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No.22867の一覧
[0] Lyrical GENERATION(再リメイク検討中)[三振王](2012/11/05 21:33)
[1] Lyrical GENERATION 1st プロローグ「すべてが始まった日」[三振王](2010/11/02 22:18)
[2] 第一話「巡り会う運命」[三振王](2010/11/02 22:23)
[3] 第二話「交錯する閃光」[三振王](2010/11/06 20:30)
[4] 第三話「閉ざした過去」[三振王](2010/11/07 20:44)
[5] 第四話「僕が選んだ今」[三振王](2010/11/09 20:16)
[6] 第五話「僕達の行方」[三振王](2010/11/12 08:30)
[7] 最終話「君は僕に似ている。」[三振王](2011/01/20 09:47)
[8] エピローグ「私は笑顔でいます、元気です。」[三振王](2011/12/14 21:31)
[9] TIPS:とある局員のプライベートメール[三振王](2010/11/21 23:45)
[10] りりじぇね! その1「壊れあうから動けないリターンズ」[三振王](2010/12/17 23:35)
[11] りりじぇね! その2「アリサのメル友」[三振王](2010/12/31 15:53)
[12] りりじぇね! その3「ちょこっと!Vivid!  ~ヴィヴィオの家出~」[三振王](2011/01/03 22:26)
[13] Lyrical GENERATION STARGAZER プロローグ「霙空の星」[三振王](2011/01/20 20:32)
[14] 序章1「新しい生活」[三振王](2011/01/23 19:47)
[15] 序章2「再会する運命」[三振王](2011/01/24 20:32)
[16] 序章3「12月1日」[三振王](2011/01/26 22:21)
[17] 第一話「始まりは突然に」[三振王](2012/01/27 10:52)
[18] 第二話「新たなる生活」[三振王](2011/02/03 20:52)
[19] 第三話「青き清浄なる世界」[三振王](2011/02/05 21:35)
[20] 第四話「隠した心」[三振王](2011/02/08 20:09)
[21] 第五話「交わらない道」[三振王](2011/02/17 20:56)
[22] 第六話「蒼き嘆きの詩」[三振王](2011/02/14 19:52)
[23] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」前編[三振王](2011/02/16 21:09)
[24] 最終話「STARGAZER ~星の扉~」後編[三振王](2011/02/17 21:03)
[25] エピローグ「大人になっても忘れない」[三振王](2012/01/27 10:53)
[26] TIPS:ある教授の日誌 +???[三振王](2011/02/20 09:07)
[27] 超級! 魔法武闘伝! プロローグ「交わる物語(ストーリー)」[三振王](2011/05/05 21:33)
[28] 第一話「姉妹」[三振王](2011/05/11 21:18)
[29] 第二話「ガンダムファイター(見習い)VS守護獣」[三振王](2011/05/16 21:59)
[30] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」[三振王](2011/05/22 21:58)
[31] 第四話「迷子の魔法使い」[三振王](2011/05/27 23:05)
[32] 第五話「接触」[三振王](2011/06/19 22:57)
[33] 第六話「運命の連鎖」[三振王](2011/07/06 22:14)
[34] 第七話「闇を統べる者」[三振王](2011/07/12 22:29)
[35] 最終話「Silent Bible」[三振王](2011/07/15 16:34)
[36] エピローグ「安息」[三振王](2011/07/15 16:36)
[37] Lyrical GENERATION SEED+プロローグ[三振王](2011/12/14 21:30)
[38] 第一話「出発」[三振王](2011/12/29 22:25)
[39] 第二話「3人目の少年」[三振王](2012/01/16 00:17)
[40] 第三話「原罪の創造主」[三振王](2012/01/28 08:08)
[41] 第四話「雷雨の中で」[三振王](2012/02/20 17:32)
[42] 第五話「戦いの前夜」[三振王](2012/05/16 10:06)
[43] 第六話「オペレーション・スピットブレイク」[三振王](2012/05/19 09:10)
[44] 第七話「抱える想い」[三振王](2012/07/11 20:46)
[45] 第八話「使命」[三振王](2012/08/07 17:39)
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[22867] 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」
Name: 三振王◆9e01ba55 ID:664d5fcd 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/22 21:58
 第三話「師匠、海鳴でテロリスト退治をするの巻」


アリシアが保護されてから数日後、シンとマユとハラオウン家一行はある人物達を連れて高町家にやって来ていた。

高町家の剣道場……そこでシンは剣道の防具に身を包み竹刀を構えながら、同じく竹刀を構えているなのはの兄、恭也と対峙していた。
「……はあ!!」
「むっ!」
一歩踏み出して竹刀を恭也に向かって振り上げるシン、しかし振りおろされた竹刀は恭也に当たることはなかった。
「はい面」
「あう!?」
そして恭也はそのままシンの頭に竹刀を優しく当てた。
「一本、それまで~!」
審判役のなのはの姉美由希が試合終了を告げ、シンは残念そうに面を取った。
「くっそ~! また負けた……」
「いやいや、初めて竹刀を握ったときより大分上達しているよシン君は! ねえ恭ちゃん!」
「ああ、まだまだ修練を積めばもっと強くなれるよ、それじゃ次は……」
「はい! よろしくお願いします!」
そう言って防具に身を包んだドモンが、竹刀を持ったまま恭也の前に立った。


