第22話 仲間との出会い・・・話的に最後に出るのがふつうでは?
・・・あの、伏線ためすぎじゃないですか・・・
最後の方なんか完全に話飛んでましたし・・・
あの悪魔さん、確か別作品ですよね。
いいんですか・・・。
byとあるへっぽこ魔法使い
いえ、闘神都市Ⅲやったとき、
「良いキャラなのに1作品で終わらすのもったいないなぁ。」
なんて思いまして・・・・。
まぁ、同じアリス作品良いじゃないですか(笑)。
byガン○ムやマク○スのキャラ出してる時点で何をいまさらと思っている、とある二次小説書き
◇◇◇◇◇◇◇◇
≪sideアニス≫
・・・・・・ん、
猛烈な光と共に受けた痛み、それが、私の覚えている最後の記憶。
・・・・・あぁ、わたし死んでない。
人間、両手が吹き飛んだくらいじゃ死なないですよね。
「・・・私はいったい。」
・・・あれ、両手が吹き飛んだはずなのに、痛みがない?
・・・パパイアさんの痛み止めの魔法ですね。
身体に冷えた感覚がないのは、それほど出血していない?
あぁ、血止めと応急もしてくれたのですね。
わたし、実は肉体的に傷つくこと(自分限定)なれています。
なぜかと言われれば、わたしの魔力のせいとしか言いようがない、あまり詳しくは言いたくありませんが。
おかげで、気絶から覚めると直ぐに自分の状態を分析する癖がついてしまったのです。
え、気絶するようなことは緊急事態だから、目が覚めたら直ぐ起きて防御態勢をとるのが普通だろうって?
いやですねぇ、戦いの最中や緊急事態で気絶していたのなら、わたしもうとっくに死んでいますって。
それに、意識が上昇したからっと言って直ぐに動けるわけではありませんよ。
これは、半ばわたしが無意識領域で行っている防御本能みたいなもの。
動けると同時に何が出来るのかという事を判断するための準備行動なのです。
こう見えてじつはわたし、並みの冒険者以上に負傷経験は豊富なのです。
死にかけた事も一度や二度じゃありませんし・・・・・・。
思い出しちゃった。orz
うっすらと目を開ける。
そこには・・・千鶴子さま達と、『化け物』がいました。
へ?
ななななな、何ですかあれは、あんなもの今まで見た記憶はありませんよ。
ええーと、アリス作品であんな奴いましたっけ。
・・・
・・
・
まさか、デ○ボリカ!!
・・・たしかあのような、化物じみたキャラクターが出ている作品と聞いた事がありますが、
・・・わたしあの作品やっていないのですよね。
あ、なにか千鶴子さま達と話していますね。
・・・のみこん?
あれ、ノミコンなんですか?!
いったい、なにがどうなって、こんな事になっいているのですか !!
だれか教えて、ぷりーず。
しかし私が、理解不能の状況で頭を抱えている状態でも、話は進んでいくわけで。
で、いきなりのクライマックス。
“「やかましい!
私の命なんかどうでもいい。
『あんたはアニスを泣かせた。』
『あんたはアニスを傷つけた。』
わたしが命を掛ける理由はそれで十分よ。」”
うわ、千鶴子さまが切れた!
ごめんなさい、ごめんなさい、わたしのために。
わたしが無茶したために、心配させてすみませんでした。
あまりの罪悪感から、わたしが心の中でジャンピング土下座をしていると・・・。
そこから、千鶴子さまの 怒涛の攻撃が始まった。
・・・
・・
・
あぁだめだ、あれではノミコンに勝てない。
千鶴子さまから繰り出される数々の攻撃。
その猛攻のまえにノミコンはなすすべがないようにみえる。
そう、一見千鶴子さまが一方的に押しているように見えるが、わたしには見えてしまう。
“どんどん千鶴子さまの魔力がノミコンに吸い上げられていくところが。”
この世界で、なぜ悪魔が人間に恐れられているのか、それは低レベルの攻撃に対する無効化能力を持つゆえだ。
もちろん、魔人ほど強力なものではないし、人間以上の位階を持つ種族(神、天使、魔人、悪魔、等々)には通用しないが。
そんな強力な力を持つ悪魔がなぜもっと地上で力を持っていないか、といえば人間が持つ戦闘系レベルの存在だ。(むろん、神や天使と正面切って戦いたくないという事もあるだろうが。)
この戦闘系レベルというやつは人間には過ぎた力、人間以上の力と認識されるため、悪魔に対してダメージを与える事が出来る。
しかし、レベル1程度では精々低級悪魔にしか傷つけられず、中級以上になるとレベル2以上の才能が必要なのだ。
そして現在、千鶴子さま達が戦っているのは中級以上と思われる悪魔ノミコン。
本来であれば、魔法レベル2を持つお二人なら、楽勝とはいかなくてもどうにか戦えるはず。
・・・そう、本来なら。
わたしが見たところ、あの悪魔は、千鶴子さまの魔力を無効化したり防御したりするだけじゃなく、使っていない魔力まで引き出し分解している。
・・・いわゆる、魔法使いの天敵だ!
