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No.1812の一覧
[0] MUV-LUV ALTERNATIVEβ 【注!!オリキャラ介入物】&【ネタバレ!】[かんとりーろーど](2006/03/03 16:23)
[1] Re:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/03 17:06)
[2] オリジナルキャラクター設定[かんとりーろーど](2006/03/05 02:23)
[3] Re[2]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/02/27 19:50)
[4] Re[2]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/01 03:00)
[5] Re[3]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/02/28 22:42)
[6] Re[4]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/01 03:50)
[7] Re[5]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/01 17:29)
[8] Re[6]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/01 22:27)
[9] Re[7]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/02 02:36)
[10] Re[8]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/03 09:59)
[11] Re[9]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/04 00:03)
[12] 登場技術元ネタ教室(´・ω・`)[かんとりーろーど](2006/03/05 02:24)
[13] Re[10]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/04 17:45)
[14] Re[11]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/05 01:35)
[15] Re[12]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/06 01:13)
[16] Re[13]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/07 00:41)
[17] Re[14]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/08 21:00)
[18] Re[15]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】[かんとりーろーど](2006/03/10 13:41)
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[1812] Re[8]:MUV-LUV ALTERNATIVEβ   【注!!オリキャラ介入物】
Name: かんとりーろーど 前を表示する / 次を表示する
Date: 2006/03/03 09:59
      総合戦闘技術評価演習前日


           兵舎

          
―――総合戦闘技術評価演習

 
 今までの基礎訓練の成果が試される……つまり…………。

「やっと"南の島でバカンス"か…………」

 そうこれをパスすれば戦術機の講義が始まるのだ。ぜったいに"落ちる"ことは許されない。

「ああ、やっとだな」

 タケルが鼻息を荒くしている……待ちに待った総戦技演習だ、しかたないといえばないのだろう。

「冷静にいけよ? 前にも言ったが"急いてはことを仕損じる"だぞ? (どうせ演習さえ終われば嫌でも急ぐ事になるんだからな)」

「わかってるよ…………そうだな、ヘマするわけにはいかないもんな」

「そうそう、タケルも少しは賢くなったみたいだな」

「なんだと!」

 ムキ―!とか言いながら突っかかってくるタケルを軽くあしらって分かれる。

「ん? あれは……」


          ピョコ


 丁度十字路の左側から黒い"ミミ"が生えているのだ。

「…………明日から総戦技演習なんだよな―」


          ピコッ


「…………そうだ、霞お土産欲しがるかな―?」


          ピコピコピコッ


「…………なにがいいかな―? 珍しいカエルとかがいいかな―?」


          シオシオシオシオ………


「…………他のにしようかな―?」


          ピコピコピコピコッ!


 千切れるんじゃないだろうか…………。
「よーし、それじゃぁもっといいものもって帰ってきてやろう!」


          ピコピコピッブチッ…………
     ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


「あわ……あわわわわわ」

 ………………………

 サッ ガシッ タッタッタッタッタッタッタ……………

「お……俺はなにもみていないぞ! うん!」

 とりあえず…………明日は"お土産探し"がんばろう
          ん?  なんか違うような
          総合戦闘技術評価演習 演習場
 照りつける太陽、燃える砂浜、寄せる細波……そして。

「あら、やっと到着? まったわよ~。それじゃ、はじめましょうか?」

 ビキニの美女…………。

「「…………」」

 実際に見るとかなり……"アレ"だな。まぁ……無理な"仕事"を言っている手前文句は言えない。

「はい、これ。今回の任務よ」

「命令書受領いたしました!」

「ま、せいぜい死なない程度にがんばりなさい」

「……了解」

 御剣の顔に緊張が走る。

「いざって時は、荷物の中の通信機を使いなさい。当然、試験は失格だけど」

「タケル、マサシ、装備だ」

「おう」
「サンキュ、御剣」

 ベルトキットを受け取る。俺の者は何とか使える状態だが、タケルのベルトキットは……。

「しかし……ここまでボロいと」

「せめて縫う道具がないとな……」

「使えなさそうだったら修理するしかないわね」

「どうやってだ? ここまでボロいとどうにもならないだろ」 

「確かにそうね……どうしようかしら」

 榊が顎に手を当てて唸っている。

「よかったらボクのベルトキットと交換してあげようか?」

「……いいのか? 美琴」

「タケルってそういうの不器用そうだしね。任せておくと心配だから」

「……そうか」

「タケル?」

「悪い……交換頼む」

「うん」

 にっこりと微笑みながら鎧衣がベルトキットを差し出す。タケルのベルトキットと交換し終わったと同時に神宮司教官から説明が始まった。
「本作戦は、戦闘中、戦術機を破棄せざるを得なくなり、強化外骨格も使用不能という状況下で、いかにして戦闘区域から脱出するかを想定した物である。従って脱出が第一優先目的だ」

