Lyrical GENERATION外伝 りりじぇね!
“りりじぇね!”とは、本編の合間に投下されるほのぼの番外編のことである!
本編と話が繋がっていたり、まったく繋がっていなかったりする。
人気でれば独立させます。では記念すべきその1どうぞ。
りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」
それはシンがフェイト達のジュエルシード集めに協力していた頃のお話です。
その日、シンとフェイトとアルフはジュエルシードの反応がしたとある海上へやって来ていた。相手はイカに憑依したジュエルシードである。
「フェイト! そっちにいったよ!」
「うん!」
海中の中を潜航してシン達を襲おうとする巨大イカ、すると突然、海の中から黒い墨のような物が吐き出され、フェイトの視界を奪ってしまった。
「きゃあ! ま、前が……!」
「フェイト!」
そして墨が吐き出された場所から今度は白い触手が現われ、フェイトの右足に絡みつき彼女を海中に引き摺りこんでしまった。
「しまった!」
「主、ビーム兵器は水中で威力が半減します。」
「なら直接行くしかないね!」
シンとアルフは迷わず海の中に飛び込み、海中の巨大イカに対して攻撃を加える。
(フェイトを離せ!)
まずアルフが巨大イカにバインドを掛け、
(このイカヤロー!)
シンが眉間にアロンダイトを突き刺す。
「ゲソオオオオオオオオオ!!」
すると巨大イカはみるみると縮んでいき、そこにはジュエルシードと小さなイカ、そして触手から開放されたフェイトが浮かんでいた。
(アルフはフェイトを頼む、俺がジュエルシードを封印しておくよ。)
(わかった!)
アルフは念話を受けてフェイトを抱えて海上に浮かんで行き、シンはそのままジュエルシードをデスティニーの中に封印した。
(よーっし、それじゃ早く上に戻ろう。)
(解りました……ところでコレどうします? 今晩のおかずにしますか?)
そう言ってデスティニーはジュエルシードに取り付かれていたイカをシンに手渡す。
(うーん……こいつもジュエルシードに操られていただけだし逃がしてあげよう、もう捕まるんじゃないぞー。)
そう言ってシンは手を放す、するとイカはすーっとシン達の元を離れて行った。
(それにしてもなんでジュエルシードはあのイカに取り付いたんだろう?)
(もしかしてあのイカ地上を侵略しようとしていたとか? そこでジュエルシードを見付けて自ら怪人に……。)
(はっはっは、そんな訳ないじゃなイカ。)
(主、このSSは削除しないかぎり何年も残るのです、時事ネタはどうかと思うでゲソ。)
何かに侵略された2人は息が続かなくなっている事に気付き海上に出る、するとそこにはアルフと彼女に抱えられたフェイトがいた。
「フェイト! 大丈夫だったか?」
「うん、びっくりしたけど怪我もないし……くしゅん!」
「あーあ、みんなびしょ濡れだ……今日はこれぐらいにしてアジトに戻ろうか。」
「さんせー。」
そんな訳でシン達は封印したジュエルシードを持ってアジトに帰って行った……。
異変は次の日の朝に起こった。
「シンシンシンシンー! 大変だよーーー!!!」
シンとデスティニーが眠る寝室に、突如アルフが掛け込んできたのだ。
「んにゅう……なんだよアルフ、もっと寝かせてよ……。」
「それどころじゃないんだよー! フェイトが! フェイトがー!」
「フェイト……? フェイトがどうしたの?」
「フェイトがすごい熱出して倒れちゃったんだよー!」
「えっ!?」
~数分後、フェイトの寝室~
「38.8分……完っ全に風邪ですね。」
デスティニーはフェイトの腋に挟んでおいた体温計の数値を読みあげてを見て憂鬱そうに溜め息をつく。
