前回のあらすじ
・いよいよ一心不乱の大戦争(ry
・やべー、まじ戦争やべー
・一人ぼっちは、さみしいもんな(byレッド・ガイディア)
<和樹視点>
は~るばるー来たぞ前線~
……はい、北領駐屯地遅延作戦で壊滅的被害を出したばっかりなのに早速前線配備されました。といっても三ヶ月近くは再編に時間を取れたのでありがたい限り。
えーっと、現在の戦況? 十字軍がフィアーズベインにて編成を終えて進撃してきて、現在帝国国境付近で神の名の下に略奪焼き討ち異端狩りのオンパレードらしい。すでに国境線を突破して帝国本土西を略奪しまくっていることでしょうね、これはひどい。
しかしながら帝国はすでに国土の真ん中に位置する湖を利用して、細い回廊のみを戦線とするラインまで物資人命等々後退させており、十字軍は略奪して進撃速度を維持しようとしているものの、避難済みなおかげでさっぱり物資が手に入らずgdgd中。
ここでレッドさん兄のレッド兄弟団や、神様なんてクソくらえな背教騎士の皆さんがgdgd中の十字軍の補給路を次々に襲撃してすさまじい遅延と消耗を強いているようだ。まさに帝国領に侵攻した同盟軍状態。焦土作戦で物資不足な上に補給線への襲撃、できれば今回の戦いでもアムリッツァフラグが立っていただきたい。そういえば敵地では必要としている補給の5%しか届かないとか誰か昔の偉い人が言っていたような……
まぁそれでもさすがは十字軍、神の名の下に集った兵士達は普通だったら逃亡者が相次ぐ状況なのにほとんど戦力の低下はないご様子。その上ますます俺に対する恨みを募らせているそうで……お、俺がいった何をしたっていうんだーー!! いや、まぁ補給線襲えって言ったの俺だけど。
現在俺とラトゥイリィ、そして帝国のデオダトゥス殿が着任して湖の南戦線、山脈北は必死の防衛戦準備に追われてます。毎回湖の南山脈北とか言うの面倒くさいので、ヤノスでの作戦会議で各戦域の名称を決定しました。
地図
ラリア
-サーレオン国境要塞群-山脈山脈------------------- ノルドールの聖なる森
山脈山脈 聖森 ノヴォルディア
北部戦線 聖森
←帝国西領土 聖森
湖湖湖湖湖湖 聖森
湖 湖 聖森
湖 湖 聖森聖森聖森聖森聖森
湖 湖エートス
湖 湖
湖 湖
湖 湖
湖 湖 高地高地高地高地高地
湖湖湖湖湖湖 高地高地高地高地高地
海
海海 中部戦線
海海海ヤノス 山脈山脈 ----------------
海海海 山脈山脈山脈---------------
海海海海 南部戦線 -
海海海海海 -
海海海海海海----------------スネーク教徒宗教国家
海海海海海海海
↓海上にヴァンズケリア
と、北部戦線、中部戦線、南部戦線に分けて戦う。帝国は首都ヤノスをも焦土作戦の対象にしてまさに二度と大国に復帰できないという覚悟を持って今回の戦争に望むようだ。そりゃ悪魔崇拝軍と十字軍に目をつけられちゃたまったもんじゃないしね。
今回の異端とは関係ないということで十字軍をスルーしようにも、十字軍は国土をどうせむちゃくちゃに荒らしまわっていくし、なら焦土作戦しかないっしょとのこと。国土の70%を一連の戦乱で割譲・荒廃させられる帝国はまさに国家としてギリギリ状態。地球の歴史を見ても将来歴史家からすでに賞賛されるだけの偉業を成し遂げまくっているマリウス皇帝でなければ絶対に各国による国家分割が行われていたであろうことはほぼ間違いない。
ただ、今回の避難などの一連の農民の再配置により、人口が過疎りまくっていた村に人手(主に老人と女性しか居なかった)が戻り東部の国土は比較的再建されつつあるらしい。
まぁ今までレッド兄弟団に背教騎士団にスネーク教徒の跋扈する地域だったわけで、その脅威がなくなっただけでも帝国東は発展することができるでしょうなぁ……
「作業は順調ですかな? 防衛戦の神様殿」
「おっと、これはこれは気づかず失礼しましたデオダトゥス殿……えっと、防衛戦の神様といわれましても、デオダトゥス殿に比べればまだまだです……」
書類整理という現実から逃げて、中部戦線防衛要塞の作業状況を視察に来ていたところ、後ろから声をかけてきたのはあの帝国の英雄デオダトゥス殿。ひぇーやっぱり主人公オーラというか北斗なコブシみたいに青いオーラがでているような。まさしく古強者って感じの人です。
ぱっと見ショーン・コネリーっぽいかも?
