前回のあらすじ
・戦力差はなんとかなりそう?
・帝国軍の汎用人型決戦兵器(嘘)
・古代ペンドール王国(聖杯が目印)
<和樹視点>
───ノヴォルディア 和樹の執務室
さて、ヤノスでの会議終了後ノヴォルディアに戻って、さっそく帝国領南の山脈北方面軍の一員として出撃するための準備スタート。現代情報処理技術学生の書類能力をなめるなよ!!
といいつつも、出征はちょっと先なのにいつにもまして書類仕事がggggg そろそろノルドール連合国の補給の鬼とか出てくれないかな……キャゼルヌさんとか今村大将とかが欲しいです……
「反乱時に使用した可動式杭について……出征の準備とは言っていましたがニンゲン、なんですそれは?」
「おお、ラトゥイリィちょうどよかったこいつを見てくれ、どう思う?」
「すごく、冊子で、す?」
「そこは大きいですと答えていただきたかった、ってカルディナじゃなくてラトゥイリィに言ったんだけど」
「えっ? 私?」
「なぜネタをひろわな、い?」
「大事な大事なチャージアタック!」
「えっ? えっと?」
「なんと、ラトゥイリィは知らないのか、ノヴォルディアで大人気なのだけれど……『チャージ25』」
「あーまぁ一応元ネタこっちだからなぁ……ごめん、無茶振りだった。」
「セイレーネは大好き、だもん?」
「……わけがわかりません」
えーっと、ちょうど旅のしおり的なうちの部隊向けのパンフレット作ってたんだけど、そこにちょうどラトゥイリィが来たので読んでもらおうとしただけです。
ところがどっこい、同じ執務室にはパンフレットの手伝いをしてくれていたカルディナとセイレーネが! ついみんなで悪乗りしてしまった。うん、もうこの子たち完璧にネタ類把握できてるし、まさか村のころに教えてあげたらいつの間にかノヴォルディアになるにあたって、闘技場でのトーナメントとは別に行われる大規模な娯楽イベントになってしまいました「アタ○ク25」。こちらでは「チャージ25」って名前にしているけどね。
チーキュのネタがさっぱりなラトゥイリィには厳しかったね、しかたないね。
「あーいつものネタだから気にしないで。ちなみにコレ、出征部隊向けの冊子」
「部隊に配るのですか?」
「そそ、作戦について細かく書くと情報機密的にまずいから、あくまで出征に必要な知識やQ&A的なものを配布しておこうと思って」
「『きゅーあんどえー』が何かは知りませんが、兵士に最低限度の遠征知識を教えておくのは必要になるでしょうね」
「ノルドール的には、初めての森の外遠くでのたたか、い?」
そう、なんでこんなパンフレット作っていたかというと、ノルドール軍は基本聖なる森の中で防御的に戦う軍隊だ。高い機動力の弓騎兵と、軽装な弓歩兵を中心としたノルドールは攻め込んでくる敵に対しての機動防御を軍の基本としている。
おかげで攻め込むんなんてことは想定しておらず、まして聖なる森からかなり離れて戦うなんて論外だ。だから出征したらしてはいけないことなんてさっぱりわからない。
前回の北領防衛戦も防衛戦だし、サーレオンとの連携戦ではノルドールが引き付けつつ射撃により損耗させサーレオン歩兵部隊と騎兵部隊が攻撃しているしね。最初の帝国軍との戦いの時も突撃したのはレスリーさん率いるサーレオン人部隊だし。
水は確認するまで飲むな。現地の女と軽々しく寝るな。初めて見る食べ物はとって食べるな。拠点から離れたら水は大事にしろとかetcetc...ぱっと思いつく『海外に行ったらしてはいけないこと』に+αすれば良いわけなんだけれども、軍事的にはもう少し別な側面からも兵士たちが知っておいたほうがいいこと(現地の風習とか)も書かないといけないわけで……そこは帝国出身のホルスさんに教えてもらった。
まだあくまで遠足のしおりに毛が生えた程度の出来だけど、これから各部署の方とかに見てもらったりしてどんどん改定して出征前に前にはもっと完成度の高いものを作りたいね。
「なるほど、ニンゲンも少しは使えるだけの頭があるのですね」
「反応が鈍いのが、難点?」
「基本バのつく頭ではあるのではないですかな主」
