第23話 まずは進みましょう。
「ぱんぱかぱ~ん、やっと召喚者のお仲間が出来ました。
フィオリ・ミルフィオリちゃん、略してフィオちゃんです。」
「やっほ~!
私がフィオリ・ミルフィオリ、略してフィオちゃんだよ~。」
「おお、随分と軽いノリで。」
「まぁね、悪魔、しかも貴族階級の上級悪魔をの生活を10年以上もしてたら、感性がこの世界の悪魔寄りになっちゃうのよね 。」
「??、この世界の悪魔寄り?」
「楽観的にして、思慮が浅い。」
「おお、自分の事をそこまで言いますか。」
「事実そうだから、しかたないのよねぇ。
ふうっ(ため息)
多分悪魔王さまが、そう設定して創造してるんだと思うの。
なにせ、この世界の神側の勢力ってある意味圧倒的だから。」
「楽観的にして、思慮が浅くないと戦う気にならないと?」
「うん、兵士クラスの天使でさえ下級悪魔を圧倒してるし、兵力比も10対1じゃ効かないんじゃないかな。
トップにしても、悪魔王さまでどうにか永遠の八神に勝てるクラスで、メインで策動している三超神なんかは比べ物にならない。
悪魔界のナンバー2たる、三魔子ですら、二級神クラス、魔王と同等位かな?」
「うわぁ、確かにそれでは真正面から戦いたいとは思いませんね。」
「そうなの、だから、地味に神側の力である、魂をかすめ取るしか方法がないのよね。
ちなみに、大量虐殺して魂を奪い取るなどの某作品のような方法は却下よ。
この世界では、魂は元々神のものだから、そんな事をすれば一発で神側にばれるの。
また、契約を結ばず強制的に魂を奪い取ることはできるけど、神の封印が掛かっているから、こちらの力にするのに随分手間が掛かるのよね。
そんなわけで、量より質で補おうと、私達、悪魔は日々頑張って営業活動を行っているわ。」
「悪魔の世界も大変なのですね。
ところで、話は変わりますが・・・、少し疑問に思ったのですが、フィオちゃんって、『闘神都市Ⅲ』の主要キャラですよね?
あの世界から勝手に抜け出してもよいのですか?」
「・・・し~らない。(ぷいっ)」
「『し~らない』ってあなた。」
「じゃあ逆に聞くけど、進めていったら間違いなく自分が死ぬストーリーを進めたいと思う?」
「いや、そんな風に進めないようにすれば。」
「一応考えはしたんだけどね。
・・・この世界って結構、悪魔に対する偏見が結構きついから、良いことしてもなかなか信じてもらえないのよ。
それに、下手すると他の悪魔に目をつけられて、人間ごときに媚を売るなんて何事だって嫌がらせ受けるのよ。
確かに私は強力な悪魔だけど、悪魔王や三魔子以外にも私以上の悪魔っているし。
主人公側に深入りしちゃうといざという時逃げるに逃げられなくなりそうなのよね、修正力が掛かってどんな事になるやら。
かといって、主人公側と関わらずに下手に敵側の魔剣作り阻止しちゃうと話が変わって、私がラスボスになりそうだし。
あの世界、私がいない方が結構うまくいくと思うのよね・・・たぶん。」
「たぶんってあなた・・・。
自分の世界に対する愛着とか責任とかないのですか?」
「だって私悪魔だし!」
「おお!何と言う説得力に溢れた一言・・・。
まぁいいですけど。
さてこの作品、現時点の戦力は、
『人類最強の魔法使い』
と
『悪魔の貴族』
のコンビ!!
って、なにこのチート、俺達Tueeee。
・・・状態になってるはずなのに。」
「いまだ、明るい未来が見えないのよねぇ。」
「・・・この世界、パワーインフレきついから。」
「「はぁ~。」」 (同時にため息)
◇◇◇◇◇
≪アニスside≫
こんにちは、アニスです。
フィオちゃんの力を借りどうにか戻ってきましたが・・・。
すごく泣かれました。
どの位すごかったかといいますと、騒ぎを聞きつけてやって来た、ガンジー王、マジックちゃん、ナギちゃん 、雷帝さま、アレックスさんの前でも、お二人は私にすがりついて離さず泣き続けるくらいすごかったです。
・・・パパイアさん、あなたそんなキャラでしたっけ?
特に千鶴子さまの状況がすごく、真剣に三日間離してくれませんでした。
・・・え、三日間なんて簡単に言うが、ご飯やトイレはどうしたんだって?
いやですねぇ、そんな事決まっているじゃないですか・・・ポッ(真っ赤)
ちなみにこの後しばらく、千鶴子さまは顔を合わせるたびにお顔を真っ赤にしていました。・・・なに、この可愛い生物。
なお、あの騒ぎから一週間、わたしはまだミイラ状態です。
・・・なんでだろう?
≪フィオリ・ミルフィオリside≫(今後フィオsideに略)
私がアニスを連れてすでに一週間、現在私は千鶴子の塔(王者の塔)に一室を与えられ、そこで暮らしている。
まあ、態のいい軟禁だけど。
『悪魔』ってばらしちゃったから、しかたないけどね・・・。
私は私で結構苦労しているのよ、ううう、誰も解ってくれない。
実際、この身体に憑依したてのころ、そう行動不能のときは、何度も元の持ち主である『フィオリ』の意識にのまれかかった。
身動きできない状態で何か圧倒的な存在が覆いかぶさってくるのよ、あの時は本当に怖かった。
ただ、その度に何か温かい力が私を守ってくれたのだけど、思いなおしてみればあれがアリスの力だったのかな。
まぁ、憑依にに成功しないと目的が達成しないという事もあるのだろうけど。
はっきり言って私はアニスほどアリスを信頼していない、直接会っていない事もあるけれど、私達が例え死んだ後の魂だとしてもここまできつい状況にするなんて!
アニスのデメリットに至っては恨んで良いレベルだと思う。
あの子のお人よしレベルはAL教に聖別されてもいいレベルだと思うの実際。
今後出会ったら是非一言文句を言ってやりたい。
軟禁中の私、べつに不満は無いのだけどね・・・、ただ部屋の周りに封印用の結界志木を山と設置するのはやめて欲しい。
地味に怖いし。
最初からわかっていれば、逃れる方法はあるけれど、やっぱり精神衛生上よろしくないから、ほんとやめて欲しい。
たしか、結界志木ってかなりレアものだったと思うのだけど。
ここまで用意が出来てると、流石、将来魔人と戦うと決めた国、準備は怠っていないということか。
そうそう、ちなみにアニスはいまだ病院でミイラ状態。
あの子に回復魔法が利かなくなっているから、周辺パニック状態になっているわ。
私に言わせれば当然の事なんだけどね。
・・・
・・
・
おや、この魔力は、千鶴子にパパイア。
・・・この感じは?
うんうん、かなり焦っているみたいね。
一向に好転しないアニスの病状についての話し合いですかね?
