<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.21737の一覧
[0] 【ネタ】マテリアル似の娘(リリカルなのは)[rattu](2010/09/06 16:05)
[1] 星光似の娘[rattu](2010/09/06 16:07)
[2] 雷刃似の娘[rattu](2010/09/06 16:09)
[3] 統べる王似の娘[rattu](2010/09/06 16:10)
[4] 中書き[rattu](2010/09/07 16:37)
[5] マテ似三人娘と父親の苦労[rattu](2010/09/07 16:39)
[6] マテ似三人娘の無限書庫見学[rattu](2010/09/07 16:41)
[7] マテ似三人娘の弟予報[rattu](2010/09/08 15:57)
[8] マテ似外伝 彼女達の幸せの形[rattu](2010/09/08 15:58)
[9] マテ似外伝2 弟が可愛すぎてお姉ちゃんどうにかなっちゃうの[rattu](2010/09/08 16:00)
[10] マテ似三人娘の劇練習[rattu](2010/09/10 17:34)
[11] マテ似三人娘の夏の一時 前編[rattu](2010/09/10 17:35)
[12] マテ似三人娘の夏の一時 後編[rattu](2010/09/10 17:36)
[13] マテ似三人娘の拾い物[rattu](2010/09/12 17:12)
[14] マテ似三人娘の暴走[rattu](2010/10/01 16:48)
[15] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  前編[rattu](2010/11/02 19:10)
[16] マテ似三人娘の禁断の姉妹愛  後編[rattu](2010/11/03 16:18)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[21737] マテ似三人娘の無限書庫見学
Name: rattu◆50c335cc ID:c73723c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/07 16:41
「えーと…副司書長、皆集まったかな?」
「はい。本日出勤の無限書庫司書、全員揃いました」

無重力の空間で固まっている多数の人。無限書庫と呼ばれる場所と、そこに勤務している司書達である
そして、その集まった司書達の前に出ている青年は、この無限書庫の司書長ユーノ・スクライア
普段は、各々が散らばって自分の仕事を行っている無限書庫であるが、本日は珍しく全員が一か所に集まっている
司書が集まる場合は、大体はユーノが司書の皆に報告や確認などをする時に行う。この日もそうでありその内容は…

「えー、先日に皆さんにお伝えしましたが、本日は学院から生徒達が見学にやってきます」

と言う事である。この日はSt.ヒルデ魔法学院から、生徒達が社会見学と言う形で、無限書庫に来る事になっている。この社会見学は
学院で毎年行われている行事で、管理局を含め、学院が選んだ様々な職業を生徒達が自分で選び、直接その目で仕事を確認させ
自分の将来の選択肢を広げるのが目的であり、今回初めて無限書庫がその見学先の一つに選ばれた。その為か、この日の無限書庫は
朝から少々緊迫した空気が漂っている。小さい子供達がやってきて、自分達の仕事を観察され、もしかしたら将来一緒に働く事になるかも知れない
などと色々考えているのだろう。それを見かねたユーノが司書を集め、皆の緊張を解いていく

「はい、じゃあ皆。そろそろ子供達が来るけど、緊張せずに何時もの様に業務に励んでください」
『はい!』

ユーノの話を終えた後、各々の仕事場に戻っていく司書達。それを見送ったユーノも自分の定位置に戻っていく
子供達が来た時に、前に出て少し書庫に関して説明をしなければならないので、ちょっとした予行練習になったのかも知れない
とは言え油断する訳にはいかないので、子供達の前で喋る台詞をもう一回しっかり確認する。司書長と言うそれなりの立場なので
変な所を見せる訳にはいかない。そんなユーノに近づいていく影が一つ

