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No.22867の一覧
[0] Lyrical GENERATION(再リメイク検討中)[三振王](2012/11/05 21:33)
[1] Lyrical GENERATION 1st プロローグ「すべてが始まった日」[三振王](2010/11/02 22:18)
[2] 第一話「巡り会う運命」[三振王](2010/11/02 22:23)
[3] 第二話「交錯する閃光」[三振王](2010/11/06 20:30)
[4] 第三話「閉ざした過去」[三振王](2010/11/07 20:44)
[5] 第四話「僕が選んだ今」[三振王](2010/11/09 20:16)
[6] 第五話「僕達の行方」[三振王](2010/11/12 08:30)
[7] 最終話「君は僕に似ている。」[三振王](2011/01/20 09:47)
[8] エピローグ「私は笑顔でいます、元気です。」[三振王](2011/12/14 21:31)
[9] TIPS:とある局員のプライベートメール[三振王](2010/11/21 23:45)
[10] りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」[三振王](2010/12/17 23:35)
[11] りりじぇね! その2「アリサのメル友」[三振王](2010/12/31 15:53)
[12] りりじぇね! その3「ちょこっと!Vivid!  ~ヴィヴィオの家出~」[三振王](2011/01/03 22:26)
[13] Lyrical GENERATION STARGAZER プロローグ「霙空の星」[三振王](2011/01/20 20:32)
[14] 序章1「新しい生活」[三振王](2011/01/23 19:47)
[15] 序章2「再会する運命」[三振王](2011/01/24 20:32)
[16] 序章3「12月1日」[三振王](2011/01/26 22:21)
[17] 第一話「始まりは突然に」[三振王](2012/01/27 10:52)
[18] 第二話「新たなる生活」[三振王](2011/02/03 20:52)
[19] 第三話「青き清浄なる世界」[三振王](2011/02/05 21:35)
[20] 第四話「隠した心」[三振王](2011/02/08 20:09)
[21] 第五話「交わらない道」[三振王](2011/02/17 20:56)
[22] 第六話「蒼き嘆きの詩」[三振王](2011/02/14 19:52)
[23] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」前編[三振王](2011/02/16 21:09)
[24] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」後編[三振王](2011/02/17 21:03)
[25] エピローグ「大人になっても忘れない」[三振王](2012/01/27 10:53)
[26] TIPS:ある教授の日誌 +???[三振王](2011/02/20 09:07)
[27] 超級! 魔法武闘伝! プロローグ「交わる物語(ストーリー)」[三振王](2011/05/05 21:33)
[28] 第一話「姉妹」[三振王](2011/05/11 21:18)
[29] 第二話「ガンダムファイター(見習い)VS守護獣」[三振王](2011/05/16 21:59)
[30] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」[三振王](2011/05/22 21:58)
[31] 第四話「迷子の魔法使い」[三振王](2011/05/27 23:05)
[32] 第五話「接触」[三振王](2011/06/19 22:57)
[33] 第六話「運命の連鎖」[三振王](2011/07/06 22:14)
[34] 第七話「闇を統べる者」[三振王](2011/07/12 22:29)
[35] 最終話「Silent Bible」[三振王](2011/07/15 16:34)
[36] エピローグ「安息」[三振王](2011/07/15 16:36)
[37] Lyrical GENERATION SEED+プロローグ[三振王](2011/12/14 21:30)
[38] 第一話「出発」[三振王](2011/12/29 22:25)
[39] 第二話「3人目の少年」[三振王](2012/01/16 00:17)
[40] 第三話「原罪の創造主」[三振王](2012/01/28 08:08)
[41] 第四話「雷雨の中で」[三振王](2012/02/20 17:32)
[42] 第五話「戦いの前夜」[三振王](2012/05/16 10:06)
[43] 第六話「オペレーション・スピットブレイク」[三振王](2012/05/19 09:10)
[44] 第七話「抱える想い」[三振王](2012/07/11 20:46)
[45] 第八話「使命」[三振王](2012/08/07 17:39)
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[22867] 第一話「始まりは突然に」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:5c714ab6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/27 10:52
 第一話「始まりは突然に」