◇◇◇◇◇
「どうなってるのよ!!」
私が興味に駆られて、応接室をのぞきに行くと(もちろん、部屋に施されていた結界や封印なんか上級悪魔の私には何の意味もない事は言うまでもない。下級とは違うのだよ!下級とは!!by青い巨○さん)、聞こえてきたのは千鶴子の怒鳴り声でした。
「私にだって訳わかんないわよ。」
そうパパイアが言うと二人まとめてため息をついた。
「これまであの子は神魔法レベル2の才能を持つお陰で、再生魔法が常時掛かっている状態だった。
だから並みの人間以上に回復は早いはず、なのに・・・。」
「本人どころか、他の神魔法使いに掛けさせた回復魔法は効かない。
本人の再生能力は無くなってはいないけど微々たるものだし。」
パパイアが爪を噛みながら忌々しそうに話す。
おやおや、随分大変そうで。
しかし、どうして人間ってそんなに人の身体が都合よくできていると思うのかしらねぇ。
まぁ、私も元は人間なんだけど。
慣れすぎてしまうとそれが普通の事と考えてしまう・・・人間の悪い癖よねぇ~。
さて、そろそろ、お話をさせていただきましょうか。
「中々、お困りのようですねお二人さん。」
私が、出入り口から声を掛けながら姿を現すと、2人は一瞬驚いた顔をしながらも直ぐに戦闘態勢をとった。
・・・のは流石ですが・・・、けど。
そこまで警戒しなくても。
・・・
・・
・
はっ、思わず脳内で体育座りをしつつ、のの字を書いてしまいました。
いえ、好きだった原作キャラにこうあからさまに警戒されるとランスシリーズのファンとしては心がシクシク痛むというか・・・。
悪魔差別イクナイ
こほん、まぁよいです、話を進めましょう。
「うそ!
あの結界を私に知られず抜けるなんて出来るはずが・・・。」
千鶴子が驚愕の表情を浮かべながら叫ぶ。
「ああ、あの結界ですか。
まぁ、多少面倒でしたが、人間が作ったにしては中々のものです70点をあげましょう。
もっとも、無効化した方法については秘密ですが。」
「あれを、ぬけた?
警報すら作動させずに??」
「あなたって、いったい・・・。」
わぁい、大人気ですね私。
思いっきり驚愕と不審の目で見られていますけど。
シクシク(泣)
「最初にいましたよね。
私の名は『フィオリ・ミルフィオリ』ただの悪魔ですわ。
もっとも、貴方がたが知っている悪魔よりは少々上級でありますけどね。」
「・・・ごめん、パパイア。
こいつ、とんでもない悪魔よ。」
「えっ?
けど、全然魔力も、力も感じないんだけど。」
「無いんじゃないの、完全に中和しているの。
・・・完全に波動を消している。
そんな事が出来る悪魔がいるなんて。」
うわ~、一発でばれちゃった。
上級悪魔の魔力を一端とはいえ一発で解析するなんて、絶対原作より能力上ですよね。
これはアニスちゃんの効果かな?
「うふふふふ、素晴らしいですよ。
この私の魔力をこんな短時間で解析できるなんて、こんなの初めて。
流石はゼス四天王筆頭という事かしら。」
「わちゃー、なにこの大物臭。
ちょっと千鶴子、この子って?」
「・・・ええ、おそらくノミコンより上よ。」
『クスクス』
私は少し苦笑する。
アニスちゃんは長い付き合いから無条件でこの2人を信用しちゃっているようだけど、私はまだ出会ったばかり、評価は付いていない。
幾ら原作で好きなキャラクターだったといっても、これは現実、命と存在が掛かっている、信頼できるかどうかは早めに確認しておきたい。
さて、試験の始まりですよ。
「あら、言ったじゃないですか。
『貴方がたが知っている悪魔よりは少々上級』
と。」
さて、どう出ます?
普通のヒトならこの上級悪魔という圧倒的実力差を気付かされたとたん、種族的嫌悪を理由に排斥に走るのですが。
「・・・まぁいいわ。」
あらっ?
「今のところは、気にしないと言っているのよ。
確かに貴方は悪魔なのでしょうけど、現時点では嘘は付いていないようですし、なによりアニスを助けてもらったという事実があります。
そんな存在を、種族的嫌悪感だけで排斥しようとするほど私は狭量ではありません。」
「ただ、警戒だけはさせてもらうわよ。
悪魔を無警戒で信じるほど馬鹿じゃないし。」
な、なんて、あっさりと、私の存在をスルーした!!!
「あはっ、あはは、あはははははははははははははははははははははは!!」
楽しい、楽しすぎる。
面白い、面白すぎるわあなたたち。
気付いていないのでしょうね、貴方達は。
そうすることが当たり前すぎて。
今のあなた達の行動が如何に如何に困難かを。
私は、悪魔としての自我に目覚めて約十年、初めて心の底から笑った。
悪魔として世界を見た。
世界は醜かった。
子が親を殺した。
親が子を殺した。
確実な友は親友を裏切り、優秀な為政者は独裁に走った。
民に愛を語る聖者は民に裏切られ、師は弟子を利用し、弟子は師を裏切った。
この世界は『アリス世界』であるはずなのに、数々の世界を渡った私が見たものは、ヒトとして拭えない闇ばかりだった。
おかげでこの世界に転生してから私が浮かべた笑いは嘲笑の笑みばかりだ。
ヒト、小さくて矮小なモノ。
愛を語りながら愛を裏切る矛盾に満ちた生物。
嘗て『人』であった私はこの存在に変わってからより一層『ヒト』ヒトという存在に矛盾を感じ始めた。
・・・まぁいい、ヒトの存在意義など、存在が確立して10年位の私が偉そうに語れるものではないだろう。
彼女たちが、私がノミコン以上の上級悪魔と気付いてから、私はその存在を隠蔽することを止めた。
すなわち悪魔としての私のプレッシャーを遠慮なくぶつけたのだ。
そう、一般人ならショックで心臓が止まってしまう位のプレッシャーを!
それをスルーした!!!
あ、・・・この世界は、神の勢力が強すぎて、悪魔の気配を感じると直ぐに天使が飛んでくるのだけど、結界が敷かれている迷宮や塔などは例外、無論この四天王の塔にも結界が張ってあるから・・・。
このクラスの結界なら私の気配が外に漏れ出すことはないよね?(ちょっと不安)
とにかく悪魔という『存在』はヒトに恐怖を生む。
これは『ヒト』という存在である限り避けられない事実だ。
ヒトが神から生み出された事からしても当然である。
それゆえ、悪魔がヒトと交渉するときは、その存在を押さえ、戦うときは解放する。
そして悪魔の『存在(プレッシャー)』を受けた時、ヒトは本能から恐怖する。
私は、この『存在』に耐えられるものが、神に作られた人形である『ヒト』か、自分で考え行動できる独立した存在『人』の違いと考えている。
ちなみにこれまで耐えられた人間は一人もいなかったけど。
なのにこの二人は私の『存在』を恐怖するでもなく耐えるでもなく受け流した。
そこらへんの下級悪魔ならともかくこの私の『存在』をだ。
そう、彼女たちにとって重要なのは『アニス・沢渡』、それに比べれば私の『存在』など、こんなものなのだ。
これはこの2人『人』どころじゃない、『英雄』の資格ありね。
うふふふふ、誇っていいよ二人とも。
『山田千鶴子』
『パパイア・サーバー』
貴方達二人は今『ヒト』でなく『人』であると証明した。
本能に従い、神を考える事を放棄した『ヒト』から、他の存在を愛し、自ら考え立って歩く『人』だと。
今回の何気ない会話、これは少々意地悪な試験のつもりだった。
今後、私と協力関係が築けるのか?
築けるとしてどの程度なのか?
アニスへの信頼は?
