「……、……かり」
「う、ん……」
「はぁ……。ほら、何寝ぼけてるの。あんたも、お寝坊さんねぇ」
「あれ、私……寝てた?」
「ええ。それはもう、ね。いい夢は見れたかしら?」
「良い夢かどうかは分からないけど、懐かしい夢は見たわね」
「懐かしい夢?」
「そう、懐かしい夢。私の大切な思い出。ほら、あの時――――――」
辺りを見渡せば広大な青い空が広がり、そこでは雲一つなく、日の光を一身に浴びる事が出来る。
そんな場所に、彼はいた。
彼は少年と言ってもいい見た目ではあるが、種族は妖怪であり見た目と実年齢が釣り合わない。実際はかなりの年月を生きている。
ついでに言えば子持ちであり、本人は歳相応な落ち着きを心がけているようだ。あまり、変化は無いのだが。
彼は空をふよふよと漂いながら、これからの事を考える。自分の子である紫の、これからの事を。
彼女、紫は大きな力を持っていた。生まれた当初から、その身から力が溢れ出ており、辺りの妖怪や獣達へ要らぬ警戒心を与えた物だ。
そんな彼女に、彼は大きな期待をしていた。これなら、自分を越えるのも早いのではないか、と。
だが、そんな思いに反して彼女は弱かった。
単純に持っている力の強さ弱さではない。彼女は自らの力をまったく扱えなかったのだ。
力を扱う術を持たぬ者は、弱い。いくら力が強かろうと、使い方を知らなければ無いも同然。
ただ自分の力に呑まれ、自滅するだけだ。
彼はその事を知り落胆はしたが、それでも直ぐに立ち直り彼女を鍛えることにした。
強くさせるため。なにより、自分の身は自分で守らせるため。
力を求める者共にとって、力『のみ』が大きな者は恰好の餌食なのである。
彼はまだ見ぬ未来を夢想する。
未来はどうなるか分からないから、何があっても大丈夫なようにしておこうと。
たとえ、自分が居なくなっても。
現在彼は空を飛び、紫に飛行訓練をさせていた。
本来、飛行とは翼を持たぬ者達にとって必要のない物だ。彼らは地を駆け移動し行動する。
それでも空を飛ぼうとした者は居たし、現に羽を持たぬ妖怪であるハジも空を飛んでいる。
決して特別な能力が必要というわけではないので、飛ぶ事自体は誰にでも出来るのだが。
その分、ある程度の技術が必要なので、そこまでの技術を身につけるよりは地上を駆けていた方が楽なのだ。
それに、力の消費も決して小さい物でも無かった。
では何故、彼は紫に飛行の術を身につけさせるのか。
その答えは、飛行をするための『技術』にある。飛行とは、純粋に技術の塊だ。決して異能や能力ではない。
鳥が飛べるのは、翼があるからではない。飛び方を知っているから、翼を使い、空を飛べるのだ。
鳥も、翼を持つ妖怪も、飛び方がその遺伝子に組み込まれているから飛ぶ事ができる。
では、翼を持たぬ者達はどうするのか。
それは、ただ知ればいい。翼を使わぬ、その飛び方を。
力を操作し、方向性を生み出し浮かび、飛ぶ。
そう。これは、自らの持つ力を緻密に操作することによって実現する事が出来るひとつの幻想。
ハジは紫に『力の操作』を身につけさせたかったのだ。
その為に、飛行を覚えさせるのは手っ取り早く、かつ目に見えて成果が出るので分かりやすかった。
そんな訳で、彼は紫に飛行訓練をさせていた。
彼は先ほどからずっと空を飛んでいる。というよりも浮いている。
移動もしなければ、身じろぎもしない。水の中に漂うように、全身の力を抜きながら浮かんでいた。
しかし、そこに紫の姿は無く、だが確かに彼は紫に飛行訓練をさせていた。
いったいどうやって訓練させていると言うのか。それは、彼の下方を見れば分かるだろう。
そこでは、一人の少女が空を飛んでいた。否、落下していた。
紫は空を飛びながら、正確には落ちながらこれからの事を思う。
はたして自分は無事でいられるのか。本当に、こんなんでハジの誇れる存在になれるのか、と。自分が輝ける場所はきっと別にある! 等など。
そうして彼女は本日何度目かの現実逃避を行いながらも、地面へと真っ逆さまに落ちる。
そして地面に直撃する寸前、彼女の身はまたしてもハジの真下へと転移され、すぐさま重力に引かれ落ちてゆく。
