あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれはイタリアで再起不能になって隠れつつとある矢じりを守っていたら
何故か日本の都市に来ていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが、おれも何があったのかわからなかった…
ジョジョの奇妙な冒険×魔法少女リリカルなのはクロスSS
「車椅子な二人」
…状況を整理しよう。
今、私は日本国の「海鳴市」という名の都市に来ているようだ。
日本には何回か来た事があるが、此処にくるのは初めてである。
見たところ相当賑わっている。相当な規模であるようだ。
これはスタンド攻撃か?それとは別の、もっと恐ろしいものかもしれない…。
…とにかく!とにかくだ!俺が今『存在している』のは「日本」!これは僥倖だ!
ここではSPW財団と連絡を取ることもできるし、なにより承太郎の実家、空条家がある!
承太郎自身は海洋学者になって世界中を飛び回っているみたいだが、俺からの連絡があったらすっ飛んで帰ってくれることだろう。長年の友情は、まだ枯れていないはずだ。
それでもって、俺を再起不能まで追い詰めた奴らに「逆襲」してやる。承太郎の無敵のスタンド「スタープラチナ」と俺が長年集めてきた奴らの「情報」、そして「レクイエム」。
この三つがあれば奴ら…パッショーネなんぞ楽勝だ!
うーん…「希望」が!ここ数年全く沸いてこなかった「希望」の念が!今、俺の心を満たしている!再起不能から復活できるかもしれないぐらいに!
よし、まずは早速電話だ。まずSPW財団、次に空条家…なにぃ!?
『電話帳に、SPW財団の名前が無かった』
『というかSPW財団自体が無い』
『急いで空条家に電話したら「承太郎?なにそれおいしいの?」と馬鹿げた答えで返された』
『絶望しつつふと本屋を見たら、「ジョジョの奇妙な冒険」というタイトルの漫画が出ていた』
なんてこった…
最後の一つは別に関係ないが、ほかの三つはヤバイ。
総合して見ると今の俺には「財政的基盤」と「頼れる友人」がいない…最悪の状況だ
。
これじゃイタリアの辺鄙な村で隠れ住んでいるのと、実質的には同じじゃないか!
さっき感じた希望が残らず吹き飛び、代わりに深く暗い「絶望」が俺の心を満たしていく。
「何とか」しなければ…「何とか」…
と悩んでいる俺の目に、これからの「運命」を変える、とある光景が映った。
「おい、そこの車椅子の嬢ちゃん!今ワシに泥引っ掛けたろ!」
「す、すみません…」
「このズボン、昨日二万で仕入れたんだぞ!弁償してもらおうか、ああ!?」
「そーだ、そーだ!」
「兄貴に逆らうと痛い目にあうぞ、ゴラァ!」
何のことは無い。自分と同じく車椅子の少女が、チンピラたちに絡まれている場面であった。
チンピラのほうは三人組みで、どいつも典型的な小悪党である。
もちろん、放っておくわけには行かない。しかし、俺も車椅子。
「スタンド」を使えばまだしも、このままでは殴られに行くようなものだ。
我ながら非力なもので、今の俺では「スタンド」を一瞬しか出せない。機会を図らねばならない。
…しかし、この後チンピラが放った一言が、俺をさも承太郎みたいに「プッツン」させてしまった。
「なあ、兄貴!この嬢ちゃん結構いい面してますぜ!」
「その筋に行けば結構高く売れるかも…」
「ヒヒヒ、そうだな…」
「そ、それだけは堪忍してぇな…堪忍…」
「そうだな、売るのは勿体ねえ。俺たちでやるか、おい、服脱がすぞ」
「い、いややぁ、堪忍してぇ」
「流石は兄貴、おれたちにできない事を平然と!そこにシビれる!あこがれ 「シルバー・チャリオッツ!!」 ぶべらぁ!」
…いけない。勢いに任せて突進してしまった。悪い癖だ。
突っ込ませた「シルバー・チャリオッツ」から、肉を斬る確かな手応えを感じる。久しぶりの感覚だ。
少女に手を掛ける腕の肩口を斬った。真っ二つ。もう二度とその腕は元に戻らないであろう。
「お、おい、てめえ、どうやって俺の子分を…」
「でもこいつ、嬢ちゃんと一緒の車椅子だぜ!兄貴、こっちにはハジキがある!楽勝だぜ!」
「へへ、そうだな・・・おいてめえ、覚悟しろよ!」
チンピラたちが、俺に向かって不敵に微笑んでくる。
まずい。今「スタンド」は、出せないぞ!このままではやられる!少々恥ずかしいが、このまま逃げつつチャンスを待つか?わが分身「シルバー・チャリオッツ」よ――
フッ、全く「自分の分身」に話しかけるとは、俺も耄碌したか…いる?「シルバー・チャリオッツ」が?今も?
――チンピラどもめ、覚悟していろよ?
「おいどうした!もしかして逃げるんじゃあねーだろうな、あぁん?」
まさか。思い知るがいい、見えない「スタンド」の恐怖!
「そのつもりはない!逆に貴様らへ『宣言』してやろう!これから貴様らを『一歩も動かずに』切り刻んでやると!」
「なんだとぉ?トチ狂ったのと違うか、こいつぅ」
「かまわねえ、撃ってやれ!」
「あいさー!」
迫り来る弾丸。しかし、俺は冷静に「シルバー・チャリオッツ」を射線上に移動させ、
「ホラホラホラァー!!」
弾丸を切り刻む!
「う、撃ったはずなのに当たってない!」
「どうした、もう終わりか?」
「うう、畜生ー!」
もう一発撃つ気か、しかも、銃口は少女のほうを向いている。そうはさせない!
まずは、銃を持っている奴をブッタ切る!
「ぎゃあああああ!!」
「う、腕が!どうしたんだ、おい!」
残った一人の顔が恐怖と絶望で彩られる。しかし悪党に情けはいらない!
思い知るのだな。今此処にいる女の子が、貴様らに対し感じていた「圧倒的強者」に襲われる気持ちを!
「どうだ?「被害者になる」感想は」
「糞っ!こんなことしてただで済むと」
これならどうだ!
「ぎゃああああああああああああああああ!!!!」
もだえ苦しむチンピラ。まあ、こんなか弱い女の子に手を出したのがお前らの罪だ。
せめてその痛みをもって償うがいい。
…む、女の子が私を…いや、「スタンド」を見ている…もしかして!
「お、おじさん、その「人影」…一体なんなん 「貴様新手のスタンド使いかー!」 はうぅ!?」
…これが「ジャン・ピエール=ポルナレフ」と「八神はやて」の出会い、その一幕である。
これから彼らは、迫り来る事件にどう、立ち向かってくるのだろうか!
… To Be Continued !!
後書き
またも激情に任せ書いてしまいました。
もし続けるのであったら、今回は「ジョジョっぽい」表現を目指して行きたいです。
ではでは。