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No.21737の一覧
[0] 【ネタ】マテリアル似の娘(リリカルなのは)[rattu](2010/09/06 16:05)
[1] 星光似の娘[rattu](2010/09/06 16:07)
[2] 雷刃似の娘[rattu](2010/09/06 16:09)
[3] 統べる王似の娘[rattu](2010/09/06 16:10)
[4] 中書き[rattu](2010/09/07 16:37)
[5] マテ似三人娘と父親の苦労[rattu](2010/09/07 16:39)
[6] マテ似三人娘の無限書庫見学[rattu](2010/09/07 16:41)
[7] マテ似三人娘の弟予報[rattu](2010/09/08 15:57)
[8] マテ似外伝 彼女達の幸せの形[rattu](2010/09/08 15:58)
[9] マテ似外伝2 弟が可愛すぎてお姉ちゃんどうにかなっちゃうの[rattu](2010/09/08 16:00)
[10] マテ似三人娘の劇練習[rattu](2010/09/10 17:34)
[11] マテ似三人娘の夏の一時 前編[rattu](2010/09/10 17:35)
[12] マテ似三人娘の夏の一時 後編[rattu](2010/09/10 17:36)
[13] マテ似三人娘の拾い物[rattu](2010/09/12 17:12)
[14] マテ似三人娘の暴走[rattu](2010/10/01 16:48)
[15] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  前編[rattu](2010/11/02 19:10)
[16] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  後編[rattu](2010/11/03 16:18)
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[21737] マテ似三人娘の夏の一時 後編
Name: rattu◆50c335cc ID:c73723c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/10 17:36
「おい父さん、起きろ、もう朝だぞ」

心地よく寝ていると、何やら声が聞こえて体が揺れているのを感じる。何事かと目を覚ますと、目の前には自分の体を揺する五女の姿が有った。
どうやら起こしに来てくれたみたいである。だが時計を確認してみると予定の時間より少々早い。それに気付いたのか五女が聞かれる前に答える。

「あいつが随分早く起きてな…、それでついでに私達とシグナム達も起こして回ってるのだ。仕方ないし少々早いが私達も父さん達を起こそうと思ってな」

あいつとは恐らく四女の事で間違いない。楽しみで予定より速く目が覚めてしまったのだろう。本当に解りやすくて可愛い子である。
食事の準備は既にできていると言うので、今の内に着替えをしておく。着替えを終えリビングに行くと、既に皆食事を始めていた。

「お父さん!おはよう!」
「うん、おはよう」

元気いっぱいに挨拶をして来る四女を見て、やっぱり楽しみにしてたんだなと実感する。そんな四女の頭を撫ぜつつ自分の席に座り食事を始めるユーノ。
食事をしている時も早く行こうとウズウズしている四女をなだめつつ、向こうに着いたらどんな事をしようか話し合う。話していると四女だけではなく
三女も五女も落ち着かない感じが見える。やはりこの二人も楽しみにしている様だ。そんな三人を見ていると心が温かくなってくるのを感じる。
今日は皆思いっきり楽しもうと心に誓う。食事を終え、後片付けを済まし、いよいよ出発する。

「それじゃあ行ってくるね、なのは」
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。ちゃんとお父さんの言う事聞くのよ」
「はい、暴走しない様にちゃんと見張っておきます」

やっと出発だと知りはしゃいでいる四女を置いておき、なのはとザフィーラに家の留守番を任せる。ザフィーラがいる為あまり心配はしてないが、
念の為何かあったらすぐ連絡を入れる様にザフィーラにお願いし、ザフィーラもそれを聞き黙って俯く。そしてなのは達に見送られ出発する。
皆の姿が見えなくなるまで見届けて、家に入り一息ついたなのはがザフィーラに話しかける。

「ねえザフィーラ?誰も居なくて暇だし、軽めに済ますから魔法の練習しても…」
「駄目だ。ユーノにはもしなのはが何かしようとしたらすぐ連絡してくれと言われているのでな」
「やっぱりそうですよね…。あー、でも暇ー!」

家ではこれからなのはがこの暇な一日をどう過ごすかという戦いが始まる。  まあそんななのはの方は放っておくとして、ユーノ達は楽しく目的地に向かう。
バスの中でそわそわしている娘達をなだめ、ようやく待ちに待ったプールに到着する。

