<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.21737の一覧
[0] 【ネタ】マテリアル似の娘(リリカルなのは)[rattu](2010/09/06 16:05)
[1] 星光似の娘[rattu](2010/09/06 16:07)
[2] 雷刃似の娘[rattu](2010/09/06 16:09)
[3] 統べる王似の娘[rattu](2010/09/06 16:10)
[4] 中書き[rattu](2010/09/07 16:37)
[5] マテ似三人娘と父親の苦労[rattu](2010/09/07 16:39)
[6] マテ似三人娘の無限書庫見学[rattu](2010/09/07 16:41)
[7] マテ似三人娘の弟予報[rattu](2010/09/08 15:57)
[8] マテ似外伝 彼女達の幸せの形[rattu](2010/09/08 15:58)
[9] マテ似外伝2 弟が可愛すぎてお姉ちゃんどうにかなっちゃうの[rattu](2010/09/08 16:00)
[10] マテ似三人娘の劇練習[rattu](2010/09/10 17:34)
[11] マテ似三人娘の夏の一時 前編[rattu](2010/09/10 17:35)
[12] マテ似三人娘の夏の一時 後編[rattu](2010/09/10 17:36)
[13] マテ似三人娘の拾い物[rattu](2010/09/12 17:12)
[14] マテ似三人娘の暴走[rattu](2010/10/01 16:48)
[15] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  前編[rattu](2010/11/02 19:10)
[16] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  後編[rattu](2010/11/03 16:18)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[21737] マテ似三人娘の拾い物
Name: rattu◆50c335cc ID:c73723c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/12 17:12
「それでは、良いですか?」
「ああ、こっちはこれで十分だ」

ある晴れた日の一日に、高町・ハラオウン・八神合同一家の家の一室。
そこではこの一家の三人娘の内の二人、三女と五女が真剣な表情で向かい合っていた。
この二人が今何をしてるのかと言うと、二人の手にはトランプが握られており、現在は二人でちょっとしたゲームで対決をしている。
特に賭けてる物も無く、普通に遊んでいるだけなのだが、それでも勝負と言う事なのか二人共それなりに真剣である。

「では…、行きます」

お互い準備が出来たので、三女がお互い同時にカードを見せる様に合図を出そうとする。
五女も真剣な顔で三女が合図を出すのを待つ。

「せー…の!はい!」

三女のその言葉で三女と五女が同時にカードをお互いに見せる。
そしてお互いに自分のカードと相手のカードを確認すると…

「私の勝ちですね」
「そのようだな…、あー、これで三連敗か、どうにも調子が悪いな」

結果は三女の勝利に終わったようだ。
だが勝った三女はあまり喜んではおらず、負けた五女もまったく悔しそうにしていない。
どうも二人共あまりこのゲームには御熱心では無い様子。

「ふう。おい、他に暇をつぶせる物は無いのか?」

どうやらトランプに飽きてしまったらしく、三女に何か他に楽しめる物が無いかを聞く五女。
その言葉を聞いて、三女も部屋を探し、部屋から出て何か暇つぶしが出来る物を探しに行くが、結局何も見つからずに部屋に戻る。
五女が何か面白い物があったかを尋ねるが、三女が首を横に振ったのを見てベットに寝転がる。

「暇だ…」
「暇ですね…」

そう小さく呟き、三女も五女の隣に腰を下ろす。
今この家にはこの二人しかおらず、他に誰かを誘おうにも人が居ない。
二人共特にやる事も無く、家でゆっくりしていたのだが、二人だけで過ごしていても何もやる事がなく、当初はゲームやトランプなどで遊んでいたのだが結局それらにも飽きてしまった。
魔法の練習でもするとかあるのだろうが、どうにもこの日はあまり二人共その気が起きないらしい。
二人でベットに横になりボーっとしていると、五女が口を開き三女に話しかける。

