タルブの一件から数日後のある日。
いつものように俺は風呂に入る準備をすませていた。
服を脱いで風呂に入る。
「ふぅ」
「相棒、客だぜ」
はて? シエスタでもきたのだろうか?
「誰だ?」
「私」
タバサであった。
「なんだ? 覗きか?」
「違う」
薄暗いのでタバサの表情がいつも以上にわかりにくい。
「?」
「私も入る」
「ん? 俺が出た後ならいいぞ」
「一緒に入る」
「へあ?」
「約束」
もしかして、アレか?
コルベールに断られたら云々の話か。
いや冗談ですよ。
そう言おうとおもったらタバサは脱ぎ始めた。
「おおぅ」
見事なロリ体型。
「お邪魔する」
タオルで胸から股の当たりまで隠して入ってきた。
本来、タオルをお湯につけるのはアレだが、注意して変態と言われるのも嫌だったので黙っていた。
「気持ちイイ」
「それはよかったな」
タバサはコクリと頷いた。
いや、本を読み始めるのはどうかと思います。
「風呂で本読むかね、タイトルは『イーヴァルディの勇者』か」
「文字、読めるようになった?」
「お陰さまで、今じゃ書けるようにもなった」
そういや、タバサと会話が成立するのって友達の証じゃね?
「体」
「あん?」
「よく鍛えてある」
腹筋は割れてるし引き締まってますね。地獄のトレーニングしてますから。
「タバサはもうちょい、成長するといいな」
「キュルケみたいなのが好み?」
「いんや、そういう意味じゃないよ」
「どういう意味?」
なかなか怖い目で見てくる。
「タバサ腕力なさそうだし、って女の子だからしょうがないか」
「これでも鍛えてる」
ジャバっと水音を立ててタバサが立ち上がった。
その、タオルはお湯の中にあるわけで。
丸見えなわけで。
「ぶふぅ、隠せよ」
「キャ」
すっごく小さい声で悲鳴を出してすぐに風呂に入り直した。出ていかないんですね。
「無表情より、ソッチの方がカワイイと思うぜ? 俺無表情属性ないし」
「無表情属性ってなに?」
「忘れてくれ」
同じように無口、無表情の宇宙人のことを思い出して言ってみた。
「お話」
「ん?」
「あなたの話が聞きたい」
メイドといい風呂に入ると俺は話をしないといけないのか?
「ではここは世にも恐ろしい幽霊の話でも」
「幽霊、怖い」
い、いやいやいや、反応しすぎだから。
抱きつくとか止めて、おっきしちゃう。
「こ、怖がり屋さんだなぁ」
ナデナデしてあげることにした。
これ以上はやばいんだお。
おっきしてるんだお。
「秘密」
落ち着いたのか俺から離れたタバサはそういった。
「怖がりを?」
「秘密」
「わかったから」
泣きそうな顔はやめれ。
タバサはそれを聞いて風呂から出て行った。
タバサ、君に決めた。
残り湯でお楽しむ。
どこかで、きゅい~と何かが鳴いた気がした。
うん、気のせいだ。
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久々にタバサを書いた気がします。
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