赤い。赤に染まっている。赤。誰が? だれだろう。解らない。倒れている。誰だか解らないのに、どうしてだか嫌な予感しかしない。赤。必死になって手を伸ばすけど、届かない。届かない。赤。あか……いや、あの色は。
―――血まみれの、
「ルーク!」
呼ばれた声にはっと目を覚ました。喉の奥がヒューヒューと鳴っている。心臓の拍動がいやに早い。額にはいやな汗をかいているようで、舌打ちをして張りついた前髪をぐしゃりと握る。頭に声が響いていた時のような頭痛を堪えてちらりと視線を巡らせれば、そこには少しほっとしたような顔をしたティアがいた。
「よかった、うなされていたみたいだったから」
「ここは―――」
「タルタロスの中のベッドがある船室のひとつです。ルークが頭を強く打っていたようだったんで、ジェイドが用意してくれたんです」
ひょこりと顔をのぞかせて補足するように説明するイオンの説明を聞いて、ああどうりでやたらに頭が痛いわけだと納得して―――思いだした。必死な顔をして駆け寄るグレン。突き出した右腕。相手の刃を思い切り受けて飛び散る赤色。
「グレン! おい、グレンはどこだ! あの馬鹿、俺を庇ってとんだ無茶しやがっ……おい、グレン?! あいつはどこにいる、めちゃくちゃ血ィ出てたんだ、まさか死んでねえだろうな……おい!」
「ルーク、落ち着いて」
体を起こしなかば錯乱気味に周りを見渡したあと、今にも立ち上がり走って陸艦中を探しにでも行きそうなルークの必死ぶりだった。ティアは驚きながらもつとめて冷静な声をかけて落ち着けようとするのだが、馬鹿ヤロー落ち着けれるか血ィ出てたんだぞっ、とルークは落ち着く素振も見せない。
むしろだんだんとはっきりと思い出してきたようで顔色が悪くさえなっている。まるで癇癪を起こした子どものようで手に負えない。
「ルーク、」
「あれ? もう起きてたのか」
ティアの言葉の途中で聞こえた扉の開いた音と呑気そうな声。ルークの顔がすごい勢いでそちらを向く。しばらくポカンとしていたが、そんなルークに首を傾げながら近付いてくるグレンに特に怪我など無い事を見て取って、そこでようやくルークの表情が解けた。
ほっとしたように口元が緩む。傲岸不遜で怖いもの知らずのお坊ちゃまにしては、ひどく似つかわしくない笑みだった。
「グレン……」
「どうした、泣きたいのか笑いたいのかわけわかんねえって顔だな」
「んな、泣いてねえよ!」
「えー。泣くくらいほっとしてくれたら嬉しかったのに。ち、友達甲斐のないやつめ」
「…………」
「……うん、ごめん、冗談だからさ、そんなに素で落ち込まないでくれよ」
真に受けて本気で元気がなくなる様子を見て、グレンは慌ててルークの肩を叩く。
「しかしまあ、ありがとうなー、二人とも。ずっとルークを看ててもらって」
「気にしないでください。僕が、ルークが心配でついていただけですから」
「私は彼の護衛だから」
「俺もついててやりたかったんだけどさー、エミヤの説教が……長くて……」
グレンはふっと遠い目をしてたそがれる。その目の乾き具合が凄まじい。彼の従者の性格を考えると声を荒げて怒鳴り散らすというより、徹頭徹尾理論的に一切の情状酌量もなく事実をくどくど言い含めるのではないだろうか。そんな説教は絶対に受けたくないなあとしみじみ思うルークだった。
「グレン、お前……腕は大丈夫なのか?」
「丈夫じょーぶダイジョーブだっつーの。ほら見てみろ、ちゃんとふさがってるだろ」
ルークはグレンがひらひらと振る腕をがしりと掴んで改めてじっくり見て、やがて不機嫌そうに眉根を寄せた。
「……すんげーはっきり残るんだな、傷」
「んー、まあ、ちょっと前にアレだったから自己治癒能力も落ちててな。傷はしょうがないさ。でも俺男だし、そこまで機嫌悪そうな顔しなくても良いんだぞ?」
「でも、デカイ痕じゃねえかこれ」
「まあいいんじゃねーの。護衛の勲章よ」
「……なあ、グレン。右腕、本当になんでもないのか?」
「うん?」
「俺、今結構な力でお前の腕握ってんだけど」
