「いいかよく聞け蛆虫ども! 貴様ら糞豚どもが私の訓練に生き残れたならば、各人が兵器となる! 敵に死を与える告死天使だ!」 甲高くヒステリックな女性の罵声だ。 それがオペラ歌手もかくやという声量で学院近くの草原に撒き散らされる。 声の主はふくよかな女性、『赤槌』のシュヴルーズだ。軍服に身を包んだ彼女は心なしか劇画調の顔つきに見える。「だが、その日までは蛆虫だ! この星で最下等の生命体だ! 貴様らは人間ではない! インスマスの魚野郎どもの糞をかき集めただけの値打ちも無い!」 彼女が大音声張り上げる先には、まるで隕石でも直撃したようにめくれ上がった地面と、モウモウと視界をさえぎる粉塵が見える。 いや、それだけではない。 地面に死屍累々と倒れている者たちがいる。「貴様らは厳しい私を嫌う。だが憎めばそれだけ学ぶだろう。私は厳しいが公平だ。貴様らがナニモノだろうと差別しない」 悪罵に動かされて、倒れている人影たちは立ち上がろうとする。 叱咤されて、自分はそんな最下等のモノではない、と反逆するために四肢に力を込める。彼らはトリーズナーだ。 動きやすく怪我しづらい野戦服(クルデンホルフ大公国式)に身を包みバラクラバ(目出し帽)の上からヘルメットとゴーグルをつけた彼ら――虚無の主従(ルイズ&サイト)、クルデンホルフ組(ベアトリス&ルネ)、巻き込まれた悪友ズ(ギーシュ&レイナール)の六人――が生まれたての子鹿のようにがくがくと震えながら立ち上がる。なぜなら立ち上がらないともう一発『赤槌』の魔法が来るから。公転速度に加速された砂粒はたった一粒であっても、人間を軽々と吹き飛ばす爆風を生み出す。「牡豚だろうと牝豚だろうと、ブリミルのオケツ掘りだろうが八本足の虫ケラだろうが、メイジだろうが平民だろうが、私は見下さない。なぜなら――」 シュヴルーズがカッと眼を見開き語気を荒げる。「全て、同様に、価値が無い! 私の使命は、そんな役立たずの昨日までの貴様らをブチ殺し、今日から役立つ一人前の戦略級兵器に仕立て上げることだ! 分かったか、蛆虫ども!」『まむ、いえす、まぁむ!』 半死半生どころか、既に八割死んでいる彼ら六人が声を出す。目出し帽に遮られて幾分、声がくぐもって聞こえる。それぞれの背中には、個人識別用に名前が書かれたゼッケンが貼られている。 六人の中では特にギーシュのボロっぷりが酷い。彼はなんだかんだで末っ子ゆえに大事にされていたのだ、グラモンの実家では。だからこんなシゴキは初体験だろう。 レイナールは脱いだらスゴイだけあって、結構平気そうだ。サイトとルネは毎日訓練しているから慣れているようだ(だからと言って決して平気だという訳ではない)。 そして意外にルイズとベアトリスの女子陣が頑張っている。クルデンホルフ大公国学術都市シャンリットのミスカトニック学院、『即席遺跡探索者養成コース』の教官がシュヴルーズだったらしい。彼女らは経験者なのだった。南無。まあ退役軍人のガチ指導なら確かに生存率は上がりそうではある。「巫山戯るな! 大声を出せ! もぎ取られたいのか!?」 胸とかイチモツとか。一部女子には、もぎ取るほど無いとか言うな。『まむ! いえす! まぁむ!!!』 六人の腹の底からの絶叫が響く。 遠くではシエスタが疲労回復用の秘薬を混ぜたドリンクを準備中である。彼女の周囲だけ春のピクニックといった様相だ。 訓練終了後は癒し系メイドのおもてなしが待っている。……無事に五体満足に訓練を終えられたら。「巫山戯るな! その程度で敵を殺せるか! 気合を入れろ! さあ、雄叫びを上げろ!」『Aaaaaarrhhhhhhhh!!!』◆◇◆ 蜘蛛の巣から逃れる為に 9.ホント訓練は地獄だぜ! フゥーハハハー◆◇◆ 人間は意外と簡単に空を飛ぶ。 虚無の主従(ルイズ&サイト)とクルデンホルフ組(ベアトリス&竜騎士ルネ)とサイトの友人(ギーシュ&レイナール)の六人はそれを再確認した。 メイジならば日常的に自分の魔法で空を泳ぐが、それとは違う慣性飛行を存分に味わったのだ。杖とマジックカード没収の上で敢行されたそれは大層肝の冷えるものだった。 それでも大怪我をした者がいないのは、シュヴルーズの絶妙な手加減と魔法着弾地点の見極め、そして吹き飛ばされた後の『念力』によるフォローのおかげである。そのシュヴルーズは、見なければならない提出課題があるとかで、疲労回復ドリンクをガッと一気飲みして、さっさと職員室に引き上げてしまっている。「はい。サイトさん、飲み物をどうぞ」「ああ……、ありがとうシエスタ」 まじシエスタ癒し系。ありがたやー、ありがたやー、と男性陣は彼女を拝みかねない勢いだ。