「いやいや、北領防衛戦での勇戦は聞き及んでおりますぞ。 しかし……やはり帝国の要塞とはまったく違う構想で作っているのが現時点でもわかりますな。帝国式、いやこの大陸では要塞は敵を押しとどめる物ですがこれは違うように見受けられますぞ」
「さすがはデオダトゥス殿、この要塞線はあえて言えば釣り針のようなものです」
「一度引きずり込んだら二度と離さない、しかも魚にとっては身動きが制限され出血が重なるというわけですかな?」
「はい、突入は簡単です。ですが突破は非常に難しく、撤退は突破を試みる以上の出血を魚に強います。そしてどちらを行うにしても身動きはとりにくくしてありますので」
「これがカズキ殿の祖国の戦争ですかな? まったく、これでは勇敢なる英雄などとても生まれないでしょうな」
「祖国での少し古い時代の戦争様式ですね。密集隊形の歩兵部隊による白兵戦と、重騎兵部隊による突撃。これらに対して圧倒的な防御力を誇ります。その分攻撃力は皆無ですが……」
はい、今回中部戦線の要塞、防衛拠点などの整備を俺がまかされており、現在一番重要な主要要塞を建築なうでござい。
名前は「エバン・エマール要塞」……えっと、縁起が悪いんだけど、基本要塞って攻略されるから仕方ないね。他の防衛拠点など出城的なものにも名前がつけており、それぞれが連携して「ジークフリート・ライン」を形成する。「マジノ」とか「リョジュン」とか「コレヒドール」とか「モドリン」etcetc……まぁ、攻略された要塞の名前しか覚えてなかったんです、ごめんなさい。
基本中世に相当する技術力、文明であるこのペンドール大陸では、防衛拠点は高くて太い壁により登らせない、通らせない、弾き返すという思想。
今回の防衛要塞たちは近代的な、高さはそこそこ(投げフックが届くレベル)、人の露出がほとんどなし。大型バリスタを取り付けた砲塔を装備し、攻城兵器による攻撃に耐える傾斜装甲。斜めっている城壁を突破させないようにする鉄条網や鼠返し等々。
ようするに見た目はクロスファイヤが可能な18世紀型要塞(星型要塞の一世代古い形)で、相互支援が可能な防衛拠点。塹壕による第8まである防衛ラインと小規模の部隊のみが撤退可能な坑道による塹壕間移動などなど。もちろん北領駐屯地で使った偽装塹壕に燃料による塹壕への着火もあるよ。
ふふふ、防衛ラインと要塞が一個だけで防衛線を張ると考えているペンドール人には、耐え難い損失を出し続ける複数列塹壕はまさに外道。進むのも大変戻るのはもっと大変。突破した塹壕に隠れても城壁から丸見えの外道っぷりも完備しているわけで。正面だけ厚くして背面を低くする塹壕のアイデアをすんなり思いつく帝国の人たちもさすがだけどね。
しかも密集歩兵時代まっさかりなペンドール大陸にはびっくりの「猟兵」というジャンルが帝国軍の精鋭部隊と一般的なノルドール軍にはできるという士気と錬殿高さが味方してくれる。複数列塹壕ができるのも、彼ら士気の高い散兵や熟練兵たちのおかげです。
