第二話 やっぱり誰かの陰謀のような・・・
どうも、へっぽこ魔法幼女アニスです。
前回いきなり終わってしまいましたが、結果から言いますと魔法は大失敗でした。
私が出した魔法はいきなり大爆発を起こし、10メートルほど吹き飛ばされ、私はそのまま気絶したようです。
現場にはまだ大きな爆発跡が残っています。
……外でよかった(汗)。
家の中なら大惨事です。
あの後、爆発音を聞きつけた両親や千鶴子さま(ゲームでもそう呼んでいたので使ってます。千鶴子さまは恥ずかしがっていますが気にしません。)が駆けつけ、気絶している私を助けてくれたそうです。
・・・両親や千鶴子さまに泣かれて大変でした。
あれだけの爆発や、かなりの距離を吹き飛ばされたにもかかわらずほとんど怪我がありません。
……ギャグキャラ補正?
不思議に思っていると千鶴子さまが説明してくれました。
爆発の原因は魔法の発動の仕方も知らない私が魔法を使用したのが原因。
どうやら火薬に直接火をつけるような馬鹿な真似をしたそうです。
本来ならそんな状態では魔法は発動しないはずですが私の場合、化け物じみた魔法力から発動が成功したとのこと。
私が大爆発に巻き込まれ空を飛んだ(比喩的表現ではなく)にもかかわらず殆ど怪我をしなかった理由については、またまた私からあふれ出た魔法力がバリアのような防壁を作ってくれたことと、落ちる際うまく受け身をとった形で落ちたようだとのことです。
私の魔力のせいで危ない目にあって、その魔力のおかげで助かるとは複雑な気持ちです。
受け身については前世で柔道していた位しか思い当たりがないのですが魂が覚えていたのでしょうか?
しかし、千鶴子さま、確か私とは一つしか歳が違わないはずなのにここまで分析・説明できるなんてどれだけ頭が良いのですか。
私もいい加減チートだと思いますが、充分あなたもチートですよ。
平凡な魔法使いのうちの両親あっけにとられてますが……。
さて、前回の失敗は忘れていい加減考えないといけないことがあります。
本編に介入するのかしないのかを。
本編に介入するということはランスと行動を共にするということです、非常に高い確率で貞操の危機を迎える上に死亡フラグも満載です。
それでは介入しない場合はどうでしょうか?
本編ルートならのんびりいけそうな気もしますが、万が一にも鬼畜王ルートにでも入られれば洒落にもなりません。
爆弾の材料かハーレム入り、エンディングも天使と白くじらのせいで地上はめちゃくちゃ、数少ない幸福エンディングもランスが王座を放り出しシィルちゃんを連れて冒険に出るか、絶対権力を持った王様になる。
だったと思います。
私にとってどちらもあまり幸福になれそうな感じはしません。
……やはり本編に介入しましょう。
私は名前付キャラクターとはいえ所詮脇役の一人、私自身の将来に余り変化があると思えませんが他の人たちは違います。
この世界に生まれて5年、妹のようにかわいがってくれる千鶴子さまや両親にも愛情があります。
それに奴隷制度のあるような気分の悪くなる国ですが一生懸命生きている人がたくさんいるのです。
そんな人たちを関係ないからの一言ですませるのは流石に良心が痛みますし。
偽善者と言われるかもしれませんが、かまいません 、やらない正義よりやる自己満足なのです。
本編にイレギュラーが係わったせいで余計に悪くなるというのも却下なのです。
そんな事を気にしていたら何もできません、『人事を尽くして天命を待つ』、これが私の生き方なのです。
では、少しでも生き残る確率を増やすため修行をしないといけませんね。
せっかくの『魔法Lv3』なのですから。
けど、思い当たる先生が千鶴子さまとうちの両親だけなのです。
千鶴子さまは天才と言ってもまだ小さいですし、両親も普通の公務員であまり先生としては期待できません。
どこかにいませんかね、幼女でも才能を認めて修行をつけてくれそうな方は。
………いませんね、そんなつごうのいい先生は。
◇◇◇◇
ついに8歳になりました。
魔法応用学校入学イベントです。
魔法応用学校の入学は8歳から試験を受けることができます。
そして魔法応用学校入学に必要なことはただ一つ、
『一級市民であること。』
です。ちなみに一級市民の資格は、
『15歳までに試験で魔法を発動させることができる。』
ただこれだけです。
決して
『魔法Lvを持っている。』
ではありません。
ゆえに1級市民には魔法が使えれれば二級市民の子供でもなれる、という建前になっています。