彼女のおかげでボロ雑巾のようになっていた六人も、一息ついて、幾分回復したようだ。苦難を共にした彼らは、絆を再確認した。これで彼らは戦友のようなものである。 まだみんな髪はぼさぼさで、頬が粉塵と汗で煤けてはいるが、目に光が戻っている。被っていたヘルメットやバラクラバ、装着していたニーパッドやエルボパッドは近くにまとめて置いてある。 過酷な訓練後でもクルデンホルフ特製の野戦服は綻び一つ無い。材料は何で出来ているんだ。ケプラー繊維か蜘蛛糸か。多分、品種改良された特製の蜘蛛糸だろう。「というかだね、サイト。なんで僕やレイナールまで君たちの訓練に巻き込まれているんだい?」 ボロボロのギーシュが問う。 普段の美声も台無しのガラガラ声だ。 シュヴルーズの訓練はちょっと洒落や冗談では済まされないレベルであった。「成り行きだよ、成り行き。別にいいじゃねぇか、いきなり士官学校に放り込まれるよりマシだろう? お前の家は軍人家系なんだから、遅かれ早かれだよ」「いや、いや、サイト? 兄上たちの話を聞いた限りでは、士官学校でもココまでではないそうだよ? 幾ら何でもいきなり初日で戦術級魔法をぶち込まれたりはしないよ?」「そうなのか? ルイズ」 サイトは自分の主人に話題を振ってみる。 ルイズはこんな時でも優雅で可憐だった。長い髪は邪魔にならないように後ろでひとつに纏められている。ヘルメットの中に仕舞うのは大変だっただろう。 彼女は背筋を伸ばし、シエスタから渡されたカップをリスか何かの小動物のように可愛らしく両手で持って、そろりそろりと飲んでいる。「なんで私に聞くのよ」「いや、何でも知ってそうだから。あとは説得力の問題だな」 ルイズはため息ひとつ。 サイトには移植されたルイズの左眼を通じて知識が流入しているはずなので、サイトが知らないことはルイズも知らないのだが。 まあ、誰が発言するかで説得力が違ってくるのは確かであるので、一応答えておく。「……英雄王の治世ならともかく、最近は士官学校でもここまでは、やらないでしょうよ」「ほら、ここまでじゃないんだって、サイト」「ただし!」 ルイズはギーシュに釘を刺す。「それは今現在が昔に比べてぬるくなっただけで、決してその現状が良いとは言えないわ。例えばクルデンホルフと戦争になれば、ミセス・シュヴルーズが使うような戦術級魔法がいきなり飛んで来るのは十分に有りうるんだから」「あらあら、お姉さま、クルデンホルフと戦争になると思ってますの……?」 ベアトリスがうるうると目を涙で潤ませてルイズに問う。だが手は髪を一生懸命ブラッシングして、いつものツインテールにセットし直している。ついでにキューティクル修復魔法も発動している。シャンリット千年の歴史の流れの中では無駄に細かい魔法が発達したりもするのだ。 ルイズの第一の下僕を自認するベアトリスからしてみれば、敬愛するおねえさまから実家が仮想敵国扱いされるのは堪えられないのだろう。 ……まあ実際トリステインとクルデンホルフが交戦状態になれば、このツインテ少女は速攻で実家を見限ってルイズ側につくだろうけれど。ルイズがトリステイン側につくかどうかはわからないが、ルイズの隣が自分の立ち位置であると、ベアトリスは自負しているから。「仮定の話よ、か・て・い。……というか、ベアトリスの実家は、周辺国すべてが仮想敵国じゃないの」 クルデンホルフ大公国はその成り立ちの過程でブリミル教に対する信仰を捨てている。 そのため、周辺国全てがブリミル教国であることとも合わせて、外交には自動的にマイナス補正が付いているのだ。 クルデンホルフ大公国で廃人を続出させている文明育成シミュレーションゲーム的には『未開人の宗教を崇めるとは、なんとも不愉快だな。-4』『お前は邪悪だ。-4』の態度ボーナス合計-8がデフォルトである。つまりいつ開戦しても可笑しくないくらい周辺国からの印象は悪い。「そりゃあそうですけれど。でもクルデンホルフの公式見解としては、蒙き(くらき)を啓いて(ひらいて)いないのは周辺諸国の方なので、態度を改めることはありえませんわよ?」 クルデンホルフ大公国(シャンリット)は、貴族の既得権益やブリミル教に拘って、遅々として進歩しない諸国を見下している。 エネルギーや食物を自給し、労働力すらも木から生まれる矮人としてプランテーション的に生産・管理できる彼らからしてみれば、いくら周辺諸国から悪感情を持たれようが、何の痛痒も感じない。外交の重要性が、著しく低いのだ。 技術流出については、ある程度、大公国も気を使っているが『現段階で他国が真似できる程度の技術の流出ならば、遅かれ早かれ他の国もたどり着くからあまり変わらないだろう』ということで黙認されている。