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No.22867の一覧
[0] Lyrical GENERATION(再リメイク検討中)[三振王](2012/11/05 21:33)
[1] Lyrical GENERATION 1st プロローグ「すべてが始まった日」[三振王](2010/11/02 22:18)
[2] 第一話「巡り会う運命」[三振王](2010/11/02 22:23)
[3] 第二話「交錯する閃光」[三振王](2010/11/06 20:30)
[4] 第三話「閉ざした過去」[三振王](2010/11/07 20:44)
[5] 第四話「僕が選んだ今」[三振王](2010/11/09 20:16)
[6] 第五話「僕達の行方」[三振王](2010/11/12 08:30)
[7] 最終話「君は僕に似ている。」[三振王](2011/01/20 09:47)
[8] エピローグ「私は笑顔でいます、元気です。」[三振王](2011/12/14 21:31)
[9] TIPS:とある局員のプライベートメール[三振王](2010/11/21 23:45)
[10] りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」[三振王](2010/12/17 23:35)
[11] りりじぇね! その2「アリサのメル友」[三振王](2010/12/31 15:53)
[12] りりじぇね! その3「ちょこっと!Vivid!  ~ヴィヴィオの家出~」[三振王](2011/01/03 22:26)
[13] Lyrical GENERATION STARGAZER プロローグ「霙空の星」[三振王](2011/01/20 20:32)
[14] 序章1「新しい生活」[三振王](2011/01/23 19:47)
[15] 序章2「再会する運命」[三振王](2011/01/24 20:32)
[16] 序章3「12月1日」[三振王](2011/01/26 22:21)
[17] 第一話「始まりは突然に」[三振王](2012/01/27 10:52)
[18] 第二話「新たなる生活」[三振王](2011/02/03 20:52)
[19] 第三話「青き清浄なる世界」[三振王](2011/02/05 21:35)
[20] 第四話「隠した心」[三振王](2011/02/08 20:09)
[21] 第五話「交わらない道」[三振王](2011/02/17 20:56)
[22] 第六話「蒼き嘆きの詩」[三振王](2011/02/14 19:52)
[23] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」前編[三振王](2011/02/16 21:09)
[24] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」後編[三振王](2011/02/17 21:03)
[25] エピローグ「大人になっても忘れない」[三振王](2012/01/27 10:53)
[26] TIPS:ある教授の日誌 +???[三振王](2011/02/20 09:07)
[27] 超級! 魔法武闘伝! プロローグ「交わる物語(ストーリー)」[三振王](2011/05/05 21:33)
[28] 第一話「姉妹」[三振王](2011/05/11 21:18)
[29] 第二話「ガンダムファイター(見習い)VS守護獣」[三振王](2011/05/16 21:59)
[30] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」[三振王](2011/05/22 21:58)
[31] 第四話「迷子の魔法使い」[三振王](2011/05/27 23:05)
[32] 第五話「接触」[三振王](2011/06/19 22:57)
[33] 第六話「運命の連鎖」[三振王](2011/07/06 22:14)
[34] 第七話「闇を統べる者」[三振王](2011/07/12 22:29)
[35] 最終話「Silent Bible」[三振王](2011/07/15 16:34)
[36] エピローグ「安息」[三振王](2011/07/15 16:36)
[37] Lyrical GENERATION SEED+プロローグ[三振王](2011/12/14 21:30)
[38] 第一話「出発」[三振王](2011/12/29 22:25)
[39] 第二話「3人目の少年」[三振王](2012/01/16 00:17)
[40] 第三話「原罪の創造主」[三振王](2012/01/28 08:08)
[41] 第四話「雷雨の中で」[三振王](2012/02/20 17:32)
[42] 第五話「戦いの前夜」[三振王](2012/05/16 10:06)
[43] 第六話「オペレーション・スピットブレイク」[三振王](2012/05/19 09:10)
[44] 第七話「抱える想い」[三振王](2012/07/11 20:46)
[45] 第八話「使命」[三振王](2012/08/07 17:39)
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[22867] 第五話「交わらない道」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:664d5fcd 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/17 20:56
 第五話「交わらない道」


