背中が痛くて目を覚ますとゴミ山の頂上に寝ていた。
さらに驚いたことは視界が低くなっていた、ついでに言うと自分が女の子になっていた。いくら夢でもさすがにこれは
「マジ勘弁」
ゴミ、ゴミゴミゴミゴミゴミ………………
正直ここまでゴミばっかりだといくら夢でも気が滅入ってくる。一番気になるのはここの臭いだ、生ゴミかどうかよく分からないとにかくいやなにおいだということはわかる。
地平線の先までゴミだらけ、正直どこぞの魔術使いの固有結界みたいに自分の心象風景なのだろうか?だとすると女になっているのも自分の心の中では女なのだろうか?それこそマジ勘弁だ。
とりあえず人がいそうなほうに進むことにする。もくもくと火の手が上がっているということは人がいるのか不審火かのどちらかだろう、もっともこれが夢なら火の手が上がろうと自分以外がいるはず無いだろうが……。
「おい、そこの餓鬼止まれ」
振り返るとそこには映画とかでたまに見る感染症とかを防ぐために全身を覆う防護服を着た人が五人いた。
これが夢だとするといったいこの人たちにどんな意味があるのだろうか?それともまったく意味の無い支離滅裂な夢なのだろうか?
「オマエどこからここに入ってきた?」
防護服のリーダー格の人間が話しかけてくる。
少しやばげな雰囲気に呑まれてしまう。なんというか不思議な威圧感を感じる。このまま黙っていても意味が無いのでコミュニケーションをとってみることにする。
「えっと、気がついたらここにいました」
その言葉に周りの人間の雰囲気がさらに険しくなる。
「つまり捨てられたのか?それとも自分の意思でここまで来たのか?」
「いや、自分の意思でこんなところに来たくはないし。少なくとも家族に捨てられるような人生は送ったことは無いつもりだけど」
その言葉に彼らは相談を始める、といってもほんの数秒のことで相談というより確認のようだ。
「つまり、オマエはここに気がついたら居たというわけだな」
「まぁそうなりますね」
「ならオマエは捨てられたゴミとして処理することにする」
ゴミ!? 夢の中でゴミ扱いって。いったいどんな夢なんだか?
そんなことを考えているうちに防護服たちはオレを取り囲む。
「痛、痛いって」
彼らはオレを無理やり押さえつけて縛り始めた。この段階になってようやくこれが夢でなく現実っぽいことに気づく。
「黙れ、おとなしくしろ。おとなしくしていればもう少し丁寧に扱ってやる」
その言葉にオレは体の力を抜く。
防護服たちは力を抜いたことに気がついたのか五人で取り押さえていたのを二人にしてさっきよりやさしく縛る。もっとも縛られている時点で優しさの欠片も無いような気がするが。
「さあこっちに来い」
防護服にそういわれてオレは歩いていった。夢なら早く覚めて欲しい。
もっともこの感覚は確実に現実だろうけど。ほんとマジ勘弁だ。