「どどどどどどどどうしようシン!! フェイトが死んじゃうよ!」
「お、落ち着きなよ……ホントどうしよう、取りあえず病院に……。」
「身元を証明できる物を持っていない私達が治療を受けられるでしょうか?」
「そ、そっか……なら俺達でなんとかするしかないなあ、取りあえず……風邪薬とか無いの?」
「そ、そういえばここには無い……! アタシ買いに行ってくる!」
アルフはそう言ってアジトを飛び出していった……。
「あ、あいつ大丈夫かな……狼の姿のままだったぞ。」
「街が大騒ぎになりますね……とりあえず私達はフェイトさんの看病をしましょう。」
そう言ってデスティニーはベッドで苦しそうにしているフェイトの上に毛布を掛ける。
「うーん、うーん……。」
「フェイト苦しそう……。」
「主は濡れタオルを持ってきてください、うんと冷たいので。」
「わ、わかったよ。」
それからさらに数分後、濡れタオルを額に乗せたフェイトは汗だくになりながらベッドの上で呻いていた。
「うーん……熱いよー。」
「ああ、今毛布よけてやるよ。」
「駄目です主、風邪をひいた時は汗を一杯かかせて悪い菌を外に出させるのです。」
「そ、そうなの?」
デスティニーに注意されて思わず萎縮するシン。
「こういう時は水を沢山飲ませて代謝を促進させるのです、ちょっとお茶作ってきますねー。」
そう言ってデスティニーはシンを残して台所へと向かった。
「うーん、風邪なんてひいた事無いし風邪ひいた人見た事もないからどうすればいいかわからないなー。」
シンは自分の不甲斐なさにすっかり落ち込んでしまう、するとその時、フェイトが何かつぶやき始めた……。
「し、シン……。」
「ん? どうしたのフェイト。」
「わ、私どうなっちゃうのかな……すごく苦しいよ、もしかして死んじゃうのかな……。」
「バカだなあ、そんな訳ないじゃん。」
フェイトは風邪をひいてすっかり弱気になってしまい、目にうっすら涙を浮かべて弱音を吐いていた。
「やだよ……私死にたくないよぉ……だって母さんに笑って貰ってないし、あの子とまだ仲直りしてないし、シンのジュエルシードもまだ取ってないのに……。」
「……。」
するとシンは何も言わず、フェイトの手をぎゅっと握った。
「シン……?」
「大丈夫、君は死なないよ、だからゆっくりお休み。」
「う、うん……。」
そしてフェイトは安心したのか、瞳を閉じてすうすうと寝息をたてて眠り始めた。
(いやー……なんつうか今のフェイト、すごく可愛かったな……不謹慎か。)
するとそこにお茶が入ったポットを抱えたデスティニーが戻ってきた。
「あら? フェイトさん寝ちゃったんですか。」
「うん、ついさっきね。」
「うふふふ……主ったらがっちり手なんて握っちゃって……もしかしてお邪魔でした?」
「……! なんでもねえ!」
シンは顔を真っ赤にして自分の手を背中に回す、そしてデスティニーはフェイトの様子を見てある事に気付く。
「お、随分と汗が出ていますね、そろそろ着換えさせたほうがいいでしょう。」
「着替え?」
するとデスティニーはフェイトに掛けられた毛布を剥がし、フェイトのパジャマのボタンを一つずつ外し始めた。
「主も手伝ってください、フェイトさんの服を取り換えて体を拭かなければ……。」
「えええええええええ!!!!!? 俺が!!!?」
突然の指示にシンは面喰ってしまう。
「何をしているのです、このままではフェイトさんの風邪が悪化してしまいます、ハリーハリーハリーハリー!!」
「で、でも女の子の服を脱がすなんて……。」
「今彼女を救えるのはアナタしかいないんですよっっ!!!!」
「は、はいいいい!!!」
デスティニーの迫力に押されたシンは、顔を真っ赤にしながらフェイトの体を起こした。