その日、マユはいつものように公園にやって来て、そこで開催されているゲートボールの見学に来ていた、その大会に出場しているヴィータを応援しに来たのだ。
「ヴィータちゃんがんばれー、ザフィーラも応援しているよー」
「ワンッ!」
「よっしゃ! 任せとけー!」
マユの応援で勇気をもらったヴィータは、肩をぐるぐる回しながらフィールドに向かった。
「おや、ゲボ子ちゃんのお友達かい?」
「よかったら酢昆布食べるかい?」
するとマユの周りに同じくゲートボールをやりに来た近所のお年寄り達が集まってきた。
「おじーちゃん達もヴィータちゃんのお友達?」
「ああ、ゲボ子ちゃんはこのゲートボール場のマスコットのようなものだよ」
「あの子を見ていると孫の小さいころを思い出すわー」
「そーなんだー」



それから数分後、ゲートボール大会も終わりマユはヴィータに連れられてある場所に向かっていた。
「へー、マユはクリスマスイブに遊園地に行くのか」
「うん! パパがチケット取れたから家族みんなでいこーって! ヴィータちゃんにもお土産買ってくるね!」
「ありがとよー、それにしてももうすぐおやつの時間だな、ならあたしんちでお菓子食べてけよ、はやての作ったお菓子はギガうまだぞー」
「ギガうまなんだー」
そしてヴィータはマユと共に八神家に帰ってきた。
「ただいまはやてー」
「ああ、おかえりー……ってヴィータ、その子誰?」
「こいつ? 前に話したじゃん、私のウサギを拾ってくれた……」
「マユです! はじめまして!」
そう言ってマユは出迎えてきたはやてに頭をぺこりと下げる。
「おお! そうかあんさんがヴィータの恩人の……ちょうど今クッキーが焼けたところや、お礼に御馳走させたる」
「はい! ありがとうございます!」
マユはそのままはやてとヴィータにリビングまで案内される、そこにはちょうどシグナム、シャマル、ザフィーラ、そしてスウェンがくつろいでいた。
「あら? 小さなお客さんですね」
「主? この子は……?」
「この前ヴィータが話しとったマユちゃんやで、今日は遊びに来てくれたんやー」
「ふわー! この人達ヴィータちゃんのお姉ちゃん?」
「うーん……なんて説明すればいいのか……」
すぐさま八神家の面々と溶け込むマユ、そんな彼女を見てスウェンはあることに気づく。
(ん? この子……どことなくあの少年と似ている、まあ気のせいか……)
その時、マユはテーブルの下で寝転がっているザフィーラ(もちろん狼形態)を発見して彼に抱きつく。
「わーいザフィーラだ! もふもふ! もふもふ!」
「く、くぅーん……」
あまりにベタベタくっつかれ、耳も引っ張られてうんざり気味のザフィーラ。
「モテモテだなザフィーラ」
「よかったじゃない、長い人生の中で初めてモテたんじゃない?」
(貴様ら何気にひどくね?)
「さーマユちゃん、お外にお菓子食べる前に手え洗おうなー」
「はーい」





一方そのころアスカ家では、シンとフェイトが休日を利用して学校から出された漢字の宿題をこなしていた。
「ううう……なんでこの国は漢字なんてものがあるんだ……」
「そうだよね……読み書きするならひらがなとカタカナだけでいいと思うんだけど……」
「はいはい、文句を言っても宿題はなくなりません、それでは次の問題行きますよ」
そう言ってデスティニー(教師スーツ+メガネフォーム)は問題集に書かれている次の問題を解くように促す。


問一:次の問題の読みを答えよ

雰囲気
(   )



「ふ……ふいんき?」
「ふいんきでいいよね」
「ブブー」

「お? なんだシン、フェイトちゃんと一緒にお勉強か?」
すると二人の元に居間でくつろいでいたシンの父がやってくる。
「あ、父さん……この問題解んないんだけど教えてくれる?」
「漢字かー、父さんもちょっと苦手だからなー」
そう言ってシンと一緒に問題の答えを考えだすシンの父、そんな二人の様子を見てフェイトはある思いに駆られていた。
(お父さんか……そういえば私の……アリシアのお父さんってどんな人だったんだろう?)
父という存在が今まで傍にいなかったフェイトはシン達の仲睦まじい様子を羨んでいた。
(今度ヴィアさんに聞いてみよう……)
「ん?」
その時、シンの父は自分がフェイトにじっと見つめられていることに気づいた。
「どうしたんだいフェイトちゃん? 私の顔になにか付いているかい?」
「い、いえ……二人は仲良しだなーって……」
「そっかー? いっつも一緒にいるからそう見られるのかなー?」
「もしかして仲に入れてもらいたいのかい? よし! わたしの胸に飛び込んでおいで! 可愛がってあげるよ!」
「ええ~!?」
シン父のリアクションに困る提案に困惑するフェイト。
「はいはい、アホなこと言わない」
「いてっ!?」
その時、シンの父の後ろにシンの母が現れ、自分の旦那の頭をおたまでポコンと小突いた。
「あれ? 母さんどうしたの? もうお昼?」
「さっき本局にいるヴィアさんから小包が届いたのよ、シン宛にね」
そう言ってシンの母はヴィアから預かった小包を手渡した。
「小包? 一体何だろう……?」
「ほら、シン前に言っていたじゃない、バルディッシュ達だけ強化されてずるいって、だからヴィアさんがデスティニーちゃんのパワーアップアイテムを作ってくれたのよ」
「え!? マジで!?」
シンは急いで小包を開ける、すると中に見たこともない青、赤、緑の三つのクリスタルと説明書が入っていた。
「なんだこのクリスタル? ジュエルシードっぽいけど……」
「ほう、ゴーレムクリエイト用のクリスタルですか」
デスティニーは小包の中を見て感心の声を上げる。
「ごーれむくりえいと? なんだそれ?」
「リニスが昔教えてくれたんだけど……確か魔力で生成した人形を自分の代わりに戦わせる魔法だったと思う」
「へー! 面白そう! 後で訓練所で使ってみよう!」
シンは嬉しそうにそのクリスタルをさっそくズボンのポケットの中にねじ込んだ。

