前回のあらすじ
・戦闘開始
・スッキリセイレーネ
・絶対死守命令、後ろには政治局員が(ry
<セニア視点>
「はぁー」
突然ですが疲れました、誰か私に休みをください。カズキが居ないことと新たに領地に組み込まれた北領への整備計画のおかげで、睡眠美容そっちのけで書類仕事です……あぁカズキ、あなたのその素晴らしき事務処理能力がこれほどこの国にとって重要だったと今気がつきました。
「あ、あのーセニア様、北領の道路整備計画についてなのですが……」
「あぅ、では必要資金と工事責任者についてと予定表を提出してください。単位に関しては『人月』でお願いします」
「わかりました、それではこちらが頼まれていた先週の議事録になります。では」
───ドサッ!
……先週の議事録を丸ごと持ってこいと言った過去の私を殴り飛ばしてあげたいです、ただでさえ書類が積み上がっているこの机に新たな山ができました、わーい、あはは。
「セニア様、南領での『のーふぉーく農法』の普及率についての書類です。それに貴族からの陳情が多数届いておりますのでご確認ください」
───ドサッ!
───ドサッ! ドサッ!
「……わかりました、確認しておきます」
また仕事が増えましたね、あぁ今手元で計算中の治安部隊新設のための『くりてぃかるぱす』の計算がどこまで進んだかわからなくなったじゃないですか……ふふふ、ああそういえばホルスさんから申請されていた軍団兵の補充についても考えないといけないですね。これはなんだか楽しくなってきましたよ? ふふふ、ふふふふふふふふっ
「セニア様、し───」
「クスクスクス、はい、なんでしょうか? また書類ですか、でしたらそこに置いといてください」
「え、あ……いえそれもありますが、ノヴォルデット市長が会議室に集まるようにとのことです」
「そうでしたか、では今すぐ向かいましょう。お昼近くになったので皆さんも一旦休憩にしましょう」
休憩の一言で執務室にいた多くの役員が疲労のためか次々と机に沈んでゆきます、できれば私も同じことをしたいのですが呼び出しとあっては仕方がありません。
はぁ……休みたい。
会議室に到着すると最後に来たのが私なのか、他の重役につく人がすべていました。朝会以上の総勢18人の重役を集めての会議とはどうやらこのノヴォ市長の表情から察してもろくなことではないですね。
「さて、集まってもらったのは緊急事態が発生したでの」
「緊急事態とはなんですか市長?」
やっぱり緊急事態ですか……まって、今起こりうる緊急事態と言えばカズキの参加している討伐隊がらみでは? いえ、まだそうだと決まったわけではないでしょう……落ち着きなさいセニア、私は公の場では『くーるびゅーてぃ-』でなければいけないのだから。
「うむ、まず南領で貴族の反乱が発生したでの。ノルドールの誇りと貴族のあるべき姿を叫んでおっての、規模は急速に拡大中での」
「……私から報告、反乱に参加した主な貴族や村長はヘルウェティイ、アエドゥイ、ブローウィンキア、ブラーカータ他10名。あちらの大将はアルウェルニ」
「なんとっ!? アルウェルニ殿がっ!! それでは南領の中央において反乱に参加していない有力貴族や村長を探すほうが難しいですぞっ!!」
「南領がそれでは二分されたと同じことっ! どう対処なされるのですかっ!!」
「やはり改革を急ぎすぎたのでは……もう少し緩やかに行うべきでしたな」
カザネの報告により重役から次々とあがる声、確かに現在南領に領地をもつ貴族の半分近くと多くの村が反乱を起こしたことになる。それに本来人間との共存に理解を示していたはずの英雄、アルウェルニ様が敵に回るだなんて……
恐らくは……連合を二つに分ける大規模な内戦に発展するしかないかもしれないです、いえ、なるでしょう。
反乱を地域で考えると、東に関しては反乱がおきなかったものの、主だった軍事力を持つのはシンガリアンとの国境の山脈にある村であるベルギカだけで、実質東の各村は孤立してしまっています。南領中央の昔からの貴族がこぞって反乱し、それに付近の村が同調したようですね。
北領は現在ザルカー軍閥と戦闘中で兵力の抽出は無理、防衛だけで精いっぱいでしょうし。東のベルギカも山岳地帯の村なだけあって人口も少なく防戦が精いっぱい……兵力的に頼れるのはやはりここ南領西部周辺とノヴォルディアの兵力しかないようですね。
「……おそらく反乱軍の兵力は200前後。でもこれは常備軍」
「じゃな、根こそぎ動員すればおそらく5、600はいくじゃろうて。」
「……南領国境警備隊駐屯地は敵地中央に位置するため中立を宣言、でもおそらく敵側に動員される」
「こちらの防衛体制はどうなっているのかね」
「それは私から。現在ノヴォルディアの守備兵は200、それに即応可能な兵力としてはホルス殿率いる街道警備隊100に現在ノヴォルディアに拠点を構える傭兵団の30のみです。動員すればノルドールだけで400は……人間族も動員してよいのならば600ほどです」
