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No.13222の一覧
[0] 【完結】GONG! ~超銀河英雄大戦【多重クロス】[行](2009/12/04 21:03)
[1] 第1話「さよりなオルタネイティブ」その1[行](2009/10/31 22:00)
[2] 第1話「さよりなオルタネイティブ」その2[行](2009/11/14 20:23)
[3] 第2話「機動戦艦さよりな」その1[行](2009/11/28 22:49)
[4] 第2話「機動戦艦さよりな」その2[行](2009/11/07 19:51)
[5] 第3話「魔法少女パラレルさより」その1[行](2009/11/14 20:18)
[6] 第3話「魔法少女パラレルさより」その2[行](2009/11/14 20:22)
[7] 第3話幕間[行](2009/11/17 21:01)
[8] 第4話「岡島さよりの憂鬱」その1[行](2009/11/22 13:44)
[9] 第4話「岡島さよりの憂鬱」その2[行](2009/11/22 13:52)
[10] 第5話「天元突破岡島さより」その1[行](2009/11/28 15:54)
[11] 第5話「天元突破岡島さより」その2[行](2009/11/28 16:04)
[12] 第6話「遙かなる地球の歌」その1[行](2009/11/29 13:22)
[13] 第6話「遙かなる地球の歌」その2[行](2009/11/30 22:45)
[14] 第6話エピローグ[行](2009/12/04 21:04)
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[13222] 第6話「遙かなる地球の歌」その2
Name: 行◆0e973d72 ID:d0f899f5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/30 22:45
第6話「遙かなる地球の歌」その2







 グレンラガンの中のハルヒが、まず気が付いた。

「あれは?」

 何体ものロボットが空を翔ている。超銀河グレンラガンを追い越して宇宙怪獣の群れのただ中に飛び込み、敵をなぎ払っている。

「ははっ! 遅いぜキタン! ヨーコ!」

 シモンの嬉しそうな呼びかけに、スペース・キングキタンやスペースヨーコWタンクから返答が入る。

「うるせー! てめーだけ先に来て楽しみやがって!」

「そうそう!」

 さらに彼等に続き、ダヤッカ・アイラック・マッケン・ジョーガンとバリンボー等、グレン団のスペースガンメンが。さらにはロージェノムのラゼンガンまで戦列に加わり、次々と敵へと突撃していく。スペースガンメンとラゼンガンは縦横無尽に暴れ回り、見る間に敵が減っていく。

「負けてられないわよ、あたし達も!」

「おうよ!」

 超銀河グレンラガンもまた敵中に飛び込み、領域単位で敵の群れを削っていった。

 一方、ガンバスターの周囲にはヱルトリウム率いる銀河中心殴り込み艦隊が、ユング達の搭乗するシズラーシリーズが並んでいる。ヱルトリウムを先頭に敵陣へと切り込んでいく銀河中心殴り込み艦隊。宇宙怪獣の軍団は熱したナイフで切られるバターのように、きれいに深々と切られた。

 さらに一方のノノとバスター軍団の側には、ラルクの搭乗するバスターマシン19号、さらにはヴァンセット・トランサン・ソワサント・カトルヴァンヌ・キャトフヴァンディスといったフラタニティのバスターマシンが勢揃いし、ノノとラルクを援護していた。

 三つに分かれた敵軍を、グレン団・銀河中心殴り込み艦隊・バスター軍団とフラタニティの三軍団がそれぞれ受け持って戦っている。宇宙怪獣は戦力をさらに細かく分散させて地球に向かおうとした。細かいと言っても、一億の百分の一でも百万、千分の一でも十万の大艦隊だ。地球を人の住めない惑星に変えるには充分すぎる戦力である。

 銀河中心殴り込み艦隊が守護する領域のさらに外側から回り込んで地球へと向かう宇宙怪獣、その数ざっと百万。だが、一条の光が宇宙怪獣を飲み込み、蒸発させる。その一撃で数万の宇宙怪獣が蒸発した。

 その宙域で宇宙怪獣を待ち構えていたのは宇宙戦艦ヤマト、さらには総旗艦アンドロメダ率いる地球防衛軍連合艦隊である。ヤマトの波動砲が、アンドロメダと連合艦隊の拡散波動砲が火を噴く。宇宙怪獣はタキオンの奔流に飲み込まれ、押し流され、溶かされた。