余力を全て研究・蒐集につぎ込んできたこの千年の積み重ねは、隔絶した技術力の差を生み出し、それが彼らの傲慢とも言える思考を支えている。「知ってるわよ。私だって四年間はシャンリットのミスカトニック学院で学んだんだから」 ルイズは八歳から十二歳までの四年間をクルデンホルフの大学校、ミスカトニック学院で過ごし、あまつさえその短期間で卒業までしている。 桃色髪の彼女は超天才児なのだ。入学の経緯は、スカウトといえば聞こえはいいが、実際は虚無の系統だとバレたために八歳の時に拉致同然にヴァリエール領から連れ去られたのだが。……我が子を取り戻そうと大公国へ攻め寄せる烈風カリンを退けて会談の場を設けるのに、数万の改良ゴブリンによる屍山血河を築かねばならなかったのは余談だ。うらー! まあ他にも、ルイズが天才児だったゆえに、卒業後に星辰の彼方の円錐生物に目をつけられたりもした。権力と財力あってフットワークが軽くて(まだ結婚してないし家も継いでないし)頭も良いとなったら、それは精神交換フラグですよねー?「ミスカトニック学院? 俺の故郷にあったのと同じ名前の大学だ。偶然の一致?」 サイトが母校の名前に反応する。 奇人変人ぞろいの学校だが、いざ離れてみると案外懐かしいものだ。……いやサイトはまだ卒業してはいないのだが。(あれ、俺って地球ではどういう扱いなんだ?) ふと疑問に思ったサイトに対して、ルイズが念話で答える。(故郷に還すときは時間軸を合わせたげるから大丈夫よ。せいぜい失踪してから数日以内になるようにしてあげるわ) 『カーの分配』による霊体の結びつきのおかげで、サイトとルイズは念話紛いのことが可能になっている。何故か時折、接続が不安定になるが。魔術の施術から数日の時間が経って、ルイズの分霊はサイトの霊体により深く根を下ろして、繋がりは強固になったはずなのだけれど。 普通のメイジと使い魔同士ならば念話はデフォルトなのだが、虚無の使い魔にはその機能は付いていない。 虚無の使い魔はとんでもない能力があるけれど、一般的な使い魔の能力(念話や感覚共有など)は、容量の関係上かどうか分からないが、搭載されていないらしい。トレードオフなのか、それとも、初期型である虚無の使い魔には念話機能は搭載されていないとかいうことなのだろうか。「まあ偶然の一致でしょう。あんたの所と同じ単語は他にもたくさんあるし、『ミスカトニック』って単語の一致はそれと同じことでしょ」 ルイズは器用に、脳内でのサイトに対する念話返答と、舌に乗せる言葉を分ける。 実際ルイズとしては、地球の『ミスカトニック大学』とハルケギニアの『ミスカトニック学院』の名前が同じなのは、偶然の一致としか今のところは言えないのだ。 千二百年前の、蜘蛛神の手による転生者が関与しているというのは、流石に想像の埒外である。与太話としてはそのようなことも予想しているが、あくまで冗談の範疇だ。「そういえばサイトはどこから来たんだい? この辺じゃないんだろう?」「東だよ、東。大陸の果てのさらに東だ」 レイナールの問いにサイトが答える。「東って、“ロバ・アル・カリイエ(東方)”よりも?」「“ロバ・エル・カリイエ(いやはての虚空)”よりはまだ現世に近いんじゃないかな。多分」 そんなやりとりをしているレイナールとサイトにルイズが突っ込む。「物騒な話題出してんじゃないわよ。“ロバ・エル・カリイエ(無名都市)”には何も無いわよ。廃都にはミイラがあるだけだし」「えっ?」「うん?」「あら?」 レイナールとサイトとルイズがそれぞれ疑問の声を上げる。 どうやらお互いに話題にしている“ロバ・エル・カリイエ(ロバ・アル・カリイエ)”が違っているようだ。 レイナールはハルケギニアの一般的意味でのロバ・アル・カリイエ(東方)を口に出している。 サイトはネクロノミコンで言及されているロバ・エル・カリイエ(最極の空虚)を意図している。 そしてルイズは、ハルケギニアの砂漠に実在するロバ・エル・カリイエ(廃都、無名都市)をイメージしている。 ……言葉って難しい。 微妙な空気で固まった三人を見かねて、触手竜の騎士ルネが話題を振る。「ところでさ、みんなは明日の虚無の曜日の予定は決まっているのかい?」 ちなみにルネは、何の予定も無ければ宿舎であるバラックの改築を行う予定である。 彼はベアトリスの従者なので、当然、彼女が学院から出なければ、という仮定の上であるが。 ルネの問い掛けに、まずはギーシュが応えた。「ん、みんな回復したことだし、レイナールとサイトをトリスタニアに誘おうと思ってたんだがどうだい? この間約束してたしね」 それにサイトとレイナールが賛同する。