そんな彼の様子を見て、デスティニーはシンの両親に小声で話しかけた
(これでマスターの安全性はさらに強化されましたね? お二方)
(ああ、そうだな……)
(この前みたいに大怪我を負うのは親として耐えられないからね……)
実はシンの両親はこの前の戦闘の後、彼の身を案じてヴィアにデスティニーの強化を頼み込んだのだ、それも彼が直接戦う機会を減らすという注文付きで。
(ま、親なら当然の提案ですよね。)

そんな親の心子知らずといった感じでシンは嬉しそうにクリスタルを見つめていた。
「ははは、早く使いたいなー、また闇の書の奴らが襲ってこないかなー」
「シン、そんなこと言っているとほんとに来ちゃうよ……」

その時、突如隣のハラオウン家からエイミィが慌てて駆け込んできた。
「ふぇ、フェイトちゃんシン君大変だよ! 騎士たちが現れたってアースラから連絡がー!」
「えー!?」
「ちょ! 本当に来た!?」



その頃、八神家でお菓子をごちそうになったマユは、スウェンに送られながら帰宅の路についていた。ちなみにヴォルケンズの面々はそのまま闇の書のページ集めに異世界に行っている。
「クッキーおいしかったー! お兄ちゃんにも食べさせてあげたかったなー」
「そうか、喜んでくれて何よりだ」
はやての作ったクッキーがほめられ、表情には出さない心なしか嬉しい気持ちになるスウェン。
「スウェンおにーちゃんはヴィータちゃんやはやておねーちゃんのおにーちゃんなの?」
「まあ……血は繋がっていないけどな、そんなもんだろう」
「……? どういうこと?」
「俺は両親と……離れ離れになったんだ、それどころか自分が生まれた場所も解らない、そんな時はやてが俺を拾ってくれたんだ」
「おにーちゃん迷子なんだ……さみしくないの?」
マユの質問に対し、スウェンは迷うことなく答えた。
「今ははやて達がいるから寂しくない」
「そっか! スウェンお兄ちゃん寂しくないんだ! よかった!」
そして彼らはアスカ家やハラオウン家があるマンションに到着した。
「それじゃマユ行くね! もし本当のパパとママを探すなら協力するよ!」
「ありがとうマユ……階段には気をつけてな」
「はーい、ばいばーい」
そしてマユはスウェンに別れを告げて、マンションの中に入っていった。
「いやあ、優しい子でしたねえ」
するとスウェンのコートの胸ポケットの中からノワールがひょこっと顔を出した。
「ああ……ヴィータが気に入るのも解る、それじゃ俺達も帰ろう……」
その時、スウェンの持つ携帯電話が突如鳴り響き、スウェンはすぐさまそれをとる。
「もしもし……ああシャマルか、いったいどうした……シグナムが!?」





とある砂漠の世界、ヴォルケンリッターの一人、シグナムは仲間と別れて怪物と戦っていた。だが不意打ちによりシグナムは怪物が放つ触手に掴まってしまっていた。
「不覚……! くうっ!」
そうこうしているうちに触手はシグナムの体をよりきつく締め上げていった。
「ぐああ……!」
もうだめかと思ったその時、天空から無数の雷の矢が放たれ怪物に突き刺さる。そして、
「ブレイク!」
何者かの掛け声で矢は爆散した。


