時空管理局 歴史妄想 ~こうして彼らは脳味噌となった~
前書き(読み飛ばし可)
この話はとらは板にある私の作品の基本設定になってますので一応URLを
http://mai-net.ath.cx/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=toraha&all=22726&n=0&count=1
こんにちは、イル=ド=ガリアというものです。
この作品はギャグでありネタであり、同時に時空管理局が嫌いな方には向かないと思いますので、これらの条件に当てはまる方はただちに引き返されたほうが無難です。何よりも、「ああ、またガリアの設定厨が始まったよ」と思った方も[戻る]推奨です。
私は“終末の聖杯戦争”という作品を投稿していたのですが、その際、電波を受けてパロネタとして“リリカルなのは”とのクロスをちょくちょく書いているのですが、ふと、素朴な疑問が浮かびました。
『はて? 時空管理局とはどのような経緯で出来たのだろう?』
古代ベルカ式、ミッドチルダ式、それらの中間ともいえる近代ベルカ式。
汎用性のある杖タイプのデバイスから、近接戦闘で力を発揮するアームドデバイス、より兵器に近い特性を持つカートリッジシステム、さらにはインテリジェントデバイスなど、様々な武器、装置、技術体系は存在しています。
しかし、戦術の上位に戦略あり、そしてその上位に政略はあるもので、“政略”の概念から見ればこれらはどのような事柄から発生したのだろうか、ということをまたしても電波を受けて妄想を開始しました。
そうして、“多分、時空管理局はこんな組織”というのをギャグ前提で書いた結果がこれです。
まあ、私はリリカルなのはシリーズが好きなので、結構悪者にされることが多い“時空管理局”に愛の手を差しのべたかったというのが最大の理由なのですが、やはり、彼女らが頑張る舞台はあまりドロドロしたものではなく、さわやかなものであって欲しいという願望から来る部分が多いです。
稚作ではありますが、それでも読んでくださる方がいらっしゃれば、楽しんでください。
なお作中にある ※は基本的に無視してくださって構いません。
2010.11/2 さらに考えた設定を載せました。この設定を元にとらは板でオリジナル再構成を書いてるので、暇な方はどうぞ。
時空管理局 歴史妄想 ~まだ時空管理局は始まってもいない~
場所 海常隔離施設。
講師 ギンガ・ナカジマ
生徒 アギト
あらすじ
アギトは古代ベルカのユニゾンデバイスであるが、長年眠っていたため歴史的な背景や、時空管理局がどのようなものか実はあまり知らない。ゼスト・グランガイツも“時空管理局はどのような組織か”ということについては語ることはあまりなかったため、彼女はただ彼のために行動していたためである。ということにしておいてください。あと、なんでギンガさんが時空管理局の裏事情を知っているのかという部分についてもスルーの方向で。
「それじゃあ、古代ベルカ時代のことだけれど、この時代のことはアギトの方が詳しいかしら?」
「よく知らねえ、ぶっちゃけ、何も分からんも同然だ。シグナムならある程度は知ってるかもしれねえけど」
「なるほど、まあ、一言で言えば“不明”で終わるかな」
「それでいいのか?」
「非常に高度で現代のミッドチルダよりも進んだ文明を保持していたのは間違いない。あの“聖王のゆりかご”やレリックなどの“ロストロギア”はまさにこの時代からの遺物だから」
「確か、“ロストロギア”は過去の危険物の総称で、特に古代ベルカ時代に遡るものほど危険度認定が大きいんだよな」
「“闇の書”と呼ばれていた頃の“夜天の書”なんかがいい例でしょうね。古代ベルカではカートリッジシステムを組み込んだアームドデバイスが主流で、これが指す事実は一つ、非殺傷目的でデバイスが使われていたわけではないということ」
「だよなあ、なのはのビームなら非殺傷設定なら死にはしねえけど、ヴィータのグラーフアイゼンで殴られればそんなの関係なく死ぬよな」
「だからこそ、現在の時空管理局ではミッドチルダ式が主流になるわけね。杖型のデバイスから発射するビームなら非殺傷設定にすればそれほど無理なく犯罪者を鎮圧できる。けど、エリオ君のストラーダみたいに近代ベルカ式の場合、使用者の技能で相手を殺さないように調整する必要が出てくる。ガジェットが相手ならともかく、一般の犯罪者を相手にする地上部隊ではあまり使い道がないというのが実情ね」
「なるほど、テロリスト相手に警棒じゃあ意味がねえ。痴漢相手にミサイル持ってきても意味ねえってことか」※1
「そういうこと、つまり古代ベルカはデバイスを“兵器”として用いていた。ヴォルケンリッターの方達が戦闘において比類ない強さを誇るのは基本的な土壌の違いでしょうね」
「そりゃあな、非殺傷設定が当たり前の時代と、相手をぶっ殺すのが当たり前の時代じゃ話にならんわな。しかし、そう考えるとなのはやフェイトはとんでもねえな」
「あの人達は管理外世界での命を懸けた実戦からスタートして、その後に訓練を受けたっていう普通じゃありえない経歴持ちだから。だとしても、あの強さは凄いけど、ともかく古代ベルカはその時代の次元世界において最大の繁栄と勢力を誇っていたけど、滅びてしまった」
「理由は?」
「微妙、まあ、ここらへんはありきたりな設定ということで ※2」
「それで、古代ベルカは滅んだけど、ロストロギアの大爆発による大消滅とかじゃあなくて、文化的な衰退というか、歴史の流れに沿った退廃的な衰退によって滅んだらしいわ。“国家というものはより優れた行政機能が登場した時に滅びる”なんて言われているけど、その習いに従ったということね ※3」
「古代ベルカが滅びる代わりに、勢力を拡大してその地位にとって代わった政府があるってことだな」
「それが首都にクラナガンを持つミッドチルダ連邦政府。時空管理局の最高機関が評議会ということは、その前進であった組織が専制ではなかったということを強く暗示している。まあ、確証とはならないけれど、ベルカが王制だったことを考えればそれにとって代わった組織は民主共和制の可能性が大」
「でもそれって、結構問題あるよな、結局は首がすげ変わっただけで、今度はミッドチルダが暴走したりしないのか?」
「暴走したわ、盛大に。じゃなきゃ質量兵器の禁止なんて法律が生まれるわけもないし」
「だよなあ、それまでは質量兵器と殺傷目的のアームドデバイスの組み合わせでやってきたんだし」
「それでもミッドチルダ連邦も最初の50年くらいはいい感じだったそうよ。とって代わった組織は最初は活力に満ちているから腐敗の種はあっても芽は出にくい、でも、徐々に腐敗の土壌は育まれて、じわじわと社会システムを侵食していく」
「人間国家の宿命ってやつだな。そう考えると古代ベルカは長く持ったほうか」
「国家の寿命の長短で良い組織だったかどうかを測るのなら、良い組織だったのでしょうね ※4」
「それに、ベルカは完全に滅んだわけじゃなくて、一つの王国としてだけど一応は残っていた。文明も完全に廃れたわけじゃなくて一部では伝えられていたみたいだし、その他の国家と国力的には同じだけれど、やはり古代の正統を継いでいるというステータスは最大勢力であるミッドチルダにとっても無視できないものではあった」 ※5