「え」
ルークの言葉に目を見張ったのはグレンだけではない。ティアもイオンも目を見張っている。みるみるうちに頬を引きつらせるグレンの腕からルークが手を離した。グレンが自分の右手を見てみれば、なるほど軽くルークの手のあとがつくくらいは強く握られていたようだ。
「……まいったな。バレねーだろうと思ってたんだが」
「どういうこと、ですか」
「まさか……」
ぼやくようなグレンの言葉にイオンが聞き返し、ティアは少し青ざめている。ルークは先ほどから厳しい顔しかしていない。
「ああ。斬られ方をまずったみたいでな、どうも右腕に痛覚がない。……もしかしたら回復しきってなかった時に斬られたせいかもだけどな。一時的なものかずっと残るもんかはわかんねーんだが」
「そんな……!」
「しかしどうして分かったんだ、ルーク。今日はやたらにきれてるじゃねーか」
「はじめは自分でも気づいてないうちに強く握ってて、気づいた後もいつまで我慢してるつもりかってそのまま握ってて、それで何も言わなかったから、おかしいって」
「なるほど。そこまでは考え付かなかったな……まあ、安心しろ。俺は左利きだし剣は振れる。護衛に支障はないからさ」
「……っ、なんで、お前は……!」
「ん?」
グレンのあまりにあっさりした言葉にルークは激昂しかけて、しかしその怒りもすぐに沈む。自分の膝の上に片腕を乗せ、その腕で頭を支えるようにがっくりと俯いた。
「グレンは、変だ。どう考えてもお前おかしいよ。大してよく知ってるわけでもねーのに。人を殺さなくていいとか、自分の腕出したりとか。なんで、そんなにまでして俺を護ろうとしてくれるんだ」
「さあなぁ。まあ、お前曰く俺はお人好しらしいから、しかたねえんじゃねーの? 俺はお前に死んで欲しくなかったからそう動いただけなんだし、だからつまりは俺は俺のために動いたってだけさ……だからさ、お前がそんなに思いつめたような顔をする必要もないんだ」
「…………」
しばらくは誰もが黙っていた。遠く聞こえる駆動音に、タルタロスの動力が復旧していることが分かる。そんなことをぼんやりと思いながら、じっと何事かを考えていたルークがポツリと呟いた。
「前、言ったよな。俺にひとを殺させたくないって。でも、決めた。俺も覚悟を決めるよ、グレン。条件つきで、な」
「……じょうけん?」
「俺は人は殺さない。人間が出てきたらグレンの言うとおり大人しく護られとく。でも、もしもあの時みたいになって誰かが俺の代わりに斬られるような状況になったら、庇う誰かが斬られる前に俺が相手を殺す。俺の代わりに誰かが殺されかけるくらいなら、殺そうとしてくるやつは俺が殺す。……そう言う覚悟だけは、ここで決めておく」
「……殺すってことは、ひどく苦しいぞ。相手の未来を何もかも奪うってことだ。アリエッタが俺を見たときの目を見ただろう? あんな風に見られるかもしれないんだぞ。誰かに恨まれて憎まれることもきっとある」
「分かってる! 恐いし、嫌だけど……でも、決めたんだ。いざとなったら、俺も人を殺す。殺してでも生きる。責任も負う、恨まれだってするさ。俺の代わりに斬られるやつを見るなんて、一度きりで十分だ……っ」
少しだけ声が震えていた。俯いているせいで見えないが、彼の緑の瞳はもしかしたら恐怖で潤んでいたのかもしれない。恐くて怖くてたまらないくせに、言葉を翻すつもりも無いのだろう。
はあと一度だけ大きく溜息をつき、グレンはルークの頭をぐしゃぐしゃに撫ぜる。
「……分かった。まあ、覚悟『だけ』ならしといても損は無いかもな。いざと言う時の為に。要は、俺がそんないざって時を作らせないようにきっちり仕事こなせば良いんだから」
「すげー強気なこと言ってっけど、ほんとにできんのか?」
「なんだルーク、俺の腕を甘く見てんのか? いいぜ、今度何かあったときはしっかりと俺の剣の腕を見せてやるからな。見て驚くなよ?」
先ほどまでの空気を払拭させるような明るい声音に、つられるようにルークも顔をあげた。いつものやたらに自信満々な顔には程遠いけれど、小さく笑う。