しかし、ここに特権階級のずるさがあります。
意外に思うかもしれませんが、魔法Lvを持っていなくても魔法は使えます。
魔力というのは人によって多い少ないの違いはありますが誰でも持っており、魔力が大きければ魔法は発動しやすく、小さければどんなに頑張っても発動しません。
私の様に知識もなくいきなり魔法を発動させられる人間というのは例外中の例外なのです。
そして普通、魔法を発動させるには何年もの勉強と訓練が必要になり、千鶴子さまですら1ヶ月間の修行と訓練が必要だったとか。
ちなみに義務教育ではありませんが6歳から通える魔法学校ではない学校もあります。
ここには二級市民の子供でも入学できます。
ただ、学費が二級市民には厳しい金額に設定されているため、ここにすら通えない子供もいます。
しかも、この学校で勉強したからといって魔術の発動方法を教えてもらえるわけではありません。
ゆとり教育と肝心な所を教えない勉強法のため読み書き算術などは身に付いても魔法に関してはさっぱりです。
ゆえに、魔法の発動法を覚えるには魔法使いに家庭教師を頼むか高額な塾に通うという方法になります。
塾は高額のため二級市民にはまず無理です。
家庭教師にしても、差別意識の強い魔法使いが二級市民の家庭教師を引き受けるはずもなく、運良く差別意識の少ない魔法使いを見つけても報酬が高額の上何年も契約しなければならないことから貧しい二級市民にはかなり難しいです。
ちなみに家庭教師の最低賃金は国によって定められていますのでそこより安くしたりボランティアで行ったりすれば教えた方も習った方も罰せられます。
表向きの理由は労働環境を守るためとありますが実に狡いです。
では、魔法書を貸し出して自分で勉強してもらう方法はどう?と、言う方がいると思いますがこれもだめです。
国に登録している一級市民以外に魔法関係の書類を貸し出し、譲渡は禁止されています。違反すればスパイ防止法で捕まってしまいます。
実に抜け目がありません。
後はリーザスや自由都市に行ってくるしかありませんが、二級市民には引っ越しや旅行に制限がかかっているため、これもだめです。
このように権力者の嫌がらせにより、ゼスの腐った体質は受け継がれてきたのです。
さて、ずいぶんと話が脱線してしまいましたが再び入学試験です。
私の魔法の発動については問題はありません。
この三年間、学校には行かずに修行し、千鶴子さまや両親が根気よく教えてくれました。
もっとも、何回も失敗しては爆発し千鶴子さまや両親を巻き込んでしまいましたが……。
あきらめずに教えてくれた千鶴子さまや両親に感謝です。
入学許可が出ると、その後学校分けがされます。すなわち、
・『魔法Lvが高い者、筆記試験優秀者、貴族は名門校』
・『魔法Lvがあり筆記試験が一定のランク以上の者は優秀校』
・『魔法Lvはあるが試験結果が悪い者、魔法Lvが無い者で筆記試験でトップクラスではない者は一般校』
に振り分けられます。
そのため、貴族はそのまま名門校に、そのほかの者は学校公認のレベル屋に行って確認してもらいます。
レベル2以上なら筆記試験なしで名門校合格です。
さて、今私は千鶴子さまと一緒にレベル屋に来ています。
実は私、実際にレベルを見るのは初めてなのでちょっとわくわくしています。
問題は無いと思うのですが。
「ほら、順番よアニス」
おや、いつの間にか私の順番になっていたようですね。千鶴子さまに呼ばれてました。
個室に入ると大きな水晶玉がありその向こうに若い男性がいました。
残念、男の方ですか、ウィリスさんの様な美女なら私のレベル神になってほしかったのですが。
「この水晶玉に両手をつけてください。」
レベル屋のおにーさんの言われるまま両手をつけるとおにーさんは呪文のようなものを唱え始めました。
おおー、水晶玉が光り始めました、なかなか感動的な光景です。
水晶玉に文字が浮かび始めました。
あれっ?文字が三列もありますよ。
「魔法Lv3、神魔法Lv2、武器戦闘Lv1ですって!!」
突然、千鶴子さまの叫びが響き渡ります。
…まぁ驚きますよね、なんたって伝説級のLv3ですから。
「アニス、なに落ち着いてるのよ、魔法Lv3だけでもとんでもないのに、神魔法Lv2、武器戦闘Lv1と3つも戦闘技能持ってるのよ。!!」
えっ!
……神魔法Lv2、武器戦闘Lv1!
そんなの聞いてませんよ。!
いったいどうなってるんですか。?
なにこのチート。
本当にしろくじらの陰謀ではないのですか?
誰か教えてください。
プリーズ!