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No.22867の一覧
[0] Lyrical GENERATION(再リメイク検討中)[三振王](2012/11/05 21:33)
[1] Lyrical GENERATION 1st プロローグ「すべてが始まった日」[三振王](2010/11/02 22:18)
[2] 第一話「巡り会う運命」[三振王](2010/11/02 22:23)
[3] 第二話「交錯する閃光」[三振王](2010/11/06 20:30)
[4] 第三話「閉ざした過去」[三振王](2010/11/07 20:44)
[5] 第四話「僕が選んだ今」[三振王](2010/11/09 20:16)
[6] 第五話「僕達の行方」[三振王](2010/11/12 08:30)
[7] 最終話「君は僕に似ている。」[三振王](2011/01/20 09:47)
[8] エピローグ「私は笑顔でいます、元気です。」[三振王](2011/12/14 21:31)
[9] TIPS:とある局員のプライベートメール[三振王](2010/11/21 23:45)
[10] りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」[三振王](2010/12/17 23:35)
[11] りりじぇね! その2「アリサのメル友」[三振王](2010/12/31 15:53)
[12] りりじぇね! その3「ちょこっと!Vivid!  ~ヴィヴィオの家出~」[三振王](2011/01/03 22:26)
[13] Lyrical GENERATION STARGAZER プロローグ「霙空の星」[三振王](2011/01/20 20:32)
[14] 序章1「新しい生活」[三振王](2011/01/23 19:47)
[15] 序章2「再会する運命」[三振王](2011/01/24 20:32)
[16] 序章3「12月1日」[三振王](2011/01/26 22:21)
[17] 第一話「始まりは突然に」[三振王](2012/01/27 10:52)
[18] 第二話「新たなる生活」[三振王](2011/02/03 20:52)
[19] 第三話「青き清浄なる世界」[三振王](2011/02/05 21:35)
[20] 第四話「隠した心」[三振王](2011/02/08 20:09)
[21] 第五話「交わらない道」[三振王](2011/02/17 20:56)
[22] 第六話「蒼き嘆きの詩」[三振王](2011/02/14 19:52)
[23] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」前編[三振王](2011/02/16 21:09)
[24] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」後編[三振王](2011/02/17 21:03)
[25] エピローグ「大人になっても忘れない」[三振王](2012/01/27 10:53)
[26] TIPS:ある教授の日誌 +???[三振王](2011/02/20 09:07)
[27] 超級! 魔法武闘伝! プロローグ「交わる物語(ストーリー)」[三振王](2011/05/05 21:33)
[28] 第一話「姉妹」[三振王](2011/05/11 21:18)
[29] 第二話「ガンダムファイター(見習い)VS守護獣」[三振王](2011/05/16 21:59)
[30] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」[三振王](2011/05/22 21:58)
[31] 第四話「迷子の魔法使い」[三振王](2011/05/27 23:05)
[32] 第五話「接触」[三振王](2011/06/19 22:57)
[33] 第六話「運命の連鎖」[三振王](2011/07/06 22:14)
[34] 第七話「闇を統べる者」[三振王](2011/07/12 22:29)
[35] 最終話「Silent Bible」[三振王](2011/07/15 16:34)
[36] エピローグ「安息」[三振王](2011/07/15 16:36)
[37] Lyrical GENERATION SEED+プロローグ[三振王](2011/12/14 21:30)
[38] 第一話「出発」[三振王](2011/12/29 22:25)
[39] 第二話「3人目の少年」[三振王](2012/01/16 00:17)
[40] 第三話「原罪の創造主」[三振王](2012/01/28 08:08)
[41] 第四話「雷雨の中で」[三振王](2012/02/20 17:32)
[42] 第五話「戦いの前夜」[三振王](2012/05/16 10:06)
[43] 第六話「オペレーション・スピットブレイク」[三振王](2012/05/19 09:10)
[44] 第七話「抱える想い」[三振王](2012/07/11 20:46)
[45] 第八話「使命」[三振王](2012/08/07 17:39)
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[22867] 序章3「12月1日」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:db7e3223 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/26 22:21
スウェンが八神家の一員になってから数ヶ月、季節は秋に移ってから大分経っていた。
とある日の朝。
「アニキ~朝ッスよ~」
はやてに与えられた二階の寝室で、スウェンはノワールに起こされて目を覚ます。
「おはようございます!アニキ!」
ノワールが元気に挨拶してくる、ちなみにノワールは今黒を基調とした騎士服(はやてデザイン)を着ている。
「……ああ、おはよう」
スウェンは眠い目を擦りながらもノワールに挨拶する。枕元には、星に関する本が開いたまま置いてあった。
「また読みながら寝ちゃったんッスか~?風邪ひくッスよ~?」
「……ああ、以後気をつける」
「そうッスか!そろそろ下に降りましょう!はやて姐さんが朝食作ってくれていますッス!」
「ああ」

