プロローグ「すべてが始まった日」
何千何百年も前のこことは違う遠い世界……そこは今、滅びの時を迎えようとしていた。
辺りに建てられていた建物は原型を留めないほど破壊され、様々な物が燃える焦げ臭いにおいが漂っている。
そしてその廃墟の中で、一組の男女が空に浮かぶある物を見つめていた。
「オリヴィエ、あの機械人形は……。」
「あれは……私達を消そうとしているのでしょうか? この世界が愚かな戦いを続けたから……。」
その二人の視線の先には、青い胴体に白い手足、黄色い目に白い三日月の髭を携え、背中からは蝶のような光の粒子でできた羽を羽ばたかせた白いロボットがいた。
その時、空中に浮かぶロボットの足元に魔方陣が現れ、ロボットはその中に沈むように取り込まれていき、やがてこの世界から姿を消した。
「消えた……何故?」
「どうやら私達は滅びずに済んだようです……きっとあれはあなたにこの世界の未来を託したのでしょう。」
そう言って少女は男の元を去ろうとする、そんな彼女を男は引き留めようとしていた。
「待ってくださいオリヴィエ!勝負はまだ……!」
少女は立ち止まることなく、男に優しく語りかけた。
「あなたはどうか良き王として国民と共に生きてください、この大地がもう戦で枯れぬよう、青空と綺麗な花をいつまでも見られるような、そしてあの機械人形に認められるような、そんな国を……。」
「待ってください! まだです! ゆりかごは僕が……!」
オリヴィエ! 僕は―――!!
その日、栄華を誇った一つの世界が滅びの時を迎えた、月光に照らされた蝶の羽を持つ機械人形によって……。
それは、星の海を掛ける“白い悪魔”と呼ばれる機械人形が世界を平和へ導く戦士として君臨するいくつもの物語と、数多なる世界を駆け秩序を管理する魔導師達の世界が、一つの物語として融合していく物語。
母親は願いました、普通とは違う授かり方をしてしまった自分の子供達が、平穏に暮らせる世界になる事を。
機械人形達は願いました、自分たちの主が、大切なものと共に幸せに生を全うしてくれる事を。
少年は願いました、目の前の女の子を守る力を得る事を、そしてその子が笑顔になってくれる事を。
少女は願いました、いつか母親が昔のように笑いかけてくれる事を、そして少年が……いつまでも自分のそばにいてくれる事を。
最初の物語は……やがて運命の名を持つ機械人形を駆る少年が、運命の名を持つ少女と出会い、いくつもの世界を守る心優しきヒーローに成長していく物語。
あの日2人が出会った奇跡は、誰にも想像出来ない物語のプロローグに繋がっていく。
“Lyrical GENERATION 1st” 始まります。
プロローグは終了です、掴みはOK……ですか?
次から本編開始、無印なのはの温泉回終了後の話からスタートです。
ガンダム側の主人公は数多のクロスSSでよく救済されるおなじみのあの少年、なのは側のヒロインは金髪のあの子になります。では引き続き第一話をお楽しみください。