「また行動中、地図中に記した目標の破壊……後方撹乱を第二優先目的とする」

「破壊対象は全部で3箇所。作戦時間以内であれば、その方法は問わない」

「本作戦は144時間後、所定ポイントの回収機の離陸をもって完了するものとする。……以上が現時点で貴様らが知りえる情報の全てだ」

 …………144時間……つまり6日間で3箇所を破壊その後回収ポイントまで向かう…か、案外楽かもな。

「各自時計合わせ…………57、58、59――作戦開始!」

「「「「「「「――了解ッ!」」」」」」」

「地図を見る限りだと、全員で1ヵ所ずつ回る余裕はないね」

「ああ……鎧衣の言うとおりだな…3つに分かれるか?」

「そうね……それが最良ね」

「編成はどうする?」

「そうね……2、2、3の編成になるから……」

 そこに……。

「オレは美琴とこの地点に行く」

「えっ?」

 鎧衣が頬を染めながらタケルのほうをみる。

「あ、ずるい―! 私が一緒に行きたかったのに~!」

「タマ……ちょっと落ち着け」

 ナデリナデリ……。

「……にゃ~」

「ちょっと、勝手に決めないで!」

 タマを撫でてあやしている間に榊がタケルに詰め寄る。

「まぁ、落ち着け委員長……オレはこの試験初めてなんだ。サバイバルスキルの高い美琴と一緒の方が、委員長達も安心できると思う。……どうだ?」

 しかたないな。

「そうだな……タケルはどこか"ヌケ"てるからな……うっかりしてトラップなんかに引っかかったりしたら眼も当てられないしな」

 タケルにパチリとウィンクをする……少し苦笑いをしている。

「ええ……確かにそうね」

「「「…………」」」

 御剣、タマ、慧は納得いかないようだ。

「いきなり腰の退けたような態度が気にはなるけど……言ってることはもっともだし、鎧衣に任せるわ」

 委員長は無理やり自分を納得させている。

「わかった」

「――悪いな、美琴」

「で、私たちは…………」
          ザクッザクッザクッザクッ


 生い茂る草を踏み潰して歩く……。俺は、榊、御剣と組むことになった。

「やはり……草木が多いと空気が美味いな。そう思わないか?」

「うん、確かに空気は美味いな。」

「…………」

「どうした? 榊……?」

 榊が反応を返さない。

「……はぁ。なんでそんなに気楽でいれるの? 私達はこの演習が最後なのよ?」

 いつも以上に神経質になている。榊の性格もあるんだろうがこの演習が最後のチャンスというのが重くのしかかっているようだ。

「そうは言ってもな、榊。まだ、3時間しか経っていないんだぞ? もう少し気楽にいこうや」

「そなたはいささか気楽すぎるようなきもするがな」

 御剣がニヤリとしながら言う。

「まっ俺は気合を入れるところと、抜くところをハッキリさせてるからな! いつも張り詰めていたら精神衛生上良ろしくないしな」

「なるほど……マサシの言うことも一理あるな」

「あなたに言った私が馬鹿だったわ……」

「ひで―なぁ、俺は俺で気を張ってるときもあるってーの」

「はいはい」

 少し空気が軽くなったようなきがする。
          夜
火を起こし、その周りに腰掛ける。火の近くに空き缶と蛇肉を突き刺した枝を刺す。

「結構蛇いるもんだ……レーションは温存しておかないとな。それに結構蛇肉イケルし」

「だが、臭み消しのカレー粉がないぞ?」

「そのへんは少し我慢してくれ……」

 そう言いながら蛇肉の向きを変える。

「へ~、東海林って料理得意なんだ?」

「ん? いや、料理が得意っていうかさ……前に俺の爺さんの話をしたよな?」

「「うん」」