「またなんかあること前提かよ? 俺はもういい加減のんびりとバチカルまで帰りてーんだぜ」
「まあなぁ、それが一番だけど……あ、ルーク。そういえば聞いてないことがあるんだが」
「? なんだよ」
「礼だよ礼! ほら、助けてくれてありがとう、ってやつ。ルークの礼と謝罪ってなんかすっげえレアっぽいし、この機会逃すわけにゃいかねーだろ! ほら、どんどん礼言ってくれて良いんだぜ?」
「ヤダね。助けてくれたことには礼を言ってもいいけど、怪我をしてまで護ったこと、にたいしては言いたくねえな。へん、どうしても聞きたいならバチカルまで俺も無傷でお前も無傷のまま帰ったときだな。それができたら礼でも何でも言ってやるさ。できるかどうかわかんねーけど」
「ええええ。ルークけちだな公爵家の癖に。アニスにがっかりされるぞ」
「うっせー! お前に礼を言うくらいならお前のその傷治療したやつに礼言ったほうがまだマシだってんだ!」
けっ、とそっぽを向いて言い捨ててやったというのに、何故かグレンはそこですごくいい笑顔をした。それはそれは楽しそうな笑顔で、笑顔なのに妙に感じる圧力にルークは無意識に引き気味になる。
「おい……なんだよ」
「あー、うん。それでもいいぜ。うん、むしろそっちのほうが歓迎だ。というわけで、どうぞ」
「は?」
どうぞ、といいながらグレンが手の平を天井に向けながら指し示した先にいる人物をみて、ルークは一言うげ、と呻いて固まってしまう。この部屋にいるのは、グレン、ルーク、イオン、ティア。この中で治癒師というのはたった一人しかいない。ああそうだ、何で忘れていたんだろう。
この艦内にどれだけ治癒師がいるか知らないが、最も身近な治癒師には誰がいたかということに!
「…………」
「…………」
「ほれ、どうした。礼を言うんじゃなかったのか?」
「ルーク? あの、グレンの傷は僕が頼んでティアに治療してもらったんです。彼の傷を治した治癒師というのは、ティアですよ」
どこまでも人のいい導師は穏やかに笑いながら詳しく教えてくれ、面白いことになったと楽しそうに笑う男はただ固まってしまった二人を見ているだけだ。
まるで先に動いたほうが負けだといわんばかりに、二人は見つめ合い―――いや、むしろ睨み合いと言ったほうがいいかもしれない―――ながら固まっている。ガンを飛ばす、と言うほどではないが不機嫌そうな緑の瞳と、表情らしい表情を浮かべず静かに見返すだけの青。
両者互いに逸らしもせずにゆずらない。なんの我慢大会なのだろうか、これは。
「どうした、ルーク。男に二言は無いぞ」
「っくそ、……よ」
「よくやった、とか誉めて使わす、とかご苦労、とかはあまりにも上から目線だよなぁ」
「…………」
なんで、これから言おうとする言葉を分かってしまうのだろうかこの男は。ルークは口をへの字にして、眉間にはものすごい皺を寄せている。
だいたい、グレンやイオン、エミヤ……百歩ゆずってこのタルタロスのなかのマルクト兵に何とか言えたとしても、散々冷血女だのなんだの言ってきた相手に面と向かって礼を言う、というのはルークにとってはあまりにも難関だった。
「ルーク、ありがとうとごめんなさいはコミニケーションを図る上で習得必須科目だぞ! 考えるのと一緒だ、練習あるのみ! さあ!」
「……しょっぱなからレベル高すぎだろ、これ…」
「え、なんで。ほら、わざわざ家まで送ってくれるって言ってるところも含めて今のうちに礼言っとけばいいじゃん」
「俺はコイツのいざこざに巻き込まれてぶっ飛んできちまったんだからこいつが送るってのは当然だろが!」
「そうか、当然か。でもなあ、当然のことを当然のこととしてやるってのは案外難しいんだよな……お礼を言うとかな」
「ぐっ!」
「彼女は当然のことは当然として出来てるのにな……ルークはできるのかな?」
「……」
「感謝には礼を。犯してしまった過ちには謝罪を。生きていることに感謝を。これだけできてれば結構人生楽しめるぞ」