疑問は数え上げればきりがない。
何しろ私達がやろうとしている事は神への反逆だ。
この身が人でなくなったからからこそわかる、そのとんでもなさ。
少なくとも、この事で二人がそう簡単にはアニスを裏切らない事は解った。
出来ればこのままでいて欲しい。
あの子にはこの私の数十年の孤独を癒してくれた恩があるのだから。
◇◇◇◇◇
「いきなり、大笑いするものだから、おかしくなったのかと思ったわよ。」
私の大笑いがやっと終わって、千鶴子さんからの第一声である。
ちなみに『人』として認めましたので脳内でも『さん』づけになりました。
「ごめん、ごめん、つい楽しくなっちゃってね。」
「何よそれ?さっきの会話に面白い所なんかあった??」
首をひねる、千津パパコンビ。
「だからごめんって。
まぁ、悪魔的感性のものだと思ってよ。」
「なにそれ?かえって気になるんだけど。」
更に首をひねるパパイアさん。
「こほん、まぁいいわ。話を戻しましょう。
あなた、」
「フィオちゃんでいいわよ。」
さっそく出鼻をくじく私、ごめんね、性格的についいじりたくなるの。
「こほん、じゃ、じゃあフィオ、あなた何を言いたいの、何を知ってるの?」
うう、『ちゃん』付けで呼んでくれない・・・。
「あはは、じゃあ、私も少し真面目にお話しさせて貰うね。」
そう言って少し顔を引き締める。
「人間て云うモノはそれほど便利に出来ていないという事よ。」
「「はぁ?」」
「みんな普段から何気なく使っているから気にしてないでしょうけど、本来魔法というモノは人が使うには過ぎた力なの。
ゆえに使いすぎれば必ず反動がある。
そして今回の反動は、肉体への回復力劣化。
そうね、解りやすく言うと折り曲げ続けた金属がしまいには折れて千切れるように、いくら魔法で肉体を修復したとしても、その部分には魔法で修復したという事実は残るの、で、それがたまり続けるとどうなるかというと・・・。」
「過負荷となって肉体に悪影響を残すと。」
「当たり!流石パパイアちゃん。」
「ちょっと待ってよ、そんな話今まで聞いた事ないわよ。」
「はずれ、千鶴子ちゃん。
正確には、そんな状況になる人間が居なかったというべきね。
人間ていうモノは結構丈夫でね、よほど通常的に壊れて治してを続けないかぎり、そう簡単に限界を迎えないものなの。」
「はぁ?なによそれ、じゃあ、アニスはそんな事が通常的に起こっていたとでも・・・、」
「身に覚えはなぁい?」
「・・・はっ!まさか魔力。」
「けど千鶴子、あれって魔力封印アイテムで押さえられてるはずじゃ?」
「封印といっても結局のところ蓋をしているようなものよ、湧き出す魔力が無くなっているわけじゃないの。
じゃあ、その溜まりにたまった魔力の行き先は?」
気付いたようね、二人とも顔が蒼白になってるわ。
「そう、身体の弱い部分に集まり噴き出す。
無論、そんな衝撃に肉体が耐えきれるはずがないから、その噴出部分の肉体は・・・破裂する。」
あ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
声にならない叫びがこだまする、そして目の前の二人から一気に負の瘴気が噴出する。
後悔という猛烈な感情が。
しかし、私はこの二人に更にきつい現実を伝えなければならない。
はぁ、気が重いなぁ。
私が人間のままだったら、気の毒すぎて言えなかっただろうし。
「急激に魔力が成長していた学生時代の3年間、続いていたそうよ。」
2人から、「まさか」、「あの時期」、「そういえば」などの声が聞こえる。
言われてみれば思い当たる事があるみたいね。
「で、更にきつい話、聞く?」
私がそう促すと、2人は顔を見合わせると無言でうなずいた。
うぅ、言いたくないけど言わないといけないか。
一応、念のため結界を張っておこう。
結界の種別は無限回廊と。
狂乱状態でアニスのところに突っ込まれても困るし。
「あの子ね、実は盲目よ。
度重なる損傷に、繊細な感覚器官は耐えきれなかったらしいわ。」
「「ア・・ニ・・・スゥ・・・・・・・・・・。!!!」」
おお!
2人ともドップラー効果を残してすっ飛んでいった。
・・・
・・
・
・・・30分経過。
今私の目の前には、疲れ果ててダウンした2人がいる。
・・・結界張っておいてよかった。
しかし、全力疾走で30分・・・大した体力だわ。
魔法使いの体力じゃないわね。
「ゼイ、ゼイゼッ!」
「ゼハッ、セハハ!」
「少しは頭を冷やしなさい。」
体力の限界を迎えて碌に話せない2人に注意すると、更に10分待つことになった。
~10分経過~
「で、落ち着いた?」
「ええ、少しは頭が冷えたわ。」
「自分でもこんな熱血系な行動をとるなんて意外だったわ。」
私の目の前には背中を持たれ合わせ座り込んでいる2人がいる。
少しは頭が冷えたみたいね。
・・・やっと話を進められる。
「気がつかなかった事については仕方ないわ。
あの子、他人の事については人一倍気にするくせに、自分の事に関しては軽く見る傾向があるから。
自分の事でほかの人に心配かけないように随分巧妙に隠していたようだし。」
そう話すと、2人からきつい目で見られた。
「ああ、つい最近であったばかりで、碌に話もしていないお前に何がわかる。
といった目をしているけど、助けた時にアニスちゃんからこれまでの事一通り全部聴かせてもらったうえに、疑問に思った事は軒並み答えてもらったからねぇ。
まぁ、なんでアニスちゃんがそんな事ペラペラと話したかについては、私が悪魔だからという事で納得してもらえない?」
「・・・はぁ。
わかったわ、これ以上問い詰めても話さないだろうし、納得する事にするわ。」
「で?
私達を絶望させるためだけにこの話をしたわけじゃないのでしょう?」
「まぁ、悪魔的にはそれでもよいのだけども、話が進まないから、説明続けるね。」
そう言って、2人にもう一度アニスの現状を説明した後、本題に入った。
「と、いうことで現状、肉体が再生の限界にきているアニスちゃんには通常の回復魔法は無意味よ。」
そう話をすると、千鶴子ちゃんはため息を吐いたのち話しだした。
「アニスはね、ほとんど休まないの。
休日は、ダンジョンにもぐりこみ、平日は情報整理に魔法の研究、空き時間があれば軍の訓練部屋で魔道機械相手に実戦訓練。
普通の人間なら、怪我や肉体の疲労で嫌でも休憩をとるわ、魔法使いなら魔力の回復に時間が掛かり嫌でも休憩になる。
けどあの子は怪我や疲労は回復魔法で無視できるし、回復魔法に使った魔力くらいは自動回復であっという間に回復してしまう。」
バン!!
千鶴子が床を叩く。
「解っていたの、解っていたのよ、こんな事!
こんな無理を重ねれば人間はいつか壊れるって!!」
千鶴子ちゃんの血を吐くような言葉、その言葉の中にはすごい量の後悔と悲しみが混じっている。
・・・愛されているなぁ、アニスちゃん。
ちょっと、ううん、かなりうらやましい。
私が、少々へこんでいると真面目な顔したパパイアちゃんが話しかけて来た。
「フィオ、私の魂に価値はある?」
へ?
なんですか、いきなり??
・・・・・、あー!!!!