ちなみにデスティニーはシンに見えない所で「計画通り」という某マンガの主人公みたいな悪い笑みをこぼしていた。
「じゃ、じゃあ脱がすぞ……。」
シンは今にも鼻血を吹きそうになりながら、フェイトが着ていたパジャマを後ろから脱がす。するとフェイトの胸には白いスポーツブラが付けられていた。
「ああ、下着も着替えさせなければ……。」
「お、おう……。」
次に汗でびしょびしょになったスポーツブラを両腕をあげて脱がせる、その間にデスティニーは下の部分をさっさと脱がしていった。
「ぐっ……!」
初めて見る家族以外の女の子の一糸まとわぬ姿を見て、シンは思わずフェイトから視線を背ける。
「では主、体を拭くので体を支えていてください。」
「わわわ……解った。」
そしてデスティニーは30cmしかない小さな体を目一杯使ってフェイトの体の前部分をくまなく拭いていった。
「まあまあ、ゆで卵みたいにプルプルした肌をお持ちで……あら、こんなところにホクロが。」
「いいいいいから早くしろよ!」
それから数分後、体を拭き終えて新しいパジャマに着替えさせたフェイトを再びベッドに寝かせたシンは、部屋の隅で額にヤカンを乗せれば中の水が湧き上がるぐらい赤くなっていた。
「やばい……さっきの思い出したら顔が熱くなってきた、風邪うつったのか?」
「いやー堪能しました、それでは主、次はおかゆを作りましょうか。」
さらに数十分後、シンとデスティニーは台所で作った卵粥を持ってフェイトの寝室に戻ってきた。
「あ……二人ともおはよう。」
「フェイト、もう起きても大丈夫なのか?」
「うん、ちょっと楽になったよ……。」
そう言ってフェイトは節々に痛みを感じながらも自分の体を起こした。
「あんまり無茶をしちゃダメですよ、病み上がりが一番危ないんですから……。」
そう言ってデスティニーはシンにスプーンを手渡す。
「それじゃ主、フェイトさんに卵粥を食べさせてあげてください。」
「わかったよ。」
シンは卵粥をスプーンで一口分掬い、フェイトに差し出した。
「フェイト、あーんしろあーん。」
「あーん。」
それに対してフェイトは素直に口を開き、スプーンの上のお粥を美味しそうに食べた。
「どう? 美味しい?」
「うん、おいしいよ。」
「おー、よかったなデスティニー、美味しいってさ。」
「え? これデスティニーが作ったの?」
「ええ、私は味加減のほうを……コンロの火とかは主にやってもらいましたが。」
「そっか、ありがとう二人とも……。」
そう言ってフェイトはデスティニーの頭をやさしく撫でた。
「ささ、まだ一杯あるからな、一杯食べて早くよくなれよ。」
「うん。」
それから一時間後、卵粥を食べ終えたフェイトは再びすうすうと寝息を立てて眠ってしまった。
「いやー、また眠っちゃったね。」
「たくさん食べましたからね……これならすぐに良くなるでしょう。」
「でもなんで急に熱だしちゃったんだろうな、俺たちは平気なのに……。」
「おそらく昨日水をかぶったのと……今までの頑張りで蓄積した疲れがドッと出てしまったのでしょう、いくらフェイトさんに魔力があるからといってその他は普通の9歳の女の子と変わりませんから。」
「そっか……。」
シンは複雑な思いを抱きながら、寝息を立てて眠るフェイトの頬を撫でてあげた。
「俺たちがもっと支えてあげないとな……。」
「……ですね。」
その時、玄関から来客を告げるインターホンの音が鳴り響いてきた。
「あれ? 誰か来ましたね。」
「俺見てくるよ。」
そしてシンは玄関に赴き扉を開く。
「あ、あなたは……。」
するとそこには意外な人物が立っていた。
フェイトは朦朧とする意識の中、自分の額に誰かが手を乗せていることに気付いた。
(誰だろう? 温かい手……もしかして母さん?)