「外にでも出るか?」
「そうですね…、しかし何も目的なしに出るのはどうでしょう?」
「別にブラブラ歩くだけで良かろうが、このままここで寝てるよりは有意義だ」

五女の言葉に最初は何処に行こうか考える三女だが、別に時間つぶしなら適当に歩くだけでもいいかと考える。

「では出かける準備でもしましょうか?」
「ああ」

そう言った後、二人共ベットから起き上がり外出の準備をする。
二人共服を着替え、出かける準備も終えて外に出ようかと思うと、家の扉の開く音が聞こえて来た。

「誰か帰ってきたようだな」

誰かは知らないが、帰って来たのなら出かけるのをやめようかと思う二人。
だがそんな風に考えていると、自分達の部屋のドアが開き始める。

「ねえ?二人共いる?」

ドアを開いたのは、三人娘の最後の一人である四女であった。
三人の中で一人だけ出かけていた彼女が帰って来たのは別に良いのだが、部屋に入って来た彼女は何時もの元気な彼女とは違い少し困っている様子に見えた。
他の二人もその様子にすぐ気付き、一体どうしたのかと四女に尋ねる。

「どうしたのですか?随分元気が無い様ですが?」
「何時もはやかましいと言うのに、珍しい事だな」

若干口の悪い五女の言葉に一瞬ムッとする四女だが、今は別に良いやと思い無視する。

「今この家に居るの僕等だけだよね?」

いきなり家に居る人の数を聞いてきて、何かしでかしたのかと勘繰る三女。
普段一家の中で一番元気な四女だが、それが災いしてちょっとトラブルが起きる事が割とある。
四女の様子を見る限り、多分また何かあったのかと思い溜息が出る三女。

「貴様、今度は何をしたんだ?」

五女の方も、三女と同じ様に四女がまた何かしたのかと思っているらしく、あきれた表情で四女に話しかける。

「何かした訳じゃないけど…、ちょっと…」

喋ろうにも口ごもったり小声になったりする四女を見て、二人共案の定何かあったなと確信する。
しばらく二人で四女が何をしたか話すのを待つが、四女の方はどう説明して良いのか中々思いつかないのか、どうにも次の言葉が出てこない。
何時まで経っても続きを言わない四女に、五女がイライラしだした時、四女がいきなり二人の手を掴んでくる。

「もうめんどくさい!二人共とりあえず来て!」
「な!?引っ張るなバカ!」
「まあ、連れてって貰って直接見た方が解りやすいでしょうね」

そのまま二人を引っ張り外に出ようとする四女。
五女はいきなり引っ張られた事に驚き、三女はとりあえず付いて行って直接確かめようと思い、四女にこのまま引っ張って貰う事にした。
家を出た所で玄関のカギを締め、そしてすぐにそのまま四女に引っ張られて行く二人。
しばらく四女に引っ張られて行くと、普通の道からは少し逸れ、人が普段あまり通らないような道を通り、一体どこに行こうとするんだと思い始める二人。
別に二人共怖いと言う事ではないが、一体この子は何処に行くつもりなのかと若干不安にはなってくる。
流石に行き先が気になって来たのか、三女が四女に何処まで行くのかを尋ねる。

「まだ着かないのですか?それにこんな所に来ていたなんて…、母さん達に知られたら怒られますよ?」
「もうすぐ着くよ!それに普段こんな所に来たりしないってば!」

二人を引っ張りながら質問に答え、そのまま奥の方に先に進んで行く四女。
二人共それ以上は何も言わずに、四女に引っ張られて行くと、それから一分ほどで四女が歩みを止める。

「ちょっと待ってて」

そう言いながら、四女が二人から少し離れた所で何やらゴソゴソしだす。

「何をするつもりだ?あいつは」
「さあ?まあすぐ解る事ですし待ってましょう」

お互いに何かをしている四女を見つつ、適当に話しながら四女が戻ってくるのを待つ。
そしてしばらく待っていると、段ボールの様な箱を持って二人の元に戻ってくる。

「これ見つけちゃったんだけど…、どうしよう?」

そう言いながら、箱を二人の方に持って行く四女。
何か変な物でも入っているんじゃないかと、二人が警戒するが、困った顔をしている四女を見て多分悪戯とかではないと判断する。

「では、開けて貰いますか」
「ちっ、仕方がない」

じゃんけんで負けた五女が箱に手をかけ、その蓋を開ける。

「「…」」

その中身を見て固まる二人。
四女もやっぱり驚くよねと言った表情で固まってる二人と箱の中身を見る。
その箱の中には…

「にゃー…」

子供の猫が一匹が入っていた。





「で?何処でこの猫を拾ったんだ?」

それから暫く経ち、とりあえず固まった状態から戻った三女と五女。
色々聞きたい事はあるが、まずはこの子猫を何処で拾ったのかを聞こうとする五女。
四女も一生懸命子猫を見つけた事を思い出す。

