前回のあらすじ
・主役みっけ
・護衛兵は騎士にらんくあっぷした!
・平和……?
<和樹視点>
───ノヴォルディア 大会議室
「……まじで?」
「残念じゃが……本当での。すでにレイヴンスタン・フィアーズベイン・Dシャア朝が参加を表明したでの……」
「サーレオンは悪魔崇拝軍との戦争を理由に返事は濁したようですが注意は必要でしょう。正式に我が国の支援を表明してくれたのは帝国とヴァンズケリアのみです」
「この情勢での十字軍、これでもはや教皇もぐるだったということがわかりましたね……ザルカーの増援と言うのは教皇兵でしたか」
「通りであの時奴隷兵みたいなのが出てきたわけだ……あれのおがげで危うく弾切れになるところだったがな」
はい、貴族の反乱が終結して今日で丸二週間がたちました。今日までの間に軍の再編成と俺の領地の視察、今後の運営管理などを一通りはなんとか終わらせることができたけど……まあひと段落つくとなにか別な問題が発生するのがこの大陸の常識らしい。
───十字軍
この世界には現実世界のキリスト教やイスラム教に相当する宗教が存在しており、当然教皇も居る(騎士団の人なんかはよく十字架をあしらった防具付けてたりするしね)。ほんでもってその教皇が何をトチ狂ったかこの世界の『異端』である俺を討伐すべく十字軍を編成したということ……マジでなんか俺「世界の破滅者」というか「おのれカズキー!」と言いながらストーカーするメガネおやじが出てくるような厨二キャラと化したようだ。
「言いがかりも甚だしいです、この戦乱全てがカズキが引き起こしたから討つべしだなんて!」
「このニンゲンにそんな大それたことができるとも思えませんけど」
「そうですね……カズキならば女たらしで歴史を変えることはできるかもしれませんね」
「ちょ、レスリーさんっ!?」
「ふふふ、カズキ……どういうことですか?」
「ふむ、カズキならやりかねんでの~」
「さて、そうなのかカズキ殿?」
しどい、みんなしどい……その上俺が厨二設定で異端で世界が敵であばばばばばセニアつねんないで痛い痛いっ!?
まあそれはさておき、今回の十字軍は明らかに不自然だ。なんたって今この大陸には世界の破滅を狙う悪魔崇拝軍と異教徒のスネーク教徒軍がいるんだよ? それをほっぽっといて大陸の端でつつましく暮らしてる俺を国ごと滅ぼそうったぁねぇ? まさしく「くせぇーっ! 陰謀の臭いがぷんぷんするぜぇ!!」というわけ。
そして北領遅延作戦にて突如ザルカー軍閥に加わった奴隷兵らしき部隊、どうやらレスリーさんの調べによるとどうも教皇の固有戦力である教皇兵(とはいってもほとんどが教皇領でパンを恵んでもらう代わりに徴兵された難民)らしい。ザルカーに関する事についてはすんごい形相で物事に彼女はうちこむから結果は出るんだけど……うん、カルディナが心配するのもわかるわ、化粧で全然目の下のクマ消せてないし。
そしてどうもノルドール連合国と関係の薄い国家への圧力が急に弱まったこともおかしい事の一つだ。つい最近までレイヴンスタンはミストマウンテン族の猛攻撃を受けていて、フィアーズベインも急に力を増したヴァンズケリー海賊団の鎮圧に追われていた。Dシャア朝に至っては内戦まで勃発していたし。それが十字軍の発令直後には大規模な十字軍用の部隊を諜報機関からの情報によれば編成しているらしい、明らかに陰謀の臭いがするわけですよ。
ミストマウンテン族はレイヴンスタン王国のほんの一部を制圧しただけで沈静化し、ヴァンズケリー海賊団は住みなれた土地を離れ今や帝国の属国として独立した。Dシャア朝は馬賊と反乱軍を十字軍として一つにまとめ上げてこっちに差し向けてくるらしいし……そう、返事を濁したサーレオンは悪魔崇拝軍の攻撃を受け続け、俺たちの支援を表明した帝国に至ってはスネーク教徒のおかけで風前の灯なわけでもうね、隠す気ないだろお前らっていう。でもすでに状況を覆すには遅いっていうのが憎たらしい、絶対この戦略考えたやつは厭味ったらしいやつだね。
「帝国の支援表明か……増援要請の事も考えると催促と見るべきか」
「さすがにこの状況で援軍を出すのは無理でしょう、そこのニンゲンが率いていた部隊の再編すらぎりぎりだったのですから」
「どこかに兵士の湧き出る魔法のつぼでもあればいいんだけどね」
「『そびえと』のように畑から兵士が取れればいいんじゃがの……」
「いえ、それは食糧生産に響くのでは?」
なんだろう、かなり国家の一大事のはずなのに意外と緊張感がない? え、なんでみんな俺の事ニコニコしながら見るの? なに、なんなの俺そんなにおかしい顔してる?