「着きました!」
「つーいーた!」
「さあ、早く行くぞ父さん!」

娘達のテンションも最高潮と言った所である。ちなみにこの日来たプールは、最近オープンしたばかりの大型の市民プールである。

「さ、ユーノ君。あの子達も待ってるんだから、早く行きましょ」

シャマルに促され早速中に入る事にする。お金を払い奥に進み、着替えが終わった後、出口の所で合流する事を伝え更衣室の手前で一旦別れる。

「それにしてもエリオは来ないと思ってたよ。キャロが行くって言ったから来たの?」

女性陣と別れ丁度いい機会なので、少し疑問に思った事をエリオに直接聞いてみる。休日は家で過ごす事が多いエリオなので、今日は参加しないと思っていたので、
参加すると聞いて少し意外に感じた。勿論人数が増えるのは嬉しいのだが、何となく気になってしまったので聞いてみる事にした。

「それも無くは無いんですか…、僕が行かなかったら男性はユーノさんだけになってしまいますから。家族とは言え女性ばかりだと少し周りの
目も気になりますし、ザフィーラは多分行かないと思ってたんで、だから僕も参加しようと思ったんです」

エリオの言葉を聞いて納得する。エリオも小さい頃から女性達に囲まれて育った所為か、そう言う所に敏感になっている。実際ユーノも
エリオが居てくれると大分気が楽になる。こう言う細かい所の気配りが出来る所が彼の良い所なのだろう。まあユーノも自分では気付いていないが
エリオに負けず劣らず気遣いが出来、エリオも逆にそれに助けて貰っている。

「えーと…うん、忘れ物は無いな。エリオはどうだい?」
「僕も大丈夫です。それじゃあ行きましょうか」

着替えも終え、女性陣が先に来る前に待ち合わせ場所に向かう。待たせたりすると少し五月蠅い子がいるので、時間を掛けずに少しでも早く向かうが、
どうやらまだ準備が出来ていないのか、周りを見てもまだ女性陣の姿が見えない。まあ向こうの方が人数も多い上に、女性は準備に時間がかかると言う物。
仕方が無いのでエリオと一緒に女性陣が出て来るのを待つ。思いのほか時間がかかるなと思っていると、すぐ声が聞こえて来る。

「二人共ごめんね。待たせちゃった」

声のする方向を見ると、ヴィヴィオを先頭に水着姿の女性陣の姿が見える。皆自分に合った可愛らしい水着を着こなし、非常に華やかである。

「皆準備遅いよ。僕はすぐ行けたのに」
「貴女は服の下に水着を着ていたからでしょう」
「まあ別にどうでもいいだろ。さっさと行くぞ」

全員揃ったのですぐさまプールの方へ向かう。歩いてる時に周りの人が男女問わずユーノ達の集団を振り返るが、男性陣は中性的な見た目のユーノと、
長身の正統派の美形のエリオ。女性陣もタイプの異なる美女と美少女の集まりとなると、目が行ってしまうのは仕方がない。そんな視線を気にせず進んでいき
プールに到着すると、自分たち以外にも非常に沢山の人達の姿があふれかえっていた。やはりこれだけ暑いと他の人も同じ事を考えるのかもしれない。

「よーし!それじゃあ泳いでく「お待ちなさい」グエ!?」
「泳ぐ前には準備体操をしましょうね。それに一人で行動するのは危険です」
「お前のそれが一番危険だと思うが…」
「ここしか掴める所が無かったんです」

走りだそうとした四女を、彼女の髪を掴んで止める三女。手荒い止め方を見て若干引いている五女を放っておき準備体操を始める三女。
微妙に首が傾きながらも、三女に続いて体操を始める四女を見て、そこまで泳ぎたいのかと突っ込みたくなってしまう。他の皆も三女に続き
準備体操を終わらせ、娘達は一目散にプールに向かって行く。持ってきた荷物はシャマルとアギトが見てくれると言うので、お言葉に甘えて
ヴィヴィオ達と一緒に娘達の後を追う。最初は普通のプールで軽く泳ぎ、その後は流れるプールでゆったりとプカプカ流されて過ごした。
しばらく遊んでいる内に疲れて来たので、一旦戻って休憩しようとするユーノ。子供達やシグナムに体力の無さをいじくられてつつシャマル達の元に戻る。

