り上がっているようでしたし。
私もこの世界のデタラメさや人生における不条理について精神的に疲れたもので。
というか一体どうやって常に張ってある魔法防壁を突破して花瓶をぶつけたのですか?」
「ふん!
関係ないわ。
なぜなら私は『シェリル・ノーム』だからよ!」
うわ~、なんという天上天下唯我独尊。
シェリルさんってこんな人でしたっけ?
「まぁ、そんなことどうでもいいわ。」
人の頭に鈍器ぶつけたことがどうでもいいって…………。
「いいわね!」
「はっ、はい!」
逆らっちゃだめ、逆らっちゃなんねいだ。
私の生存本能がそう訴えてます。
人生忘れた方が良いこともあるということで。
「さて、改めて紹介させて貰うけど、
この緑の髪の娘がランカちゃん。
あなたの担当のレベル神よ。」
「よろしくお願いしま~す。」
「そして私がシェリル・ノーム、
ランカちゃんの先輩で、ハイレベル神をしているわ。」
ハイレベル神
この世界ではレベル神の上位にたつ存在。
才能限界レベルをあっさり増やしてくれたり、逆に気分次第であっさりレベル1に落としたりする方です。
ある意味ランス君の天敵みたいなものだったような。
間違っても敵に回さない方が良いお方です。
「さて、アニス・沢渡!」
「は、はい!」
「な・ん・で、ランカちゃんを襲ったのかな~?」
しっ、しまったです。
すっかり忘れていましたがこの世界の神様はしろくじらの下僕、下手なことを言えば、興味を持たれてしまう恐れが………。
「あ、下手な嘘は付かない方が良いわよ、私、そういうの見破るの得意だから(はぁと)。」
いきなり、笑っているのに目は全然笑っていない顔で、でっかい釘を指されてしまいました。
ははは、はぁ~、これはいきなり『詰み』ですかね。
レベル神の存在があまりに日常すぎてすっかり警戒を忘れていた私が馬鹿なのですが、まさか、こんなにいきなり人生最大のピンチを迎えるとは………。
「答えられないなら、私が答えてあげましょうか?」
えっ?
………まさか、気付いている!
瞬時に私の脳はパニックから、戦闘形態に移行しました。
既に目の前にいるシェリルはパロディ的な存在ではなく警戒すべき存在に変わっています。
何を知っている、もしくは気付いたのかは分かりませんが、このまま返す訳にはいかなくなりました。
勝てるとは思いませんが、せめて何処まで気付いているのか聞き出さないと。
しろくじらの操り人形などという最悪な事態だけは避けなければ。
そんな悲壮な覚悟をしている私を見て、おもしろそうに笑っているハイレベル神、シェリル!
「あら、いきなり怖い顔になってどうしたの?」
「いえ、ぜひ教えていただきたいと思いまして、何を知っているのかを。」
私が答えると、笑いながらシェリルは指を一回、鳴らしました。
フッ!!
周りがいきなり暗くなりました。
これは…………空間が閉鎖された?
しまった!閉じこめられました!!
やはり、神様は敵ですか!
私の心臓は既に耐え難いほど激しく鼓動しています。
ドックン!
ドックン!!
ドックン!!!
パッ!
いきなり目の前に光が。
………スポットライト??
「「パンパカパ~ン、おめでと~う!!」」
へっ?
「「あなたは見事第一の試練を乗り越えました。」」
光の中から現れたのはマイクを持ち紙吹雪なんぞまいているシェリル&ランカ。
………ストン!
あ、腰が抜けた。
完全に間を外されました。
あそこまで緊張していた、状況でこの行動、………一気に心が砕かれました。
もう、へたり込むしかないですよ。
「あら、ちょっと驚かせ過ぎちゃたかな。」
えっ?
あの二人の声じゃない!
