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No.22867の一覧
[0] Lyrical GENERATION(再リメイク検討中)[三振王](2012/11/05 21:33)
[1] Lyrical GENERATION 1st プロローグ「すべてが始まった日」[三振王](2010/11/02 22:18)
[2] 第一話「巡り会う運命」[三振王](2010/11/02 22:23)
[3] 第二話「交錯する閃光」[三振王](2010/11/06 20:30)
[4] 第三話「閉ざした過去」[三振王](2010/11/07 20:44)
[5] 第四話「僕が選んだ今」[三振王](2010/11/09 20:16)
[6] 第五話「僕達の行方」[三振王](2010/11/12 08:30)
[7] 最終話「君は僕に似ている。」[三振王](2011/01/20 09:47)
[8] エピローグ「私は笑顔でいます、元気です。」[三振王](2011/12/14 21:31)
[9] TIPS:とある局員のプライベートメール[三振王](2010/11/21 23:45)
[10] りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」[三振王](2010/12/17 23:35)
[11] りりじぇね! その2「アリサのメル友」[三振王](2010/12/31 15:53)
[12] りりじぇね! その3「ちょこっと!Vivid!  ~ヴィヴィオの家出~」[三振王](2011/01/03 22:26)
[13] Lyrical GENERATION STARGAZER プロローグ「霙空の星」[三振王](2011/01/20 20:32)
[14] 序章1「新しい生活」[三振王](2011/01/23 19:47)
[15] 序章2「再会する運命」[三振王](2011/01/24 20:32)
[16] 序章3「12月1日」[三振王](2011/01/26 22:21)
[17] 第一話「始まりは突然に」[三振王](2012/01/27 10:52)
[18] 第二話「新たなる生活」[三振王](2011/02/03 20:52)
[19] 第三話「青き清浄なる世界」[三振王](2011/02/05 21:35)
[20] 第四話「隠した心」[三振王](2011/02/08 20:09)
[21] 第五話「交わらない道」[三振王](2011/02/17 20:56)
[22] 第六話「蒼き嘆きの詩」[三振王](2011/02/14 19:52)
[23] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」前編[三振王](2011/02/16 21:09)
[24] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」後編[三振王](2011/02/17 21:03)
[25] エピローグ「大人になっても忘れない」[三振王](2012/01/27 10:53)
[26] TIPS:ある教授の日誌 +???[三振王](2011/02/20 09:07)
[27] 超級! 魔法武闘伝! プロローグ「交わる物語(ストーリー)」[三振王](2011/05/05 21:33)
[28] 第一話「姉妹」[三振王](2011/05/11 21:18)
[29] 第二話「ガンダムファイター(見習い)VS守護獣」[三振王](2011/05/16 21:59)
[30] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」[三振王](2011/05/22 21:58)
[31] 第四話「迷子の魔法使い」[三振王](2011/05/27 23:05)
[32] 第五話「接触」[三振王](2011/06/19 22:57)
[33] 第六話「運命の連鎖」[三振王](2011/07/06 22:14)
[34] 第七話「闇を統べる者」[三振王](2011/07/12 22:29)
[35] 最終話「Silent Bible」[三振王](2011/07/15 16:34)
[36] エピローグ「安息」[三振王](2011/07/15 16:36)
[37] Lyrical GENERATION SEED+プロローグ[三振王](2011/12/14 21:30)
[38] 第一話「出発」[三振王](2011/12/29 22:25)
[39] 第二話「3人目の少年」[三振王](2012/01/16 00:17)
[40] 第三話「原罪の創造主」[三振王](2012/01/28 08:08)
[41] 第四話「雷雨の中で」[三振王](2012/02/20 17:32)
[42] 第五話「戦いの前夜」[三振王](2012/05/16 10:06)
[43] 第六話「オペレーション・スピットブレイク」[三振王](2012/05/19 09:10)
[44] 第七話「抱える想い」[三振王](2012/07/11 20:46)
[45] 第八話「使命」[三振王](2012/08/07 17:39)
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[22867] 第四話「隠した心」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:664d5fcd 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/08 20:09
 第四話「隠した心」