訓練を始めて、数十回目の光景であった。
彼女は数時間落下し続けていた。
日も暮れ始め、その日の訓練が終わり彼女はよろよろと地上を歩く。
訓練を終えた後は、彼女の自由だ。ゆっくり休むもよし、遊ぶもよし、力を試すもよし。
……と言っても、疲れきっている彼女に休む以外の選択肢を選べた試しが無く、今日も彼女は草原の上に寝っ転がり、大地の感触を噛みしめながら休む。
ハジは、そんな紫を置いて何処かへ行ってしまった。彼はたまに、彼女を置いてふらりと消える。
何をしているのか紫は知らなかったが、次の日には戻るので特に気にしない事にしていた。
なんせ、彼の行動範囲はとてつもなく広く、いちいち気にしているとキリが無いのだから。
今日も今日とて紫は休む。
ここ最近は訓練、休息の二つしかしておらず、知り合いとは戦闘訓練の日以外には合う事がない。
会話相手と言えばハジのみ。同年代の知り合いなんて者はなく、友人と言える者もおらず、唯一遊ぶとしたら、近寄ってくる妖精のみだ。
精神年齢の低い妖精達と遊ぶのは紫にしてみればなんとも言えぬ感覚であったが、訓練疲れの心は妖精達の明るさによって癒されていた。
なぜか、妖精によく好かれる彼女であった。
ハジは何処かへ行き、紫は一人で休む。今日は妖精が寄ってくる気配も無く、彼女がゆっくりとしていた時のことだ。
そこに、近づいてくる者がいた。
森の恐怖の象徴、ユレイである。
紫は何者かの接近に気が付くと慌てて起き上がり、警戒を始める。
なんせ、彼女は大きな力を辺りに漂わせ、その鋭い眼光を妖しく光らせながら近づいているのだから。
ユレイは辺りを見渡し、何かを探すような様子を見せながら、起き上ったばかりの紫に目を合わせる。
ゆったりと、それでいて強者特有の威圧感を放ちながら、つかつかと近づき、そして。
とうとう、手の届く範囲まで寄って来た。
ユレイはにっこりと笑いながら、眼だけは外さずにこう言った。
「貴女、ハジの子よね?」
紫とユウカの、出会いのきっかけであった。
「貴女、ハジの子よね?」
一応尋ねてはみたが、ほぼ確定だろう。
何やら昼間から木が騒がしいと思えばハジが近くに居たらしく、空から降りて来たようで私にそっと教えてくれた。
その時に、金髪の子も一緒に居て、その子が娘らしいとも聞いていた。
どうも、ずっと空中に居たらしく、やっと降りて来たので教えてくれたらしい。
なぜすぐに教えてくれなかったのだろうか。一応、私も空を飛べるのだが。
それは兎も角、目の前の子供を見やる。
この辺りでは珍しい金髪に、金色の瞳。ハジとは似ても似つかぬ風貌である。
加えて言えば気弱そうでもあり、そのか細い首は私が締めればすぐにでも折れてしまいそうなほど。
とてもではないが、ハジの直接の娘とは思えない。これなら、あのアマツの方がよっぽど息子らしい。
それでも力は強く、ハジによく似た力の波動が此方にヒシヒシと伝わってきている。逆にいえば、抑えられていないとも言えるのだが。
飛行ができず、数時間も空から落とされ続けるという虐待まがいな行為を受けていたらしく、力の制御が上手くは無いようだ。
「そうですが、何か用かしら?」
「ええ、ちょっとね」
綺麗な声だ。よく澄んでいる。
此方を警戒しているようだが、まっすぐと此方を見据え、見た目素直な性格のようだ。
いつでもその場から跳び出す準備もしているあたり、強かな面も持ち合わせているらしい。
だが私は争いに来たのではないのだから、警戒は解いて欲しいと思う。
娘と同い年くらいの子供にこうも警戒されると、少し傷つく。
ならばこちらは目線を合わせ、しっかりと相手の目を見据えて警戒心を薄めよう。
まっすぐな気持ちは相手へ届くはずだ。きっと、私が危害を加えないことをきちんと理解してくれる事だろう。
少し屈み目線の高さを合わせ、にっこりと笑みを浮かべる。
「ハジに会いに来たのよ。だけど、居ないでしょう? だから貴女と話しでもと思ってね。
ふふっ……なかなか戻りそうにもないし……ゆっくり、話しをしましょう?」
「っ……」
あら?
