さて、皆さんこんにちは。サンドトウ飛行場が本格稼働に入って怖いもの無しの北条透です。
今日は、非番なんで湖畔から糸を垂らして釣をしています。
この湖の鱒は中々に美味なので重宝します。…ブラックバスみたいな奴の方がかかる確率高いですが。
『ユウシャ、ユウシャ。JAS-39カラ連絡。敵襲、敵襲』
隣の高機動車が教えてくれる。…人が良い気分で釣をしながら読書しているのに本当に空気を読みませんね。
例によって即座に写真撮影を行って帰還したJAS-39。その写真には信じたくない物が写っていました。
「これ、オ○ム?」
風の谷の物語に出てくる森の王者さまです。
「ワームね。外殻がとても硬くて、しかも群で襲ってくるから脅威度はとても高いわよ」
ワーム(ミミズ)?どうみてもダンゴ虫でしょうが。全長80mの甲殻類が群で襲ってくるとか悪夢ですね。
しかも、確かあれの外殻はセラミック鋼より硬いとか言っていたが。
原作の戦車砲がどれ程の威力だったのかは知らないが、オ○ムには全く利かなかったようだし。
「今まではどう対処を?」
「正面突破」
「…正面突破? 弱点は?」
「…記載には無いわね。強いて言うなら腹部の防御が弱いらしいわ。今までは正面突破で何とかなっていたらしいし。そもそも守勢に回っている今回が異例な訳だし」
「……チート勇者共が。…俺はサンドトウ飛行場に移る。ジャスティン、指揮任せた。総員第一種戦闘配置。ミズーリ全兵装開け、地対艦誘導弾発射準備。要塞ゲート開け、90式戦車、99式自走砲を第一次防衛線まで押し上げろ。全航空戦力発進準備」
「「「了解」」」
直にグリペンに乗ってサンドトウ飛行場に。
ぐっ!? 流石は戦闘機。発進だけでも結構なGが掛かるな。
B-1を連続召喚。爆弾満載で。
巨○兵のビームで軒並み吹き飛ばしてもまだ残る物量。愛と勇気の御伽話も真っ青だ。
飛行場では既に発進態勢を整えていた。こちらと入れ替わる形で発進を始める。俺はJAS-39から降りると即座に召喚を始める。
爆弾満載のB-1よ来れ。34tの火薬と鋼鉄を降らせてやれ。A-10よ、東側戦車の物量に対抗する為に造られたその能力、見せてみろ。
次々と召喚されて、発進していく爆撃機と攻撃機。頼むぞ。前回の二の舞はご免だぞ。
上空ではF-15EとF/A-18E、JAS-39が細長いヘ○ケラとか言うムカデが空を飛びました的な蟲とウ○アブとか言うハエみたいな奴と空中戦を繰り広げている。
まぁ、空中戦はこっちの圧勝ですけど。数もオ○ムほど多くないですし。機動性もこっちが上ですし。20mm機関砲が利く相手で良かったよ。
で、地上部だが……駄目だ。爆発地点に居る奴は大抵吹き飛ぶが、通常爆弾じゃ効果薄だな。
デイジーカッターの使用を許可するか。物量には大量破壊兵器。それがこの世の真理です。
目を真っ赤にしてひたすらに向かってくるオ○ム。
…人類はコイツ等を怒らせたのだろうか。オ○ムの怒りは大地の怒りらしいが、飛行場建設とかやり過ぎたか?
まぁ、良い。文明と自然は相反するものだからな。
現代兵器を司る者として避けては通れぬ道なのだよ。それに、似ているだけで別物だしな。
荒野の方から大量のキノコ雲が。無誘導爆弾とデイジーカッターが次々に投下される。
まぁ、最終兵器はトラップだがな。先の反省から大きく強化した落とし穴だけど、それでもあの数を倒せる自信は無いな。
連続で投下される爆弾と爆ぜる大地。
この大威力、この爆発力こそ現代兵器よ。
それにしても、これだけの火薬と鋼鉄を降らせて殲滅出来ないとはファンタジー恐るべし。2000ポンド爆弾やトマホークを降らせれば半径500mは加害半径だ。
デイジーカッターを降らせればそれがkm単位に広がる。…なのに、何で殲滅出来ない!? 召喚を続けまくって今では百機単位の爆撃機が飛び回ってるんだぞ!?
それはね、数多くのファンタジー作品で現代兵器はファンタジーより下位に置かれているからその因果律が流入してるんだよっ。
ナレーションウゼー! ああ、そうだな、そうだよな。結局、風の谷の物語じゃオ○ムとか倒せなかったよな! ゴ○ラ相手に勝てた通常兵器は居ないし、G兵器でも勝てたのは極少数だ! ウ○トラマンとか、エヴ○ンゲリオンとか、F○TE-ZEROとか、愛と勇気の御伽話でも大苦戦だったよな! でも、も○のけ姫とか頑張ったじゃん! ファンタジーに人類の英知で善戦したじゃん!
