人の価値とは誰が決めるのであろう?
個人の価値、命の重さ。
在る人物は言う。
「それは他人に量れるものではない」と。
それは戯言である。
所詮人の価値など他人が決めるものなのだ。
他人に量れない?
自身を量れてないのに?
そもそも量る以前に自身を理解できてない。
それなのに、まだ分かっていない。
自分が思っている以上に自分に価値など無いことに。
理解しろ、意識して生きろ。
思うほど、自分にも他人にも価値などあまりにないと。
この世界、生き残るか残らないかが大事なのだ。
それになんの価値を求めるというのだろう。
価値があろうがなかろうが、生きれば勝ちだ。
ただ生き残れば勝ちだ。
そこに人の価値は存在しない。
生き残ればそれだけでいい。
だが、そんな暮らしに満足するわけがないのだ。
虐げられ、侮蔑され、地に平伏す。
あまりに無様、それでは何のために生まれてきたのだろう。
生きる価値すらない人間。
否、そんなことは無い筈なのだ。
そんな事を認めるわけにはいかない。
人は立つ。
国を作り、自信の欲望を満たすために。
どこまで行こうと人とはそれなのだ。
生きたいと願いながら、欲望を満たす。
そこは人同士の欲望が渦巻く場所。
今まさにこの場所。
その願いが叶うわけがない。
魔王がいるからではない。
圧倒的な力を持たずとも人間には力がある。
多種多様な力がある。
それでも人間が王者になることは無い。
その欲望が叶う時はこない。
それは根本的な問題だ。
なんせ人間というのは――――――
「――――無価値である。
何故無価値だって? そんなのは簡単だよ」
たった一つの意思が答えを紡ぐ。
「あれは僕が創ったんだから無価値なんだ。
もし無価値でない人間がいるとするなら、それは勇者か一握りの人間。
英雄や征服者、だが悲しいことにこれらも無価値に近い存在。
だが決して一概に無価値とは言えない彼らは哀れというよりほかに無い」
遠くを見つめるように眼を細める。
遠くの大地にいる者を想う。
「嗚呼、哀れだね、本当に……
せめて無価値な人間なら良かったのに。
その要らぬ力のせいで、君達は自身を死に追いやるのだろう。
いや、死ぬとは言いきれないね、まあ生きてはいないだろうけど」
周りに誰も居ずとも語る。
たった一人で喋り続ける。
「賭けごとをしたことがあるかい?
ある賭けをする時、賭ける対象を決めるのは難しいものだと思う。
なら、せめて賭けて儲かる対象に賭けるだろう。
対象を選ぶなら、利益を持ってくる可能性が高い方を選ぶだろう。
だったら答えは簡単だ、人間なんて選ぶわけがない。
選ぶなら確実に行く、自信の手で信じられるものを創る」
「創るには材料がいる。
そして僕は、あの時あの場所で、なんと幸運であろうアレに出会った。
アレは撲ですら分からなかった、だけど賭けてしまった。
その先の可能性に、未来に、全員が賭けた」
「だから、成功する可能性を上げるべきだ。
そのために、無価値だろうと無かろうと、人間は糧となる。
アレが何を考えるかはわからん、だがそれに賭けるのも一興。
結果など知らん、ただ楽しめればいい」
別の場所で、その似て非なる存在は語る。
全員が別の場所で、同じ時間に。
たった3体の賭け。
賭ける対象は全員が同じ。
賭けが成立せずともいい。
過程を楽しみ、結果を見れたならそれでいい。
彼らにとってはその程度。
だが結果は違う。
結果によって全て変わるのだ。
彼らが望む結果を出すには、彼ら自身が手を貸さなければいけない。
そうして初めて、本当の可能性が見出せる。
どんな小さなものであろうと、それは確かなものである。
ただ時と数を積み重ね、成長する。
後は全てが運だけだろう。
最後に運以外のものはなくなる。
運だけが純粋に残った最後の時、賭けの結果が見えるのだ。
その時を夢見て待つ。
その時の彼らの表情は、間違いなく歪み笑っていることであろう。
燃える、死ぬ、消える。
ただ其処には死が広がっていた。
生きている者は死を待つだけである。
「っひっく、ど、どうして……お、お兄、ちゃん」
その少年は泣きながら、目の前で自身を見つめる兄を見た。
それは本当に兄だったのだろうか?
そもそもこの少年に兄がいたのだろうか?
だれも分からず答えられない。
今や少年の両親は家の屋根と窓にぶちまけられているのだから。
だから少年は兄を頼った。
いつも優しかった兄を頼った。
その時の記憶は捏造されたものではなく、間違いなく経験したものである。
だが、兄は少年を助けない。
ただどう動くかを見ていた。
周りの人々が死んでいくことに脅えながら兄を頼っていた。
それに呆れたように頭を横に振り、少年の兄は口を開く。
「――――がっかりだ、今度こそは思ったが……
これも失敗、お前も劣性か――――」
その言葉に、少年はわけが分からないというような顔をする。
そもそも少年は何故今の兄に助けを求めたのだろう。
今人を殺しているのは間違いなく兄だというのに。
両親を殺したのも兄。
少年は自分だけは助けてもらえるとでも思ったのだろうか。
その答えはもはやなく、兄と呼ばれた存在は少年を首を刀を持って切り飛ばした。
誰も逃げれず、生き残れない。
その村にいた人は、二人の存在によって壊滅した。
「…何故こんな事を続けるのですか?