「本来は火薬を使った火力による制圧射撃とかできればいいんですけど……この大陸には火薬がないみたいですから。ソビエトロシアでは、火砲が君を制圧する!」
「『そびえと』? うぅむ、先ほど言った火薬とやらですが、どう書くのですかな」
「えっと、燃える火の薬ですね。火をつけるとものすごい勢いで体積が膨れ上がり炸裂します」
「体積が……我が国のあれとは違うようですね」
「? なにか燃焼する物に覚えでもあるのですか?」
「……国家機密でしてな、もしこの要塞に敵が攻め寄せた時お見せできるでしょう。楽しみにしてくだされ」
「は、はぁ……」
な、なんだろう? もしかしてナパームでももってて汚物は消毒ダァーーー! とか、ハハッ朝のナパームの臭いは最高だな! とか言ってるのかね帝国人って……ないか(汗)
「こちらとしてもノルドール人部隊の射撃能力と、ノルドールの弓の技術を使ったクロスボウ部隊の実力、楽しみにしていますぞ」
「ええ、必ずや敵部隊をこちらに到着するまでに蜂の巣にしてご覧に入れましょう」
今回この駐屯地に配備されたノルドール軍は基本射撃部隊。要塞内部や塹壕奪還攻撃用兵力は帝国軍の歩兵部隊に完全にお任せ。
ラトゥイリィのノルドール下馬弓騎兵(いざという時の長距離高速機動も可能な部隊)と、俺の部隊のノルドール弓兵+人間族ノルドールクロスボウ装備兵の弾幕は50人しかいないとはいえ、正直ノルドールの精霊の加護のチートっぷりのせいで、ボルトアクションライフル銃兵50人とほぼタメと考えていいバグ性能。中世でこんなのいたらファンタジーふっとんじゃうよ、ホント。
そしてトレバシェット15機に、カタパルト20機、大型バリスタ10門、要塞取り付けのスコルピオンサイズのが50門。これらは帝国軍の歩兵隊が要塞内にこもっている時に使ってもらう。これで歩兵が死兵にならなくてすむというわけで一石二鳥。
しかも要塞内部から撃てるから損害は敵の曲射か、敵の攻城兵器による城壁の破損後のみ。弾着観測班もこれから訓練を重ねて用意できたらいいなぁ……でもまぁ今でもすでに帝国軍は、白い石を100m単位で設置して、それを目安に射撃エリアを割り出すというドクトリンがあるので意外と命中率がよかったりもする。これは冗談抜きで蜂の巣になりまっせ……
「しかしこうなるととんでもない制圧射撃力になりそうですな……」
「騎兵は塹壕を越えられず、歩兵は密集隊形で来れば射すくめられ、散兵戦で来たとしてもこちらは要塞にこもっているので損害は皆無。まさしく相手にとって悪夢でしょうね」
「さすがはカズキ殿、すばらしく合理的で騎士道精神のかけらもない戦になりそうですな」
「あ、あはは……えっと、自分にとってはほめ言葉ですよ。合理的ならばそれだけ味方の損害が減りますからね」
とかしゃべってたら
「敵襲ーーーーーーー!!」
なっ!? なにもう十字軍が来たのか!? は、はやっ!? 要塞はほぼ完成してるけど部隊配置してないぞ!! やばいやばいやばい!? なんで国境線あたりでうろちょろしているはずの敵がこんなところまで!?