こんなやつと戦うには本来、魔力系の技ではなく気力系の技を使うのが正しい。
普通近接戦系の戦闘レベルを持つ者は大概気力系の技を覚える。
そして千鶴子さまは格闘レベル2を持っている。
早い話が気力系の必殺技で戦うことは可能なのだ。
だが、悲しいかなここはゼスだ。
いくら、千鶴子さまが格闘レベル2の才能を持っていても、知らないものは使えない。
縮地は気力系の技であり、かつてこの技を伝授してもらった、師匠(シークレットハニー)より気力の基礎を習っていた。
しかし、修業の期間が短すぎた。
いかに、千鶴子さまが天才だとしても、知らないものは使えない。
新たに研究し編み出すには時間と手間がかかりすぎる。
よって、格闘系の技は、魔法拳など、魔法系の技が主となってしまった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
助けないと。
いまの私の状態では、たとえ千鶴子さまの加勢に向かったとしても足手まといにしかならない。
いや、おそらく、2人に引きとめられ、加勢することすらできないだろう。
・・・なら、どうする?
後ろに回って、一撃くらわす?
だめだ、ダメージを与えられるような大魔法を集中すれば気付かれるし、この手だ、印を組んで魔法陣を出すような、まともな魔法は使えない。
ええぃ、この手でもつかえて、なおかつ、やつにダメージを与えられる魔法?
・・・・・あった。
これしかありませんか。
しかたありませんね。
とりあえず、やつの後ろに回らなければ。
さて瞬間移動では気付かれますので。
そういって、こっそり呪文を唱えると私の身体は少し浮かんだ。
元々この魔法は、沼地や雪上など行動しにくいところで使う補助魔法ですが、このように足場がしっかりした場所で使うと身体が少し浮かぶのです。
そして、すこし勢いをつければ、さながらエアホッケーの円盤のように音もなく滑るように進みます。
簡単な補助魔法ですので魔力の動きも少なく、ノミコンに気付かれる事もないでしょう。
◇◇◇◇◇
うまく、後ろに回れました。
あ、千鶴子さまが力尽きた。
急がないと・・・。
うんしょ、うんしょ。
両手がないので登りにくいです。
しかし、意外と気づかれないものですね。
こいつが鈍いのか。
それとも、千鶴子さまを倒したと思い込んで完全に気が抜けているのか。
まぁ、私にとっては絶好のチャンスです。
・・・
・・
・
よし、着いた。
“「いくら魔力がでかくても、かたき討ちのために命を掛けても所詮は人間だってことだな。
親切に俺様が戦う前に注意してやったのによー。
それともなにか、四天王てのは間抜けの集まりか?
ケェケケケ!」”
ノミコンの勝ち誇る声が聞こえる。
完全に勝ち誇ってますね。
千鶴子さまの名誉のためにも一言弁解しておきますか。
「いつもなら、こんなミスなさらないのですが。
あまりいじめないであげてもらえますか。」
なぁ!
突然私の声がしたものだから、ノミコンは私の声のした方向へ顔を向ける。
「て、てめぇ、いつの間に。」
「いくら、千鶴子さまとの戦いが苦しかったといっても、私が瞬間移動して(嘘ですけど、流石に瞬間移動などすればばれていたでしょう。)あなたの後ろに回り背中にへばり付いたことにも気付かないとは。
間抜けすぎですよ、ノミコン。」
その言葉と共に、私の魔力をノミコンの魔力の流れに注入した。
「てめぇ。
引っぺがしてやる!
が!!
