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No.16188の一覧
[0] 【チラ裏から移動】敵、その名は転生トラック (オリジナル 完結)【外伝2追加】[古時計](2010/04/17 22:19)
[1] トラック、隕石、殺人犯、ガス爆発、そして……(前編)[古時計](2010/03/08 22:49)
[2] トラック、隕石、殺人犯、ガス爆発、そして……(中編)[古時計](2010/02/06 22:25)
[3] トラック、隕石、殺人犯、ガス爆発、そして……(後編) [加筆修正][古時計](2010/02/08 23:01)
[4] 【外伝】男の未練[古時計](2010/02/17 01:29)
[5] 彼の出した答え(前編)[古時計](2010/04/05 22:12)
[6] 彼の出した答え(中編)[古時計](2010/04/12 20:24)
[7] 彼の出した答え(後編)[古時計](2010/04/17 01:27)
[8] 【外伝2】完璧な者の悩み[古時計](2010/04/17 22:20)
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[16188] 【チラ裏から移動】敵、その名は転生トラック (オリジナル 完結)【外伝2追加】
Name: 古時計◆c134cf19 ID:d842e1e7 次を表示する
Date: 2010/04/17 22:19
―いつもと同じ退屈な毎日―


―朝起きて飯食って学校行って授業聞いて友達と遊んで帰って家族と話して寝る―


―それが嫌だったわけじゃないけど何処か物足りなかった―


―もっと刺激のある人生を送ってみたかった―


―だから俺は――――





「転生してぇ」

「いきなり何言い出すんだお前は」

思わず呟いた俺の言葉に帰り道が同じ友人があきれた声で返す。

「えーだってよぉ、この世界にゃ何もねえと思わねえ?高校になったら何か起こると思ってたのに。
 どっかの国からお姫様が転校してくるとか空から女の子が降ってくるとか街に吸血鬼が表れるとか俺に不思議な力が宿るとかあってもいいじゃん。
でも実際は何もねえだろ。だったらもう転生してオリ主になるしかなくね!俺tueeeeとかニコポとかしたいと思うだろ!!」

「思わねえよ。俺にとっちゃこの世界に生きてるだけで幸せだしな。」

「お前はそれでいいかもしんないけど俺は退屈なんだよー。物語の主人公になりてえんだよー。
あーあ、何で俺の隣歩いてんのが幼馴染のちっちゃい頃結婚の約束した女の子じゃなくて野郎なんだよ。お前実は女だったりしない?」

「現実を見ろ馬鹿」

剣道部であるこいつは肩にかけた竹刀袋の位置を直しながら俺の思いを否定しやがった。

「ん?お前そういや部活どうした?まだやってる時間じゃねえの?」

「今日は休みなんだよ。水曜は休みだって毎回言ってんだろ」

「あれ?そうだっけ?」

ああそう言われてみればそんなこと言ってた気がする。毎回言われてんのになんでまた聞いたんだ俺?

「……やはり馬鹿か」

「待て。そこで納得すんじゃねえよ。帰宅部の俺と一緒に帰ってんだからおかしいと思うだろ普通」

「帰宅部なんかやってっから刺激が足りないとか思うんじゃねえのか。世界嘆く前に自分で何とかすりゃいいじゃんか」

「部活やったくらいじゃ何も変わんねえよ」

俺はオリ主になりたいんだよ!!
神様とか何かから不思議な力授かってチートでtueeeがしたいの!!

「………はあ。言っても無駄か。んじゃまた明日な。車に気をつけて帰れよ。」
「お前は俺の母親か!」

大体俺ん家もう目の前だっての!
肩すくめて歩いてく友人の背中に何か言ってやろうかと思ったがめんどくなったので俺もさっさと家に帰った。




「あ、お帰り孝一。帰ってきてすぐ悪いんだけどちょっと買い物行ってきてくれない。」

現実逃避にゲームでもやんべ。と思ってた俺にお袋が財布出しながら頼んできた。

「えーめんd「ぐずぐず言ってっと小遣い減らすよ」イエスマム!」

因みに俺の小遣いは5千円。正直足りないとは思うが文句言って昼飯代を1日2百円に減らされた親父のようにはなりたくない。
脱ぎかけた靴を履き直し財布を持ってあわてて外にでた。


「なんで納豆とマグロの刺身とマヨネーズを……何作る気だ、お袋のやつ?」

スーパーからの帰り道。太陽がもうすぐ隠れそうな時間だからか。人通りのない
道を歩きながら独り言をつぶやく。どうせだれも見てないしな。

「はー、やっぱ転生してえな。」

 暗くなってきた空を仰いで考える。
転生するんならやっぱネギまとかリリカルとかかな。
Fateは個人的には好きだけど死亡フラグだらけだしな。

頭ん中で中二なことを思いつつ目線を前に戻す。

「え?」

目の前にトラックが迫っていた。

運転席には何故か誰もいない。

なんで!?さっきまで車なんか一台も……!?