「えーと…、先週位に外で遊んでる時にね、何か鳴き声が聞こえて来て…」
「それで探してみたら、こいつが入っていたと?」

だとすると捨て猫か?と五女が考える。
今のご時世でそんな事をする奴が居るとはと思い、少し機嫌が悪くなる。
そんな事を考えていると、四女が話を続ける。

「うん。それで可哀想だったから…、ここに箱ごと持って来て、学院の帰りとかに食べ物と飲み物買ってたんだ」
「どうりで、最近学院帰りで勝手に一人で帰っていると言うのに、家に帰るのが一番遅い訳だ…」

五女の言う通り、最近の四女は二人と一緒に帰らなかったり、一緒に帰ったと思うとすぐに出かけたりしていた。
何時もと違う行動をしている四女を見て、何をしているんだ?と思っていたが、これを見て納得した。
今までは四女一人で頑張って来たのだが、流石に一人で続けるのは辛くなってきたのか、少し悩んだ挙句まずは自分と同じ立場の二人に相談することにした。
五女は何故見つけた時にすぐ自分達に相談しなかったのかと、少し不機嫌になるが、なんだかんだで先に相談してきたから良しとした。
とりあえず今居る三人で、この猫をどうするかを考える。

「しかし、私達が面倒を見ていても、結局お前が一人で世話しているのと大して変わらんぞ?」
「やっぱそうだよね…」

五女の言う通り、このまま自分達が手伝っても何の解決にもならない。
箱に入っていたと言う事は、元々誰かが子猫を飼っていて、それで何故か知らないが捨てたのだろう。
四女の話だと人間にも躊躇い無く寄って来るらしく、人に慣れているらしいが、正直それでは野良で生きて行くのは少し心配。
出来れば誰かに引き取って貰うのが一番良いのだろうが…

「えー!?絶対やだ!」

と、四女が物凄い勢いで否定する。
予想通りの答えが返って来るが、だとすると他の方法を考えなければならなくなる。
一応一つだけ案はあるのだが、正直それを選ぶのは少し迷ってしまう。
とりあえず他に何か案が無いか、さっきからまったく話に参加しない三女の聞いてみる。

「おい、そっちは何か良い考えは無いのか?」
「…」
「ん?」

話しかけても何も返してこない三女に、どうしたのかと思い三女が居た所を見てみるが、そこにはさっきまで居たはずの三女の姿が無かった。
何処に行ったのかと探していると、先程四女が持っていた子猫の入っている箱の方に移動していた。
何をしているのかと二人が三女の方に近づくと…

「…(ちょいちょい)」

三女が何処から持ってきたのか解らない猫じゃらしで子猫と遊んでいた。
普段あまり感情を顔に出さない無表情な三女だが、今の顔は若干にやけており、他の二人も何時もと違う三女の変な顔に若干引いている。
正直話しかけるのは少し嫌だが、話は進めたいので声をかける事にする。

「なにをしているかー!」
「ふぇ!?」

五女の大きな声を聞いて、変な声を出して驚く三女。
何が起きたのか解らないと言った表情で周りを見るが、それを呆れた表情で見つめる二人。

「僕等二人でこの子の事話してるのに、なにしてんの?」
「貴様、話を聞いていなかっただろう」
「えと…、ごめんなさい」

二人に睨まれ、流石のに少し悪いと思っていたのかすぐに謝る三女。
すぐに気を取り直し、三女も子猫の事をどうするか考えるが、やはり中々良い案が思いつかない。

「一つだけ案は無い事は無いのですが…」
「やはりあれしかないか…」

三女の言葉に、五女も自分と同じ考えしか浮かばなかったかと嘆く。

「ねえ?あれって何?」

四女だけ二人の考えが解っていないらしく、二人に質問する。
三女と五女もお互いの顔を見合わせ、同時に自分の考えている案を喋る。

『家で飼う』

二人が思っていた通り、お互いに同じ考えを持っていた。
このまま放っておく訳にはいかない、だが誰かに引き取って貰おうにも四女が猛反対するのでこれも却下。
そうすると選択肢が狭まり、二人共この考えしか浮かばなかった。