ごめん、パパイアちゃん勘違いしてる。
・・・わたしが、みんなと契約を結ばせたいがために、こんな話してると思ってるんだ。
こわー、こわー、頭のいい人って本気でとんでもないよ、2段も3段もすっ飛ばして話の内容に切り込んでくるよ。
確かに悪魔がこんな話してきたら、普通そう疑うよね。
・・・気をつけなきゃ。
早めに、誤解解いとかないと、悪魔退治のフラグがたっちゃいそう。
「あー、そうね。2人の魂、悪魔なら喉から手が出るほどのものよ、自信を持っていいわ。
けど、勘違いしないでね、私が契約してほしいと思っているのは、アニスちゃんよ。」
その瞬間、私に強烈な殺気がぶつけられる。
うお!!
上級悪魔の私が一瞬、死を覚悟したわよ。
「違う、違う、勘違いしないで。
別に契約を盾に、無理に魂を採ろうなんて考えて無いから。」
私は慌てて言い訳を口にする。
「じゃあ、どういう意味!」
「とてもじゃないけど信じられないわね。」
ずいっと、迫りくる2人。
近い近い、顔が近い。
怖いわよその眼、見てるだけで呪いが掛かりそうよ。
「うん!
まぁ、私も簡単に信じてもらえるなんて思って無いわ。
理由としては、悪魔としての性質かな。」
「「性質?」」
「うん、軽薄にして享楽的。そして好奇心旺盛。
こういっちゃなんだけど、私ってかなりの上級悪魔なの。
だから、そこらへんの下級悪魔みたいに魂の収集に血眼になっていないわけ。
どちらかというと、下級悪魔が勝手に私に献上してくるのを文句付けて突っ返しているくらいなの。
だから、私くらいの悪魔が地上の事にかかわるのはほとんど趣味なの。」
「趣味?」
「そ。
あの子を見たとき、すぐに直感したわ、この子はこれから面白くなるって。
だから、あの子とは敵対しない、嫌われることはしないってね。」
「じゃあなんで、アニスと契約したいなんて。」
千鶴子ちゃんがさらに突っ込んでくる。
まぁ、そうよねぇ。
「あの子のためよ。
いくら、魔力の扱いに慣れたからって、あの子の魔力はケタが違いすぎるわ。
今回なんとかなっても、いずれ同じ事が起こる。
そこで私との契約が生きてくるの、私と契約するという事は、私とパスをつなげるという事、パスさえつながれば、そのパスを通じて普段の余分な魔力を私に回せるの。」
「そんなこと・・・。」
「まず、下級、中級悪魔じゃ無理ね。
なんせ、あの子の魔力は魔王並みだから。
流れてくる魔力だけでパンクしちゃうわ。」
「なんなのよ、あの子。」
呆れたようにつぶやくパパイアちゃん、それについては完全に私も同意するわ。
本当なら私でもかなりつらい、今回の件、私が魔力欠乏症だから出来る事、本来なら三魔子位じゃないと無理だと思う。
「私はねぇ、自分の趣味はとっても大切にしているの、そして今後自分の趣味、いえ好奇心を満たすためには貴方達との信頼関係は必須と考えているわ。
だから、結構な譲歩をしても信頼関係は欲しいわけ。
なんなら、あの子との契約書も、貴方達に預けるわ、私が裏切ったと思ったなら好きにして構わないわよ。
それでも心配なら、悪魔との契約を強制的に解除させる方法も教えちゃおう。」
「教えちゃおうってどこの新聞契約員よ。」
「私には、どこぞの通信販売のセールスに聞こえたわ。」
呆れたようにつぶやく二人、ははは、余計なお世話です。
こちらは、なんとか警戒心を取ってもらうために必死なんです。
「では、最後にダメ押しに、アニスちゃんの回復のお手伝いをしちゃいましょう。」
その言葉と共に、2人に飛びかかられ、胸倉を掴まれた。
「「治るの!!」」
の、喉元を押さえないで、しゃべれない、しゃべれないから!!
・・・
・・
・
「まったく、うれしいのは解りますが、少しは落ち着いてください。
でないと助けられるものも助けられませんよ。」
「はい。」
「まったくです。」
「「すみませんでした!!」」
私の前には正座して頭を下げる2人がいる。
あの後散々振り回してくれたので、
「そんなことするなら教えませんよ」
と言ったところで、やっと冷静さを取り戻してくれた。
まぁ、いいです。先に進みましょう。
「あのー、フィオちゃんが治してくれるの?」
おずおずと聞いてくる、千鶴子ちゃん。
おお、やっと『ちゃん』付けで読んでくれるようになりましたね。
「いえ、私も回復系を使えない事もないのですがそれほど得意ではないので、アニスちゃん自身でやってもらおうと思います。」
「あれ?アニスには回復系の魔法は通用しなくなっていたんじゃなかったっけ。」
「ああ、そうですね。今回アニスちゃんに使ってもらうのは、3レベルの回復魔法です。
こう見えても上級悪魔ですからね、失伝している魔法なんかの知識を結構持っているのですよ。」
「あの、アニスの神魔法は2レベルですけど。」
おずおずとパパイアさんが聞いてくる。
「魔法の専門家であるパパイアさんが何言っているのですか。
貴方達も結構使っているでしょう?
3レベルの攻撃魔法。
一言で3レベルの魔法と言っても2種類あるのです、魔力が足りていれば使えるものと、3レベルがなければ使えないものです。
前者が『雷神雷光』で、後者が『迷宮作成』ですね。」
私の言葉に少し顔が明るくなる2人。
そこで、更に説明を続けることにします。
回復系には3つの方法があります、
『再生』、『復元』、『創生』
です。
『再生』は1レベルでも使えるヒーリング1かな、これは傷口くらいは塞ぐことができるけど、失ったものは再生できない。
『復元』は更に強力なヒーリング4クラス、これ位になると欠損した肉体も戻る。失われた腕や足がにょきにょき生えてくる光景は結構シュールだ。
で、3レベルに当たる『創生』、これはその名のごとく新しく作り上げることだ。
もっともこの魔法の本来の使い道は治癒させても再発する完治不可能な病気を治療する際に使われる魔法なのだけど・・・。
アニスの場合、『再生』も『復元』も不可能な状態にまで身体がボロボロになっている。そうなると新たに創り出すしか方法がない。
もっとも、創生、創造系の魔法は3レベルでなければ使えない魔法に分類されているため通常の方法では使えない、だが幸いなことにアニスは同じ魔法系の3レベルを持っていることから膨大な魔力で誤認させ使用する裏技をつかう。
もっとも、裏技は裏技、間違いなく何らかのペナルティが来るだろうが、今後寝たきり&早死にすることに比べれば些細なことだろう。
せっかく友達になったのに早死にしてもらっては面白くないもの。
この説明でやっと2人からOKがでた。
もっとも契約書の譲渡と契約の強制破棄の方法を教える事については念を押されたけれど、ついでにアニスが望まない限り死後魂を持って行ったりしないという事も約束させられました。
何と言う悪魔にメリットのない一方的な契約、悪辣さについては悪魔も真っ青よ、こんな契約他の悪魔にばれたら何と言われる事やら。
まぁ、アニスが自分の魂がしろくじらの元に行く事を望むと思えないけど。
けどこれで少しは私への警戒も薄れたでしょうし、ここにいる事の許可も得た。
なによりアニスと契約すれば私の魔力不足の状態も無くなる、というかこれが一番うれしいのよね。
えっ、この契約アニスのためじゃないのかですって、・・・一応悪魔ですから。
◇◇◇◇◇
≪アニスside≫
何やらいろいろ、フィオちゃんと千鶴子さま達が話し合いをしていたようですが、なんと、私の知らない3レベル神魔法をフィオちゃんから教えてもらい、私アニスは復活しました。
ジャンジャジャーン!!!