「そうだな。俺もこの国の首都を見てみたかったし」「僕もいろいろと王都で買うものがあるしね。疲労回復用の秘薬の原料とか」 レイナールは相変わらず自分を虐めるトレーニングを続行中らしい。おおマゾいマゾい。 最近はサイトを交えて、モンモランシーに頼らずに自分で秘薬を調合しようという試みも行っているようだ。勉強熱心で大変結構。サイトはルイズにインストールされた知識を完全に自分のものとして定着させるために、レイナールと一緒に調合を行っている。 だがレイナールが薬を飲んだときに、調合に失敗ていると時折、副作用で嫉妬心が頭をもたげるのは頂けない。そういう意味でもサイトでないと彼の助手はできない。ゴシカァンな肉体になった彼(しっとマスク)を、即座に鎮圧できるのは、このメンバーだとガンダールヴのサイトだけだ。「ああ、私も王都に用があるから、虚無の曜日は出かけるわね」「お姉さまが出かけるなら、もちろんご一緒しますわ」 ルイズが発言し、ベアトリスが追従する。 となればルネの予定も決まる。「では私はお嬢様の護衛として付き合いますね」「んー、まあ、そうねぇ。とりあえずルネは虚無の曜日には、サイト達三人を先ずは王都まで乗せてやってくれるかしら? 私とお姉さまは別経路で王都に向かいますから、彼らを送った後は王都周辺に待機していてもらえれば良いですわ。危急の時は連絡しますから」「了解いたしました、お嬢様」 お互いの予定が決まったので、ギーシュが念の為に総括する。「じゃあ、僕とレイナールとサイトは、ルネの竜に乗って王都まで。ルイズとベアトリスは別経路で……まあどういう経路かは詳しくは聞かないけど、とにかく王都に行くんだね。ルネは僕達の送り迎えをしてもらうことになるけど、いいのかい?」 ギーシュはルネに確認をとるが、それより先にルネの主君のベアトリスが命令を下す。「ルネ。主君として命じます。明日の虚無の曜日は、ギーシュたちの送り迎えをすること。空き時間は王都近辺で待機。私が呼んだら直ぐに駆けつけること。帰りに彼らを学院まで送るときは私に護衛を離れる旨を一応、カードを通じて連絡して頂戴。よろしくて?」「いえす、まぁむ」 これで決定である。 ルネはベアトリスに対して絶対の忠誠を誓っている。 なんでも、遍歴中に行き倒れていたところを拾われたとか云々。「ああ、そうだ。シエスタも付いてきなさい。私の侍女に相応しいものを色々と揃えてあげるから」 ルイズがそこに付け加える。 シエスタは最近、学院付きのメイドから、ルイズ・フランソワーズの個人的な侍女に雇われ直している。 もちろんシエスタ個人も、メイド長も合意の上でだ。「そ、そんな、恐れ多いです」「いやいや、これは必要経費だから。私の見栄にあなたを付き合わせて悪いけれど、貴族にはそれなりの体面というものがあるのよ。まあ実際的な側面も多いけれど」 シエスタは遠慮したが、ルイズは押し通す。 確かに、由緒ある公爵家の姫様の侍女ともなれば、学院付きのメイドとは一線を画する品格が求められる。 あと、あのゼロのルイズの侍女を務めるとなれば、それはもう、いろいろと物騒な装備品が必要であろう。そして訓練も。いつか彼女も今日のような地獄の訓練に参加させられるかもしれない。「それとサイト。あんた、お金持ってないでしょう? あとで従者としての給金を渡すから、私の部屋に訪ねてきなさい」「分かった、サンキュー。汗拭いて着替えたら向かうよ」 休日の予定も決まったので、皆は三々五々、荷物を持って、それぞれ着替えるために解散していく。 ルネとサイトはバラックへ。ギーシュとレイナールは男子寮に。ルイズとベアトリスは女子寮に。シエスタは後片付けだ。 その道すがら、レイナールがギーシュにボヤく。「で、なんで僕たちはサイトたちの訓練に巻き込まれたんだっけ? ギーシュ」「なんでだっけなあ。何かサイトたちと談笑してたら、成り行きのいきなりでミセス・シュヴルーズに『おいそこの蛆虫ども! さっさと整列しろ! 四十秒で支度しな!』って言われたからじゃないのかな」「ああそっかそうだった。確かにあれは逆らえない圧力を感じたよね。何故か僕らの分の野戦服とメットも用意してあったし。……怖かったよね」「ああ。父上より怖かった。父上に三人の愛人が居るのを知った時の母上と同じくらいには怖かった」◆◇◆ 部屋に戻ったルイズは、窓にカーテンがかかっていることを確認する。キュルケの部屋には時々男子生徒が飛んでくるので、そいつらに覗かれないように念のため。 マジックカードを取り出して、野戦服の汚れや汗を『錬金』で空気に変化させて洗浄する。