「まあとにかく、その当時の次元世界は安定してはいたんだな」
「ミッドチルダの武力を背景としたものではあったけど一応はね。ミッドチルダ文明の影響下にある世界は一千を超えていたらしいわ。古代ベルカは優れた文明を持ってはいたけど、あまり外に向かう体質ではなかったそうだから」
「それってつまり、植民地か?」
「正解、最初は対等な通商条約を結ぶ関係だったらしいけど、どんどん遠くへ進出すればするほど不平等条約に、果ては植民地とね。なのはさんの故郷である第97管理外世界には幸いにもミッドチルダの魔の手は及ばなかったそうだけど、もし及んでいたら………」
「どうなるんだ?」
「多分あまり影響ないわ」
こけるアギト
「さっきの前振りは何だ!?」
「さっきも言ったけど、先史時代のミッドチルダは質量兵器による大量破壊兵器と殺傷目的のデバイスで武装した魔導師を大量に抱えていた。つまりは完全な軍隊ね、方式も古代ベルカ式から汎用性の高いミッドチルダ式に代わって、でも殺傷能力だけはそのままに」
「ああ、つまり、文化的になのはの世界に似ていたと」
「そういうこと、現在は魔法文明だけど、当時は科学が主体で魔法はその一部という扱い。国家によってその割合はまちまちだったそうだけど、最大勢力であるミッドチルダがその方式をとっていた以上、他の国家もそれに倣うのは自明の理」
「仮にミッドチルダの手が及んでも、それほど影響を受けないってか。まあ確かに、腹黒い探り合いはありそうだが、それだけに仲良く出来そうではあるな」
「それに、ミッドチルダは宗教を持っていなかったのもあるから、常に打算で動いていた。言ってみれば拝金主義ね。逆に、ベルカは聖王教会を有していて、人々の精神的な支えになりつつあった」
「そりゃああかんな、どう考えてもミッドチルダが黙っているわけがねえ」
「それはミッドチルダが大きな力を持つようになればなるほど顕著になった。次元世界のための武力はミッドチルダのための武力になって、徐々に傲慢になっていったわけね。そしてついには“ロストロギア”の保有にまで踏み切る段階まで進んだ」
「いよいよ末期症状ってやつか」
「だけど、それでもミッドチルダにも良心的な政治家はいて、暴走しがちな軍部を抑える機構もまだ機能していた。なのはさんの世界で言うところの国際連合ならぬ“次元連合”みたいなサミットの場もあったらしいから、各国とミッドチルダの良識派が協力して、ミッドチルダの暴走に歯止めをかけるための組織が作り出された」
「ひょっとしてそれが」
「そう、時空航空管理局の発足ね」
「ん? 航空管理局?」
「おかしいと思ったことはない。ミッドチルダの首都クラナガンに地上本部があって、行政機能も司法機能も立法機能も司っているも同然の組織が何で“局”なのか」 ※6
「確かに言われてみりゃ変な話だな、普通そこは時空管理省とか、時空管理委員会とか、うーん、まあ普通にミッドチルダ政府でいいんじゃねえか」
「でしょ。つまり、時空航空管理局は多国籍の組織であって、本来は国家を拠り所にする組織じゃないの、設立の中心となったのはミッドチルダだけど、ベルカも相当に協力してるし、数百を超える次元世界の自治政府がこれに協力しているのよ」
「その理由は?」
「ミッドチルダの拡大の建前は、横行する次元犯罪や海賊組織の取り締まりのため、つまりは次元世界の平和と秩序を守るため、だった。けど、それが目的なら別にミッドチルダに頼る必要もない。確かに、高度な次元航空能力を備えた艦隊を有しているのはミッドチルダとベルカ、後は周辺の先進世界くらいだったけど、ミッドチルダ一つが行う必要もないとね」
「ああなるほど、ほとんどの世界の自治能力じゃあ対処しきれないけど、先進世界が中心になって、各国が協力し合って治安維持組織を設立すれば、ミッドチルダの軍隊に頼る必要もなくなるってわけか」
「それを設立がちょうど150年くらい前、この時空航空管理局は、質量兵器と殺傷目的のデバイスで武装したミッドチルダ軍のアンチテーゼとして誕生したから、魔法を主軸とした非殺傷設定の攻撃が基本となった。それに、彼らは軍隊じゃなくてあくまで治安維持部隊、警察の強力版という形だった」 ※7
「でもまだ、管理局法もなければ、質量兵器の禁止もなかったわけだな」
「ええ、あくまで時空航空管理局では使用しないという謳い文句ね。で、この組織には治安維持以外にもう一つ役目があって、これが最も重要なものとなる」
「それは?」
「ロストロギアの探索、回収、そして封印よ」
時空管理局 歴史妄想 ~御愁傷様です時空管理局~
「時空航空管理局が設立された背景には、拡張を続けるミッドチルダと、それに対抗する国家群との深刻な対立があった」
「ミッドチルダは“お前の物は俺の物、俺の物は俺の物”になっていったんだよな」
「簡単に言えばね、しかし、ミッドチルダの大量破壊兵器による圧倒的武力に対抗できる国家はなく、ならばどうすればよいかと考えた果てに、禁断の技術を復活させて対抗しようという風潮が生まれ始めた」
「終末思想その一だな」
「ロストロギア、中でも古代ベルカ時代の遺産にはミッドチルダの兵器群を遙かに凌駕する悪夢のようなものすらあった。これらを保有することが出来れば、ミッドチルダの圧迫にも正面から対抗できる」
「けど、国民への建前、おおっぴらにやるわけにもいかねえから、ことは秘密裏に進められた。そして、裏切り者が多発したと」
「当然の帰結ではあるけれどね、ロストロギアを保有してしまえば、政府を脅して国家転覆を謀ることすら容易になる。次元世界を股にかけて国家を形成している大国はともかく、一つの世界で複数の国家が存在している場合は、当然奪い合いになる」
「だよなあ、それを手にした国家が、その世界の覇者になることを可能にする過去の遺物、ロストロギア。欲しがらないわけがねえ」
「そして、ロストロギアが原因で巻き起こった世界内部での戦争は、ミッドチルダが介入するための絶好の口実を与えることになった。“諸君らの技術ではロストロギアの制御は出来ない、我々が行い平和と秩序を世界に取り戻す”とね。でもまあ、事実を捉えてもいたのだけれど」
「嘘偽りない事実なだけに反論もしにくいわけか、多分、ミッドチルダの国民の大半は純粋な正義感とかで政府を支持してたんだろうな」
「そりゃあね、“侵略する悪の国家”よりは、“ロストロギアが原因の戦争に苦しむ、無辜の民を救う正義の軍隊”の方が響きはいいし、自分達も正義に酔いしれることが出来る。その後、制圧された国家がどうなったかは別問題で」
「今度は、“俺達が救ってやったんだから、これくらいの見返りは当然”ってわけか。で、そのうちミッドチルダが裏で手え回してロストロギア問題を起こさせて、侵略するようになったって感じだろ」
「まあ、誰でも発想出来るわよね。けど、圧倒的武力というものは反対意見を黙らせてしまう」
「だからこその時空航空管理局か、中立の立場の多国籍組織を立ち上げて、次元航空での治安維持と、ロストロギアの回収と封印“だけ”の権限で、戦力だけは国軍規模にしたと」
「その戦力も質量兵器を用いないことが前提で、魔導師を中心に据えられていた。つまり、各世界から優秀な魔導師を集めて、ミッドチルダの大量破壊兵器に対抗したわけね」