「み、みんなひどくない……?」
「「「えっ?」」」
「いいよ、もう……」
ち、ちくせう、みんなで俺のこといじってやがらに。確かにバがつく頭かもしれんけど、なんならこの大量の書類をお前たちに全部投げてやろうかーー!!」
「といいつつ仕事をまかせて、る?」
「そう考えると主はやはりこの国にとって必要な方ですね」
「途中から声が出ていますよニンゲン」
えっ、なにこれ。今日俺あんまりにもなんというか扱いひどくない? いいよ、もう一人黙々と作業するから……部隊の兵士たちから後で「ここしおりで見た!」って言ってもらえれば……北領防衛戦の後からはみんなまた昔みたいに距離をおかずに話せるようになったし……
「まぁ確かに大事な配布物を作っているのはわかりました。この調子でこちらの部隊分もよろしくお願いしますよ」
「まぁいいけど、大まかなところは変わらないから。後でそっちの部隊の人に覚えておいて欲しい事でここに乗ってない事があったら書類にまとめてよろしくね。期日は明後日の夜までで」
「わかりました、明日の昼までに大量に書類を持ってきて地獄を見せてあげましょうか」
「そ、それはカンベン……」
「それってラトゥイリィの仕事量も大変になるんじゃないか?」
「きっと中隊長程度の人に見せて書類をそれぞれにかかせ、る?」
「はいはいはいはいー! 作業しようぜ! 働こうZE!」
「はいはいはいはいーではお仕事がんばってくださいねニンゲン」
───バタン
む、むっきー! 最後まで薄ら笑い浮かべおってからに! 覚えてろよ……Q&Aの項目に「ラトゥイリイとホモダチになることは禁止されていません」って項目つけちゃる。イケメンで中性顔はな、ユーノ君ポジになってモテないんだぞ! ばーかばーか!」
「今だに気づかれないか……えっと、また声に出ていますよ主」
「疲れてるからそっと、すべき?」
あーうん、ごめん二人とも。早く仕事終わらせて寝よう、うん。いやそれよりも飲みに行こうか、ちょっとしたストレス晴らしもかねてね。
<ホルス視点>
───ノヴォルディア 訓練場
帝国の捕虜の代表としてこの村に来てからもうすぐ一年か……時が過ぎるの早いもんだな。
「ホルスさん、どうしました?」
「おっさん、ついにボケたか……」
「ノルドールの美人さんに介護されたら教えてください、口説きに行きますから」
「おまえおっさん趣味だったのか、口説きに行くとか……「ちょっ違っ!?」」
「おまえたちなぁ…… 新兵のシゴキに戻れ!!」
「「「うへ~い」」」」
まったく、帝国のころから付き従ってくれてるやつらは昔から俺のことをおっさんとかおやっさんって言うけども、まぁそれはいいんだ。だけどさすがに軍務中は役職名とかで呼んでもらわないとなぁ……ノルドールはその辺がゆるいからあまり出撃しないとピシッとしないのだが。
「こちらはやはり楽しそうですな」
「おっと、こっちにもどってたんですかラドゥ殿」
「どうやらこの大陸をすべて巻き込んだ大規模な戦になると聞いてな。おそらくヤツの草原での工作に使える情報を入手できそうだ」
「そうですか。こっちの街道警備隊はこの戦のせいで人材不足でして……熟練兵は残して新兵を教育して、そこそこのやつらは新兵の代わりに基地守備隊に引き抜かれる始末」
「補給線の維持は遊牧民の俺としてはいまいち重要性がわかりにくいが、これほどの大規模な兵力なのだ。食料だけでも膨大な家畜が必要なことぐらいはわかるさ。ホルス殿達が居なければ兵士が飢えて戦う前から負ける。しっかり頼みますぞ」
「それはもちろん。でもまぁ北領への補給とヤツの草原との交易にはノルドール達に結構まかせますよ。もちろんうちも巡回警備兵は回しますが」
正直、補給線の維持はある程度実は小規模だから何とかなるわけだが、将来的にはもっと俺達街道警備隊は拡張してもらわないとな。
今現在俺達元帝国歩兵を中心とした街道警備隊は、軍需物資の集中貯蔵されているノヴォルディアの兵器工廠や装備工廠で作られている物の運搬を担当している。