ヴォルケンズが管理局の罠から脱出できたその数時間後、シャマルはすずかの家に泊まりに行ったはやてに連絡していた。
「はい、すみません……本当にごめんなさい……冷蔵庫にお夕飯があるんですね……今日はもう泊まると……じゃあヴィータと代わります。」
「もしもしはやて? その……」
電話をヴィータに代わってもらい、シャマルは憂鬱な表情でベランダに赴く、その後ろからシグナムが神妙な面持ちで彼女に話しかける。
「主に寂しい思いをさせてしまったな。」
「ええ……」
「こんな事が二度とないよう早く主を闇の書の主にせねば……」
そうして決意も改めた所で、彼女達はすぐさま話題を違う人物に切り替える。
「ところでスウェンはどうしているの? ザフィーラの話じゃ大変な事になっていたみたいだけど……。」
「今自分の部屋で休んでいる、ザフィーラとノワールも一緒だからしばらくそっとしておこう。」
「ええ……でもどうしてスウェン、あの子を殺そうとしたのかしら?」
「アイツの魔力と何か関係があるのかもな、機会があれば調べる必要があるだろうな……」


その頃スウェンの自室では、先ほどザフィーラに殴られて腫れた頬を氷で冷やしながら、ザフィーラに先ほどシンに行った行動について質問されていた。
「スウェン、なぜあんなことをした? 我々は殺すことが目的では……」
「解っている……! 俺にも解らないんだ! なぜあんな恐ろしい事をしたのか……!」
そう言って頭を抱えて項垂れるスウェン、その様子をノワールはただただじっと見つめていた。

(何だったんだあの記憶は……! なぜ俺はあの少年を殺そうとしたんだ!? 何故、何故……!)

震えだす手をじっと見つめて先ほどの自分の行いに恐怖するスウェン、そして……彼の頭の中にある考えが浮かんだ。
(そうだ……! あの少年と話をしてみよう、彼と話せば俺が何者か解る筈……!)


そのころ自宅に戻ってきたシンは、マユに不安そうに見守られながら母親に顔の治療をしてもらっていた。
「いててて! 母さん沁みるよ!」
「我慢なさい、男の子でしょ? まったく……けがをしないでって約束したのに、さっそくこれなんだから……」
「ごめんなさい……」
「おにーちゃん大丈夫?」
するとそこに、隣のハラオウン家からクロノがやってくる。
「すみませんアスカさん、彼を危険な目に……僕がもうちょっとしっかりしていれば……」
「クロノ君は悪くないわ。油断したこの子が悪いの」
「それもそうですね」
「二人ともひでえ! そういえば闇の書の騎士について何かわかったのか?」
「ああ、それに関して説明しようと君を呼びに来たんだ、うちに来てくれるか?」