「あらユーノ君、どうしたの?」
「はは、少し疲れちゃいまして、丁度いいから交代しようと思いまして」
「体力無いな旦那。まあいいや、シャマ姉、行こう!」

アギトに引っ張られて行くシャマルを見送って、荷物の近くに腰を落とす。しばらくボーとしていると、娘達が此方の方に向かってくる。

「随分早いね。なにかあったの?」
「少し喉が渇いたので…、それでお金を取りに来たんです」
「そっか、じゃあこれで買ってきなよ」
「おー!父さんの奢りだ!」

ユーノが娘達にお金を渡す。四女と五女は得をしたと言った風に、三女は少し申し訳なさそうな表情をしているが、折角なので有難く貰っておく事にした。
ユーノと別れ三人で飲み物を買いに行った帰り、この後どうしようかと話し合っていると、五女が何処かを見て小さな声を出す。
他の二人が五女の視線の先を見てみると、遠くで少し解りにくいがシグナムとヴィヴィオ、そしてその二人に話しかけている男性の姿が見える。

「…か……緒…」
「ま…楽……」

何やら話している様だが、距離が離れている所為か良く聴こえない。それにヴィヴィオは困ったような表情をしているし、シグナムは不機嫌な顔している。
三人共なにがあったのか良く分かっていないが、とりあえずヴィヴィオ達の元に向かってみる事にした。

「どうしたんですか?ヴィヴィオ姉さん?シグナム?」

二人に話しかけると、ヴィヴィオも三人に気付き、助かったと言った表情を三人にむける。そしてすぐさま三人に近寄り相手の男性達に話しかける。

「と言う訳で、この妹達と他にも家族と一緒に来ているので一緒には遊べません」

その言葉を聞いて男性達はすごすごと立ち去って行く。それを見送ったヴィヴィオとシグナムが安心した表情をしていたので、あの男性達はなんなのかと聞いてみると、
どうやらナンパだったようだが、断っているのにしつこく言い寄って来てどうしようかと迷っていると、丁度妹達が来たので少し利用させてもらった言う事だ。
その後シグナム達と一緒にユーノの元に戻る娘達。そこには既にシャマル達とエリオ達が合流してお弁当を広げていた。

「お帰りなさい。お昼の準備は出来てるよ」
「良かった。丁度お腹が減っていた所なんだよね」

そう言いながらヴィヴィオがユーノ達の所に走って行き、娘達とシグナムも後に続き食事を始める。

「それにしても三人共戻って来るのが遅かったね。何かあったの?」

ふとユーノが思い出したの様に尋ねる。五女がヴィヴィオとシグナムの方を見ると、言わないで!といった表情でこちらを見返した。
ヴィヴィオ達がナンパにあったと解ると父が取り乱すと思い、適当に流してこの話を切り上げようと思う。

「いや、少し混んでただけで大した事は…」
「ヴィヴィオ姉ちゃん達がナンパされててそれで遅れた」
「へー、…ナンパ!?」
「このどアホが!」ガス!
「あ痛!?」

折角誤魔化そうとしたのに、それに気付いていなかった四女の所為で台無し。ヴィヴィオ達があちゃーといった顔で頭を抱える。
頭を殴られた四女は何故殴られてか理解していないらしく、今は三女に説明されている。

「ナンパって…え!?なにもされなかった!?ヴィヴィオ!」

予想以上に慌てる父を見て少し面白いが、ユーノはそれどころじゃない。

「大丈夫だよ、少し声をかけられただけだから。すぐに諦めたし行ったし、その時にこの子達と合流して戻って来たんだ」
「そっか…、それなら良かった…」
「あれ?確かしつこモガ!」
「貴女は少し黙ってて下さい。余計な火種を生むだけです」

ばれてしまっては仕方無いので、多少真実を隠しながらも何があったかを簡潔に伝え、ユーノもそれを聞いて安心する。その横でまたも何か
余計な事を言いそうな四女の口を押さえる三女。折角ヴィヴィオが穏便に事を済ませようとしているのに、これ以上余計に事を大きくしたくは無い。
そんな事をしていると、シグナムがユーノに対して小さく呟く。