台所でははやてとシャマルが朝食の準備をしていた。
「あ、おはようなスウェン、ノワール」
「おはよう」
「おはようございます!はやて姐さん! シャマル姐さん!」
「元気ええなーノワールは、もうちょっとで終わるから二人とも先に顔洗ってきいやー。」
「ああ」
二人は洗面所に行き顔を洗って寝癖を直す。すると、
「ふう……いい湯だった。」
浴室からシグナムが出てくる。お風呂に入っていたらしく、当然なにも着ていない。
『あースウェンー? 言うの忘れとったけど今シグナム風呂入っとるから気いつけやー』
遠くではやての声が聞こえる。なにもかも遅すぎだった。
これがどっかのラッキースケベなら一瞬でサンダーレイジで黒コゲなのだが、スウェンの場合は違っていた。
「な……!? 何をしとるんだ貴様らはー!!?」
「え、あ、スマン」
シグナムが投げた石鹸をクールに横にずれて避けるスウェン。
「さすがシグ姐さん、ダイナマイツなバディッ!!!」
「ちょ! 貴様ぁ!」
片っ端から浴室にあった物をスウェン達に投げるシグナム。
「だからスマンて……」
それらを軽やかにかわしていくスウェン。
「のほほ~絶景絶景~ちょっとアニキ! あんまり素早く動かんでくださいよ! 画像がブレるでしょ!」
ノワールはスウェンの肩でシグナムの体をしっかり観察していた。(ハンディカメラ持って)
「何の騒ぎだ?」
そこにザフィーラ(人型)が様子を見にやってくる。
「どおおおおお!!!? 貴様まで入ってくるな!!」
シグナムはシャンプーが満タンに入って重さ、威力十分の容器をザフィーラに投げ、見事彼の顔面に直撃させる。
「おごっ!?」
そしてザフィーラは容器を顔面にめり込ませたまま床に倒れた。

「もうあかんでシグナム~? 朝っぱらからはしゃいじゃ」
朝食が食卓に並べられていくなか、はやては先ほどのシグナムの暴れっぷりを注意する。
「も、申し訳ございません……」
(半分ははやてが原因だと思うが……)
そこに、今起きたばかりのヴィータがやってくる。
「ねむ~……ん? どうしたんだザフィーラ? その顔」
「…………ちょっとな」
ザフィーラの眉間にはバッテン印に絆創膏が貼られていた。


そしてはやては何気なくチャンネルを操作しテレビの電源を入れる、すると丁度朝のニュースが放送されていた。
『おはようございます、12月1日の朝のニュースをお伝えいたします、まずは先月アイルランドで起こったKPSAの自爆テロの続報から……』
「おっかないなあ、自爆テロやて……たくさんの人が死んだんやってなあ、しかも実行犯は私と齢変わらないそうやないか」
「ええ……まったくひどいものです」
『これに対しAEU協議会はテロ防止の為警備体制を強めると発表し……』
そのニュースにはやて達は真剣に耳を傾ける、そんな中スウェンはキャスターが読み上げていた記事の内容の中に引っかかるものを感じていた。
(テロ……たくさんの人が……)
するとスウェンの様子に気づいたザフィーラが彼に話しかける。
「ん? どうしたスウェン? 箸が止まっているぞ」
「い、いや……ひどい話だなと思って……行方不明者も一人いるんだろう?」
「……………」
ノワールはただただ、少し動揺している様子のスウェンを真剣な表情で見つめていた……。