(フェイトちゃん!助けてどうするの!?捕まえるんだよ!)
エイミィに呼び出されてこの世界に来たフェイトとシンは、襲われているシグナムを見て思わず助けてしまったのだ。
「ご……ごめんなさい」
「別にいいんじゃね? 今の爆発結構強かったから、あのシグナムって姉ちゃん巻き込まれたんじゃ……」
「え゛っ!?」
「あーあ、このうっかり屋さん」
デスティニーのつっこみと同時に爆煙が晴れる。
「あ! あいつも来てたのか!」
「あの人……!」
シン達の視線の先にはシグナムを爆風から守った銀髪の少年が居た。
『気をつけて二人とも!!』

一方その頃、スウェンとシグナムは、
「来てくれたのか……すまないスウェン」
「気にするな、それにしても身動きの取れないシグナムに追い討ちを掛けるとは…下郎め!」
「うん、俺もそう思う」
スウェンの怒りに同意するシン。
「もー! シンまでひどいよ!」
フェイトはそんなシンの肩を、頬を膨らませてぽかぽか叩く。
「はっはっはっ、よせよ~」
「なんだこれ?」


その頃別の場所では、連絡を受けて救援に来たなのはとヴィータ、アルフとザフィーラが戦っていた。
「ヴィータちゃん!今日こそお話聞いてもらうよ!」
「望むところだこの野郎! 帽子も戻ってきたし全開でいくぞ!」


「さて…アタシ等もそろそろ決着つけようじゃないか。」
「……望むところだ。」


(二人とも気を付けてね。)
シャマルを探しているユーノから念話通信を受けるシン。
(まあアイツが強いのは知っているけどな。)
「シン……シンはシグナムをお願い、一度彼女に勝っているシンなら……」
「わかった、気をつけろよ……アイツは強い。」
「うん、任せて。」


一方スウェン達は、
「どうやらあの子は俺をご指名のようだ」
「オイラロリには興味ないッス」
「気をつけろよ……もし前みたいなことになりそうだったらすぐに逃げるんだ」

「作戦会議は終わりか……デスティニー!」
「いくよ、バルディッシュ!」
「ノワール、出るぞ。」
「レヴァンティン、行くぞ!!」
そしてシンとシグナム、フェイトとスウェンは各々散らばり、そしてぶつかり合った。



シンはシグナムと対峙しながら右手にアロンダイトを召還し、構える。
(カートリッジシステム…一時的に魔力を上げる機能か…厄介だな。この前は奇襲で勝てたけど…。)
(奴のあの目……まだ変わっていないな、恐らくは切り札なのか。)
しばらく続く相手の動きの読み合い。
ふと、シンは少し足をずらす、その刹那。
「はあああああああ!!!!」
一気にシグナムがシンとの距離を詰め、レヴァンティンを振り下ろす。それをシンはアロンダイトで受け止める。
(ヤバイ、この人強い!フェイトが苦戦するわけだ…!)
シンは片手でアロンダイトを持ったまま、もう片方の手にフラッシュエッジを召還しシグナムのわき腹目がけて振る。
シグナムはバックステップでかわし、距離をとる。
シンはそのままフラッシュエッジを彼女に向かってなげるが簡単に切り払われてしまう。
「手数の多い奴だ……ん!?」
シンはさらにシグナムから距離をとっていた。
「接近戦じゃ分が悪い……なら!」
右腰に緑色の砲身を出し、シグナムに向けて特大の赤いビーム砲を発射する。
「くっ!」
シグナムはなんなく避けるが、
「まだまだぁ!!」
そのままビーム砲は薙ぐようにシグナムを追い続ける。そしてシンは左手にビームライフルを出し、シグナムに向け数発発射する。
「しまった!?」
シグナムはビームの牽制で動きを緩めてしまい、そのまま特大の方のビームに飲まれてしまった。
「やったか!?」
衝撃で砂埃が巻き上がる。
「まだです!」
そこから一筋の矢が、シンの脇をかすめる。