「ふむ、心配なのはヴィヴィオだけか?私も一緒にナンパされたのだがな…」
「え!?あ、いや、心配してましたよ!?」

それを聞いてユーノがヴィヴィオの時とはまた違った意味で焦っている。ユーノは確かにヴィヴィオの事だけでシグナムの事を忘れていたが、
それを誤魔化そうと一生懸命説明しているがシグナムは聞いてくれない…様に見えるが、娘達が別の角度からシグナムを見ると顔が少し笑っているのが見え、
冗談でからかっているのが解ったが、ユーノが頑張っている姿が面白ので何も言わずに見守っている。そうしているとシャマルがボソっと呟く

「二人共モテモテね。…私が一人で待ってる時は誰も声をかけてこなかったのに…」

シャマルの呟きに暗くなる一同。正直何と声をかけて良いか解らない。シャマルも間違いなく美人なのだが…、醸し出す雰囲気が違うのだろうか?
主に若々しさの部分が。とりあえず何か言おうとしたら、横からキャロが喋りだす。

「シャマルさんはまだ良いですよ…。私なんか年相応に見られる事すら無いのに…、お酒すら身分証明出来る物無いと飲めないんですよ?」

キャロの言葉に涙が出てきそうになる。もう自分は成長しないと解り開き直っていたのだが、やはり心のどこかではまだ認めたくない所があるのだろう。
更に暗くなった雰囲気をどうしようかと思っていると、ユーノとヴィヴィオがが何とか場を明るくしようと声を出す。

「ま、まあ人には色々な特徴があるし仕方ないよ!」
「そ、そうだよねパパ!この子達だってナンパされた事無いしお酒も飲めないし!だから大丈夫だよシャマル!キャロ!」

何かかなり酷い事言ってるヴィヴィオ。子供と大人を同列に扱うのはどうかと思うが、だがそれでも効果はあったのか少し笑顔が戻るシャマルとキャロ。
少しこんな慰め方で良いのか疑問に思うが、一応二人共機嫌が戻ったので良しとする。だがそこでまた四女が新たな爆弾を落とす。

「確かにお酒も飲めないしナンパもされた事無いけど、男の子から告白された事はあるよ?僕達」
『えーっ!?』

四女の爆弾発言に娘達以外の人達が大声で驚く。特にユーノの驚き方は半端じゃない。今までそんな事聞いた事が無かったのでかなり混乱している。
だが他の人達(特に女性陣)は興味津々で細かい事を聞こうとする。幾つになっても女性は恋愛事には目が無いらしい。

「で、どんな子?カッコ良かった?OKした?」
「どんな子って言っても…、誰から言ったら良いかな?」
「告白してきた子その子だけじゃないの!?」

予想外の答えに更に驚く。まさか複数の子から告白されてるとは…、だとすると何人から告白されたかが気になって来る。ユーノが何か面白い
動きをしていてエリオがそれをなだめているが、それは気にせず何人から告白されたかを聞いてみる。

「えーと、僕は四人かな?二人は何人だっけ?」
「私は五人です」
「あー、四人だな確か。印象に残らん奴ばかりだったが」

何ともモテモテな娘達に感嘆の声をあげる女性陣。だがユーノとしてはそんな事よりその中でOKしたのかが最重要。父親としてこれは聞いておかなければならない。

「それで!?OKしたの!?」
「していませんよ。…(…そうだ!)今私達には共通の気になる男性がいますから」
「そっか…してないの…、ええ!?」

三女からOKしてないと聞き、安心した直後にまさかのお相手発言。しかも三人同じ相手と聞いて更に倍率ドン!娘も成長しているので、
恋位はしても当たり前だと言うのは頭では解っているのだが、父親としてはどうしても納得が出来ない。相手はどんな子なんだ?学校で知り合ったのか?
どこまで進んでるんだ?と色々な考えが浮かんでくる。そんなもう一杯一杯のユーノに対して、五女が最後の言葉をぶつける。