その日の昼前のこと、やることのないスウェンは部屋にこもって星の勉強を始めていた。
「アニキも好きッスね~、星」
「ああ……なぜだか興味が沸くんだ、もしかしたら俺は記憶をなくす前は天体学者を目指していたのかもしれない……」
はやてのもとにやってきてから半年近くたち、スウェンにもいつの間にか天体観測という趣味ができていた。そして彼は昼間の暇なときはこうやって図書館から借りてきた資料を漁りながら独学で勉強をしていた。
「スウェンー、ノワール、入るでー」
するとそこにクッキーとコーヒーの乗ったトレイをもったはやてがやってきた。
「はやてか……ありがとう」
スウェンははやてからトレイをを受け取ると、クッキーを小さく砕きそれをノワールに渡した。
「いやー、はやて姐さんの作ったクッキーは格別ッス!」
「ふふふ……ありがとうノワール、スウェンは勉強捗っとる?」
「ああ、あの図書館にはいろいろな本があるんだな……勉強になるよ」
「ほんなら明日は私と一緒に図書館で本探しでもしよか、ほかにもいろいろあると思うで、今日は午後から病院やから行けへんけど」
「そうだな……」


数時間後、昼食の時間にその事件は起こった。
「う……ぐおおおお……!!!!」
「ブクブクブク……」
「はひっ! ひへっ! わふっ!」
テーブルでシグナム、ヴィータ、ザフィーラが泡を吹いて倒れたのだ。
「ひ、ひどい……! なんで! なんでこんなことに!?」
あまりの惨状を目の当たりにしたはやては車いすの上で泣きわめく、そんな彼女の肩にスウェンはそっと手を置く。
「落ち着くんだはやて……泣いたってもうみんなは……それよりもなんでこんなことになったのか調べよう!」
そう言ってスウェン達は勇ましく台所に向かう、するとそこには様々な材料が散乱していた。
「これは……カレールーか、そしてこれは鯛……それにネギとヨーグルトだと!? ここにはパピ粉にフリスク(オレンジ味)……一体何を作ろうとしていたんだ!?」
スウェンはあまりの惨状に戦慄を覚える、そして紫色の怪しいオーラを放つ鍋を見つける。
「よし……ノワール、味見してくれ」
「嫌」
スウェンの肩に乗るノワールは彼の要望を即座に断る、その間実に0.002秒。ニュー○イプも裸足で逃げ出す反応速度だ。
「そうか……ならしょうがない、俺が味見をしよう」
「いや! スウェンにそんな危険なことはさせへん! ここは一家の主たる私が!」
そう言ってスウェンとはやては勇敢にも挙手しながら味見に立候補する。そんな二人をみてノワールは魂が震えるのを感じていた。
「(そんな……! みんな自分の身の危険を顧みずに……それなのにオイラは……!)仕方ねえ! やっぱオイラが味見を!」
「「どうぞどうぞ」」
「謀ったな八神ぃぃぃ!!!!」
味見の座を即座に譲られたノワールは木馬に特攻する時のザ○家の末っ子のような顔でスウェンに取り押さえられる。そしてはやては鍋の中身の生物兵器をスプーンですくい上げてノワールに差し出す。
「はいノワール、あーん」

ギョエアアアアア

「なんか鳴いてる! スプーンの上でなんか鳴いて……! ムグッ!」
突っ込んでいるうちにスプーンを口の中に入れられるノワール、そして……。
「へああああ! メガァァァァァ!!!」
口の中の劇物を飲み込んだ途端目を押さえながら床でのた打ち回った。
「ノワール! 犠牲は無駄にせえへんで……!」
「シグナム達もこれを食べてああなったのか……つまり犯人はこれを作った人物……」
その時、台所にとある人物が神妙な面持ちでやってきた。
「犯人は……すりっとまるっとお見通しや、シャマル」
はやてに指をさされ、観念したかのようにがっくりと項垂れるシャマル。
「すべて……ばれてしまったんですね……」
「何故だ……!? 何故こんな危険なものを作ったんだ!?」
「今朝のリベンジと……あと昨日見たキュ○ピー三分間クッキングにおいしそうな料理が紹介されていて、私だけで作ってみんなをびっくりさせようと……でも材料のメモを取るのを忘れていて、仕方なく記憶を頼りに(見た目が)似ている食材を使って……!」
そしてシャマルはその場で崩れおち、顔を手のひらで覆って泣き始めた。
「ごめんなさい……! まさかこんなことになるなんて……! 私はなんてことを……!」
「どうして……! どうしてこんなものをシグナム達に食べさせたんだ!?」
「だって……使った食材がもったいなかったの!」
そしてはやては泣き続けるシャマルに優しくそっと囁いた。
「……自首しようか、私たちもついてったる……」
「はい……!」
そしてシャマルはコートを被せられ、はやてによってどこかへ連行されていった。
「嫌な事件だったな……」