「それで、ミッドチルダが軍隊を派遣する口実が潰されちまったわけか。政治的な権限がないから時空航空管理局の協力なら各国政府も受け入れることが出来る」
「それが150年近く前の話、次元に跨って活動するから、その本局は各世界が浮かぶ次元空間の海に設置されたけど、まだ地上本部は存在しなかった」
「当たり前だな、ミッドチルダ連邦の首都クラナガンに時空航空管理局の施設を置けるはずがねえ。なるほど、発足からして地上部隊と本局部隊は違うわけか、そりゃあ対立もするわな」
「ミッドチルダの良識派の政治家も何とか地上部隊を置けないものかと頑張ったらしけど、どう考えてもミッドチルダ軍に正面から喧嘩売ってるでしょ」
「そらそうだ。つーか、ミッドチルダに限らず、どこの国も大規模な基地を置くことに同意はしねえだろ」
「それで、各国家の治安維持はそれぞれの政府が行って、時空航空管理局はあくまで次元犯罪の取り締まりとロストロギアの捜索のみを行った。つまりは、ロストロギア専門の国際捜査機関といったところかしら」※8
「この体制はしばらくは上手くいった。ミッドチルダ連邦の拡張も抑えられて、各世界におけるロストロギアが原因の内戦も下火になりつつあった。現在の時空管理局の脳みそ評議員はこの時代の人間ね」
「えーと、今から120年くらい前の人物ってことか」
「ええ、時空航空管理局も発足理由が理由だから様々な問題を抱えてて、それを一つ一つ改革しながら進んで、組織として完成を見たのは110年くらい前のことになる。彼ら三人はその頃ちょうど若手のエースとして活躍していた三人組で、ちょうど、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての三人と同じね」
「あの脳みそ連中が、なのは達の慣れの果てかあ」
「想像したくないけど、当時の彼らをエースと慕っていた人達にとってはショック極まりないでしょうね」
「でも、その体制に限界が来たと、原因はやっぱミッドチルダか」
「ええ、巨大になり過ぎたミッドチルダ連邦は様々な歪みを抱え、社会に退廃の影が見られるようになった。産業分野でも徐々に他の国家に追いつかれるようになって、人材面でも同様に、何より、ミッドチルダ出身の有望な若者の多くが、ミッドチルダ軍ではなく、時空航空管理局に入局するようになってしまった」
「あー、なるほど、“次元世界を駆け巡り、ロストロギア災害と戦う専門機関”。若者にとっては憧れの的になるよな。しかも、多国籍な組織だからミッドチルダ出身でも問題ない」
「そればかりか、時空航空管理局の人員の多くはミッドチルダ出身者で占められるようになる。これが、地上本部の前身にもなるのだけれど、時空航空管理局に入局した若者はこれまでのミッドチルダ本位の価値観だけでなく、より次元世界的な価値観を身につけるようになる。つまり、出世して活躍すればするほど、自分の祖国に対して疑問を持っていった」
「なるほど、時空航空管理局は右肩上がりで、逆にミッドチルダ政府は右肩下がりになっていったと。入局を禁止したら自分達の現状を全世界に公表するようなもんだし、辺境の世界からすら舐められる。かといって、このままじゃあ古代ベルカと同じ運命を辿るだけ」
「そして、内政に行き詰まった政府が最後にとる道をミッドチルダ連邦は選択した。古代ベルカは潔く滅ぶ道を選んだけれど、ミッドチルダは最後の悪あがきに出た」
「つまり、外征によって解決すると。絶対に良い結果になるわけがない道だな」
「そして、後は次元世界全域に広がる戦争が待っていた。最強の軍事力と質量兵器を保有するミッドチルダに対抗するため、聖王教会の信仰を軸にベルカ王国を中心に連合軍が組まれた。ここに、ミッドチルダ連邦とベルカ連合軍の全面戦争が開始されることとなった」
「だけど、ベルカに勝ち目はないだろ?」
「その筈だったんだけど、ミッドチルダ連邦にとっては予期せぬ出来事が起こった。彼らが時空航空管理局へミッドチルダの若者を送り続けたのは、組織を内側から乗っ取るためでもあった。既に時空航空管理局の幹部クラスの大半はミッドチルダ出身者で占められ、連邦政府の意のままに操れる――――はずだった」
「つまり、彼らは逆にベルカ連合軍についたと」
「最大の失敗は、彼らが裏切るはずはないと思いこんで、人質作戦をとらなかったことね。時空航空管理局は次元交通を司る。戦争が始まりそうな雰囲気になった際に、自分達の家族を安全な世界に避難させることくらいは彼らにとって朝飯前。それに、他の世界出身者と結婚してる人達はその世界に本居を移してもいた」
「彼らはもうミッドチルダのために戦うんじゃなくて、次元世界のために戦う存在になっていたわけか」
「その中核となったのが例の脳みそ三人組ね、当時は今から85年くらい前だから、ちょうど55歳くらい。組織の中核に相応しい年齢になっていた」
「その果てが脳みそかあ」
「歴史は無情よね。それで、戦争は激化の一途を辿って、時空航空管理局でもかの“闇の書事件”でも使用された“アルカンシェル”が実戦に投入され、ベルカにおいても古代ベルカで使用されていた質量兵器を復活させて、ミッドチルダではより大量に殺せる兵器の開発が凄まじい速度で進められた」
「殲滅戦争の様相を呈してきたな」
「当時の次元世界は1000を超える世界が確認されていたけど、戦場になった世界だけで100を軽く超えるとか。質量兵器によって惑星ごと破壊されるなんてことはざらで、屍だけが無限に連なっていった」
「戦争の狂気ってやつか。そんなんでもなきゃ質量兵器が禁止されたりするわけねえか」
「作りやすさ、整備しやすさ、そして何よりコスト。安全性以外のあらゆる面で質量兵器は魔法兵器を上回っていた。けど、だからこそ大量に人を殺すのに向いている。戦争はその事実を完全に証明してしまった」
「そんな中でよく魔導師中心の時空航空管理局は戦えたな」
「いえ、彼らがいたからこそ、ベルカ連合軍は互角に戦えた。同じ条件で戦ったのなら、資源と兵器の数が多い方が勝つのは自明の理だけど、時空航空管理局が展開した魔導師によるゲリラ戦法はミッドチルダ軍の最大の悩みの種となった」※9
「ゲリラ戦法か――――確かに、個人で飛び回れて、小回りのきく主砲みたいな存在がいるからな。正面から戦えば負けるけど、裏から忍び込めば」
「想像してみて、後方の補給艦に高町なのはが現れて、ビームで的確に動力炉を破壊する様子。もしくはフェイト・T・ハラオウンが艦内に侵入して、司令部制圧して味方目がけて砲撃を叩き込む様子を」
「最悪だな、戦艦と正面からは戦えないけど、それに乗ってるのは人間だ。銃を持った人間じゃあ人間戦車には勝てねえな」
「しかも小隊単位で動くから捕捉しにくい。空間を飛び越えるようなレアスキル持ちもいるし、ロストロギアとの長年の戦いであらゆる魔法戦に対応した時空航空管理局の局員たちは戦術の幅が豊富。逆にミッドチルダ軍は正面決戦には強いけど、柔軟性のなさが浮き彫りになった。これは司令官の質も影響していたようだけど」
「国柄だな、ミッドチルダ式の考えしか出来ない軍隊と、多国籍組織であるが故に柔軟な発想が出来る組織」