けど、『創生』の魔法って使いづらい。
創生する存在の作りを完璧に把握してないといけないし、そこから、悪いところのみを抜き出して、代わりのものを作っていかないといけない。
割と根気のいる作業だ。
身体の把握については千鶴子さま直伝『解析魔法』があったから良かったけれど、悪い部分を良いように作り変えるのは時間が掛かりました。
なんせこれから使う自分の身体、極力不都合は無くしたかったのですよね。
やっとの事で創り出す身体を完成させ、期待満々魔法を使ったところ・・・。
うう、気持ち悪い。
感想は・・・脱皮?
なんか、ズルリと抜け出す感触でしたよこれが。
実際、必要のなくなった旧肉体が溶けた状態で足元に溜まってましたし。
うん、子供に見せちゃいけない光景だよね。
ついでに久方ぶりに視力が戻りました、と言ってもここ数年魔法で視界を確保していたお陰でその状態が通常状態だと身体が認識してしまっていたので、実際の視覚と魔法の映像がこんがらがって、最初は脳がパニックを起こしてしまいました。
ということで、現在はまだ目隠しをしており、少しずつ慣らしていく予定です。
で、悪い情報、本来使えない魔法を無理に使ったものだからしっかりペナルティが来ました。
・・・レベルが3分の1になりましたよ。
どうやら掛ける方ではなく掛けた対象にペナルティがくるようで、今後他の人に使用するときは注意が必要ですね。
シクシク、私唯でさえレベルが上がりにくいのに。
というわけで、現在これまでの冒険でため込んでいた経験値パンをもしゃもしゃと食べています。
これでどうにか35レベル位までは戻りそうですが、経験を伴わないレベルアップは極力したくないのですけど、感覚が追いつかなくなるから・・・。
身体が回復したらまたしばらくダンジョンにお籠りです。
ちなみに現在、私の病室にはフィオちゃんと私の2人きりです。
先程まで千鶴子さまやパパイアさんもいたのですが、これ以上業務をほうり出さないでと泣きついてきた文官さん達に引きずられて行きました。
しばらくはお二人とも机から離れられないでしょうね。
南無~。
その後、フィオちゃんからいろいろ話を聞きました、主に千鶴子さま達から聞き出した、私が気絶している間の事や、いない間の事ですが。
話がひと段落したころ、フィオちゃんがおもむろに話しかけてきました。
「ねぇアニス、私達であの男片づけない?」
「あの男?・・・ああ、アベルトの事ですか。」
「うん、はっきり言ってあの男危険だわ、今後どんな風に私達の行動に影響してくるかわかったもんじゃないと思うの。
あいつの正体は使徒だから確かに強力な力を持っているだろうけど、私と貴方の2人がかりなら倒せるんじゃない?」
うーん、私も出来れば早めに潰しておきたいとは思っているのですが・・・。
「ちょっと待ってくださいね。
少々気になる事がありまして。」
「気になる事?」
「はい、ちょっとお聞きしますがノミコンの封印って真名唱えた位で解けるものなのですか?」
「まさか、仮にも上級悪魔を封印してるのよ、真名解放のパワーアップ位で解けるものですか。」
「ですよねぇ。」
「けど、中途半端な封印解除ならそんなに苦労せずに知る方法はあるわよ。
なんせ、ノミコンは悪魔界でも結構な厄介者だからねぇ、ノミコンに対する嫌がらせで他の上級悪魔から大した代償なしで教えてもらえるわ。
実際私も知ってるし、中途半端に解除されると再封印されるうえに封印期間が延びちゃうから良い嫌がらせよ。」
「やっぱり。」
ため息とともに愚痴が出そうになります、考えれば考えるほど厄介な男のようです。あのエセさわやか男は!!
「とりあえず、あの男を殺しに行くのは却下です。
というか、殺せると思えません。」
「はぁ?
ちょ、ちょっと待ってよ、それってあまりにも自分たちの戦力を事過小評価しすぎじゃない?」
頭の上に?マークをいっぱいつけてフィオちゃんが話します。
まぁ、解らないでもないですけど。
「勝てないとは言ってません、殺せないと言っているのです。
今回の一件、最初から最後まであの男、アベルトのターンでした。
にもかかわらず、自分の情報で漏らしている事は一つもありません。それどころかフィオちゃんがいなければ誤った方向に誘導されていた可能性が高いです。」
まずは自己紹介、いつから、なぜ狙っているかを伝えてはいるものの、結局自分の情報は何一つ伝えていないし、自分はストーカーであると宣言しているだけ。
その時でさえ、目的を達せなかったと感じると、さっさと見切りをつけて人形に入れ替わっている。
並みの悪党なら、自慢げに自分の事をしゃべってるシーンだ。
その後は、ノミコンの話題にに重点を置かせ、うまく話をそらせている、実際悪魔がらみのインパクトが強すぎて、あの男の印象が薄くなっている。
そしてノミコン、あの男の言う事では真名を知っていたからこの裏技が使えた、みたいに説明しているが、実際のところ、この裏技を行う前提には、他の上級悪魔と互角の取引が必要でそれをしていたという真実が判明した。
しかも上級悪魔との取引などというとんでもない行動をやっているのが、魔人や使徒ではなく、現時点では自分ことは唯の人間と思いこんでいるあの男がだ。
判定、・・・あいつは殺せない。
隠し玉が多すぎるし、危険察知能力が高すぎる。
例え私達二人で囲んだとしても、1,2回は確実に逃げられそうだ。
そして今現在の状況ではその1回の失敗が致命傷になりかねない。
それはあいつがウルザさんの信頼する側近だという事だ。
襲われた後、あいつがウルザさんに一言、
「高レベルの魔法使いと悪魔に襲われました、あんな刺客を用意できるのはガンジー王の側近しかいません。王党派は我々と話し合いたいと言いつつ、周りを削ってウルザさんを操ろうとしているのでは?」
などと言われれば、こちらとしては襲った事実がある分返す言葉がない。
今回の事であいつの手札の幾つか、ノミコンと認識撹乱の仮面のオリジナルが無くなったが、全然追いつめた気になれないのですよ。
わたしの説明を受けたフィオちゃんはうんざりした顔をこちらに向けて来た。
「なんて厄介な奴なの。」
「ええ、実際かなり厄介な奴です。
正直、これまでも何回かあの男の排除を本気で考えた事があるのですが、殺しきれる自信が無かったことと、後のウルザさんへの影響を考えたら手が出せませんでした。」
「本当になんとか方法は無いの?」
ぼやく気持ちはよく解ります。
「そうですね、まずウルザさんにアベルトは敵であることを認識させること、そしてあの男自身が勝敗をつける事に必要を感じる、この2つが必要でしょうね。」
「なに、その無理っぽい前提条件は。」
「はい、原作から見るとウルザさんがあの男を敵だと認識するのは、カミーラの使徒に戻ってからですし・・・フィオさん、カミーラと戦って勝てます?」
「うーん、負けないとは思うけど、勝てるかと言われればどうかなぁ。」
「カミーラさんに無敵結界がある限り私は現状役立たずですし。
そこまで派手にドンパチしちゃうと隠蔽が利かなくなるから、へたするとあなたの気配に気付いた神や天使が押し寄せてきそうなのですよ。」
「結局原作通りか・・・。」
「わたしとしてはごめんこうむりたいのですが。」
