テファの家でのんびり暮らし過ぎた。
己のこれまでの怠慢さに羞恥し悩みに悩み抜いた結果、サイトがたどり着いたのは、感謝であった。
自分自身を萌えさせてくれたテファへの限りなく大きな恩。
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが一日一万回の素振り!!
気を整え剣を構えて振る。
一回の剣を振るのに当初は約五秒。
一万回素振りを終えるまでに初日は十三時間以上を費やした。
素振りを終えれば倒れる様に寝る。
起きてはまた素振りを繰り返す日々。
十日が過ぎた頃、異変に気付く。
一万回叩き終えても日が暮れてない。
己の限界を越え完全に羽化する。
感謝の素振りが一時間を切る!!
かわりに、祈る時間とテファとのコミュニケーションが増えた。
ついに、サイトの剣は音を完全に置き去りにした。
ここに豪傑が誕生した。
SIDE:サイト・ヒラガ
感謝のトレーニングを終えて修練に入る。
修練は心を鍛えることに重点をおく。
(テファのおっぱいテファのおっぱい)
煩悩でもルーンの力が発動する。
心の震えってテキトウね。
「相棒! 足りねぇぞ!」
「あいよ!」
(テファのおっぱいをこねくり回す。エルフ耳最高!)
「いいぞ。相棒、その調子!」
(テファのおっぱいで挟む。おっぱいで挟むんじゃぁあああ)
「よしきた。やれ! 相棒!」
木の枝からロープで吊るした薪を睨む。
デルフを右手で振る。同時に素早く日本刀を左手で振る。
×を描くようにクロスさせて薪の手前の空間を切る。
かつんッ! と音がして、薪が割れる。
「で、出来た!」
剣を使った擬似エアカッター。
俺はついに飛び道具を手に入れた。
飛距離は三メートル~五メートル。
それ以上離れると威力が落ちて薪は割れない。
「すげー、サイトお兄ちゃんすげー」
見物客である子供たちがわめく。
それから二時間近くルーンの力を使用する鍛錬が続いた。
「もう無理、もう疲れた」
「はぁ~、相棒は異常だぜ! ここまでルーンの力を使いこなす使い手は初めてだぜ!」
百八の煩悩も二時間すれば尽きる。
「あ、あの……」
振り向くと、ティファニアが立って、恥ずかしそうにもじもじとしていた。
「すごいね。サイト! カッコいい。見とれちゃったわ」
「そーかね。腹減ったしお昼ごはんにしようよ」
「うん」
テファと子供たちを連れて家の庭で料理を食べる。
「サイトって、不思議な人ね」
「どこが?」
「エルフを怖がらないし、すごく自然にお話してくれるわ。剣もすごいし、料理もおいしい。それに子供たちに文字を教えてくれてる。なんでもできるのに、貴族みたいに偉そうにしないわ」
尊敬の眼差しですね。エルフ耳に上目遣い。
萌え死ぬぞ?
「いやー、褒めんなよ。それに、テファは可愛いから怖がる必要ない」
「もう! そうやってからかって! でも、いいの? ここにいること知らせなくて」
テファは顔を赤らめたが、すぐに真顔に戻った。
そういえば、手紙の一つも書いていない。
ルイズもそろそろ反省したかな~。
「いいんだよ。たぶん迎えに来る人いるし。その人は悪い人じゃないから安心しな」
「サイトがそういうなら。あ、おかわり持ってくるね」
うーん、いい子だ。嫁にするならテファみたいな子がいいね。
どこぞのぺちゃぱ(ry
「こんなところで、何をしている?」
「昼飯食ってます」
銃士隊の隊長が、大荷物を持って現れた。
SIDE:アニエス
こいつには以前の借りがある。それに学院でのあの事件も話さないと気が済まない。
「苦労するかと思ったが、あっさり見つかるとはな。気が抜けた」
「そりゃ、幸運でしたね。いや、それより腰掛けたらどうです? おーい、子供たち、綺麗なお姉さんが食料くれるってよー」
それを聞いた子供たちが私の食料を強奪していった。
ポカンとその様子を見ていた。
その後、家から出てきた少女を見て驚いてた。
「なんだ、あの子供たちは? 誰だ彼女は……、それに、アレは?」
「孤児院の子供です。彼女はその代表ですね。アレって、たぶん、胸です」
私の目には信じられないモノが見える。
胸だと……。
「見ての通りテファはエルフです。女性にとっては天敵になるような物が育ってますがエルフの神秘ってことで」
「そ、そうか。エルフの神秘か」
私はエルフだろうが、敵意の無い者には危害を加えるつもりはない。
だが、アレが胸?
