ホーキンスは大変なものを残していきました
それは「内乱フラグ」です
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馬鹿野郎
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ハルケギニア~俺と嫁と時々息子~(ホーキンスは大変なものを残していきました)
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クロムウェル姓は珍しいものじゃないよね。うん、きっとそうだよ。佐藤や田中ほどじゃなくても、加藤ほど・・・はいなくても、森さんぐらいは・・・森田さんなら・・・うん。無駄な足掻きはやめよう。クロムウェル姓は、はっきり言って珍しい。その珍しい名前で、教会関係者。
「どう考えても、オリヴァーの親父かじいさんだよなぁ・・・」
なんで会ったときに始末しておかなかったんだ・・・だなんて、ホーキンスには言えない。言いたいけど。今すぐ命令したいけど。すぐに行って、やっちゃって欲しいけど。無論、本当に命令するわけではない。あくまで冗談だ。冗談だとわかっているからこそ、好き勝手なことを思える。クロムウェル一族の男を『強制的』に去勢してこいだなんて、言うわけがないじゃないか・・・ふふふ・・・
というか、聖職者って、一応結婚しちゃだめだったはず。何ガキこさえてるんだよ、このエロ坊主
いかんいかん。現実逃避してる場合じゃない。
ここ最近、ゲルマニアにかかりっぱなしで、すっかり忘れかけてた「内乱フラグ」。原作では、国王ジェームズ1世の王党派と、オリヴァー・クロムウェルを盟主とする貴族派「レコン・キスタ」は、1年にも及ぶ内乱を戦い、敗れた王党派はニューカッスル城に滅んだ。
アルビオンは「神聖アルビオン共和国」という名前の、ジョセフ1世の駒となり、トリステインに卑劣極まりない奇襲をして、ゼロ戦&ルイズによって返り討ち。ウェールズの死体までいいように扱われ、遠征軍によって国土を蹂躙され、一度は撃退するが、最終的にはゲルマニアとトリステインの共同統治になるという、散々な経緯をたどった。
この間、アルビオン国民のおかれた環境は、ハルケギニアの中でも最も苦しい環境だったことは、容易に想像が付く。彼らに王党派も貴族派もない。内乱に巻き込まれた平民達が、幸せなわけがないのだ。悪化する治安、増える一方の税。突然故郷が戦場となり、財産どころか、命までが危機にさらされる。ようやく内乱が終わったかと思ったら、「自作自演の三文芝居」でトリステインに喧嘩を売って返り討ち。祖国はハルケギニア中の信用を失った。そして、報復としての遠征軍により、再度国土は踏みにじられ・・・フーケでなくとも、これで祖国に忠誠を誓えといわれても、無理な話だ。
原作に登場したアルビオン王国の人物達-ウェールズやホーキンス、ボーウッド・・・それぞれ、いぶし銀の良さはあるが、それはサイトやルイズの物語に、花を添える役回りとして。決して自ら物語を動かすプレイヤーには、自分の相手にはなり得ない-少なくとも、ジョセフはそう思っていたのだろう。
「ふざけやがって・・・」
今の段階では筋違いなことだとは分かっていたが、ジョセフ王太子に対する怒りを抑えることはできない。
確かに、この世の中を、自分の思うとおりに生きていけるものは、ほんの僅かだ。多くの人間は、しがらみに囚われ、壁にぶつかり、挫折を味わいながら、それでもままにならぬ事ばかりの世の中を生きている。その人の意思を、運命をもてあそぶ権利は、たとえ神であってもないはずだ。ましてや、権力者の気まぐれな「人形遊び」に付き合わせていいはずがない。個人的に、ジョセフの境遇には同情するが、だからといって、あいつのお遊びを認めるわけにはいかない。
何故なら、俺はアルビオンの王族だから。キャサリンの夫であり、アンドリューの父親だから。
「『人形』にさせて、たまるか・・・」
今の段階ではどうなるかわからないが『無能王』が悲劇の主人公ゴッコをするつもりなら-せいぜい、「人形」のあがきを見せてやるさ。
