前回のあらすじ
・間に合った……
・新たなるライバル、その名は「リマスク」っ!
・カルディナとデートフラグ?
<和樹視点>
結局カルディナに止血してもらってたら戦闘はもはや追撃戦に移行してました、前もこんなことがあったような……気にしないでおこう。
「隊長、報告?」
「ん、お願いします」
「戦闘は私たちの部隊の到着で戦列が持ち直して、辛うじて、勝利?」
ふむ、そうなるとまたうちの部隊から損害が大量発生な予感が……これ以上数が減ったらもう戦えませんよ、というかこれ以上親しい人を失いたくないしね。やっぱり現代日本人に戦争は無理だよ……
「詳しい損害の報告とかは後で聞くよ、追撃は兄上様たちかな?」
「おそら、く?」
「ん、了解」
とりあえず部隊のところまで行かないと……おお、お前は気が利くなぁマキバオー。そんなに心配しなくても大丈いてててて。
「ま、マキバオーとりあえず舐めるのやめてあわわ」
「きっと心配……だった?」
ノルドールの馬は本当に頭がいいからなぁ。ちなみにマキバオーとは俺の愛馬だ。突撃力に特化したノルドール黒色軍馬で、ちょうど村につれてこられたころにこいつの出産を手伝ったら懐いてしまったという訳だ。子馬もかわいいもんなぁ……でもやっぱりお前が一番だよマキバオー!
「騎乗……できる?」
「うーん、ちょっと無理そう」
「じゃあ隊長は私の、後ろ?」
「た、助かいたた……」
こ、コレは乗るのが自転車じゃなくて馬かもしれんが噂の、伝説の男女の二人乗り(後ろは横乗りが大事っ!)ではないのかっ!?
現実世界のお父さん、お母さん。息子はついに伝説の二人乗りを体験しました……いかん、出欠からか思考がぼーっとし始めてきた。早めに部隊に戻ろう。
途中で会ったサーレオン兵に俺の部隊がいる所を教えてもらった後、俺とカルディナは部隊の待機しているところまでやってきた。部隊の人数は1、2、3……8人足りない、どうか軽い怪我で済んでくれ……
「8人か……」
「……軽症者はすでに復帰、残りは戦死と重傷者」
「お疲れカザネ、ゲデヒトニスとセイレーネは?」
「そういえば見かけな、い?」
「……セイレーネは重症、ゲデヒトニスはまだ未帰還」
な、ちょっとまて。重症って……それにゲデヒトニスも帰ってないのかっ!?それじゃセニアさんも!!
「カルディナ、疲れてるとこ悪いが探すのを手伝ってっ!?」
「だめ、今それ以上動くと死んじゃう……」
「……あなたがまず治療を受けるべき」
ちっくしょう……怪我のこと思い出しただけで太ももがじくじく痛む。そういえば太ももを投射兵器系で撃ち抜かれると「ごめん……みんな……」的な死亡フラグが発動するから今思えば抉られただけですんでよかったと逆に感謝する必要があるのかもしれない。
「悪い、確かに……無理かも」
「隊長は無理、しすぎ?」
「……同感、衛生兵っ!重症一名搬送するっ!」
「了解っ!第二野戦治療室へどうぞ!!」
重症って、そんなに俺やばいのか?参ったな、じくじく痛むし目は霞むし眠いけどまだしにゃーしないと思ったんらけど。もしかいて動脈付近はばいのろなあ、あれ、あ、落としちらった、拾わ……あ……
「「隊長っ!?」」
<セイレーネ視点>
……不甲斐無い、まさかこの私がここまでやられるとは。指揮補佐を隊長から命じられた時点で今回は少し自重すべきだったか……やはり精進と気合が足りなかったのか、村に帰ったらまた特訓のしなおしだな。
「隊長っ!しっかり!?」
「レッド、急いでっ!」
「わーってるっ!隊長さんよぉそー簡単に死なせねぇぞ!!」
「村のやつらとイスル指令呼んで来い! あーいや村の奴らにはオレが行く!」
た、隊長!?隊長に何が起こったのだっ!!ええい寝ている場合ではない、いったい何が起こったというのだ!
「わ!ま、まだセイレーネさんは寝てないとだめですってばっ!!」
「止めるな、隊長が、隊長がっ!」
「あなただって重症なんですっ!歩けなくなってもいいんですか!!」
「ぐ……くそっ!」
クソっ……あの時あの敵兵に腰を切りつけられなければ。医者が言うには全治二ヶ月だというではないか、二ヶ月も隊長の力になれないのか、また私は置いて行かれるのか……
この村に来てから、私は一番になるために努力を重ねた、でも
武を極めようとしても私はゲデヒトニスに勝てない。
知を極めようとしてもカザネには勝てない。
女としての技術を極めようとしてもカルディナには勝てない。
せめて今回隊長から任された指揮ぐらいは3人に負けないようにと努力したが結果がこのざまだ……隊長に嫌われないだろうか、もういらないと言われないだろうか、もう捨てられるのは嫌だ……
「心肺停止っ!!」
「隊長!?隊長!?」
「ばかやろうっ!こんなところで勝手にくたばってんじゃねぇぞ!!」
「『しんぞうまっさーじ』だ、早くっ!!」
心肺停止だと、隊長の医療講義にあった「死ぬ一歩手前」の状態ではないかっ!
どうして……私はただ横になっていることだけしかどうしてできないんだっ……!!
「もう一人重傷者ですっ!」
「そっちは私が診る、レッドは隊長の治療を」
「おうよっ、たくっ!帰って来いっ!死ぬんじゃないよっ!!」
結局私はただ己の無力さを嘆いて泣くことしかできなかった……。
ラリア近郊の戦い
勝利 サーレオン・ノルドール連合軍
投入兵力
帝国軍 1080人(うち300は戦場未到着)
サーレオン軍 650人
イスルランディア軍 140人
損害
帝国軍 600人(追撃戦における死傷者と捕虜と降伏部隊を含む)
サーレオン軍 300人(誤射による軽装歩兵隊の損害を含む)
イスルランディア軍 10人 (和樹隊8人、弓騎兵隊2人)