部屋を汚すわけにはいかない。 服の土汚れなどが消えたのを確認すると、ホルスターに差していた杖をホルスターごとベッドサイドに置き、そろそろと野戦服を脱ぎだす。 迷彩柄上着の正面のジッパーを覆うボタンを外し、その内側のジッパーを下ろし、脱ぎ捨て――ずにある程度丁寧に丸めて置いておく。背中に大きく「ルイズ」と書かれた布が貼ってあるのは、連携訓練時の敵味方識別のためだ。 軍用の頑丈な編み上げのブーツを脱ぎ、揃えて立てておく。マジックカードを片手に持ってさっとブーツに翳して、湿気取りと殺菌の魔法(汗の水分を揮発性の殺菌成分に『錬金』する)を発動させておくのは忘れない。水虫は嫌だ。 ズボンのファスナーを下ろして、こちらも脱ぐ。脱いだものは上着と同じ場所に重ねる。 野戦服の内側には全身タイツのようなぴったりとした黒い内衣の上下がまだある。 伸縮性に富むそれは、ルイズの細く華奢なラインを浮き彫りにする。胸は控えめだが、それ以上にアンダーバストやウエストが細いので、充分に女性的、とまでは言えなくとも、青い果実のような背徳感を煽る少女性を感じさせる。 タイツのようなインナーを脱ぎ、迷彩上着の上に丸めて投げる。魔法でひと通り乾かしたとはいえ、下着のパンティーにも汗が染みているので代えなければいけないだろう。 ぴったりとした上衣も脱いで、下着だけの姿となったルイズは、髪を束ねていたゴムを外す。「ふうっ」 首を振って髪をバラしながら、ルイズは一息ついて、ブラジャーもパンティーもポイポイっと脱ぎ捨てる。畳むのが面倒になったのだ。 そんでもって、生まれたままの姿でベッドに向かってダイヴ。 高級なベッドは柔らかくそれを受け止める。乙女の柔肌には傷ひとつ付けない。「ふぁ~~~っ。つ か れ た ー!」 ここ何日かはサイトやベアトリス、ルネたちと戦闘訓練を行ってある程度馴らしていたとはいえ、やはりシュヴルーズのシゴキはキツイ。 学術都市で学んでいたときにも『赤槌』先生の教導を受けたことはあったが、キツイものはキツイ。経験者だから幾分耐性があるというだけで。 シュヴルーズの訓練を受けていたおかげで、遺跡探索などの際に、命拾いしたこともあったから、感謝こそすれ恨みなどはない。無いが、ちょっとやり過ぎじゃないのか、と思わなくもない。 ルイズは一糸まとわぬその姿のまま、手にマジックカードを持ち、魔法を発動させる。「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー」 マジックカードから、筋肉の超回復促進用の電気刺激マッサージ魔法を発動。いい感じに身体が痺れて、情けない声が漏れる。 でも、まあこの程度なら隣近所に響いたりはしない。『サイレント』の魔道具が部屋の備品として壁に仕込んであるので、防音はほぼ完璧なのだ。 急に扉があけられない限りは、この声が外に漏れることはないだろう。(……扉? あれ、ドア、きちんと鍵掛けたっけ――) その時、まるでルイズの思考を読んだかのように、がちゃり、とドアノブが回る。「ちょ、だr――」 誰何しつつ、ルイズは慌てて、手に握っていたマジックカードから『念力』を発動してドアを押しとどめようとする。 しかし、無情にも何者かがドアを開くほうが早い。「入るぞー、ルイズー。お金貰いに来たn――」 入ってきたのは、彼女の使い魔のサイト。 その時。 世界が。 凍った。 ルイズはベッドの上で裸。うつ伏せで、侵入者に対処するために上半身を持ち上げていたところだ。 慎ましやかな胸、白磁のような背中、細くくびれた腰、小さく盛り上がった可愛らしいお尻、すべすべの太もも、何から何まで、サイトに丸見えである。エクセレント。マーベラス。トレビアン! サイトの脳内で感嘆詞が乱舞する。 ルイズの顔があっという間に羞恥と怒りに赤く染まる。素早くベッドサイドに置かれたホルスターに差された杖に手が伸びる。大丈夫、彼女はまだ冷静だ。自分の持ちうる最大威力の非殺傷攻撃を選択できるくらいには。「こ、こ、この、バカ犬ーー!!!」「ありがとうございますッ!」 罵声と共に、ルイズ渾身の、虚無の『爆発』が炸裂した。 それを受けて吹き飛んだサイトの顔は、どこか晴れやかであった。◆◇◆ ルイズは、サイトを吹き飛ばしたあと急いでドアを閉めて、適当な部屋着を身につけた。そして脱ぎ捨てた下着など、隠さなきゃならない物を全部、壁掛けの『ゲートの鏡』を通じて学院外れの地下研究室に転送し、準備を整え、サイトを迎え入れた。 それで、まずはお説教である。苛立っているため、ルイズの左手の指が忙しなく擦り合わされている。