それから数分後、ハラオウン家に赴いたシンはそこでなのは、フェイト、デスティニー達と共に闇の書の騎士達についてわかったことを説明されていた。

「問題は、彼らの目的よね」
「えぇ、どうも腑に落ちません。彼らはまるで自分の意志で闇の書の完成を目指しているようにも感じますし」
「え?それって何かおかしいの? 闇の書ってのも要はジュエルシードみたくすっごい力が欲しい人が集めるもんなんでしょ? だったらその力が欲しい人のためにあの子たちが頑張るってのもおかしくないと思うんだけど」
その言葉にリンディとクロノは顔を見合わせる。
「第一に闇の書の力はジュエルシードみたいに自由な制御が利くものじゃないんだ」
「完成前も完成後も純粋な破壊にしか使えない。少なくともそれ以外に使われたという記録は一度もないわ」
「あ~そっか……」
アルフの質問が終わると、今度はシンが意見を述べてくる。
「なあ、あの闇の書の騎士達って一体何者なんだ? なんで闇の書を完成させようなんて……」
するとリンディ達の代わりに隣にいたデスティニーが答える。
「恐らく……彼らは人間でも使い魔でもない、闇の書に合わせて魔法技術で作られた擬似人格、まあ私みたいなものかもしれませんね」
するとクロノはデスティニーの意見を肯定するように頷いた。
「デスティニーの言うとおり、主の命令を受けて行動する、ただそれだけのプログラムに過ぎないはずなんだ」
するとフェイトが恐る恐る発言する。
「あの……それって私のような……」
「! こら!」
するとフェイトが何を言おうとしたのか察知したシンが彼女のわき腹をくすぐり発言を中断させた。
「ひゃん! くすぐったいよ!」
「フェイトお前……今絶対良からぬ事を言おうとしたろ」
「な、なんでそれを……」
「顔を見れば一発で解りますよ」
「それは違うわ、フェイトさんは生まれ方が少し違っていただけでちゃんと命を受けて生み出された人間でしょ」
「検査の結果でもちゃんとそう出ていただろう?変なこと言うものじゃない」
「ご、ごめんなさい……」
フェイトは皆に怒られたのに、どこか嬉しそうにソファーに座りなおした。
「それじゃあ、モニターで説明しよっか」
部屋の電気を消され、置いてあったモニターに守護騎士達が映し出される。
「守護者たちは闇の書に内蔵されたプログラムが人の形を取ったもの、闇の書は転生と再生を繰り返すけどこの四人はずっと闇の書と共に様々な主の下を渡り歩いている」
「意思疎通のための対話能力は過去の事件でも確認されているんだけどね。感情を見せたって例は今までにないの」
「闇の書の蒐集と主の護衛、彼らの役目はそれだけですものね」
クロノ、エイミィ、リンディの説明になのはとフェイトが質問する。
「でも、あの帽子の子……ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしていたよ」
「シグナムからもはっきり人格を感じました。成すべきことがあるって、仲間と主のためだって」
「主のため……か」
その言葉にクロノの表情が少し悲しそうに見えた。
モニターが消え、電気がつくとリンディが立ち上がってクロノのところまで来る。
「まぁ、それについては捜査に当たっている局員からの情報を待ちましょっか」
「転移頻度から見ても主がこの付近にいるのは確実ですし、案外主が先に捕まるかもしれません」
「あ~、そりゃ分かりやすくていいね」
「だね、闇の書の完成前なら持ち主も普通の魔導師だろうし」
アルフの発言にエイミィがうんうんと頷く。
「うん、それにしても闇の書についてもう少し詳しいデータがほしいな、ユーノ……明日から少し頼みたいことがある」
「ん? いいけど……」