「どわっ! あぶねえ!」
砂埃が収まるとそこには弓のような武器を構えたシグナムが立っていた。
「あの剣……弓にもなるのか」
「私にボーゲンフォルムを使わせるとは……おもしろい!」
そのままレヴァンティンは剣形態にもどる。そして、
[シュランゲフォルム!]
レヴァンティンの刃がワイヤーに繋がれたまま多数に分離し、そのまま大蛇のようにシンに襲い掛かる。彼はもう一本のフラッシュエッジでそれを打ち払うが、連結された刃はいまだシンの周りを迂回していた。
「やべ、もしかして怒らせた?」
「むしろ喜んでいるみたいですが」
「なんだ!? 変態なのか!?」
「誰が変態だ誰が!?」
そうこうしてるうちに、刃はシンに襲い掛かる。
「こうなったら…デスティニー!!」
シンは背中から紅の翼を大きく広げる。
「翼…!? 一体なにを!?」
「うおおおおおお!!!」
そのままシンはシグナムに突撃する。
「甘い!!」
刃はそのままシンを貫いた、かに見えた。
「幻影!?」
シンはデスティニーのフルバーストによる高速移動で光の分身を作り出し、シグナムを翻弄する。
「おのれ!」
「うらああああああ!!!」
一気にシグナムとの距離を詰めたシンは彼女の腹部に青い籠手のついた右手を押し当てる。
「パルマ……!」
「その技は……!」
シグナムはその瞬間、自分の敗北を悟った。
「フィオキーナ!!」


「う……」
シグナムは気が付くと、バインドで体をグルグル巻きにされながら倒れていた。
「主、起きたようです」
「いや~今回も俺の勝ちだな!」
「くっ……主、申し訳ございません……」
シグナムは同じ相手に二度も負けてしまったことが悔しくてたまらなかった。
「そんなに落ち込むなよ、俺が勝てたのは偶然みたいなもんだからさ」
そのままシンはシグナムを抱えてフェイトの様子を見に行った。


シン達から少しはなれた場所、ここではフェイトとスウェンが対峙していた。
「はあああー!!」
「くっ!」
フェイトが放つ光弾を岩場に隠れてやり過ごすスウェン。
「アニキ! 上!」
「!」
我に返ったスウェンはフェイトが放ったサンダースマッシャーをギリギリでかわした。
「く……!」
「貴方は何者なんです!? 守護騎士達とは違って普通の人間のはずなのに…なんで彼らに協力するんですか!?」
「……」
スウェンは何も答えない。
「何か言ったらどうです!?」
「問答している余裕があるのか?」
「!!!」
スウェンは背中からリニアガンを放ち、フェイトをひるませてそのまま自分も空中に飛ぶ。
「はああああ!!!」
「フラガラッハ!!」
すぐにフェイトのバルディッシュザンバーが襲い掛かるが、スウェンは背中の羽から二本の剣…フラガラッハをとり、それを受ける。
(この人……強い!)
(くっ! シグナムが苦戦するわけだ……!)
お互い冷や汗をかきながら一旦距離をとる。
「バインド!」
フェイトの詠唱でスウェンの手足にバインドが掛かった。
「しまっ……!!」
「終わりです!!」
フェイトはすぐさま地上に降り、いくつもの光弾を召還する。
「私には守りたいものがある! だから絶対に負けない!!」
なのはを倒した時の気迫のこもった目で、フェイトはスウェンを見る。
「プラズマランサー! ファイア!!」
そして幾つもの光弾が、スウェンに襲い掛かる。
「守りたいものか……」
スウェンは一言呟くと、右手に掛かっていたバインドを解いた。
光弾の直撃による大爆発。だが爆煙が晴れるとそこにスウェンはいなかった。
「えっ!? どこに!?」
すると突然、横からアンカーランチャーが射出され、フェイトの腹部に巻きついた。
「こ、これは!?」
アンカーランチャーがきた方角を見ると、そこには体がボロボロになりながらも、左手からアンカーランチャーを出しているスウェンが立っていた。
スウェンは光弾が当たる直前、自由にした右手からアンカーランチャーを出し、地面に突き刺して移動し弾をかわして、空いているほうの手でフェイトを捕まえたのだ。
「ふん!」
「きゃあ!?」
そのままフェイトが絡みついたアンカーランチャーをハンマーのように振り回し、彼女を地面に叩き付ける。
「あぐっ……!!」
フェイトは地面に叩きつけられた衝撃で気を失ってしまった。
スウェンはフェイトが目を覚ましても反撃されないよう、彼女の体にバインドを掛ける。
「俺ははやて達を守りたい……守りたいものなら俺にもある」
スウェンは気絶しているフェイトに構うことなく宣言する。