か、身体が、身体がうごかねぇ。」
金縛りの応用です。
いかにあなたが強力な悪魔でも、ゼロ距離から私の巨大な魔力を注入されては防ぎようがないでしょう?
「充分細工する時間がありましたのであなたの得意技使わせていただきました。
密着した状態で相手との魔力バイパスを繋ぎ、そこを通してコントロールするですか。
残念ながら私はあなたほどコントロールが得意じゃないもので、大量の魔力を送り込んで身体を麻痺させることしかできませんが。」
「アニス!
大丈夫、無茶は止めて、こんなやつ私が直ぐに片づけるから・・・。」
千鶴子さま!
肉体も精神もボロボロに見えます、それでも私の事を心配してくれるなんて。
「少しだけ待ってて、今、今行くから。」
私も無茶をしていますが、私の場合両手が吹き飛んだだけで、吹き飛んだ痛みは消してもらっている分、まだ私の方が余裕がありますね。
パパイアさんは・・・だめですね、あちらも余裕がないようです。
しかたありません、最後の手段をとりますか。
「無理は行けませんよ。
もうボロボロじゃないですか。」
そんな私の言葉に、必死になって首を振る、千鶴子さまとパパイアさん。
そんな、悲しそうな顔をしないでください。
大丈夫です、生還の可能性がないわけじゃないのですから。
「大丈夫ですよ。
私がちょっとこいつを片づけてきますから。」
そんな私の言葉に凍りつく二人。
「じゃぁ、いってきます。」
その言葉とともに、わたしは瞬間移動を発動させた。
ノミコンと共に。
◇◇◇◇◇
わたしが移動したのは王都から少し離れた高空。
・・・流石にきついですね。
今のはわたしは、パパイアさんの血止めの応急処置と痛み止めの魔法で動けますが、本来ドクターストップが掛かっている状態なのです。
その状態で、印も結ばず瞬間移動など、われながら自殺行為なのですよ。
「ケーケッケケ!」
おっと、こちらに集中しないと。
「嬢ちゃん残念だったな。
『人間の瞬間移動は生物を連れて移動できない、もしすれば連れていた生物は死ぬ。』
それを狙って空間を飛んだんだろうが、あめぇンだよ。
俺も上級悪魔だ、自分の力で空間を渡る事くらいできるんだよ。」
「・・・あぁ、そんな事を考えていたのですか。」
「なに?」
「今回の瞬間移動にそんな深い意味はありません。
たんに、これ以上千鶴子さま達を傷つけたくないから移動しただけです。
あなたを倒す方法はほかにありますよ。」
「う、嘘をつくな!両手を失ったてめぇはもう印を結んで魔法陣を展開する事も出来ねぇ、すなわち俺様を攻撃する高威力の魔法は使えないってことだ。
・・・そうか、このまま俺様の自由を奪い続け、この高高度から地面に叩きつけるつもりか。
残念だったな、どんなに強力な衝撃でも、魔力も気力もこもってねえ攻撃に意味はねぇ。」
おやおや、あからさまに動揺しています。
自分で考えて、自分で否定して、ご苦労な事です。
けど、あなたを倒す魔法、これはそれほど難しい事ではないのですよ。
「ノミコン。地上までまだまだありますので少しお話をしてあげます。」
「てめぇ、いったい・・・」
「とある強力な存在が自分の後継者とするため、一人の異世界の少女を召喚しました。
その少女はこれまで争いごとをした事もなければ、魔法の存在すら知りません。
しかし少女は碌な説明もなく強制的に力を委譲され、それと共に膨大な魔力を受け継ぎました。
もちろん少女は魔法の存在すら知りませんでしたから、魔法など使えるはずもありませんでした。」
「いったい何の話を・・」
「その後、その少女はその強大な力を狙って襲われます。
魔法の使い方を知らないその少女は抵抗もできず殺されてしまうのでしょうか?
いえ、その少女は防御本能から魔法陣がなくても攻撃するすべを開発したのです。
・・・教えてあげますよ、その技の名前を。」
「や、やめろー!」
わたしの中で膨れ上がる膨大な魔力に気がついたのでしょう、ノミコンが恐怖の声を上げます。
うるさいですよ、わたしが千鶴子さまを傷つけた存在を許すわけがないでしょう。
この魔法はわたしが一番最初に使った魔法でもあるのですよ。
その名は、
「きえちゃえボム(アニスバージョン)」
ピカッ!!!