その時、フェイトが何かを思い出してリンディに質問する。
「あの銀髪の男について何かわからなかったんですか?」
「ああ、あのシンを殺そうとした奴かい、デスティニーの同型デバイスとジュエルシードで魔法を使うあの……」
「ごめんなさい……こちらでもよくわかっていないの、データ上は普通の人間なんだけど……シン君、直接戦って何か判らなかった?」
リンディの質問に対し、シンは少しうつむき気味に答えた。
「あいつ……俺のことコーディネイターって呼んだんだ」
「コーディネイター……確かCEの遺伝子を調整した人間のことだな」
「? それがどうしたっていうんだい? っていうかそいつ、よく一目でシンのことをコーディネイターと見抜いたね」
『そのことに関しては私が説明するわ』
すると突如モニターに管理局本部にいるヴィアが映し出された。
「ヴィアさん? 彼のことを何か知っているのですか?」
「ええ……戦闘時の映像を見させてもらったわ、彼の発言から推測すると多分“ブルーコスモス”の関係者よ」
「「「ブルーコスモス?」」」
聞いたことのない単語になのは、フェイト、アルフは首を傾げる。対してある程度CEの事情を調べていたクロノはヴィアの意見に補足を入れる。
「ブルーコスモス……確かコーディネイターの排斥を目的とする組織と聞きましたが……」
『ええ、彼らはコーディネイターを根絶やしにするために色々と汚い手を使ってくるの、テロリストと何ら変わりはないわね』
ヴィアの発言にクロノとエイミィは混乱するばかりだった。
「じゃ、じゃあ彼はその一味だって言うんですか?」
「じゃあますます判らないぞ、なぜそんな彼が闇の書の騎士達と行動しているのか……」
するとシンは深く悩んだ様子で議論を交わすリンディ達に発言する。
「多分だと思うんですけど……あの銀髪男、PT事件の俺の時みたいに何かやむ負えない事情があると思う……」
「なんだ? 君は随分あの男に肩入れするな、殺されかけたっていうのに……」
クロノの疑問に、シンはある人のことを思い出しながら語り始めた。
「あいつの顔……なんだかプレシアさんに似ていたんだ、あの人はもう失いたくない、取り戻したいって思いが狂気に変わって行ったけど、あいつも……」
「シン……」
シンの意見にフェイトをはじめとした一同の間に重い空気を漂わせる。
「そんなわけでさ、またあいつが出てきたときも俺が戦うよ、もう負けたりはしない! そして俺が勝ったら……あいつの話を聞いてみたいんだ」
『そう……そうよね、何も知らないで争うのは悲しいこと……』
「私も手伝うよ! シン君!」
「私たちも……ね、アルフ」
「ああ、もしかしたらこれ以上戦わずに済むかもしれないしね」
シンの中にはあの時時の庭園とともに消えたプレシアを救えなかった事と、それによりフェイトに悲しい思いをさせてしまったという後悔の念があった、そしてそれがプレシアと同じ空気を持つスウェンと話をしてみたいという答えに辿り着かせていた。
「よーっし! そうと決まれば明日からも剣術の練習がんばるぞー!」


その後、一通り闇の書に関する話が終わるとシンとなのはは家に帰り、残ったリンディ達はモニターを切った後も話を続けていた。
「それにしてもヴィアさん……ブルーコスモスの話をしている時、なんだか怒っているような感じがしましたね……」
「そっか、クロノ達は知らないのね……」
そう言ってリンディは以前ヴィアから聞いたある話を事情の知らないフェイト達に話す。
「ヴィアさん……ブルーコスモスのテロで旦那さんと子供二人を亡くしたそうよ……彼女だけはその事故でミッドチルダに流れ着いたって言っていたけど……」
「「「「えっ!?」」」」
ヴィアの知られざる過去にクロノ達は驚愕する。
「自分の家族の仇がすぐ近くにいるかもしれないのよ、ちょっと感情的になっても仕方が無いでしょう?」
「確かに……そうですね」
(そっか、ヴィアさんも母さんみたいに子供を亡くしていたんだ……)
なぜヴィアがあの時プレシアに協力していたのかなんとなく判り、フェイトは二人がなぜ一緒にいられたのか長い間疑問に思っていたことをようやく解決することができた。

(二人とも同じ痛みを抱えていたんだ……)


対してリンディもヴィアに自分の境遇を重ね合わせていた。
(あの人も色々と苦労しているのね……復讐心を必死に抑えている……)


次の日の放課後、シンとフェイトは管理局本部の模擬戦ルームで模擬戦を行っていた。
『フォトンランサー! ファイア!』
『へへーん甘いぜ! 全部落としてやる!』
フェイトが放つ幾つもの魔力弾をビームライフルで次々と落としていくシン、そんな彼等の様子をエイミィとクロノは別室でモニタリングしていた。
「いやー、二人とも初めて会ったときと比べて随分強くなったよねー」
「ああ、シンはなのはのお兄さんの道場、フェイトちゃんはバルディッシュのパワーアップのお陰だな……」
「クロノ君もうかうかしていられないね、油断していたら二人に追い越されちゃうよ?」
「ははは、まだまだ僕は負けないよ……」