こうしてのちに「八神家集団食中毒事件」は多くの犠牲者を出して終わりを迎えた、ちなみにスウェン達は何故無事なのかというと、先ほどクッキーを食べたため昼食の時間を遅らせた為難を逃れたからだった。

「……なんだコレ?」





その日の夜、八神家の食卓
「ぁあ? ふざけんな! アタシは飛び出せ!科○くん見るんだよ!!」
「何を言っている!! 今日は世界衝○映像社の日だろうが!!」
シグナムとヴィータがチャンネル争いをしていた。
「上等だよ……! ここで白黒つけるか!?」
「おもしろい! レヴァンティンの錆にしてくれる!!」
「コラ~!! ケンカしたらアカン~!」
「そうよ! ケンカする子はテレビ見せないわよー!?」
「それよりも俺は中○生日記見たいんだが……」
一触即発(一匹空気を読んでいないが)の中、
「あ、天才志○動物園が始まる」
「どうでもいい話ッスけどザフィーラのアニキをこの番組に出演させたら大儲けできると思いません?」
たくあんをボリボリ食べながらスウェンはチャンネルを変えた。
「こら貴様!! なに勝手に変えている!?」
「舐めた真似してっとギガントすんぞ!?」
「ふたりとも……ええかげんにせんと一週間アイスと風呂抜き、それにシャマルの料理食わせ続けるで」
「「ゴメンナサイ」」
光の速さでDOGEZAするシグナム&ヴィータ
「はっやっ! そこまでイヤなの!?」
「中○生日記……」
「今日はパンダの赤ちゃん特集か」
「なんで動物の赤ちゃんってみんなキャワイイんやろうな」
「あ、次め○ゃイケみていいッスか? メンバー増えてからどうもあの番組の行く末が気になる」



お風呂上りの時間帯に今日二度目の事件は起こった。
「さて、ウチが名前付けてまで大事にとっといたプリン(生クリーム付き)が食べられとったんやけど……誰?」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
全員床に正座(背の順で)
「怒らないから言うてみ~?」
顔は笑っているけど目が全然笑っていないはやてを見て、それを見た全員は蛇に睨まれた蛙の如く萎縮してしまう。
(絶対怒るな……)
(絶対怒る……)
(絶対怒るわね……)
(絶対怒るワン……)
(絶対怒るッス……)
「小腹が空いていて……」
その時、スウェンが空気に耐えられず観念して手を上げて自白した。
「「「「「お前かい!!!!!」」」」」
意外な犯人に他の五人分のツッコミが見事ハモる。
「コルァァァ―――――!!!」
そんな彼に対し大激怒するはやて。
「「「「「やっぱり怒った!! めっちゃ巻き舌!」」」」」
「何故だ? 正直に言えば怒らないと……」
スウェンは小首を傾げながらはやての説教を小一時間受け続けたという……。