その言葉と共に、わたしを中心に膨大な魔力が破壊の力となって吹き荒れる。
無論その力はわたしが組みついていたノミコンにも降り注いだ。
「・・・・・・!!!!!」
力の奔流の中で叫ばれる声にならない叫び、その叫びの中ノミコンは消滅していった。
やりましたよ、千鶴子さま!
はじめてこの力を使ったときは、手の前に出現させてしまったので、私自身も巻き込まれ吹き飛んでしまいましたが、今回役に立ちましたのであの時の痛みも無駄ではなかったですね。
・・・さて、そろそろ落下スピードを緩めないと・・・・。
あ、あれ?
い・しき・・・が
この時、私の意識は暗闇に包まれた。
≪?????side≫
「よいしょ!」
私は空から落ちてくる少女が気を失ったのを見て、慌てて落下コースの下に回り込み、少女を空中で受け止めた。
魔法でつりさげる事も出来たのだけど、なんとなく物のようにこの子を吊り下げることが嫌だったのだ。
「どう見ても人間よねぇ。」
そう、この子はたった今まで悪魔と戦いそして倒した。
そう、上級悪魔を。
「人間が上級悪魔を倒すなんて歴史上はじめてじゃないかしら?」
感心しながら地上に降りると少女を地面に横たえた。
「ここまでボロボロなのに、どの傷も致命傷には至ってないか。とんでもない子ね。」
横たえた少女を一通り調べると、思わず独り言がでた。
けど、一応回復させといたほうがいいわよね。
私、回復系は苦手なんだけどな。
「・・・ヒール!」
どうやら成功したみたいね。
さて、ちょっとごめんね。
後かたずけしてくるから少し待っていてね。
◇◇◇◇◇
さぁーて、あいつはどこかな?
「あ、いたいた?」
私の目の前には一冊の本があった。
表紙はボロボロで黒こげ、煙すら出している。
「いてぇー、いてぇーよ。
ちくしょう、死なねぇ、死なねぇぞ。」
あらあら、随分やられたようね。
私、気配も消してないのにこんな近くの気配が気付かないなんてね。
・・・けど、本でも痛覚ってあるのかしら?
「随分、良い恰好じゃない、ノミコン。」
私のかけた言葉に本がビクリと震える。
・・・なかなかシュールな光景ね。
「て、てめぇは、い、いや違う、違うんだ。あなた様は。」
「あぁ、いいのよノミコン。たとえどんな理由があろうとも聞く気はないから。
あなたが封印を破った事だけで有罪だから、言い訳するだけ無駄よ。」
「ち、ちがうんだ、これは真名を知られちまって無理やり破らされたんだ。
悪魔王の裁定に逆らう気なんか・・・。
い、いやだ、死にたくねぇ!!」
「上級悪魔の真名を知ってるって、とんでもない奴もいたものね。
ま、その件はおいおい調べるとしましょう。
あぁ、安心してノミコン・・・・・・・殺したりなんかしないから。」
いやねぇ、そんな勿体ない事誰がするものですか。
「じゃ、さようなら、ノミコン。」
そう言って私が手を伸ばすとノミコンはページをバタつかせて暴れだした。
「い、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ」
壊れたレコーダーのように同じセリフを繰り返すノミコン。
こんなクズ相手だと多少残っている私の良心が痛まないから気が楽だわ。
そうして片手を振ると、ノミコンのいた場所には一つの飴玉が転がっていた。
「あなたの存在は無駄ではないわ。
あなたは永遠に私の中で生き続けるの、・・・・・・・・・・魔力の供給源としてね。
誰かのために身を呈して犠牲になる、そんな設定お好きでしょ・・・ノミコン。」
そう呟くと、私は飴玉を拾い上げそのままのみ込んだ。
「さて、あの子のところに戻らないと。」
≪アニスside≫
あれ?
