じゃがいもを薄切りにして油で揚げる。
そこに塩をふりかける。
ポテチの完成だ。
売り子を従えて街にくりだす。
俺の横には金髪の髪が美しいワンピース姿の使者がいる。
軽く化粧をして、女性物のブーツを履いている。
魔法は便利だと思った。
フェイス・チェンジを声帯だけにかける。
ちょっとした冒険をさせてみたら、上手く声が変わった。
ボイス・チェンジという新しい魔法を作ってしまった。
髪を伸ばす魔法はなかったので、ショートカットのまま。
しかし、胸に膨らみを、腰にクビレを出すためのコルセットを。
ウェールズは見た目、活発な的に見える美しい女の子になっていた。
学院の某所で完成した姿を見た女性陣の数人は、負けたとか、信じられない物を見たという反応をしていた。
「ばれないか?」
「どこをどう見ても女です」
街の男どもの視線を感じないのか?
横に並んで歩いていると香水の良い香りがする。
いやっ、俺は正常、俺は正常。
「言葉遣いがなってない。これから売り子するんだから」
「そうかね、オホン、これでよろしいですか? 御主人様?」
ぐっ、奴は男、奴はオトコ、奴はオトコの娘。
「よろしい。んじゃ、売りだしますか」
「はい」
ホテチを袋に詰めた物を売り始める。
ウェールズの美貌のおかげ?
買う人は男ばかり。
俺の描いたターゲットは若い女性なのだ。
しかし、時間経過と共にウェールズの中性的な顔に惹かれた女性陣がついに動いた。
「お姉さまぁ~」
「声をかけないでください。はい、次の人どうぞ」
俺は人の整理をする。ウェールズはひたすら売る。
「これで最後です。どうぞ~」
ウェールズが最後の一人に袋を渡して品切れになった。
「すいません、これで品切れです。次回をお楽しみに~」
取り巻きの人を解散させる。
しかし、男、女が数人ずつ残っている。ウェールズを狙っているのだ。
「おい、狙われてるぞ?」
「おや、困ったね、ならこうするしかないよ」
ウェールズは俺に腕を絡ませてくる。
イヤー、こいつは男!
それを見ていたウェールズを狙う人たちは悔しがり、妬ましい視線を向けながらも去っていった。
結局、街を出るまで、男同士で腕を組んでしまった。
「ひどい目にあった……」
「そう? 私は楽しかったわよ?」
そう笑うウェールズはとても可愛かったのだ。
それを見てどきりとした。
俺は心から大切な何かを失ったような喪失感を感じた。
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全くの外伝。
本編には関係のない話。
私のミスで招いた外伝でした。
いや、楽しくかけたからいいけどね。
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