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これまでヘンリーは、アルビオンという国家に溜まった6000年分の垢とヘドロを洗い出し、その原因となった制度疲労を何とかしようと取り組んできた。
改革に必要なのは、共通した問題意識を持ち、中核となり実行する人々。幸い、先日亡くなったスラックトン宰相を初めとして、アルバートやシェルバーン財務卿といった、少なからぬ人々と、「アルビオンは中央集権化が必要である」という目的意識を共有する事が出来た。兄である国王ジェームズ1世も、同様の認識で一致している。
中央集権化=王権の強化は、仮に反乱が起った場合にも即座に対応できるようにするため。そしてそもそも反乱自体を起こさせないようにするため。勝ち目の無い戦を、好き好んでするものは少ない。
歩のない将棋はへぼ将棋。まずは、反乱の中核となりえる困窮貴族対策。
アルビオンでは歴史的経緯から、100メイル四方の領地しか持たない貴族が、全体の3分の2を占めていた。こうした貴族達は、狭い領土で、殆どが赤字経営を強いられている。今はそれでもなんとか領地を経営していられるが、あと20年もすれば、そのうちの何家が残っているかわからない。こうした貴族が、現状に満足しているわけがない。反乱が起れば、いの一番に参加するであろう奴らだ。そうした細分化した領地をまたがって、王家の直轄領も点在しており、経営コストがやたらに高くつく。街道一本通すだけで、膨大な書類と手間がかかっていた。
こうした問題を一挙に解決するために、ヘンリーが考えたのが「上知令でアゲアゲ大作戦」
細分化した領地を再編し、領地経営に行き詰っている困窮貴族に、貴族年金と引き換えに領地を差し出させ、ついでに官僚に組み込んでしまおうという、一石三鳥のお得な作戦は、開始から5年で、思った以上の成果を上げていた。アルビオン全体の4割程度であった王家の直轄領は、領地再編計画(シェルバーンはこちらの名前でしか呼ばない。何故だ?)開始以降、5割半(55%)にまで拡大した。100メイル四方しかない困窮貴族の領地も、集まれば馬鹿に出来ないのだ。貴族年金を払ってもお釣りが来る。
こうして王家の直轄領を再編するのと同時に、大貴族の領地を、その本拠地近くに集積させた。大貴族達は、飛び地の運営コストにそれほど困っていたわけではない。切羽詰った必要性を感じていない彼らを納得させるため、領地再編の責任者であるシェルバーン財務卿に、貴族年金を払ってもあまる領地をくれてやるように命令した。これがなければ、王家直轄領は6割半-アルビオン全土の3分の2にまで拡大しただろう。
それを差し引いても、ヘンリーは大貴族の領地を確定させることを望んだ。
たびたび話が飛んで恐縮だが-反乱は兵士(貧乏貴族)だけではできない。指揮官が、主導する大貴族が必要だ。仮に反乱が起こった際、この大貴族の飛び地があちこちにあっては、軍をどこに派遣していいかわからない。治安を乱すこと事態が目的になりうる反乱軍とは違い、政府は治安を維持しなければならない。治安維持を考えると、そう簡単に全軍を動かすわけにはいかなくなり、自然と作戦の幅が狭まる。
その点、大貴族の領土を集積させておけば、反乱が起った際、戦闘地域が限定される。反乱軍の進路を予想出来るため、迅速に鎮圧軍を派遣することも可能だ。必ずしも戦闘を有利に運べるとはいいきれないが、それでも、後方に不安を抱えて戦うよりはよっぽどましだ。
こうして、涙ぐましいまでに、摩擦を避けながら、少しずつ少しずつ、中央集権化を進めてきた。
・・・正直に言うと、ここまでしたんだから、よほどの事がない限りは、反乱は起きないだろうという慢心があったことも事実だ。それが、クロムウェルという名前が、自分が「ゼロの使い魔」という世界において「異物」だということを、改めて思い出させてくれた。
(ホーキンスに感謝しないといけないな)
素直に喜べないのは仕方がない。むしろ、この皮肉ともいえる状況に笑いすらこみ上げてくる。
オリヴァー・クロムウェル