「誰?!」
振り返った私の前にいたのは、
………
……
…
「アリス?」
◇◇◇◇
現在、私はアリスちゃん、シェリルさん、ランカちゃんと円いちゃぶ台を囲んで、緑茶なんぞをすすっています。
…………なぜ、ちゃぶ台?
取りあえず突っ込みたい所は沢山あるのですが、取りあえず状況の整理です。
あの後、状況が解らずパニックを起こしている私に前にいる3人(?)から状況の説明を受けました。
目の前にいるアリスちゃん・・・・・神様だそうです。
ふざけるなとか、設定は、なんて言う突っ込みは無しにしてください。
事実そうだと本人が言っておられるのですから。
ちなみに『ちゃん』付けなのは本人のご希望です。
なんでもこの世界、やっぱり『ランス』の世界に似た平行世界の1つだそうです。
その中のアリスソフト系の世界を管理している神様がアリスちゃんだとか。
笑いながら
「原作でも『AL教団』なんて私を奉ってる宗教団体があったでしょう、あれの本来の主神は私よ。」
述べてくれました。
『AL教団』ですか、しろくじらが自分の望みを伝えるためのカモフラージュのための組織としてしか印象がないのですが。
で、ランカ&シェリルの超時空アイドルコンビはやっぱり元々この世界にはいない存在だったそうです。
この世界の調査のためにアリスちゃんが創造して紛れ込ませたそうな。
『調査』
そう、今回私は驚くべき話を聞きました。
『ルドラサウムの暴走』
そう、もともとこの世界では主神アリスのもと、秩序ある循環を行っていた。
この世界でもあったが、
丸い者からドラゴンへ、
ドラゴンから人へ
と、移り変わったように世界は進化と変化を繰り返しながら進んでいった。
しかし、ここに唯一の例外がいた。
『ルドラサウム』
アリスソフト世界で主神アリス以外に唯一世界を創造することができるほどの存在であり、他の世界にすら影響を与えることの出来る神である。
そのルドラサウムがアリスの命令を聞かなくなった。
確かにルドラサウムの力はアリスをのぞけば最強であり、無から有を作り出せる奇跡すら起こせます。
そこまでの存在が自分より力が上とはいえ、色々命令を聞かなければならないなど不満を持っても仕方ないかも知れない。
そこから暴走は始まった。
反乱ではない、暴走である。
ルドラサウム自身、主神アリスには勝てないことはよく知っている。
その為、自分が管理する空間を閉鎖し、その要所要所に自分の配下の神々を置いて、もしアリスが力ずくでルドラサウムに介入しようとすれば世界そのものが崩壊するように作り替えたのだ。
規模がとんでも無く大きいが、ていのいい人質である。
よって、強引な手出しが出来なくなったアリスは、なんとかこの状況を打開しようと、自分の配下をルドラサウムに紛れ込ませたり、イレギュラーを介入させていた。
『イレギュラーの介入』
そう、私のことだ。
「そう、あの馬鹿くじら、私に面と向かって逆らう根性はないくせに、私の神経を逆なでするような事ばかりするの。」
「はい、アリス様が『ひと』に愛着を持っておられることを知っているにもかかわらず、見せつけるかのようにこの世界の人達が苦しむようなことばかり行ってるんです。」
腹立たしさを隠そうともせずしろくじらへの怒りを吐き捨てるアリスちゃん、そんなアリスちゃんをフォローするように話すランカちゃん。
ちょっと性格違うような………世界が違う所為かな?
「そこで!私は考えたの、自分の世界の中心に引きこもって出てこようとしない引きこもりのくじらに天誅を喰らわせるにはどうすれば良いかをね。
……外からがだめなら中からはどうかしら。」
「中から?」
「そう、この状況を打破するためにいろんな他の世界をのぞいて情報を集めたの。
そうして見つけたの、私達のことがゲームとして伝承されている、あなたの世界をね。」
迷惑な話です。
偶々見つけた私の世界で、ランスシリーズというゲームの存在に気づき、その内の一本に目を付けました。
『鬼畜王ランス』です。
現実はこのゲームどおりにいかなくても、もし『ひと』の手で魔人領を含めた世界が統一され、更にルドラサウムの存在に気付き挑戦してくればどうするか?