「あー、早く会いたいな。もうすぐだからな、『弟』は」
「そうか…、弟って言うの…?弟?」
「そうだよ。弟。もうすぐなのは母さんから産まれる」
「私達一言も何処かの男の子とは言ってませんよ?フフフ」

聞こえた単語が理解できず一瞬固まってしまう。そして冷静になって周りを見渡してみると、皆おなかを抱えるなどして笑うのを一生懸命堪えている。
途中で既にユーノ以外に念話でネタばれをしていた様で、三女の提案で皆ユーノの慌てた姿を見る為に黙っていたらしい。それを見て途端に力が抜けるユーノ。

「ごめんなさいねお父さん。少し悪乗りし過ぎたでしょうか?」
「いや、別に良いよ。でも本当に気になる男の子居ないの?」
「おらんよ。どうにも頼りなさそうな奴らで興味も持たん」
「そっか。(ホッ)じゃあ弟が産まれたら皆可愛がってあげようね」
「うん!抱っことか、お出かけとか、凄い楽しみ!」

本当に楽しそうにしている娘達の顔を見ると、さっきまでの事はどうでも良くなってくる。この笑顔を見てると、三人共凄く弟を可愛がってくれると思い、
ユーノも早く生まれないか更に楽しみになって来る。他の皆も同じ事を考えているのか優しそうな表情で娘達の方を見る。 だがこの時は誰も知らなかった。
数ヵ月後、弟を可愛がるために三人が争い、第一回の【誰が弟と一緒に過ごすか選手権】が開催し、それが数年に渡り続く事を…。
だがそれはもう少し未来の話。今は純粋に新しい家族の誕生を待ちわびる事にしよう。


「それにしても、さっきの父さん面白かったなー」
「あれはちょっとからかいすぎじゃ無かったかな?」
「まあそれが面白いんですがね」

昼食を終え、食後の休憩も済まし午後からまた泳ぎだした三人娘とヴィヴィオ、シグナム、アギトの六人。話題は先ほどのユーノの慌てよう。
皆予想以上の反応に今でも少し笑い、ヴィヴィオも少しやり過ぎだと言ってはいるが、顔を見てみると完全に笑っているのが解る。まあ皆がユーノをからかうのは
勿論愛があるのでからかうのであり、ユーノもそれを解っているのできつくは怒らない。そんな話をしていると、ふと四女がヴィヴィオの方を見ているのが
ヴィヴィオ本人が気付く。そしてシグナムとヴィヴィオを交互に見ているので、どうしたのか気になりヴィヴィオがどうしたのか四女に聞いてみる。

「ん?どうしたの?」
「あのさ、どうしてヴィヴィオ姉ちゃんとシグナムってさ?」
「うん。私とシグナムさんが何?」
「どうしてそんなにおっぱい大きいの?」
バシャーン!! 

大きな音を立ててヴィヴィオとシグナムが水の中に沈む。いきなり予想外の言葉を聞き力が抜けてしまう。とりあえず気を持ち直そうと立ち上がり、
いきなり何を言い出すのかと四女に問いかける。

「いきなりどうしたの?そんな事聞いて?」
「僕もおっぱい大きくなりたい!」

元気な声で答える四女の口を押さえる。少し恥ずかしい話題なので小声で話す。

「大きくなりたいって…、どうして?」
「だって男の人っておっぱい大きいのが好きなんでしょ?今日のプールでも姉ちゃん達のおっぱい見てる男の人多かったし」

四女がそう言った瞬間、ヴィヴィオ達の周りの男性達が視線をそらす。やはり彼らもヴィヴィオ達の胸に視線が言っていた様だ。だがそれも仕方がない。
ヴィヴィオやシグナムと言った美女が豊満な胸を持ってると、特殊な性癖を持ってない健康な男性は、自然と目が行ってしまうのは至極当然のこと。
ヴィヴィオもそれを聞いて少し恥ずかしくなって来るが、こう言う場所では仕方がないと開き直る。今は妹が何故胸が大きくなりたいのかを聞くのが先決。
さっきは好きな男の子はいないと言っていたのに、今は男の人はと言っている為、そこがどうしても気になってしまった。