「レコン・キスタ」の盟主であり、神聖アルビオン共和国議長。そして、死者に偽りの生命を与える魔法-「虚無」を使うもの。
レコン・キスタの言い分をまとめればこうなるのだろう
「現王家は堕落し、始祖から与えられた聖地奪還という使命も忘れ、惰眠をむさぼっている。我らレコン・キスタは、始祖の寵愛をなくした王家を打倒し、聖地の奪還を目指す。それゆえ、我らが盟主のオリヴァー・クロムウェルは、始祖から『虚無』の力を与えられた」
虚無自体は、ラグドリアン湖の水の精から盗んだマジックアイテム「アンドバリの指輪」の効果であり、平民の司祭でしかないクロムウェルは、虚無どころか魔法すら使えない。
反乱軍にとって、彼の虚無魔法が真実か否かはたいした問題ではない。始祖ブリミルの子孫であるアルビオン王家に対抗するための正当性(大義名分)として「虚無」を名乗るのが都合が良かったのだろう。なにせ、誰も伝説と化した虚無魔法について、正確な知識が無い。だからこそ、マジックアイテムの効果であっても、無理やり取り繕うことが出来た。
聖地奪還云々は、神と始祖の地上における代理人であるロマリア教皇に、余計な口出しを出させないという狙いがあったと考えたほうが自然だ。ロマリアなら、クロムウェルの「虚無」魔法が、偽りのものだと気が付くだろうが、幾度もの大敗で、気運が地に落ちていた「聖地奪還」を声高に叫ぶ勢力-どれくらい本気かはわからないが、わざわざ潰す事もない-そういう結論に至るであろう事は、誰だって想像が付く。
ついでに言えば「貴族による共和制」というのも曲者だ。始祖ブリミルの子孫であるアルビオン王家を倒して、大公家や王家の分家の公爵家などを担ぎ上げて新しい国王を立てたとしても、著しく正当性に欠けることは否めない。それならいっそのこと反王制を掲げればいい-発想の転換というべきか、詭弁というべきか。
初代議長(事実上の王)が、「レコン・キスタ」盟主であるクロムウェルなのは当然として、その次はクロムウェルの子孫でなくてもいい。後継議長は、貴族の互選になる可能性が高い。国政運営にしても、歴史的にアルビオンでは議会の権限が比較的強いため、議会が行政府と一体化するだけだという、青写真も描ける。「共和制」という建前上、意思決定は貴族の合議制になるだろうから、クロムウェルの独裁は阻止できるし、何より彼には直属の兵が無い。上手くいけば、自分達の傀儡に・・・
これだけお膳立てすれば、額に刺青を浮かべた女秘書は、妙な薬を使わなくとも、貴族達の耳元でこう囁けばいい。
「アルビオンは変わりません。抱く元首を王家から議長に代わるだけ。そして貴方も、新生アルビオンへの忠節によっては、議長になれるかもしれませんよ?」
貴族達にとっては、余りにも魅力的な響きだったろう。
(・・・悔しいが、ジョセフの能力は認めないとな)
こんなに緻密で悪辣非道な計画を立てた男が「無能王」なら、この世に有能な人間はいなくなる。
そして、そのシナリオにそって動いたクロムウェルも、アルビオンの貴族やジョセフに言われるがままの人形であったとは考えにくい。すくなくとも、自分が「虚無」を主張することによってもたらされる、反乱の正当性を理解し、貴族達がどのような思惑で自分を擁立しているのかはわかっていたはずだ。
その上で、ジョセフや貴族に望まれた役回りを見事に演じて見せた。
台本を覚えたとおりに読むだけの役者より、自分の役割を理解して振舞うほうが、芝居が上手いと相場は決まっている。ましてや彼は、結果的に、その舌だけで国を滅ぼしたのだ。言われたことしかしない役者が、仮にもジョセフの駒の中で、反乱軍の盟主という重要な役回りを任されるとは思えない。
閑話休題
平民や兵士達にとっては、反乱の正当性に興味は無い。戦争が起きれば真っ先に苦しめられる彼らのほうが「勝てば官軍」という冷めた見方を獲得していた。一方で、王家から領地を与えられている貴族達にとっては、その王家に反乱を起こすという特殊状況において、数少ない大義名分を求めたのは、これまた自然なことであった。立場変われば、考え方も変わるのだ。
さて、このロジックを崩すためには、どうすればいいか?