「ふふん、なんなら私達が一から鍛え直そうか?」
するとモニター室に管理局の制服を着た三人組が入って来た。
「ん? 君達は……アナタは?」


数分後、訓練を終えたシンとフェイト、そしてデスティニーは先程の訓練内容について議論しながら模擬戦ルームから出て来た。
「4戦やって2勝2敗か……ちょっと自信あったんだけどなー、すごいなカートリッジシステムって」
「シンもズンズンと剣を振るキレが良くなってきているね、恭也さんのお陰かな?」
「しかしフェイトさん、何故急に主と模擬戦を? お互いの力を高め合うのはいい事だと思いますが……」
「うん……シグナムと2回戦って感じたんだ、私もまだまだ弱い、あの人に勝てないって……だからもっともっと強くなりたいんだ」
「そんなあ、フェイトが強くなる必要はないよ、俺が強くなって守るから。」
そう言ってシンは自分の胸をドンと叩く、それを見てフェイトは彼から視線を逸らしてつぶやいた。
「そんなのヤダよ……私もシンの事守りたいんだから、昨日みたいな事になったら……」
「? なんか言ったか?」
「主、その決意は男の子としてはいいんですが……30点ですね。」

「ん~! 捕まえた!」
その時、シンの背後から突如何者かが抱きついてきた。
「わあ!? なんだ!?」
「ふみゅ~ん! クロスケとはまた違っていい抱き心地!」
「な、なんですかアナタは!?」
突然現われてシンに抱きついてきた人物に対し、フェイトは敵意をむき出しにしながらバルディッシュを構える。
「ロッテ……いい加減にしないか、フェイトもバルディッシュをしまえ。」
するとそこにシン達の様子を見かねたクロノが割って入って来た。その後ろには見知らぬ管理局の制服を着た初老の男性と、猫耳と尻尾を生やした使い魔らしき女性がいた。
「なんだよクロノ、こいつと知り合い?」
「あー! 年上にコイツなんて言っちゃって~オシオキだ!」
「うわ~!」
クロノがロッテと呼んだ同じく猫耳の女性はシンを羽交い絞めにしたまま彼の頭に拳をぐりぐりと磨りつける。
「ああもう話が進まん!」

そしてようやく落ち着いた所で、シン達はエイミィから三人を紹介される。
「この人はギル・グレアム提督、クロノ君の魔法のお師匠さんで、後ろの二人がリーゼロッテとリーゼアリア、二人とも提督の使い魔なんだよ」
「アナタ達の活躍は前々からクロノから聞いています」
「ミッドチルダを救った小さな英雄さんなんだってねー?」
「はははは……まあその事件を起こす手伝いもしちゃっていますが……」
そう言ってフェイトは自分のしたことを思い出し乾いた笑いがこみあげてくる。
「ロッテ、口を慎め」
「あ、ごっめーん」
「で? なんで管理局のお偉いさんがここにいるんだ?」
「闇の書についてユーノに調べて貰いたい事があってね……彼女達に手伝いに来てもらっていたんだ」
「そして君達がここに来ているとクロノから聞いてね……私が一度挨拶をさせてくれと頼んだのだよ。君が……CEの魔導師君だね、一度会って話がしてみたかったのだよ」
そう言ってグレアムは自分の手を差し出しシンに握手を求める。
「あ、はい……」
シンはグレアムに応じて自分の手も差し出し、がっちりと握手する。
「ふむ、君たちはまっすぐな目をしている……昔のクロノを思い出すな、君達は管理局の未来を担うのだ、これからも頑張りたまえよ」
「あ、ありがとうございます」
その時、グレアムのスーツの中の通信機が鳴り響き、彼はそれをとって通話を始める。
「む、どうした……? ああ解ったすぐ行く」
二、三回俯いて通信機を切るグレアム。
「すまない、急用ができたのでこれで失礼するよ」
「では……」
「バイバーイ、またハグさせてねー」
そう言ってグレアムとリーゼ姉妹は早々に去っていった。
「いやー、なんか物腰の柔らかそうな人だったな、使い魔はアレだったけど」
「アレでも僕の魔法の師匠だからな……腕は保障するよ」
「そうなんだ、今度模擬戦の相手でもして貰おうかな……」
その時、エイミィはシンの後ろにいたデスティニーが複雑な表情をしている事に気付き、彼女に問いかける。
「あれ? デスティニーどうしたのそんな顔して?」
「いえ……別に」
デスティニーは素っ気なく答えた後もグレアムが去った後をジッと見つめ続けていた。
(……ちょっと彼女に調べ物をしてもらいましょうか)