「それいいじゃん!そうしようよ!」

四女は大喜びでその案に賛成をするが、そう簡単に行く訳が無いので二人共この案は言いだせなかった。

「お前はそう言うがな…、色々難しいのだぞ?」
「ですね」

二人の言う通り、動物を飼うと言うのは簡単な事ではない。
命を預かると言うのもあるが、食事の用意やトイレの躾、更には病院にも連れて行かなければならないなど、動物を飼うのは色々と大変。
だが、まずそれ以前の問題が一つある。それは…

「母さん達が許可をくれるかだな」

飼った後の事より、まずは子猫を飼う為に、彼女達の両親であるなのは達に許可を貰わなければならない。
だが、ただでさえ家族が多い家だと言うのに、ペットで無いが普段は狼の状態のザフィーラ、たまに子犬状態のアルフも居る。
そう考えると、このままなのは達に子猫を飼って良い?かと聞いても、正直許可を貰えるか不安がある。
とはいえ、三人共他に方法が思い浮かばないし、既に子猫の虜になった三女と四女もこの子を飼いたいと思っている。

「…なんとかなのは母さん達を説得せんとな」

五女の言葉に、三女と四女もうなずく。
そうしてすぐに三人で集まり、自分の母親達を説得する方法を話し合う。
まずは、最初にお互いの母親達を各々で説得すると言う案を出したが、どう考えても三人全員言い勝てないビジョンしか浮かばない為却下。
次はなのは達両親以外の人達に協力を仰ごうと思うが、ヴォルケンははやてに強くは言えないだろうし、エリオ達上の兄弟は母親達の味方にならないが、自分達の味方にもならない中立の立場に居そうなのでこれも却下。
その後幾らか案も出たのだが、どれも上手く行きそうに無いので、中々良い案が決定しない。
三人で更に色々案を考えていると、ふと四女がある提案を出す。

「母さん達四人の内、誰か一人でも味方につけれるかな?」
「ふむ、全員を相手をする前に、まず相手の一人を引き入れるか…」
「簡単ではありませんが、少なくともさっきまでの案よりは現実的かもしれませんね」

四女の案に、残りの二人もその案に賛成する。
となると、次は誰を味方に引き入れるのかであるが、引き入れる様に説得する相手も選ばなければならない。

「ではまず、四人の内誰が一番引き入れにくいかですが」
「なのは母さんだね(だな)」
「…やはりそうですよね…」

一番引き入れにくい人は、満場一致でなのはに決まった。
四人の両親の中で一番しっかりしており、優しいながら厳しい所もあるなのはが一番の難関である。
もし味方になれば心強いのは確かなのだが、流石にそんな分の悪い賭けは遠慮したい。

「では次は一番引き入れやすそうな人ですが、これは二人に絞られますね」
「だな。フェイト母さんと…」
「父さんだね」

引き入れやすそうな人も、迷いなくフェイトとユーノと答える。
母親達三人の中で、比較的子供達に甘く、あまり厳しくないフェイトと、若干押しが弱くあまり娘に強く言わないユーノの二人が引き入れやすそうだと三人は考える。

「そうなると、フェイト母さんと父さんのどちらか一人…、あわよくば両方を味方にしたいですね」
「二人共なのは母さんに弱い所があるが、まあそれでも居てくれた方が助かるな」

五女の言葉が少々酷い感じもするが、別に間違っても居ないので誰も訂正しない。
とりあえず三人で話し合った結果、家に帰った時にフェイトとユーノのどちらか、あるいは両方居た場合はまずなのはとはやてより先に説得し、仲間に引き入れてからなのは達と話し合うと言う事になった。
出来ればはやても引き入れたいのだが、なのは程ではないが説得が難しそうなので見送る事にした。

「さて、作戦も決まったし、早速家に戻るとするか」
「そうですね」

四女が子猫の入った箱を持ち上げ、三人で自宅へと歩きだす。
歩いている途中も、話をどう進めて行くかを考え、出来るだけフェイトとユーノを説得出来る確率を上げようと話し合う。
そうやって歩いていると、あっという間に家についてしまった。
三人共気合を入れなおし、家の中に入ろうとすると、ふと四女がある事を思いつく。