いつもの癖の1.5倍の速度が出ている。「次からノックくらいすること。念の為に言うけど、返事があって許可されるまでは入ってきちゃ駄目だからね」「うぃ(Oui)」 シュヴルーズの訓練に加え、ルイズの爆撃を食らったサイトはボロボロであるが、そんなことは斟酌するに値しない。サイトは床に正座させられている。重石を抱えさせられていないだけ、まだ良心的だ。「確かに鍵を掛けていなかった私にも非はあるわ。……でも次はないから。肝に銘じておくことね」「……了解であります。というか、記憶を消す魔法があるんじゃないのか?」 サイトはルイズに尋ねる。 確かレイナールの不定の狂気を治療した、精神作用系の忘却魔法があるはずだ。 ルイズから植えつけられた知識も、その魔法の存在を支持している。虚無魔法の一つ、『忘却』がそれだ。「……あー、『忘却』の魔法は確かにあるけど、こんなことでいちいち使うのは精神力がもったいないわ。それに苦手なのよね、あの魔法」「ふぅん、同じ虚無魔法でも向き不向きがあるのか」 ルイズは『爆発』の魔法が得意なのだ。 他の虚無魔法の呪文は、若干適性が落ちるため、消費魔力が多くなったり、精度が落ちたりする。「レイナールの時は緊急だったから使ったけどね。それにあの魔法は、魂に刻まれた記憶を消す魔法だから、あんまりあんたには使いたくないのよね」「うん? なんで?」 この世界における記憶には、魂(精神)に刻まれるものと、脳(身体)に刻まれるものの二種類がある。だがお互いは不可分に結びついているので普通は区分する必要はない。 それぞれを区別する必要があるのは、精神交換などによって別人の魂が身体に入った場合や、『忘却』魔法によって魂の記憶を消去した場合、あるいは逆に脳神経を焼いて脳の記憶を破壊した場合などである。 魂の記憶と脳の記憶は、お互いに同じ状態になろうとフィードバックしあうので、それぞれの間に齟齬があれば、何らかの違和感となって夢などに顕れるはずだ。 サイトの魂は、今ちょうど、ルイズから『カーの分配』で移植されたルイズの魂の断片と混ざり合っている途中のはずである。 下手に魂に影響を与える魔法を使ってしまえば、一体どんなことになるのかわからない。 ルイズとしては、ここは羞恥をこらえて、サイトに対する厳重注意に留めるしかないのだ。なに、どうせその内に彼の全てはルイズの管理下に置かれるのだ。それまでの辛抱である。「なんでもないわ。そうだ、最近、ちゃんとよく眠れているかしら?」 ルイズは努めて先程の遭遇事故を意識の上から追い払って、話題を変える。 サイトが足を崩そうとしたのを眼力で縫いとめる。正座続行。 話題を向けた先は、夢のこと。いつまで経ってもルイズの夢の領域にやって来ない、このとぼけた使い魔と、彼に植えつけられたルイズの左眼の分霊のことを確認したいのだ。「……。う、うん、眠れているですよ?」 怪しい。 ルイズは半目でじっとりと睨む。 この態度は、嘘を付いている態度だ。なんか良く解らんが、きっと嘘をついている態度だ。ルイズの女の勘がそう告げている。「サイト」「はい」「ハルケギニアには、『メイジと使い魔は一心同体』という言葉があるわ。使い魔の健康管理も、勿論、主である私の役目よ。あと、あなたは私の従者でもあるわけだから、そっちの意味でも身体の健康状態は把握しておきたいわ」「はい……」 サイトがシュンとする。 だから、と口の端に言葉を乗せて、ルイズは椅子から下りて、正座しているサイトに目線を合わせる。 黒と鳶色のヘテロクロミア同士で見つめ合う。サイトは可憐な主から目を離せない。長い睫毛、整った鼻筋、柔らかそうな唇。サイトは思わず息を呑む。「聞かせて欲しいの。何か、困っていることはないかしら。夢見が悪いとか、そういう事は本当に無い?」 真摯な態度でルイズはサイトに問いかける。 サイトは美少女の顔が吐息もかかりそうなくらい近くにあることにどきりとする。 そして観念して、しどろもどろになりながらも、本当のことを口に出す。「……最初の頃こそ、悪夢で目覚めることが多かったけど、最近はそうでもないよ。まあシュヴルーズ先生の訓練がきつくて、朝まで泥のように眠ってるってこともあるけど」「そうなの。その悪夢の内容とかは、覚えてない?」 悪夢というのは、『カーの分配』による魂の侵食によるものだろう。 悪夢を見なくなったということは、ルイズの分霊の侵食率が上がったということだろうか。 それとも逆に術式が失敗してしまったか。どちらだろうか。「……覚えてない、な。とにかく、怖い夢だったってことしか。あとは、今も時々夢を見るけど、それは決まった内容なんだよなー。