CE66年10月末、家族皆で夕食をとり居間でくつろいでいたシンは両親からある話を聞かされた。
「引っ越す……? オーブから?」
「うん、最近色んな所でコーディネイターに対するテロが頻発してきただろう? この前もバイオリン奏者の人が殺されたし……この辺も危なくなってきているんだよ」
「怖いわよね……だから12月に引っ越すことにしたのよ」
両親の提案に、シンは目を丸くして驚く。
「えー? でもどこに引っ越すの? プラント? 父さんの仕事はどうするの?」
「うん……それなんだがな、実は父さん、時空管理局の技術部からオファーが来ているんだ。つまり転職だな」
「管理局に!? すごいじゃん!」
「うん、そこでリンディさんと相談してね……比較的治安がよくてコーディネイターの差別がない世界に引っ越そうと思っているの」
「差別のない世界……? それってもしかして……!」
「そう、第97管理外世界……海鳴市だよ」





それから一カ月後、オーブのモルゲンレーテ社のラボ、そこでシンの父は退社するため会社に置いてある自分の荷物を次々と纏めていた。そこに……若い社員の女性がシンの父親に話しかけてくる。
「アスカさんもう行っちゃうんですか? 寂しくなりますね」
「そうだねぇ、後の事は君に任せる事になるだろうけど大丈夫かい?」
「ええ、アスカさんの分まで皆と頑張ります……ところでアスカさん、一体どこに引っ越すんです?」
「ああ……えっと……日本の海鳴ってところだよ」
事情を知らない人間にあまり詳しい事を話せないシンの父はそれとなく誤魔化して話した。
「日本……東アジアですか、確かにあそこは比較的治安がいい所ですよね」
「う、うん……まあそうだよね」
「今度連絡ください、もしかしたら子供と一緒に観光に行くかもしれませんので。」
「その時は案内してあげるよ、それじゃあエリカ君、私はここで」
そう言ってシンの父は段ボールに詰めた自分の荷物を持ってラボを出て行こうとした。

「姫さまー! 待ってくださいー!」
「やだよー!」
「おおっと!?」
その時、彼の目の前に2人の少女が走って通り過ぎて行き、シンの父は驚いて転びそうになる。
「こら姫様! それにアサギ! ラボの中を走り回っちゃ危ないでしょ!」
その様子を見たエリカは走り去ろうとしていた2人の少女を怒鳴りつける。
「ひゃん!」
「す、すみません!」
エリカの怒鳴り声を聞いて思わず動きを止める2人の少女。
「はっはっは、姫様は元気いっぱいですな」
そう言ってシンの父は元気が有り余っている様子の金髪の少女の頭を撫でた。
すると頭を撫でられた少女はシンの父が持つ荷物を見て首を傾げる。
「ん? お前どうしたのだ荷物をまとめて……?」
「姫様、アスカさんはこれから日本に引っ越すのだそうです」
「ニッポン? 何故ニッポンに引っ越すのだ? オーブのほうがいい国だぞ?」
「ああ……えっと……」
納得していない様子の少女に対してシンの父は困ったように目を泳がせていた。すると見かねたエリカがすかさずフォローを入れてくる。
「姫様、アスカさんにも色々と事情があるのです、あまり困らせては駄目ですよ?」
「うーん……」
少女はまだ納得がいかないのか、去って行くシンの父の後ろ姿を見て首を傾げていた。





それから数日後、シンの家では一家総出で引っ越しの準備を進めていた。
「おにいちゃーん、このぬいぐるみどこに入れたらいいのー?」
「んじゃお兄ちゃんのリュックに入れておいてやる……デスティニー、そっちはどうだ?」
「こちらはあらかた終りましたよー」
デスティニーはガムテープを抱えてシンのもとにふよふよ近付いて来る、そこにシンの両親もやって来た。
「二人とも、そろそろアースラの皆さんが来る時間だぞ、出発する準備をしなさい。」
「「はーい」」
その時、アスカ家のインターホンが鳴り響き若い男女が10数人程家に入って来た。
「こんにちはー、お手伝いに来ましたー」
「あ、アレックスさんこんにちはー」
「こんにちはー」
シンとマユは顔見知りである青年にぺこりとお辞儀する。
「ううう……こんなモブの名前と顔を覚えてくれているなんて……」
「それじゃ荷物はどこに運びます?」
「庭に運んで貰えます? 家具も先に運んでおいてありますので……。」

