<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.14325の一覧
[0] 【ネタ】幾千の耳を以ってして。(H×H 転生・オリキャラ・オリ設定多数)【R-15】[藍燈](2009/11/29 00:58)
[1] 1.その時、主人公は死んだ[藍燈](2009/11/29 00:58)
[2] 2.預言者は語らない[藍燈](2009/11/29 01:00)
[3] 3.その言葉は飴玉にも似て[藍燈](2009/11/29 01:14)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[14325] 2.預言者は語らない
Name: 藍燈◆04f20ceb ID:9070469b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/29 01:00
「預言者」

彼女が口にした言葉をそのまま鸚鵡返しにした彼は、その形のよい唇をへの字に曲げた。

「眉唾もいいところだが、信憑性は」
「あるから態々出向いたんでしょ。私個人の意見としては"ばっかじゃないの"ってかんじ」

肩をすくめた彼女の言葉はにべにもない。
その言葉に嘲りを含めた笑いを投げかけた男は、足元に転がるその"預言者"とやらを、ちょいと足先で転がした。











【2.預言者は語らない】


















何の変哲もない女だった。
清楚な―今は砕けたアスファルトと自身の血で赤黒く変色してしまってはいるが―服を纏っていて、少しウェーブのかかった栗色の髪を後ろのほうで軽くまとめている20歳そこそこの、どこにでもいるような女。
彼女は常々、路地裏にたむろするストリートチルドレンに、どこで稼いできたのか幾ばくかの金をやりその見返りに裏世界の情勢を提供してもらっていたらしい。
といっても、裏世界に片足をつっこんだ程度のストリートチルドレンが集められる情報というのは、本当にわずかなものであるのだが。

「子供らの話だと、来年のせん・・・ええと、来年って何年だっけ?」
「・・・2000年。ライ、お前・・・散々テレビでミレニアム問題とかやってんだろうが」
「そうだったっけ?まあいいや」

いいや、よくない。
仮にも情報屋として、それはよくないだろう、と彼はその凍て付く様な青灰色の瞳で訴えたが、室内灯をキラキラと弾く薄紅色の瞳の女性―ライア=クレイヴはそ知らぬふりである。

「2000年の年明けから2001年の7月半ばまでの予言をしていた、らしいね彼女」
「・・・なんだその中途半端」
「知らない」

首を振ったライアに対して、彼は肩をちょっとだけ竦めた。
彼女が知らないのは当然のことで、彼もそれはわかっていたが、どうにも解せなかった。
何でそんな短期間の予言を、しかもこんな片田舎のストリートチルドレンなんぞに披露しているのだろうか。
真意を問いたかったがしかし、その"予言"をつむいでいた彼女は彼の足元ですでに冷たくなっている。

「で、その予言とやらのメモは」
「根こそぎ持ってかれた・・・っぽい」

でなければあんたに応援なんて頼みません、とライアは内心でつぶやいて苦虫を噛み潰したような顔になった。
彼女の今回の任務はこの足元で冷たくなっている"預言者"の確保、もしくは予言そのもの自体の確保であったが、一足遅かったのだ。ライアがこの預言者の寝泊りしているというボロ家にたどり着いたときには、彼女はむき出しのコンクリートに這い蹲り、冷たく、硬くなっていた。
男はしばしうなった後、その輝く金色の芝生のような頭をかき混ぜた。
それを見て彼女はあきれたように口を開く。

「カイ、あんたまだその癖直してないの?」
「・・・あー、努力はしてんだけどな。いいだろ、別に」

いいや、よくない。
仮にも裏社会の人間として、それはよくないだろう、と今度は彼女がその薄紅色の瞳をもってして訴えた。
男―カイことカイツ=エディニールは首をすくめることでその視線を往なす。
徐にため息を吐いてみせた彼女は「まあ、どうしようか」と小首をかしげた。

「ま、とりわけ急ぐ任務じゃないんだろ」
「まあね。予言自体は会長いわくそれ程重要じゃないんだって。ただ、ねぇ」
「・・・まあ、な。"予言"なんてのが市場に出回ればどの程度のものであれ、情報の混乱は避けられないし」

情報の混乱。
つまりは、どの情報が真実で虚偽なのか、どの情報が確実で不確実なのか。それがわからなくなってしまう。
情報屋としては、相当な痛手であった。なんといっても、彼らがどんなに確実で真実味のある情報を手に入れたとしても、買い手側が疑って信じなかったのでは意味がないのだから。
彼と彼女はお互いに短くため息を吐き、苦く笑った。

「まーどっちにしたって能力者の死体置いてくよーな奴等だし、片手間で事足りんだろ」

カイツは苦く笑った顔のまま、ベルトに縫い着けられている皮製のホルダーから種を二粒取り出してぐっと握りこんだ。





「【成長促進―グロウプランツ―】」





彼のオーラがその種に収縮されパキリ、と殻の砕ける音が無骨な部屋にこだました。瞬く間に彼の指先から薄黄緑色の蔦が零れ落ち始め、彼の手首に白い根が巻きつく。
薄黄緑色の蔦はスルスルと、まるで生き物のように女預言者の死体へとその糸のように細い体を伸ばし、足から順々に上へ上へと巻きついて女の腰ほどまででいったんとまり、ややあってから全体に白乳色の花を咲かせた。
しかし次の瞬間には花弁の下のほうから赤く染まっていき、染まりきった瞬間茶色くなり一斉に枯れる。
そして蔦は花が枯れた瞬間にはさらに上へとその薄黄緑色を伸ばし首の中腹でまたとまり、白乳色の花を咲かせた。

「また珍しいの見つけたねぇ・・・なんての?」
「偽クレマチス。シロクレ山脈に限定生息してる好血肉植物。花弁と葉っぱの形からクレマチスの亜種と断定。すげーんだぜコイツ。マジで肉と血しか食わねぇ。臓物と骨は丸々残しやがる」
「新種?」
「いんや。ずいぶん前に発見されてる」

ただしレアものなのは確かだ、と彼は誇らしげに唇の端を吊り上げた。
それに少し笑って見せた彼女は、薄黄緑色の蔦が女預言者の頭部を完全に覆った瞬間「あ」とつぶやいて彼を振り返る。

「どの部分もってけばいいんだっけ」
「前頭葉。大脳皮質のドーパミン感受性ニューロンの大半は前頭葉にあるからな。記憶読むだけならそこでいい・・・らしい」

最後に小首をかしげた彼に一抹の不安を覚えないわけではないが、ライアは軽くうなずいて愛用の小刀を取り出した。
取り出しながら「前頭葉とはまた、難しい」と苦笑した彼女にはしかし、その執刀(と、呼べるかどうかはさておき)において一切の迷いはなかったのである。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.023965835571289