クロムウェルの使う虚無を「嘘だ」と主張しても、意味が無い。何故ならレコン・キスタは確信犯であるから。虚無が真実か否かはどうでもいい。
アルビオン王家に、虚無を使える人間が生まれれば、全ては丸く収まる。偽者は所詮ニセモノ。本物には敵わない。デモンストレーションに、エクスプロージョン1発唱えてやれば解決する・・・のだが、残念ながら、国王ジェームズ1世にしても、俺を含めた王族達も、すべて4系統に分類される魔法が使える。
姪のハーフエルフの誕生を待つか?
でも、地味だよなぁ・・・「記憶を消す」って。第一、忘れられたら意味ないし。
そもそも、この姪の存在を明らかにした時点で、王制どころか、アルビオンという国家の枠組みそのものの存続が危うくなりかねない。始祖ブリミル以来の、人間の仇敵たるエルフと、王弟である大公が情を通じ、子供までこさえて、しかもその子供は「虚無」使い。
原作ではルイズは「虚無」だと公式に認知されると、その他の序列を全てすっ飛ばして、アンリエッタに次ぐトリステインの王位継承権を獲得した。直系の王族よりは下だとしても、少なくとも大公家や、王家の分家よりは継承権が上という事。
その虚無を使うものが、ハーフエルフ。
ブリミル教に喧嘩売ってます?
というわけで、「胸革命で、貴族革命をパッフンしちゃおう作戦」却下
(寝物語でキャサリンに作戦名を自慢したら、無言で一本背負いされたのは秘密だ)
どっちにしろ、その気になれば、大義名分はいくらでもでっち上げが出来る。
クロムウェル姓の男を片っ端からヤッちゃっても、根本的な解決にはならない。クロムウェルがたいした役者だったのは間違いないが、所詮は役者。彼を殺したとしても、第2・第3のクロムウェルが現れるだけだ。それがクロムウェルより使える役者だったら、目も当てられない。
諸悪の根源たるガリアの王太子を・・・駄目だな。成功するにしても失敗したとしても、ちょっかいを出したことがばれたら、よくて外交問題、悪けりゃ戦争だ。ハルケギニア一の大国と正面切って戦う国力は、正直言ってない。そんな博打は打てない。
となると
「要は、付け入る隙を与えなければいいんだよな」
繰り返しになるが、まずは貴族に反乱を起こしても、絶対勝てないと思わせること。そもそも、反乱を起こさせないように、彼らの不平不満をひとつずつ解消していくこと-2番目の月の司令官曰く「戦法は正攻法、正面から行くぞ!」である。
ヘンリーが進めている中央集権化=王権強化策は、貴族の不平不満を解消することによって、反乱軍の参加者を減らし、反乱が起ったとしても迅速に対応できるようにという目的がある。順調に成果を上げているので、このまま慎重に進める。
あと出来ることは
「陸軍と、治安機関の強化だな」
アルビオンの軍事ドクトリンは「空で勝て」-狭い領土、少ない人口のアルビオンは、早くに大陸進出を諦め、国土防衛を基礎においた。空中国土を攻める際、外国勢力は必ず船で侵攻してくる。水際で叩くのは、防衛作戦の基本。空軍を使い、哨戒網を張り巡らせた。そのためアルビオンの空軍は、その規模に加えて、操舵技術も含めた技術的な面も含めて、ハルケギニア1と呼称される。
