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No.18738の一覧
[0] 相良軍曹が雛見沢に派遣されたようです[ランスカンダル](2010/08/27 00:38)
[1] 第一話   転入[ランスカンダル](2010/05/17 18:01)
[2] 第二話   必殺・富竹フラッシュ!![ランスカンダル](2010/05/18 00:27)
[3] 第三話   運命を破壊する男[ランスカンダル](2010/05/17 01:09)
[4] 第四話   エンジェル[ランスカンダル](2010/05/20 18:45)
[5] 第五話   やりすぎのウォークライ!?[ランスカンダル](2010/05/24 02:40)
[6] 第六話   北条悟史[ランスカンダル](2010/05/25 19:27)
[7] 第七話   雛見沢村連続怪死事件[ランスカンダル](2010/05/25 19:24)
[8] 第八話   三年B組軍曹先生!![ランスカンダル](2010/06/03 20:14)
[9] 第九話   叔父の帰還[ランスカンダル](2010/08/25 00:51)
[10] 第十話   一億火の玉特攻野郎[ランスカンダル](2010/08/27 00:38)
[11] 第十一話  名探偵テッサと園崎少佐[ランスカンダル](2010/09/01 02:09)
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[18738] 第三話   運命を破壊する男
Name: ランスカンダル◆f08c234b ID:33d69884 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/17 01:09
雛見沢村 古手梨花自宅


梨花は両親と死別した二年前から、神社の集会所の裏手にある倉庫小屋にて親友の沙都子と二人暮らしをしている。家の中には既に眠っている沙都子と人影が一つ…………いやもう一人いる。その姿は他の者には見えず、この世で唯一人、古手梨花だけにしか認識不可能な存在がいる。その名は……

「羽入!どういうこと!?どうして圭一じゃなくてあの相良宗介ってのが来ているのよ!!それに教室のドアを爆破するってなに!?この100年でも始めての経験よ!」

「あぅあぅ、僕にも分からないのです。今まで圭一が転校して来ない世界はあっても、他の人が転入してくる世界はなかったのですよ」

「えぇ、私も驚いているわ………漸く連続怪死事件の真犯人が鷹野だと分かったのに圭一がいなくちゃ始まらないじゃないの!!羽入答えて!!圭一はいつ転校して来るの!!それとも転校して来ないの!!」

「僕も一生懸命調べたのですよ。そしたら圭一の親が仕事で揉めているようなのです。なんでも速さが足りないとかで……」

「なによ!!その理由!!そんな変てこな理由で、私の最後のチャンスを奪うっていうの!!」

「ぼっ、僕に言われてもどうしよもないのです。圭一が転校してくるのが明日になるのか来週になるのか、それとも…………」

羽入は気を使って最後まで言わなかったが分かる。
圭一が綿流しが終わっても転校してこない可能性もあると。

「くっ…なんてこと。前の世界で運命なんて打ち破れると学んだばかりなのに、その圭一がいないなんて……」

「諦めるのは早いのですよ。もしかしたら転校してきた宗介が、圭一以上に頼もしい味方になってくれるかもなのです」

「圭一以上に頼もしい味方?………想像出来ないわね。圭一は何度も何度も悲劇を繰り返したからこそあんなに成長したのよ。確かに圭一より強そうだけど……それにあいつ私の事を監視していたんでしょう!?」

最初に羽入からこの事を聞いた時は、耳を疑った。だが他者には姿の見えない羽入の報告だ。間違いはない。つまり相良宗介は古手梨花を監視する為に雛見沢に来た可能性が高い。

「もしかしたら、東京から派遣された男かもしれないわ……油断出来ない…」

梨花は悔しさに表情を歪めた。
圭一は教えてくれた。
「運命なんて金魚すくいの網より簡単に打ち破れる」
だがその圭一がいなければ……惨劇に抗う事は……

「梨花……貴女は怯えているのですか?」

羽入が先程とは異なる、冷たさと威厳のある声で言った。

「怯えるって!!あのねぇ私が通っていた教室に見知らぬ他人が来たのよッ!!警戒するなっていうのが無理よ!!」

「貴女は勘違いしています。人の出会いは本来ならば、誰もが未知のもの………だけど梨花はこの100年で雛見沢で知らない人間などいなくなってしまった。だけど本当は圭一とも“初対面”の筈なのです。それを貴女は今まで見た事のない人間だからといって疑うのですか?」