生きてる。
確か、かなりの高空から落ちましたよね。
流石に、魔力障壁もスピードダウンもなしに落ちればただでは済まないと思うのですが。
???何があったのでしょう。
「あら、目覚めたのですね。」
私の耳にまだ少女と思われる声が聞こえた。
・・・聞き覚えのない声だ。
ゆっくり、声のした方向に首を向けるとその先には・・・・。
「あぁ、悪魔の方ですか。」
「えう!」
あれ、なにか慌ててるような・・・ああ、そうですかこの方はいま『人間の姿』なのですね。
人間のふりに自信があったのにいきなり見破られて慌てていると。
「な、なーんのことかしら。」
声に動揺が丸わかりですよ。
随分と素直な悪魔さんで・・・見たところかなり上級の、そう、ノミコンよりはるかに上級の悪魔のようなのですが。
・・・まぁ、こんな存在に嘘やごまかしが通用するとは思えませんし、それにこの状況では。
素直にネタばらしさせてもらいますか。
「ああ、ごめんなさい。
説明が足りませんでしたね。
わたし実は、・・・盲目なんです。」
「え?ええ!
ちょ、ちょっと、盲目って。」
「ええ、まぁ、この際ですから、ぶっちゃけてお話しちゃいますが、わたしは生来魔力があふれて止まらない体質でして。
幼いころはまだそれほどでもなかったのですが、学生になったころから肉体が魔力についていけず、内部から破裂することがよくありましたのです。
まぁ幸いと言ってよいのか、わたしには神魔法レベル2の才能があったので、致命傷になる前に自動再生が発動して死ぬことはなかったのですが・・・。」
「ちょっと待ってよ、幸いって。
傷ついては再生の繰り返しなんて。
・・・・完全な拷問じゃない!」
「いやですね、そこまで酷くはなかったのですよ。
結局3年位でレベルも上がりなんとか封印具込みで身体が傷つくことは無くなりましたし。」
「・・・3年も。」
あれ、この悪魔さん、なぜかひいているような。
やはり、はじめて聞く人には少々ヘビーなお話でしたでしょうか。
まぁ実際あの頃は、『死んだ方がまし』レベルの苦しみでしたからね。
おかげで、人一倍訓練に身が入り、たった3年でこのバカみたいな魔力をある程度は制御できるようになったのですから。
・・・こういうのも、『けがの功名』というのでしょうか。
・・・なんか違う気がしますね。
「ただ、繊細な構造を持つ感覚器官にだけは後遺症が残ってしまって・・・、
いえ、別に壊れたわけでは無いのですよ。
それどころか、変に進化してしまって、並みの方より鋭くなったくらいでして。」
「・・・耐性進化。
何度も壊され、その度に超再生を繰り返せば、その部分はより強固に進化する。
てぇ!ちょっとあなた、繊細な感覚器官を筋肉トレーニングの筋肉と一緒にするんじゃないわよ!!」
「・・・えー、これは別段やりたくてやってたわけじゃなくて。」
「・・・」
「・・・」
はは、お互い固まってしまいましたね。
時間もない事ですし、話を続けないと。
「話し続けますね。
そんなこんなで、他の感覚器官については特に問題はなかったのですが、長い間高密度の魔力にさらされていた眼球だけは変な風に進化していしまいまして。」
「???、なんで眼球だけが?」
「あぁ、悪魔であるあなたには自覚がないかもしれませんが、人間は魔法を発動させるのに一旦集中させる必要があるのですよ。
で、集中させる切っ掛けにするのが・・・。」
「ああ、そうか、人間は視覚をメインにするんだっけ。
て、しまった!自分で、人間じゃないって認めちゃった!!」
「ククク、何をいまさら。
まぁ、そういうことです。」
「うう、人間に笑われた。(泣)」
「で、進化した結果と言うのが、サーモグラフィーみたいになったのです。」
「サーモグラフィー?
あの、温度が色で解るっていうあの?」
「ええ、私の場合魔力の濃度が色で解るのですが。」
「・・・それって、すごく不便じゃない。」
「ええ、まぁ。
日常生活にはすごく不便ですよ。
ただ、魔法関係になるとすごく便利なのです。
なんせ、相手の魔力の動きが解りますから、先読みが可能ですし、打ち出された魔力の流れが見えるので攻撃魔法を無傷で引き裂く事も出来ます。
なにより、自分の魔力の流れが目で見えますから、魔法に失敗してもなぜ失敗したのかが直ぐにわかります。
この目がなければ、合体魔法、合成魔法、魔力吸収なんかの新理論はこんなに早く実用化出来なかったと思いますよ。」
「えらく前向きな子ねぇ。」
「この世界では、『壁があったらぶち破る』くらいの気概がないと生きていけないのですよ。
もっとも、この目では個人識別ができませんので常時映像魔術を展開して、その映像を直接、脳の視覚をつかさどる部分につなげていますが。」
「・・・随分便利な事。
ご都合主義というか・・・。」
「それほど便利でもないのですけど。
常時展開型の魔法ですので、常に魔力は減っていきますし、脳に直接つなげている分、今回のように、肉体やら、魔力回路が分断されると使用不可になってしまいますから。」
「そんなに都合のよいものは存在しないか。」
「はい。」
そう答える、私の視覚に普通の映像が戻った。
「おや、やっと魔力回路が回復したようですね。
ああ、貴方は、そんな姿をしていたのですか。
おっと、忘れていました、私が五体満足でこの場所にいるという事は貴方が助けてくれたのですね?
