基本の中でも若干ややこしい話なので番外編として。。。
Ⅶ君「はぁ・・・」
Ⅱ「ん?どうしたの・・・?Ⅶ君・・・なんか落ち込んでるみたいだけど」
Ⅶ君「いや・・・なんか色々と知れば知るほど、僕って長調だと、トコトン役に立たないんだな・・・って。。。
ちょっとウツ入ってます(;;」
Ⅱ「う~ん、そうかなぁ・・・」
Ⅶ君「そうですよ・・・特にコレと言って、みんなとの連携プレーでも役に立てないし。。。」
ええ、ここで普通なら「CM7」って連携で十分に役に立つじゃないか!と思い浮かべる所なのですが、
実際のところ「根音・3度・5度・7度」の中の【長7度】と【完全1度】という組み合わせは
【=根音の短二度下の構成音を上に転回した形】(M7⇔m2)ですので、
実は「CM7」という組み合わせは主要4和音のクセに、対位法の一部では「ルール外」という扱いになります。
(この辺りの詳しい説明は「ダイアトニック 第2章 対位法・対旋律」にて。。。。。。)
故に実質、教本などでも「Ⅶ=足手まとい」とか「Ⅶ=のけ者」なんて表現で書かれている本もあります。
言い方を変えれば「もっとも構成外に近い存在=Ⅶ」という位置付けになります。
Ⅶ君「その上に、トライアド1つ取っても、すぐに不自然な形になってしまうし。。。
最も基本的な三人での協力(3和音:トライアド)の構成すら不完全なんて、
なんか、僕ってみんなの足を引っ張っているような気がして。。。」
Ⅱ「ああ・・・確かトライトーン(三全音)に当たるんだよね。。。
う~ん・・・」
どう応えて励ましたら良いのか?・・・Ⅱさんも分からないようです。。。
Ⅰ社長「ん?どうした?なんか問題でもあったのか?
2人とも浮かない顔をして・・・(^^;;;」
Ⅱ「あ、社長・・・・・・」
Ⅱさんは、Ⅶ君が自己嫌悪に陥って落ち込んでいることや、
その経緯などをⅠ社長に説明して、何とか元気になってもらう方法がないかと相談しました。
Ⅰ社長「ああ、なるほどね。。。大体の話は飲み込めたよ。
確かにⅦ君は通常の長調の流れの中では経過・刺繍・装飾など、
一時的な流れの中でバックアップするのが主な役割になりますね」
Ⅶ君「やっぱりそうなんですか・・・・・・。。。。。。
じゃあ、私はどうすれば・・・みんなは5度移調で的確に変われたりもするのに、
私は基本的なことも出来ない・・・私はやっぱり役立たずなんですか・・・?(;;」
Ⅰ社長「いや、その全くの逆ですね。寧ろ「君にしか出来ない役割」があります。
他の人と同じことが出来ない分、他の人には真似できないことをやってのける能力もありますよ」
Ⅶ君「・・・・・・へ・・・?」
Ⅳ専務「ああ、例の【あの話】をしてるんだね」
Ⅱ・Ⅶ君「あ、Ⅳ専務」
Ⅳ専務「Ⅶ君は、 調の構成上のオーグメントやディミニッシュを避ける形で、
確かに基本的な三和音の時に【(♭5)】が付いて、
その結果として「トライトーン(半ば6の距離)」になってしまう。
そこで【もし、みんなと同じようになろう】と思ったら、
どの部分を訂正するべきだと思いますか?Ⅶ君?」
Ⅶ君「え~~~とぉ・・・Ⅳ専務に#を宣言してもらって、
一時的に「5つ目の音=半ば7」の状態を作っていただきたいと思います。
そうすればみんなと同じになります」
Ⅳ専務「ええ、正解です。あえて調性上のデミニッシュやオーグメントを踏むような形を選ぶのですね。
私が#を宣言して、Ⅶ君との距離を少し大きく取れば、
他の人と同じ三和音の形になりますからね」
Ⅰ社長「で、大切なのはここからです。
その【Ⅳ専務が宣言をして、位置を少しズラした瞬間に、
全体を見たら】どうなっていますか?」
Ⅶ君「・・・全体、、、ですか?」
Ⅰ社長「ええ、key=Cで考えてみてください」
Ⅳ専務「私が#を宣言して、他の人はそのまま・・・それって何と言いますか?」
C D E F# G A B
Ⅶ君「あ・・・・・・・・・・・これって「key=G」ですよね・・・・・・?」
Ⅰ君「ええ、その通り。
Ⅶ君が「正しい3和音」の構造を作り上げたら、
【一瞬、別の調になる】わけですね」
Ⅳ専務「で、その「調性を変えたまま(Ⅳに#宣言させたまま)」で続けてしてしまうことを【転調】
ホンの数小節だけ変え続けることを【部分転調】と言います」
Ⅰ社長「このルールは他のどの長調でも同じです。
自然に転調するためにはⅦ君の「変わろうとする力」が必要になります」
C D E F# G A B
↓
G A B C D E #F
Ⅰ社長「そしてこの「元々トライトーンを生み出していた減や増の部分」を線引きにして、
その前後を【デルタトーン】と言います。転調が行われる時、この2つのデルタトーンのうち、
前のデルタの最後のⅣさんがディミニッシュ(オーグメント)と入れ替わった後に、
デルタの前後の位置関係が真逆になっていることで次の調になっていることが分かると思います」
C D E F (F#) G A B
デルタトーン デルタトーン
Ⅳを#Ⅳに入れ替え
C D E #F / G A B
デルタトーン デルタトーン
デルタトーンの前後を入れ替え
(同時に4音目と5音目の間に新たな増・減が生まれ、
新しいデルタトーンが形成される)
G A B C (#C) D E #F
デルタトーン デルタトーン
Ⅳを#Ⅳに入れ替え
G A B #C / D E #F
デルタトーン デルタトーン
デルタトーンの前後を入れ替え
(4と5の間に新たな増減の発生。そして新デルタトーンの形成)
D E #F G (#G) A B #C
デルタトーン デルタトーン
Ⅰ社長「コレを繰り返していくと、以下のように調が移り変わっていきます」
key=C → key=G → key=D → key=A → key=E → key=B・・・・・・・・・・・
転調予告 B+#F #F+#C #C+#G #G+#D #D+#A
Ⅰ社長「大抵の表記は「この並び」での説明になっていると思いますが、
これは通常、主に円陣の様に表示され【五度圏】と呼ばれるもので、
業界の主軸となるルールの1つになります。
また、これらの流れに自然に乗るためには、
事前にⅦ君が先程の方法で【転調の予告を宣言】する必要が出てきます」
転調の予告=各長調のⅦm(Ⅶ+Ⅱ+#Ⅳ)
Ⅶ君「じゃあ、僕にも、僕の役割がちゃんとあるんですね。
なんか元気出てきました(^-^」
Ⅰ社長「ええ、ですから自信を持って良いですよ。
自然に構成外音やルール外の方に飛ぶには、
どうしてもⅦ君の力なしじゃ出来ないのは事実です。
意外性を持たせた作品造りのためにはⅦ君がどれだけ貢献してくれたか?で大きく変わります」