「何の宗教団体だよ……」
そしてルークは『越王勾践が呉王夫差へ降伏を申し出た時、ポーカーフェイスができなかったらきっとこんな顔をしていたのであろう』という表情をして、喉の奥から言葉を振り絞るような途切れ途切れで、人生初のありがとうを言ったそうな。
「では、セントビナーで……」
「そうだな、タルタロスは……」
扉の向こうで何事かを話している声が聞こえる。次の目的地のことだろうか。
「大佐、入るぞー。ルーク起きたぜ」
「おや、やっとお目覚めですか」
室内にいたのは眼鏡をかけた長髪の男と白髪で背の高い男とルークが見慣れた金色の、
「よう。結構探したぜー、ルーク。どうやら屋敷から出てから大冒険みたいだな」
「……って、ガイ?! いつの間にここに……」
「はは、六神将とそこの兄さんが戦ってる時にね。やっと見つけたと思ったらお前ぶっ倒れてるし、あれこれ大変なことに巻き込まれてるみたいだな」
「いや、笑い事じゃねーって、マジで」
見飽きるほど見ていたはずの笑顔が何だかやたら懐かしく感じられて、ルークは明るく笑う。そんな二人の様子を見て、ふむ、と小さく頷きながらジェイドは眼鏡をかけなおした。
「なるほど。二人の様子を見ますと、ガイはファブレ公爵邸の使用人、ということは真実と見ていいようですね」
「おいおいおい、信じてなかったってのかよジェイドの旦那」
「いえ、手の込んだオラクルのスパイかと思いまして」
「ガイは家の使用人で、俺の親友だ! 怪しいやつなんかじゃねーよ!」
「……そうらしいですね」
「マスター、次の行き先が決まったぞ。次に行くのはセントビナーだ。どうもこの大佐殿は何かあったときにはアニス・タトリンとそこで落ち合うようにしていたらしい」
「セントビナーか……なあ、その町ってここから一番近いのか?」
「ああ、ここから南東に向かえばすぐだぜ」
グレンの疑問に人好きのする笑顔で答えたガイの言葉に、ジェイドはガイを観察するように見ていた。
「……ガイはキムラスカの人間にしてはマルクトの土地勘があるようですね」
「卓上旅行が趣味なんでな」
サラリとした答えにそうですか、とこちらもサラリと流していたが……未来を知っているグレンは、ジェイドは本当に察しがいいよなぁと背筋が冷える思いだ。いかん、コイツにだけは注意しとか無いといつか俺が誰かバレる。
まあせいぜいが二人目のレプリカルーク辺りでとどまるだろうが、用心するに越したことは無い。
「ってことはさ、オラクル兵の待ち伏せとか考えといたほうがいいんじゃないか。こっちも結構負傷者出たんだし、その人たちを降ろすのでも立ち寄るって考えられてるかもしれねえだろ」
「いえ、そう考えていたとしても、私たちがつくほうが早いでしょう。なんと言ってもこちらは陸艦ですからね。相手も魔物を使えば私達より早くいけるでしょうが、目的地が町ではおいそれと使えません。親書は幸いイオン様が持っていますし、オラクルに封鎖でもされそうになったら伝言を残してその前に立ち去るのみです」
「そうか……で、セントビナーからはどうするんだ? 負傷兵を降ろして、それで残るこの陸艦の兵力は。それでキムラスカまでいけるか」
「そうですね……」
ジェイドの説明を簡単にすると、こうだ。重軽症者あわせて負傷者47名。死者26名。残存兵力は60前後と言ったところ。兵の厚さ自体が違うので、再度オラクル兵の襲撃があったら確実に押される。……やはり陸艦を囮に出すしかないらしい。
エミヤがセントビナーにはマルクト基地があるのだから駐留軍くらいいるはずだ、暫定的にでも戦力補給してはどうかと聞いたが、それもダメのようだ。ただの任務ならともかく、ことはなんせ国家機密による作戦で、そう簡単に戦力を増員して、とはいかないとのこと。
「なんだよ、同じ国の軍だろ? 信用してねーってのか?」
めんどくせー、とでも続きそうなうんざりとした彼の言葉に内心同意しつつも、グレンは最善を探しながら言葉を選ぶ。