うう、原作ではゲームゆえに軽く描写されていましたが、現実にあの『カミーラ侵攻』が起きれば、確実に国力の半分は持って行かれます。
しかもこの予想は最低のものであって最高ではどんな悲惨な事になるやら。
そして、原作どおりに進めばわたしの洗脳イベントが発生するのです、対洗脳の切り札は前回使っちゃたし、原作より強化されたわたしが敵に回るなど悪夢としか言いようがないのですよ。
今回あっさりフィオちゃんとの契約に承知したのは、召喚仲間で、フィオちゃんとわたしのデメリットを同時に解消しようという意図がありますが、もう一つ考えがありました。
それは、いざという時契約をしていれば、フィオちゃんを自由に召喚できるということです。
今回のこの契約、ランス君のような奴隷契約ではないのでわたしの命令に強制力はありません、これで操られたわたしの命令でフィオちゃんが千鶴子さま達の敵に回る事は無いでしょうし、敵に回ったわたしを止めてくれるかもという思惑もあったのです。
「洗脳イベントが問題ですね。」
「いざという時はお願いしますね。」
わたしが疲れた笑いを浮かべながらフィオちゃんに話しかけると、フィオちゃんも疲れた笑いを浮かべながら、
「そのまま始まっちゃうと、魔王級の魔力をくいとめる事になるのか、・・・大変な事になりそうね。」
と、愚痴をこぼすのでした。
「そう言えば私、このランス世界は最近来たばかりだからあまり詳しくないのよね。
どんな感じなの?」
「そうですね、原作とは違ったところもありますのでお伝えしておきます。」
その後、気を取り直し出会った時には伝えきれなかった各国の現状を説明しました。
ゼス王国
(1)現状私達王党派は、連携がうまくいっていることから、原作よりかなり強力になっています。ただ長官派からの妨害工作は続いており、思うように軍、政治の改革は進んでいません。
ちなみに光の軍はまだ掌握できてません、将軍の首をすげ替えるネタが中々見つからなくて。
高速飛行魔法や瞬間移動魔法を持っているわたしが各地に飛び回り連絡役件情報収集を行っています。
ジークの使徒オーロラを警戒しての事ですが、そのお陰で手紙のやり取りに苦慮しています。
高速飛行魔法特化型(高速飛行は浮かぶ移動するの2段階の制御が必要な事から本来はレベル2に相当する魔法)の魔法使いや長距離型魔法無線の試作型の開発で少しずつ負担が軽減していますが。
ちなみに以前出てきた携帯伝話、持ち運び重視のためもろく、長距離通信のため多量の魔力をこめると壊れてしまいます、なおまだ試作品のため一般には普及しておらず、固定型の水晶電話がメインです。
水晶電話は有線もしくは中継点を利用するため盗聴の恐れがあり、内緒話には向きませんが、私達王党派の個人回線にはセキュリティがかかっており、へたに盗聴すると大変な事に・・・パパイアさんの場合盗聴した相手の所にバグが飛び出してくるとか(汗)、どうやって制御してるんだろう?
報告連絡が円滑に進まないと情報関係はやりにくいのです、千鶴子さまの情報魔法にも限度がありますし、やる事が山積みで用法関係にまでご迷惑をおかけできないのですよ。
ムシ使い村の一部を助けたことから、3人の若い女の子が下働きとして働きに来ています、あの事件に関係していた、千鶴子さま、パパイアさん、わたしにそれぞれついており、雑用件ムシ使い村との連絡役として重宝しています。
無論私付きの子はカロリアちゃん!ああ、可愛いですよカロリアちゃん、思わず抱き枕にしちゃう位に、・・・え、フィオちゃんなんでこめかみを拳でぐりぐりするのですか!!
(2)長官派(貴族派)の勢力は強大ですが、個々の欲が優先してしまい連携がうまくいっていません。もっともそれはこちらが極力ぶつからないよう行動しているからであり、もし貴族たちに損な行動をとれば一致団結してくる事間違いなし。
え、なんで長官派の勢力を削れないのかって?・・・そのあたりは仕方ないのです、実際わたしたちのやろうとしている事は2級市民達にはメリットがありますが、1級市民達にはあまりメリットがありません、というかデメリットの方が多いのですから。
決して1級市民のすべてが特権意識を持った差別主義者ばかりというわけではないのですが、人間、自分にデメリットのある事はあまり積極的に進めたがりません。
現在、王党派との繋ぎは教育長官のラドンです。なお、こちらの勢力が原作より強力ななった影響かラドンの娘エミさんがマジックさまの遊び相手としてこちらに入り浸っています。
政治感覚のあるラドンとしては長官派の勢力が一方的で無い現在、裏ルート的な伝手が欲しくての行動と思われます。
ちなみにエミさん、初めは緊張のためか表情が堅かったけれど最近ようやく慣れてくれたようで、笑い顔が見られるようになってきました。
まあ、これまで、自分より下しかいないところでちやほやされ続けてきた人がいきなり自分よりも上の地位、又は実力で遥かに及ばない集団にほおりこまれればパニックにもなるのですよ。
この半強制的性格矯正のお陰で原作のような破滅型の人間(S気質又は破滅的なM気質)にはならないと思いますよ。
(3)反政府組織ペンタゴンは原作通りネルソンがトップになっていますが、こちらからのスパイが活躍しているおかげである程度のコントロールが可能になっています。
また、そのスパイが八騎士のひとりになった事から団員内で最も実績のないエリザベスが八騎士になれませんでした。
また現状ウルザさんに働きかけ分断工作を実施中で、ホットラインも作れました、ただ信用度はこれからですね。
今回の事もあるしウルザさんのところにもうちの息が掛かった人物をいれたいなぁ。
魔法使いは無理だろうし、何より隠して入れるとエセさわやか男に暴露又は警戒されそうで、となると政府側の人間は無理だろうなぁ~。
自由都市かどっかに信頼できる冒険者かだれかいないかな?
ジパングからの人員調達は流石に遠すぎるし。
ヘルマン共和国
時々ちょっかいを掛けてきます、もっとも国境線が東から、三国にまたがった絶壁だらけの山脈、死の砂漠、カラーの森竜の山脈がある山道であることから大規模な侵攻は難しく、唯一侵攻可能な西のルートはカラーと竜の勢力圏にまたがっていることから迂闊に砦を築く事も出来ません。
秘密警察があり国内の諜報網が整備されていますが魔法に対する防備が薄く、わたしがよく侵入して調査しています。というのも、どうもこちらの長官派と、あちらの議会の一部が頻繁にやり取りしてるのですよね、何か企んでいるような・・・。
ああそう、こちらも向こうの権力者と一応非公式のルートを持つ事に成功しています。
相手は『黒髪のカラー』さんです、いやー、初遭遇時のあの時は真剣に恐怖しましたよ、なにせ何度か潜入に成功しすっかり気が緩んでいたところにいきなり半端なく大きな魔力反応が近付いて来たのですから。ヘルマン魔法関係の人物ですっかりあの人の事を忘れてました。
もっとも一戦も覚悟していたところ、中々理性的に交渉してきたので助かりました。
戦うばかりが諜報戦でないことを理解してくれる頭を持った人は貴重ですよ。
まぁ、あちらも勢力的に劣勢に立たされていますから、国外に伝手が欲しかったのでしょうけど。
えっ、『黒髪のカラー』さんはどんな感じだったですって?