「そっ、それは……」

「ならば見極めなさい。相良宗介という人間を。貴女の目と耳と心でッ!!」

「そうね、最初から疑っていたら仲間なんて出来ない。私は私なりに相良宗介を信用してみるわ」

人を信用する………まずそれが出来なければ友人なんて出来る筈がない。相手を信用するからこそ、相手も自分を信用し、そこから信頼が生まれるのだ。

泣いても笑っても最期のチャンス。行動しなければ可能性は0のまま。だけど行動すれば可能性は1にも10にもなる。
古手梨花は決意した。




鹿骨市興宮 おもちゃ屋前



 まだ六月だというのに、興宮では真夏のような暑さだった。そんな中、雛見沢分校に通う相良宗介は直立不動のまま整然と立っていた。彼の後ろには『おもちゃ屋』の看板。
 時は前日に遡る。部長でありクラス委員長である魅音から「明日の部活は町で」と言われたのだ。宗介は自分の脳味噌をフル回転させて彼女の言わんとしている事を理解した。

(町で部活……雛見沢という訓練キャンプから出ての行動、つまりは実践。そして集合場所がこの店だったという事は………誰が最も早くこの店を制圧し現金を強奪出来るかを競うのか)

ぶっ飛んだ思考をした宗介は、ミスリルのセーフ・ハウスに戻って早々に、装備を点検、整備して明日の戦闘に支障ないようにした。更に昨夜遅くに、おもちゃ屋に忍び込み店内の地理情報を入手。また脱出経路の確保の為に、店内の至る所に爆弾を仕掛けてある。もし敵に囲まれても爆発の混乱に紛れて脱出可能だ。更に念のため少々離れた場所には地雷原も設置した。

「あら宗介さん。早いんですのね――――――――ってその重装備はなんなんですのーーーーー!!!!」

「み……みぃ。流石のボクも理解不能なのです」

宗介の格好は傍目から見ても軍服。見間違いようのない軍服。おまけに手に持っているのは………ライフル?更に手榴弾らしき物まで装備している。どう考えても「おもちゃ屋」に着てくる装備ではない。

「何を言っている。確かにこの店には罠らしい罠がなかったが、それがトラップだろう」

「と……トラップ?どうして「おもちゃ屋」にトラップが仕掛けられているんですの!?」

「甘いッ、俺が昔アフガンの傭兵部隊にいた時の事だ。部隊の仲間が女へのプレゼントを買おうと宝石店にいった際に、敵に囲まれ戦死した。その男は部隊でも腕利きの狙撃手でな。敵はこちらのスナイパーを殺そうと躍起になっていたのだ、俺も油断はできん」



「んなわけあるかッ!!」



何時の間にかやって来た魅音が、宗介の頭をはたき倒した。

「痛いじゃないか」

「やかましいッ!!ここは私の叔父さんが経営している店で敵の伏兵なんてあるわけないでしょ!!」

「それは確かな情報なのか?その叔父には誘拐や失踪したという経歴は…」

「あるわけないでしょッ!んなもんッ!!!」

物凄い形相で睨んだ。

「むぅ………」

魅音はハァハァと肩で息をしながら

「私ってこんなキャラじゃない筈だったんだけどな~」

そう呟いた。



興宮 おもちゃ屋


「成る程、ようするに大会という事か…」

「そういうこと……買った人には賞金五万円、だけど部活メンバーには勿論、厳しい罰ゲームがあるよ~」

魅音の説明は分かり易かった。参加者は25人、それぞれが五卓に分かれて競い合う。ゲームの種目は店にあるものなら各卓で好きに決めていい。そして各卓の1位が決勝に進むというシンプルなものだ。くじ引きの結果、部活メンバーはそれぞれ別の卓へ……恐らく魅音が事前に仕組んだのだろう。優勝賞金の五万円は、子供には物凄い大金なので参加者は目の色が違う。中堅のプロ野球選手ほどの給料を貰っている宗介には、物凄い金額ではないが……お金の重要さは宗介もよく知っている。そして部活メンバーには賞金の他に罰ゲームがある、内容は「優勝者が一人につき一個命令」つまり罰ゲームを逃れるには優勝するしかないッ!