「ねえ?もし母さん達が四人全員家に居たらどうするの?」

その言葉を聞いて動きが止まる三女と五女。
確かにフェイト達を説得する事しか考えていなかった為、四人全員が居た事は考えていなかった。
そしてもしかしたらユーノもフェイトもおらず、なのはやはやてだけが家に居ると言う可能性もある。
何故そんな簡単な事に気付かなかったのかと、三女と五女が頭を抱える。

「どうする?一回戻って作戦を練り直すか?」

五女の言葉に、少し迷いながらも賛成する三女。
正直出来るだけ早く子猫を飼いたいのだが、このまま中の様子が不確かな状態で行くのは三女としては避けたい。
もし断られたらそれで終わりなので、ここは確実に作戦を実行する為一旦子猫を元の場所に戻しに行こうとする。

「戻りましょう。出来れば今日の内に明日の母さん達の予定を確認して、それから行動に移りましょう」
「賛成だ。一か八かの賭けなど出来るだけ避けたいからな」
「でも…、う~」

三女の言葉に賛成する五女だが、四女は今一納得していない様子である。
しかし少しでも子猫を飼える確立を上げる為、今日はなんとか我慢してと三女と五女が説得して、何とか納得させる事が出来た。

「では戻りましょうか」

家から離れ、四女に案内して貰った所に子猫を戻しに戻る三人。
だが、そんな三人の後ろから聞きなれた声が聞こえて来た。

「うん?どうした?三人共?」
『!?』

三人が声のした方を振り返ると、そこには仕事が終わりで帰宅してきたヴィータの姿があった。
咄嗟に四女がヴィータに気付かれる前に子猫が入った箱を隠し、何とかばれずに済んだ。
だが、いきなり現れたヴィータに、三人共慌ててしまう。

「何してんだお前等?家入るんならさっさと入るぞ」

そう言いながらさっさと家に入って行くヴィータ。
三人共このまま子猫を元の所に戻そうと思っていたのだが、今この状態で戻ると間違いなく家族に怪しまれると思い、どうしようかと迷う。
三人各々でどうしようかと考えていると、三女がおもむろに家の方に戻り、玄関の方に歩いて行く。
それを見て、五女が慌てて三女を止める。

「ちょっと待て!?本当に家に入るつもりか!?」
「どうせこのまま戻っても確実に怪しまれるだけです。だったら思い切って攻めるのも一つの手です」
「そうかも知らんが、他に何か方法を考えるとか…」

三女の言う事も一理あるのだが、だからと言ってこのまま無策に突っ込むのは流石にまずいと思う五女。
四女の方は子猫が入った箱を抱えたまま、心配そうな表情で二人を見つめる。

「時間がかかればそれだけ変に思われます。それに…」

自分を止める五女を説得し、ドアノブに手をかける。
そして扉を開ける直前に二人に喋りかける。

「シャマルと一緒に病院に言っている母さんと、仕事から返ってくる時間がバラバラの父さん達がこの時間に四人一緒に居る確率は…相当低いんです。だから決して、分の悪い賭けではありません!」

そう言いながら、ドアノブを引っ張り玄関を開ける三女。
そしてそこには…



「お帰り三人共。玄関の前でどないしてたん?」
「お帰りー。あ、フェイトちゃん、ユーノ君、食器取ってくれるかな?」
「はい、なのは」
「…何でこんな時に限って全員居るんですか!」

三女の予想とは完全に外れており、三人の親であるなのは達四人が全員家に帰って来ており、三女がorzと言った感じで床に手を付く。
他の二人も、まさか本当に四人全員揃っているのは思っていなかったので、内心かなりまずいと焦る。
最悪フェイト達を味方に出来なくても、誰か一人を三人で説得すると言う方法も考えていたのだが、全員居るとなるとそれも難しい。

(どうする!?最悪の状況だぞ!?)
(とりあえず子猫を皆にばれない様に私達の部屋に連れて行って、何とかフェイト母さんと父さんを母さん達から引き離して味方に…)