「でも、それも一歩間違えれば寄せ集め部隊になってしまう。それらをまとめ上げて、効率よく配置する指揮官が揃っていてこそ、初めて有効な戦力足り得る。無能な指揮官でもそこそこ戦果を上げられる組織を優れた組織と定義するなら、ミッドチルダ軍の方が勝ってはいた」
「しかし、人材の質に差があれば、その優位性は逆転すると。その中心が脳みそ三人衆か」
「あまり想像したくないけど、その当時は50代の壮年の指揮官だったわけだから。ともかく、当初は圧倒的にミッドチルダ優位と思われていた戦争は、時空航空管理局の思わぬ奮戦によって泥沼化した。これがいいことなのか悪いことなのか」
「うーん、頑張った結果が泥沼か。かといって、負けてたらミッドチルダの暴走がどこまでも続く。どうしようもねえな」※10
「で、屍だけがどんどん積み重なって、滅ぶ世界もどんどん多くなった。ここで、魔法の言葉が登場する。すなわち、“戦争を終わらせるためだ”」
「地獄を作り出す魔法の言葉だな。つまり、やっちゃったと」
「ええ、戦争状態にあってすら禁じられていたロストロギアによる超兵器。“闇の書”の災害すらも上回る次元震を引き起こす時空破壊兵器が解放されてしまった。ミッドチルダ、ベルカの双方がほぼ同時期に」
「当時、ベルカとミッドチルダはどれくらいのロストロギアを保有していたんだ?」
「まあ、世界中に散らばるロストロギアの三割と五割ってとこかしら。ミッドチルダが三でベルカが五、時空航空管理局が回収したロストロギアが原則として聖王教会に引き渡されていたから、ベルカの保有数はミッドチルダよりも多かった。そして、特殊性が高すぎる一割は時空航空管理局の本局に、残りは未だに不明。とはいえ、これも推測値に過ぎなくて、実数は分かっていないのだけれど」 ※11
「でも、戦争中にロストロギアは使われなかったのか?」
「使われはしたけど、それらは条約に引っ掛かりにくい補助的なものがほとんどで、敵を殺し尽すような凶悪兵器はまだ使われていなかった。というより、敵を殺すだけなら既にミッドチルダの質量兵器はロストロギアの域に達していたわけ」
「なるほど、残ったのは、世界そのものを根底から捻じ曲げるような法則外のロストロギアってことか」
「つまりは、科学文明よりも魔法文明よりの超兵器ということね。汎用性は質量兵器が上だけど、異常性にかけてはロストロギアが上回る」
「そいつらを、“戦争を終わらせるためだ”の魔法の言葉が解き放ったと」
「後の結末は分かりきったこと、一千を数えた世界は半数以上が消滅し、ベルカ領は完全消滅。ミッドチルダも首都クラナガン以外は全滅して、その他の国家も消滅したか、時空震の余波を喰らって壊滅状態。つまり、次元世界は文字通り灰燼に帰したというわけね」
「となると、後に残されたのは」
「ロストロギア災害にどの機関よりも長く携わってきたが故に、唯一次元震への事前の対処が可能で、かつ、世界じゃなくてそれらをまとめる次元空間のみに拠点を持っていた時空航空管理局だけが残された。この段階で、次元航空能力を持っていて、組織としての体裁が残っているのは時空航空管理局しかなかったわけ」
「なるほど、それで」
「時空航空管理局は、時空管理局と名前を変えて、航空以外のあらゆる分野で次元世界を管理する組織に変わらざるを得なくなった。激減した人材と、戦争の爪痕を抱えたままで」
「新手の拷問か?」
「でも、やるしかないのよ。彼らにとって最後に守るべき故郷クラナガンは残ってしまった。だったら、嘆いている時間すらない」
「苦しい戦いの始まりだあ」
時空管理局 歴史妄想 ~休みがない、やってられない、やるしかない~
「まあ、ここまでの経緯を簡単に言えば、ロストロギアを用いた大戦争があって、ミッドチルダ連邦とベルカ連合軍は領土ごと消滅。次元航空を司っていた時空航空管理局だけが、かろうじて消滅を免れたミッドチルダ首都クラナガンを有する惑星と共に残されたって感じね」
「夢も希望もありゃしねえな」
「それでも確認されている世界の中でも300近い数の世界は未だに残っていた。特に、戦争地域とは関係なかった方面は平穏無事、なのはさんの故郷も一切影響なかったとか」
「でもよお、どこもかしこも戦争の傷跡を抱えてる上に、次元航路は寸断されて連絡もままならない。その上、ロストロギア災害の余波まで喰らったわけだろ」
「ついでに言えば、ミッドチルダとベルカが保有していたロストロギアは再び次元世界の各地に飛び散ってしまった。一度使用されれば今度こそ次元世界に止めをさせそうな凶悪な代物が、その中に“闇の書”もあったみたいだけど」
「ああ、駄目だこりゃ、次元世界終わったね」
「諦めてしまえればどんなに楽だったか知れないけど、クラナガンには戦災孤児がたくさんいた。彼らを道連れにして終末思想に走ることは時空航空管理局には許されなかったみたいね」
「子供の将来を人質にとられた虜囚ってとこだな」
「さあ、ここからが苦難の始まり、まずは、唯一次元航空能力を持っている彼らは、大消滅で捻れた時空を可能な限り修復して、“挟間”に取り残されているであろう人々を救助しなければならなかった」
「結構な数がまだ生き残ってたんだな」
「中には大陸単位で次元の挟間を漂っていたケースもあったそうだから、そういった人々はクラナガンがある次元、もう一つだけになってしまったから、惑星ミッドチルダに移住することとなった。北部にあるベルカ自治領はその移民達の暮らす場所よ」
「なるほどねえ」
「それに、聖王教会が“大消滅”で滅びなかったことは人々にとって一つの希望にはなったみたいね。神はまだ我々を見捨てていない、復興するのはこれからだという気概を引き出すのに一役買ってくれた。だからこそ、現状における最大宗教となっている」
「宗教ってのは本来そうあるべきなんだろうな」
「で、元々幾つもの世界によって成り立っていたミッドチルダは惑星一つだけになってしまってはその機能が働かない。他の世界と連結し、その中心となって初めて機能する惑星機構になっていたから。そこで、地上本部をクラナガンに置いて、次元世界を管理する時空管理局の行政的な本拠と定めた、これが新暦元年のこと」
「延命措置というか、応急処置というかだな。よくまあその状態でやってたもんだ」
「当時の評議会を構成していた三人は、冗談抜きで100日間寝ないで働いていたそうよ」
「待て、それ死ぬから」
「だから、身体を機械に取り換えたの。まあイメージにするとこんな感じで」
『なあ、今日はいつだっけ?』
『さあ、そんなことは忘れた』
『最後に人と直接会ったのは――――』
『人? それはスクリーンの中にいるのではなかったか?』
『違う違う、向こう岸に行くな』
『休暇に、給料、我々とは無縁となって久しい言葉だ』
『ああ、懐かしい響きだ』
『すまん、頭痛がまた酷くなってきた』
『薬品による強化もそろそろ限界か』
『かといって、仕事は終わらんぞ。大消滅の被害者の救出の目処はたったが、次は地上本部の設立と各世界との航路の修繕にとりかからねばならん』
『それだけではない、並行してロストロギアの再収集も進めねば』
『もし一つでも光爆すれば、今度こそ全てが滅ぶかもしれん』
『それだけは何としても食い止めねば』
『しかし、そのために人々を犠牲にするのでは本末転倒だ。ことは同時に進める必要がある』
『だが、人手は足りん。大消滅で絶対数が減ったのだ、にも関わらずロストロギアの数は大規模な変化はない』