お礼が遅れました、助けていただいてありがとうございます。
私の名は『アニス・沢渡』この国ゼスで魔法使いをしています。」
頭を下げる私の目の前には、白を基調としたゴスロリファッションの少女がいた。
・・・・・・まんま、闘神都市Ⅲの『フィオリ・ミルフィオリ』さんです。
あれ、この娘、こんな服装でしたっけ?
まぁ、いいか。
「はじめまして、私の名は『フィオリ・ミルフィオリ』、あなたの言うとおり悪魔よ。」
そう言ってにっこりほほ笑む姿は本当に可愛かった。
・・・この世界ってランス世界ですよね。
で、さっきの話の内容から・・・。
ああ、この人は・・・、
「こんにちわ、フィオリ・ミルフィオリ。
んー、長いからフィオって呼んでいい?」
私は苦笑を浮かべつつ呼びかけた。
「あら、貴方の目なら、私がどんな存在か解っているはずですのに、随分となれなれしい事。
くすっ、まあよろしいですわ、私はあまりそんな事は気にしませんし。」
そう言って苦笑するフィオ。
この様子なら大丈夫かな。
「あの、一つ質問して良いですか?」
「なに?」
「フィオはいつその身体に転生、いえ憑依したのですか?」
本日2回目の爆弾発言が投下された。
フィオは完全に固まっている、あ、空気が変わった。
殺気じゃないけど、警戒感バリバリ出している。
「何の事とは聞かないわ。
なぜその事を知っているの。」
うわぁー、うわぁー、絶対零度の声ですよ。
前世の私なら、心臓止まっていたんじゃないですかねぇ。
そんな絶対零度のフィオに向かって私はにっこりほほ笑んだ。
「それは私も転生者だからですよ。
それと、幾らいきなり悪魔と見破られたからと言って動揺しすぎですよ。
さっきのおしゃべりで完全に自供していましたから。
この世界にサーモグラフィーはありませんよ。」
「えっ!」
私の転生者発言に驚いたのか、自分の自爆しまくりの会話に気がついたのか、フィオの気が抜けたすきを突いて、一気に説明を始めた。
私の転生してからの生活。
『アリスちゃん』との出会い。
他の召喚者(転生者or憑依者)について。
召喚者に与えられたメリットとデメリットについて。
召喚者に与えられた使命。
最初の方は混乱していたようでしたが、最後には真剣な目で私を見ていました。
「だから嫌いなのよ、『神様』って存在は。
自分の都合で呼び出して、上から目線で使命を押し付けてくる。」
流石悪魔、やっぱり神様とは相性が悪いか。
というか、普通そういう感想を持つよね。
けどね、
「じゃあ、死んだという自覚がないまま、消えてしまった方がよかった?