「その爺さんがな『剣士たるもの常に緊張感を持って行動せねばならん! よって1週間無人島で過ごしてもらう!』とか言ってさ……結局1月無人島にいたよ」

 わはは……と笑いながら言う。今となってはいい思い出だ。

「…………それはなんとも豪快な御爺様だな」
「凄いわね……いろんな意味で」

「そうだよな~14歳の時に無人島に放り込まれたんだもんなぁ。その時に渡されてたのはナイフ1本だぜ? 笑っちまうよな」

「「そ・・・そう(か)?」」

「お……そろそろ焼けたか?」

 そう言いつつ空き缶に入っていた"モノ"を振りかける。

「東海林、さっきから気になってたんだけどその空き缶はなに?」

「ん? ああ"塩"だ」

「「塩!?」」

「おう塩だ」

 人間は疲労したら身体が塩分を欲する。このような環境化では塩の摂取が重要となるのだ。

「塩なんてどうしたの!? そんなもの支給されていないでしょ?」

「ああ、上陸してから少し海岸線を沿って行軍しただろ? そのときに空き缶を拾ってな……その中に"海水"を汲んでおいたのさ。んでそれを沸騰させて塩を作ったわけ」

「鎧衣並のサバイバル能力じゃないのか?」

「さ―どうだろうな……ほいっ、食いねぇ食いねぇ、蛇食いねぇ」

「プッ、何それ……それじゃ……いただきます」
「いただきます」

          がぶり がつがつがつ……ごくん


「少し生臭いが……食べれないほどではないな」

「食用として育てられたのなら別だが、野生の蛇はこんなもんだって」

 以前"リアル"の修学旅行で行った時に、沖縄で食ったハブ料理はうまかった。などと思い出しながら食事を取っていった。
「ふぁあ~、それじゃ早めに休んでおくか」

「そうだな、休める時に休んでおかないと何があるかわからないしな」

「それじゃあ、寝ましょうか。」

「おう、御剣、榊、お休み。」

「「お休み」」
      総合戦闘技術評価演習二日目
          ザッザッザッザッザッザッ


 道なき道をひたすら歩く。周りは緑緑緑緑…………緑一色だ。
          ドーン


「ん?」

 爆発音が聞こえた。ああタケルたちか……。たしか軽油をつかった遅延発火装置で爆破したんだよな。

「どこかの班が目標を破壊したみたいだな。爆発音の方向からして…タケルたちか?」

「たぶんね……」

「榊、マサシ! 破壊目標を発見したぞ!」

 御剣が叫ぶ。ソレは倉庫のような建物だった。
          破壊目標前


「分かれて探索しましょう」

「「了解」」
          倉庫内


 さーて……確かラペリングロープがあったんだよな…………。ん?…………なんだアレ。

          チャリッ

「発炎筒とドッグタグ? なんでこんなところに……まぁいいか……一応持っておこう」

 ドッグタグをポケットに突っ込む。

「めぼしい物はないな……入り口に戻るか」
          破壊目標前


「なにかあったか?」

 御剣、榊に聞く。

「ああ、私はラペリングロープを見つけた」

「私はガソリンの入ったタンクね」
 
「俺は発炎筒を見つけた」

 …………発炎筒とガソリンで破壊しろってことか。

「俺がガソリンを撒いてこよう」

「ええ、頼むわね」

 榊からガソリンタンクを渡してもらう


          パシャパシャパシャパシャ


「榊! 準備完了だ!」

「わかったわ! 火をつけて移動を開始しましょう」

「「了解」」

 シュボッ ヒュン ボッ…………ゴォオオオオ……

 目標の破壊完了……後は合流地点に向かうだけだな。


「だいぶ日も暮れてきたな……今日はここまでにするか?