「いよいよだな……久しぶりのミッドチルダだ」
「楽しみだねー、アルフやフェイトに会うの久しぶりだー」




十二月二日の夕方、スウェンとはやてとノワールは図書館に来ていた。ちなみにノワールは一般の人に見られる訳にはいかないので、「ノワールボックス」と名付けられたカバンの中に入っている。
(よかったッスね~、お目当ての本が返されていて)
「ああ。」
「次私も読んでええか? ちょっと読んでみたい」
お目当ての本が見つかりご満悦の様子の一行、ふと、
「あ、あの子は……。」
はやては本棚に向かおうとした時、紫のウェーブのかかった髪をした女の子を見つける。
女の子は自分の手の届きそうで届かない本を取ろうとして悪戦苦闘していた。
「う~ん、もうちょい……」
「どうやらお困りのようや……頼めるか?」
「ああ。」
スウェンは少女が取ろうとしていた本を取り、そのまま渡す。
「これでいいか?」
「あ……ありがとうございます…あれ? あなたは……」

数分後、はやて達はその少女とすっかり仲良くなっておしゃべりをしていた。
「そっかぁ、同い年なんだ」
「うん、ウチも時々見かけてたんよ、同い年ぐらいの子やなって」
「実は私も……そちらの方も」
「俺か?」
「はい! いつもお星様の本を読み漁っている方ですよね、本当に本が好きなんですね。」
(アニキ人気者ッスね)
(少し違う気がするが……)
「ウチ八神はやて言います。平仮名で“はやて”って変な名前やろ?」
「そんなことないよ。綺麗な名前だと思う、私は月村すずかって言います」
「俺はスウェン・カル・バヤンだ」
「外国の方なんですね、スウ.……スヘ……スエ……スウェンさん……すいません……」
(かなり咬みましたね彼女)
「いや……気にするな」

その後シグナムとシャマルが迎えにやって来て、はやて達はすずかと別れ帰宅の路についていた。
「そうなんですか、新しいお友達ができたんですか」
「うん、とってもすずかちゃんとってもええ子なんやで」
「そう言えば……今日もヴィータはどこかに出かけているのか?」
スウェンの質問に、シグナムは少し難しい顔をしながら答える。
「ああ……ザフィーラと一緒にどこかに遊び歩いているようだ」
「気をつけて欲しいもんや、ヴィータ見た目ちっこいから危ない人に狙われるんとちゃう?」
「大丈夫ですよー、ヴィータちゃん強いですし……」
「……」
スウェンはふと、以前シグナムやヴィータの戦闘の自主練習に付き合わされた時の事を思い出した。
「アイツも見た目の割に強いよな……闇の書の騎士とは皆そうなのか?」
「うむ、主を守る為に私達は常に強くなければならないのだ」
「そんな、外国ならともかくこの国でシグナム達が戦う機会なんてあらへんよ~」

そうしてはやて達は和気藹々とした空気で帰宅していった……。



一方その頃次元の狭間にある時空管理局本部では、アースラクルー達全員がアスカ一家を迎える為準備を進めていた。

~アースラブリッジ~
「艦長、アレックス達がアスカさん達の荷物をもって戻ってきたようです」
「そう、それじゃ受け入れの準備をしないとね」
するとブリッジに、アスカ一家がアレックスに案内されながらやって来た。
「リンディさーん、こんにちはー」
「あらシン君、それにアスカさん達もお久しぶりです」
「いやあどうも」
「この度は態々手伝ってもらって……ホントなんとお礼を言ったら……あ、コレ宜しければ」
そう言ってシンの母親はリンディにオーブのお土産屋で買ったお茶の詰め合わせを渡す。
「まあ! 態々ありがとうございます」
「……」
その時、オペレーションをしていたエイミィはシンが誰かを探して辺りを見回している事に気付く。
「シン君、フェイトちゃんやヴィアさんは今クロノ君達と一緒に裁判所の方に行っているよ」
「そ、そうですか……」
「えー? アルフもいないのー?」
フェイト達がいない事が解り、シンの傍にいたマユはつまらなさそうに服を引っ張った。
「あ、でもアリシアちゃんは今医務室にいるよ、挨拶してあげたら?」
「シン……マユを連れて行ってきなさい、父さん達はリンディさん達と少し大事な話をするから……」
「わかった、マユ、デスティニー、行こう」
「うん!」
「かしこまりました」
そう言ってシンはマユの手を取りデスティニーを引き連れてアリシアのいる医務室に向かった。
「いやあ、仲のいい兄妹ですね。シン君もいいお兄ちゃんですよねぇ」
「こちらとしては仲良すぎて逆に色んな意味で心配ですけどね、うふふふ」