同時刻、海鳴市のとある公園、そこでマユはお気に入りのウサギ付き帽子を被りながら一人でブランコで遊んでいた。
「あーあ、お兄ちゃんお姉ちゃん早く帰ってこないかなー、一人で遊ぶのつまんなーい」
まだこの町に来たばかりのマユには友達がおらず、シン達が学校に行っている間の昼間は彼女にとって退屈でしかなかった。

ふと、そんな彼女がいる公園の傍を、ハンマーのようなステッキを持った赤い三つ編みの少女……ヴィータと、大きな藍色の毛を身に纏った犬……ザフィーラが通り過ぎていく。
「はぁ……スウェン元気なかったなー、一体どうしたっていうんだよ……」
「殴ったのがいけなかったのか? 散歩に誘っても来てくれなかったな……」
「もしかしたら記憶が戻りかけているのかもな、ちゃんと私達でフォローしてあげないと……ん?」
その時ヴィータは通り掛かった公園で三歳ぐらいの少女(マユ)が一人ブランコで遊んでいるところを目撃する。
「!!! あの帽子は……!」
そして彼女が自分のウサギ付き帽子を被っている事に気付き、ザフィーラを繋いでいたリールを手放し彼女に駆け寄って行った。
「おい! そこのお前!」
「え?」
ヴィータはマユが被っている帽子を無理やり奪おうとするが……。
「ちょ! やーだ! 離してー!」
マユが絶対に離すまいと帽子をがっちり掴んでいた。お陰で帽子は引き裂かれそうになる。
「うるせえ! これ私の帽子じゃねえか! これどこで拾った!?」
「お兄ちゃんから貰ったの―! コレマユのなんだからー!」
(お兄ちゃん……!? あの後誰かに拾われたのか?)
ヴィータは帽子の事で夢中になるあまり、その帽子を拾った“お兄ちゃん”がシンであるという答えに辿りつけなかった。
「ぐぎぎ……! 離せよー!」
「やーだー! 離してー!」
(お、おいヴィータ何をしている!?)
すると見るに見かねたザフィーラが二人の間に割って入る、すると……。
「あ! ワンちゃんだー!」
ザフィーラの姿を見たマユはあっさりと帽子から手を離し、ザフィーラに抱きついた。
「わふっ!?」
「わぁ!?」
急に手を離され尻もちを付くヴィータと、マユに急に抱きつかれて驚くザフィーラ。
「大きいワンちゃんだ~! かわいいねえ~!」
(ぬぐ……! なんだこの娘は!?)
「いちちち……あん? なんだお前、ザフィーラが気に入ったのか?」
「うん! アルフもちっちゃくて可愛いけどこの子もモフモフでかわいいね~!」
その時、ヴィータはある事を閃いてにやりと笑う。
「よーっし……なら交換条件だ、この帽子を返してくれるならザフィーラを好きなだけ可愛がっていいぞ」
(ヴィータ!?)
「えー? 可愛がるだけー?」
その交換条件に不満げなマユ。するとヴィータはさらに条件を上乗せしてきた。
「じゃあ……乗っていいぞ」
「乗る?」
「うん、こうやって」
そう言ってヴィータはザフィーラの背中に馬乗りした。
「あー! いいないいなー!」
「もし帽子を返してくれるなら乗り放題だ、どうだ悪くない条件だろ?」
(オイヴィータ! 勝手に決めるな!)
「うんいいよ! その帽子返してあげる! わーいわーい!」
マユは嬉しそうにヴィータと入れ替わりでザフィーラの背中に馬乗りする。
「わ! わふっ!?」
「わーい! いっけーワンちゃん!」
「はあ、やっと帰ってきた……私のゲボウ……!? あー!?」
その時ヴィータは自分の帽子が、先程無理に引っ張ったせいで破れている事に気付いた。
「どうしたのおねーちゃん? 帽子破れちゃったの?」
「ううう……折角取り戻せたのに……」
ヴィータは瞳を潤ませながらその場でがっくりと膝を付いてしまう。
「じゃあじゃあうちにおいでよ! マユのママなら直せるよ!」
「え? いいのか?」
マユの意外な提案にヴィータはパアッと花が咲いたように笑顔になる。
「うん! マユが引っ張っちゃったんだし……ママお裁縫得意だからきっと直せる!」
「そうかそうか! それじゃ早速行こうぜ!」
「れっつごー!」
(お、俺の意見は……?)
そうしてヴィータとザフィーラに跨ったマユは帽子を修復しにアスカ家へ向かうのだった……。