念話でどうにかしてフェイト達を引き入れるかを話し合う三人。
まずは一旦子猫を自分達の部屋に連れて行こうとし、なのは達にばれない様に部屋に戻ろうとするが…

「ん?ちょっと待ちな三人共。何を持って帰って来たんだい?」
『!?』

部屋に戻ろうとする三人を、何かを感じ取った子犬状態のアルフが止める。

「どうしたん?アルフ?」
「三人が何かを連れて帰って来た様です。持っている箱の中から何やら匂いがします」

はやての質問にいち早く答えたのは、何時もの狼状態の姿のザフィーラであった。
どうやらその嗅覚で、四女が持っている箱の中に生き物が入っているのを解ったようだ。
ザフィーラの言葉を聞き、なのは達の表情が少し険しくなる。

「三人共、その箱の中身、見せてくれるかな?」
『…はい…』

娘達に優しく箱の中身を見せてと頼むなのはだが、娘達には見せないと駄目だよ?と言った静かなプレッシャーを感じる。
そんなプレッシャーに娘達が耐えられるはずもなく、何も言わずに素直に近くに居たヴィータに箱を渡す。
そのままヴィータに箱を貰い、蓋を開けて中を確認するなのは。

「…あららー」
「何が入ってるの?なのは?」

箱の中を見たなのはの様子を見て、フェイト達も中を確認する。
全員多少のリアクションの違いはあるが、皆なのはに似た反応を示す。
その内ヴィヴィオが子猫に興味を持ったのか、箱の中から子猫を取り出し、そのまま抱き抱える。
とりあえず子猫はヴィヴィオに任せ、なのはが娘達にこの子猫をどうしたのかを聞く。

「この子猫どうしたの?」
「えーと…」

なのはの質問に、四女を中心に先程の事を話す三人。

「フー!」
「おおー、いっちょまえに威嚇してる」
「ヴィヴィオ…私の前に猫を置くな…」

そんな娘達の事など放っておき、ヴィヴィオが子猫をザフィーラの近くに持っていったりして遊んでいた。まあそれは別にどうでもいい。
なのはが娘達から詳しい事を聞き、子猫をどうするかを考える。
別になのはも飼うだけなら構わないと思っているのだが、飼うと言う事はこの子猫の命を預かると言う事になるので、そう簡単に許可を出す訳にはいかない。
動物を飼う事がどれだけ大変か、それが解っているのかを娘達に確かめなければならないと思い、少々きつめな言い方で娘達に尋ねるなのは。

「三人共?この子を飼うってことは、この子が死ぬまでずっと面倒を見るってことだよ?悪い事をしないように躾けたり、トイレの掃除もしなきゃいけないし、
病気になったら病院にも連れて行かなきゃいけない。それ以外にやらなきゃいけない事も沢山あるかもしれない。それでもこの子を…」
「飼いたいです!」
「僕も!」

なのはが全部言いきる前に、三女と四女が大きな声で飼いたいと答える。

「躾もちゃんとします、育て方も自分達で調べます」
「だからお願い!なのは母さん!」

今までにないほど真剣な三女と四女を見て、流石のなのはも若干迫力に引いてしまう。
真剣な二人の様子を見て、これなら子猫を飼っても良いかな?と思うなのはだが、ふと五女の方を見る。
先程の二人と違い、何も喋らずずっと二人の近くで大人しくしている。
もし子猫を飼う場合は、三人が世話をするのを条件にしようと思っているのだが、五女の方はあまり子猫の事に興味があるのかが良く解らない。
五女がもし子猫を飼う気が無かったら、許可を出す訳にはいかないので、ちゃんと五女の気持ちを聞こうとするなのは。

「ねえ?二人はああ言ってるけど…」
「解っている、なのは母さん」

何を聞かれる事が解っていたのか、なのはが最後まで言い切る前に五女が言葉を発する。
そして三女と四女、子猫の方を一度見て、なのはに自分の気持ちを伝える。

「私も、この子を飼いたいと思ったから協力したんだ。勿論私も手伝う」
「さっすがー!」

五女の言葉に、二人共非常に喜び、四女は五女に対して思いっきり抱きつく。
抱きつかれてきたのが恥ずかしいのか、四女を引っぺがそうとする五女だが、かなり強く抱きついているのかなかなか外せない。

「…では私も」
「何でお前まで抱きついて来るんだ!?」

じゃれあっている二人が楽しそうに見えたのか、自分も五女に抱きつく三女。
楽しそうにしている娘達の姿を見て、少し微笑ましく思い、自然と笑顔になって行くなのは。

(フェイトちゃん、ユーノ君、はやてちゃん、三人はどう思う?)

