厳冬
「さて、皆さん。
呼びかけに賛同していただき感謝いたしますわ」
袁紹の発声で軍議が始まる。
「最初に決めたいものがありますの。
総大将を誰にするかなのですが……」
おお!恋姫袁紹よりテキパキしている。
流石は華ルートの袁紹だ。
「そんなの、簡単だよぅ。
袁紹ちゃんがみんなに呼びかけたんだから、袁紹ちゃんが総大将をすればいいんだよ」
劉備がそれに答える。
「そうですか。
それに異存のある方はいらっしゃいますか?」
「いいんじゃない?
兵力も最大だし」
と答えたのは、曹操。
他も特に反対の気運がないので、袁紹が総大将を務める宣言をする。
「それでは僭越ながらこの袁紹、総大将を務めさせていただきますわ。
総大将として董卓討伐の指示をいたしますわ。
雄々しく、勇ましく、華麗に進軍!
これで、董卓軍を討伐するのです」
袁紹軍以外の全員から脱力感を感じる。
一刀はそんな人々を見て当然の反応だろうと思う一方で、こういうふうに大まかな基本方針だけを示して、あとは部下の自由に任せるという主君も、案外ありなのではないか、と思い始めているのであった。
「なんですの?」
「いいえ、なんでもないわ」
呆れながらもそう答えたのはまたもや曹操。
「雄々しく、勇ましく、華麗に進軍!
うん、そうだよね。袁紹ちゃんすごいよ!」
全員脱力感を感じているかと思いきや、賛同者もいたようだ。
もちろん、劉備。
実は、もう一人、賛同しつつも曹操の顔色を伺って黙っていた将もいたりするのだが。
「オーッホッホッホ。劉備さん、よくわかっておりますわね。
それでは、劉備さん。あなたを先陣に命じますわ」
「わ~い!白蓮ちゃん、先陣だってよ!
名誉だよね!」
単純に喜んでいる劉備であるが、今事実上彼女の上司に当たる公孫讃や、参謀諸葛亮は苦虫を潰したような表情をしている。
「それでは、菊香、清泉、樹梨亜那、後は任せましたわよ」
袁紹はそう言って、顔良、文醜を連れて退席した。
袁紹がいなければ一刀も必要ないので、一緒に退席しようとするのだが、その前に田豊、沮授に小声で話しかける。
「菊香、清泉、お願い、できるだけ早く戻ってきて。
あの孫策さんや周瑜さんの姿見て、昂奮しちゃって、もう耐えられない」
もう、爆発寸前の一刀が懇願する。
田豊、沮授も、目の前にいる孫策、周瑜の姿を見て納得し、
「わかったわ」
「出来るだけ早く戻りますから、天幕で待っていてくださいね」
と、答える。
もう、孫策、周瑜に強力な下半身への攻撃を受けた一刀は辛くてたまらない。
さて、いけないお姉さん達が危ない相談をしている。
「それにしてもむかつくわよねぇ。
人のことを裸だなんて」
「ああ、あの子ね。
その通りね。お仕置きが必要だわ」
「どうする?」
「そうだな……穏をやるというのはどうだ?」
「うふふ、陰険ね。
それで穏が襲われたら、それをネタに袁紹から何か取ってしまおうという腹ね」
「ふ、まあそういうことだ。
あの男には安くない遊びになるだろう」
孫策と周瑜の間で話がまとまったようだ。
それを周瑜が一人天幕から出て、陸遜に伝える。
陸遜。字が伯言、真名が穏。
やはり孫策の下で軍師をしている体の白い、巨乳のほわほわした感じの美女である。
「……というわけで、その北郷一刀という男のところに行ってもらいたいのだ」
「わかりましたー。
それで、何をしてくればいいんですか?」
「世間話でもしてくればいいだろう。
どんな女が好きかでも聞いて来い」
「は~い♪」
陸遜はほわんほわんと、袁紹軍の中で北郷一刀の天幕を探す。
人々に聞いて回って、ようやく一刀の天幕を見つけ出した。
「すみませ~ん。
ここが北郷一刀さんの天幕ですかぁ?」
「はい、そうですが……」
一刀は天幕の入り口を見て、思わず鼻血を噴き出しそうになってしまう。
そこにいたのは陸遜と思しき人。
だが、その服が画期的だった。
腕には袖がついている。
が、そのほかは孫策、周瑜と同じようにボディーペインティングのみ。
それも、孫策、周瑜が体中ほとんど塗っているのに対し、陸遜は服と思われる部分の輪郭を縁取りしているだけ。
白い部分は陸遜の肌の白さを使っている。
髪も短いので、後半身は髪で隠されない。
下半身は流石に塗っている部分が多いが、それでもミニスカートよりも小さな部分しか塗られていない。
その裸具合は孫策、周瑜の比ではない。
当然、審配(樹梨亜那)をも圧倒している。
こんな陸遜をみていながら、審配を破廉恥という孫策、周瑜の頭の構造はどうなっているのだろうか?