でも、結局はシ○神が首なしデイダラボッチになった途端に負けたし。
ほっとけ!! だぁ~、B-1、連続召喚。C-130、デイジーカッターをばら撒いて来い! あの質量で押されたら第一次防衛線は保たないぞ!
『勇者殿! 地対艦誘導弾、発射始めました』
「うし、慣性誘導で荒野に向けさせろ! 荒野に着弾すれば何処だろうと敵に当たる!」
『了解!』
とは言え、百発に満たない対艦ミサイルじゃ大した影響にはならないだろうな。
『敵勢力、残存29%。あと少しです。頑張ってください』
まだ三割弱も残ってるんかい。何機の爆撃機召喚したと思ってるんだ。心が挫けるぞ。でも、巨○兵とか出てこない分、マシなのか?
『目標、トラップエリアに入りました』
「被害が最大化するタイミングで起爆しろ。起爆はそっちに任せる」
『了解』
俺にも映像は入って来ている。モニター、小型だけど。
お、起爆した。残存三割の内、二割は罠を超えたか。と言うより、見逃したか。でも、残りは殆ど吹き飛んだか。ジャスティンも中々タイミングが判ってきたな。
新しい罠は荒野方向に傾斜を持たせて、吹き飛んだ敵が後続の上に落ちるようになっている。
デイジーカッターや各種爆弾を大量に使ったトラップの爆発力は以前の2倍。今頃砦は結構な地震に見舞われているだろうな。
『自走榴弾砲、発射開始します』
直撃すれば対象を無力化できる。でも至近弾では怯ませる位か。威力自体は500ポンド爆弾にも劣る。
『残存戦力に向けて多目的誘導弾、発射開始します』
戦車の正面装甲も破壊可能な多目的誘導弾。いくら巨大とはいえ、生物であるオ○ムが耐えられる訳が無い。しかも、これは器用に誘導できるのだ。
確実に個体個体に誘導できる。一体に念を込めて三発の誘導弾を叩き込む。
着弾を受けて次々とオ○ムが各坐していく。
『戦車部隊、砲撃開始』
120mm滑腔砲がタングステンの装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)を次々と発射する。
ダーツの矢を火薬で飛ばすという表現が似合うこの砲弾は、砲口から発射と同時に加速を得るための装弾筒を分離させ、弾芯が音速の4倍で飛び出し、従来の徹甲弾とは比較に出来ない貫通力を誇る。
反面、破壊力は全て運動エネルギーに頼るので、装甲貫通後に爆発する従来の徹甲弾に比べれば劣る。
正直、巨大生物相手に効果は未知数だ。とは言え、今となっては貫通後に爆発する大砲用の徹甲弾なんて無くなってしまったが。
滑腔砲を受けたオ○ムはやはり、一撃では死なない。複数弾を受けてようやく倒れる。駄目だ、押し切られる。
ダガァァーーーン!!
防壁に次々と体当たりするオ○ム。だが、戦車も自走砲も高機動車も撤退済みだ。
「…最終トラップ発動」
『判ったわ』
防壁の中に仕込んだ大量の指向性爆薬が爆発する。
爆発に指向性を与えるのは意外と簡単だ。手榴弾を和式便器に放り込めばそれだけで爆発は指向性を持つ。
今回は防壁をコの字に鉄筋コンクリート。開いてる部分はただのレンガ。爆発はレンガを吹き飛ばしてそちらに向かう。
防壁に辿り着いたオ○ムも結局、完膚なきまでに吹き飛ばされた。
な、長かった。心が挫けるかと思った。
『ユウシャ、第二派、第二派!』
うそ~ん!? orz
「OH(偵察ヘリ)の情報、こっちに回して…」
そして、画面に映ったのは…。
「ロボット?」
正式名称は無いが、城が空に浮ぶ物語でロボットと呼ばれていたビーム装備の二つ目のロボットだった。しかも、その後ろには飛行戦艦が続いている。
「冗談だろ…。飛行戦艦は置いとくとして。あれ、確かセラミックで出来てた筈だぞ。成型炸薬弾とAPFSDSの天敵じゃねぇか」
複数の素材を重ねて防御力に優れる複合装甲だが、その中で成型炸薬弾やAPFSDSに対抗するために使用されるのがセラミックである。
正確には金属ではなく、陶磁器なので、科学力が劣れば金属か粘土か理解出来ないのも頷ける。
瞬間的な衝撃には強いが、何分、割れ易い。だから、低初速の攻撃は有効なのだが…。
「現代兵器で低初速……。移動目標に命中させる精度が必要…。しかし、重機関銃レベルでは耐えられてしまう…。……A-10に30mmで攻撃させるか? よし、それで行こう。AH-64Dも居るし何とかなる! …多分」
『トオル、聞きましたか?』
「新手だろ? でかいのは戦闘機を対艦兵装で発進させろ。小さいのはAH-64Dにロケット弾を積んで発進させろ。こっちからはA-10を出す。対戦車弾は積むだけ無駄だから積むなよ」
『対戦車弾が? 何故?』
「あれの装甲は対戦車弾に対抗する目的で使われる物だ。効果は期待出来ない」
『了解』
はぁ、それにしても、ロボットはともかく、戦艦はこちら(科学の)側じゃ無いのかよ?魔物図鑑確認……ロボット、愛称なし、カテゴリーは無機物兵士。飛行戦艦、愛称はゴリ○テ、カテゴリーはロボット母艦。…って、あれが母艦なのかよ!?