それから一時間後、自宅に帰って来たマユは母にヴィータの帽子を直して貰っていた。
「はい、これでどうかしら?」
「おー! 破れた跡がまったくない! まるで新品みたいだー! すげー!」
修復された帽子を持って喜ぶヴィータ、一方マユは隣のハラオウン家から持ってきたドックフードをザフィーラに食べさせていた。
「ワンちゃんおいしい? お腹空いたでしょー、アルフの大好物なんだー」
「わん。(ふむ、中々イケルなこれは……今度主に買って来てもらおう)」

ちなみにシン達やハラオウン家の面々は現在本局に出向いて留守であり、この辺にはマユと母しかいなかった、おまけに二人は口頭でしかシン達が関わっている事件について把握しておらず、目の前にいる一人と一匹がシン達と戦っている敵だとは気付いていなかった。

「ありがとなおばちゃん! この恩は一生忘れないぜ!」
「おばちゃんじゃなくてお母さんね、いいのいいの、元はと言えばこっちも責任があるんだし……」
「ねえ! よかったらうちでご飯たべていきなよ! 賑やかで楽しいよ!」
マユの提案に、ヴィータは首を横に振る。
「ごめんな……家で家族が待っているんだ、だからもう帰らないと……」
「そっか、残念……」
「よかったらうちにいつでも遊びにきていいのよ、マユのお友達だしね」
「ありがとうおばさん! それじゃあなマユ!」
そう言ってヴィータはドッグフードを食べ終えたザフィーラを連れて八神家に帰って行った……。
「マユ、お友達ができてよかったわね」
「うん! お兄ちゃんが帽子拾ってくれたおかげ!」

「ただいまー」
するとそこに、管理局からシンが帰って来た。
「あ! お兄ちゃんおかえりー!」
「ん? どうしたんだマユ? すごく嬉しそうだな」
「うん! マユねー、新しいお友達ができたんだ!」


運命はが交差する日は近い、例えそれがどんな形であろうと……。


おまけ

『あれー!? 私の大事にとっといたドックフードがなーい! 誰か食べたな!』
『わ、私じゃないよう!』
『ていうか君以外に誰がドッグフードなんて食べるんだ……』


「ん? となりからアルフの叫び声が……一体何があったんだ?」
「マユ……」
「(ぎくっ!)マユ知らないもん! 知らないもーん!」










今日はここまで、次回は砂漠戦をお送りいたします。その後の展開はリメイク前のとはある程度変更する予定です。
最近インフィニットストラトスにハマっています、シャル可愛いなあ……原作が進んだらクロスSS書いてみたいです。

次は金曜日辺りに投稿します。


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