「フェイト!!」
そこにシグナムとの戦闘を終えて様子を見に来たシンがやってきた。
「シグナムは……敗れたのか」
シンに担がれているシグナムをみるスウェン。
「フェイト!! 大丈夫か!? すぐに助ける!」
「コーディネイター……!」
スウェンはシンに対して殺意が湧き上がるのを感じ、すぐさまそれを抑える。
(いかんいかん……! 俺は彼と話に来たんじゃないか!)
自分の中の黒い感情を振り払うように頭をぶんぶんと振るスウェン、すると次の瞬間シンがスウェン目掛けてアロンダイトを振り下ろしてきた。
「ぐっ!?」
スウェンはそれをフラガラッハで防ぐ、そしてシンはそのままスウェンに語りかけた。
「答えろ……! あんた達の目的は何だ!? どうして人を襲う!?」
「お前に答える義理はない」
「答えてくれなきゃ解らないだろ! 助けてあげられるかもしれないのに!!」
「!?」
飛び跳ねるように距離をとる二人、そしてシンの必死の説得は続く。
「俺……あんたのあの時の目を思い出すと……助けられなかったあの人のことを思い出すんだ、俺が弱かったから……フェイトに悲しい思いをさせて……」
そしてシンはそのまま、アロンダイトをしまってスウェンに敵対する意思はないということをアピールした。
「このままじゃ取り返しのつかないことになるかもしれないんだぞ……! お願いだ! 俺達の話を聞いてくれ!」
シンの言葉はスウェンだけでなく、シンに捕えられているシグナムの心を激しく揺らしていた。
「……俺も一つ、お前に聞きたいことがある」
「? なんだよ?」
「お前は……何者なんだ? コーディネイターとはなんだ?」
「……?」
スウェンもまた武器を下し、自分が知りたいことを聞いてきた。
「スウェン、貴様は……」
「大丈夫だシグナム、お前は絶対助けてやる まずは捕虜の交換を……」



(シン君! フェイトちゃん! 大変だよ! なのはちゃんが……!)
その時突然エイミィがシンに念話通信を行ってきた。
「……!? なのはがどうかしたのか!?」
(なのはちゃんが仮面の男に……!!)
その時、突如スウェンは何者かに蹴り飛ばされ、遠くに吹き飛ばされてしまう。
「ぐぁ……!」
「なっ!? お前は!」
そこには先日クロノと戦った仮面の男が立っていた。
「今……和解されては困る、邪魔者には消えてもらう」
そう言って仮面の男は気絶いているフェイトを抱き上げる。
「お前! 何を……うわ!」
すぐさま駆け出そうとするシンの周りを檻のような拘束魔法が囲む。
「クリスタルケージ……! こんな魔法を……!」
「くそっ! フェイトに何する気だ! まさか……!?」
そして仮面の男はフェイトのリンカーコアを奪おうと、彼女の胸に手を添えようとする、その時……。
「はいどーん!!!!」
「ぐぉ!!?」
突如スウェンが吹き飛ばされた方角からノワールが飛んできて、仮面の男の顔面に直撃した。
「貴様……いきなり何をする!?」
「のおおおお! 脳がゆれるううう!!」
脳天にたんこぶを作りのた打ち回るノワール、彼が飛んできた方角には野球のピッチャーがボールを投げた後のような格好をしたスウェンがいた。
「貴様……! 自分のデバイスをそのように扱うとは!」
「大丈夫だ、ノワールは昨今の若手お笑い芸人のごとくおいしいことには貧欲なんだ」
「オイラそんなこと一言も言ってないッスよ」
「い、一体なんだお前!? 守護騎士の仲間じゃないのか!?」
閉じ込められたシンは目の前の状況が理解できず困惑していた。すると傍にいたシグナムが代わりに答える。
「我らはあんな者は知らん、それにスウェンに危害を加えたとなれば……容赦はできんな」
「シグ姐さん!」
ノワールはそのままシグナムのもとに飛び立ち、彼女のバインドを取り払った。
「これで二対一だ……貴様らの目的を教えてもらうぞ」
「くっ……! 分が悪いか……!」
自分にとって今の状態はよろしくないと感じた仮面の男は、フェイトのリンカーコアをあきらめてそのままどこかへ転移していった。
「逃げたか……スウェン、我々もヴィータ達と合流して行くぞ、管理局が増援を送り込んできたら厄介だ」
「……わかった」
そしてスウェン達もまたこれ以上の戦闘は無意味と判断してその場を去ろうとしていた。
「お、おい! あんた達……!」
「テスタロッサに伝えてくれ、次こそ決着をつけると……」
「……すまなかったな」
そして二人はシン達を残してそのままどこかへ飛び去っていった。
「お、おい! 誰かこのバインド解いてくれよー!」
「そのうちアルフさんが来ますって」
「う、うーん……あれ? 戦闘は……?」