「さっき気になる男の子は居ないって言ってたよね?なのにどうしたの?」
「弟って事は男の子でしょ?だったらおっぱい大きいほうが良いじゃん!僕の全然小さいし…」
「…そう言う事…」

理由を聞いて脱力するヴィヴィオ。確かに産まれて来るのは男の子ではあるが、赤ちゃんにそんな事を気にしてどうすんだと思ってしまう。

「あー、あまり気にしなくても良いと思うよ?男の子と言っても産まれたときは赤ん坊だし、その子が大きくなる頃には皆も大きくなってるよ」
「そうかな?でもおっぱい大きくなってるかな…?」
「えーと、ほら!ママ達は大きいでしょ?だから皆も大きくなるよ!」
「…そっか、そうだよね!大きくなるよね!」
「まあ、キャロ姉さんみたいにはよほどの事が無い限りはならんだろう」

五女の言葉がかなり酷く聴こえるが、とりあえず四女は納得してくれた様子なので良しとする。

「さて、私はそろそろシャマルと交代してくる。行くぞ、アギト」
「あ、まって、シグナムさん。私も一旦戻るから一緒に行く。それじゃ三人共、知らない人について行ったら駄目だからね?」
『はーい』

妹達の元気な返事を聞いてシャマル達の元に戻るヴィヴィオ達三人。娘達は普通に泳いでるのが飽きて来たので、ウォータスライダーなどの
アトラクションを周り始める。少々はしゃぎ過ぎな四女を二人で抑えながらも、三人共楽しくプールを楽しんでいる。一通りアトラクションを周り、
一旦皆の元に戻り休憩しようか話し合っていると、三女がある物を発見する。

「あ…」
「ん?どうした?何か見つけたのか?」
「ええ。あそこを見てください」

三女が指さした方向を二人が見てみると、自分達より小さな女の子が泣きながら立っていた。その子の周りを見ていると家族らしき人も居ないし、
それ以外にも彼女に近づいている人も話しかけてる人も居ないので、恐らく迷子だと三人共理解した。最初は三人共如何しようか迷っていたが、
周りの大人は誰も声を声をかけようとしないのを見て痺れを切らし、自分達が声をかける事にした。

「どうしましたか?」
「えっ…?」
「何か泣いてるみたいだったからさ。大丈夫?」

いきなり知らない人に声をかけられ驚いたのか、最初は中々喋ってくれなかったが、しばらくすると慣れてくれたのか少しずつどうしたのか話し始めてくれた。
どうやら三人の予想通りで迷子になっていたらしく、最初は親を探していたのだが、探しても見つからないのと、見知らぬ場所で一人で居るのが寂しくなり
泣いてしまって今に至るらしい。三人共この子をこのままにしたくは無いと思い、何とか母親を見つけてあげようと考えるが、正直どうしようかは思いつかない。
闇雲に探した所で見つけるのは難しいし、手分けして探そうにもこの子の母親はどんな人なのか解らない為それも出来ない。何か手は無いものかと考えていると、
遠くでトイレから出て来るユーノの姿見えたので、まずは父親に相談してみようと思い、子供と手を繋ぎ一緒にユーノの元に駆けだした。

「お父さん!」
「ん?あっ、どうし…その子は?」
「さっき知り合ってな、詳しく話と…」

娘が連れて来た子供を見て疑問に思っているユーノに娘達が詳しく説明する。大体の事を解りどうしようか考えるユーノ。普通だとプールの監視員など
此処の関係者に迷子の報告をした方が良いのだろうが、娘達は自分たちで見つけよう張り切っている為どうしようか迷ってしまう。この子の親や見つけてあげたいし、
娘達も折角やる気になっているので、それをあっさり終わらせるのは少し可哀想でもある。如何しようかと考えていると、一つ妥協案が思い浮かんだ。

「ねえ、君のお母さんの髪型と着ている水着の色を教えてもらえるかな?」

まずは女の子のお母さんの特徴を聞いておく。こうしておけば、母親を探している時この子が見逃しても自分達が見つけられるかもしれない。
母親の特徴がある程度解り、次は娘達の方に話しかける。娘達は母親を探す気満々らしいが、一応注意をしておかなければならい。