何故か、後ずさりをされた。
とは言っても一目では分からないような、小さな後ずさりではあるが。
しかし、気のせいか先ほどより、警戒心も高まっている気がする。なぜだろうか?
理由は分からないが、そういう性格なのだろうか。だが、心を込めればちゃんと伝わる。
間合いを一歩詰め、もう一度語りかける。
「あら、どうしたのかしら。怖がらなくたって良いのよ?」
「くぅ……そう簡単に、やられないわよ!」
「あら」
驚いた。
怖がらせるつもりは無かったが、どうやら怖い思いをさせてしまったらしい。
ユウカちゃんには綺麗な笑顔と褒められたけど、どうやらこの子には逆効果だったようだ。
飛んできた光弾を往なし、弾く。突然の攻撃に驚きはしたが、反応出来ない物ではない。
だが、この歳にして光弾を打ち出せるとは。流石、ハジの娘と言った所だろうか。
感心していると、目の前の子は悔しそうな眼で此方を睨んでいた。そして、完全に撤退の体制に入っている。
私が隙を見せれば、すぐにでも駆けだすだろう。
逃げられるのは悲しいし、もっとおしゃべりをしたいのだが。
ちょっと、捕まえてしまうか。少しくらいなら、大丈夫だと思う。
「そんなに怖がらなくていいの。ちょっと、失礼するわね。逃げられるのも悲しいし」
「え? っきゃ! な、何をするのよっ!」
草を操り、足へと巻きつけ動きを封じる。
これで、ゆっくりとお話が出来る。
ユウカちゃんはもう寝ちゃったし、ハジも居ない今、話し相手が居ないのだ。
もうちょっと会話を楽しみたい。会話は、出来ていないが。
「何もしないわ。 貴女が何もしない限りは、ね。
安心なさい。とって食べたりはしないから」
「誰がそんなことを信」
「あっ! そうそう、自己紹介を忘れていたわ。私はユレイって言うのよ」
「……ユレイ?」
「そう。よろしくね?」
私とした事が、すっかり自己紹介を忘れていた。
知らない者が近寄ってきたら警戒をするのも当たり前だろう。やはり、自己紹介は大事である。
その証拠に、彼女は私の名前を聞くと警戒を緩めた。
やはり、きちんと目を見て話せばちゃんと伝わるものだ。
「ユレイって、あの植物使いのユレイでいいのかしら? 草も操っていたみたいだし……」
「ハジから聞いたの? それで合っていると思うわ。
そうそう、貴女の名前は何かしら?」
「……紫よ。……よろしく、お願いしますわ」
ユカリ。紫ちゃん、か。何処となくユウカちゃんと似ている響き。
今度、会わせてみよう。お友達になってくれば私としても幸いである。
「ええ。こちらこそ、よろしくね」
そうして私たちはほどほどに会話をし、紫ちゃんの緊張も解けて来たようである。
そろそろ戻ろうかとした時、どうやらハジが戻ってきたようだ。
空を飛んで戻ってきたハジは此方に気が付くと、軽く手を振って挨拶をしてきたので私も返す。
そして紫ちゃんの隣へと着地し、話しかけて来た。
「ユレイか。この辺りに居ると思って探していたんだが……此処に居たか」
「あら、私も貴方に会いに来たのよ? すれ違いになったようね」
「そうか。まあ、細かい事は別に良いが。紫とは話をしたんだろう?