「そうね……もうちょっと距離を稼ぎたかったけど……」

「うむ、そのぶん明日稼げばよいことだ」

「んじゃ……火の用意をするか」
          パチパチパチパチ


「ふぃ~食った食った……ごちそうさま!」

 今日はカエルを食った……これもなかなか美味で…。

「そういえば御剣……」

「なんだ?」

 榊が寝静まったのを見て御剣に声をかけた。

「月詠真那さんって知ってる?」

「…………どこでその名を?」

「いや、この前偶然知り合ってさ。真那さんってさ……どんな人?」

「ぷっくくく……はははは、つ…月詠を名前で呼んだのか? ははははは」

「ど……どうした? なにが面白いんだ?」

「いや……くくく、月詠のことだったな……月詠は今見れば厳しく、そして凛々しくみえるだろうが、昔は酷い慌て者でな……おっちょこちょいなところもあったんだ」

「ウソッ!?」

「いや、本当だ。……ああ、一度だけ月詠が"プディング"を作った事があってな……アレは本当に美味だったぞ」

「へ―真那さんがプリンをねぇ("アッチ"の真那さんならともかく"コッチ"の真那さんもプリンとか作ってたのか……)」

 ……………一度食べてみたいもんだな。
      総合戦闘技術評価演習三日目
 もうすぐで合流地点だ。

「ん……おい御剣、榊、灯りが見える。あそこじゃないか?」

「ええ……まったくこの距離から見えるほどの灯りを焚くなんて……」


          ガサガサガサ


「お……タケルたちか」

「よう! 悪いが1着はもらったぜ」

 ニヤニヤしながらタケルが言う。

「けっ! 言ってろ」

 少し悔しい……。

「タケル、少し灯りが漏れいているぞ……30m先からでも丸見えだった」

「え? ああ、やべえやべえ」

 そう言いながら火に土を被せていく。

「しかし……そなた達、さすがだな」

「ホント。ふたりはいつ着いたの?」

「ボクたちは昨日の夜に、ここに着いたんだよ」

「それは本当なのか……?」


          ガサガサガサ


 ん? タマと慧か?

