引くほど大量に出た液体を処理してルイズの部屋に戻ると、ルイズはベッドの上でなにかやっていた。
「あれ? 洗濯物は?」
クンカクンカができないじゃないか。
「もう、洗った」
「洗ったってお前……」
俺の楽しみを奪いますか?
うっ! やだ、なにこれ、かわいい。
俺のパーカー着てやがります。
風呂の前にはパーカー脱いでいく。あっても邪魔だし風呂の後はシャツだけで十分だからだ。
ルイズは、たぶん下着の上に直に着ているのだろう。
袖も丈もぶかぶかなので、見ようによっては妙なワンピース姿にも見える。
俺を萌え殺すきか? こいつ。
「俺の服なんですけど?」
「だって……、洗濯したら、着るのなくなっちゃったんだもん」
「あるじゃん」
クローゼットを開けて見せる。
「だって、それはよそいきの服だもん」
ルイズはベッドに正座して、拗ねたような口調で言った。
( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
「普段着あるじゃん」
「そんなの着たくないもん」
「でも、俺それしかないのよ。返せ」
しかし、ルイズは脱ごうとしない。それどころか、立てた指でシーツをこねくり回している。
何その行動? べ、別にかわいいとか思わないんだからっ!
「これって、軽くて着心地がいいわね。なにでできてるの?」
「ナイロンだ」
「ないろん?」
「石油から作るんだ。俺のこの世界には石油あるのかなぁ」
「せきゆ?」
「化石燃料とも言われる。海の底にプランクトンが溜まって、長年かけて、油になるんだ。その油で作るんだ」
「ぷらんくとん?」
幼児をと会話しているみたいに、ルイズはきょとんとした目つきで、俺の言葉をオウム返しした。
ハアハア。
さっき抜いたのに大きくなってきてるんだお(^ω^)
デレルイズ。恐ろしい子!
自重出来そうになかったので布団を床にしいて寝ることにした。
すると、枕が飛んできた。
「なんすか?」
「今投げた枕持ってきなさい。き、今日はベッドで寝ていいわ」
「え? マジで、やった。そのベッド寝心地よさそうだったからな~」
くそっ、いいベッド使ってやがる。
「なあ、ルイズ」
「な、なによ?」
「お休みなさい、お兄様って言ってみて?」
「なに? 布団に戻りたいの?」
「すみません、調子に乗りました」
そのままベッドで一緒に寝る事に。
抜いといてよかった。
SIDE:キュルケ
この前の話はあの後のサイトのフォローでなんとも思わなくなった。たぶんあの場にいた全員に一人ひとり話をしたのだろう。
シルフィードに乗っている友人もさほど気にしていない様子だ。
今はルイズの部屋をタバサと一緒に覗いている。
珍しことに私が覗きに行くといったらシルフィードを出して私も一緒に行くと言ってくれた。
この子も恋してるのかしら?
「なによー、ホントに仲良くなってるじゃないの」
アルビオンから帰る風竜の上、頬を染めてサイトの膝に座っていたルイズの顔が浮かぶ。ルイズは、まんざらでもなさそうだった。
「まったく、あたしだって、そりゃ、本気じゃないわよ? でもねー、あそこまであたしのアプローチ拒まれると、ついつい気になっちゃうのよね」
今まで、自分の求愛を拒んだ男はいない。だが彼はやんわりと拒んでいる。
私はいらついていた。さっき、平民の娘といっしょにお風呂にまで入っていた。あたしを無視して二股。キュルケのプライドががさがさ揺らぐ。それに平民の娘がさっていった後……。
なんというか、すごかった。
「うーん、陰謀は得意じゃないけど、少し作戦練ろうかしら。ねえタバサ」
タバサは本を閉じて、私を指差した。
「嫉妬」
私は顔がほてる。珍しいことである。それからタバサの首をしめてがしがしと振った。
「い、言ってくれるじゃないの! 嫉妬じゃないわよ! あたしが嫉妬なんかするわけないじゃない! ゲーム! これは恋のゲームなのよ!」
それでもタバサは堪えない。同じセリフを繰り返した。
「嫉妬」