不思議なことに」「内容を聞いても?」 おそらくはその夢に、サイトとルイズの魂の混ざり具合が反映されているはず。「ああ、いいよ。三日に一回くらいしか夢は見ないんだけど、それは戦っている夢なんだ。夢のなかの俺は、隻眼隻腕の戦士で、ケツァルコアトルスみたいな、と言って分かるかな? 『忌まわしい狩人』みたいな、翼を持った蛇と戦ってるんだよ」「ひょっとして、夢のなかのサイトは、左眼が潰れてないかしら?」 ルイズが移植したのは左眼だから、夢のなかのサイトに影響が現れるなら、おそらくそれは左眼からだろう。「よく判るな。そう、左眼が潰れてて、右腕が無いんだ」「そう。左眼は私のと交換した影響が深層心理に反映されているのかも。ごめんなさいね」 ルイズが少し伏し目がちに謝る。 さっきまで説教していたのとも、諭すような態度とも違って、しおらしい態度だ。思わず守ってやりたくなるような。 こういうギャップを持ってこられると、男はころっと騙される。「い、いや、気にするなよ。まあこれのお陰で、この間の『闇の跳梁者』を撃退できたんだろう? なら良いよ。左眼も見えなくなった訳じゃないし」 いやサイトはもっとその辺を気にするべき。どぎまぎしてる場合じゃない。 ルーンによる主人に対する盲信効果でも発揮されているのだろうか。BETされているのはサイト自身の魂だというのに。「そう、ありがとう。そう言って貰えると気が楽になるわ。それで、他には?」 ルイズはさらに問うが、サイトは肩をすくめる。「それでって、それだけだよ。戦ってるだけで、決着はつかないんだ。その内に目が覚める」「……なるほど。ありがとう。きちんと眠れてるんだったら、ひとまずは問題ないわね。じゃあ、お給金渡すから、無くしたりスられたりしないようにね」 ルイズはサイトと合わせていた目線を外し、マジックカードから『念力』を発動して、壁にかけられたグロッタ調の『ゲートの鏡』の一枚を通じて、金貨袋を取り出す。 ずっしりと入ったその中身は、エキュー金貨50枚、スゥ銀貨100枚、ドニエ銅貨100枚である。 ひと月分の給金としては破格の金額だが、ルイズにとっては端金だ。実家からの仕送りの他にも、クルデンホルフで学んでいたときの奨学金や論文コンテストの賞金や、発掘した遺物をミスカトニック学院付属中央博物館が高値で買い取ってくれたりした代金など、彼女の貯金はかなりあるのだ。「多分それで足りると思うけど。生活用品は一式そろってるから買い揃える必要はないでしょうし。武器はデルフがあるし、必要なら私が『錬金』で造ってあげるわ。それに、それだけあれば、もしもの時に武器としても振り回せるでしょうし」「ん、ブラックジャックみたいなもんか。確かにそう考えたら、左手のルーンも反応するな。サンキュー、ルイズ」 金貨袋を武器と認識したのか、ガンダールヴのルーンが明滅する。 サイトがにっこり笑って礼を言う。 その笑顔が、割と不意打ち気味に、ルイズの心を揺らす。「べ、別に主としてはこのくらい当然よ。じゃあ、もう行っていいわ。疲れてるところ、来てもらって悪かったわね」「いや、こちらこそありがとう。……あと、覗いて申し訳ありませんでした」 最後に三つ指ついて深々と頭を下げるサイト。 ルイズは思い出して、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めて、思わずサイトの頭を踏みつける。「~~っ、この、そこは華麗にスルーしなさいよ!」◆◇◆ サイトが退出した部屋で、ルイズは先ほどサイトから聞き取った彼の『夢』の話を分析していた。 身体はベッドの上に投げ出して、電気刺激魔法でビリビリマッサージしているが、脳は猛スピードで回転している。(多分、サイトが夢のなかで戦っている蛇は、私の分霊よね。夢のなかのサイトが隻腕隻眼ということは、片眼と片腕は、蛇が食って同化してしまったということでしょう) 同化。 果たしてそれがどの様な効果を生み出しているのか、分からない。 ルイズは自分の左眼に意識を集中させ、霊体を介したサイトの身体との接続を試みる。(駄目ね。朧気にしか繋がらなくなっているわ。数日前までは、確かにサイトの感覚や身体のコントロールまで奪えたのに) なんだか『カーの分配』による接続が曖昧になっているようなのだ。サイトの居場所などは、おおよそ感覚で把握できるし、念話もある程度使えるものの、完全な指揮権の奪取となると、途端に及ばなくなる。 それはつまり、植えつけた分霊が“変質”してしまい、ルイズ本体の魂との霊的な繋がりが薄くなったということ。だから同調できなくなっているのだろう。(……一体どうしてかしら。