はっきり言って格が違います、同じ魔法レベル3ですが、あの時戦っていれば確実に負けていました、魔力では多分勝っていると思うのですが・・・、どうも隠し玉がありそうで、それを除いても魔力を扱う経験値は比べ物になりませんからね。
美人は美人ですがかなり怖い美人です、多分初対面では恐怖が先にたっちゃって、後に落ち着いてから、そういえば美人だったなと思い出す感じでしょうか。
そういえば、わたしの身体が落ち着いたら出来るだけ早くハンティさんに連絡付けないと、どうもうちの軍とヘルマン軍がつるんでなにかやらかしそうな気配なのです。
リーザス王国
怖い国です、魔法に対する防御だけでなく影の諜報機関が整備されていて(たぶんマリスさんの諜報網)諜報目的でちょっかいを掛けるとどこで追いつめられるか解ったものじゃないです。
リア王女も遠目に確認しましたが、あれは化物ですね、ひと目見て怖いと感じましたよ。まだ、時期的に女の子いじめに夢中になっていて、覚醒していない時期のはずなんですが・・・、元々素養があったということでしょうか、原作ではマリスさん位しか怖い人はいないと思っていましたが、リア王女も要注意ですね。
この国もゼスと同じく貴族が勝手気ままに動いていますが、マリスさんが制御しているせいか目立った動きは見られません、軍も統括しているバレス将軍がリア王女の後見人になっていることからうまく統括されています。
唯、この時期にまだ赤と白の軍の将軍がリック将軍やエクス将軍じゃないのですよね?
それどころか赤の軍の副長にまったく知らない人物がいて、リック将軍は1番隊の隊長をしているのですよ??
この原作剥離は今後どうなるか注意が必要ですね。
自由都市
数が多く統一性もないので手を出していません。
そこまで時間がなくて・・・。
カスタムに手を出す事も考えたのですが、その後のバタフライ効果を考えると怖くて手が出せないです。
資料だけで確認する限り、鬼畜王で出てきた都市だけじゃないみたいですね、小さいですが王国みたいなものもありますし。
JAPAN
まだ言った事がありません、流石にそこまで余裕がなくて。
魔族領
あんなところ迂闊に入り込めません、魔人が出てきたらどうするんですか?!
「と、こんなところですか。」
「なんというか・・・割とカオス?
王党派が強固になったせいで発生した周辺へのバタフライ現象がひどいわね。
というか、国内混乱したままじゃない。
ついでにエミやハンティさんとすでに知り合いってどうなってるのよ!」
「まぁ、やれる事をやったのが原因というか、ぶっちゃけお金がないもので、改革は進まない、新たに諜報組織も作れない、自然、軍制改革も進まないわけで・・・。
ついでの方は私が意図したわけじゃないですよ。
ちなみに原作キャラの引き込み活動で引き籠り女魔法使いさんも仲間に入れたいのですが性格上誰かが面倒みないといけないため保留中です。」
「お金がないっていうのは、よく転生小説なんかにある、現代知識を利用した農政改革や、発明での財源確保したらどう?」
「ははは、どこの内政チートの話ですか?
農業なんてその土地の土壌や気候でころころ変わるんです、やろうと思ったら3年は知識のある人間が専従しないといけませんよ、それを国単位でやろうと思ったらどれくらいの人員を用意しないといけないか、それにどっかの駄肉魔王さんのごとく専門知識を豊富に持っていたのならともかく、わたしの前世は高卒の地方公務員です、人に説明できる知識なんてあるわけないじゃないですか。
発明に至っては、この世界、大抵の事は魔法で出来ますからね、それに物品で儲けるには大量生産しなければいけません。
この世界にそんな大規模工場あると思いますか?
流通させる会社は?
販売するデパートなんて王都にある位ですよ。」
そう投げやりに答えるとフィオちゃんも頭を抱え出しました。
「あぁ、そういえばそうね、つい現代の感覚で考えちゃうけど、半端な知識で行った改革がうまくいくわけないわよね。
それにこのランス世界、冷蔵庫なんかも魔法である位だから、私達の知識にあるものくらい既に有るのよね・・・、そうだ、娯楽関係は?」
「甘いですよフィオちゃん、遊び関係は似た様なものなら既に有りますし、特殊技術が要らないものについては直ぐに海賊版が出てしまいます、この世界には著作権なんてものは無いのですよ。」
「うわ、なに、八方塞がり感は。」
否定ばかりしてフィオちゃんには悪いのですが、実際財政アップの難しさには頭を抱えるばかりなのです。
「実際やってみてわかった事ですが、国なんてものは一握りの天才が居ても動かないのです、成功すると解っていても、それを始めるのにお金が掛かりますし、失敗すれば責任問題が出てくるため、検証に時間が掛かります。
新しい政策をいざ、開始になってもそれを広めるには大量の役人の協力が必要ですが、現在長官派にお金と役人を握られているため・・・。」
「碌に動けないか。」
「はい、千鶴子さまパパイアさんの両名は充分チートですが、個人でできる事は限られているのです。
それでも、四天王や雷光氷炎の四軍に対する予算がそれなりのもののお陰で少しずつ進める事が出来ていますが・・・。」
「きついわねぇ、そんな事で対魔人や天使達の対策は進んでいるの?」
「まあ、そのあたりはなんとか、この世界の魔法は基本的にはイメージ重視ですから、いろんなイメージを直ぐに思い浮かべる事が出来る現代知識持ちのわたしはかなりお得なのです。
アリスちゃんからも、この世界の技術を流用したとの言い訳が聞くなら新魔法も作成できるようにしていただきましたし。
現在完成しているものとしては、合成魔法『巨神殺し』や対軍魔法として合体魔法があります。
もっとも合体魔法は過去にもう完成していましたのでそれを改良したものですが。
と言ってもこの魔法を発動するにはほぼ同一波長のシンクロが必要で2人までならともかく、3人以上は不可能もしくは非常に困難となっています。
ゼスでも過去に成功したのはジュエル三姉妹という三つ子の姉妹だけで、その三姉妹もその後、行方不明になっていて詳しい資料が残っていません。
多分天使教の三姉妹の魔人封じの秘術も合体魔法なんじゃないのかと思っていますが、遠すぎて調査が出来ていません。
無理に合体させる事も出来ますが、わたし並みの魔力で無理やり合体させるか、千鶴子さま並みの演算能力でシンクロさせるしか方法がありません。」
「あれ、貴方の魔力なら合体させなくてもそれ位の魔力出せるんじゃない?」
「・・・出来ないとは言いませんが、それクラスの魔法を打ち込めば確実に身体が持ちません。」
「そっか、身体は普通の人間だものね。」
「それと、魔法についてもう一つ、3レベル魔法である『迷宮作成』これは多分某月型で出てきた『固有結界』と同じかそれに近いものだと判明しました。」
「じゃあ、UBWできるの?」
「はい、おそらくは、ただわたしは某正義の味方のように剣製に特化していませんのでまったく同じものを作ろうと思えばかなり面倒ですが。」
「じゃあ、原作のアニスが作った雲の迷宮はどうなの?」
「あれは、魔法の名前の通り迷宮を作る意思で作成したもので、原作アニスの残念なイメージ力で作られたためあんな壊れやすいふわふわした迷宮になったのと思います。
この魔法は異空間にイメージの世界を作り出す魔法ですから。」
「さすが3レベルの魔法、とんでもないわね。」
「あと、魔力増幅のための道具をパパイアさんがいろいろ作っています。
イメージ的には鬼畜王で出てきたホーネットさんの魔力増幅用の浮かんでいた金属球ですが、聖魔教団の技術でさえ不明なところが多いのに同じものは無理という事で、ガバッハーンさまの妖精の技術を応用して研究中だそうで、まだしばらく掛かるようです。」
「今のところ打つ手は無か。」
「はい、残念ですが・・・。」
◇おまけ◇
「そう言えば、アニスちゃんは随分原作キャラと仲良くなっているようだけど、この世界の人ってどんな感じなの?」
「・・・この世界はエロゲーです。おわり。」
おや、フィオさん、なぜ後ろに回るのですか?