体が動かない。動いてももう間に合わない。

あ、俺死ぬ。

思わず目をつぶった。

見えないはずのまぶたの裏側に移ったのは今までの俺の人生。


頼りないけど優しい親父。
怒ると怖いけど家族のこと思ってるお袋。
生意気だけどよく遊んでとせがんでくる弟と妹。
馬鹿ばっかりやってた親友達。
クラスメイト。
片思いの相手。
迷惑かけた先生。


………うわ、これ走馬灯ってやつか。

どこか冷静な部分で考えてた俺が最後に思いついたのは


(お袋に買い物頼まれていたのになあ)




ズドンッと普段聞くことのない音が辺りに響いた。












………………………………??………あれ?????


来るはずの衝撃がいつまでたっても来ない。

もしやもう轢かれて痛みすら分からないのか。
そう思い目を開けた俺の視界に入ってきたのは、



真っ二つになって火花を散らしているトラックの残骸と、



「やれやれ。すぐに出かけるとは思わなかったけど何とか間に合ったか」


さっきまで一緒にいた友人が日本刀を振り下ろした状態で立っている姿だった。












「落ち着いたか?」

「ぜぇ…ぜぇ…ちょっと…待って…」

あれから

「このままでは人が集まる」

と言うコイツの意見にしたがって人気のない公園に来た。

走ってきたため少々息切れする。

「情けねえな、ちょっと走ったくらいで。やっぱ部活やったほうがいいんじゃねえか?」

「…っうるせえよ。ていうかさっきのはなんだよ。なんでいつの間にか誰も乗ってないトラックが目の前にきてんだ。何でお前は日本刀なんか持ってんだよ。いや、それよりも…」

そうだ。さっきから変だと思っていたんだ。

「お前…誰だ?!俺はお前と会ったことなんかないし一緒に帰ったこともない。剣道部だって練習は毎日あるはずだ。クラスの斎藤が言ってた。」

何で今まで気づかなかったのか不思議なくらいだ。

 コイツは鞘に納めた刀を肩に担ぎながら少し驚いた顔をしている。

「暗示が解けてる?そっか、さっきの衝撃で薄れちまったのか」

 自己完結してるとこ悪いけど質問に答えてねえぞ!

「安心しろ。ちゃんと全部説明してやる。でないと意味がないしな」

ベンチに移動して座れ、と促されたのでとりあえず座る。

 にしても意味がない?どういうことだ。

「まず順を追って説明する。お前は狙われたんだよ。転生をさせる存在『神』にな」

は?何言ってんのコイツ?

「その顔は非常に腹立たしいんだがまあいい。全部事実だ。お前もさっき言ってただろう?突然現れた無人のトラックって。
あれは奴らが好んで使う転生の道具だ。便宜上俺は転生トラックと呼んでいる」

 転生トラックってそんなことが

「あるんだよ。奴らはある条件を満たす人物を探す。その人物が見つかるとそいつを何らかの方法で『転生』させる。
転生といえば聞こえがいいがやってることは殺人と大差ない。そして死んだ奴は『神』どもの玩具として何処かに送られる。
そこで転生した奴の人生みて楽しんで居やがるのさ。お前は条件に当てはまった。だから殺されかけたのさ」

嘘つけと言いたい。
でももう理解してしまってる。
さっきの出来事がただの事故じゃないって分かってる自分がいる。
だから口にでたのは単純な疑問だった。

「何だよ、その条件って?」

「簡単さ。本人が少しでも『転生をしてみたい』と考えているかだ」

!?!???

「実はそれは俺にも分かる。だから俺は奴らのターゲットに近づいて転生させないように護衛してたってわけだ。」

まるで話はもう終わりみたいな言い方だけどまだ疑問はある。

「俺が狙われたのは分かった。でも何でお前はこんなことやってんだ?それに暗示とか見てねえけどトラックを真っ二つに出来るのはなんでだ?
お前に関しての答えはほとんどわかんねえぞ」

俺が聞くと困った顔をしながらコイツは立ちあがって空を見上げた。
「この世界はつまらない」

???