フェイトはゆっくりと自分の額に手を乗せている人物を見る、その人物とは……。
「ヴィア……さん?」
「あら、ごめんね……起こしちゃったみたいね。」
そう言ってヴィアは水で濡れたタオルを絞ってフェイトの額に乗せる。
「ヴィアさん、どうしてここに……。」
「風邪薬探し回っていたアルフから連絡があったのよ、“フェイトが熱出したんだけどどんな薬を買えばいいのかー”って。」
「それでわざわざここに……。」
「別にいいのよ、研究の合間の息抜きになるし……アナタはゆっくりと休んでいなさい。」
「…………。」
フェイトはふと、ある人物の姿を探す為部屋を見回す、しかし部屋にはフェイト自身とヴィアしかいなかった。
「ごめんねフェイトちゃん、プレシアはここには来ていないわ。」
「……そうですか。」
その言葉を聞いたフェイトは少し落胆したかのように毛布の中に顔を埋めた。
「ごめんね、私も誘ったんだけど断られて……でもその代わり……。」
「ヴィアさーん! リンゴすりおろしてきたよー。」
するとそこにすりおろしりんごが盛り付けられたお椀を持ったシンとデスティニーと、大量の風邪薬を抱えたアルフが部屋に入って来た。
「ほらフェイト! これだけ飲めばすぐによくなるよ!」
「アルフさん、風邪薬は大量に飲めばいいというものでは……。」
「ヴィアさんの分も切っておいたよ、皆で食べよう。」
「ありがとう、それじゃフェイトちゃん……。」
そう言ってヴィアはすりおろしたリンゴを乗せたスプーンをフェイトの前に差し出す。
「そ、それじゃ……。」
フェイトはそれをパクリと口の中に入れる、そして……ある事に気付いた。
「あ……このリンゴ、もしかして……。」
「そうよ、アナタの生まれ故郷の森で取れたリンゴをプレシアが持ってきた物よ、彼女は“腐るといけないからあの子にでもあげなさい”なんて言っていたけど……何だかんだ言ってアナタの事が心配なのよ。」
(あの女が~?)
アルフはヴィアの“プレシアがフェイトを心配している”というのがいまいち信用出来ずに首を傾げる。
「えへへ……母さんが……。」
だがフェイトのとても嬉しそうな顔を見て声に出す事はなかった。
(まいっか、フェイト嬉しそうだし……。)
「ほわー! このリンゴおいしいね! フェイトとアルフって毎日こんなおいしいリンゴ食べていたんだ!」
一方自分で切ったリンゴをデスティニーと一緒に食べていたシンは、あまりのおいしさに笑みをこぼしていた。
「沢山貰ってきたからね、冷蔵庫に入れて大事に食べなさい。」
「はーい。」
「…………。」
フェイトはそんなヴィアを見て、思わずこんな言葉を洩らした。
「ヴィアさんって……なんだか優しかった頃の母さんみたい。」
その数日後、フェイトの体はすっかりよくなり、無事ジュエルシード探索を再開できたそうな……。
おまけ、数日後の時の庭園にて……。
「げほげほげほ!!!」
ヴィアはマスクをして鼻水をすすりながらカプセルの前でキーボードを叩いていた。
そんな彼女の様子を見ていたプレシアは、呆れたように溜め息をついた。
「……あの子にうつされたのね。」
「あははは、面目な……くしゅん!!!(ポチッ) あ、変なトコ押しちゃった。」
「ちょ、ちょっと!? 装置から煙出ているけどアナタ何のボタン押しt
チュド―――――――――――――ン!!!!
その瞬間時の庭園に大きな爆発音が鳴り響き、ヴィアとプレシアは数日の間チリチリヘアーで過ごしたという……。
はい、爆発オチですいませんね。次回は今結果待ちの企業の連絡が来たらまたその内……。