『よもや、ただの二つであれほどの破壊が引き起こされるとは、甘く見過ぎていたな』
『消滅を免れた世界にも支援の手を伸ばす必要がある。見捨てていては終末思想にとりつかれ、全てを道連れにロストロギアを起動させるやもしれん』
『……一つでも狂った国家が誕生すればそれまでということか』
『だが、可能性の話でもある。ロストロギアは各地に散らばり、未だに全容すら分かっていない』
『だからこそ、どこぞの世界の犯罪者に渡った危険すら考え得る』
『ロストロギアの中には魔導師を求めて自分から活動するものも多い、一つのロストロギアを得た者がそれの力によってさらなるロストロギアを―――という可能性は大いにある』
『やはり、国家間の関係修繕は急務か』
『だが、果たして国家と呼べるものがどれだけ残っていることか』
『それすらも現状では把握し切れていない、調査を進めよう』
『ああ、つまり――――』
『休みはない、少なくとも10年は軽く』
『………』
『………』
『………』
長く大いなる沈黙
『ロストロギアの起動スイッチは………』
『待て! お前が混乱してどうする!』
『すまん、錯乱した』
『しかし、10年間休まずに働くのが不可能であるのもまた厳然たる事実か』
『むう、ならばいっそ、肉体を機械に変えてはどうダ?』
『それイイな、どうせ休暇などないわけだし』
『既に100日以上ここにいる。ならば、機械だろうが人間の肉体だろうが変わらんよ』
『ああ、休みが欲しかった……』
『過去形か』
『あの時、ロストロギアが光爆した瞬間、我々から“休暇”と“給料”という概念は消え去った』
『ならば、ここにいるのは唯の残骸』
『然り、ならば機械だろうと変わらんよ』
『そーしよー、そーしよー』
『ええじゃないか、ええじゃないか』
『ええじゃないか、ええじゃないか』
「って感じね」
「まさか………あの脳みそがワーカーホリックのなれの果てとは」
「過労死対策を究極まで極めると機械化になって、その果てに脳みそだけ残ったらしいけど」
「なんて悲しい理由だ――――――しかし、本当になのは達の未来な可能性もあるのか」
「あの人達も働きすぎるから」
「ホント、よく時空管理局でやっていけたな」
「まあ、弊害は数え切れないほどあったそうだけど」
「どんな?」
「えーと、まずは、クラナガンの行政能力の向上。現在でも大量の都市区画が廃棄されて、クラス取得試験として利用されてるのは知ってるでしょ」
「ああ、あれは兵どもが夢の跡だったのか」※12
「難民も多かったから、地上部隊はそれらの治安維持にてんてこ舞い。闇市もいくらでもあったらしいし、皆生きるのに必死で、当時は現在とは比較にならない状況だったとか」
「さて、何人死んだ(過労死)ことか」
「でも、本局はそれ以上に大変で、次元航路の修繕と、各世界に散らばったロストロギアの回収及び封印、さらにそれらの世界の治安維持の手伝いに、次元航路の治安維持も同時並行。ミッドチルダとベルカがあった頃の範囲を時空管理局だけで」
「正気か?」 ※13
「“休みがない、やってられない、やるしかない”の3Yが当時の時空管理局のスローガンだったそうよ」
「悲壮感が漂ってるな」
「そんな体制が元年あたりから15年くらい続いたんだけど―――もちろん、毎年毎年状況の変化によって体制は変わっていたんだけど、重大な変革期がその頃に起こったわけ」
「よく15年続いたな、普通だったら三ヶ月で死んでる」
「根性の塊だったのもあるだろうけど、弱音を吐いても待っているのは世界崩壊という厳し過ぎる現実だけがあったらしいから」
「そこで終末思想に行きつく奴が何人いたことか」
「当時の管理局員の三大死因は“過労死”、“自殺”、“ロストロギア災害”だったそうよ」
「上二つが大問題だ」
「唯一の光明は、ロストロギアはどれほど厄介でも数に上限があるということ。回収が進むということは終わりに近づいているということでもある。治安維持と違って終わりがある作業ということが、微かな希望となったみたい」
「だけど、過労死と自殺は増加傾向と」
「ええ、でも、過労死はともかく自殺は急速に減っていった」
「なんで?」
「自殺した者達の代わりに、10歳に満たない子供達が管理局員として働くことになったから」
「末期だな、いや、組織として始まってもいないのか」
「そっちの認識が正しい。ミッドチルダは古代ベルカみたいに緩やかに滅んだのではなく急に消滅してしまったから、何もかもが壊れたまま。本来なら政府がやるべき作業を時空警察に過ぎなかった時空航空管理局が時空管理局として引き継ぐことになってしまって、その基礎すらまだ定まっていない。管理局法は発布はおろか原案が出来てもいない」
「呑気に法律作りに携われる人材がいなかった。そんな暇があればまずは現場で人助けってことか」
「当然、取り決めはあったけど、それは“法”として国家が定めたものじゃない上、そもそも時空管理局は政府じゃないから他の世界の自治政府とどのようなスタンスで付き合えばいいかも不透明。“相手の法を無視する”どころか、“自分達の法すらない”状況。なのに、ロストロギアへの対処能力や次元航空能力を持っているのは時空管理局のみ」
「究極的な捻れだな」
「だから、時空管理局はまだ始まってもいない組織。時空航空管理局として存在した頃からの役割と、大消滅で被害を受けた人達の災害救助を行っているだけで、時空管理局とはそも“何を行うための組織”かすら定まっていない」
「赤ん坊ですらなく、胎児ってとこか」
「その胎児からようやく赤ん坊になれたのが新暦15年頃ね、過労死と自殺とロストロギア災害でいよいよ深刻になった魔導師不足。これに対処するためには時空管理局の目指すべき方針を固めて、進むべき道を定める必要があった。戦争前に蓄積されていた優秀な人材はこの15年で吐き出してしまって、次代の育成も考えながら物事を進めねばならない。ただ突っ走るだけでは限界が来たわけ」
「火事場の馬鹿力すら使い尽したと」
「まさに、絶対絶命の危機ということよ」
時空管理局 歴史妄想 ~やかましい! 文句言う前に代案を出せ!~
「新暦の15年あたりはまさしく暗黒時代、時空管理局にとって最も辛く厳しい時代だったのは疑いないわ」
「その前は自己認識すら出来てなかったから、そんなことを考える余裕すらなかったわけだもんな」
「船が嵐にあって、次々に襲い来る問題に対処してる時の方がある意味では気が楽よ。束の間とはいえ、危機を乗り切った時は達成感や勝利感を得られる」
「まあ確かに」
「けど、どんなに努力してもどうしようもなくて、沈没の運命しかないということを突きつけられたら?」
「ああ、それが分かっちまったのが15年なわけか」
「これまでも漠然とした不安に怯えながら突っ走ってきたけど、ついに自分達を誤魔化すのにも限界がきて、これからの未来を考えなければいけない段階に差し掛かった」
「見たくないなあ」
「まずは究極の二択、人材不足の最大の要因は時空管理局が魔導師に頼った構成であること、限定的ながら質量兵器を復活させて魔法の素養がない者も戦力をなるようにするか、それともこのままで行くか」
「諸刃の刃だなあ、管理局員が質量兵器で武装すりゃ、必然犯罪者も武装しやすくなる。とはいえ、このままでは魔導師ばっかりに負担がかかる。それもそれで問題と」