「そうは言っても、一番緊張してるのはアンタの方じゃないのかい?ユーノ」
「アルフ!何を言って!…止めとこう。多分そうだろうし」

そう言いながらユーノの隣にやって来るアルフ。既に長い付き合いな所為か、司書達が気付いていない、細かい所も良く見えているらしい
しかしユーノにしてみれば、子供達の前に出て話をしたり、仕事を見られる事は余り大したことは無い、そう言うのには多少は慣れている
ただ、今回の社会見学は、それらとは明らかに違う要素が一つあり、それがユーノの精神に多大な緊張をもたらしてくる
その一つの要素とは

「まあ仕方ないね。なんせ家の3人娘が来るんだから」

と言う事である。ユーノの娘で家の大家族の三女、四女、五女の三人が、今回の無限書庫見学のメンバーに入って居ると家で娘達が言っていた
しかもそれを聞いたのが、昨日の夕飯を食べてる時だと言う急な話。娘達はユーノは知っていると思っていたらしく、ちょっとした騒動になった
何故ユーノに連絡が行ってないかと言う話だが、ただたんに伝える役の四女が「伝えるの忘れた!」と言っただけの事である、さすがアホの子
まあ、当日にいきなり知らされるよりはマシと判断し、ユーノも怒る事は無かったのだが

「あー、どうしよう、緊張してきた。僕上手くやれるかな?アルフ?」
「知らないよそんなの。それにアンタさっき司書達に何時もの様にって言ってたじゃん」
「自分の子供が来るのに、そんな簡単に割り切れる訳無いよ!」

あまりの緊張感の所為か、逆切れ気味に言うユーノ。頭や理屈ではそう思っていても、実際はそんな簡単に出来る訳が無い
折角娘達が来るのだからカッコいい所を見せたい、カッコ悪い所は見せたくない、と思ってしまうのは父親として仕方がない

「まあ授業参観の逆バージョンとお想いな」
「うわ…そう考えると、あの子達の気持ちが少し解ってきそうだ」

そう言い、頭を抱えているユーノを放って置きながら、自分の定位置に戻っていくアルフ。薄情者と言いたくなるユーノだが
今はそんな事言っている場合ではない。もう少ししたら生徒達がやってくると言うのに、今だユーノはまだ心の準備が出来ていない
こんな事初めてだから優しくして欲しいの、と思うのだが子供達がそんな事に気付いてくれる訳がない、それ以前に子供に気を使われる訳にもいかない
特に何か特別な事をする訳じゃないのだ、普段と変わらず、何時もと同じ様に仕事をこなせばいいのだ、そうすればおのずとカッコよく見える
そう考えて少し心を落ち着かせるユーノ。何をしようと子供達が来るのは事実なのだから、あーだこーだ言ってもしょうがない
もう腹括って行くしかない。そうして居ると後ろから別の司書が声をかけて来る

「司書長。生徒達と引率の先生がお見えになっています。中に入れても宜しいでしょうか?」

どうやら子供達が到着したみたいである。少し早いんじゃないんだろうか?と思い時間を確認すると、既に予定の5分前となっている
一人で悩んでいる内に時間が経過していたのだろう。そうなると皆さまを待たせる訳にはいかないので、すぐさま招き入れる

「もうそんな時間か。解った、入って貰っても大丈夫だよ」
「了解しました」

許可を貰った司書が生徒達を迎えに行くのを見つめ、ユーノは気合を入れなおす。いよいよこの時がやってきた、もう逃げ場はない
まずは生徒達の前に出て挨拶をしなければならない。まずは第一印象が大事。司書長として恥ずかしくない、こう「キリッ!」とした感じで
挨拶をしなければ!と思いながら生徒達の元に向かうのだが…

「はい!皆さん。この方がここ、無限書庫の司書長のユーノ・スクライア司書長です」
『宜しくお願いしまーす!』

…何だこれ?人数多すぎない?とユーノの頭が混乱してくる。ユーノ自身は無限書庫は地味だと自覚しているので、娘達を含めても
せいぜい多くて7,8人位だと思っていたのだが、ざっと見ただけで20人以上いる。そしてその人数の目がユーノに向いているのである
何か喋らないといけないと思っているのだが、予想外の人数に頭が真っ白になってしまった所為なのか、一晩かけて覚えた台詞が完全に頭から抜け出てしまった
幸い生徒達は、まだユーノがテンパっている事には気付いていない様だが、このままでは不味い、と思っているユーノに助け船がでる