 彼等から少し離れた宙域にはキャプテンハーロック率いるアルカディア号、女海賊エメラルダスのクイーン・エメラルダス号が宇宙怪獣を撃破している。さらにその隣では機動戦艦ナデシコとユーチャリスが。Yユニットを装備したナデシコの相転移砲は絶大な威力を発揮、それを食らった宇宙怪獣は為す術もなく艦隊単位で消えていった。

 一方、バスター軍団とフラタニティが守護する領域を迂回しようとする宇宙怪獣軍団。だがそこに待ち構えていたのは銀河帝国が擁する数十万の大艦隊であり、それを率いているのは銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムである。

「ファイエル!」

 皇帝ラインハルトが白磁のような手を振り下ろすのと同時に、帝国軍全艦が一斉砲撃を開始。それに続いてビッテンフェルトの黒色槍騎兵艦隊が、疾風フォルフの、ロイエンタールの、鉄壁ミュラーの各艦隊が宇宙怪獣軍団に突撃。それはまるで悪竜に食らいつく猟犬のようである。

 活躍する各艦隊の少し後方に控えている総旗艦ブリュンヒルト。その後方から自由惑星同盟の軍艦が出現し、ブリュンヒルトに速度を合わせて併走する。さらに数万隻の同盟軍の艦隊が。その艦こそヤン・ウェンリーの旗艦ヒューベリオンであり、その艦隊こそ無敗を誇るヤン不正規艦隊だった。

 ブリュンヒルトとヒューベリオンはその存在を誇示するように轡を並べて併走。そして共に宇宙怪獣の群れへと突撃した。








 一方地上、旧横浜市街上空。

「アクセルシューター!」

 なのはの攻撃魔法が艦載機級を撃破する。撃墜数は既に数えていられないほどだが、おそらく千より少ないことはないだろう。

(さっきから凄く調子が良い。カートリッジはもうないのに、どれだけ使っても魔力が減らない。ディバインシューターで艦載機級を落とせる)

 ニアが特殊な結界を展開したことは、クロノ経由でなのはも聞いている。それがなければなのははとっくに死んでいた。

(これならいくらでも戦い続けることが出来る)

 だが、魔力は減らずとも気力と体力は消耗する。なのはは接近してくる艦載機級の群れをディバインバスターで一掃しようと、レイジングハートを向けた。疲労の蓄積したなのはは周囲への警戒がおろそかになっていた。

「――っ! しまった!」

 気が付いたら背後に艦載機級が急接近していた。激突を覚悟し、目を瞑って身を固くする。だが、その艦載機級はなのはに触れることなく撃墜されていた。

「――っ、誰?!」

 なのはは周囲を見回すが、そこには誰もいない。またもやなのはに急接近する艦載機級。だがその4体の艦載機級に、遙か彼方から音速で飛来した何かが突き刺さる。

「剣?」

 剣のような形の、螺旋を描いた何かは爆弾のように爆発、艦載機級を墜落させた。なのはは剣が飛来してきた方向へと目を向ける。1km以上向こう、魔法を使わなければ人がいることも判らないその丘の上に誰かが立っている。赤い外套をまとった男が弓を構えている。

 男はなのはに頼もしげな笑みを見せると、六連の矢を連べ打ちにした。なのはの周囲の艦載機級が次々と落とされる。

 なのはその男に微笑みを返し、艦載機級の群れへと向かい合った。自分の背中はあの弓兵に任せればいい。自分の役目は砲台となって、この群れを撃破すること!

「スターライトブレイカぁー!!」

 なのはの放った桃色の砲撃が艦載機級の群れをなぎ払った。








 帝都では、首都圏の帝国軍と斯衛軍の戦力を九割以上消耗した悠陽が最後の抵抗を試みている。手持ちの弾薬ももうすぐ底をつく。そうなればS-11による自爆しか抵抗の術は残されていない。