わたしは嫌ですよ。まだやりたい事も沢山ありましたし。
それに、この世界で失いたくない大切なものも出来ましたから。」
そんなわたしの言葉にしばらく悩んでいたようですが、結局のところ納得してくれました。
やっぱり、アリスちゃんが一生懸命選んで連れて来ただけあって、良い方です。
◇◇◇◇◇
「私がこの身体に憑依したのは多分、40年くらい前だと思うの。」
「40年!」
「たぶんよ、たぶん。
なんせ、この身体に憑依したのはいいけれど、流石に上級悪魔だけあってなかなか主導権を渡してもらえなくてね。
空間の狭間に漂って、半分寝てるような状態が続いたの。
30年くらいそんな状態だったと思うのだけど、なにぶん、いた場所が時間の感覚があやふやな空間の狭間だったし、悪魔の時間間隔というのが随分と大雑把で。」
「なんでそんな場所に・・・。」
「私の最初の記憶が、何かの扉を潜るところからだったから、多分丁度、異界に移動するところで私が憑依したんじゃないのかな。」
その言葉を聞いて思わず納得、それでアリスちゃんの追跡調査が効かなかったんですね。
そんなこんなで、いろいろお話し、随分と打ち解けてきました。
さて、そろそろ大事な事をお聞きしないと。
「さて、フィオさん。
大変話しにくいとは思いますが、私に貴方が抱えている『デメリット』を教えていただけないでしょうか。」
「・・・やっぱり言わないとダメ?」
「はい、言いたくない事は重々承知ですが、把握していないといざという時に、それが原因で失敗したということになりかねませんし。
なんせ、私達がこれから対するのはこの世界の創造神なのですから。
不安要素は少しでも無くしておきたいのです。
ちなみにわたしのメリットは『膨大な魔力』、デメリットは『その魔力に耐えきれない脆弱な身体』です。
フィオさんはメリットはもちろん『上級悪魔』ですよね。
となると、これはかなりの強さのメリットだと思うので、その分デメリットもすごいものになっていると思うのですが?」
そう言うと、フィオさんはため息を一つ吐いてしゃべりだした。
「ふう、しかたありませんね。
確かにこの身体は素晴らしいものです。多分魔人とガチンコでやりあったとしても勝てると思います。まぁ、魔王は無理でしょうけど。
その分、その、何と言いますか、デメリットがですね・・・・。
ええい、言ってしまいますが、私のデメリットは貴方とは反対、すなわち『魔力の流出』なのです。」
・・・
・・
・
「うわ~、何というタチの悪い。」
この『魔力の流出』というデメリット、ちょっと聞いただけでは大したことないと思うだろうが実はさにあらず。悪魔という存在には致命的と言っていいのだ。
前にも説明したが、悪魔というのは魔力の塊みたいな存在。
そう、魔力は自分の根幹なのだ。
それが流出し続けるという事は、いずれ何もしなくても消滅するという事。
しかも、仲間に気を許す事が出来ない悪魔の世界、こんな弱みを知られた日には・・・。持久戦を仕掛けられただけで下級悪魔にさえ負けてしまう。
「ううう、そうなの、お陰でどれだけ気の休まらない日々を過ごした事か。」
「よく10年間無事でいましたね。」
「まぁ、そのあたりは極力他の悪魔と接触を持たないようにしたり、接触しても深く係わらなかったりしたからね。」
ん?
確かこのキャラって・・・・
「そういえば、フィオさんって、闘神都市Ⅲでは中級悪魔の部下がいましたけど、どうしたのですか?」
確かいましたよね、かなり性格悪いのが。
「ああ、『梨夢・ナーサリー』ね。
めんどくさいから、食べちゃった。」
ぶっ!
た、食べちゃったって・・・あなた。
「だって、どっかで、私の異変に気付いたみたいで、裏でこそこそしはじめたから、めんどくさくなる前に食べちゃったの。
まぁ、元々私に心酔して部下になったわけじゃないし。これまでの行動も、下剋上する気満々で、かなり鬱陶しかったのよね。
だから、丸めてパックンしちゃったの。」
丸めてパックンって、あなた・・・。
「いやだぁ、そんなに引かないでよ。
どうせ、生かしていても害にしかならない存在だし。
私のために有効利用されれば、世界のためにもなるじゃない。」
「・・・あの~、有効利用って?」
すごく不吉な想像しか浮かばないのですが。
「うん、ほら、私ってほっとくと、どんどん魔力が無くなるじゃない、だから飴ちゃんにして魔力の供給源になってもらっているの。」
・・・やっぱり。
魔力の供給源にしているって、生きてるってことだよね。
生きたまま魔力を削られ続けるって、ひと思いに殺されるより惨いんじゃ・・・。
「それに今回は供給源第2号も手に入ったし、中々の収穫だったわ。」
へ?
2号?
・・・まさか
「え~、フィオさん。
その第2号ってまさか。」
「うん!
ノミコンよ。
いや~、あのクラスの悪魔を飴玉にできたのはラッキーだったわ。
正攻法なら、どれだけ苦労した事やら。」
・・・うん、見事に漁夫の利さらわれたようで。
あっ!