「はぅ~負けないんだよ!!」

レナが何時になく燃えている。勿論レナだけじゃない。沙都子も梨花も同じ様に闘志を燃やしていた。
宗介は黙って席に着いた。

「むっ、お前達は富田と岡村か」

「どうも相良さん」

「こんにちわ」

宗介の対戦相手は同じ分校に通う富田と岡村。彼等も賞金の五万円に釣られて参加したのだ。だが相手が後輩だからといって宗介に油断は微塵もない。魅音から聞かされた部活のルールでは、暴力を除くあらゆる手段が許される。彼は自分の思いつく限りの勝つ方法を考えていた。
 しかし誰かが宗介の服を引っ張った。古手梨花だ。

「どうした?」

「宗介、ボクの卓では魚釣りゲームをするのです」

「なに?」

言っている事が理解できず首を傾げる。梨花の卓ではゲーム内容は決まっておらず、梨花以外の人間がお互いにゲームを提案していた。

「それだけじゃありません。沙都子の卓は神経衰弱、レナの卓はカルタなのです」

「どういう事だ?何のゲームにするか店主と打ち合わせていたのか?」

「違うのです。これは予言なのですよ。にぱ~」

「………予言などある訳がない」

少し寒いものを感じたが、一蹴した。そんな事より自分の卓の種目を、得意ゲームに設定しなければならない。しかし……沙都子の卓に運ばれてきたのはトランプ。並べ方からすると神経衰弱だろう。ついこの前までトランプを知らなかった宗介だが、魅音から有名なトランプゲームについて教わって、メジャーなものなら知っていた。そしてレナの卓に運ばれてきたのはカルタ。
カルタを知らない宗介だが、レナの卓に座る少年達が、カルタと言っているので間違いはないだろう。
そして梨花の卓に運ばれてきたのも………

「ね、ボクの予言は外れないのですよ。絶対に外れないのです」

「………店主を買収していたのか?」

「そんな事はしてませんです。ボクには最初から未来が分かっていたのですよ」

「ならば俺が何のゲームをするかも知っているのか?」

「はい。もし宗介が何もしないなら、百億長者ゲームになりますです」

予言は的中した。もしやと想い何もせずに待ち構えていたら、運ばれてきたのは百億長者ゲーム。

「……やはり店主を買収したのか?」

「だから違うのです。ボクはオヤシロさまの生まれ変わりで予言が出来るのですよ」

「…………………………」

予言なんて不可解なものを信じるほど宗介は甘くない。今まで自分が潰してきたテロ組織にも似たような奴はいた。自分を神の生まれ変わりだと言い、予言という名のイカサマでカリスマを得る。この日本でもよくある手段だ。では梨花もイカサマを?宗介はそう思うが違う気がする。大体メリットがない。他の部活メンバーの表情を見る限り特別苦手なゲームというわけでもないらしい。もしかしたら、彼女が狙われる理由とは、この予言の事なのだろうか?

「つまり全ては運命だと……?」

「そうなのです。誰も運命には抗えないのですよ」

梨花が挑発するように言った。それはまるで抗えるものなら抗ってみろと言っているようでもあった。

「いいだろう。見ていろ」

宗介が同じ卓にいた富田と岡村を引き寄せた。

「なっ、なんですか相良さん!」

「ぼ…暴力は駄目ですよ……」

「誤解するな、俺は君達に危害を加えるつもりはない。俺はただゲームの種目を変えて欲しいだけだ」

「そんなっ、ずるいですよ」

岡村が言った。

「だから勘違いするな。俺は“君達になんの危害も加えるつもりはない”こちらはお願いしているだけだ」

「お願いって、そんな相良さんが有利になる事を認めるわけないじゃないですか!」

富田の問いに、目を暗くした宗介が続けた。

「富田大樹、君の両親は豆腐屋を営んでいるそうだな。もしも豆腐の中に致死性の毒が混ざっていたら大変だな」

「うぐっ」

「岡村傑、君の父は興宮に勤めていて帰りは遅い。帰り道で“誰か”に教われないか心配だな」

「ひぅ」

「どうした二人共?俺はお前達の家族について話しているだけだ」

宗介はそう言うが、あの目は殺る目だ。相変わらず光を灯さない瞳が、富田と岡村を見詰めている。

「「うっ……うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」

まだ幼い二人に、宗介の脅迫は恐ろしすぎた。慌てて店を飛び出し逃げ去った。

「俺の要求はゲーム内容の変更だけだったのだが………あの二人は何故逃げたんだ?」

「あんな事を言えば誰でも逃げ出すのです……」

余りに卑怯なやり方に、思わず突っ込んだ。

「しかし君の言った予言は外れた。俺は百億長者ゲームをプレイしない」

宗介の表情はいつもと変わらないようでもあったが、えっへんと胸を張っているようにも見えた。確かに宗介の行動は卑怯だ。確かに方法は圭一と比べれば少し――――――いやかなり卑怯だったが、宗介は運命を打ち破ったのだ。それだけじゃない、梨花から見て相良宗介という人間が自分を殺すような人間には見えなかった。なんとなくだが、いい人なんだと思う。
 梨花は自分の卓に向き直ると