 悠陽は己が死を覚悟した。だがその時、悠陽達を包囲する敵の一団が吹っ飛ぶ。

「な……何が」

 上空を見上げた悠陽はそこに見た。金色の輝きを放つ巨大なロボットが艦載機級を撃破していくのを。

「超級覇王、電影弾!」

 その巨大ロボット――ゴッドガンダムが竜巻を生み出し、艦載機級の群れを巻き込んで吹き飛ばす。悠陽達は自分の目が信じられず、唖然としたまま空を見上げるしかなかった。

 さらに帝都にはシャイニングガンダムと風雲再起が出現、ゴッドガンダムを支援する。一方のニューヨークにはガンダムマックスターが。ブリュッセルにはガンダムローズやノーベルガンダム、ガンダムシュピーゲルやネーデルガンダムが救援に駆け付けている。

 さらにはインドのボパールにはマンダラガンダムやコブラガンダムが。中東のアンバールにはミナレットガンダムやファラオガンダム13世が。ソ連のヴェルホヤンスクにはボルトガンダムやテムジンガンダムが。中国の重慶にはドラゴンガンダムやマスターガンダムが。救援に降り立ったガンダム連合のファイター達はBETAをなぎ払い、ハイブを破壊する。地上のBETAは急速にその数を減らしていった。









 グレン団に足止めされている、一方的に数を削られている宇宙怪獣の一団は艦載機級を放出してグレン団の攪乱を計った。スペースガンメンの攻撃をすり抜け、地球へと向かう数億の艦載機級。だが、彼等を待っていたのは一騎当千の機動兵器軍団である。

 アムロ・レイのνガンダムが、カミーユ・ビダンのZガンダムが、ダブルゼータが、F91が、Vガンダムが、フリーダムが艦載機級を撃墜していく。デンドロビウムのビームサーベルが艦載機級を斬り裂き、∀ガンダムの月光蝶が宇宙怪獣を咀嚼する。ミーティアを装備したジャスティスが敵をまとめて撃ち落とし、ガンダムXのサテライトキャノンが敵を群れごと焼き払った。

 さらにはイデオンが全方位にミサイルを放ち、ガオガイガーがブロークンマグナムを振るう。マイク・サウンダース部隊がソリタリーウェーブを放射し、キングジェイダーが反中間子砲で砲撃する。

 それでも艦載機級の群れの何パーセントはそれら精鋭の防衛線を突破してしまう。だがその彼等を待ち構えていたのは、巨大戦艦マクロス、バトル7、バトルフロンティア、マクロスクォーターの揃い踏みだった。

 4隻のマクロスが砲門を揃えて主砲を斉射、艦載機級の群れを蒸発させる。そして発艦する可変戦闘機ヴァルキリー。マクロスのスカル小隊が、バトル7のダイヤモンドフォースが、マクロスクォーターのSMSが、縦横無尽に星の海を翔け、艦載機級を翻弄し撃ち落とした。その彼等を支援するように、歌が聞こえてくる。

「歌? この歌は……」

 その歌声は敵軍の中心にいるシモン達にも届いていた。

 リン・ミンメイが愛を歌う。熱気バサラが情熱を歌う。ミレーヌ・ジーナスが恋を歌う。シェリル・ノームが夢を歌い、ランカ・リーが生命を歌った。

 さらにはマイク・サウンダース13世が勇気を歌い、エターナルのラクス・クラインが理想を歌った。誰かがそれに唱和する。一人、また一人と声を揃えて歌を歌う。

「なかなか良い歌ね! あたし達も歌うわよ!」

 ハルヒが高らかに歌う。シモンが戸惑いながらも声を張り上げて歌う。グレン団の面々も、若干調子を外しながらも景気良く歌っている。

「お姉様、あたし達も!」

 タカヤ・ノリコとアマノ・カズミも、ノノとラルクも美しい声を調和させてその歌を歌った。ヱルトリウムの軍人やフラタニティのトップレスも声を合わせて歌う。バスター軍団も歌に合わせて踊っているかのようだ。

 皇帝ラインハルトが指でリズムを取り、ナデシコの星野ルリがその歌を口ずさむ。ガンダムのパイロット達が勇ましく歌い、ヴァルキリーのパイロット達が雄々しく歌った。

 その歌声は真空の宇宙を超え、数百万kmの距離を超え、地球にも届いていた。









「歌? 一体どこから」

 悠陽は周囲を見回すが、その歌がどこから聞こえてくるか判らない。見渡せばその歌が聞こえているのは自分だけではないらしい。斯衛の衛士等も、初めて耳にする歌に戸惑いを隠せないでいる。