「とりあえずこの子のお母さんを探しに行こうか。でも、プールを1周しても見つからなかったら、係の人の所にこの子を連れて行くよ」
「ええ!どうして!?」

ユーノの言葉に四女が叫び、他の二人も口には出さないものの、納得のいかないと言った表情をしている。娘達が納得しないのは解っていたが、
あまり知らない子を長時間連れて歩く訳にも行かないし、既に両親が係の人に話して待っているのかもしれない。もしそうなら早く係の人に伝えなければならない。
それを教えると娘達はしばらく無言になっていたが、それなら仕方がないと納得してくれた。娘達もバカではない為こう言う所はしっかり聞いてくれる。

「それじゃあ少し一緒にお母さん探そうか?見つからなかったら係のお兄さんに聞いてみようね」
「うん…。ありがとうお姉ちゃん」

笑顔で話しかける四女に女の子も少し笑顔になる。とりあえず一通り歩いてみる事にするが、なにぶん人が多い為探すだけでも一苦労。
これだけいると母親に似た特徴の人が何人かいても仕方がない。実際特徴が一致する人は何人か見つけたが、女の子に聞いてみると違う人と言うのばかり。
そんな調子で歩いていると、プールもうすぐプールを一周する所まで来てしまい、やっぱり係の人に任せるか?と思っていると、何やら
慌てている女性の姿が見えた。姿を見てみると水着と髪型が女の子の母親の物と似ていた為、もしやと思い女の子にその女性を教えてみると、

「ママー!」

大急ぎで走り出して行ったので当たりだったようだ。娘達も女の子の親が見つかって嬉しいのか良い笑顔をしている。女の子の母親に事情を説明し、
何度もお礼を言われ少々照れくさくなってくる。あまり話していると終わるタイミングが掴めなくなりそうなので、少し強引ながら自分達も
シャマルの所に戻ろうとする。最後に娘達が女の子に別れの挨拶をすると…、

「バイバイ!お姉ちゃん達!」

笑顔で、そして元気な声の女の子の姿を見て見つかって本当に良かったと思う。娘達も笑顔で女の子と別れる。

「本当に良かったね。お母さん見つかって」
「まったくです」
「ぎりぎりで見つかったから少々焦ったがな」

楽しそうに話している娘達の姿を見て微笑ましく感じていると。ふと昔の事を思い出し少し笑いだしてしまった。五女が如何したのかと思いユーノに聞いてみる。

「如何した父さん?急に笑い出したりして」
「あー、ちょっと昔の事を思い出してね」
「昔の事?何を思い出したんですか?」
「うん、三人が迷子になって泣いてた事」
『!?』

それを聞いて一斉にユーノの方を見る娘達。それを解っているのか解っていないのか、三人が迷子になった事を喋りだす。三女は可愛いぬいぐるみに夢中になり
そのままはぐれてしまい、迷子センターの呼び出しで迎えに行ったら泣きながらなのはに抱きついていた。昔の三女は今ほど落ち着いた
クールな性格とは少し違っていた為、今にしてみれば本当に貴重な光景だった。

「あの後しばらくなのはの手を離さなかったんだよね。なのは困ってたなー」
「ん…」

四女の方はフェイト達とピクニックに出かけた時、四女が飛んでいる蝶を追いかけている内にどんどんユーノ達から離れてしまい、気付いた時には
お互いに姿が見えないほどに離れてしまっていた。それに気付いたユーノ達が急いで探していると、とてつもなく大きい鳴き声が聞こえて来たので
その場に行ってみたら盛大に泣いている四女の姿があった。昔から元気な子ではあるが、泣く事まで元気とは思わなかった。

「あの小さい体でどうやったらあんな大声出るのか、今でも解らないよ」
「し、仕方ないじゃん!あの時は本当にさびしかったんだからさ!」

五女の時ははやてと買い物に言った時に、子供達が集まる場所で本を読んで待っていたのだが、その時ユーノ達の買い物が長引いてしまい、
不安になった五女がそこを抜けだして探しに行き、戻って来たユーノ達と入れ違いになってしまった。ザフィーラにお願いして匂いで
五女を探して貰いやっと見つける事ができ、五女は声には出して泣いてはいないものの涙がボロボロ流れていた。