「あれ~、もしかして、すでに揃ってる?」

「おう。おまえ達が最後だ」

「……何したの?」

「……なんで疑いの眼差しなんだ?」

「……違う違う」

「全員揃ったところでさっそくだけど現状の把握をしましょう。珠瀬達からお願い」

「私たちは、脱出ポイントの書かれた地図を見つけたよ」

「この端が脱出ポイントか……」

「時間的に、幾分余裕があると見て良いのであろうか……?」

「そこまではちょっとわからないけど……。あ、ついでに対物体狙撃銃(アンチマテリアルライフル)を1挺手に入れたよ。弾は1発だけどね」

「私達の方はラペリングロープを手に入れた」

「オレたちはシートだけだ」

「ルートは?」

「なるべく緩やかそうなところを選びましょう。この状態じゃそれくらいしか判断基準ないから」

「だな……」
「そうだね」

「それと……かなり時間の余裕があるけど、ペースを落とす気はないから、みんなそのつもりで」

「そうだね。この先何が起こるかわからないから、急いだ方がいいのは変わらないよ」

「ここからは小隊での行動になるわ。チームワークの悪さが作戦の失敗に直結する……気をつけてね」

「「了解」」
「わかったよ」
「オーケーだよ」
「…………」

「……OK、じゃあ、班ごとにローテーションを組んで、交代で休憩と食事を取りましょう」

「そうか、委員長達はまだ食ってなかったのか」

「合流地点が近かったのはわかっていたからな。早く到着したかったのだ」
「わっ、この実たべられるかな~」

「パンギノキには強い毒があるよ」

「……これは?」

「それは最悪だな……猛毒だぞ」

「…………なるほど」

 そこで榊を見る……たのしんでやがるな。

「……。なんで私を見るわけ?」

「……え?」

「え? じゃないわよ!」

 くくくくく………こいつらおもしろすぎだ。

「……見てない」

「見たでしょうが!」

「……あげる」

「いらないわよ!!」

「ぶははははははははははは! おまえらといると飽きなくていいな……くくく腹痛ぇ…」
「……千鶴さん!」

 哨戒にでていた鎧衣がもどってきた。

「どうしたの?」

「前方に崖を発見したよ! 下に川が流れてる」


「それほどの距離じゃないけど……ここはロープで渡ったほうが良いか。一気に渡っちまおう」

「そうね、迂回は時間の無駄だしね」

 タケルと眼が合う。

「ああ、急ごう」

 どうやら同じことを考えていたようだ。

「……彩峰、向こうにロープをかけてきて」

「…………了解」

「ほ―、いつ見ても凄いな」

「ああ、相変わらず素早いな」

「慧さんは身体能力が高いから。ロッククライミングとかラペリングが得意なんだよ」

 話をしているうちに、慧は向こう岸にたどり着いていた。

「スンっ……空気が湿ってきた。雨降りそうだな……」

「……よりによってこんな時に」

「……あ、慧さんOKだって」

「わかったわ。川が増水しないうちにいきましょう」

「…………」

「ん? どうした、冥夜?」

「いや……そなたたちが不思議でな」

「ん?」
「え?」

「落ち着きすぎているというか……何か、自信のような物を感じるのだが……?」

「気のせいだよ。じゃ、先に行かせてもらうぜ」
「爺様の修行のおかげだよ……」


「雨が止まないわね……増水もしてるし」

 川が増水している……勢いも強い。

「これじゃ、慧さんにロープ回収してもらうのは無理だね」

「雨が止むの待ってみる?」

「スコールかと思ったが、いつやむかわからん。時間の浪費であろう」

「シートがあるって言っても、このままじゃ雨に体力をもっていかれちゃうね……」

「……そうだね。ロープがいるならいるで早めに決断しないとまずいと思うよ」

「私は……ロープは必要だと思う。ここから先もこんな地形になってるかもしれないから」

「ロープの縛り目をライフルで狙撃してほしいの。珠瀬、出来るかしら?」

「私?」

「そうすれば、ロープの回収は可能よ」

「だが、1発しかない弾薬を失う事になる」

「それはそうだけど……私はロープの確保を優先するわ。何か異存でもあるの?」

「……私は、ここでライフルを使うべきではないと思う」

「理由は?」

「それは確かにそうだけど」

「ロープはツルなどで代用できるが、ライフルの弾はそうはいかない」

「でも、ライフルよりロープの方が使い道が多いとおもうわ。また崖があるかもしれないし……」

「ボクも千鶴さんに賛成だな」

 ガヤガヤガヤ

 話は平行線をたどっている。

「はぁ……おまえらさ……両方とも! って欲張りはしないわけ?」

「「「「「えっ?」」」」」

「いや……だからな? 両方とも持っていくって選択肢がないだろう?」

「マサシさん―……無理だよ~。こんな雨のなかじゃロープ回収できないよ?」

「だからさ……雨止むまで待てばいいだろ」

「それは時間の無駄だ、幾分余裕があると行ってもここで浪費するべきではない」

「そうだよ―マサシ。 ロープを回収したほうがいいよ―」

「…………」

「あわわ……あわわ」

 仕方がない。

「…………タケル」

「なんだ?」

 タケルの眼を見ながら言う。

「後何時間で雨止むと思う」

「えっ……」

「いいから……お前の"知識"じゃあと何時間だと予想する」

「あっ……そうだな、後3、4時間ってところか」

「だそうだぞ、榊」

「…………」

「いつも言っているだろ? "急いては事を仕損じる"ってな……焦るのもわかるがな」

「「「「「「…………」」」」」」

「ここで4時間の休息を取る!」

「彩峰は川の増水が引き次第ロープ回収。歩哨は20分交代で……」

 榊が次々と指示をだしていく。

(サンキュ……マサシ)

(ああ、別にどうってこたぁねーよ)