「敵兵力を報告せよ!」
「敵はすべて騎兵! 十字軍所属のDシャア朝部隊のようで数およそ60! 十数名程度の隊商を追撃しているうちにここに来たようです!」
「隊商はどこの所属だ」
「隊商もDシャア朝の所属のようであります」
「……十字軍の名の下に同じ国の隊商まで襲うか、つくづく下種なやつらだ十字軍め」
おうふ、部隊の配置とかを考えてたらいつの間にかデオダトゥスさんがスタコラサッサとお話を進めてくれているようで。さすがは帝国の英雄、こういう人が上だとちょっとは今回の防衛戦は楽できそうだ……
「カズキ殿、残念ながら帝国軍はまだ到着しておらん。ノルドール軍だけで防いでもらえまいか」
「むしろ取り逃がすと後々この要塞について知られることになるので、できれば殲滅したいですね」
「できるのか? 敵は騎兵ですぞ」
「ええ、なんといってもこの要塞は攻め込むは安し、帰るは難しですから」
「……以前の戦はサーレオン要塞線に居てノルドールの戦いぶりを見たことがない。楽しみにしていますぞ」
「了解です、と、いうわけでラトゥイリィありがと」
「言われなくてもすでに部隊の配置は完了しています、後は役に立たなくてもとっととニンゲンも配置についてください」
とまぁ、しゃべっている間にラトゥイリィが一晩ならぬ数分で連絡してくれました。なんかもう部隊の兵士達がぞろぞろと装備もって要塞上や、内部銃眼へ配置についているご様子。
「射撃戦、状況「必中射程まで待機」かな。そっちにカルディナとセイレーネ出張ってるし、その辺は聞けばわかると思うから」
「射撃戦、状況「必中射程まで待機」ですね。わかりました、彼女達に伝えて手本を見せてもらいましょうか」
「よっしゃ、いっちょやりますか!!」
「う、うざい……」
うざかろうか知ったことかー! ……無理にでもテンション上げないと、戦争なんてやってられるかよ……
<ラトゥイリィ視点>
さて、報告から15分程度でしょうか。すでにこちらは要塞、防衛線に配置を完了し準備は万端。視界には追われている隊商と家紋を掲げた60騎ほどの部隊。そして隊商を迎えにいったフリをしてあわてて逃げ出したようなフリをしている騎兵3騎と、作業に当たっていた労働者の有志。
いい感じに要塞に向かって誘導に成功しているようです。初見ではこの要塞と防衛線はななめになっている城壁のおかげで山か大きな建物に見えますからね。もっと近付けば城門が開いたままになっているのがわかりますが。
そしてその要塞正面には危険手当を出すことを条件として労働者の人たちが、作業を担当していた塹壕前で普通の生活をしているように見せかけます。これでどうみても敵には奇襲に成功したと見えるでしょう。
「まもなく射程距離に入りま、す?」
「ありがとうカルディナ。射撃戦、状況「必中射程まで待機」で行きます。至近距離統制射撃準備。照準の割り当てを行ってください」
「統制射撃準備だ! 「必中射程まで待機」だぞ!!」
「「「おおーー!!」」」
さて、カズキから統制射撃などについての知識がある仕官の不足を理由に、カルディナと弓の得意なセイレーネを借りている以上、ここで失敗するわけには行きませんね。最初から全力で挑ませていただきましょう。
どうでもいいですが、セイレーネってツヴァイハンダーを振り回すだけではなかったのですね……
「ーーーーー」
「「「オオー!」」」
カズキ隊の方でも準備が出来たようですね。さてさて、それでは十字軍相手の本番前の実地試験とさせていただきましょうか? このDシャア朝とやらのニンゲンめ。
ぐんぐんと敵騎兵は接近してきます、まだ遠いですね。
労働者達があわてて塹壕に向けて逃げ始めます、もう少し。
城門付近に接近してきました。突き出ている要塞城門前出城をどちら側に避けて城門に来るか……いいですね、囮騎兵に釣られて予定していた方へ来てくれました、もう少し……
「今! 撃ち方始め!」
「撃てーーー!!」