何か魔術に不手際があったのかしら?) ルイズは疑問に思う。 だが彼女の『カーの分配』の施術には、何も問題はなかった。 問題があったとすれば、それは彼女の才能の大きさだ。 彼女がサイトに植えつけたのは、たかが左眼一つ分の霊体に過ぎない。普通であれば、それは意思など持たずに、本体への合流を最優先に自動的に行動するはずだった。 しかし、巨大すぎるエネルギーを内包した彼女の霊体にとって、左眼一つ分であっても、そこには常人の霊体一人分以上のエネルギーを内包されていたのだ。 だから、サイトに植えつけられた“それ(左眼)”は、サイトの魂という極上の美酒を得て、独自の力と意識、そしてサイトに対する強烈な執着(食欲)を持つに至ったのだった。 しかしそうなると、分霊体が、ルイズ本体からの莫大なエネルギー支援を受けられないことにも繋がる。分霊は、本体からの干渉を抑える防壁と、その範囲で、出来る限り本体のエネルギーを引っ張ってくるための抜け道のようなものを、サイトの夢の世界の周りに築き上げつつある。 本体とのリンクを半ば自らの手で断ち切ってしまった分霊翼蛇の力は弱体化し、それによって、シュヴルーズの訓練によって鍛えられたサイトの精神が、蛇の攻撃と拮抗するに至ったのである。ルイズの分霊の一ツ目翼蛇は、外から探索の手を伸ばしてくるであろう本体への誤魔化しや迎撃準備と、内側で抵抗するサイトの魂への攻略という二正面作戦を行っている。そのギリギリの状態のため、蛇は未だサイトを食らうことが出来ていない。 夢のなかのサイトの身体の、ガンダールヴの左手が残っていることも大きいだろう。始祖の使い魔の力が、彼を助けているのだ。(……ん~、まあ、良いでしょう。失敗したなら失敗したで、また施術し直せば良いし。最近サイトの精神が鍛えられているから、それで私の夢の領域に連れてくるのが遅れているだけかもしれないし。あと何週間か様子を見てみようかしら) 結局、ルイズは『注意しつつ現状維持』に留めることにした。 自分の分霊が独自の自我を持って、サイトの魂を独占しようと思っている、などとは想像の埒外だ。 それにサイトの夢の領域にまでルイズの魂の本体が自ら赴くのは難しい。 広大な幻夢郷のなかで、異世界人であるサイトの夢の領域を探すのは、広大な宇宙から生命の住む別の惑星を探す作業と同じように、非常に困難な作業だからだ。 目印がなければ簡単には辿りつけないし、その目印たる分霊は、本体に見つからないように何らかの隠蔽を施しているようだ。 ルイズは、今のところ、自分の分身を信じて待つしか出来ない。『夢のクリスタライザー』というアーティファクトがあれば、簡単にサイトを自分の夢に招待できるだろうが、無いものねだりをしても始まらない。他にやりたいことも、やらなければいけないこともあることだし。(考えることはたくさんあるけれど、今は休むのが仕事。そうだ、シエスタにマッサージの仕方なんかを仕込むのもいいかもしれないわね……) 侍女に任命した黒髪メイドの育成計画も考えなければならない。少なくとも、自分の身を守れる程度にはなってもらわないと。 ともかく明日は虚無の曜日だ。それに備えて英気を養おう。このままでは今日の訓練の疲労が残ってしまう。 回復促進用の電気マッサージ魔法で身体がリラックスしていくのと同時に、ルイズの頭の中で無作為に思考の泡が弾けては消えていく。 夕飯にクックベリーパイは出るだろうか。 メイドを教育するなら同じ部屋に住ませて私が勉強を見たほうが良いかしら。 いっそ彼女にも『カーの分配』を使って支配を。 いやハルケギニアの民にそんな事をする訳には……。 じゃあなんでサイトには施術したし。 使い魔になったとはいえ、異邦人を信頼できるわけ無いでしょう。 ぶっちゃけ一目見た途端に欲しくなっちゃったからだよねー。 記憶を浚って調べてみたら随分とオイシイ物件だったしね。 そんなことよりおなかがすいたよ。 訓練後に飲んだ疲労回復ジュースには充分量のアミノ酸も含まれていたから大丈夫だ、問題ない。 …………。 ……。 むにゃむにゃむにゃ……ZZZzzz。=================================ルイズの分霊(一ツ目翼蛇)は絶賛暴走中。ルイズさんはひとまず静観の構え。サイト君の奮闘により、今暫くは蛇の侵食は膠着状態です。夢の決着は、宝探し編くらいになる予定。でもそれまでにサイトはルイズの好感度を稼いで『サイト個人の人格』を認めてもらわないと、蛇に食われるのと大差ない感じになります。命をかけたフラグ立てがはっじまるよ~。次回、王都訪問。2011.02.01 初投稿/誤字修正