数分後、医務室にやって来たシンとマユはベッドで眠り続けるアリシアと対面した。
「アリシア久しぶり、元気にしてたか?」
「お久しぶりですアリシアさん」
「アリシアさんこんにちはー、私マユっていいます、初めましてー」
マユはアリシアと初めての対面だったので初めましての挨拶をする。
(アリシア……あれからずっと眠り続けているんだよな……)
PT事件以降、アルティメット細胞によって無理やり生き返ったアリシアは力を使いすぎていつ覚めるか解らない眠りについていた。そして裁判を受けていて自由に動けないヴィアに代わり、現在は管理局の医療スタッフがアリシアの治療に当たっていた。
「お兄ちゃん、アリシアさんはいつ起きるの?」
「ヴィアさんが起こす方法を探しているみたいだけど……どうも上手くいっていないみたいなんだよ。でも大丈夫……この子はフェイトのお姉ちゃんだからな、きっといつか目を覚ますよ」
「そうだね、早くフェイトさんとアルフと一緒に遊びたいなー」

「あら……もしかしてシン君? それにマユちゃんじゃない!」
するとそこに、裁判所から帰って来たヴィアが医務室に入って来てシンとマユに挨拶してきた。
「あ! ヴィアさんこんにちは!」
「お久しぶりです」
「こんにちはー」
「そっか……今日はお引っ越しの日って言っていたわね、アリシアに挨拶しに来てくれたの」
そう言ってヴィアはベッドで眠り続けるアリシアの頭を撫でてあげた。
「裁判の方はどうなったんですか? フェイトやアルフは……」
「あの二人は大丈夫、管理局の魔導師になる事を条件に罪はかなり軽くなったわ、私も一年の執行猶予を付けてくれたし……」
「そっか、よかった」
裁判の結果を聞いてほっとするシン、因みに彼もPT事件の重要参考人として裁判を受けていたが、“無理やり巻き込まれた被害者”ということで数カ月前に無罪判決を受けていた。
その時、先程からずっと黙り込んでいたデスティニーがヴィアにある質問をする。
「そういえばヴィア……あの子の行方はつかめたのですか?」
「いや、それが……管理局の人達にも頼んでいるのだけれど、中々進展しなくて……」
「あの子? あの子ってなーに?」
事情が解らないマユは頭に?マークを浮かべる。
「実は……私と同系列機のデバイスが一人、PT事件のどさくさで行方不明になってしまったのです」
「あ、そう言えばそんな話していたなあ、確か“ノワール”だっけ? まだ見付かっていなかったんだ」
「ミッドにいないって事は別の次元世界に飛んだのかしら……とにかく早く見つけ出してあげないと」
「いやあ、あの子はゴキブリ並みにしぶといから大丈夫でしょう、色も似ているし。」
「あはは、ひっどいわねデスティニー……それじゃシン君、フェイトちゃん達に会って来てあげなさい、今彼女達は食堂にいると思うから」
「あ、はい! 行くぞ二人とも、アリシア……また今度な」
シンはアリシアに別れを告げてマユとデスティニーを伴って医務室から出た、そしてそれを見送ったヴィアは改めてアリシアをみる。
「さて……早く起こしてあげないとね、カッシュ博士の意見を聞きたいけど……」


数分後、シン達はヴィアの言うとおりアースラの食堂にやって来る、するとそこには裁判所から帰って来たフェイトとアルフ、そして付きそいのユーノとクロノがいた。
「おーいフェイトー! アルフー!」
「ん? あの声は……」
「シン?……シン!」
フェイトとアルフはシン達の姿をみるや否や席から立ち上がり、彼等の元に駆け寄ってきた。
「シン! 久しぶりだね! マユちゃんも!」
「元気にしていたかい? 久しぶりだねぇ」
アルフはそう言ってマユの頭をわしわしと撫でてあげた。
「うん! 今日はわんこにならないの?」
「あっはっは! 後で何回でも変身してやるさ!」
するとそこにクロノとユーノが少し遅れてやって来る。
「君達も相も変わらずだね」
「シン、久しぶりだね……何カ月ぶりだっけ?」
「おお! クロノとユーノも久しぶり! ほらマユ、二人に挨拶するんだ」
「初めまして! マユ・アスカです!」
「君がマユちゃんか~、初めまして」
「そう言えば君の家族も来ているんだったな、後で挨拶に行かないと……」
そうして一同がマユに夢中になっていた時、フェイトはシンの服を引っ張って彼に話しかける。
「本当に久しぶりだね……元気そうでよかった」
「俺はそんなに久しぶりって感じはしないなあ、手紙でやりとりしてたし……」
「それでも……久しぶりに会えて本当にうれしいよ、えっと……直接会ったら色々お話しようと思ってたのに……いざとなったら言葉が出てこないよ……」
「ははは、相変わらずだなフェイトも」
そんな二人の様子を、ただ一人皆の話に加わらず傍観していたデスティニーがニヤニヤと話し掛けて来た。
「うふふ、お二人ともおませさんですねえ、遠距離恋愛のカップルみたいですよ」
「かかかかカップル!?」
デスティニーの指摘に顔を真っ赤にして動揺するフェイト。
「あれ? フェイトまた風邪ひいたの? 顔真っ赤だぞ」
「主……流石です」