 タケルと小声で話をする。

「あ……!」
「雨、やんだよ!」

           パンッ

「よっしゃ!」
「よーっし!」

 タケルとハイタッチをする。

「……2時間」

 榊が信じられないといった顔をする。

「この様子だと、1時間もすれば川の勢いも弱まるであろう」

「回収作業をして……ちょうど4時間だ!」

「たけるさん――すごい!」

「いや……すごいのは榊の判断だろ」

「…………」

「……私の出番?」

「ああ、悪いな彩峰。流れが弱くなったら頼むよ」

「天がそなたの味方をしたようだな」

「そんな大袈裟なもんじゃネエって」

 後は回収ポイントに向かうだけだな。
      総合戦闘技術評価演習四日目


「……あれが脱出ポイントかしら?」

「ヘリポートが見えるな……」

「地図にある印の位置が間違っていなければな」

「回収ポイントまでもうすぐだねっ!」

「……でも……」

 ――――回収ポイントへの砲撃の事を考えているのだろう。

「まぁ"遠足は家に帰り着くまでが遠足"っていうからな! 気を抜かずに行こうや」

「あははは――そうだね―ちょっと大変な遠足だったけど……」

「…………おやつもってきてない」

「そうだな……マサシの言うとおり最後まで気を抜かずに行こうぜ」
          回収ポイント


「回収ポイント確保、総員全方位警戒」

「4日目でクリアとは、快挙だな」

 御剣が嬉しそうにいう。こころなしか榊の顔も明るい。

「こんなに早く着けるなんて、思ってもなかったよ!」

「これで私たちも、先に進めるねっ!!」

「そうだな! 戦術機まで後1歩だ! だろ、タケル?」

「ああ……本当のスタートはもうすぐそこだ!」

「発炎筒発見!」

「回収機がいないところを見ると……それを使うのであろうか?」

「……焚くね」

 慧が発炎筒の方に歩いていく。

「……待った!」

「…………なに」

「オレにやらせてくれ。昔からやってみたかったんだ」

「別にいいんじゃない? だれが焚いても同じなんだし」

 同じだったらいいんだけどな。

「どこに行くつもりだ?」

「端っこで焚きたいんだよ」

「……妙な男だな」

 タケルがヘリポートに入っていく。

「……………タケル」

「…………ああ」


          ボシュッ シュオオオオオオ!


 発炎筒の赤い煙が空に上っていく。

「…………(そろそろか)」


          バラバラバラバラバラバラバラ…………


「あっ! ヘリが来たよ!」

 タマの嬉しそうな声。


          ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!


「「「「「!?」」」」」」

 来たかっ!