このゲームのように興味を持ち、自分に直接会いに来るチャンスを与える可能性が高いと考えられます。
なら、その時にアリスを召還させれば!
これが、今回の計画だそうです。
ただ、これには大きな問題がありました。
そう、アリスソフト世界の住人ではアリスちゃんの存在が大きすぎて魔法を使うにせよアイテムを使うにしろ、ルドラサウムの結界内ではまず成功しないからです。
これはこの世界の決まりみたいなものでアリスちゃんでもどうにも出来ないとか。
以上のことから、ルドラサウムの結界に影響されず、アリスちゃんを召還できる別の世界の魂が必要になりました。
このような必要にせまられ、今後動きやすくするためにも、ある程度このランス世界の知識を持つ異世界人が呼ばれることになったのです。
なんと、驚いたことに私はこの世界に呼ばれたのは3番目だそうです。
すなわち、私が召還する前に2人が呼び出されており、2度失敗しているのです。
ちょっと興味を引きましたので、1回目と2回目について質問した所、随分と納得する理由で失敗していました。
1回目はそのまま召還したそうです。
いわゆる『オリ主 』というやつですね。
流石に神様相手に無茶なことをさせるのですから、アリスちゃんもかなりのチート使用にしたそうです。
才能限界無限
最初からLV200
剣戦闘Lv3
神魔法Lv3
などなど、他にも色々特典をつけてあげたそうです。
………それが悪かった。
オリ主でこれだけ強ければ大抵の人は、『俺Tueeeeeeeeee』、『俺様無双』なんて状態になり、いらん野望を持ってしまいます。
この人もしっかり持ったそうです。
なまじストーリーを知っているだけにランスの代わりをしようとしたり。メインキャラの女の子にちょっかいを掛けたそうです。
しかし、どんなにチート能力を持っていても元は一般人(オタク?)がランスの代わりなんて出来るわけがありませんでした。
話はどんどん違う方向に進み、手を出した女の子達には陰湿な恨みをもたれ(普通関係を持った男が他の娘にちょっかいを出すと恨まれます)更にランスにまで恨みを買ってしまったそうです。
トドメに異常に強力な力を持っていることでしろくじらに目を付けられました。
後は破滅へ一直線です。
国の助力も、女の子の信頼も持てなかったその人は、散々しろくじらの配下に追いかけ回されたあげくランス君に切られたそうです。
チート能力関係ないじゃん………。
結論
・下手に個人に強力な力を与えると野望を持って危険。
・オリ主はストーリーを修正不可能なくらい変えてしまうかも。
・ランス君を敵に回すとどんなに強力なキャラクターでも倒されてしまう恐れ有り。
2人目は前回の失敗を教訓に既存のキャラクターに転生させることにしたそうです。
『リック・アディスン』
そう、リーザスの赤い死神に転生させました。
彼なら将来ランス君を補佐し、上手く導ける存在に成れると思われたからです。
無論、将来しろくじらの軍勢と戦わなければいけない為、ある程度強力な存在にすることは仕方ないことですが、前回ほどとんでも無いチートにはしなかったそうです。
………最初の内は上手くいったそうです。
最初からこの世界にいることでこの世界の常識を学び、戦闘力チートのおかげで若いうちから軍でどんどん頭角を現していったのです。
ただ、そういう優良株はもてます。
レイラさんだけでなく色んな女の子にもてたそうです。
そうなるとおもしろくないのがランス君、仲は致命的にまで悪くなりストーリーがまた脱線し始めました。
リックに転生された方もランス君の自意識過剰の上、わがまま、そしていわれのない理由で嫌われていたことから、自分から関係修復する気にはならなかったようです。