なら、私の用件は終わったな。一応会わせておこうと思ったのだ」
「あら、そうだったの」
どうやら、お互い同じ用件だったようだ。
私も、久々に会えそうだったのでユウカちゃんの事を伝えておこうと思ったのだが。
紫ちゃんにも話したし、明日にもまた会えるだろう。
もしかしたら紫ちゃんも一緒かもしれない。是非家の子と友達になって欲しいが、ちゃんとできるだろうか?
ユウカちゃんは気難しい所があるから、少し心配ではある。だが、根はとても優しい子だ。
私が言うのだから間違いない。とっても可愛くて、とっても優しくて、将来はかなりの美人になる。
私の自慢の娘なのだから間違いない。
「どうやら同じ用件だったようね。私も、娘の事を伝えておこうと思ったのよ。
近くに貴方が来ていたのを知ったから、先に連絡だけでも済ませようと思って」
「そうだったのか。なら、明日にでもまた会いに行く」
「そうね。それだったら、その子も連れてきなさい。いい? 絶対よ?」
「ああ、わかった。 いいよな、紫?」
「ええ。構わないわよ」
話しも纏まり、キリもいいので別れる事にする。
内心では紫ちゃんの頭を撫でてやりたいのを我慢しつつ、軽く手を振り別れを告げる。
明日はユウカちゃんのハレ舞台である。気合いを入れて、ビシッとしなければ。
といっても、私が出る幕はなさそうだが。
友達とは、親が出張る物ではないだろう。私は祈るだけ。そういえば、私に友達と言える存在はどれだけいたか。
まあ、どうか皆仲好くなりますように、と。
ユレイさんと出会った翌日、私はハジに連れられ空を移動する。
結局、昨日も空を飛ぶには至らなかった。ここしばらくは飛行訓練を重ねているが、成果らしい成果といえば落下速度を緩めたくらいか。
浮遊にも至らぬ代物で、横で不思議そうな顔をしながら見てきた妖精に嫉妬してしまうところだった。
最近の妖精はほとんどの者が飛べるのだ。
今日は空を連れられているが、訓練は無い。代わりと言っては何だが、今日はユレイさんとその娘、ユウカと会う約束である。
今までは出会う者全てが年上だったが、話しによるとユウカよりも私の方が若干年上らしい。
その事に嬉しくなって詳しく聞いてみたのだが、十歳年上だと言われた。はたして、これは大きいのか小さいのか。
ハジは万単位で生きているというし、それを基準に考えると存在しないも同然ではある……私からしたら、結構大きな数字なのだが。
そんなこんなでユレイさんが暮らす森へとやってきた。
ハジは迷うそぶりも見せずに、空から一直線に森の中心と思われる場所へと突き進む。
場所は知っているのかと問えば、そこに居る気がするという、なんとも頼りになる返事が来てしまった。勘か。
そのまま森の中心部へ着いたが、ユレイさん達は居なかったのでその場から捜索を開始。しばらく探していると向こうからやってきた。
どうやら、来た事に気が付いて来てくれたようである。
初めて会った時はとんでもなくヤバイ妖怪かと思っていたが、話してみれば案外優しい妖怪であった。
最初は威圧から始まり、逃げようと思っても細かい動きまで感知され、絶体絶命かと思い攻撃までしてしまったが、申し訳ない事をしてしまった。
まあ、簡単に弾かれて凹んだのだが。
ユレイさんは目つきが怖いが、優しいのだ。
ただし、天然で他人を脅す疑いがあるので油断は出来ず、本人に自覚なし。
ハジからは油断をするとツタなどで絞められると聞いた。危ないのには変わりが無かったらしい。
そんなユレイさんであるが、今回は一人ではない。
その傍らにはユレイさんに良く似た少女……私と同じくらいの子が佇んでいる。
ハジとユレイさんの会話が始まり、向こうは私を観察するような目で見てくるので、私も見極めるようにして見つめ返す。
しばらくすると二人の会話が私たちの話題となり、視線が此方へと向いた。
すると彼女は私から視線を外したのだが、私に声をかけるでもなくハジの下へと向かい、とんでもない事を言い放った。
「あなたが私のお父さん? お母さんから聞いたわ」
「ん?」
「あら」
なん……だと?
