私、高町なのは。私立聖祥大学付属小学校に通う、ごくごく普通の小学3年生。……だったはず、なんですけど。
車椅子のおじさんから突然現れた、銀色の騎士さん。何処からか聞こえてくる男の子の声。傷ついたフェレット。
そして、「ジュエルシード」っていう宝石が暴走して出来た怪物が、私を「魔法少女」にさせました。……どうもこれからは、日常と魔法を両立させつつ、暮らさなきゃいけないみたいです。
大変だとは思うけど、ご近所の安全のためにも、私らしく、全力全開で頑張ります!
「さて、なのは。……家族の目を盗んで、こっそり外出した理由、兄に話してもらおうか」
その前に、こわーいお兄ちゃんの追求を逃れなければいけないようで……正直、あの怪物より怖いかも。
『Dont mind, My mastar』
なんとか、誤魔化せたけれど、これから夜遅くの監視が厳しくなりそうかも。今日みたいに夜ジュエルシードが発動したらどうしよう。
……ま、寝てから考えればいいや。おやすみなさーい……
『マスター、ユーノからの念話通信です』
「ふにゃぁぁ……え、ユーノくんから?」
朝早く。今だ眠気が覚めやらぬ中で、レイジングハートに起こされました。
「おはよう、なのは……もしかして、無理に起こした?」
「ううん、ユーノくん、ぜんぜんそんなこと「ある」よ(本当は「無い」んだけどね)……あれ?」
『本音と建前が逆ですよ』
あうう。寝ぼけちゃった。
「……やっぱり眠たいんだね。ごめん、昨日は夜遅くに無理矢理」
「いいよ。あの時放っておくと、ご近所が大変だったんだから」
「そやそや。言いっこなしやで、ユーノ君」
あれ、この声は、はやてちゃん?あ、そうか。はやてちゃんも魔法、使えるんだっけ。どんな魔法なんだろ、見るの楽しみだなー。
「おはよ、なのはちゃん。今私、魔法の秘密特訓中や!すごいやろ!」
「……はやて、胸張って人に話してる時点で秘密も何も無いと思うがな」
「もう、余計なツッコミせんといてポルナレフさんは!秘密特訓ちゅうのはロマンやろ!」
あ、ポルナレフさんも念話、出来るんだ。
「ああ。スタンドを出す必要があるから、結構疲れるがね」
「でも、「持続力」の特訓には丁度ええんちゃう?」
「そうだな。いざと言う時パワー不足でスタンドが出なければ話にならない」
「……スタンドって、気軽に出せるものじゃあないんですね」
「そうだ。そして他にも『パワー』『射程距離』など、シルバー・チャリオッツにも鍛えなきゃいけない所は沢山ある。だから、この年になって特訓しているのさ」
……凄い人だ。私なんて、只「頑張ろう」と思っているだけなのに。ポルナレフさんはもう「どうやってジュエルシードと相対するか」考えている。これが、私みたいな「子供」とポルナレフさんの様な「大人」の違いなんだろうか。
「えと、私も、頑張ります。レイジングハート、手伝ってくれる?」
『All right, my master』
「よーし、気張りや、なのはちゃん!」
「頑張って、なのは」
「ジュエルシードを封印するのはなのは、お前だ。こっちでどうにかして、なるべく戦闘はさせないが……いざと言う時、自分で身を守る訓練はしたほうがいいだろうな」
だから、私も。多分色々な敵が現れて、この先どうなるかは全然わからないけど。自分の「魔法」を鍛えよう。
と、言う訳で。レイジングハートに、魔法の正しい扱い方について教えてもらいます。ちなみに、学校は休み時間。いつもならアリサちゃん達とお昼なんですが、今日は途中で抜けちゃいました。
『まず、胸の中に「二つ目の心臓がある」と考えて下さい』
『ええと……こう?なんか、熱い物を感じたんだけど』
『そう、それです。それが魔導師の力の源、リンカーコアです』
確かに感じる。自分の中に「熱」を感じる。すっごく熱くて、なんだかクラクラしそう。よく集中すると、そこから熱が全身に流れてて……あっ!
『そうだ。さっき、レイジングハートは「心臓」って言ってたよね。もしかして、リンカーコアから全身に「血管」が伸びてて、それに乗って魔力が流れ出る、って解釈でオッケー?』
『……その通りです、マスター。どうしてお気づきになられたのですか』
『んー、ふと、そう思ったの』
『そうですか。では、魔力の仕組みがわかった所で、魔力を増強するための方法を教えます』
魔力の増強?魔法を使うテクニックとか、そういうのじゃあなくて?
『この方法は、魔導師が日常的に使っている物。いわば、魔法の初歩の初歩です。教えずに実践をさせるわけにはいきません」
なるほど。わたし、初心者さんだしね。まかせるよ、レイジングハート。
『では。リンカーコアを意識して、大きく息を吸って……』
「すぅぅぅぅ~」
『吐いて」
「はぁぁぁ~。これでいいの?」
『もう一回。今のでは、普通の深呼吸と大差ありません』
『解ったよ。もう一回やってみる』
レイジングハートからは、なかなかOKが出ません。うう、初歩の初歩なのに……。
でも、「呼吸」することを考えて、そこから偶然、忘れかけていた「あの人」の思い出に気付いた時。
[そう、一歩踏み出すんだ。「勇気」を出して。君の心を乱す「恐怖」を我が物として、支配する。そうすれば、呼吸は正しく乱れない。君の生き方も、思いも、まっすぐに、砕けない。その意思こそが、「人間賛歌」だ!]
「コォォォォォォォォ」
『!!、すばらしい呼吸です、マスター!』
「え、そう?無我夢中だったんだけど」
『理想的な魔力値です。呼吸する前には乱れていた魔力が、清流のようにきれいな流れで、安定しています。なにをしたんですか?』
「にゃはは。どうも『あの人』を思い出したら、うまくいったみたいだね」
『「あの人」……何者ですか?もしかして魔導師では』
ううん、違う。「あの人」は、強く、優しく、頼もしい、少し変な技を使う「普通の人間」だった。「魔導師」なんかじゃあなく、もっと凄い「何か」。ポルナレフさんの様な凄みを持っている人だった。
……思い出す。「あの人」との触れ合いを。魔法の訓練とか、アリサちゃんに抜けだしをどう言い訳するかなんて、みんな頭の中から吹っ飛んだ。
『マスター、「あの人」とは?』
「私もよく、覚えてないんだけど……話してあげるよ、レイジングハート」
… To Be Continued !!
あとがき
ホントは「あの人」との思い出も書きたかったけど、キリがいいので次回に持ち越し。
……さて、「あの人」とは一体誰なんでしょう!?(ジョジョフリークなら一瞬で解るかも)
わかった方、感想にお書き下さると少し嬉しいです。