「そう、過労死や自殺が魔導師に多いということも統計データから分かってしまって社会問題になってしまった。時空管理局自体が魔導師によるシステムだから仕方ないといえば仕方ないんだけど」
「家族はそうはいかによなあ、夫が過労死した日には子供を時空管理局に入れるわけにはいかなくなる。けど、時空管理局が機能不全を起こせば、次元世界はいよいよ終わり。少なくともミッドチルダは確実と」
「戦闘機人計画もこの頃から骨子はあったそうだけど、純粋な技術的な問題から不可能。ジェイル・スカリエッティが登場するまではまだまだ時間がかかる。ならば、次世代の魔導師を何とか確保するしかない」
「それが、管理内世界からリンカーコアを持つ子供達を半ば強制的に集める方式か?」
「そこにもジレンマがある。そんなことをすれば現地の政府との折り合いが悪くなることは必至だし、そうなればロストロギア対策にも支障が生じる。そして何より、万が一戦争にでもなったら今度こそ次元世界が滅んでしまう。だからこそ、時空管理局は軍隊に非ず、あくまで治安維持組織であり続ける」
「皮肉なもんだな、国家になることすら出来なかったことが、この局面では逆に役に立ったと」
「だけど、破綻は見えている。そこで、伝説の三提督が提案して、評議会が決定したのが、世界を管理外世界と管理内世界に分けること。そして、管理外世界では原則魔法の使用を禁止」
「あー、つまり、“自分達が管理している世界”じゃなくて、“自分達の手が届くぎりぎり範囲”が管理内世界なんだ」
「そう、その基準はロストロギアの危険度によって定められた。あの戦争によってロストロギアが次元世界中にばら撒かれてしまったけど、やはり、主戦場に近い地域ほどその可能性は高く、戦争に巻き込まれなかった地域はロストロギアが在る可能性は低い」
「なるほど、管理外世界ってのは“自分達の干渉を必要としない独立した世界”、もしくは“かつて自分達の犯した災害が及んでいない地域”なわけか」
「と同時に、万が一ロストロギアの光爆があっても、ミッドチルダに影響が出ないであろう範囲もそれに含まれる。非情なようだけど、全部を救おうとして全部滅ぶよりは、自分達の子供の未来を救おうと思うのは当然といえば当然」※14
「まあ、時空管理局は政府じゃないから次元世界の秩序と平和のために活動しなくてはならないのだけれど、その点から考えてもやはりそれが限界のラインだったわけ」
「ま、どんなに崇高な理想を掲げても現実には勝てんか。遠く離れた世界を救う前に、過労死と自殺を止めなきゃなあ」
「そして同時に、就業年齢の引き下げも行われた。これには反対意見も多かったけど――――」
『やかましい! 現実を見ろ! 法で15歳以下の就業が禁止されていても、リンカーコアを持つ子供達は働かされている! 人手が圧倒的に足りてないんだ、子供達を働かせざるを得ない! だったら、法で保護して最低限の就業規則を守らせることに全力を傾けろ! 現実から目を逸らす暇があれば子供達の未来のための法律を作れ!』
「と、一蹴されましたと」
「現実はいつも苛酷だなあ。しかし、それが通ったということは、同時に“質量兵器禁止”の管理局法も出来たんだな」
「ええ、質量兵器があれば子供達を働かせる必要はなくなる。けど、今度は子供達に兵器を持たせれば戦力になるようになってしまい、犯罪組織には見境がなくなる。魔導師不足によって時空管理局が簡単に戦力の増強が出来ない事実は、同時に犯罪組織も同じ枷を負っていることになる」
「犯罪組織じゃあ、リンカーコアがあるかどうかの検査装置を整えるのは難しい、精密機械だからメンテナンスもいるしメカニックも必要。その上、子供達を連れてくる手間も馬鹿にならないってか」
「ええ、その点では公的機関は圧倒的に強い。健康診断の延長線上で行うことも出来るし、リンカーコアの情報は時空管理局にとってまさに死活問題だからその管理はまさに鉄壁。けど、質量兵器となるとその関係が裏返ってしまう」
「なるほど、公的機関が子供に銃を持たせるわけにはいかねえが、犯罪組織ならお構いなしだ。誰でも使えるってことは誰でも教えられる。引き金引けば殺せるんなら、数さえ揃えればそれなりに使える。結局、子供の死ぬ数は増す一方ってか」
「新暦の60年代以降ならまだしも、当時では質量兵器の導入はマイナス要素が圧倒的に大きかった。何より、人々の心の中に質量兵器を忌避する感情が深く根付いていたことが最大の要因」
「それでいっそ開き直って。子供も正式な戦力として時空管理局に入局させることにしたわけか。なるほど、曖昧にしてぼかすよりはよっぽど効率的だ」
「魔法兵器を選ぶか、質量兵器を選ぶか、慎重に会議を重ねて結論を出す―――――暇すらなく、彼らは仕事に追われてたわけだから、冗談抜きで胃の壁を削りながら出した改革案なわけね」
「………その頃、トップ三人は?」
「いよいよ生命維持装置から脳みそにクラスチェンジ。機械のメンテナンス時間すら惜しくなったみたい」
「すげーよあんたら、尊敬するよ」
「だけどまあ、ミッドチルダはともかく、周辺の管理内世界では反発もあったわけ。管理内世界の番号はロストロギア災害の危険度基準に定められた。番号が多いほど危険が少なくて、時空管理局との交流も少ないってことになるわね」
「そいつらにとっちゃ、向こうの勝手でリンカーコアを持つ子供達が連れてかれるように感じるわな」
「そう、それで、時空管理局のやり方を非難する抗議文があったんだけど………」
『時空管理局は横暴だ! 我々の法を無視し、勝手に裁き、あまつさえ子供達を連れさるなど言語道断だ! その上、子供達にまで働かせるなど、人としての倫理はないのか!』
『やかましいわ! こちとらそんな余裕はねえんだよ! 俺達だって好きこんで120時間連続勤務をやってんじゃねえ! だがな! 倒れるわけにもいかねえんだ! 俺達が倒れたら子供達が240時間連続勤務になるんだこらあ! 文句言うなら代案を出せ! あれもダメこれもダメで世界がまわりゃあ時空管理局はいらねえんだよ! 休みよこせ! 故郷に返せ! やってられるか! でもやるしかねえんだよコンチクショー! テメーやれっか!? やれねえだろ! だったらぐだぐだ言うんじゃネエよ、バーカバーカバーカ』(資料によると、45歳 2児の父の発言)
「本局からは苛酷な勤務命令を下され続け、ロストロギア災害で同輩を失い、過労死寸前まで追い込まれてたところに今度は現場の世界の自治政府からさえ文句を言われた管理局員達がついにキレたとか」
「そりゃキレるわな」
「その余りの剣幕というか、魂の叫びに押し返されて、自治政府の外務担当は引っ込みましたとさ」
「勝てるわけねえな。連れてかれる子供達はまだしも、文句を言う政府の高官はたらふく食って有給休暇を消費してるわけだからな。その仕事がどんなにきつかったとしても時空管理局以上はないな」
「でもまあ、中には強硬派な世界もあって、要は自分達の世界を上手くまとめられない部分を時空管理局という外の組織に押し付けることで国民の不満を逸らそうとした政府も結構あって」
「きたねえが、それもまた有効な手段ではあるか」
「それで……」
『我々は時空管理局の横暴をこれ以上看過することは出来ない。今後は貴国との関係を絶ち、時空管理局の我が世界への侵入を一切禁止する』