今日も日が暮れ、ハジに飛行訓練を手伝ってもらう時間も終わった。あとは、自分だけでの訓練だ。
あの女と出会ってから一週間が経った。未だに、飛行は出来ない。
高い所から落ちても減速がやっと。だが、地面からなら浮遊程度ならば出来るようにはなった。
飛べる。もう少しで飛べるはずだ。
感覚は大分掴んできており、あとは細かい制御さえ出来れば飛行は完璧なはずなのだ。
これさえ出来れば能力の使用は兎も角とし、普段の妖力の制御は安定するとハジのお墨付きである。
妖力さえ制御出来れば、あんな女に負けはしない。総量でも、質でも勝っている。
絶対に負けてなる物か。期限はあと三日。それまでに、私は飛行を習得し妖力の操作を身に付けなければならない。
悔しかった。相手は既に飛行が出来るのだ。私よりも年下のはずなのに、私よりも上手く妖力を操作している。
しかし、それは確かに悔しかったが、それ以上に『あんなこと』を言われて平然としてはいられない。
『娘はこの私、ユウカよね? お母さんも居るし、私が娘よ』
『それに、あんたはお空も飛べないんでしょ? あんたはハジの子にふさわしくないわ』
『私の方が強いし、娘にふさわしいのよ!』
今でも思い出すだけで腹が立ってくる。
あの時はユレイさんがその場を収め、ハジは特に大きな反応は見せなかったが、あいつとは絶対に仲良くなれない。
ハジもハジだ。なぜ、あそこで否定の言葉を出さなかったのか。
なぜ、私がハジの娘に相応しくないと言われた時、何も言ってくれなかったのか。
全てが悔しい。
そんなことを言われた自分にも、言ったユウカにも、何も言わなかったハジにも、悔しさが先に出てくる。
だから、私は見返してやるのだ。三日後、力の制御を完全に身に付け、あの女をコテンパンにする。
そうして見せつけるのだ。私が、ハジの娘に相応しいと。
今日も今日とて飛行訓練に明け暮れる。時間も忘れ、夜は明け日は暮れ太陽は沈み、また昇る。
そうして約束の日の前日。
とうとう身に付けた。空を飛ぶ技術を。
約束の日には、一騎打ちの真剣勝負。
命までは取らないが、私の力を見せつけてやる。
もう私は迷わない。他の誰でもない、私がハジの娘なのだから。
これだけは、他の誰にも譲る事は無い。絶対に。
「あの時は、必死だったわ。あんな事言われたの、初めてだもの」
「そうねぇ……そんなこと、言ってたっけ、私」
「言ってたわ。まあ、そのお蔭で私も強くなれたんだけど」
「思いだした。確かあの後、ハジに『お前は娘ではない。子はたった一人だけだ』なんて言われちゃったっけ」
「そうそう。でも、ハジは妖怪全員が好きだから、子供みたいには思ってたんでしょうね」
「懐かしいわねえ……」
「そうねぇ。まさか、こうして思い出を語り合う仲になるだなんて、思ってもみなかったわ」
「私も。あんたが此処まで強くなるとは思ってもみなかったわ。 あんたは立派に、誇られる存在になったわね」
「何よ、もう。照れくさい。 貴女には似合わないわよ、そんな台詞」
「分かってるわよ……。でも、やっと一人前に認められたんじゃない。
その、私だって……嬉しいわ」
「……ありがと」
「……別に」
――――――――――――
あとがき
引っ越し準備が始まり、なかなか忙しくなってまいりました。
ネット環境が整うまでしばらく時間がかかりそうです。
準備だけで連休潰れてしまいました。ダメだこりゃ。
あとポケモンが熱いです。すれ違い人数が電車乗るだけで跳ね上がります。
感想返し
>次の展開、主人公は?
そんなすぐには原作の時間軸には飛びません。
主人公も新規のオリキャラを出します。
ネタバレにならない程度に言うとこんな感じ。
他のキャラがどうなっているのかも、書いていこうと思ってます。