(お父さん、落ち着いてください。私達が居ますし何かあればフォローしますから)

父の異変にいち早く気付いた三女が、ユーノに念話を送りユーノを落ち着かせようとする。娘の声を聞いた為かユーノも少し落ち着いてくる
いくらしっかりした三女とは言え、娘に助けられるのは情けないと自分でも思うが、今はそんな事を言っていられるほど余裕がない
もし自分が何かやらかしたら、娘達に何とかして貰おう。そう思うと(父親としてどうかと思うが)気が楽になり、スムーズに言葉が出てくる

「皆さんこんにちは。ご紹介預かりました無限書庫司書長のユーノ・スクライアです。正直こんなに沢山の生徒達が来るとは思っていなかったので
今非常に驚いています。色々解らない所もあると思いますが、今日一日、無限書庫の仕事を思う存分に見て行って下さい」

多少言葉に詰まりそうになりながらも、緊張が解けたおかげで特に大きなミスも無く、自分と書庫の紹介を終える事が出来た
その後先生のお話や生徒達からの質問などを受け答えをしたりし話が進み、本格的な無限書庫見学が始まる
子供達は最初はどうすれば良いか迷っていたが、予め用意していた数人の司書が、子供達を数グループに分けて書庫を周り
仕事を見て行くと言う方法を取る事にした。何かイケメンの司書に女の子達が集まってたり、強面の司書には殆ど近づかなかったりしていたが
まあこれは仕方がない。数グループに分かれて移動する子供たちを見送って、さて自分も仕事に戻ろうとすると後ろから声が聞こえてくる

「ちょっと待ってー!父さ…!」
「黙れこのバカ!」
「バカはやめなさい。口が悪いですよ。でも父さんと呼ぶのはやめましょうね」
「どうしたの三人共?」

後ろを見ると女の子が三人、ユーノの三人娘が近づいてくる。司書が集めたグループに入っていると思っていたのだが、どうやら違うらしい
三人共、届け物などで何度か無限書庫に来ているので、自分達だけで回るのかと考えていたのだが…

「ごほん…、スクライア司書長、私達三名は司書長の仕事を見学して、勉強させて頂こうと思いお願いに来ました」
「仕事を近くで見せてく…貰えないでしょうか?お願いします」
「あ、えっと…お願いします!」

そう言いながら頭を下げる三人娘。ユーノの方はと言うと、本日二度目の混乱に入った。自分の娘達が間近で自分の仕事を観察する
想像しただけで、何か例えようのない恥ずかしさがこみあげてくる。はたしてそんな状態で、まともに仕事ができるのか、正直かなり不安である
出来れば断って、他の子供達と一緒に回って貰いたいのだが、もう案内の司書は全員行ってしまったし、何より必死に頼んでくる娘達の
気持ちを無下にはしたくは無い。父親として、司書長として、この頼みは絶対に受けなければならない!と思うユーノ

「うん、構わないよ。何か聞きたい事があったら遠慮なく言ってね。えっと…高町さん、ハラオウンさん、八神さん」
『はい!ありがとうございます!』

こうして、娘に見守られながら仕事を再開するのだが…

------------------------------------

ピッ、ピッ、ピッ、(じー)×3
パラパラパラ(じー)×3
「司書長、依頼された資料の準備が出来ました」
「解った、後日僕が直接渡しに行くよ」(じー)×3
「えーと、ん?あれ何処に行ったっけ…あ、あったあった」(じー)×3
「…」(じー)×3