そうして和やかな雰囲気で再会を喜び合うシン達。

ビー! ビー! ビー!

その空気を、緊急事態を告げるアースラの警報が吹き飛ばした。
「ん? なんだこの警報?」
「おいブリッジ、何があった?」
インカムでブリッジから状況を聞き出すクロノ、そして何回か頷いた後真剣な面持ちでシン達の方を向いた。
「どうしたのクロノ? 何かあったの?」
「海鳴で魔導師同士の戦いが起こっているみたいなんだ、どうやらなのはが正体不明の敵に襲われているらしい」




同時刻、八神家でははやてとスウェン、そしてノワールが夕食をテーブルに並べながらシグナム達の帰りを待っていた。
「シグナム達遅いなあ、お夕飯が冷めてまうで」
「オイラ腹減ったッス~!」
「もうこんな時間じゃないか……どうしたものか。」
スウェンは壁に掛けられた時計を見ながらはぁと溜め息をついた。
(大丈夫なのかみんな……事件とかに巻き込まれていなければいいが……)
スウェンの心の中にふと、言い知れぬ不安がこみ上げてきた。
(なんだろうかこの気持ちは……)
そして居ても立っても居られなくなったスウェンは立ち上がり、コートに身を包んで玄関に向かう。
「スウェン? どないしたん?」
「みんなを迎えに行ってくる、もし空腹だったら先に食べてていいぞ」
「あ! オイラも行くッス~!」


そしてスウェンとノワール(コートのポケットの中にいる)はシグナム達を探しに夜の街頭の光が照らされている街へ繰り出した。
「確かシャマルはシャンプーを買いに行っている筈……。」
「どこまで買いに行っているんでしょうねー。」
スウェンはシャマル達の姿を探して辺りを見回す、その時……急に辺りが静まり返り、スウェン達の周りにいた通行人達が消えてしまった。
「……!? なんだコレは!?」
(まさか結界? ってことは……)

次の瞬間、ガシャーンというガラスの割れる音と共にスウェンの頭上からガラスが降って来た。
「!! ノワール!」
スウェンはとっさにポケットの中にいたノワールを抱えながら降ってくるガラスを避けた。
「くっ……! 一体なんだ!?」
「アニキ! 上を見てください!」
スウェンはノワールが指を指す方向をみる、するとそこには信じられない光景が広がっていた。
「アレは……ヴィータ!? 何をしているんだアイツは!?」



「話を……聞いてってば!」
ビルが並ぶ夜の町並、その一角に張られている結界の中で二人の少女による魔法合戦が行われていた。
白いバリアジャケットを着た少女…なのはは突然襲ってきた赤い髪に赤い服を着た少女……ヴィータに光弾を放つ、だが赤い少女はそれを掻い潜りハンマー状の武器をなのはに叩き込む。なのはは魔力障壁でソレを防ごうとするが……
「きゃああああ!!!」
レイジングハートごと砕かれ、遥か後方に吹き飛ばされビルに激突する。
「う、ううう……」
瓦礫のなか、必死に立ち上がろうとするがダメージが大きすぎて立ち上がれない。
(いやだ……こんなところで終わるなんて……)
ヴィータがトドメを指す為に追いかけてきた、そしてなのはに対してハンマーを振り上げる。
(ユーノ君……クロノ君……アルフさん……シン君……)
次々と浮かぶ仲間達の顔。そして赤い少女はハンマーを振り下ろす。
(フェイトちゃん……!!)
だが振り降ろされたハンマーはなのはに当たることはなかった。突如割って入ってきた黒衣の少女に防がれたのだ。
「なんだてめえ……そいつの仲間か?」
赤い少女は不機嫌そうに黒衣の少女を睨みつける。
「友達だ……!」
その少女の姿を見て、なのはは目を見開いて驚く。
「フェイト……ちゃん!?」
対峙する二人、その後ろで、
「なのは!大丈夫!?」
「フェイトちゃん……? ユーノ君……?」
ユーノに抱き上げられるなのは。
「ちい!」
それを確認して後退するヴィータ、
「ユーノはなのはをお願い!私は…!」
「わかった!こっちはまかせて!」
そしてフェイトは赤い髪の少女を追いかけていった。