食料品など日常的に消費される物資は帝国から供給されるものが多いので、そっちの警備は帝国軍と市民兵・市民警備兵にまかせてる。もっともノルドール連合国の各村からも物資の輸送は民間でも行ってる。前回の内乱で多くの人が逃げ込んだベルギカなんかでは、逃げた人を養うために大規模なパン工場を作ったらしく、内乱が終わった後は聖なる森という賊の心配のない交易路の中で小麦→パンの大規模な生産地として活躍中だ。
北領はサーレオンの交易隊にいったんノヴォルディアに行く前に北領駐屯地に寄ってもらい、行き返りの物資運搬を小遣い稼ぎでやってもらってなんとか人員不足をしのいでるってわけだ。
正直これ以上補給路の防衛戦力を引き抜かれるとかなりきつい……
「そぉおしてぇええ黎明騎士団とぉ夕暮騎士団の動きが活発になっているぅう。『異端』とやらのぉ噂のぉせぃだぁろう」
「……スネーク教徒の義勇兵の方か」
「あーラドゥ殿は会うのは初めてかい。こいつはスネーク教徒義勇兵というか、スネーク教徒から離脱して義勇兵として帝国に身を寄せてたらしいですぞ」
「エリッサよぉお、よろしくぅうう」
「……こちらこそ、共に戦えて光栄だ」
さて、今度の戦はどうなるんだろうか……
<レッド視点>
───ノヴォルディア 食堂
「……(モグモグ)」
「よく食うねぇ……」
「……レッドは暇なの?」
「みんな忙しそうで悪いんだけどアタイたちはそんなに急ぐことが無いのさ。暇なわけじゃないけど」
「……そう(モグモグ)」
カザネがご飯を幸せそうに食べている光景を眺めているとなんだか癒されるなぁ……あ、そうそうアタイら医療班って、出征準備中で忙しいノルドール連合の中で断トツに忙しくないね。
今回アタイたち医療班は、出征部隊についていって最前線には行かない。最近医学に興味のある人たちからちゃんとしたカズキの国の医療について学んだのが結構数がそろいつつあって、アタイら古参の医者達をノヴォルディアに残して新人の育成とノルドール人の医者を増やしてノルドール連合国の村々に派遣する事が今後の予定でさ。
兵士達にもあらかた新兵訓練の時や、装備・操典の変更時についでに衛生知識について教育してるんだけど、その教育の中で神経が図太いやつに衛生兵にして、戦場で負傷した場合「衛生兵」→「後方野戦病院」→「本国大病院」の流れを実際に運用中さ。
「後方野戦病院」は、駐屯地や前線より少し離れた補給拠点に居を構えてて、主に馬車で前線に駆けつけたりする救急車(カズキ命名)を装備して、そこそこの医療設備を持った病院だ。「本国大病院」も救急車を装備して最新の設備を持って大都市に存在している。アタイはそこで研究と教育と治療担当ってわけさ。
ちなみにこの負傷兵への対応は、実際に街道警備兵が負傷した時にすでに何度か行っていて、そのつど問題点や運搬装備や各種医療装備の改良を行いつつ、カズキがわからない分野の負傷に対する新しい治療方法などの研究を行っているってわけ。
救急車のガタガタゆれることによって症状が悪化したり、各種病気への知識不足や対処法の不足など研究しなきゃいけないことも山ほどある。こういったことがうまくいけば、戦場で死ぬやつはだいぶ減るし悲しむ人も減る。そしてこのノルドール連合国は世界で一番長生きできる国になるってわけだ。アタイもそりゃ長生きしたいしね~
つまり、アタイらは忙しく根を詰めすぎると研究に響くし、いざという時の熟練医師として出番があることからこうやってこまめに休憩を取れるってわけさ。長ったらしい? あー気にしないでくれないかい、最近話す相手が同じ医者連中ばっかりでそれ以外のことをしゃべりたいのさ。
「どうもさ~聞いとくれよカザネ~」
「……?」
「みんな忙しいじゃんか~ どうもそれでアタイみんなとしゃべれてないし、ご飯とかも一緒に食べれてないし……」
「……確かに、村のころはいつも一緒だった」
「だろう? やっぱアタイは村の時みたいにみんなでわいわいしたいわけだよ」
そう、最近戦争が相次いでいるおかげでみんな忙しくてさっぱり一緒にご飯を食べたり騒いだり出来ない!