すげーやりづらい。見学を許可してからもうずっと3人に見られている。ユーノが検索しようが、他の人と話しててもずーと見つめて来る
特に、自然と出て来る独り言を聞かれると物凄い恥ずかしい。なにこの羞恥プレイ?なのは達ともした事無いのに、やりたくないが
ただ、全部見ているという訳ではなく、たまに検索魔法を含めた魔法のコントロールの質問などをしてくるのだが、殆どは見ているだけである
さすがに、ユーノとしてもこのまま仕事を続けるのはつらい、見てるだけではつまらないだろうし、ユーノの精神もどんどん削られて行く
手元の仕事をキリの良い所で止め、娘達に近づいて行く

「三人共、ちょっと聞きたい事あるんだけど…、良いかな?」

娘達は一体どうしたんだろう?と行った表情だが、とりあえず父の言葉に肯定する

「どうして僕の所で仕事を見ようとしたの?正直、僕の仕事は他の人とやっている事はあまり変わらないし
僕以外の司書の仕事を見た方が、勉強になる物が多いと思うんだ。でも三人共そうはしない。それが気になったんだ」

優しく言いながらも、はっきりと疑問をぶつけるユーノの言葉に、お互い顔を見合っている娘達。どうやら言って良いのかどうか迷ってみたいだ
しばらくお互いの顔を見合っていた三人だが、意を決したのか三人が口を開く

「あの…私達は司書長…いえ、お父さんが、無限書庫でどんな仕事をしているか、一度しっかり見たかったんです」
「母さん達の仕事は結構有名だし、僕達もどんな仕事か母さん達から聞いてるけど、父さんの仕事は、僕達良く知ってない事に気付いたんだ」
「それで、今年のこの行事が良い機会だったから参加したのだ。まあ私達三人が行くと聞いて、着いてきたのが居るみたいがな」

娘達の話を纏めると、今まであまり知らなかった父の仕事を見て見たい!と言う事で、三人は見学先に無限書庫を選んだらしい
ユーノ自身も家に居る時は、娘達の前で仕事の話を殆どした事無い(なのは達の前では愚痴をこぼしたりしているが)し、娘達に聞かれる事は全くなかった
ちなみに、後で引率の先生に聞いたのだが、今回の見学希望の生徒達の数の多さは、最初はユーノの予想していた様に、娘達が参加するまでは3,4人程だったのだが
三人が参加するとなったら、一気に参加希望が増えたと言う事らしい。魔法に関しては学院でもトップレベルの三人が一緒に選んだのを見て
何か凄いのがある所なのか!?と言う話が勝手に出てきて一気に参加希望の生徒が増えたらしい。まあそれはともかく
娘達の言葉をじっくり考えるユーノ。折角娘達が可愛い事を言ってくれるのだ。今の自分が娘達に出来る事を考える。そしてある事を思いつく

「三人共、少し仕事を手伝ってみない?良かったら色々教えてあげられるけど…」
「は、はい!お願いします!」「やったー!さすが父さん!」「まあ、たまには良いだろう」

そうしてユーノと一緒に仕事を始める三人娘。慣れない作業で四苦八苦している娘達にユーノが優しく教えたり、ユーノが探している資料を
三人で探してきたりと微笑ましい光景が映る。その後は三人がユーノの仕事を手伝い、ユーノがそれを教えると言うのが続いた

--------------------------------

「みなさーん、そろそろお昼ご飯ですよー」

引率の先生の声が聞こえてくる。どうやら昼休憩の時間に入ったらしい

「ではお父さん、お昼休みに行ってきます」
「うん、解った。それじゃあ午後でね」

娘達が離れて行くのを見送って、自分も食事に行こうとすると、五女がこちらに向かってくるのが見える。何か忘れものしたのか?と思ったのだが
ユーノの目の前にやってきて為それは違うらしい。五女は何か言いたそうにしてるが、恥ずかしがっている為か中々口には出せない
このままだとお昼時間が無くなると思い、ユーノがどうしたのか聞こうとすると、意を決したのか五女が口を開く