「馬鹿での~わしらがカズキを捨てるわけなかろうて」
「あなたを捨てるくらいなら私は命を絶ちます」
「家族を見捨てるものか」
「ふんっ! 見捨てても寝起きが悪いだろうから仕方なく助けてやらなくもないぞニンゲン」
「……」
「まぁ、なんだ。俺は一緒に戦った戦友を見捨てるようなヤツではないぞ?」
「「「命を賭けて国民を守り抜いた愛国者を、敵に差しだすはずがありません!」」」
「アタイの命はカズキらに助けてもらったようなもんだしね、ほっぽっとくわけないだろ?」
さっきまで話を聞いているだけだった各村の代表や他の人まで……俺はここに居てもいいんだっ!
おっと、うれしくってつい泣いちゃうんだ。
「まったく余計な心配をしおってからの」
「さて、増援の件と十字軍の件、どう対処しますか?」
「あ、いい事思いつきました。そういえばまだ帝国との戦いで捕虜にした人って解放してないですよね?」
「それがなにか……なるほど、偵察に来ていて捕虜にした巡回部隊や、ホルスの警備隊に参加していない捕虜。それとサーレオンで捕虜になっている兵士を合わせれば300に届くかもしれません」
「悪魔崇拝軍の攻撃により窮地に立たされているサーレオンとしては、猫の手でも借りたい戦力事情でしょう。帝国捕虜の代わりにサーレオンの捕虜を帝国から引き取って帰還させてあげればよろしいかと」
「それしかなさそうだな、俺も近々サーレオン経由でヤツの草原に戻ってみる。穏健派の長老を必ずやノルドールの味方に引き入れて見せよう」
「ではさっそく使者として私が帝国に」
「ならば私がサーレオンに向かいましょうぞ」
「うむ、おぬしら村長格ならば使者として十分での。よろしくお頼み申す」
「任されましたぞ」
「ノルドール連合国だからこそできる外交戦術ですな、それぞれに村長が行けば早々むげにもできませんゆえ」
うん、兵士にする人的資源が不足しているのなら兵士を手に入れればいいじゃない。ということで今や食うもんを消費し続けるだけのサーレオン・帝国両軍の捕虜を交換してあげればどちらの陣営にも利となることだろう。この捕虜交換をノルドール連合が仲介すればこれが増援ということになるから支援表明の義理は果たせるだろうし。
ただサーレオンの動きが気になるなぁ……十字軍参加については返答を濁しただけで参加しないとは言ってないし。でも第四回だっけか、十字軍が弱った東ローマ帝国を征服しに行ったようにサーレオンが十字軍の標的になるかもしれないわけだ。大陸の端にある以上この国の周りは友好国で固めないとザルカー軍閥の討伐なんていつまでたっても無理だしなぁ。
今回の一件で北はヤツ穏健派と敵対しているザルカー軍閥、西はサーレオン(腹黒男爵など)、南は帝国、東は山脈をはさんで敵対中のシンガリアン。まあ一応山脈をはさんでいるシンガリアンを除けば俺たちノルドール連合は兵力をザルカー軍閥一点に集中できると言えなくもない。だけど国家に真の友人はいないって言うし、防衛の手を抜く事は許されない。
「内相の立場から言わせていただけるのなら、現状では未だ領地整備などの課題が残っています。戦争がこうもたてつづきに起こると……」
「これ以上戦乱を長引かせるわけにはいかんな。できればカズキを狙う悪魔崇拝軍と十字軍がつぶしあってくれればいいのだが」
「しかし捕虜を戻した程度で帝国はスネーク教徒の猛攻を防げるでしょうか?」
「資金は帝国持ちで傭兵団の一つも派遣できればしっかりとした兵力派遣になるのでしょうが」
「あ~うんとさ、金っていくらくらいでるんだい?」
「そうですね……帝国としては何としても兵力の強化は必要でしょう、金庫を空にする勢いで支払ってくれると思いますよ」
今まで話をふーんと言いながら静観していたレッドさんがお金について質問、どうやらお金はかかるものの早急に配備できる兵士のつてでもあるんですかね? ノヴォルディアに居る傭兵は未だにノルドール軍に所属したままだし、近隣諸国を含めて今大陸中が傭兵募集中だと思うんだけど……もしかして本当に兵士の湧き出る魔法のつぼ持ってたりして。
「うすうす感づいてた人もいると思うんだけどさ……ちょいとアホ兄貴を頼ってみるしかなさそうじゃないかね?」
「兄貴?」
「レッド兄弟団の首領さ、アタイの糞兄貴だよ」
「「「な、なんだってーっ!?」」」
まてまて、wikiにそんな説明って俺英語わかんないから流し読みしただけでしたすんまそん。というかレッド”兄弟”団なんでしょ? なすてレッドさんと兄さんで兄妹じゃなかとですか!? というか犯罪者集団を戦力として組み込むとかって、国民感情とか法律的な何かとか大丈夫なんだろうか?