「ユーノ君……どうしてここに?」
「フェイトの裁判が終わったからなのはに連絡を入れようとしていたんだ、そしたら異変に気付いて……」
そう言いながらユーノはなのはに治癒魔法をかける。
「アルフもシンも来てくれたし……アースラのスタッフも全力で対処している、もう安心だよ」
「そっか……」
そしてなのはは上空で戦っている友の姿を見守っていた。


「クソッ!なんなんだよコイツ等!」
ヴィータは焦っていた、高い魔力を持つ白い服の少女を襲っていたら、彼女の仲間らしき者達に反撃を喰らい、今空中で対峙しているのだ。
「このぉ!!」
ヴィータは魔力を込めた鉄球を黒い服の少女に向かって打ち出す。だが少女はそれを軽やかにかわす。そして、
「なっ!?」
彼女の使い魔らしき女に束縛魔法を掛けられた。
「終わりだね、名前と出身世界を言って貰おうか」
ヴィータは少女の持っていた武器を突きつけられる。だがヴィータは臆することは無かった。
「ぐぐぐ……! このお!」
「……!? なんかやばいよフェイト!!」
その瞬間、黒い服の少女はポニーテールの女剣士…シグナムに吹き飛ばされ、
「きゃあ!?」
悲鳴と共に真下のビルにコンクリートの砕ける音とともに叩きつけられた。
「フェイトォ!!」
使い魔はすぐに少女を追いかけようとしたが、犬耳をつけた大男…ザフィーラに阻まれてしまう。
「こ……こんのぉっ!!邪魔すんな!!」
「………」
男は何も答えず、ただ拳を力強く握り締めた。
「苦戦していたようだな、ヴィータ」
「うっせーよ!!こっから逆転するとこだったんだよ!!」
ヴィータはシグナムに束縛魔法を解除されながら子供じみた(見た目は子供なのだが)言い訳を言う。
「フッ…まあいいさ、私はあの少女のリンカーコアをいただく」
「ならアタシはあのザフィーラが女になったみたいなヤツを……」
そして二人はそれぞれ目的の場所へ飛び立っていった。


「大変だ……!! 助けなきゃ…!!」
なのはとユーノはビルの屋上でフェイト達が苦戦しているのを見て、救援に向かおうとする。
『ちょっとまった!!』
だが通信でクロノに止められる。
「なんでだよ!?このままじゃ皆が……!!」
『君はなのはを守る事に集中しろ! 敵がまだどこに潜んでいるのか解らないんだ……今フェイトの元にシンを送ったから安心しろ!』
「わ、わかった!」



「くう……!」
シグナムに吹き飛ばされたフェイトは叩きつけられたダメージで動けなかった。さらにバルディッシュは先程の攻撃で柄の部分がポッキリ折られている。
そこに、先程彼女を吹き飛ばしたシグナムが降りてくる。
「他愛もない……コアは貰っていくぞ」
抵抗しようにも身動きが取れないフェイト。
(このままじゃ……やられちゃう……!)
恐怖で身を強張らせるフェイト、その時、彼女達の間に一人の翼を生やした少年が割って入ってきた。
「させるかぁぁぁぁ!!!」
「何!?」
少年……シンはエクストリームブラストの高速移動の勢いを使ってシグナムに対してとび蹴りを喰らわせる。
「ぐおおおおお!!!!」
シグナムはそのまま建物の外まで吹き飛ばされてしまった。
「大丈夫かフェイト!」
「いやあ、奇襲が見事に決まってよかったです。」
「シン! デスティニー! ありがとう!」
フェイトは痛む体で顔を歪めながら無理やり立ち上がる。
「バルディッシュ、まだ戦えますか?」
[問題ありません]
バルディッシュはそのまま自己修復で元の姿に戻る。
「よし……それじゃなのはの仇を討ちに行くぞ!」
「うん!」