「と宣言した世界がいくつかあったんだけど………」
『グッジョブ、待ってました、後任せた』
「時空管理局は二つ返事で了承したと」
「まあ、そうだろうな、元々時空管理局の能力でそれだけの世界の支援を行うことが無理だったわけだし」
「そうなのよね、確かに各世界からリンカーコアを持つ子供達を集めたけど、それ以上の数をミッドチルダから本局航空部隊としてロストロギア探索に派遣していたから、削れていってたのはむしろ管理局の方で」
「つってもそれも、ロストロギアが光爆したら自分達も巻き込まれるって理由からだろ」
「だけど、それだけを基準に考えるなら、せいぜい管理内世界は100程度でよかった。この頃の200というのはミッドチルダの安全だけを考えれば明らかに多い。まあ、元はミッドチルダとベルカの戦争が原因なんだから、その後始末をする義務が時空管理局にはあったんだけど」※15
「つまり、戦争への反省から、身を切りながらも遠くの世界までロストロギア探索部隊を回していたけど、それじゃあ管理局が消滅するから最低限の人員確保のために次代を担う子供達の中でリンカーコアを持つ者達を登用してた。それに不満を爆発させた政府が管理局と対立、管理局は感謝の言葉と共に手を引いたと」
「まさに“待ってました”の一言ね。そもそも治安維持は各国の政府が行っていて、時空管理局はロストロギア災害対策のために駆けまわっていたようなものだから、別に時空管理局がいなくても各世界がやっていけないわけではない。ちょうど、管理外世界のように」
「まあ、それでいいんじゃないか。どうせ今度は別の問題が管理局内部で噴出してるんだろうし」
「正解。新歴も35年頃になると第一世代から第二世代への切り替えが始まる。15年の法で入局した子供達が一人前に活躍する段階、リンディ・ハラオウン提督やレジアス・ゲイズ中将らはもう少しだけ先だけど、彼らも10歳近くになっていたからそろそろ入局していたはず」
「相変わらず人材不足だな。でもまあ、存命してるだけましか」
「そうね、三提督の世代はこの時点で半数まではいかなくてもかなりの数が亡くなってるし、長年の無茶がたたって身体を壊す人が続出して、まあ、なのはさんみたいな例が日常茶飯事だったわけで」
「そう考えると、今は随分よくなったなあ」
「海のクライド・ハラオウン提督や、グレアム提督、陸のレジアス中将の必死の奮戦の賜物ね。相変わらず本局は“休みがない、やってられない、やるしかない”の状況だったけど、地上部隊は“安い(給料)、休みがない、やってられない”になりつつあったとか」
「………やるしかない状況から脱却したことを喜ぶべきか、待遇が悪くなったことを嘆くべきか」
「ちなみに、それまでの本局は………」
『おーい、俺、給料上がったぜ!』
『俺もだ! 一気に倍だぜ!』
『まったくありがてえはなしだ! 設備と食堂が完備された巡洋艦でどこで使えばいいんだろうな!』
『最後の休暇、いつだったっけ!』
『8年前くらいじゃねえか!』
『休暇ってなんだ? 俺初めて聞いたよその単語』
『ああ、そういやそんなもんもあったな』
『そうだ皆、焚火しようぜ、ここに無意味な紙屑がいくらでもあらあ!』
『おう、最高じゃねえか! 誰かー ビールもついでに頼む!』
『ついでにロストロギアの起動スイッチもよろしく!』
『了解! もういいよな俺達!』
『ああ! 頑張ったよ俺達は!』
『さらば地獄! ようこそ天国!』
『『『『『『『『『『『 あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!! 』』』』』』』』』』』
「という感じだったとか」
「なるほど、過労死が増えるわけだ」
「ちなみに地上は……」
『部隊長、来週の週末なんですけど』
『喜べお前ら、何と基本給が1.2倍になるそうだ』
『それは嬉しいですけど、来週の』
『それになんと、勤務外手当ては1.5倍なんだと、いやあ、最近は高待遇になったよなあ』
『それで、部隊長』
『さあ、今日も張り切って仕事に行くか』
「こんな感じです」
「大差ねえな。希望が全くないが故に諦められる本局か、微かな希望があるがために諦めきれない地上部隊か、果たしてどちらが地獄なのか」
「108部隊のゲンヤ・ナカジマ三佐などはこの時代を生きた強者ですね」
「信じられねえ」
「まあ、なまじ希望が見えつつあるがために、仕事地獄はより苛酷さをまして管理局員の精神を蝕んだということです」
「スバルやティアナの世代は本当に希望なんだな」
「ええ、私達にだけはこのような苦労をかけさせたくないと必死になってくれた方々のおかげです」
時空管理局 歴史妄想 ~そして、現代へ~
「長く苦しい戦いもようやく僅かの光明が見え始めた頃」
「まだ問題があったのか」
「時空管理局との繋がりを絶っていた世界の一つが滅びました。俗にいう“闇の書事件”の記念すべき第一回ですね」
「なるほどな」
「この事件は時空管理局が一切関与していないため詳細は不明。ただ、危険なロストロギアが光爆する可能性は未だに高いということを再認識させる結果となりました」
「光が見え始めたと思ったらそれか、つくづく呪われてるな」
「そして、時空管理局との繋がりを絶った世界はその事実を知らなかったわけであり」
「自分達の世界だけで良しとしたからな、伝わるわけがねえ」
「ですが、犯罪者は別で、勝手に入り込んできた不法入世界者によって原因はともかく、一つの世界が消滅したことはばらされました、消滅から二年後くらいに」
「やはり遅いな。時空管理局がなかったらそんなもんか」
「それが野火のように伝わっていき、大まかに分けて対応は二つ」
「予想は出来るな」
「一つは、自分達もロストロギアを収集し、それへの対応能力を身につけようとしたもの、大体四割くらいですね」
「つーと、残りの六割は?」
「時空管理局と再び国交を回復し、“元々はお前達が戦争でばら撒いたものだろうが”という論法でロストロギア対策を任せようというもの」
「恥を知らないのか」
「それが政府というものですから。ですが、時空管理局の中枢は政治的な駆け引きもあるのでともかくとして、巡洋艦で相変わらず休みなしで飛び回る現場の管理局員は………」
『ほーういい度胸だ、あれか、俺達は恥も倫理も知らねえ人攫いだから出て行けと言っておきながら、今度は元はと言えば俺達のせいなんだから早く助けに来い、そしてロストロギアを何とかしろと、へーえ、ほーお…………舐めんのも大概にしやがれ!!!!!!!!!!!』
「爆発しました。これ以上なく盛大に」
「だよな」
「そして、管理局で初のストライキを前提とした抗議文が中央に殺到し、もしあのふざけた連中のために120時間働けなんぞ言い出したら全員で辞めてやるとまで発展しました」
「管理局員だって人間だもんな、限度ってもんがあるよ。つーか、よくこれまでストライキがなかったな」
「第一世代の苛酷さは第二世代を上回っています。何しろ、伝説の三提督の方々の同年輩はあらかた無理がたたって50前に亡くなってますから。そして何より哀れな脳みそ。その彼らがやりぬいたというのに、自分達がストライキを起こすわけにはいかないという信念があったようです」
「………なのはの未来をそこに見た気がする」