「レッド、貴女は女では……」
「ラトゥイリィ、例のあれです」
「あれ? ああ、子供のころ───「言うなーー!!」おっと、これは失礼」
「ああ、あれか」
「あれでの?」
「あれですね」
「「「あれでございますか」」」
「……なんの話だ? まあ新参者の俺にはわからんだろうがな」
「お前らーっ! あーもうっだから言い出すの嫌だったんだ!!」
そろいもそろって皆さんでニヤニヤ目線でレッドさんフルボッコ、だけどニヤニヤで済まされるのがノヴォルディアクオリティ。基本レッド兄弟団の首領と血縁関係があるのはスルーでいじるんですねわかります。まあ夜盗の首領の身内が自国の主要ポストに居たら普通いろいろ問題が起こるでしょ? それがニヤニヤですまされるんだがらげに素晴らしきかな信頼……いやまあ大丈夫でしょう、たぶん。
「さて、でそのレッド兄弟団をどう使うでの?」
「あのアホ兄貴はさ、戦うのが好きなんだよ。でも戦うよりももっと好きなのが弱い敵をなぶるっつー外道なんだけどね」
「どう考えても仲間に引き入れそうもないのだが」
「さっさとつぶした方がむしろよさそうですね」
……どう聞いても仲間になるとは思えないんだけど、というかレスリーさんの言う通りさっさと討伐した方がいいと思うよ、うん。
ただ一度戦ったことがあるからわかるけど、確かにレッド兄弟団の赤戦闘員はそれなりに強いし乗馬もできる。騎兵戦力をノルドール貴族弓騎兵に頼っているうちの軍としては、偵察用にも常時使える軽騎兵が欲しいのもまた事実。主力ばかり仕事させるといざという時に使い物にならない危険があるし。
「とりあえず説得ってのはレッドさんできそうなの?」
「アタイが頼めば……あのクソ兄貴に頭を、頭……」
「どうやら相当なやつらしいでの」
「仲間に取り入れても使えるかどうか」
「でも主力以外の軽騎兵が不足していることは事実です。リマスク司令あたりにでも援軍として派遣すれば有効に使ってくれるでしょう」
使える使えない、説得に成功するのかしないのかでいろいろ話し合った結果結局レッドさんとカザネ(遅延作戦で置いてきぼりにされたからとのことでついてきた)。後は人たらし(?)らしい俺に資金など包括的交渉のために内相のセニアがついてくることに。後は護衛として騎兵50で説得に行くことに、あんまり軍の中枢が抜けるのも防衛的な意味でよろしくないしね。
そしてただいま目の前にはレッド兄弟団の部隊200が雑兵ばかりとはいえ槍を構えている。いや、ヤツ族のザルカー軍閥と一度ガチンコで戦ったことあるから以前みたいにぶるぶる震えることはなくなったもののやっぱり怖いものは怖いです。現代人にやっぱり実戦になれるのは無理なんじゃないかなと小一時間くらい悩んでみたいね。
「さて、俺に話って何だ我が兄弟よ」
「明らかに弟って感じに言うんじゃないよアホ兄貴、今日は喧嘩や討伐じゃなくてあんたに頼みたい事があるんだよ」
「これはこれは、なんでもお兄ちゃんに頼むといいぞ」
「……素直すぎて怖いねぇ、まあお願いしたいことは帝国の支援のためにスネーク教徒の補給線を襲撃してほしいんだよ」
弱いやつをなぶるのはすきだろ、と鼻で笑いながら言うレッドさん。200の兵士を背後にニヤニヤと小物臭をぷんぷんさせて話すレッド兄(仮)。レッドさんも相手と同じく騎乗したまま緊張を解いていないのがさすがの俺でもわかる、たぶんあの小物臭いもわざとやってるんだろうね。こちらを図るつもりかっと考えれば少しは俺もカッコよく見えたりして……ないか。