一方その頃、吹き飛ばされて隣のビルに激突したシグナムはヴィータに助け出されていた。
「す、すまないヴィータ、まだ伏兵がいたとは……油断した」
「畜生、管理局め……いつか戦う羽目になると思っていたけど……!」
するとそこに、シグナムが吹き飛んできた方角からシンとフェイトがやって来た。
「やいやい! お前達よくもなのはをボコボコにしてくれたな! お陰で久しぶりに会うのに色々と台無しだぞ!」
「なんだあのガキ……ん?」
ふと、ヴィータはシンの傍でふよふよ浮いているデスティニーを見る。
「シグナム、アイツのデバイス……」
「む? ノワールと似ているな、まさか同型機?」

一方シンとフェイトはヴィータ達がデスティニーに気を取られている間、作戦会議を始める。
「ちょうど二対ニだな、一人ずつ相手にするか」
「私……あのポニーテールの人と戦いたい」
「んじゃ俺はあの変なウサギの帽子被ったチビをブッ飛ばす!」

シンのその一言で、ヴィータは目の瞳孔を開かせて顔に青筋を浮かべる。
「てめえ……! はやてがくれたこいつをバカにしたな! このガキ!」
「んだと! ガキって言った方がガキなんだよこのチビ!」
「うるせええ!!! このガキ!」
「チビ! 変なウサギ付けたチビ!」
「ガ―キ! ガ―キ!」
「チビチビチビチビ!」
「ちょっとシン!?」
なんだか低レベルな口げんかを始めたシンに戸惑うフェイト。
「はっはっは、小学生ですか……可愛らしいもんです」
「デスティニ~! 笑ってないで止めてよ~!」
「いいかげんにせんか!」
見るに見かねたシグナムはヴィータの脳天にげんこつを喰らわせて喧嘩を中断させる。
「いってー! なんで私だけ殴るんだよ!」
「低レベルな争いをしているからだ! こうしている間にもザフィーラは苦戦しているのだぞ!」


~シン達の頭上~

「こんのやろ~! フェイト助けに行くんだから邪魔すんなこの犬っころ!」
「犬ではない守護獣だ!!」



「なんか上も同レベルっぽいけど……」
「ええいうるさい! とにかくお前達のリンカーコアを頂くぞ!」
「シン! ここはよろしくね!」
そう言ってフェイトとシグナムは別の場所に移動して行った。
「畜生……お前のせいで怒られたじゃねえか!」
「うっせー! 知るかこのチビ!」
「カッッッチィーン!!!! もう切れた! テメエはアイゼンですり潰して粉にしてやる!」
そう言ってヴィータはシンに向かって猛突進する。



一方その頃、戦闘に遭遇したスウェンはビルの中の階段を駆け上がっていた。
「ちょちょちょアニキ!? 階段で走ったら危ないッスよ!」
「そうは言っても! 何故アイツ等が……ザフィーラとシグナムも居たぞ!」
そしてスウェンはビルの屋上にやってくる、そして彼はシグナム達が見知らぬ少年達と激しい戦いを繰り広げている光景を目撃する。
「どうなってる……!? 子供が……!? 人が空を飛んで戦っている!?」
「あれが魔法ッスよアニキ」
「魔法……シグナムが話していたがまさかこれほどまでとは……!」


そのスウェンの様子を、アースラでモニタリングしていたエイミィ達が発見する。
「艦長! 結界の中に一般人が!!」
「なんですって!? まずいわね……急いで救援を!」
ふと、ブリッジに来ていたヴィアはモニターに映るスウェンのポケットに入っているノワールを発見する。
「あれは……ノワール!? なんでこんなところに!?」


そしてシグナム達から離れた場所にいたシャマルや、戦っている最中のザフィーラ達もまた、スウェン達を発見し動揺する。
「す、スウェン!? ノワール!? なんでこんな所に!?」
『スウェン……!? ば、バカな!? 何故ここにいる!?』
『すまないシャマル! 我々は手が離せない! 代わりに奴を保護してくれないか!?』
「わ、わかったわ!」
シャマルは慌てて闇の書を伴ってスウェンの元に飛んで行った。