「あーと、父さん。その…えと…午後も…一緒に仕事してもいいか?」
「あ、うん良いよ。午後も三人で仕事手伝ってくれるかな?」

その言葉を聞いて一気に笑顔になる五女。ユーノも楽しいのでこのお願いは大賛成である
許可を貰って安心し、生徒達の元に戻っていく五女を見送り、自分も食事に向かうユーノ

---------------------------------

「お帰り!父さんどうだって?」
「あー、OKだとさ」
「よっしゃ!」
「まあお父さんの事ですから、よほどの事がない限りOKはくれたでしょうが」

戻ってきた五女を迎え、他の生徒と合流し昼ご飯を始める。生徒達が其々のグループを作り午前の見学の話など、色々な話をしながら食事を進める
三人は特に他のグループには加わらず姉妹だけで集まっている。三人共友達が居ない訳ではないが、周りのグループは最初の司書の
グループ分けで出来たグループなので、自然とそうなってしまった。話している事も大体が其々のグループの話である
とはいえ、三人は別に気にしてはいない。父と一緒に仕事ができたの事が、三人にとって一番の勉強になったので全く問題ない

「それにしても、最初の父さんの顔面白かったなー」
「気付いてたのは私達だけだっただろうが、明らかに顔が引きつっていたな。まあ想像していたより人数が多かったのが原因だろうな」
「何かあったらフォローするとは言いましたが…正直どうするかは考えていませんでしたから、問題無く行って非常に良かったです」
「無責任だな…本当に何かあったらどうなってた事やら」

娘達の話もほとんどがユーノとの事になる。今まで知らなかった無限書庫の仕事、検索魔法の難しさ、父との共同作業、お互いの協力など
色々な話が出て来る。食事を終えた後は、生徒達が集まり、午前の見学の時に思った事を雑談みたいな形で話し合う事になった
皆思い思いの感想を言ったり、午後はどう言う事をしたいかなど、当たり障りのない事を言っていたのだが

「何かさ、無限書庫って、地味だよね」

一人の少女の言葉が、場の雰囲気を一気に変える事となる。娘達は最初の方こそ仕方がないと思っていたのだが、検索魔法が面白くない
書庫自体が暗い、何か死体みたいな人がたまに居る、他の所に行った方が良かったかも、などの言葉を聞いていると流石に気分が悪くなってくる
とは言え、感情的になって怒る訳にはいけない。感じる事は人それぞれなのだ、自分の合わない仕事に色々言ってしまうのは仕方がない
そう思い三人共何も言わずにいたのだが、決定的な一言が最初の少女の口からから出て来る

「やっぱ司書長があんなのだし、書庫全体があーなったのかな?」
「何だと!」

その言葉を聞いて、大声を出し立ち上がる五女に驚く生徒達。三女と四女も立ち上がろうとしたのだが、五女が一瞬早く動いてしまったので
タイミングを逃してしまった。五女の方も、無限書庫を酷い言い方されるのは我慢していたのだが、自分の父親の事を出されると流石に
怒りを抑えられるほど大人では無い

「あんなのだと?父さ…スクライア司書長の何処が悪いと言うんだ!言ってみろ!」

大声で迫ってくる五女にビビりまくる少女。今まで何も言っていなかった奴が、いきなり怒って迫って来たらそりゃまあ怖い
とは言えとは言え、それでも正直に答えてしまうのは子供だからだろうか、はっきりと自分の意見を言ってしまう

「だって…司書長自体、あまり活発な感じがしないじゃない。なよっとしてると言うか…頼りなさそうというか
特に、それなりの歳らしいけどあのロン毛何?あれ含め何か良い感じがしないんだけど…他の皆はどう思う?」