「何にも起きない。普段の生活は嫌いじゃないけど物語なんかない。だから俺は思っちまったんだ。『転生をしてみたい』ってな」

「っな!?それじゃあお前…」

「ああ、俺は以前に奴らに『転生』をされかけた。偉そうに言ってっけど俺もお前と対して変わんなかったよ。そして俺と家族が乗っていた車に無人のトラックを突っ込まされてな。
本当ならあの時俺は死ぬはずだったんだろうな。でも生きてる。何でか分かるか?
俺の両親がぶつかる瞬間かばってくれたからさ。それだけなら俺もただの事故だと思って悲しむだけだっただろう。
だが、病院で目覚めた俺がまず見たのは俺のほうを見て首をかしげてるフザケタ格好した野郎どもだった!!」

話しているうちに怒りが込み上げてきたのか声がだんだん荒くなってきている。

「『おっかしいなぁ?この子を狙ったはずなのに両親が死んじゃったよ。
まあいいか。条件満たしてないけどこの子の代わりってことで転生させるとしようか。
フフ、今度はちょっとヤバい設定で転生させてみない?』だとよ!
ふざけんなよ!俺の父さんと母さんを殺した奴らが憎かった!殺しておきながら何も罪悪感を持ってない奴らが憎かった。そして何よりそんなことになってしまった原因を作った自分が許せなかった。
事故の後、俺には不思議な力が使えるようになってた。奴らの姿が見えるのもトラックを斬ったのもその力だ。
暗示はすげえだろ。今まであったことないやつでも俺のこと古い友人のように思わせられる。
笑えるぜ。あれほどあったらいいなとか考えてたのに今はすぐにでも捨てちまいてえ。
もしかしたらこれも奴らの遊びなのかと思っちまう。でもよ、この力にも使い道があることが分かった。だから俺は決めたんだ」

空に向かって刀を向けて俺に見えない何かにコイツは叫んだ。

「てめえら『神』の遊びは全部俺がぶっ壊してやる!二度と父さんや母さんみたいな犠牲は出さないってな!!」

宣言しているコイツの姿をみて物語の主人公みたいだと思ってしまった自分を俺は情けなく思った。



「悪かった。つい熱くなっちまった」

 その後、刀を納めたコイツはいきなり謝ってきた。

「いや、俺のほうこそ辛いこと思い出させて悪かった。ところで俺はこれからどうなるんだ?また命を狙われるのか?」

「いや、奴らは同じ相手はほとんど狙わない。大抵は一度助かったらもう転生したいなんて考えないからな」
どうだ、まだしたいか?と聞かれさっきのことを考える。
 迫ってくる死の恐怖。家族達との別離。なにより『神』ってやつの思い通りになる。

 答えは分かりきってた。

「ごめんだね。だれがするか」

俺の答えに満足したのかコイツは初めてにっこりと笑って歩き出した。

「この世界はつまらなくなんかない。気づいてないだけで十分素晴らしい世界なんだ。お前はお前の物語の主人公になればいい」

俺は気づくのが遅かったからな。だんだんと離れていくのをみて気づいた。

「おい!助けてくれてありがとな。俺の名前は渡辺孝一だ。お前は名前なんていうんだ?!」

ほんの少しだけ振り返ったあと

「―――――だ」

ギリギリ届くような声で名乗って俺の友人だったやつは姿を消した。



大分時間がかかってしまったけれど無事家についた。

「孝一?帰ってきたんならこっちに来なさい」

俺はもうさっさと寝てしまいたかったので買ったもの渡して部屋に戻ろうと居間の扉を開ける。

パーンパーンパーン

「「「「孝一((お兄ちゃん))お誕生日おめでとー」」」」

「…へ?」

「あーやっぱり忘れてたのか。今日は孝一の誕生日だぞ」

「でもそのおかげでこうやってサプライズパーティが出来たんだしいいじゃん」

「部屋の準備が出来てなかったから買い物に行かせたけど随分時間かかったわね?」

「それにしても買いにいかせるものの意味が分からないの。お母さん」

「兄ちゃん兄ちゃんこれ俺と亜美から!」

「信二お兄ちゃんと半分ずつ出して買ったの」

「結構前からがんばって貯めてたもんな。よく頑張ったな二人とも」

「ほら孝一お礼は…って孝一?」

うあ。何だよこれ。世界はつまらなくなんかない、か。本当だな。

「ぐっ…ひく…あっ…ありがどう」

転生なんかしなくて良かった。
家族の前でぼろぼろ泣きながらそう思った。




次の日、泣いた恥ずかしさからさっさと家を出て学校に登校したがアイツの姿はなかった。

念のため剣道部の斎藤に聞いてもそんなやつはいないとのことだった。

そのあとはまたいつも通りの授業が始まる。


―いつもと同じ退屈な毎日―


窓から外を見て思う。


―朝起きて飯食って学校行って授業聞いて友達と遊んで帰って家族と話して寝る―


アイツはまた俺みたいな奴を助けているんだろうか。


―それが嫌だったわけじゃないけど何処か物足りなかった―


アイツのおかげで俺はここにいるけどアイツはいつか楽になる時がくるのだろうか。


―もっと刺激のある人生を送ってみたかった―


とりあえず今度アイツにあったら名前で呼んで…


―だから俺は――――


「剣道部ってきついんだろな」

部活に入ったって自慢してやろう




―この世界で俺の物語を作り出そう―







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