「――問おう、あなたが私のマスターか?」
「マスター?おやっさん、いや、立花さんのことか?」
これは交わるはずのない世界が交わってしまったお話
それは必然か、それともただの偶然か
あなたはどちらと信じるか
どちらでも別にかまいはしない
どちらを信じようと結果は同じ
異なる世界の者同士が出会ってしまった
と、いう結果には変わりないのだから……
~追う者、追われる者~
「キィィィィィィイ!!」
「・・・・・・・・・・」
それは薄暗い森の中での出来事だった。
そこは森の中だというのに、生き物の鳴き声は聞こえず虫が奏でる音色すら無く、魔境の様相を呈していた。
代わりに聞こえてくるのは何かが風を切り裂く音と生物が出すとは思えない奇声、そして機械的な爆音だった。
その音の正体は二つの影だった。
だがその影は人の姿に酷似しつつも違う異形の姿、それらが造り出す光景は正に悪夢のようなものであった。
闇夜に蝙蝠を思わせる巨大で醜悪な翼を広げ空を切って飛ぶ異形と、それを追いかけるバイクに跨り大地を走る赤く巨大な飛蝗を連想させる複眼を持った異形。
どちらも化け物と呼ぶに何ら遜色はないだろう風体であった。
「 」
「ムゥ!」
翼ある異形が不可視の攻撃――超音波を複眼の異形に放つ。
しかし、その攻撃は強化された感覚を持ち、バイクを自らの手足の如く操る複眼の異形には当たらない。
続けて超音波を何度も放つ翼ある異形で出会ったが、複眼の異形はその全てを難なく避けつつバイクのスピードをどんどん上げていく。
だが、複眼の異形はただそれを避けるだけで反撃はしていない。
どうやら複眼の異形は離れた敵を攻撃する手段はないようだ。
片や遠距離攻撃のできる者、片や離れた敵には攻撃できない者。
だがしかし、追い詰められているのは超音波を放つ翼ある異形の方だった。
その証拠に二つの異形の距離は少しずつではあるが確実に縮んでいる。
翼ある異形のおそらく頭部と思われる部位にある人の顔らしき部分が、人間の表情に例えるなら怒りと焦り、そして恐怖に歪んでいるように見えた。
「ダレダ!ワタシニハナシカケルノハ!!」
「……?」
突如、翼ある異形が誰もいないはずの虚空を見据えて何事か話し始めた。
複眼の異形はそれを訝しみながらも、超音波が来ない今こそがこの追走劇を終わらせる好機と捉え「台風」の名を冠する愛機にして友であるバイクのスピードを上げる。
「オォォ……、ナラバワタシハアナタニショクザイノイケニエヲササゲマショウ。ソシテ、ツミビトニハバツヲアタエマショウ。ワタシヲアイシテクレルカタヨ……」
「なにっ!?」
暗く深い闇夜よりも遙かに黒い何かが渦を巻いて翼ある異形の前に忽然と現れた。
それはさながら魔法陣のようであった。
翼ある異形はその中心に迷うことなく飛び込んで行った。
翼ある異形の身体がその中に完全に消えていった次の瞬間、魔法陣は勢いよく収縮を始めた。
「・・・・逃がさん!!」
魔法陣はほとんど閉じかかっていたが、それをこじ開けるほどの勢いで複眼の異形は何の躊躇いもなく愛機ごと魔法陣に突っ込んだ。
複眼の異形の中で熱く燃える使命感が翼ある異形をこのまま逃がすわけにはいかないとバイクのエンジンを唸らせたのだ。
こうして二匹の化け物は虚空にその姿を消した。
※注意
ネタなので「この仮面ライダー1号 強過ぎである」って感じになります。
だが、それがいい。それでいい。