「確かに、三提督のように伝説の人物となるか、もしくは過労死か、可能性はかなり狭まっていると見えます」
「しかし、政府の事情でこれ以上仕事を増やされるのだけは我慢ならなかったみたいで、これまでの“やるしかない”の要素はなく、“やってられるか”が極限まで膨れ上がったわけで、流石の管理局もストライキを起こされてはどうしようもないので、レジアス中将の改革で地上部隊にゆとりができ、ロストロギア回収がもう一段落進んで落ち着いた頃に、“管理内世界”にそれらの世界を戻そうということ決まりました」
「本音を言えば戻したくなかったんだろうな」
「そりゃあそうでしょう。ですが、時空管理局の大元はロストロギアを回収し、封印することを目的としているので、そこを外すと存在意義がなくなります。しかし、最終目標は時空管理局が役目を終え、ミッドチルダとベルカ自治領を一つとした新たな国家を築きあげることだと思いますが」
「未だに寄り合い所帯なんだもんな。地上部隊と本局の関係も悪いし、本局と聖王教会はともかく、地上部隊とは溝があるし」
「ですが、明るい兆しもあります。時空管理局に頼らず、自力でロストロギアの封印を試みた世界はその困難さを知って、時空管理局と“対等な”協力関係を結ぶことを提案。時空管理局もこれを受け入れました」
「なるほど、“対等な”関係か」
「現場の方でもロストロギアのことを知らず文句ばっかり言う奴らはともかく、自力でロストロギアを封印しようとする気概を持ち、そのために協力を求めてくる人達とは共に仕事が出来るといい感触で、ようやく時空管理局は“唯一”の次元航空技術とロストロギア封印技術を持つ組織という重責から解き放たれました。その時に協力した一族に、スクライアという家系があります」
「あ、無限書庫の司書長さんだ」
「ええ、未だに時空管理局は人材が不足しており、“ジュエルシード事件”のように管理外世界で起きたロストロギア災害はアースラ一隻を派遣するのが精一杯。ですが、管理外世界に本局の部隊を送り込めることになっただけでも大きな進歩です」
「よーやく、よーやくまともな組織っぽくなってきたな」
「ですが、就業人口分布には未だに問題があります。三提督クラスの年配の方は絶滅危惧種。レジアス中将やゼスト・グランガイツさんの世代ですら海・陸問わず多くの人員が殉職、もしくは過労死を遂げ、現在の主戦力は20代と10代という有り様」※16
「一見ズタぼろだが、これで100倍マシになってるんだから恐ろしいな」
「このまま私達が殉死せずに20年も過ぎれば、適切な就業年代になるはずです。それに、エリオ君やキャロちゃんみたいな小さい子供は出来る限り危険の少ない地方の警備隊なんかに回れるようになりましたから、なのはさんのように11歳で撃墜されるようなことは減るはずです」
「まさに、時空管理局はこれから始まるわけか、これだけ時間を懸けてようやく子供とはなあ」
「そして、子供から大人になるのは、ミッドチルダとベルカの統合国家に属する本当の意味での“時空管理局”になれる時。その時が時空管理局の終わりであり、同時に始まり何でしょう」
「この世代で出来るかなあ?」
「あの方達なら出来ると信じています。“エースオブエース”、“金色の閃光”、“夜天の主”、あの三人を中心とした我々が今度は時代を引っ張っていくので」
「その果てが、過労死対策の脳みそと」
「それだけは御免ですね。少なくとも、週休はとれるくらいにはならないと」
「では、ワーカーホリックのなれの果て、哀れなる脳みそに黙祷!」
「黙祷!」
終わり
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この下の※は別に気にしなくても読み進めれます。単に作者の感想が書いてるだけなので。
※1 アギトは質量兵器であるミサイルのことを知らないのではないかというツッコミはスルーでお願いします
※2 ゼノギアスの移民船の元となった文明を作者は想定しております。もしくはワイルドアームズ・セカンドでのロストテクノロジーあたりを、両作品を知らない方はゴメンナサイ)
※3 イメージは古代ローマ、昔は優れた行政システムがありましたが、やがては腐敗し、堕落しきった政治家の代わりに、清廉な司教、つまりはキリスト教の高位の者達が台頭したわけです。しかし、その後キリスト教も腐敗し、今度は堕落しきった神官の代わりに、清廉な王や騎士が治めるようになります。後はエンドレス
※4 地球では中国の漢などが例になるかと、なにしろその後の中国の規範となったわけですから
※5 秦の始皇帝が中国を統一した後、再び七王国体制に戻り、楚あたりが最大勢力となったが、それでも秦は王国の一つとなったものの残っている。という状況を想定すれば分かりやすいかと
※6 時空管理局最大の疑問。ロストロギアを扱う専門の部署が“時空管理局”ならまだわかるんですが、国家機構が“局”を名乗るのはどういうことなのだろうと、なので、ひょっとしたら時空管理局とは本来、アメリカ航空宇宙局のように、高度な技術と人員と予算を持った専門家集団によるある特定の役割を遂行する組織だったのではないかと妄想した次第です
※7 日本の自衛隊が一番近いと思います。装備だけは戦争が出来るくらいだけど、理念がそれとは真逆のところにあって、犯罪者が殺傷設定で撃って来ても、殺傷設定で撃ち返すの禁止という正気の沙汰とは思えない理念で動いています。でも、だからこそ存在に意義がありました
※8 ルパンを追うインターポールの銭形警部を想像してください。ルパンあるところに銭形あり、ロストロギアあるところに時空航空管理局ありです。ついでに、次元空間の治安維持も行っております、質量兵器なしで
※9 アメリカ軍は第二次世界大戦には勝ちましたが、ベトナム戦争で敗れました。その違いを想像してくだされば分かりやすいかと
※10 太平洋戦争が起こらず、日中戦争が永遠に続いた感じを想像してください。中国としては泥沼になっても戦い続けるしかなく、暴走している日本の軍部にはそもそも戦争を止めるという発想がない
※11 冷戦時代のアメリカとソ連が保有していた核兵器を一斉にぶっぱなしたと思ってください
※12 アギトがなぜ日本の俳句をしっているかについてはスルーの方向で
※13 日本の自衛隊だけで、世界中の空の便の安全を確保しながらアジア全域の治安維持を担い、同時に世界中に散らばる核地雷の撤去を並行して行うようなものです。日本の治安維持は本局を自衛隊とするなら、警視庁だけで行っている状況です、優秀な職員は次々に自衛隊に引き抜かれながら
※14 自国の経済を破綻させて人道支援を行う阿呆な国は存在しません。まずは自国の民の生活を守ることからです
※15 ドイツがEUにおいて他国への経済援助の中心となっていたのも同様な理由であるとされてきました。しかし、第二次世界大戦から60年以上が過ぎ、世代が代わるにつれ、“なぜ我々の金を他国のために使わねばならない”という風潮が強まっているとか。要はそういうことです
※16 リリカルなのは第三期を見て私はそう思いました。ゲンヤ・ナカジマさんくらいの働き盛りが驚くほど少ない。地上部隊でも本局でも、これが、子供達を働かせる最大の要因なのだろうと私は考えました