…奇妙な夢を見ました。
男の子が、なんだかよくわからない怪物と戦う夢。夢のはずなのに妙な『リアリティ』があって、とても怖かった。
最後には男の子が負けて、フェレットみたいな姿になっていたっけ。
ほんと、不思議な夢やったなぁ。
「はやて、朝だぞ。起きてるか?」
ん…あ、ポルナレフさん。おはようございます。
「もう8時だぞ。どうした、夜更かしでもしたのか」
ええと、そんなことじゃないというかなんというか。とりあえず、ご飯作らないと。
「飯なら私が作った。たまには腕を振るわせてくれ」
「ええっ!ポルナレフさんが?」
「心配するな。自炊も出来ないようでは、隠遁生活など送れないよ」
ポルナレフさんの料理か、楽しみやなー。どんな味なんやろか。
私、八神はやては、本来なら小学三年生として学校に行っているはずなんやけど…足が不自由なんで、家にこもりっきりな、そういう女の子。
でもでも、今の生活もそんなに苦じゃあないんやよ。料理は自分で作れるし、好きなだけゲームできるし、…それに、ポルナレフさんにも出会えた。
ポルナレフさんは、格好よくて強くて私と同じ車椅子で、厳しそうやけどほんとはとっても優しくて、それでいて少し抜けているところもあって。…とっても、凄い人。
もし、ポルナレフさんにあの時出会えなかったら、今の私はどうなっていたんやろか。想像つかへんなぁ…。
とまあそんな人と今、同居しているわけで。この夢のことも、相談してみることにしました。
「なるほど。…もしかしたらそれが君の『スタンド能力』かもしれない」
「『夢を見る能力』ですか。役に立つか立たないか、微妙な能力やなー」
「『夢』の前に『予知』の二文字が付いたら、果たしてどうかな」
『予知』と『夢』、合わせて『予知夢』…ってそれ、凄くないですか!?
「まあな。俺が知っているスタンド使いの中にも、それと似た能力を持つ人間がいた。最も直接会ったわけではないが」
「うわー、私もついに『スタンド使い』の仲間入りですかぁ」
「そうなる。まだ『像』は出ていないようだが、使っているうちに出てくるだろう」
…スタンド。ポルナレフさんの「シルバー・チャリオッツ」を見てから、ずっと憧れてた物。
「素質がある」言われてもう何日も経っているさかい、余計に楽しみやな。
「あー、はやて、喜びの『絶頂』に浸っている所すまないが、私の料理の感想を…」
「おいしいですおいしいです。でポルナレフさん、スタンドの名前どうしましょう」
「…やれやれ」
それからも「スタンド」の話で盛り上がっていたら、いつの間にかお昼に。
今日は外食しようということで、一路「翠屋」まで行って来ました。
昨日ポルナレフさんが話したことによると、此処にも「スタンド」が見える人がいるらしいです。しかも私と同じくらいの年頃の。
あってお話がしたいなぁ。その人の「スタンド能力」は一体どんなになるんやろか。
「はやて、期待に水を差すようだが今日は平日だ。つまり彼女は今学校に…」
「もー、つまらんこと言わんといて!」
あーあ、なんだかしょんぼりや。まあええか、また来ればいいし。
「いらっしゃいませ、お二人様ですね」
「ああ」
「お席にご案内いたします、どうぞ」
茶髪サイドポニーのお姉さんと、がっしりしたお兄さんが案内してくれました。
私たちが車椅子なのに配慮して、椅子を取ってくれたりもしました。サービスええなぁ、翠屋。
「メニューを選ぶんだが、お勧めとかあるのか?」
「えーと、此処に来るの初めてさかい、分かりません」
「おい、はやて、この店に来た事が無いのか」
「ありません。ケーキは石田先生から貰ってました。此処、一人で来るには遠いですし」
「なるほどな、じゃあ、何にするのか?」
「この『翠屋ランチセット』で。ポルナレフさんは」
「同じものでいい」
メニューが届いて、お待ちかねの昼食タイム。
…うん、流石翠屋。凄くおいしい。ポルナレフさん、どうです 「ブラボー! おお…ブラボー!!」 か…えーと、うん、聞いてないことにしよか。
でもほんとおいしいなー。このハンバーグなんて最高や。一喫茶店が出すランチセットのレベルじゃあない。 …すごい喫茶店だ。
「ご馳走様」
「ごちそうさま」
「さて、そろそろ帰ろうか」
「ポルナレフさん、帰るときにケーキ買わないと」
「そうだな…何にするか?」
大量のケーキが詰まった紙袋を抱えながら帰る途中。
『誰か…お願い、助けて…』
この「声」は…あの時の!
「おい、どうしたんだはやて!?」
ポルナレフさんが止めるのも無視して、車椅子を走らせる。何か得体の知れない感情が、私を突き動かしているような気がした。
たどり着いたのは、森の中。もう少しで、もう少しで「声」の主に会える。そう直感した。
「なのは!?」
「なのはちゃん!?」
微かに、私以外の誰かを呼ぶ声がする。「なのは」?もしかして、その人は…
「声」の元であろう場所にたどり着く。そこには…あの「翠屋のお姉さん」と同じ顔つきの、女の子がいた。
… to be continued !!
後書き
執筆時間が取れた!という訳で第四話UPします。
ここから無印編に突入です。
ではでは。