それから数分後、アースラに収容されたシンとフェイト、そしてアルフはブリーフィングルームで事の顛末をリンディとエイミィ、そしてクロノやリーゼ姉妹から聞いていた。
「な、なのはのリンカーコアが奪われた!?」
「大丈夫なんですかあいつ!?」
「うん、命には別条はないし、数日もすればもとにもどるらしいよ、今はユーノが付き添っている」
クロノの説明にほっと胸をなでおろすシンとフェイト
「よかった……後でお見舞いに行かないと」
「それで? リンカーコアを奪ったのは誰なんだ? まさかあのチビ?」
「いや……例のあの仮面の男だよ」
そう言ってエイミィは端末を操作し、ヴィータと戦っている最中のなのはが、リンカーコアを抜き取られる瞬間の映像を二人に見せる。
「そんな……管理局の監視をくぐりぬけて、なのはを襲うなんて……」
「管理局のシステムには異常は無かったんだよ、それなのに……」

クロノ達の説明を聞きながらデスティニーは頭の中で自分なりの推測を立てていた。
(外部から管理局のデータをハッキングするのはほぼ無理……となると、一番怪しいのは……)

「とりあえず私達はなのはのお見舞いに行ってきます……」
「お、俺も……」
「私も行くよー」
一通りリンディ達の説明を聞いて、シンとフェイトとアルフはなのはのお見舞いに医務室に向かうことにした。
「ええ、行ってあげなさい、それと……あまり落ち込んじゃだめよ」
「管理局でもあの奇襲は察知できなかったんだ、仕方のないことだったんだよ」
二人が落ち込んでいるのに気付き、リンディとクロノは優しく励ます。するとシンはとても悲しい顔で自分の考えていることを語り始めた。
「リンディさん……どうにかしてあいつらと戦わないで済む方法ってないんですか?」
「それができればとっくにそうしているわ、でも……」
「先に仕掛けてきたのはあいつらのほうだぞ?」
「このままだと……なんかあの人の時みたいに取り返しのつかないことになるような気がして……」
リンディはシンがプレシアの事を言っているのに気付き、ふうとため息をついた。
「そうね、せめてもうちょっと早い段階で闇の書の主が発見できたなら、何らかの対策が打てたのだけれど……」
「彼らはすでになのはを含めて何人も傷つけている、無罪放免にもできないだろう……」
「……そうですか」
「シン……」
望んだ答えをもらうことが出来ず、シンは肩を落としてそのままフェイトと共になのはのいる病室に向かった。

「シン君……相当PT事件のこと、引きずっていましたね」
「気にする必要はないってのに……あの事件も今回の事件も、未然に防げなかった僕らにこそ責任があるっていうのに……」
クロノもまた、これまでのことを通じて自分の無力さを嘆いていた。
「クロノ……」
「もっと僕達管理局がしっかりしていれば、あんなことが起こることも、民間人であるなのは達を戦わせることもなかったんだ……!」


数分後、ブリーフィングルームからでたリーゼ姉妹は誰もいない格納庫で、こそこそと何かを話し合っていた。
「ロッテ……私達のしていること、本当に正しいのかな……?」
「アリア……! 突然何を言うの!? お父様の目的は何なのか……! クライド君の仇を討ちたくないの!?」
「で、でも私達のやり方は確実とは言えないし! 私達ならもっとうまく出来たはずなのに! これじゃあ……」
「アリア……! お父様を裏切るの……!?」
ロッテは鬼の形相でアリアの胸倉をつかむ。
「ろ、ロッテ……」
「私達は……今さら後には退けないのよ!? もし私達を裏切るつもりなら……!」
「そ、そんなことしないよ! 変なこと言ってゴメン……」
あたりに険悪な空気が流れ、ロッテはアリアから手を離し、何も言わずにその場を去っていった……。


同時刻、八神家に戻ってきたシグナム達は砂漠に現れた仮面の男について話し合っていた。
「あいつら一体何もんだ? 折角あの高町なんとかをぶっ飛ばそうと思ったのに横から水を差しやがって……」
なのはとの決着がつけられず、面白くなさそうに頬を膨らませるヴィータ。
「でも……彼らのおかげでページも大分集まったわ、あとちょっとで完成よ」
「もうひと踏ん張りだ……皆、がんばろうではないか」
「……」
それぞれが決意を新たにする中、ヴィータだけは何やら不安そうに考え事をしていた、そしてそれに気づいたスウェンは彼女に話しかける。
「どうしたヴィータ? 何か考え事か?」
「うん……何だかさ、このまま闇の書を完成させてもいいのかなって……なんか大事なことを忘れている気がするんだ」
「……何を言っている? お前達は闇の書の騎士なのだろう? なら間違いは……」
ヴィータはスウェンに向かい合い、彼にある頼みごとをしてきた。
「なあスウェン……私達に何かあったらはやてをよろしくな」
「よせ、縁起でもない……お前らしくないぞ、さては何か悪い物でも食べたか?」
「うーん、しいて言えばシャマルの料理?」
「聞こえているわよヴィータちゃん!」