オ○ムが砲戦距離まで近付いたので航空機が帰還していた要塞では補給を急いでいる。
サンドトウ飛行場では新たに装備満載で召喚した方が早い。次々とA-10を召喚する。
あのロボットの機動性は不明だが、亜人型である以上、そこまで高くは無いはずだ。A-10やAH-64Dでも勝てるだろう。
F-15E、F/A-18E、JAS-39は対艦兵装で飛行戦艦に向かう。あの飛行戦艦の対空装備は明らかに超音速に対応していない。
でも、下方への艦砲を持つので要塞に到達させると厄介だ。流石に要塞でも航空攻撃には対応していない。
次々とロボットを吐き出すゴリ○テ。全く、どうなっているんだか。
「航空部隊、母艦を最優先で叩け! これ以上の発艦を許すな!」
百機を超える戦闘機から放たれる二百発を超える対艦誘導弾。迎撃も回避も出来ずに着弾する誘導弾。
元々、軽量化の為に装甲など高が知れている飛行戦艦。誘導弾は装甲車にも劣る装甲を次々と破り艦内で爆発する。
黒煙を上げて傾くゴリ○テ。今度は次々と上空に舞い上がり、急降下染みた動きで爆弾を投下する。
そして、対地下用に信管をきつく設定した爆弾は艦内に侵入して爆発する。
ゴリ○テは見事に二つに割れて爆発炎上した。そのまま、ゆっくりと地上に落下していく。
…呆気無かったな。武装と装甲の設定は原作遵守なのか? それにしても、軍艦が、あれだけ派手に燃えるって、色々問題あるんじゃないか?
一方のロボット戦は熾烈を極めていた。ロボットは30mm機関砲やロケット弾を受ければ破壊される。しかし、ロボットのビーム砲も直撃すればAH-64DやA-10を破壊する。しかし、どうやら数の多いこちらが優勢のようだ。
飛行戦艦を撃破した戦闘機隊もロボット駆逐に動き出す。しかし、戦闘機は飛行速度が速く、機銃を用いた対地攻撃には向かない。
それでも毎分6000発の連射速度で20mm弾を発射するのだから一瞬の射線が取れれば敵を蜂の巣に出来る。
空に浮ぶ城の敵は何とか撃破できた。でも、複合装甲じゃなくて良かった。これにチタンや鋼鉄まで使われてたら、俺マジ泣きだったよ。
『ユウシャ、第三派、第三派!』
もう、泣いて良いですか?orz
『トオル、orzしていないで、早く指示をください!』
うお!? ジャスティン、何故に俺がorzってるのが判った!?
『トオルは単純ですから。それより早く次の指示を』
え~と。……ト○ロじゃん。こいつ戦闘能力あんの? 魔物図鑑…、森の精霊、愛称ト○ロ、所構わず木を生やして森にしてしまう。あ~、基地を持つ俺との相性最悪だな。
『トオル、指示を』
「…え~と、とりあえず、レーザー誘導で下の独楽だけ吹き飛ばしてください」
『コマ?』
「あのくるくる回ってるヤツ」
『了解』
ト○ロは独楽を吹き飛ばされるとそそくさと逃げていきました。
「………」
『………』
どんなリアクションを取れば良いんだろうか?
『ユウシャ、第四派、第四派!』
次の敵がモニターに映し出される。
「お~い?」
魔物図鑑、B-29、愛称スーパーフォートレス、爆弾を落とす、近づくと機銃で撃って来る。……これ、魔物?