「いや、動員はいかん。ただでさえ人口の少ないこの国がこの内戦で大きく人口を損ねればもはや国力の低下は百年単位でとりかえせまい」
「そうですな、できれば反乱軍が動員を終える前に先手必勝で攻め込むのが大事でしょう」
「いや、まずは討伐軍を引き返させてその軍と合流してからでも遅くはないのではないか?」
人口の多い中央で反乱を起こされた以上、持久戦はこちらの不利を招くだけです。ですが確かに一度討伐軍と合流してからというのも悪くはないかもしれません。
合流さえしてしまえば兵力の差もかなり縮まります。そんな状況であれば、兄上が指揮して戦えば個人個人は強いものの威勢のいいだけの貴族軍に負ける姿など想像ができないですし。
北領の防衛は一旦ヘレワード男爵と駐屯軍に任せておけば大丈夫でしょうから……でも、本当に今回の反乱はこれだけなのでしょうか? もっと大きな何かと関係があるような気がします。でなければここまで大規模な反乱にはならないはずです、カザネから渡された反乱に参加した村や貴族の中にはノヴォルディア側に非常に協力的だった人もいますし。
でも、そうした人々や村もやはり共存派だったアルウェルニ様が反乱に加担した以上、逆らうわけにもいかなくなったのでしょう。
「そうじゃな、では一旦討伐軍には戻ってきて───」
「市長っ! サーレオンの使者が緊急とのことで来ておりますっ!!」
「緊急とはなんじゃ? とにかく早く通すでのっ!」
───ガチャ
「お取り込み中のところ申し訳ありません。私はサーレオン王国アラマール公爵の───」
「よい、緊急なんじゃろう。なにが起きたでの?」
「はっ、現在サーレオン王国西国境線において悪魔崇拝軍との全面戦争が勃発いたしました。残念ながら帝国との戦後間もない時期でもあり、戦況は芳しくありません。国中の軍の再編成と戦力の投入を陛下は考えておられます。そのため一時ザルカー軍閥討伐のための兵力をこちらに組み込むとのことであります」
「なんと……それでは討伐は今回は無理」
「それどころか北領の維持すら難しいのでは!?」
「これでは討伐軍を当てにするどころではありませんぞ!」
「報告をありがとう使者殿、では気をつけてお帰りくださいでの。もてなせなくて悪いがわが国も現在貴国に匹敵する危機にあっての」
「さ、左様ですか。では私はこれにて失礼いたします」
これは……してやられましたね、まさか反乱軍が悪魔崇拝軍やザルカー軍閥と手を組んでいたとは。破壊と略奪のために存在する軍と手を組んだところで、手に入る物はすべて焼き尽くされた国土だけだというのに。
「ではやはり持久戦ですか」
「いや、小規模な防衛隊を残してイスルには戻ってきてもらうでの。今すぐ出撃したとしても兵力的に劣勢かつ準備不足の状態で戦うことになっては勝てる戦いも勝てんでの、今は準備を万全にしてイスルと合流することが先決じゃ。二線級の市民兵と貴族の弓騎兵では勝負にはならんでの……」
「……資金に余裕がない以上討伐軍と合流後、一会戦において敵軍を殲滅して一気に反乱を収束させる。これしかない」
「幸いと言ったら変かもしれないですが、敵の主だった貴族は部隊を指揮して戦いに参加すると思います。敵主力野戦軍撃破後は各反乱村を各個に鎮圧すればよろしいかと」
「それが難しいのじゃが……まぁそうじゃな、では各員速やかに準備をはじめるでの。イスルへの使者は一番足の速い馬で頼むでの」
「はっ!」
会議に集まっている重鎮は中央や東部出身者も居る。だが動揺はしているみたいだけれど相手側についたりはしなさそうだ。最大限自分に出来ることはないか話し合っている。
大丈夫、この国はまだ生まれたばかりだけど守るために戦ってくれる人は大勢いる。だからきっと大丈夫。
そう私は自分に言い聞かせました。
さきほどの衝撃的な会議の後、今だ誰もお昼休みから帰ってこない執務室にふらふらしながら帰ってきた私は、さっそく各部署に出陣準備のための書類を書き始めることにしました。
もうすぐ昼休み中の役員も集合の鐘で急いで戻ってくるでしょうから先に始めていても問題ないでしょう。
「はぁーどうしてこうなるかなぁ……」
盗賊やレッド団との戦いに帝国との戦争、それが終わったと思ったらザルカー軍閥に反乱軍……私たちはただ静かに、平穏に大切な人と過ごしたいだけなのに。
書類を書こうとして、先ほどの書類の束を一旦どかそうとした時に目に入ってきた書類はこの気分をさらに悪化させる内容でした。
「『帝国海岸線にスネーク教徒の大軍が上陸』ですか……はぁー」
世界は一体どうなっているんですか、これから何か大陸を巻き込む何かが起こるとでも言うのでしょうか……
あとがき
ひさびさにM&BのMODあさりをして、「NE-KENGEKI」を導入してみました。面白いですよ。