「タケルっ!!!!下がれっ!!!!!」

「ああっ!」

「狙われているぞ!」

「わかってる!」

「こっちだ!」

 御剣の声に反応して岩陰に滑り込む。

「大丈夫かっ!? タケル!!!」

「か…かはっ……はぁはぁ…大丈夫だ。どこも負傷してないよ……はぁはぁ」

「そうか……よかった。これ、飲んでおけ」

 水筒を投げる。

「はぁはぁ……サンキュ……ゴクゴクゴクゴッゴッゴ……っはぁ」

「あそこの半島に砲台があるみたい!あそこから砲撃してたよ!」

 タマが対岸を指差す。

「生きている砲台があっただなんて……」

「……ヘリ、逃げてった」

「どうしよう……」

「まだ、任務を達成したことにはならんのであろうな……」

「…………甘かったってわけね……」

「……はぁ……」

「まぁ……香月女史がいるってあたりで妖しさ爆発だわな……いまさら気付いても遅いが」


         ガガガガビガッガガガガガ……


「はい、こちら207B分隊」

 通信か……香月女史か。

『あ~みんな生きてる?』

「カカカカカ……くくく……」

 笑ってしまう。

「隊に損害はありません」

『そう、よかった。それはそうと、ちょっと予定が狂っちゃったわ』

「ボソボソ……(ちょっとだってよ……)」

『撃たれたからもう分かってると思うけど、そこから北東方向に見える半島の砲台が、何故だか稼動しちゃってるのよね~』

「そちらでは制御できないんですか?」

『無理。自動制御だから。困ったわね~』

「「「「「「「…………」」」」」」

「で、新しい脱出ポイントを設定するわ」

「……了解」

『新たな脱出ポイントのE地点は、攻撃をしている砲台の真後ろね』

「簡単に言っちゃってくれちゃって……」

「そこに行くまでに、砲撃される可能性がありますが」

『あたしが出来るのは、脱出ポイントを教えることだけよ。以上、通信終わり』

          ガガ――――――――……


「切りやがった……」

 さすが香月女史……やることが凄いな。ゲームで見るのと"実際"に体験するのとじゃ全然違う……。

「……というわけよ、みんな」

「了解」

「……冥夜は案外平気そうなんだな」

「最後まで油断してはならない……そう思って演習に臨んでいたからな」

「そなたこそ、先ほどより顔色がよいぞ?銃撃で血行がよくなったと見える」

「よしてくれ。まぁ、あまりに順調だったから、何かあるとは思ってたんだ」

「香月女史のことだ……なにもしないって確率のほうが低いだろ」

「ふふふ……さすがだな」

「本当、いかにも博士らしいやり方だよね」

「……オレもそう思うよ」


「「「「「「「…………」」」」」」」


「長居は無用だわ。E地点に急ぎましょう」

「そうだね……砲台も黙らせないといけないし、急いだ方がいいね」

「タケル、移動するぞ。ここに止まる意味はない」

「行くよ~」

「ああっ」

「そんなに焦らなくても大丈夫だ「急いては事を仕損じる……マサシに言い聴かされてるから大丈夫だよ。別に焦ってないさ」そう……じゃあどうしたの?」

「いや……やっと蛇料理から開放されておばちゃんの飯が食えるって思ったのにさ……あーあ」

「俺もおばちゃんの味噌汁が食いてーなー」

「「「あははははははは」」」

「…………ヤキソバ、ヤキソバ」

「ヤキソバも食いてーなー」

「はいはい……味噌汁もヤキソバも帰ってたくさん食べればいいんだから……あとちょっと、がんばるわよ」

「「「「「「了解っ!」」」」」」
          ザッザッザッザッザッザッザッザッ………


「海は綺麗だなあ……」

「あん? …………ああ夕方の海は特に綺麗だな」

 そうか……砲台の"レドーム"がそろそろか。

「……何言い出すの突然! 気を抜かないでよ」

「ただ眺めてる訳じゃない。海側から攻撃される可能性だって捨てきれないだろ? オレはそれを警戒してるんだ」

「……」

「……そうだ! たま、何か見えないか? おまえが一番目が良いんだからさ」

 さりげなくタマを誘導するタケル……変なスキルだけ伸びている。

「そうですね…………あれ?」

「ん…………あれ。なんかあるな……」

「うん……なんか、あそこにレドームが……」

 かすかにだが何か半球体のものが見える。

「あれだろ……崖のところにある……」

「あ……! 彩峰さん、スコープ貸して!」

「……はい」

「じゃあ、早速調べようよ」

――――調べた結果、崖の真ん中にあるレドームは砲台のセンサーである可能性が高いことが分かった。みんなで話しあった結果、ここでライフルを使い砲台を沈黙させる事に決まったのだ。
          ドゴーン!!!!           ガシャーン!!!!


「――目標破壊!」

「おっしゃ!! タマすげーぞ!」
「よし!」

「これで、砲台は気にせずに進むことができる可能性がたかまったわけね」

「しかし、確証がない以上、油断は禁物だ」

「もう、さっきみたいな目には遭いたくないもんね」

「まったくだ」

 タケルが苦笑いをしながら言う。しかしこれで砲台が沈黙したことは分かっている。

「さあ、移動するわよ! ライフルは目立たないところに投棄して!」


          ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザ


 みんなのスピードが上がった……砲台の危険性が薄れた事によりプレッシャーが少なくなったのだろう。あとは回収ポイントを目指すだけだ。
      総合戦闘技術評価演習五日目


「さ、みんな起きて」

「おはようございます……」
「おはよーさん」

「ああ……委員長、マサシ歩哨お疲れ」

「さ、今日中に任務完了するわよ。5分で移動準備して!」

「りょうかーい」


      丸太橋前


「これ……渡れるのかしら?」

 実際に見るとかなり痛んでいる。補修をしてギリギリといったところだろう。

「ロープで補修すればなんとかいけると思うよ……」

「向こうの橋は、鉄橋だね~」

「鉄のアーチが見えてるしな……きっと、強度は雲泥の差だ。どうせ渡るなら安全な向こうの橋にしたいが……」

「そうなると、かなりの遠回りになるな……相当時間を失うことになる」

          バラッ

 地図を広げる。

「向こうの橋を渡るには……この入り組んだ海岸線とジャングルを抜けなくてはいけない……罠とかの危険性を考えると、ロープで補修して一気に渡ってしまうほうがいいんじゃないか?」