そう言いながら、他の人の意見を求める少女。そうすると「眼鏡も変だし」「服装も少しダサくない?」「声も何か高いよね」「へたれっぽい」
などと言う、まあ酷い意見が出て来る。それを言っているのは4、5人ほどだが、よく見ると全員グループ分けで少女と一緒に行動している生徒である
恐らく彼女の友達なのであろう。彼女達は三人が見学で無限書庫を選んだのを知って、何かあるとのか思ってここを選んだのだが
特に何もなかったので後悔していのを言葉に出してしまったのだろう。とは言えそれを五女が解るはずもない

「貴様等…私の父に随分な言葉だな…後悔させてやる…!」

既に完全に切れてしまった五女。はやて譲りの膨大な魔力が生徒達の周りを包み込む。異常に気付いた先生が止めに入ろうとするのだが
あまりの迫力に近付けない。その光景を観察し、いくらなんでも流石にこれは不味い、と思った四女が三女と一緒に止めようとするのだが

「ちょっ!それはやばいって!ねえ一緒にこいつ止め…」
「少々、言葉が過ぎますね…」
「ちょっとー!?」

三女の怒りゲージもブラスター3に突入しているご様子。この前の休日の時にかなり怒っていたが今回はその時の比ではない
流石にユーノをバカにされたのが頭に来ていたのだろう、四女の方も相当怒っていたのだが、二人を見てそんな状況じゃないと思い
二人を止めようとするのだが、力ずくで抑えようにも一人ではどう考えても無理。その為説得でどうにかしようとするのだが
今の二人がそんな事を聞いてくれる訳が無い。殺る気満々の二人と怯える生徒達、説得する四女と言う異様な光景がその場にある

「二人共落ち着いて!怒る気持ちは凄く分かるけど、それはいくらなんでも…!」
「少し黙っていてください。許しはしません…ルシフェ(がしっ)えっ!?」
「吹き飛ばしてやる!この塵芥どもが!エルシニアクロ(がしっ)!?」

四女の説得もむなしく二人がお互いのデバイスを起動させようとした瞬間、後ろから出てきた手が二人の腕を掴む
止めるのは誰だ!と思い後ろを振り返ると、そこには見慣れたサイドテールの女性が二人の腕を掴んでいた

「はいストップ。こんな所でデバイス機動してどうするつもり?」
『ヴィヴィオ(お姉さん)(姉ちゃん)(姉さん)!?』

そこに立っていたのは、三人の姉であり無限書庫司書の一人、高町ヴィヴィオである。思いもよらない人物の登場に、怒りも忘れ驚く三女と五女
驚きながらも、二人を止められる人物が来てくれて安堵する四女。怯えていた生徒達も、ヴィヴィオの登場で二人が止まったのを驚いている
(あの三人のお姉さん!?)(美人…)(おっぱいでかい!)(結婚して下さい!)(いい年みたいだけどサイドテール?)(三人と似て無いな)など
皆好き勝手な事を思っている

「離せ姉さん!こいつ等が…!」
「はいはい。怒りたい気持ちは解らなくも無いけど、魔法を使うのは感心しないな。それじゃただの暴力だよ?」

腕を掴まれながらも、少女達に対して攻撃を止めようとしない五女をたしなめるヴィヴィオ。三女の方はヴィヴィオの登場で冷静になったのか
今は普段の落ち着いた感じに戻っている。とは言え、少女達を許した訳ではないので、まだ油断する訳にはいかない。二人の腕を離し
少し自分に任せてほしい。と娘達に伝える。三女と五女はあまり納得していないが、このままだとさっきと同じ事が起こるかもしれないと言う
四女の言葉により、三女と五女もヴィヴィオに任せる事にした

「えーと、話に関しては途中からなんだけど、見てたから大体の事は解ってる。無限書庫が地味とか暗いとかはね」

ヴィヴィオの言葉に一瞬ビクッとする少女達。自分達が言っていた事を、その現場で働いている人に聞かれたのだ、かなり居心地が悪そうにしている
その様子を見て少し怖がりすぎかな?と苦笑しつつ話を続けるヴィヴィオ