 悠陽は心を澄ませ、その歌に耳を傾けた。初めは静かに聞いているだけだったが、段々胸が熱くなっていく。血が滾っていく。心が昂ぶっていく。この思いを何かにぶつけずにはいられない。

 いつの間にか、悠陽はその歌を口ずさんでいた。見れば悠陽だけではない。斯衛の衛士等も皆、最初は小さな声で、やがては声を張り上げて喉も枯れんばかりにその歌を歌っている。生命の歌を、未来への歌を歌っている。

 それは帝都だけの光景ではなかった。ニューヨークで、ブリュッセルで、ユーラシア大陸の中央で、ハイブの眼前で、兵士が歌を歌っている。市民が歌を歌っている。皆が歌を歌っている。BETAを怯ますほどに、大地を揺るがすほどに。歌で生命を讃え、未来を紡いでいる。

 勿論横浜でも同じ光景が見られた。さよりが朗らかに、純夏が華やかに。霞が淑やかに、ユリカが麗らかに歌を歌っている。イリヤやクロノ、有希も声を揃え、夕呼もそっぽを向きながらも一応声は出していた。

 十数億の人類が、無数の英雄達が一つの歌を歌っている。一つとなって歌を歌っている。歌が太陽系に、銀河に響いている。まるで歌自体が力を持っているかのように、宇宙怪獣軍団が追い詰められていく。急速にその数を減らしている。いや、本当に歌が力を持っているのだ。歌声が勇気となり、勇気が力となって敵の攻撃を跳ね返す。宇宙怪獣の攻撃が人類側に全く通用せず、人類側は一方的に宇宙怪獣を殲滅し続けている。

 まるで悲鳴のような、呻き声のような不気味な声が轟き、英雄達の軍団を一瞬揺るがした。

 「アースラ」ブリッジ。歌いながらも敵の観測を続けていたエイミィは目を見張った。

「敵数が……!」

 宇宙怪獣軍団の総数がついに億の単位を下回り、「アースラ」の計器で計測可能となった。その数も恐ろしいほどの勢いで減り続けている。最初は浮かれていたエイミィだが、すぐに気が付いた。

「――違う! 敵の個体数は減ってるけど、エネルギー総量は減ってない!」

 いや、エネルギー総量もちゃんと減っているのだ。だがそれは個体数の減少ほどには減ってない。

「な、何これ……」

 敵軍団の最奥、これまで「領域」としてしか把握できなかった場所に、巨大な何かが存在しているのが判る。地球とほぼ同じ大きさの何かが、地球に向かって前進している。

 一方、グレンラガンのシモン達もほぼ同時刻にそれに気が付いていた。

「何あれ? 敵の親玉?」

「そうみたいだな。子分を吸収して大きくなってやがる」

 そこにいたのは惑星サイズの超巨大宇宙怪獣だった。しかもそれは自分の周囲の宇宙怪獣を吸収して少しずつ大きさを増している。形や配色はまるで巨大な髑髏のようである。それは人類にとって死に神そのものだった。

 突然超銀河グレンラガンの顔の横に、ニアの搭乗機・ソルバーニアが出現する。

「あれこそ敵の本体、妖星ネメシスです」

「ニア……」

 感情を殺したニアがシモンへと告げる。

「宇宙怪獣ネメシス。螺旋族殲滅システム・ネメシス。あの妖星の中心核・コアユニットを破壊し、この戦いに終止符を」

 シモンは超銀河グレンラガンの搭乗ハッチを解放し、

「ニア、来い!」

 と手を伸ばした。ニアはわずかに躊躇いながらも、グレンラガンの腕を取る。ソルバーニアはグレンラガンと共に超銀河グレンラガンと一つとなった。

「征くぜ野郎ども! 最後の戦いだ!」

「征くわよみんな! 歌いなさい声高らかに!」

 シモンとハルヒの号令に合わせ、英雄の軍団が雄叫びを上げる。そして歌を歌いながら妖星ネメシスへと突撃した。

 妖星ネメシスは周囲の宇宙怪獣を吸収して防護を固める一方、配下の宇宙怪獣をシモン達へと特攻させる。宇宙怪獣そのものを質量兵器とした攻撃である。バスター軍団が身を挺してそれを迎撃し、マクロスの主砲がそれを撃破する。ユーチャリスのグラビティブラストが、イデオンの波導ガンが敵を蹴散らし突破口を開く。そこにグレンラガンが、ガンバスターが、バスターマシン7号と19号が乗り込んで血路を開いて進撃していく。

