SIDE:キュルケ
私は思い上がっていた。
私の容姿に振り向かない男はいない。
今までがそうだった。
宿敵ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔。
サイト・ヒラガが現れてから私の価値観は変わりつつある。
露出は今まで通り。
でも、色気はサイトだけに向ける。
手に入らないものほど欲しくなる。
宿敵のモノほど欲しくなる。
今は私だけのモノとして欲しい。
サイト攻略の為に私は考える。
最善の状況は二人きり。
これをどう作り出すか。
ダメね。
ええ、全然ダメよ。女は度胸!
そう思った矢先。目的の人物を見つけた。
「というわけでサイト。デートするわよ」
「は?」
「いいから。いいから」
丁度考えながら歩いていた所にサイトが一人で現れたのが悪いのだ。
「唐突だな。まあ、悪い気はしないが」
「まあ、ね」
サイトと二人きりになれた。
私らしくもない。まるで初恋のように気持ちが高ぶっている。
ラグドリアン湖の縁で二人で座って湖を眺めている。
「キュルケがこんな乙女らしいとはね」
「べ、別にいいじゃない」
静かな空間で慎ましく食事をとり、湖で少し遊んで休憩。
自分でも笑ってしまえるほどの甘酸っぱいデートだ。
サイトは湖を眺めていた。
その目には何が見えているのだろう?
黒い髪、黒い瞳。
私は気がつくとサイトを凝視していた。
「ん?キュルケ、そんなに見つめてどうした?」
「な、なんでもないわ」
恋に恋してる?
いやいや、そうゆうのはとっくに体験済みだ。
でも、サイトを見つめるだけでドキドキする。
私にも乙女心があるみたいだ。
サイトと私の手が触れ合う。
私がサイトの手を握る。
そして、指を絡めて恋人同士がするような握り方にした。
「ほんと、どうしたんだ?」
「少し、こうしていたいのよ……」
手を繋ぐ。
それだけで幸せ。
どうしたんだろ。私。
サイトは年上のお兄さんのように、父親のように優しく手を繋いでくれている。
お互いに手を繋いだまま、湖を眺めている。
精霊の前でかわされた誓いは決して破られない。
『私が愛してるって言ったらどうする?』
『驚くね。嬉しいと思う』
『愛してるわ。サイト』
『うれしいよ。キュルケ』
二人は唇を合わせて永遠の愛を誓いました。
って、妄想している場合じゃないわ!
「サイト。何かお話して」
「さっきからおかしなキュルケだな、偽物か?いや、でも、おっぱいの感触は本物……」
サイトは何かブツブツと言った後、私のリクエストに答えてくれた。
「俺の世界では……」
相変わらずサイトの世界の話は面白い。
ガンダム?とかいう乗り物で戦う?話は結構面白かった。
「でだ。結局キュルケは何がしたいんだ?」
「デート?」
「質問を質問で返すなぁ」
うん。
もう無理。
「ちゅ」
唐突の私からのキス。
サイトが欲しい。
「キスの真意は?」
「強いて言えばしたくなったからしたのね。ダメ?」
触れ合う視線。
見つめ合う時間は一瞬だったのかそれとも一時間だったのか。
「私、恋してるわ」
「俺にか?」
私はコクリと頷く。
もう一度キス。
今度は軽く舌を入れた。
気持ちイイ。
「大胆な奴……」
「こんな風になったのはサイトが初めてよ?」
サイトは私の事を見ている。
特に胸の谷間を。
「触りたい?」
「あ、いや、そこに視線が行くのは男の性ってやつで」
私はサイトの手を握り私の胸に導いた。
「ちょおまw」
「なぁに?触りたくなかったの?」
「すごく……、大きいです……」
胸にある手は触れたままで動かない。
やっぱりサイトの心には誰かが住み着いているようだ。
可能性として、一番はルイズ。
それ以外にも候補が多い。
私はサイトの心を盗みたいのではない。
奪いたいのだ。
「サイト、私はサイトを手に入れるわ。これから覚悟しといてね」
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連続で甘い話を掻き過ぎました。
今回は短め。
本編書き溜め中です。
19巻読まないと。
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