「その日から何日かはやてと一緒の布団で寝てたんだよね」
「父さん達がもっと早く戻ってこなかったからだろうが!」

こうして考えると、この子達もあーやって小さい子の世話を出来る程成長したと思い、時間の流れを実感してしまう。

「ほらお父さん!早く行きますよ!」
「もうおいて行こうよ!」
「昔の事を思い出すなら一人で勝手にしていろ」
「あっと、待ってよ三人共」

昔の事を思い出されたのが恥ずかしいのか、顔を赤くしながら先に進む娘達を慌てて追うユーノ。やはりまだまだ子供だと再認識してまた少し笑ってしまう。
その後シャマル達の元に戻ると既に皆が集まっており、時間を確認すると既にかなり時間が経っていた為そろそろ帰宅をしようとする。
娘達はもう少し遊んでいたいと言っていたが、これ以上は帰りが遅くなると説得して納得してもらった。

「あれ?」
「どうしたの?」

ユーノ達と別れ更衣室で着替えをしている女性陣の方だが、四女が何か声を出したのでヴィヴィオがそちらを見ると、自分の着替え入れを
一生懸命探している姿があった。一体どうしたのかと思っていると、四女が泣きそうな顔で此方を向いて一言。

「パンツ忘れた~」
「あちゃー。そう言えば水着を着て来ていたって言ってたね」

如何しようかと悩むヴィヴィオ達。普通なら何も穿かずに行けばいいのだろうが、生憎四女の今日の服装はミニスカート。流石にそれで
ノーパンで帰るのは流石にリスクがでかい。ユーノにもあまり知られたくないし如何しようかと思っていると。三女が四女に何かを投げる。

「はいこれ」
「わっと、…何これ? あ!僕のパンツ!」
「家で水着を着ているのを見て一応入れておいたんですよ。まさか本当に忘れているとは思いませんでしたが」

三女の気遣いで最悪の事態が免れて喜んでいる四女。良く出来た妹で良かったと思うヴィヴィオだが、最初から四女の着替え入れに入れておけば
良かったんじゃない?と思えたが、嬉しそうな四女と、それを見て満足している三女を見て何も言わない事にした。

「えーと、それじゃあ皆忘れ物は無いね。帰ろうか?」
『はーい!』

着替えを終え全員が合流して帰宅を始める、娘達はまだ名残惜しそうにしているが、今度は他の人も一緒に来ようと行ったら喜んでくれた。
帰りのバスに乗ってしばらく揺られていると、娘達が何やらウトウトしている。考えてみると今日はずっと泳ぎっぱなしだった。それが終わり
遊びに集中していたのが切れて疲れが一気に来たのだろう。バスにはまだしばらく乗っているので、ふとユーノがある事を思いつく。

「はい、ちょっとこっちに来て」
「うん…、何ですかお父さん?」

眠い目を擦りながら此方に来た三女を膝の上に載せ、四女と五女を自分の体にもたれかからせる。

「バスはまだしばらく乗ってるし、降りる所に着くまで僕にもたれてて寝て良いよ」
「良いの?父さん」
「うん。疲れてるんだし無理しなくて良いよ」
「そうか…、じゃあそうさせて…ムニャ…」

言いきる前に眠りに落ちてしまった五女。気付けば三女と四女も完全に寝入ってしまっている。やはり相当疲れていたのだろう。あまり泳いでいなかった
自分も正直言うと結構眠い。だが今日は楽しそうな三人の姿を見れたしこの疲れも悪くは無い。そんな事を考えているとヴィヴィオが声をかけて来る。

「ねえパパ?」
「なに?ヴィヴィオ」
「今度は、家族皆で海にでも行きたいね」

優しそうな笑顔でそう言うヴィヴィオ。今日は来れなかった人と一緒に出かけるのは、相当難しいと解っている。だがそれでも何とかして
皆で出かけたいと思う。この子達共約束したのだ。

「そうだね。今度は皆で、新しく生まれる家族と一緒に、ね?」

その答えに笑顔で俯くヴィヴィオ。シャマルやシグナムにアギト、エリオとキャロも満足そうな表情をしている。今年は無理かもしれないけど、
来年は皆で一緒に行こうと心に誓い、この日のお出かけは幕を下ろす。


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