「ハーフエルフです。あ、あのエルフが怖くないんですか?」
テファと呼ばれた胸にありえないものをつけている人物が聞いてきた。
「敵意を抱かぬ相手を無闇に恐がる習慣は持ち合わせていない」
「そうですか、私ティファニア。よろしくね」
無垢な笑顔だ。彼がここにとどまるのも頷ける。
「サイト殿には色々話すことがある」
「おや? なんでしょうね」
その顔は私の話したいことを知ってそうだ。
さすが、『平民の賢者』ということか?
気にせずに話を始めた。
SIDE:サイト・ヒラガ
アニエスの話は簡潔だった。
俺とルイズがアルビオン軍相手にしている頃、学院に賊が忍び込んだ。
というか忍び込むはずだった。
自分、つまりアニエスがでっかい爆発音に気づいて急いで学院の周辺を調べると、近くの森で船が落ちていた。船に乗っていた人物はほとんどが重傷を負っておりアニエスたちの銃士隊が取り押さえた。
船を落としたと思われる人物はコルベールと呼ばれる教員で破壊の杖を使ったとわかった。
賊にいた炎の使い手が重傷にも関わらず抵抗したのでアニエスが殺した。
学院に賊が侵入したのは深夜にも関わらず手際の良さにおかしいと思ったアニエスはコルベールに問い詰めたら、サイト、つまりは俺の思惑だとしった。
学院の被害は破壊の杖が使えなくなったくらい。
「というわけだ。ミスタ・コルベールは手柄をすべて私たちに譲ってくれた。変わった人だ。さすが、サイト殿の知り合いだけある」
「呼び捨てでいいですよ。アニエスさん」
「はあ」
気の抜けた返事を返すアニエス。
うん。ハゲは上手くやったようだ。
これでキュルケフラグは無事に折れた。
「では、サイト。今のサイトはトリステインの英雄とされている」
「えー」
「アルビオン軍五万相手に単身で立ち向かい、あまつさえ、壊滅的打撃を与えたとラ・ヴァリエール家が広めている。しかし、その英雄が行方不明なので、捜索隊として私が選ばれたわけだ」
ルイズの家は公爵家。それが噂を出すってどうゆうことよ?
「ふーん」
「何? その薄い反応?! 名誉なことだぞ!」
「いやー、名誉とかいらないっス。アニエスさん働き詰めでしょ? しばらくここで休んでいきません? ほら、疲れてる顔してる」
ぶつぶつと何か言っているアニエスだったが結局、俺の提案に乗った。
「いいだろう。しばらく世話になる」
その夜。
俺は歌声で目を覚ました。
「……ごめんなさい。起こしちゃった?」
暖炉の前に、ティファニアがハープを抱えて座っていた。
「もう一度、歌ってくれないか?」
テファは再び歌い始めた。 演奏を聞いている内に懐かしくなった。
地球を思い出す。
テファはハープを奏でながら、涙を流していた。
懐かしい地球を思い、俺も自然と涙を流していた。
漫画の続き読みたかったな(ry
演奏が終わりテファが俺を見て聞いてくる。
「サイトも故郷を思い出したの?」
「うん」
「どこ? よかったら、教えて」
「ここじゃない。別の世界さ」
テファは意味がわからない顔をしている。
「信じないと思うけど、俺は別の世界から来たんだよ」
「意味がわからないわ」
「だろうね。でも、使い魔として呼び出された」
「人が使い魔だなんて、聞いたことないわ」
「俺には、どんな武器でも操れる能力がある」
左手のルーンをテファに見せる。
ルーンを見て使い魔であることを確認したテファは驚いた顔をした。
空気を読めない剣がしゃべりだす。
「相棒と、ハーフエルフの娘っ子が懐かしい気分になるのも無理はねえ。こいつは、ブリミルが故郷を想って奏でた曲さ。つまりだな、〝望郷〟ってやつがつまってんのさ」
「……そっか。だからわたし、あなたに親近感を抱いたのね」
「テファと同じ、帰れない故郷があるからね」
テファは悲しい顔を浮かべる。
「綺麗な顔が台無しだよ? テファにはそんな顔は似合わない」
ティファニアは顔を赤らめた。
「…………」
なぜ黙る。軽いジャブ、冗談ではないか、いや、綺麗なのは冗談じゃない。
「何度も言わないで。照れるから」
「そうか」
テファは照れた様子で去っていった。
テファにこの手の冗談はヤメよう。
俺が萌え死んでしまう。
――――――――――――――――――
大きな感動をありがとう。
日本のサッカーも捨てたものじゃない。
そして、カリンの意外な人気に驚き。
59外伝のサンホラネタに反応してくれた人たち、ありがとう。
分からなかった人はスルーしてください。
―――――――――――――――――――