「まあでも、そう思っても仕方ないけどね。実際そう見えるし」

笑いながらあっさりと言うヴィヴィオに、えっ!?と言った表情を浮かべる生徒達(娘達含む)。自分達が言っていた事を、否定せずに肯定してしまったのである
そこで働いている人間が。だったら良いのでないか?と思う少女達と、本当にそれでいいのか!?と言ってくる娘達をなだめつつ話を続ける

「とは言え、あくまでもそう見えるだけで、管理局の中でもかなり重要な場所だし、働いている人達も元気な人も多い。検索魔法が地味と言っても
実際やってみると、武装隊の人たちが使う魔法などと比べても、引けを取らないほど難しい物だし、大変な所なんだよ無限書庫は」

と無限書庫の重要性、仕事の内容、魔法の難しさなどを説明を続けるヴィヴィオ、なのだが、少女達はどうにも納得している様には見えない
それはヴィヴィオも解っているのだろう

「まあどれだけ言っても、納得は出来ないだろうね。とは言え、折角来てもらったのに、無限書庫の事を誤解されたまま帰って貰うのは、少しさびしい」

そう言いながら少女達に近づき、膝を曲げ、少女達と同じ目線になり本題を伝える

「だからさ、午後から無限書庫の仕事、手伝ってみない?」
『…はい!?』

予想外のヴィヴィオの言葉に驚く少女達。娘達は、そうきたか。と言った感じでヴィヴィオを見つめる
困惑している少女達を落ち着かせ、ヴィヴィオは丁寧に話を続ける

「実際どんな仕事か理解するのは、実際にやってみるのが一番だと思うんだ。私も、最初は見てるだけだと簡単だと思っていたけど
実際にやってみると、これが凄く大変だったからね。勿論、私が責任もってしっかり教えるから安心していいよ」

ヴィヴィオにそう言われ、どうしようか相談している少女達。いきなり言われても、でも良い機会だし、難しいと言っても検索魔法位なら自分達でも
皆でやれば大した事ないかな?など色々と言いあっている。そして相談が終わったらしく、最初に地味だと言った少女が、ヴィヴィオの前にやってくる

「それでは、お願いして良いですか?」
「うん、宜しくね。それじゃ私は戻るね。また午後に」

そう言いながら少女達から離れて行くヴィヴィオ。ただ、三女は何故ヴィヴィオがそんな事をしたのか気になり、ヴィヴィオに近づいて行く

「ヴィヴィオお姉さん、どう言うつもりですか?あんな事言って」
「あんな事って…、あの子達にも言った通りだよ。実際にやってみないと、どんな仕事か解らないし、誤解は解いとかなきゃ」
「それは解っていますけど…」
「まあ、無限書庫やパパをバカにされて、怒りたい気持ちは凄く分かるよ。だからと言って力で訴えるのは駄目だけどね」

そう言われて恥ずかしくなる三女。冷静さを失い、危うくデバイスを起動しようとしたのは自分である。その三女の頭を撫ぜるヴィヴィオ
そして笑顔でこう言い放った

「そう、だから教えてあげないと…自分達がバカにしていた仕事が、どれだけ大変かどうかね…フフ」

笑顔だが目は全く笑っていない。そのヴィヴィオがあまりに怖く、すぐさま妹達の所へ逃げ出す三女。あんな姉は見た事無い。そう思う三女
どうやら、ヴィヴィオも相当におかんむりだった様である。大人げないぞヴィヴィオ。少女達は大丈夫かと心配する三女であった

---------------------------------------

「お父さん、今日はありがとうございました」
「楽しかったー!」
「少々疲れたが、まあ有意義な一日であった」
「はは、まあ何とか無事に終わったかな?」

社会見学が終わり、現在自宅への帰路について居るユーノと三人娘とヴィヴィオ。娘達はユーノとの約束通りに、午後もユーノの手伝いに続ける事になったのだが
ユーノ自身は、少し他の所を見て来るのも良いんじゃないか?と娘達にそれとなく言ってみたのだが、皆ユーノの所でやった方がいいと言うので
結局最後までユーノの手伝いをする事になった