「そうね」
「異存はない」

「鎧衣、彩峰、東海林は橋の補修を、他の者は散開して周囲を警戒」

「了解」
「……了解」
「了解っと」


         丸太橋


「よーいしょっと……後はこれを固定して……鎧衣! 慧! そっちはどうだ~?」

 対岸の2人に聞く。

「オッケーだよ~」
「…………」

「榊! 補修完了だっ!」

「わかったわ」

――――タマ、榊、御剣、タケル、俺の順で橋を渡る
          第二回収ポイント


「回収ポイント確保! 散開して全方位警戒!」

「回収機は!?」

「目視範囲内に機影なし!」

「…………いや、タケル、鎧衣、終わりだ」

「「えっ?」」

 不思議そうな顔をしてこちらを向く。

「状況終了! 207B分隊集合!!」

「「あれ?」」

「只今を以て、総合戦闘技術評価演習を終了する。ご苦労だった」

「評価訓練の結果を伝える」

「……っ!?」

「敵施設の破壊とその方法、鹵獲物資の有効活用……何れも及第点といえる」

「最後の難関である砲台を、最小の労力と時間で無力化したことは、特筆に価する」

「しかし……」

 …………。

「白銀と鎧衣は基地襲撃を日中に行ったな……なぜ、セオリーである夜明け前を選ばなかった?」

「それは……」

「退路の確保ができていないジャングルでの夜間行動は危険だからです」

「……ふん」

 神宮司教官が意地の悪そうな笑みを見せる……つくづく"鬼教官"だな。

「周囲の地形を日中に確認してから、夜間に襲撃することもできたのではないか?」

 ……タケルめ、成長したとおもったら、何も変わってないじゃないか。

「敵施設を迂回することもできたな?」

「うッ……」

「これらの原点は決して小さくないぞ」

「――まりもちゃん!」

「――まりもちゃん……? まあ……いい。白銀、今日の所は見逃してやろう……めでたい日だからな」

「「「「「「――えっ」」」」」」

「くくっ」

 本当に人が悪いな"まりもちゃん"

「おめでとう……貴様らはこの評価演習をパスした!」

「……えっ……でも……それだけの重大なミスを……」

「榊、この演習の第一優先目的はなんだ?」

「脱出……です」

「実戦に於いて、計画通り事態が推移することは希だ。それ故、タイミングや運といった要素も重要になる」

「セオリーはセオリーですかない。結果として、貴様等を狙える位置に追撃部隊は存在しなかったし、砲台のセンサーはひとつだけだった」

「そして貴様等は、全員脱出に成功した……ちがうか?」

「……いえ……」

 榊が泣いている。

「……榊」

 御剣も。

「これで、戦術機だねっ!!」

 鎧衣も。

「……1歩前進」

 慧も。

「やった―! たけるさんやったよ―!」

 タマも。

「ああっ、みんなのおかげだよ」

 タケルも。

「よっしゃー!!!」

 そして俺も。これから…………これから、劇的に物語りは進んでいくだろう。辛く、苦しい。あの戦いが始まるのだ。だけど、今くらいは、喜んでもいいよな?
          11月22日
「おいしょっ!」

  ヒュンッ    ストン

「ふぃ~こんなもんでいいかぁ」

 そういいながら振り返る……そこには山のように詰まれた"ヤシの実"があった。

「へへへっ"ミミ"をピコピコさせながらジュースを飲む霞の姿が目に浮かぶぜ」

 そう、俺は霞にヤシの実を持って帰ってやろうと思うのだ。

「よいしょっと……ふぅ、みんなは遊び倒してんなぁ……」

 ゴトンっとヤシの実をコンテナに入れる。そこへ。

「東海林……それ社へのお土産?」

 香月女史が聞いてくる。

「ええそうですよ。うまいヤシの実ジュースでも飲ませてやろうかと思いまして。」

「ふ―ん……そう」

「どうかしたんですか?」

 香月女史の隣に座る。

「いえ……例の件でちょっとね」

「……なにか…もんだいでも?」

「問題は無いわよ、ただ整備員がね……腕のいいヤツがいるんだけど……こいつが"ちょっと"ねぇ……」

「"ちょっと”? どうしたんです?」

「帰ったら紹介するわ……色々と覚悟しておきなさいよ」

「??????了解……」
 このときの俺は……まさか"あんな思い"をするなんて思ってなかったんだ……。
 続く
(´・ω・`)今回疲れました かんとりーろーどです!
今回は……いつもよりテキスト量2倍!!!
てか……死ぬ思いでした(総戦技演習中ってなんか……オリジナル色だしにくかったですよ)

とりあえず次回から!

やっと戦術機です!
オルタβで人気のツンデレ中尉や、ネコのう○こ踏め!やらでてきそうですよ?

とりあえず明日26時までに更新いたします!

そいでは、ばいちゃ~
 


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