前回のあらすじ
・ニンゲンさんいらっしゃ~い
・切れるノルドール
・ベルリンの壁より高い軋轢の壁
<和樹視点>
セニアさんの視線が怖いのと、女性をジロジロ見るのはアレなのでぱっと見でしかないけれども、レスリーさんもガイディアさんもかなり美人である。しかしながら彼女達はこの村の住人でもないし、まして人間なので
あまり長居することは無いだろう。彼女たちと隊商と護衛兵の皆さんはこの後どうするんだろうか?
と思ったらレスリーと名乗った女性が手を上げてます。
「すみませんが私は一度隊商長と話しをしてきてもよろしいでしょうか、積荷は食品など日持ちのしないものばかりなのです」
「すまんのぅ。残念じゃがすぐにこの村から出すわけにはいかんでの。そちらの人員にも怪我をしているニンゲンはおおいじゃろうて、すこし休んでいくといいでの」
「う~ん、アタイは別にいいんだけど積荷がなぁ……」
食品かぁ……米とかはゲームになかったから多分無理だとしても、この村に流れてこない久しぶりの人間の食料だ(無謀にも森に踏み込んできた野盗連中の持ち物ぐらいしか入ってこない)。なにかおいしいものが作れればいいんだけど、ちょうどいい食材とか調味料とかないかな。
「食品か……何を運んでイテテ……たんです?」
「あぁ、無理なさらず。えっと、エール3グループに植物油4グループ。それから……あぁ目玉商品として香辛料が7グループですね」
グループっていう単位はこの世界の商いの基本となる単位で、なんでも「1グループ約50人前」らしい。つまりエール3グループなら毎日夜に50人が飲んでも3日楽しめる量ってことになる。
英語が基本言語っぽいペンドール大陸では単位は一応英語っぽいので統一されてるみたいです。
ま、まてよ……さっき運んでる物資の中に聞き捨てならない物がありませんでした!?
「こ、香辛料ですかっ!? 胡椒? 唐辛子?」
「なんだカズキ、えらく反応するな?」
「胡椒が主ですが、ある程度砂糖などもありますよ。ほかのものに付いては隊商長に聞いてください」
いやいや兄上様それどころじゃないですって、香辛料はその価値から大航海時代をへてオランダとかイギリスの、いや世界の歴史を動かすぐらいにすんごいものなんですよ?
そういえばM&Bプレイしていると、よく交易成金するために買い占めたもんだなぁ。ま、歴史とかはおいといて、植物油とパン粉で揚げ物とかハンバーグが作れるようになるじゃないか!
誰でも作れるカレーライス。全ては愛のターメリック。
「兄上様、『ハンバーク』と『てんぷら』の元になるものを運んでるみたいですよ」
「うまいのかの?」
「うまいのか?」
「おいしいんですか?」
間髪居れずにノルドール三人の反応でした。
もはやノルドールは日本食に支配されつつあるなこれ、というかセニアさんその幸せそうな顔はやめて、まだ作れると決まったわけじゃないんですけんども。
両手を頬にあてて「きゃわー」ってあの、それは反則です、萌え死にますって!
まてよ、いいこと思いついてしまったぞ。あれをこう言ってそうしてふんふふ~んしててーれってれーっ!すれば……よし、提案しようそうしよう。
「ん、おいしいですよ。そうそう、提案があるのですがレスリーさん、そちらの失礼ですが隊商長さんを呼んできてもらえないでしょうか? 自分はちょっと動けそうにもないので……村長、もしよろしければ香辛料や食料の件、少しまかせていただいても?」
「わかりました、少々お待ち「よし、その提案をノルドールは了承しよう」……ください」
「イスル、気持ちはわかるが自重せい」
「むぅ……」
兄上様……いくら食いっ気があるからってあちら側の反応とかそもそもまだ俺なにも提案の内容言ってないです!