次に出てきたのは皆さんご存知、B-29。米空軍の戦略爆撃機である。
レシプロエンジンのプロペラ稼動機としては頂点を極めたと言っても過言ではない機体である。
しかし、それは1940年代の話。当然ながらミサイルに対する装備など持っているはずが無く、
「まだ残弾が残っている機体に攻撃させて」
あっと言う間に全機撃墜された。
『ユウシャ、第五派、第五派!』
次は、何だこれ? 飛行船? 武装を積んでいるようには見えないが?
いや、何かぶら下げてる。これは…パトカー?
魔物図鑑、飛行船、愛称無し、敵の上でパトカーを降らす。……良く分からんが、近寄るな。
『トオル、どうしましょうか?』
「俺が聞きたい。…OH、人は乗っているのか?」
『ムジン、ムジン』
「なら墜としてくれ。機銃弾で、あの胴体を狙えば良いから」
『了解』
あ、そう言えば、ゴリ○テに人が乗っているか確認するの忘れてた。
…まぁ、大丈夫だろ。それにあっちは飛行戦艦、軍艦だし。
次に出てくるのは何だい!?
『ユウシャ、第六派、第六派!』
そーか、そーか。次は水上戦闘機(戦闘艇)に飛行艇か。紅いヤツとか、青いヤツとか、でっかいヤツとか居るが、知ったことかい。
魔物図鑑、戦闘艇、愛称色々、機銃で攻撃してくる。……性能はオリジナルと一緒。さよですか。
「AH-64D、人は?」
『居ナイ、居ナイ。ア、撃タレタ。イタ、イタタタ』
「気にするな。お前の装甲を貫ける装備は無い。反撃しろ」
『リョウカイ、リョウカイ』
戦闘機が出るまでも無かったな。戦間期の機体じゃ、ヘリにも勝てないよ。
それにしても、30mm弾、エンジン部以外は反対側まで貫通してるし。対装甲用の砲弾じゃ、信管が作動すらしないか。
『ユウシャ、第七派、第七派!』
はいはい、次は何ですか?
「……お化け? 百鬼夜行か?」
『トオル、あれは?』
「…OH、熱源反応とレーダー反応は?」
『ナイ、ナイ。何モ、映ラナイ。映ッテルノ、可視光線ダケ。デモ、りあるたいむデシカ映ラナイ』
「録画出来ないって事か」
『ウン、ソウ』
『トオル…』
魔物図鑑、狸の化学、愛称妖怪大作戦、特に害は無し。……どうせよと?
「生憎と実体を持たない物には攻撃出来ない。魔法で対処は?」
『無理ね』
「じゃあ、ほっとこう」
これは結局、第一次防衛線に到達する前に消えたけどね。
『ユウシャ、第八派、第八派』
で、次は何?
プギィィーー、プギィィーー!
魔物図鑑、猪、愛称ヌシ、猪突猛進に注意。
…猪ですか、そうですか。でも、ご免な。種子島以前の鉄砲に敗北するお前等が、現代兵器に挑むなんて千年遅いわ! 千年前に遡って出直して来い!
ここから先は一方的な虐殺なので割愛。何か、明らかに最初の方が苦戦したぞ。
今回の襲撃を何とか凌いだ俺はヘリに乗って要塞に帰ってきた。
俺だけ疲れているが、兵器補給を担当した兵以外は元気なものである。
最近、敵が強大化してきたこともあって、歩兵の出る幕が無くなって来たな。
「トオル、お疲れ様です」
「お疲れ~。本気で疲れたぞ」
「それにしても、荒野がえらい事になったわね」
「ああ。戦場処理が大変だ。ったく、どうしてゲームみたいにやられたら消えないかな~」
「トオル、現実と創作の混合は危険だわ」
「それを、異世界の住人である貴女がいいますかねぇ!?」
「で、あの戦場、どうするの?」
「…とりあえず、全域をナパームで焼き払って、穴掘って埋める」
そう、俺の仕事はまだ終らんのですよ。結局、カール・ヴィンソンからF-4にナパームくっ付けて発進させて戦場全て焼き払いましたよ。
え、何でF-4かって?ナパームつったらF-4でしょ、拘りです。
でも、オ○ムとか、どないせえっつーの。重すぎるでしょ。小型の軍艦が丘に上がったくらいあるよ? しかも、数多すぎ!
「………これは放置! こんなの一々処理してたら年が変わる!」
結局、谷と砦間の荒野はオ○ムの墓場と化しましたとさ。
対艦ミサイルの射程内だけは土の魔法使いに頼んで地下に落としてもらいましたけど。皆、げっそりでしたよ。
範囲を限定しても洒落にならん数でしたからね。余りの異臭に作業はガスマスク着用で行いましたよ。あ~、酷い目に遭った。
補足:何作品か足りなかったり、最新のが無かったりしますが、作者が見てなかったり、内容を忘れたり、どんな敵を出せば良いのか判らなかっただけなのでお気になさらず。