その陸遜の姿を見て、既に孫策、周瑜に臨界状態にされていた一刀の頭の中で何かが切れた。
「ウォーーーーーーーーーッ!!!!」
「きゃーーー!」
一刀は陸遜に襲い掛かる!!
……と思われたが、陸遜の横を走り抜けていき、そのまま天幕の外に走り出していってしまった。
その程度の節度は残っていたようだ。
「うまくいかなかったか。
でもまあ、あの男のことだ。
また、何か機会があるだろう。
穏、帰るぞ」
「は~~い!」
いけないお姉さん達一行は自陣に戻っていった。
さて、一方の天幕を飛び出した一刀。
「菊香ー、清泉ー、菊香ー、清泉ー」
破壊した自分を癒してくれる人を呼びに走っていた。
だが、ゲームの意思は一刀に冷たい。
「あ、一刀さん……」
「愛紗さん……」
関羽と出合ってしまった。
二人の心に昔の行為がよみがえる。
二人の心が燃え上がってしまう。
「愛紗さん、ちょっと一緒に来てください!」
「え?ええ……」
一刀は関羽の手を強引に引っ張って自分の天幕に連れ込んでしまう。
引っ張られるほうの関羽もまんざらでもない。
というより、強引な一刀に胸ときめかせ始めている。
天幕につくなり、いきなり押し倒して服を脱がし始める。
「一刀さん、そんないきなりじゃ……」
と、口では一応拒否してみる関羽であるが、もう一刀は切れている。
その程度の拒否では止められない。
関羽も拒否しつつもうれしそうだ。
そして、しばーーーらく経った後、
「ご、ごめん、愛紗さん。
ちょっと問題があって、俺を癒してくれる人を探してたんだ。
そしたら偶然愛紗さんがいて、悪いとは思ったんだけど無理やりやってしまって……」
ようやく理性的に接することが出来るように快復してきた一刀が関羽にひたすら謝っている。
「いいんです。
私も、気持ちよかったですから。
でも、もう一回、今度は優しくしてください」
「わかった」
それからは、関羽の希望するとおり、優しく接し始める一刀である。
暫くは関羽も一刀と気持ち良さそうにあんあんと交わっていたが、突然その動きを止めた。
「どうしたの?愛紗さん」
一刀が関羽の見ている方向を見てみると……
田豊と沮授が立っていた。
「ねえ、清泉。
確か一刀は早く戻ってきてって言っていたわよね」
「ええ。これを見せ付けたかったんじゃないですか?」
「そうね。充分分かったから、また二人にしてあげましょうか?
邪魔しちゃ悪いものね」
「そうですね。他の陣営でも回りましょうか?」
「それがいいわね」
二人はそれだけ言って天幕の外に出て行ってしまった。
一刀の今回の春も短かった。
そして、夫婦(のような)関係は冬も冬、厳冬期に突入してしまったようであった。
あとがき(感想への返信を兼ねて)
色々ご批判あるでしょうが、まず基本方針として、劉備はそういうキャラで進める予定ですので、このままいきたいと思います。
関羽との関係も、変わらない予定です。
孫策関係は、もともとの服もあれだったのでこれほど批判がくると思っていなかったのですが、これはもうあまり出番がないのでご勘弁いただきたいとおもいます。
というわけで、基本方針は変えないで最後まで突き進みたいとおもいます。
結構、批判だらけの中で書き進めるのも辛いものがあるのですが。
もちろん、ご批判を頂いて、自分でもちょっと、と思っていたところは改定する場合がありますので、引き続きご批判歓迎いたします。
展開についても、感想を見ながら多少調整しています。
Hが多い、少ないと両方の感想に応えるのは無理ですが……。
というのが基本方針です。
感想を拒否しているわけではないので、それは問題ないと思います。
現に山のように感想が着ておりますし……。
あと、チラシの裏はそういうものでは無いと思いますので、ここに留まることにします。
それから、感想に対する感想は慎んでくださいとの規約がありますので、本作に対するコメントを主にしていただけると助かります。
次に、内容について。
農業
仰るとおり、確かにほとんど出番がなくなっています。
領土が広がったらまた新たな活躍の場を作りたいと思います。
マンネリ、ワンパターン化
それは……鋭意努力しますとしか言えません。
やはり小説家ではないので、ある程度は許容ください。
情緒面の描写
これは不得手ですのでなかなかご期待に添えないと思います。
書きたいとは思うのですが、文才が追いついていません。
Hの量
ペースが落ちる予定です。
今回も批判が多そうな回ですが、そんな具合で今後もなんとか進めていきたいと思います。
それでは、また。