一方スウェンはどうしたらいいか解らず、ただ屋上でオロオロとシグナム達が戦っている様子を見ていた。
「何故アイツ等はこんな事を……ノワール、何か知っているか?」
「オイラは何も聞いてませんッス」
「とりあえず……シャマルも探さなければ……。」

「スウェン! ノワール!」
すると彼等の元にシャマルがやってくる。
「シャマル……!? どうしたんだその格好? まさかお前も……」
「あ、あの……説明している暇はないの! とにかく今はこの場から離れないと……!」
その時、シャマルは突如出現した光の輪により拘束され、身動きが取れなくなる。
「きゃあ!?」
「シャマル!?」
「どうやら上手く言ったみたいだな……プレシアの時の教訓を生かして問答無用でバインドを掛けて正解だな」
すると上空からS2Uを持ったクロノが降りて来た。
「な、なんだお前は!?」
「管理局……! しまった……!」
「まさか一般人を保護しに来たらそれと遭遇するとはな……闇の書」
そう言ってクロノはシャマルの傍でふよふよ浮いていた闇の書を睨みつける。
「闇の書の事を知っているの……!?」
「成程、あそこでフェイト達と戦っているのは闇の書の騎士か、とにかく……僕と共に来てもらおうか」
クロノは間髪いれずシャマルを連れて行こうと彼女に近付く。するとその間をスウェンが遮った。
「ま、待ってくれ! シャマルを一体どうするつもりだ!?」
「なんだ君は? 彼女の関係者か? なら一緒に来てもら……」
「そりゃ!」
次の瞬間、ノワールがポケットの中から飛び出し、魔法を使ってクロノを遠くまで吹き飛ばした。
「うわああああ!?」
「ノワール!? 一体何を!?」
突然の事態にスウェンはノワールに詰め寄る、しかしノワールは怯む様子もなく淡々と語り始めた。
「アニキ……このままじゃシャマル姐さんだけじゃない、他のみんなも危なくなる。今管理局に捕まるのはヤバい」
「ノワール……?」
「なんとかしてこの場を切り抜ける必要がある、その為には……アニキの力が必要ッス。」
「お、俺の力……? うっ!?」
その時、スウェンの胸の奥で何かが蠢き、彼は胸を押さえて蹲る。

そしてその様子に戦っている最中のシンとフェイトも気付いた。
「この魔力反応……!?」
「まさか……ジュエルシード!?」

「なんだこれは……!? き、気分が……!」
「なんでアニキがその石を取りこんでいるのかは知りません、でもその力を使えばはやて姐さん達だけじゃない、あの子も救える筈……」
ノワールは真剣なまなざしでスウェンを見続ける、それに対してスウェンはノワールの真剣な様子を見て自分が何をすべきかなんとなく悟った。
「よく解らないが……俺が何をすべきか、お前は解っているんだな?」
「ええ、オイラの力……存分に使ってください、使い方は戦いながら教えますんで」
「……信じるぞ」

そしてスウェンは瞳を閉じ、ノワールを自分の元に寄せた。その瞬間彼の体は光に包まれ、背中には機械的な翼が、腰には二丁の拳銃が装備される。
「これが……俺……」
「マイスタースウェン、命令を」
ノワールはいつものおちゃらけた雰囲気ではなく、まるで気高き騎士のような凛とした表情でスウェンを見る。
「……とにかくまずはシャマルを助けるか」
そう言ってスウェンはシャマルのバインドを解き、彼女を抱き起した。
「す、スウェン、ノワール、その姿は……?」
「説明は後ッス、とにかく今はこの場を切り抜けることが先決ッスよ」
「後で話して貰うぞ、お前達の目的を……」
そう言ってスウェンは腰に装備された二丁の銃……ショ―ティーを手に取り、戻ってきたクロノと対峙した。
「君は彼等の仲間か!? どおりで結界の中に……一緒に来てもらうぞ!」
「すまない、状況がよく飲み込めないのだが……アイツ等が理由も無く戦う筈はない、なら俺は……」

スウェンはそのまま、銃口をクロノに向けた。
「俺はこいつらを家に連れて帰る、それがはやてとの約束だから」


運命は、再び交錯する……。










本日はここまで、次回は戦闘をチョロっとやって日常パートに移行ですかね。
予定より投稿が遅れて申し訳ございませんでした、ちょっとパソコンにトラブルがありまして……直ったのでいつもと違う時間帯に投稿させていただきました。
次の投稿は木曜日になります、感想のレス返しもその時に。


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