「そう言えば、ヴィヴィオも何人かの生徒と一緒に仕事してたみたいだよね」

その言葉に一瞬動きが止まる三人娘。正直気にはなっていたのだが、あの怖いヴィヴィオの顔が思い浮かんでどうにも聞けなかった
その事を知らないユーノは普通に聞いているのだが。恐る恐るヴィヴィオの顔をうかがう三人娘だが、当の本人はいたって普通の顔をしている
心配そうにしている妹達を知ってか知らずか、ユーノの質問に答えるヴィヴィオ

「うん、無限書庫の仕事は、やっぱり直接触れて見ないとどんなのか解りにくいと思ってね。それで色々教えてあげてみたんだけど…
やっぱり初めてだと辛いみたい、皆すぐ疲れちゃった」
「はは、仕方ないね。検索魔法は見た目より相当神経使うからね」

傍から聞くと別段どうという事は無い話なのだが、あのヴィヴィオの顔を見てしまった三女は(本当にそれだけで済んだの!?)と考えが頭に浮かぶ
午後の時間の分が終わり、生徒達が集まった時、ヴィヴィオの手伝いをした少女達を見ると、全員がフラフラになって戻っていたのを見てしまい
怒りなど忘れ同情までしてしまった。しかし次にヴィヴィオは少し嬉しそうな顔でユーノと話す

「でもね、その中でも一人だけ、凄い真面目に頑張っている子が居たんだ。あまり要領は良くないけど…、解らない所は積極的に聞いてきて
終わった後もフラフラになりながら、凄く勉強になりました!って言ってきてね、私も教えてて楽しくて、帰り際に『もし無限書庫の仕事が
気になったら何時でもおいで』って言っちゃった」
「へー、それは良いね。近い内に新しい司書が増えてたりして」
「うん。それが凄い楽しみなんだ。来てくれるかなー」

本当に楽しそうな笑顔のヴィヴィオを見て安心する娘達。それにもしかすると友達が一人増えるかもしれない。そう思うと自分達も嬉しくなってくる
正直、今日の無限書庫見学はどうなるかと思っていたが、ちょっと騒動は起こったものの、ユーノや娘達にとっては十分成功と言っても良かっただろう
しかし、ユーノには少し心配な事がある

「三人共、一つ聞きたい事あるんだけどいいかな?」
「何ですか?お父さん?」
「うん、その、今日の見学を通して、三人は無限書庫をどう思ったかな?って考えてね。正直なのは達の仕事に比べると地味だし
最初の挨拶の時も、僕は念話が来るまでどうしようか本当に焦ってたし、はっきり言ってカッコ悪かったかなって思っ…」

ユーノが言葉を言い終わる前に、四女がユーノの右腕に抱きつき、五女が左手を繋いでくる

「そんな事無いよ!父さんカッコよかったし、お仕事も凄い楽しかったよ!」
「同感だ。父さんが心配している事などない。私達は十分に楽しめた」
「あっ… ええ、今日の見学を通じて、お父さんのお仕事がどれだけ大変で、そして重要か良く分かりました」
「そっか、良かった。ありがとう三人共」

娘達の言葉に安心するユーノ。この言葉を聞けたら、また明日から仕事を頑張れる。そのユーノの後ろにいる三女に近づき、その手を握るヴィヴィオ

「え?ヴィヴィオお姉さん?」
「二人に先を越されちゃったね。私が代わりに慣れると良いんだけど」
「あっ!いえ!その、嬉しいです…」

心を読まれたのが恥ずかしいのか、手を繋ぐのが恥ずかしいのか、真っ赤になりながらも、ヴィヴィオの手を握り返す三女と笑顔のヴィヴィオ
子供達の無限書庫見学が終わり、家に帰る五人。さあ今日の晩御飯は何だろう?皆笑顔で家に帰って行く



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025928974151611