他の三人に念話を送り、子猫の事に関しての意見を貰おうとするなのは。
さっきまではなのはが話を進めていたが、当然フェイト達の意見も聞かないといけない。

(私は良いと思うよ。三人共真剣みたいだし)
(僕も賛成。あの子達にも良い経験になるだろうし)
(二人がええっていうんなら私も何も言わんよ。まあ別に駄目とは最初から言う気は無いけど)

三人共特に反対も無いらしくなのはも安心する。
そして今だじゃれてあっている娘達を止め、話の続きをする。

「はい、三人共。ちゃんと話を聞こうね」

なのはの声を聞いて、じゃれあうのをやめ、三人共真剣になのはの方を向く。

「フェイトちゃん達も良いって言ったし、三人がしっかりお世話するって言うなら、飼っても良いよ」
「やったー!」
「ありがとうございます!お母さん!」

なのはから許可を貰い、大喜びする三人。
少し喜びすぎじゃないかと思ってくるなのは達だが、嬉しそうな娘達の姿を見てまあ良いかと思う事にする。

「そう言えばこの子って男の子かな?女の子かな?」

ふとヴィヴィオが子猫の性別が気になる。
娘達にも聞いてみるが、彼女達も良く解っていないらしく首を横に振る。

「そんなんお股を見れば一発やん」

そう言いながらはやてが子猫を抱きあげ、身体を仰向けにして子猫の股の所を確認する。
娘達が真剣な顔ではやての方を見、男の子か女の子、どっちなのかを待つ。
しばらくじっと子猫の股を調べるはやてだが、中々子猫の性別を答えない。
他の家族がどうしたのか?と思っていると、困ったような笑顔を皆の方に向けて喋りだす。

「…後で病気持ってないか病院に連れて行くし、その時にお医者さんに教えてもらお!」

どうやら解らなかったらしい。
仕方ないので性別は後回しにする事にしたが、四女がある事に気付く。

「ねえ!この子の名前決めようよ!」
「ふむ、確かに名前が無いのは面倒だからな」
「可愛い名前を付けてあげないと」

四女の提案に、他の二人もノリノリで乗ってくる。
この子を飼うと決まったのなら、やはりまずは名前を決める事を忘れてはいけない。
これからずっとその名前を呼ぶので、三人共非常に慎重に名前を考える。
一生懸命名前を考えている娘達を見て、なのはが念話でフェイト達に話しかける。

(ねえ二人共?三人がどんな名前付けるか興味無い?)
(ええな、あの子等の名前のセンスはどんなんか気になるし)

はやてもなのはからの念話を聞いて、それも面白そうだと思い、フェイトも何も言わないが顔は笑っており、なのは達と同じでどんな名前を付けるか気になる様だ。
三人共一生懸命子猫の名前を考えており、その姿が可愛くて、他の家族も少し微笑ましくなってくる。
しばらく三人が名前を思いつくまで待っていると、まずは三女が一番最初に思いついたらしく、真っ先にどうかと二人に聞く。

「タマなんてどうでしょう?」
「絶対却下!」
「ダサいにも程があるな」

一生懸命考えたのに、速攻で否定されてて落ち込む三女。
まあたしかに、三女には申し訳ないが、今の世の中に猫にタマと名づける人は正直居ないと思う。

(日本の日曜日の午後六時半を思い出すね)
(昔は最後のじゃんけんに真剣になったもんや)

昔の地球に居た頃の記憶が蘇り、懐かしい気分になるフェイトとはやてだが、なのはの方は娘の名前のセンスに若干落ち込む。
別に物凄く個性的なのは期待していなかったが、まさがタマが出てくるとは予想外だった。
と言うか日本ならともかく、なぜミッドに住んでいるのにタマという名前が出て来たのかが全く解らない。

「はーい!僕も良いの思いついた!」

元気に大声でそう言ったのは四女。
何やら自信満々と言った表情をしているが、正直言うと家族の皆が不安を持っており、どんな名前を言うのかなり怖い。
そんな家族の不安なぞ知る由も無く、大きな声で自分の考えた名前を答える四女。