皆が寝静まった夜、スウェンはベランダで一人星を見ていた。
「今日も綺麗だ……」
スウェンは瞳を閉じ今までの八神家の生活を思い出していた。
騒がしくもどこか穏やかな日常、怒られたり、失敗したり、辛い思いをすることもあったが、それを帳消しにするくらい幸せだった。
「あとは……はやての体か」
「ウチがどうかしたん?」
するとベランダに車椅子に乗ったはやてがやってきた。
「はやて……星を見にきたのか?」
「正確には星を見ているスウェンを見に来ました。」
「そうか……」
車椅子を自分ごとスウェンの隣に移動させるはやて、二人はしばらく星空を見上げていた。
「……なあ、はやて」
スウェンは隣にいたはやてに話しかける。
「どないしたん?」
「なぜ……見ず知らずの俺を八神家に招いてくれたんだ?俺は何者なのか自分でも判らないんだぞ?」
「そうやなあ……」
はやては再び星空を見上げて考える。そして、
「スウェンが…昔のウチみたいに…寂しそうやったからかなあ……」
「寂しい?」
「ウチな、スウェンや守護騎士のみんなが来るまではこのだだっ広い家で一人でくらしてたんよ。この体で病院通いで学校にも全然行ってへんかったし……今思えばホンマ考えられへん生活してたんや……」
幼い頃両親が死に、自宅と病院を行き来する生活、担当の石田先生との交流はあったが、それでもとても寂しい思いをしていたのだ。
「………」
スウェンは何も言わず、ただ黙って聞いていた。
「ほんでな、そんな時私はスウェンに出逢ったんよ。そんでスウェン見て……『この人なんて寂しい目をしているんやろう』と思ったんよ」
「………」
「これはウチの勘なんやけどな……スウェンってきっとここにく来るまでは…とっても寂しい思いをしていたんやと思う……。だからウチ、スウェンのこと放っておけなかったんや。同情やないで? まあ……一人ぼっちで生きて行くのが辛かったから拠り所を探していたんだと思う」
「ああ……それはわかる」
スウェンはそれがはやての優しさだということは、これまでの八神家の生活を通じて解っていた。
「今はホンマ幸せやで、シグナムがいて、ヴィータがいて、シャマルがいて、ザフィーラがいて、ノワールがいて、スウェンがいて……。皆が居てくれるだけで幸せや。たとえ……近い未来……ウチが死ぬ事になっても……」
「!!」
はやては、近いうち自分が今患っている病気で死ぬということに、なんとなく気付いていたのだ。
「でも……本当は死ぬのが怖い……皆と離れとうない……」
いつのまにかはやては泣きじゃくっていた。その姿はいつもの気丈な様子はなく、歳相応の弱々しい少女になっていた。
「みんなと……ずっと……一緒にいたい……離れたく……一人ぼっちになりたくないよぉ……」
今まで自分はこのまま一人寂しく死んでゆくのだと思っていた、だが今は一緒に居てくれる家族がいる。だからもっと生きていたいのだ。
今まで溜め込んでいた想いが、ここに来てどっと溢れ出てきた。
「はやて……」
スウェンは泣いているはやての後ろに回りこみ、
「……」
「え?」
彼女を優しく抱きしめた。はやては何が起こったか解らず泣き止む。
「スマン、こういう時どうしたらいいか解らないから……コレしか思いつかなかった。」
それは精一杯考えたすえに出てきた彼なりの慰め方だった。
「ふふっ、ガラにも無い事して……でもありがとう」
いつのまにかはやては笑っていた。その笑顔は星の光に照らされて、普段とはまた違った輝きを放っている。
「……そろそろ寝よう、これ以上いると風邪を引く」
「そうやなあ、もう十二月やもんな……」
「あ、ちょっとまて」
そう言うとスウェンは車椅子に乗っていたはやてを抱き抱え上げた。
「なっ!? なななななっなにを!?」
突然スウェンに抱き抱えられ、近い歳の男性の耐性があまりないはやては混乱していた。
「いや、車椅子から一人でベッドに移動するのは辛いだろうと思って……嫌だったか?」
「そっ……そんなことあらへんよ……!」
(これってお姫様抱っこやん……おまけに顔近っ! ……かっこええな……いやそうじゃなくて!)
「どうした顔が赤いぞ……? しかも体温が上がっているようだが……」
「なっ……なんでもございません!!」
そして二人は中に入っていった、その間ずっとはやては顔を赤く染め小声でなにやらブツブツ言っており、スウェンは首を傾げていた。

はやてを寝室に送り届け、スウェンは自分の寝室に戻ろうとしていた。
ふと、掛けてあった時計が目に入る、時刻はちょうど夜十二時を指していた。
「日付が変わった……今日は12月2日か」
季節は秋から冬に移っていった。

そして……物語も動き出す。










本日はここまで、この話は以前投稿したものを書き直したものとなっております。
さあ次回より本編開始、無印編より大分登場人物が増えててんやわんやですが頑張ります。


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