「ふぅむ……いいぞ、我が兄弟の頼みだ。それに略奪物資は全てこちらでもらってもいいのだろう?」
「そうだよ、好きにするといいさ。セニア、なにか補足しておくことあるかい?」
「そうですね……先ほどからの会話とあなたの雰囲気から考えて、帝国の指揮下に入るのは拒否しそうですから襲撃はどうぞご自由にということですね。申し遅れました、私はノルドール連合国内相のカトウ・セニアと申します」
「ほぅ、話がわかるじょうちゃんじゃないか、今夜俺とどうだい?」
「申し訳ありません、もう私には愛する人が居るので……ね?」
「お、うん」
意外と物わかりがいいというか協力的というか……あとセニア、その流し眼はやばいって、だめだって、ここが寝室だったら間違いなく俺ビーストモードはいっちゃうから。
とりあえず自制しながら後は抜けてるところはないか自分なりに考えてみる。うーん後は帝国市民への攻撃は禁止にしておけばそれでいいかな?
「あ、後一ついいですか? 自分はノルドール連合国イスルランディア軍和樹隊隊長の加藤和樹です」
「ふぅむ、君があの……」
「な、何のあのかはわかりませんけど。そちらに注意してほしい事は帝国国民への直接的略奪は禁止をお願いします。あくまで帝国の支援であって、帝国国民へ攻撃してしまえば何のための支援かわからないですから」
「わかった、後はどうせ帝国からたっぷり金は出るんだろう? いくら出そうだ」
「それは私から、恐らく7000デナリは間違いなく出るでしょう。それと今までの犯罪行為に対しての特赦が───」
「安い」
おうふ、空気が凍った。さっきまでニヤニヤしていたレッド兄(仮)が急に表情をまじめにして凄む、これがこの男の本当の顔ってやつかね。兄上様やラドゥさんと似てるけど視線に悪意を感じるあたりが商人な気もする。たぶんこれ吹っ掛けるための交渉の一つだろうし、最初に安値を言った俺たちも悪いっちゃ悪いけどね。
今大陸では前も言ったけど傭兵の需要はウナギ登り、精強な騎兵なら10人雇うのに前払いだけで1000デナリは覚悟した方がいい。となると騎兵100騎、軽歩兵100人を雇うとなれば少なくとも一万五千デナリは必要、7000じゃやっぱ動かないよなぁ。
金額が少ない理由は、本来は犯罪者であるレッド団(サーレオン・帝国支部)を軍への奉仕活動として特赦にしてやるってことなんだけど……まあ彼らからすれば言われるまでもないっていうんだろうな、特赦があろうが無かろうが戦いが終わったらまた活動するつもりだろうし。
「少なくとも二万デナリはいただこう、それとレッド……俺のところに帰ってこい。」
「なっ!?」
「そ、それは……」
「どうした? それがこちらの条件だ」
なるほど、こいつはシスコンか何かか。とりあえず仲間であるレッドさんの身柄を犯罪組織に渡すなんて論外、ほんでもってまたニヤニヤしやがってこの野郎。でもここは交渉の場、口下手な俺は我慢しなきゃいかん……横のカザネも俺の服の裾をギュッと握りしめてるしみんな表情に出さないように努力してるんだ、俺が勝手に爆発しちゃいけない。
国家に所属する身としては一人差し出すだけで襲撃戦に長けた200の部隊がすべて協力してくれるというのは魅力的だ。だけど……くそっ!