アンパン世界のようにジャ○おじさんのパン工場が世界を食料によって支配するように、俺にも……むりです、食で支配する前に俺が兄上様の暴飲暴食で過労死します。
「……ほっ」
セニアさんがレスリーさんがでてったら急にほっとしてる。ずいぶんと今日は感情の起伏が激しいようで。
すいませんすいません、自分が足引っ張ったせいで心配かけるし装備壊すし人間族の人呼び入れちゃうしごめんなさいゴメンナサイ
「えっと、セニアさん、先ほどからそわそわしたり飛び出したり本当にどうしたんです?」
「えっ、いえ、別に……そう、血を見るのが初めてでちょっと取り乱したというかなんと言いますか……それで、その、えっと……」
「ふふふ~ん?」
「な、何ですか赤髪ニンゲンっ!」
「いんやぁ~べっつに~」
「ちょ、ちょっとセニアさーん?」
な、なぜかまたカオスになってきた。ガイディアさんはニヤニヤしながらしきりに俺とセニアさんを交互に見てくる。
というかノヴォ村長っ!その哀れむような蔑むような目で俺を見ないでっ!小学生の時のトラウマががががががががががg
「つれてきましたよ……なんですこの空気?」
結局セニアさんとガイディアさんの(セニアさんによる一方的な)にらめっこはレスリーさんが隊商長をつれてくるまで続いたのでした。
はてさて、隊商長が来たので早速提案してみましょう。
「はじめまして、この度は救援真にありがとうございました。私はこの隊商の長をやっておりますカラヴァウルドです。ご提案との事ですがどういったっことでしょうか?」
おっと、記憶が確かならこの人って奴隷商人だったような? M&Bでは非殺傷兵器によって敵を倒すと捕虜にでき、カラヴァウルドさんのような奴隷商人に売却するといいお金になるのだ。ちなみにこの人はゲームで見たとおりシワシワだけれどもヨボヨボしていない頭ツルツルなお爺さんです。
今回俺たちがこの隊商を助けなかったらもしかすると生活のために奴隷商人になるのかな。そういえばレスリーさんもゲームのコンパニオン(特殊NPC)だったような気がする。勧誘する時にヤツ族に襲われ~うんぬんかんぬんあったはず。これは歴史をちょっと変えたかな。
「寝ている状態から失礼します。カラヴァルド殿、私、この村にお世話になっている人間族の加藤和樹と申します。こちらの提案というのは、この村に滞在する許可をする代わりに食料や運んでいた物資をこちらにご提供していただけないかというものです」
「えっ、そ、そんなことはっ!?」
「ほほぅ?」
あれ、以外に兄上様が冷静でセニアさんがテンパっとる。ちなみにこの話はさっきのカオス空間のうちにノヴォ村長に話は通してある。だってさ、せっかくタダ同然で香辛料とか手に入るチャンスなんだよ、もらっとかないと。
「すみませんがそれでは我々は護衛兵に給料を渡すどころか大赤字で……そんなことをすれば野盗になりさがるしかありません。
できればそちらで買い取っていただけると我々としては助かるのですが……助けていただいたのですし、村に馬車の修理と怪我人のある程度の回復ができるまで滞在する許可をいただければ積荷は仕入れ値で結構です。」
「ふむ、仕入れ値といってもわしらノルドールにはニンゲンの交易に関する知識がなくての、言葉はわるいんじゃがふっかけられてもわからんでの」
「それでしたらノルドールの工芸品か武器などの物品と交換でどうでしょうか?」
「それは無理です、我々ノルドールの武器や防具にはこの森の精霊の加護が付与されています。つまり精霊より賜りし加護を持つ物をむやみやたらにニンゲンに売りさばくことなどとてもできません。」
うん、まぁ当たり前だけど、なんだか提案したのは俺なのにいつの間にか話が俺抜きでどんどん進行しております。
しかし買取不可で交換不可となるとどうすれば……あ、そういえば精霊の加護がない物なら物々交換できないかな。
「カズキ、なにか意見はありますか?」
「うーむ、そうです兄上様」
「む?」
「人間の文化を研究するためなどで保存してる人間の武器とか道具などを売却しては?」
今回の装備を選ぶときに行ったけれど、すごい大きさの倉庫のなかにこれでもかってぐらいの装備が積まれてたもんなぁ。絶対すごい価値あるよあれは。
いい仕事してますねぇと言いたくなる壺や大量の書物も含む。ニンゲンニンゲンと嫌いながら、ちゃんと敵対者の研究は怠らないとは、ノルドールやりおる……
「ほう、たしかに結局カズキがこの村に来るまで数百年あの倉庫は開けていなかったでの」
「数百年前の武具など……ある程度希少価値の出るものもあるかもしれませんね」
「で、どうしましょうかカラヴァルドさん。自分としては悪くない話だと思うのですが?」
さあカラヴァルドさんはどうでるかな?