え、拳をこめかみに・・・まさかまた!!
「うにゃ~あ!!!痛い、痛いですよフィオちゃん、やめてー、ウメボシはやめてー!!」
「はけ、吐かんかー!
何を隠している!貴様はいったい原作キャラになにやったんじゃー!!」
「いいます、いいますから!!」
そう答えたわたしは現在フィオちゃんの前で正座させられています。
「いえ、この世界の女の子って結構、性に関してタフな子が多くて、考え方がシトモネちゃんなのです。」
「・・・シトモネ、誰だっけ?」
「ランス6の最初に出てきた、宝箱を開けてる最中にランス君に襲われて・・・、」
「あぁ、思い出したわ、確かランス君に無理やり処女を奪われたにもかかわらず、また同じ場所で襲われてた。確かクエストにも出てましたね。」
「はい、この世界の女の子は大抵そんな感じで、襲われた時は落ち込みもするけれど回復も早いのです。
そんな感じなので、性に関するハードルも低く・・・。」
「あれ、そんなに原作ではビッチは居なかったと思ったのだけど。」
「確かに男性に対してはヤリマンビッチと思われたくない、けど女の子にも性欲はあるのよといった感じで、そうなると自然百合系のハードルが低くなり。」
「・・・つまりあなたは原作の女の子に手を出したというわけね。」
「ぴぎゃああ!
フィオちゃん、笑顔が笑顔がとっても怖いです。
ち、違うのです、わたしの場合以前から一緒にいればレベルアップ時、魔法系のステータスが上がりやすい事が判明していたのですが、それ以外でも判明しまして。
そうなんです、以前何回かパパイアさんに無理やり襲われた事がありまして、その際パパイアさんの魔力が上がっている事が判明したのです、それからわたしの周りの女性魔法使いが入れ替わり立ち替わりわたしのベットに潜り込むことが・・・。」
「ほほう、そういう大義名分の下女の子を食べまくったと・・・、」
「ま、待ってください、関係になったのは無理やり襲われたパパイアさんだけで、後の方は、精々裸で抱き合う程度で・・・ふぃ、フィオちゃん、背中から炎が、違うのです決してわたしが望んだわけではなくて!!」
「うん、よく解ったわ・・・・・・・・・・貴方には天誅が必要だって事がね!
デメリットのせいであんたは不幸だと思っていたけど、充分あんたはリア充だぁ!!」
「ぴぎゃー!!!!」
暗転
≪あとがき≫
再び遅くなって済みません!!
言い訳ですが、初版は割と早くできていたのですよ・・・ただ読み返した際、厨二病全開の独りよがりの文章だっただけで。
思わず布団を頭からかぶせて身もだえしてしまいましたよ、ほんと。
ムラゲは勢いだけで書いたらだめという事がよくわかりました。
精神にダメージを受けながら書き直すのに随分時間が掛かってしまいました。
今回は新キャラのフィオちゃんのお話。
アニスやランスキャラ達を大事にしながらも自己中心的なところがある子です。
ちなみにフィオちゃんが人間の闇の部分を見続けているくだり、実は悪魔ゆえ自然とそういう場所に吸い寄せられている事に本人は気付いていません。
この世界もっと夢や希望にあふれてますよ。
また、現在の各国の状況も追加させていただきました。
エミやハンティがいきなり出ているなんてご都合主義なんだと石を投げないでください、このエピソードを入れるとまた時間がかかりそうで・・・。
今回の話も2話に分ければよかった・・・。
さて、次はいよいよハンティさんとの面会、更にもう一人新キャラが出てくる予定です。
MOTO様
お読みくださってありがとうございます。
くらん様
はい、この世界神の力が強すぎますから、これからもアニスたちは苦労します。
人間社会じゃ充分突き抜けてるのですが。
まほかにさま
ご感想ありがとうございます。
フィオちゃんはしばらく自由に動けません、せっかく魔力のデメリットが無くなったというのに・・・、考えてみればこれが一番のデメリットかも、一番実力があるのに自由に動けない。
アテンさんは実力あるけど途中で引き籠られると大変なことになるので保留中です。
マトリョーシカさま
フィオについてはうまく予想を外せたようで・・・。
アニスの壮絶設定については、これ位お人よしでないと帰れないとはいえ別の世界の人間が戦って行けないだろうという作者の解釈と高等回復魔法習得のための伏線でした。
というか、今回こんなにあっさりアニスが復活するなんて思っていなかったと思いますが。
ルアベさま
2回もご感想ありがとうございます。
またまた、魔力供給についての予想お見事でした。
きえちゃえボム(アニスバージョン)については魔王バージョンのように制限なく放出すれば身体が持ちませんので半分以下です。それでも上級悪魔の防御力を消し飛ばす威力ですが。
この世界、魔法無効化の部屋などあるのでアニスが入っていれば大ピンチでした。
もっともそのための剣戦闘レベルでありガンジー王より伝授してもらった秘剣なのですが。
悪魔には無敵結界は効かないと思ったのですが、ムラゲの作品ではこの設定でお願いします。
魔力封じの腕輪は付けたままですよ、それでも魔力が放出することからアニスは苦しんでいました。この設定は『魔王に魔封じのアイテムをつけて効くのか?』という疑問から創り出しました。
なお吹き飛んだ魔法封じのアイテム位ならいくらでも準備できます、魔法使いの犯罪者には必要不可欠なものですからね。
時代にさま
ご期待ありがとうございます。これからもがんばります。
A-さま
アリスちゃんがわざとしたわけではありませんが、協力者の安全についてそこまで深く考えていなかったことも事実です。フィオちゃんの言うとおり本来なら恨まれていてもよいレベルです。
なお他世界の時間経過については深く考えないようにお願いします。
もっともアリスちゃんのお話で他のアリス世界の時間経過について述べているので自分勝手とは思いますが。
紅さま
もちろん、アニス達も性転換の神殿については知っていますよ。
ただ、使用するか、出来るかは別ですが。
もちろん男になれば・・・ランス君の敵になる勇気がアニス達にあるなら別ですが。
それに転生者達には元のキャラクターの魂が残っていますし、抵抗はあると思います。
AQさま
長らくお待たせしてすみませんでした、出来るだけがんばります。
アニスの両腕は今回脱皮して戻りました(笑い)。
一通り読み流したさま
はい、吹き飛んだのは両手です。腕は無事ですが、しがみつきずらいのは確かなので移動時と同じように魔力を利用してよじ登りへばり付いて居ました。
サーモ眼については今後前回の戦闘のように魔法を引き裂いたり、合体魔法のシンクロに必要などの地味な設定があります。
オロナミンEさま
ありがとうございます。
こんかい、アニスの悪事の暴露が!!
マルさま
ノミコンは存在が無くなるまでフィオちゃんの飴玉ですね。
ちなみに消えちゃえボムは自爆技ではなく攻撃魔法ですから指向性があります。アニスが最初の爆発で吹き飛んだのは魔法の事をよく知らないため指向性を設定しなかったためです。よってノミコン退治の後落ちて行ったのはボロボロの身体の状態で大魔法をつかった反動からです。
E・Vitalさま
応援ありがとうございます。
これからもがんばっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。