 全ての英雄が、全てのロボットが、全ての戦艦が、歌で心を一つにし前進を続けている。敵を蹴散らし、敵の攻撃を跳ね返し、敵をなぎ払って突き進む。光を放つその姿は、やがて巨大な彗星のようになった。

 妖星ネメシスは断末魔のような呻き声を上げながら、その彗星を攻撃し続けている。だがそれは全く通用していない。彗星は回転してネメシスの攻撃を跳ね返す。回転はますます速度を上げて、彗星は竜巻のようになり、ドリルのようになった。

 そして一つの巨大なドリルと化した軍団が、妖星ネメシスへと突き刺さる。銀河に風穴を開けた一撃がネメシスに巨大な穴を穿つ。宇宙怪獣を積み重ねて作った防壁を突破し、粉砕し、撃滅し、奥へ奥へと進んでいく。やがてシモン達は眼前にネメシス中心核・コアユニットの姿を捉えた。

「逃さない!」

 あ号標的によく似た姿をしたコアユニットは空間跳躍で逃げようとするが、ニアが空間を固定し脱出を阻む。空間ごと磔になったコアユニットに、

「覚えておけ! 貴様が人類の未来を絶望で塞ごうとしても、俺達のドリルがいつでも風穴を開けてやる!」

 グレンラガンのギガドリルブレイクが、ガンバスターとバスターマシン7号と19号のスーパー稲妻キックが、ガオガイガーのゴルディオンハンマーが、イデオンのイデオンソードが、ダブルゼータのハイメガキャノンが、νガンダムのフィン・ファンネルが、フリーダムのクスィフィアスが、

「過去の理想と未来の希望、二つの光を螺旋に紡いで今を掘る! それが俺達のドリルだ!!」

 放たれた光が渦となり螺旋となって突き進み、コアユニットを飲み込んでいく。コアユニットには胴体よりも大きい風穴が空き、砕かれたその身体は万に、億に、兆に、京に分解し、原子となり粒子となって消えていき――








「きゃあっ……!」

 上空に発生した衝撃波に、さよりは思わず耳を塞いでしゃがみ込んでいた。衝撃波は地球の夜の側の雲を全て吹き飛ばし、空は赤く輝く光に染まっている。

「一体何が……敵はどうなったの……?」

 さより達はおそるおそる顔を上げ、赤く染まった空を見上げた。

 そこにニアが突然現れた。ニアは意識のないハルヒをその腕に抱いている。

「ニアさん! ハルヒ!」

「ニアさん、敵は、ネメシスは」

「勝ったんですか?」

 さよりや純夏達がニアを取り囲もうとする。ニアは気絶したままのハルヒを有希に引き渡し、一同に向き直った。

「螺旋族殲滅システム・ネメシスの完全消滅を確認しました。わたしが展開していた障壁ももうすぐ解除され、太陽系も超螺旋宇宙から元の時空に戻ります」

 安堵のあまりさよりの全身から力が抜け、さよりはその場に座り込んだ。見ればそれはさよりだけではない。純夏や霞、夕呼も今にも倒れそうになっているのは同じである。

「――あれは?」

 ユリカがその光に気が付いた。ユリカの視線が指し示す空の先を、さより達が見上げる。

 雲一つない空の彼方を何かが編隊を組んで飛行している。何十機ものロボット、何百機もの戦闘機、何千何万もの宇宙戦艦――それが整然と並び、空を進み、宇宙を征く。

「さよりさんが呼んだ異世界の英雄・軍団……彼等が元の世界へと還っていきます」

 さよりは立ち上がり、彼等に向けて力一杯手を振った。見えているかどうか判らないが――いや、きっと見えている。見てくれているはずだ。

 さよりが、純夏が、霞が、夕呼が、クロノが、有希が、イリヤが、そしてニアが。万感の想いと感謝を込めて手を振った。英雄達が空の彼方に、星の海へと消えるまで、さより達はいつまでも手を振り続けていた。







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