あまり、意味が無いように思うのですが……」
魔人である彼女は主に尋ねる。
彼女にとっての主は魔王ではなく、たった一人の魔人であった。
「わかってないぞアンデルセン、人とは狂気を孕んだ生き物だ。
だからこそ、私は信じている。魔人になる資質を持つものがいると…」
語るように魔人は言う。
魔人アンデルセンが忠誠誓いし主、トロスであった。
「しかし、時間をかけ過ぎです。今回は2年でしたが失敗でした。
これが成功する時は来るのでしょうか?」
その長い髪を靡かせ、アンデルセンは首を横に傾げる。
「…やはりもっと時間をかけた方がいいのか、あと二回試して駄目なら諦めよう。
しかし惜しい、今回はなかなかの資質を持っていたが、いかんせん心が弱すぎた」
それを反省するように呟く。
その場が血で塗れていようと二人は気にしなかった。
そうして時間だけが過ぎた時、両方が気づいた。
ある一つの存在が、魔王城の近くまで来ていることを。
いや、魔人の全てが気づいた。
「新たな魔王が来られましたね。
主、早く城に帰還致しませんと」
「分かっている」
そう言ってトロスは背から翼を出して広げる。
そのまま腕の中にアンデルセンを抱えるとそのまま飛んだ。
「行くぞ、城の準備はできているな?」
腕の中でアンデルセンは応える。
「勿論です、全て完璧に仕上げました。
七星の手伝いはとてもありがたかったです」
二人は今魔王城に帰還しようとしていた。
遂に来たのだ、長年待った魔王が。
前の魔王には無い力と意志を持ち、帰還を果たそうとしていた。
それに魔人の全員が気づいていた。
魔王を迎えるため、全員は急いで集合する。
急ぐといってもほとんどの者はゆっくりとしていた。
一番初めに城に到着したのはケイブリスであった。
某カミーラ城にて
「くそ~、だるい。はたらきたくないでござる」
ベットに包まっていたカミーラはそんな事を言いながら起床した。
「何を仰いますか、早く支度してください。
下でケッセルリンク様がお待ちですよ」
カミーラの使徒である七星はカミーラをベットから出しながら言う。
「だって面倒なんだ、トロスも来ないしメガラスもいない。
ケッセルリンクが来てるなら、しょうがないから行く…」
寝むい眼を擦りながら服を整える。
「はいはい急いでください、紅茶はテーブルの上に在ります。
あと、カリスマがブレイクしてます、早く治してください」
七星はカミーラの外出準備を整える。
カミーラは紅茶を一気飲みして深呼吸をした。
そして眼を閉じたあと再びゆっくりと開きオーラを纏う。
「どうだ? カリスマに溢れてるいるだろう」
それに七星は答えず、カミーラを引きずってケッセルリンクの元まで連れていった。
「待っていましたよカミーラ、お疲れ様です七星。
さあ、早く行きましょう」
ケッセルリンク一行、トロスが着いた後に到着。
「ヘヘッ、ありがとよメガラス!!
お前がいなかったら間違いなく遅刻のレベルを越えてたぜ」
「……構わない、気にするな」
ガルティアはメガラスの背に乗りながら空を飛んでいた。
本来メガラスは男を乗せる事はあまりない。
だが今回は非常事態であり、何よりメガラスとガルティアの仲はかなり良かった。
「しかし俺も運がねぇな。まさかムシをいれた後にこんな事になるなんてよ」
ガルティアは新たなムシを探して彷徨っていた。
そして遂にムシを体に入れた。
入れた後だから良かったが、入れている途中であれば待ちがいなく間に合っていなかった。
今とてメガラスがいるからこそ間に合うのだ。
メガラスは本当の所トロス所に居たかったがそれが叶わなかった。
各魔人の城や家を周りながら暮らしていたが今回ガルティアの事情につきあっていた。
魔人最速の名を持つメガラスは高速で空を駆けた。
ただトロスに会いたいというわけではない、決して。
メガラス一行、最後に到着。
そして、現れる。
その場にいる絶対の強さを誇る魔王。
今、その玉座に座った。
隣りに控えるは魔人参謀トロス。
魔王ナイチサはただ一言いった。
「さあ、魔人諸君。我の名を持って命じよう。
人間に対し、闘争を、戦争を始めよう。我々の恐怖を教える時が来たのだ」
その場にいる魔人達はその言葉に、歓喜を表した。
あとがき
思ったように話が進みません。
この先パイアールに関してのみ少し設定をいじるかもしれません。
7年前に私は出会った。
その時私はそれにあまり興味がなかった。
そのSSを読み設定を読みキャラを見た。
だけど、決してゲームだけはしなかった。
今回、私はそのゲームをするかもしれない。
今度は是非やりたい、他の方にもやって欲しい。
ということでおめでとう、マブラヴ オルタネイティヴ クロニクルズ。
これやってみたいですね本当ww
今回いつもより更新の間隔が空いた気がします。
別に恋姫の新作やってたわけじゃないですよ。本当です。
本当にやってません。恋かっこよかったけどエロないとか何故とか思ってません。
愛紗は無印からのヒロインなのに何故エロがないとかも思ってません。
なんか今回の恋姫は地雷みたいな話を聞きましたけどそんなことはありません。
恋姫はキャラがいいですからね、キャラが好きなら地雷なんて言えません。
愛が無い人には分からないです。
しかし最近暑いですね。
この暑さは作者から執筆意欲はもの凄く奪っていきます。
なんでこんなに暑いんでしょうねww