さらに今までチート能力で楽をしていた天罰が下りました。
ランス3のリーザス奪還戦、ランス君とは不仲のため別行動せざるえなくなり、そんな状況下で魔人と遭遇してしまったそうです。
どんなに強くてチートだろうとも相手は魔人、傷1つ付けることが出来ず絶体絶命のピンチに陥りました。
いままで戦闘チートのおかげでそんな状況になったことがない彼はパニックを起こしてしまいました。
結果、アリスちゃん召還の為に渡されていたアイテムを使うという最悪の手段を取りました。
その場は助かりましたが、そんなことをすればしろくじらにばれるのは当然です。
しっかり目を付けられて狩られてしまいました。
『アリスちゃん召還』
確かに強力な切り札かも知れませんが1度知られてしまえば対抗策を採られてしまい使えなくなるもろい切り札です。
結論
・男性キャラはランスと敵対し、ストーリー崩壊を起こす恐れあり。
・召還を簡単に出来るようにするとそれに頼ってしまい普通のピンチの時にでも使うかも。
・強力すぎるキャラはしろくじらに目を付けられる恐れがあるばかりか、チート性に頼ってしまい緊急時の対応に問題がでる。
こんな失敗をするたび『時間を巻き戻して』やり直して来たそうです。
…………時間を巻き戻すって、そんなとんでも無いこと出来るなら暴走の始まる以前に戻してしまえば。
「この事に気付いたのがかなり遅かったの。
私は全知全能、何でも出来る訳じゃないの、そこまで巻き戻しちゃうとこことは違う私の管理する世界に不都合が起こる可能性が高いわ。
この世界だけのために他の世界にまで迷惑を掛けるわけにはいかないのよ。」
なるほど、確かにそうかも。
ふぅ、世の中上手く行かないものです、神様でもそうそう都合良く行きませんか。
「それで、今回は女の子に転生、または憑依させることにしたの。
条件はそれなりに良識があって責任感のある人、そして一番大事な事がアリスソフトの作品を愛してくれている人よ。」
「………えーと、ちょっと待ってください。
その条件なら、男を無理矢理女にする必要は無いのでは……?
『ランス』ほどの作品なら女性のファンもいるでしょう?」
「が~ん!
ひ、ひどい!!
………あなたは、か弱い女の子をこんな過酷な世界にいれて平気だというの?」
「い、いえ、そういうわけではありませんけど……。」
アリスちゃんは『いかにもショックを受けました』というオーバーアクションをしたうえ、ハンカチを噛み涙を浮かべています。
………えらく人間くさい神様です。
というか、か弱い男の子は巻き込んでも良いんですね………。
「………なんてね。」
えっ?
「うん、だって、この世界だとそれなりの実力を持った女の子はランス君に食べられちゃう可能性が高いでしょう?
女の子だと無理矢理エッチは可哀想だと思うから………。」
「それは暗に男の子は可哀想じゃないと聞こえるのですが?」
「だって……ねぇ、女の子だと悲劇だけど男の子だと喜劇になる事ってない?」
「ちょ、ちょっと待ってください!
男だってそんなことになったら結構なトラウマになりますよ。」
そうしたらアリスちゃんは満面の笑顔でのたまってくれました。
「うん、大丈夫、そうなったらちゃんと私が責任取るから。
まかせて、私の管理する世界には『ブルー』もあるから(はぁと)。」
ガン!!!
………痛い。
すっかりこけ癖が付いてしまいました………じゃなくて!
この人(?)絶対悪魔です。
実に嬉しそうに答えてくれましたよ。
アリスちゃん………なんて恐ろしい子!
そんな期待に満ちた目で見ないでください!!
………なんでこの世界にはまともな神様いないのでしょうか………orz。
・
・
・
・
・
ちょっと人生に疑問を持ちました。
………泣いても良いですか?