「いいぜ、アタイの身一つで犯罪組織が丸々下るってんだろ? 糞兄貴と一緒に居るのはいやだけどね」
「レッドさん……」
「……残念」
「くっ……」
「なるほど、俺の妹にそこまで肩入れするとはな……レッドの身柄引き渡し抜きでその話乗ってやるよ、お兄ちゃんだから我慢するのは慣れている。だが代わりにひとつ条件を」
「交渉役としては駄目だとは思いますが、国そのものなどでなければレッドの身柄のかわりになるものならばなんなりと」
「では俺たちにも領地をくれないか、どうせ内戦の後で余っているんだろう? 犯罪組織を廃業したら戦争がないと食ってけん、200人雇える領地が欲しい」
「200人となると……そうですね、確認しないと───」
「今、返事を聞こうか」
レッドさんが覚悟を決めて、皆が悔しがっていると突然相手はふぅむと言いながら突然レッドさんの身柄引き渡しを撤回、なんぞこれ、ブラフだったのか? やっぱり俺には交渉事とか向かんね。
それに突然ニヤニヤ顔からふつうの笑顔になったかと思ったらまた真面目な顔になったりと、どうにもこの男どれが本当の顔かわからん。とりあえずはレッドさんが人質(?)というかまあそういうことにはならないって事はよかった。
でも200人を養える領地か……この前の領地再配分の会議に参加してたからわかるけど、ぶっちゃけ国有地として残した土地では騎兵を含めた200人はちと厳しいと思われるわけで。それで即答しなきゃいけないか……まだ支払いっぷりを試してんのかね。国のピンチなら日本人的にちょいとここで自分の身を削るしかないと思うんだけど?
「セニア、俺の領地はノーフォーク農法が普及すれば予定では300は食わせてやれるよね」
「ええ、ですがそれは……」
「今は国家の緊急事態だよ、土地をケチって後々敵に奪われたんじゃ意味ないしね」
「ほぅ、ずいぶんと自分の領地に未練がないんだな、欲がないのか?」
「人並みにはありますよ、だけどそんなことより今は戦力の確保です。正規兵ほどでないにしても襲撃戦に慣れた200の兵士が手に入るならば未練はないです」
未練はぶっちゃけばりばりありますよ、でもさっき俺が言ったみたいに今は戦力確保。とにかく人的資源の少ないノルドール連合は少なくともあと数年は徴兵を行うことは避けなきゃいけない。出来たばかりの国家に移住してきてすぐ徴兵されればいい評判にはならなくて移民は減るし、経済も滞る……それらはこの新しい国には絶対に避けなきゃいけない事ばかりだ。
「そんなこと……そうかお前にとって領地への欲はそんなものかっ! これは珍しいやつもいるものだ!」
「正直にいえば、自分はノヴォルディアの仲間とセニアさえいれば他には基本何もいらないんで」
「くくくっ……いいだろう、気に入ったぞ。『異端』と聞いていたがただのお人よし、いやただのノロケた男じゃないか」
「そいつはどうもです」
「よかろう、では資金の支払いがあり次第一日兵を休ませてからさっそく襲撃に行くとしよう……ではなカズキ。レッドも無理はするなよ」
「ふんっあんたに言われる筋合いじゃないね、でもまぁありがとさん」
レッド兄(仮)は最後にレッドさんの事を気遣った後背後で待機していた兵士と共にどこかへと去って行った。あれ、まてまて署名とか契約書類とか受け取んなくていいの? 口約束だけでいいわけ?
「やっぱりカズキが来て正解でしたね、まさかこんなことになるなんて」
「……雇うだけのはずが戦力として組み込まれた」
「まさかあの糞兄貴に信頼されるとはね、あいつはまあ面白いことも大好きっちゃあ大好きだからねぇ」
「え、なんか俺すごいことした?」
「自覚がないのもあなたらしいですよ」
「え、うん。そ、そうかな」
「ふふっそうなんです♪」
と、とりあえずこれで増援要請に関しては彼らの派遣と捕虜交換の仲介で十分応じたことになるだろう。後は十字軍の対応を考えないと……まずはノヴォルディアに戻るとしようか。
「それでは帰還しましょう、みなさん帰りも護衛をよろしくお願いします」
「「「了解っ!」」」
続く戦乱、ゲームの主人公、俺という異分子……ゲームの知識がこれからはもう役に立たないんだろうなぁ。あーもう日本では当たり前だと思ってた平和の尊さを今になって感じるとはね、トホホ。
あとがき
エルフの森からこんにちわ史上最大ボリュームでお届けしました。約8500文字、やっぱりいつもの二倍ですから時間かかりますね(汗)