所属が近かったり同じだったりするやつは一緒にいろいろしてるみたいだけどさ、医療班ってアタイだけなんだよ……書類仕事しているセニアやカズキはいつも忙しそうだし、レスリーはなんか裏でいろいろしているみたいだし、軍のやつらはみんな新兵の訓練や再編成で忙しいみたいだし。
だからつい誰かが休憩中のところを見つけると話しかけたくなるのさ。まぁ、寂しいんだよ、アタイも……
「なーなーカザネー」
「……早く終わればいい」
「ん?」
「……早く一連の事に決着がつけば、きっとまたみんなでご飯が食べれる。隊長のごはんも食べれる」
「うん、そうだな……早く終わればいいな、こんな戦争なんて」
「……うん、だから終わらす。私達が」
幸せそうにご飯を食べていたカザネが悲しそうな顔になりなっている。えーっと、こりゃしんみりさせちまったかね。ここはひとつアタイが責任を取ってカザネを笑わせてやらにゃいかんでしょ!
っと、それよりもご飯おいしそうだな……そういえばまだお昼のご飯まだだった。ここはちょっともらってもいいさね?
「えいっ」
───カプッ
「あっ」
ふっふーん、最後に残っていた玉子焼きの1欠をつまんでやった。うーんうまうまだな、ここの食堂は『日本食』のおかげで全般的に何でも旨いんだよな~
「うまうま~って、な、なんだいカザネ、その目は」
「……レッド」
「お、おう」
「……(ジーッ)」
「な、なんだい?」
「……(ウルウル)」
「な、なにも玉子焼き一欠けくらいで泣くこと無いだろ!?」
「……楽しみに最後まで取っておいたのに」
だーっ!? やっちまったー!! わらかしてやろうと思ったのにまさかの泣かせちまったよ! ど、どどどどうするアタイ、ここは素直に謝るしかないよな!?
ってーかカザネもこれで泣かないどくれよ!
「わ、悪かったよ」
「……(ジーッ)」
「あっ、な、なら同じの頼んでやるよ。それでだめ?」
「……(ジーッ)」
「だーっ! わかったよアタイが悪かった! 好きなものアタイのおごりで食べていいから!」
まぁ、しゃーないでしょ。アタイがつい横からつまみ食いしたから泣かせちまったわけだし……って、あれ?
なんかさっきまで涙目だったのが、いつの間にか治まってる?
というか、その期待に満ちた目はなんだい……
「……なんでも?」
「好きなもの食べればいいさ」
「……いくらでも?」
「いや、いくらでもってわけには」
「……(ジーッ)」
「食えばいいよ、もう……」
とほほ、これで今月のアタイのご飯代が飛ぶかもわからないね。まぁ、でも久しぶりに楽しい時間になったのかな?
まぁ、その後食堂の請求金額を見て、カザネのご飯に次は下剤を入れてやろうと決めたけどさ。
あとがき
エリッサは、PoPの最新バージョンで登場したので、ちょっとゲスト出演させてみました。
今後もsageで更新しつつ、親話はものすごいゆっくり更新になります。申し訳ございません。