それに比べると、陸軍はお粗末としかいいようが無い。元々、国家の緊急事態(反乱・国土防衛)に応じて召集される王軍(陸軍)は、諸侯軍が主体であり、常備軍は存在しない。アルビオン程度の国力では、大陸に派兵するほどの常備軍を持つことは不可能に近い。空軍予算を削って、陸軍を整備することも、やろうと思えば出来るが、それでは本末転倒だ。だが、反乱軍を牽制できるだけの常備軍は欲しい。空軍で牽制することは可能だが、最終的には地上部隊で制圧しなければならないのだ。
同じ理由で、治安機関の強化は必須である。
軍=警察といっていいハルケギニアでは、軍を動かせば、それだけ治安機関の能力が落ちる。治安専門機関も存在するが、その実情はごろつきと変わらない。それはともかく、まず軍隊と警察機構をわけなければならないが、なかなかそれが難しい。予算の確保もだが、人手が足りないのだ。アルビオンのメイジ人口は、単純計算でガリアの10分の1。貴族出身者だけで警察機構を整備するのは不可能に近い。だからといって、メイジ崩れの犯罪者の場合、平民では手出しが出来ない。両者を混合した組織が作れればいいのだが・・・
「・・・考えるだけで面倒くさいなぁ」
予想される軋轢と予算に、ヘンリーは頭を抱えた。
***
「殿下、紅茶を持ってまいりました」
「おう!飲もう飲もう!」
山と詰まれた資料の奥から、ヘンリーの声だけがする。初めてヘンリーの部屋を訪れた者は、この異様な光景に戸惑うが、小さい頃からこの王族に仕えてきたエセックス男爵からすれば、見慣れた景色。ミリーにしても、いい加減慣れてきた。
何故なら
「・・・いい加減、片付けられたらどうですか」
ヘンリーは片付けが下手だった。本人は散らかった部屋で仕事をするのが好きだと言い張っている。メイドが片付けようとすれば「それは違う!」「勝手に触るな!」と怒る始末。めんどくさい事この上ないと、誰もが手をつけるのを嫌がった結果-書類の摩天楼が出来たというわけ。
アルバートがいれば、仕事が大分楽になるんだが、彼ほど優秀な官僚はどこでも引っ張りだこ。第一、彼はロンディニウム官僚養成学校の学長として、自分以上に忙しい日々を送っている。一向に片付く気配が感じられない資料の山の一つに、お盆を置いて、ミリーが手馴れた手つきで紅茶を注ぐ。
紅茶カップに口をつけながら、ヘンリーは、改めて自分の「存在」について、思いをめぐらせていた。
(異物だよなぁ)
これだけ好き勝手に「ゼロの使い魔」の世界で振舞ってきたのだ。人の体で言えば「病原体」として、白血球だの、キラーT細胞だのにフルボッコされてるに違いない。それが排除されなかったのは、自分が原作主要キャラクターの父親だからだと考えていた。
それも、キャサリンとの結婚で、それ相応の変化か、報いがあることは覚悟していたつもりだった。
それが、まさかこの段階で「クロムウェル」の名を聞くとは思わなかった。その情報自体が、自分にとって、有利か不利に働くかは、まだわからないが、少なくともそのおかげで内乱の可能性について、再度じっくりと検討することが出来たのは確かだ。
(敵の名前で気づかされるとは・・・皮肉としかいいようが無いな)
なかなか、ライトノベルの世界も洒落た真似をしてくれたものだ。
「ミリー、お代わりだ」
「かしこまりました」
ヘンリーは知らない
迷い込んだ「異物」に対して、この世界が、どのように「対処」しようとしているのかを
そして、それが自分のすぐ側まで迫っていたことを
「・・・っつ!」
「殿下?」
「何でもない。紙で切っただけだ」
切った指を、逆の手で抑えて止血するヘンリーは、気が付かなかった
血が紙に落ちて
赤い花を咲かせていた事に