「ゴッドカイザーなんて良いよね!」
「ド阿呆か貴様はー!」
「そんな名前恥ずかしくて人前で呼べるわけ無いでしょう!」

四女の考えた名前を、三女の時以上に思いっきり却下する。
他の皆も予め凄いのが来るのは予想していたが、予想以上の物が来た所為か、皆笑うのを必死で我慢している。
そんな中、四女の母親であるフェイトだけは、娘の考えた名前に頭を抱える。
この前なのは達に水着や服装のセンスに関して色々言われたが、まさか名前もここまで酷いとは思わなかったらしい。

(フェイトちゃん、大丈夫かな?)
(これに関してはどうにもね…、しばらくそっとしておこうよ)

落ち込んでいるフェイトを心配するなのはを、ユーノが今は置いておこうと言う。
正直今の落ち込んでるフェイトには、何を言っても無駄だろうと判断した為である。
ユーノのその言葉を聞いて、とりあえずフェイトをそっとしておく事にした。

「まったく、二人揃ってもう少しマシな名前を思いつかんのか?」
「面目ありません…」
「じゃあそっちは何か考えたの!?」
「今考えてる所だ」

最後に残っている五女だが、どうにも中々良い名前が浮かんでこない。
三女と四女もあまりまともな名前を出さなかった所為か、何とか自分で良い名前を考えないと思っており、どうにも慎重になってくる。
まともな名前で、出来れば呼びやすいのが良いと思い考えるが、どうしても浮かんでこない。
どうしようかと悩んでいると、ふと子猫の目を見る。

(?…ふむ、青い目か…だとしたら…)

子猫の目を良く見ると、非常にきれいな青い色をしていた。
その目を見て、五女がある事に気付き、母親のはやてにある事を聞く。

「母さん、地球の方で青い宝石で有名な物って何かないか?」
「青い宝石?」

猫の名前を考えていたのに、いきなり青い宝石と聞かれて、どうしたのかと思うはやて。
だが一応聞かれたので、すぐに思いついた青い宝石の名前を言ってみる。

「そやなー、やっぱサファイアが青い宝石に代表格かな?」
「サファイアか…、ふむ…」

サファイアと聞いて、再び何かを考えだす五女。

(サファイア…サファ……サファイ…サフィア……)
「よし!良いのが出来た!」
「本当!?早く言ってよ!」

それから少しだけ考え、良い名前が思い浮かんだのか、嬉しそうな顔の五女。
三女と四女も気になるのか、早く言う様に急かす。
五女の方も、別に出し惜しみするつもりは無いので、さっさと考えた子猫の名前を答える。

「サフィなんてどうだ?悪くは無いと思うが…」

五女の口から出て来た名前を聞き、他の家族からもオー、と言った声が出てくる。
三女や四女のとは違い、中々可愛らしい名前である。

「この子の目が綺麗な青い色でな、それで宝石みたいだと思って宝石の名前から取ろうと思ったんだ」
「あー、だから宝石の名前を聞いて来たんか」
「サファイアだからサフィか、良い名前だね」

五女の説明に納得するはやてと、良い感じの名前で五女を褒めるユーノ。

「それじゃあ、この子の名前はサフィで、皆問題無いよね?」

最後になのはが全員に確認を取るが、勿論皆異存は無いらしく、何も不安の声が上がらない。
どうやら、子猫の名前はサフィで決定の様である。

「よし!今日からよろしくね!サフィ!」
「私達が一生懸命育てますからね」
「躾は厳しく行くからな。覚悟するんだな」
「ニャー」

子猫を抱きあげ嬉しそうにする娘達三人。
猫のサフィ。新しい家族がこの合同一家の仲間入りした瞬間であった。









おまけ

「…なあアルフ」
「なんだい?ザフィーラ?」

今はなのはとザフィーラとアルフしかいない家の中。
まったりと過ごしている中で、ザフィーラがある日に今起こっている事を尋ねる。

「何で私の頭の上にサフィが乗っているんだ?」

ザフィーラの頭の上には、何故かサフィが乗っており、しかもぐっすりと寝ていた。

「さあ?あんたに懐いたんじゃない?」
「…そうか…」
「ザフィーラ、こっち向いて。写真にとって後で皆に見せるから」

その様子をカメラに取ろうとするなのは。
サフィはなのは一家に馴染んだようです。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022704839706421