「そうだ、こんなところでのんびりしている場合じゃなかった。
早く戻らないと。」
「ん~。
まだそんなに時間経ってないよ。」
「いえ、塔に被害を出さないために、ノミコン連れて転移したのですが、その際死亡フラグ満載のセリフを残しちゃったのですよ。
早く帰らないと死んだと誤解される恐れが。」
そう言って、立ち上がろうとするが、・・・だめ、力が入らない。
「だめ!まだ回復しきってないようですね。」
「無茶な子ね、あんな自爆技みたいな魔法使って、そう簡単に回復するもんですか。
いいわ、私が連れて行ってあげる。」
・・・じと~。
「な、なに、その疑り深い目は。」
「いえ、私の持論に『魂は肉体と生活に左右される。』というのがあるのですが、これまでお話しさせていただいた限りでは、フィオさんはかなり悪魔の性質になじんでらっしゃるようです。
そのあなたが同じ召喚仲間とはいえ、ここまで親切にしていただけるのは?」
「い、いやねぇ~。
そんなことないわよ。
私はやさしい子よ。」
あ、目をそらした。
「ただね、・・・。」
「ただ?」
「ちょっと、四天王の方たちに恩を売って、魔力炉を使用させてもらえたらなぁ~。
なんて、思ったりして。」
ああ、なるほど、フィオさんがゼスに来たのはこれが理由ですか。
確かに、魔力炉ならこの方の魔力不足の解消には充分ですから。
「ふ~、解りました、そういうことでしたら私からも千鶴子さまにお口添えさせていただきます。」
「きゃ~、ラッキー!
アニスちゃん愛してるわ!!」
「それと、千鶴子さま達と直接会うのでしたら、自分の正体について素直に話してください。」
「あれ?
悪魔の事は普通内緒にしておいた方がよくない?」
「いえ、千鶴子さまもパパイアさんも割と鋭い方ですから、隠していたもそのうちばれてしまうと思うのですよ。
なら、隠し事しているのは何か裏がある証拠と思われてもなんですし。
それにあのおふた方なら、悪魔相手でも恐怖するという事は無いと思いますので。」
「ふ~ん、そっか。
まあ、私もアリスちゃんの事もあるし、協力体制は取っておきたいからね。
最初っから疑われるのは勘弁してほしいいし。
・・・じゃ、行こうか。」
そう言って、フィオさんは私を軽々と担ぎあげました。
おお!流石悪魔。姿は少女でも地力が違う。
「ああ、それと、私の事は『フィオ』でいいよ。お姉ちゃん。」
そう言って私に向かってにっこり笑います。
「それなら、私の事は『アニス』でよいですよ、『フィオ』」
そうして、お互いに笑いあい、塔に向かいました。
こうして、今回、いろいろ痛い目にあったものの、初めて何も隠さず話せる、お友達が出来たのです。
追記
塔に戻ったら、すごい勢いでお二人に泣かれてしまいました。
・・・
・・
・
すみませんでした!!
≪あとがき≫
みなさんお待たせしました。
22話を送らせていただきます。
こんな遅筆の私にいろいろなご感想ありがとうございました。
こんな遅筆の上、説明が多いなぁ~。
もっと文才が欲しいです。
こんな駄文の私ですが見捨てないで頂ければ幸いです。
次回はフィオ視点かな。
次回でノミコン編は終了です。
その次はパラパラ砦編かな。
くらん様
大量の訂正ありがとうございます。
地道に訂正させていただきます。
こんな駄文ですがこれからもよろしくお願いします。
ルアベさま
またまたのご感想ありがとうございます。
アベルトがノミコンを使う話について、「パパイアに渡す際アベルトは操られないの?」「あそこまで慎重なアベルトが裏切る可能性大なノミコンを恨むであろうパパイアに渡す?」など疑問に思い、本作では真名を知っているが故、安全を確保していたという事にさせていただきました。
また、ノミコンが真名を知られている事についてあまり重要視していないのは・・・死ぬか生きるかの瀬戸際で選択肢が無かったということで、後の事を考える余裕がない状況だった、またこのノミコンについてはかなり生き汚いキャラとして設定しています、今を生き残れば後はどうにかなると考えるタイプです。
パパイアたちについてはあの状況下でそこまで頭が回らなかったということで。
横レススマソ様
悪魔の説明済みませんでした。
まほかにさま
やっとマグナムひと段落しました。
随分遅れてすみません。
作品に一言
やっぱりミリさん死んでいるみたいですね。鬼畜王では生存コースがあったのに。
本作でも出演していただく予定だったので残念です。