そのとき、二階のはやての部屋から誰かがバタンと倒れる音がした。
「なんだ!?」
全員が様子を見に行くと、そこには苦しそうに胸を抑えて倒れているはやてがいた。
「ううう……うう……」
「はやて!」
真っ先にヴィータが駆け寄る。
「動かすな! 頭を打っているかもしれん!」
「シャマル! 救急車だ!」
「は、はい!!」
「はやて! はやてぇ!」


数十分後、はやてが担ぎ込まれた海鳴大学病院のとある病室。
「みんな大げさやなあ~。胸がつっただけやん」
すっかり持ち直したはやては心配そうにしている皆に自分の元気さをアピールする。
「ですが頭を打っていましたし……」
「一応大事をとって入院することになりましたので……」
「もう、みんな心配性やなあ」
呆れたようにふふふと笑うはやて、しかしシグナム達ははやてが倒れた本当の原因を察知しており、心苦しい思いをしていた。
(闇の書の呪いが進行しているわね……)
(ああ、急いだほうがよさそうだ)
はやてが弱っていく姿を見て、決意を新たにするシグナム達だった……


数日後、聖祥大付属小学校のなのは達のクラス……そこでアリサ達は数日ぶりに学校に来たなのはに色々と質問していた。
「まったく、いきなり風邪ひいて休むなんて驚いたわよ、心配かけさせないでよね」
「でも完治してよかった……」
リンカーコアを奪われたなのはは風邪をひいたという理由で学校をしばらく休んでいた。
「にゃはは……ごめんね」
「今の時期って風邪が流行りやすいからね……」
「なのはも普通の女の子だったわけだ」
「むー! ひどいよシン君! それどういう意味!?」
そう言ってなのははシンの肩をポカポカ叩く。
「はっはっは、よせよ~」
「シン、このネタ二回目だよ」
そんなシン達の様子を見て、アリサはふうっとため息をついた。
「まったく……風邪には気をつけなさいよね、25日はウチでみんなを招いてパーティーを企画しているんだから」
「そっか、たしかその日にルイスちゃんと留美ちゃんが日本に遊びにくるんだっけ?」
「るいす? りゅーみん? 誰だそれ?」
知らない人間の名前を聞いて首を傾げるシンとフェイト。
「そっか、フェイトちゃんとシン君は知らなかったね、その二人はアリサちゃんのメル友なんだよ」
「確かとってもお金持ちだとか……学校の冬休みを利用して遊びにくるんだって」
「へえ……あのわんこの家でクリスマスパーティーか、マユも喜ぶだろうなー」
(早く終わらせないといけないね、パーティーを楽しむためにも……)

その時、すずかが何かを思い出しシン達にある提案をしてくる。
「あ、そうだ……みんな、ちょっとお願いがあるの……私の友達にはやてちゃんって子がいるの」
「ああ、すずかが図書館で会ったって子? その子がどうかしたの?」
「うん……実ははやてちゃん、この前入院しちゃったみたいなの、だから今度お見舞いに行こうと思っているんだけど……」
「ええ!? 大変だね!」
すずかの話を聞いて会ったことのないはやての事を本気で心配するなのは達。
「その前に励ましのメールを送ってあげたいと思っているんだけど……みんなも手伝ってほしいの」
「いいよ、俺達に出来ることならなんでも言ってくれよ」


それから一時間後、八神家で夕飯の準備をしていたシャマルは、自分の携帯電話にすずかからのメールが届いていることに気づく。
「あら……すずかちゃんからだわ」
メールには「はやてちゃん、早く良くなってね」というメッセージと、一枚の写メールが添付されていた。
「あらあら……」
はやてちゃんもいいお友達をもったわね、とシャマルは嬉しそうに添付された写真を見る。

そして衝撃でもっていたお玉を落としてしまった、写真にはすずかの他に、自分達と何度も戦ったなのは、フェイト、そしてシンが映っていたから……。









今回はここまで、残すは最終決戦のみとなりましたね。
とりあえず次回をお楽しみに、月曜日に投稿します。


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