「ボクは魚釣りゲームは、お魚さんが可哀想なので他のゲームにしたいのですよ」

卓にいる二人は僅かにポカンとしたが、直ぐに頷き他のゲームに取り替えた。

「どうしたんだ?あのゲームをするのではなかったのか?」

「みぃ~!!ボクもやる気が沸いてきたのです。これからもよろしくなのですよ」

いきなり機嫌の良くなった梨花を怪訝に思いつつも

「ああ、宜しく頼む」

静かに差し出された手を握り、握手をした。





 あれから不戦勝の宗介を含めた部活メンバーは全員決勝へ駒を進めたが、魅音がこれからバイトという事でお開きになった。

「みんな、今日は凄く盛り上がったよ。はいこれはお礼だ」

魅音を除いた四人に、おみあげを渡した。

「ぶーぶー、私のは?」

店主は曖昧に笑って誤魔化した。親戚の魅音にはなしということらしい。

「わっ、可愛いらしいものが出てきましたわ」

最初に包みを開いた沙都子が言った。

「はぅ~これ本当に貰っていいのかな、かな」

レナも可愛らしい人形。という事は

「むっ、これは……」

恐らく当たりだろう。最も可愛い人形が宗介の包みから出てきた。

「はぅ~宗介君のお人形さんかぁいぃよ~」

「はははは、宗ちゃんには似合わないものが出てきたね~、宗ちゃんが持ってたら明日からは不審者確実だよ」

「確かに宗介さんには、似合いませんわね」

梨花は迷っていた。あの時は宗介じゃなくて圭一だったから確信を持てないが、圭一の時は、魅音に人形を渡すのが正しいと知っていながら、レナに渡してしまった。圭一は魅音とは男友達のように接しており、その関係が崩れてしまうのを畏れたため、レナに渡したのだが、その理屈は魅音には通じない。本当は女の子として扱って欲しかった魅音は、この事で深く傷つき、それは切欠となって惨劇の幕が上がる。宗介が朴念仁かどうかは分からないが忠告をしたほうがいいだろう。

「すまない店主。出来れば他の物に変えてくれないだろうか?」

しかし梨花がアドバイスをする前に宗介は行動していた。

「そうだね、男の子にあげるには少し駄目だったかな。最近は男の人も人形を買っていくから誤解していたよ。ちょっと待っててね。確か知人から貰ったやつが……」

店主が店に戻って数分。店主が持ってきたのは――――――――――
一匹の変なぬいぐるみだった。
ずんぐりとした、まだら模様の二頭身。犬なんだかネズミなんだか、よくわからない頭。丸くて大きな二つの瞳。おしゃれな帽子と蝶ネクタイ。

「ボン太くんじゃんそれっ!!どこで手に入れたの!?」

魅音が叫んだ。

「ははは、このあいだ友人から貰ったんだけど置き場がなくてね、よかったらあげるよ」

「あはは、流石に個人じゃあれだから部活のコスチュームのひと…………」

魅音が部活のコスチュームの一つにしようと提案しようとした時、ボン太くんをじっと見詰める宗介が目に映った。

「もしかして……気に入った?」

躊躇いがちに魅音が尋ねた。

「ああ」

宗介が何かに執着したのは始めてなので、魅音や他の皆もそれ以上は何も言わず、宗介が意気揚々と帰るのを眺めていた。



余談だが、取り残された地雷原に警察官のO氏が被害を受けたが、犯人が見つからず迷宮入りする事になった





後書き

というわけで、ボン太くん初登場です。次回は詩音の初登場でその次はなんだろ?シリアスまでの道のりは長そうです。

少し時間があるので近況報告を一つ。
最近友人と好きなASは何か?という話になり、他の皆がアーバレストやファルケ、レーバテイン、コダールと答えます。
しかし私がサベージと答えると変な目をされました。私はサベージの素晴らしさについて熱く語ったのですが、格好悪い、カエルみたいと一蹴されてしまいました。
一騎当千のスペシャル機より量産機に魅力を感じるのは私だけでしょうか?

それではまた……次回は宗介inエンジェルモートです。


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