「ルーク、国ってのはとにかくままならないもんなんだよ……しかし、そうすると大佐。囮は良いが、タルタロスの兵が全滅したら確実にこの陸艦敵の手に渡るだろ? これならもういっそ、セントビナーの基地にタルタロス収容して、俺たちだけで徒歩で進んで行ったほうが良いんじゃねえのか?」
「そうですね……セントビナーの基地責任者の方にそう依頼したほうがいいかもしれませんね」
「大佐殿、その基地の責任者とは?」
「ああ、偶然ですが、あなたの主と名前が同じです。グレン・マクガヴァンという方で……彼の父、老マグガヴァン元帥は、昔の私の上司に当たるお方です」
「ほう」
ジェイド・カーティスのもと上司。その言葉を聞いた瞬間、エミヤの鷹の目がすっと細められたのが分かった。使えるな、と彼が小さく呟いたような気がした。それは彼と共にいることが多かったグレンにのみ分かるようなものだったが、勘のいいあの大佐にはばれてしまっただろうか。
「成程な。ではマスター、部屋に戻ろうか。大佐殿、セントビナーまであとどれくらいだ?」
「そうですねぇ、二日もあれば確実につくでしょう」
「そうか。では、それまではとりあえずこの陸艦で時間を潰せというわけだな……暴れまわったからか、流石の私もいささか疲れた。今日はひとまず眠らせてもらう」
「おう! んじゃな、ルーク。疲れってのは案外たまるもんだからな、お前も今日は早く寝ちまえよ!」
「おー」
扉を開けて、廊下にでる。あたりに人の気配のないことを確認した後、グレンはアーチャーに最終確認するように小さな声で尋ねる。
「そろそろ別行動か、アーチャー」
「ああ……時間も切羽詰っていることだ、セントビナーからは別行動がよかろう。それにはまず老マグガヴァン元元帥から紹介状でも貰わねばならんのだが……なに、安心したまえ。マルクトからの協力は私がなんとしてでも取り付ける。君は、ルークをよく見ていろ」
「ああ……分かってる」
グレンは静かに頷く。
人気の無い廊下で、歩く靴音が妙に大きく響いて消えた。
本日のNG。(ルークがちょっと急いで成長しすぎと言うことでカット)
グレンが聞いて答えたジェイドの言葉が聞こえたルークは、ガイと再会の会話をグダグダとしていたが、ふと思いついき振りかえった。
「ん? ……なあグレン、それじゃあオラクル兵も集まってるんじゃないのか? 一番近い町ならそこで待ち伏せとか。怪我人を降ろすのとかあんだろ?」
「「「「「「……………………」」」」」」
そのルークの言葉に固まる人、多数。ルークは一瞬自分がとんでもないことを言ってしまったのかと焦ったが、特に誰よりも驚愕の表情で自分を見つめるガイにジト目を送った。
「……んだよその目は、ガイ」
「ルークが……ルークが相手の行動を読もうとしている……?!」
「だあああああ、そんなに驚くことか?! ああ?!」
「うんうん、俺が言わなくても少しずつ考えるようになってきたんだなぁ……うわあマジで嬉しいんだけどエミヤ、俺涙ぐんでないよな?」
「グレンまでかよ、くそ!」
「そうだよ、そう言うふうに考えるんだよ、俺はお前がやればできる子だって信じてたよ……ルーク、俺は嬉しいぞ!」
「すごいですの、ご主人様、すごいですの!」
「だああああ、うっせえブタザル!」
などと言いながらも、仔チーグルをつかまえてひたすらぐりぐり撫でくり回している。そしてやはり口元が少し緩んでいる。本当に、わかりやすい子どもだ。
NGその二(いい加減に料理ネタは、ということでカット)
「……はー、しかしそうなるともうすぐでエミヤの料理としばらくのおさらばってわけかー。うわ、俺贅沢になってねえかすっげえ心配なんだけど」
「何を言うマスター、私はそんなに高級食材を使って料理を作った覚えはないぞ」
「いや、高級じゃなくてもあの味ってのがさぁ……ずるいってーか」
「ふん、一仕事を終えたら思う存分食べさせてやるさ。そちらこそうっかり野党にでも殺されぬように気をつけておくんだぞ。私はまだ君の好き嫌い0作戦を遂行しておらんのだからな」
「……勘弁してくれ」