できればひび割れたポールハンマーとか錆びたペンドールグレートソードとかを一個100デナリ程度と認識してくれてエール2グループぐらいと交換してくれるとありがたいんだけど。
そう考えるとこの世界の武器ってすんごい高いんだよね、ヴァンズケリー海賊団とか討伐してるとあっという間に5000デナリくらいたまって、沿岸部の村で1グループ6デナリの魚とかを購入すれば50人の部隊が約276日も食ってけると換算できてしまう。
戦乱の時代だからこそもっと食料は高いと思ってたんだけどね。まあ相場としてパンが1グループ35デナリ程度だから一人で生きていくのなら野盗が悲しいけどいかに経済的かわかる。
「隊商長、他の護衛兵と相談してですが我々護衛兵への報酬はノルドールから受け取る武具や防具でかまいませんよ?」
「ふむ、そうか、わかりました。でしたらまずその倉庫を見せてください。」
「できれば穏便に済ませたいですね、倉庫はこちらです」
何気にセニアさんが今日ずっと黒いオーラ出しっぱなしかもしれない。レスリーさんも思わず苦笑いだ。
そんなことをセニアさんに悟られないように考えていると、ベッドから起き上がった状態の俺に、ヒソヒソ声でガイディアさんが話しかけてきた。ちょっと顔近いと思いますよー 死にかけたあとなんで、色々と、ね?
「こえーノルドールだなぁ」
「なんだかレスリーさんとセニアさんは相性がよろしくないですからねぇ。いつもはとってもやさしいんですが」
「あー、硬っくるしい言葉遣いはやめとくれよ、それにアタイのことはレッドでいいよ」
「ではレッドど、殿じゃないや、レッド嬢? ええと」
「レッドでいいんだよ、なぁカ ズ キ !」
「いたた、ベシベシたたかないでくださいよ!」
どうやら女医のレッドさんはかなりの姉御肌のようだ。怪我しているんだからべしべしとたたくのはやめていただきたい。というかセニアさんの目のハイライトが消えかけてるヤバイヤバイ。
「あーそういやあんた達3人はノルドール語以外も話せるのかい? アタイらとこんなに話せるなんてさ。ノルドールって言語が違うって聞いたことがあったんだけど」
「たしかに、そういえばカズキ様とセニア様、それに村長様とイスルランディア様は人間語を喋っているようですね。外で待機しているほかの人たちいわく「言葉がわからない」らしいのですが?」
あ、そういえば俺命名『ほんやくこんにゃく』(大ババ様からもらったやつ)を持っているのはさっきレスリーさんが挙げた人だけだった。それじゃ通訳もかねて俺が行かないと……
「そうなると通訳が必要になりますね。では自分があいでででであばばばば」
「ばかもん、無理に動こうとするからじゃ。わしとイスルが通訳をしてくるから安心して休んでいるでの?」
「はいです……」
ん、となるのこの家にはレスリーさんと俺とレッドさんの三人……これはフラグなのか!?
あとがき
なんのフラグかって?
そんなのわかりきったことじゃないか。
ちなみにグループという単位についてはオリジナル設定です。食糧消費率とお値段はゲーム設定です