何故ドモンが海鳴にいるのかというと、話は数日前のアースラでの出来事がきっかけだった。
その日、なのはとフェイト、そしてはやては食堂で何気ないおしゃべりをしていた。
「そーいえばなのは、道場でのシンってどんな感じなの?」
「一生懸命やっているよー、たまに見学しに行くけど竹刀を持っているシン君、カッコよかったなー」
「なのはちゃん、あんまり褒めるとフェイトちゃんがヤキモチ焼いちゃうでー?」
「も、もう……はやてったら……」
するとそこに、たまたま通りかかったドモンがなのは達の話を聞いてやってきた。
「なんだ? なのはの家は道場なのか?」
「ドモンさん? ええ、お父さんとお兄ちゃん、それとお姉ちゃんが経営しているんですよ、三人とも凄く強いんですから!」
「へえ……なら今度手合わせ願いたいな、武器を持った相手とも闘ってみたい」
「修業熱心やなあドモンさん、もしかしてシグナムやフェイトちゃんみたいなバトルマニア?」
「ちょっと違う……のかな?」

「はあなしは聞かせてもらったぞおおおお!!」
すると、なのは達の座るテーブルの下から、東方不敗がニュっと顔を出した。
「ひゃん!!?」
「ほわっ!?」
「変な所から出てこないでください!」
「師匠! 話を聞いていたんですか!!?」
「うむ! ワシもリンディ提督から第97管理外世界の話は聞いていてのう……あの世界はワシらの世界同様、MSが存在し宇宙で暮らす人類もいるようじゃ! 見解を広めるためにもちょうど貴様を連れて行こうと思っていた所!」
「なんと!? さすが師匠……! いつも俺の考えの先を行く!」
そう言ってドモンは感激しながら東方不敗と拳を一度ぶつけ合う。
「ぬわっはっはっは! それではいざ参ろうぞ! 海鳴とやらへ!」
「どこまでも付いて行きます! ししょおおおおお!!!」
そう言って二人は夕日に向かって駆け出し、何もない空間にとび蹴りを繰り出しながら飛び出した……。

「いやー、相変わらずアッツイ二人やな」
「つまり二人とも、海鳴に来るってことかな……?」
「だ、大丈夫かな、大変な事にならなきゃいいけど……」


こうして熱血師弟は半ば強引に第97管理外世界に渡り、ドモンはまず高町家の道場で恭也達の剣術の稽古を受けることになったのだった……。


ちなみに東方不敗はシンやドモン達のすぐ傍で、アリシアに武術の稽古をつけていた。
「せいせいせいせいせーい!!!」
「うむ! よいぞアリシア! もっと打ち込んでくるのじゃ!」
「はい! ししょおおおおお!!!」

「あわわわ、アリシアが目にも止まらない早さでパンチを繰り出している……」
「……なんだか滅茶苦茶変わっちゃったねあの子」
「あれもアルティメット細胞の影響なのかな? とても最近まで眠っていたなんて信じられないよ」
道場の見学に来ていたなのは、フェイト、そしておとなフォームのアルフはアリシアのすさまじい変わりように呆気にとられていた。
「あの爺さんが言うには、あの力が暴走しないようにするには体を鍛えてコントロールできるようにするのが一番だって言っていたけど……」
「よくわからない理屈だね」
「でもアリシアが楽しそうならそれでいい……のかな?」



そして一時間後、稽古を一通り終えた一同は翠屋に向かった。
「そろそろお昼だし、何かウチで作りますよ」
「すまんのう、ワシらまで馳走になって……」
「いいんですよ、なのはの友達とそのお師匠さんなんですから」

「そう言えば俺……店とかで飯を食べるのは久しぶりか」
「ドモンは三年間ずっとあのジャングルで暮らしていたんだっけ?」
「アタシも最初の頃は森で獲物狩ったりしてたっけねえ……」


そして一行が店に入ろうとした時、一人の長い髪を後ろにまとめた中年男性とすれ違った。
(む? あの男の刃のような闘気……只者ではないな)
「父さーん、戻ったよー」
「あ、ああお疲れ様皆……」
「? どうしたのお父さん? 怖い顔して……さっきの人と何かあったの?」
美由希はいつもと雰囲気の違う士郎に疑問を持つ。
「あ、いやなんでもないさ、それじゃお客さんもいることだし、桃子においしいもの作ってもらおう、何がいい?」
「な、なあなのは、ここのお勧めってなんだ? 食べたいのが多すぎてその……」
「それならお母さんの作ったイチゴパフェなんてどうです? とってもおいしいんですよー」
そうやってドモンやなのは達子供組がメニューを見てワイワイやっている一方、東方不敗はカウンター席に座り士郎や美由希と話をしていた。
「士郎殿……お主中々の立ち振る舞いじゃのう、何処かの戦場でも渡り歩いていたのか?」
「へえ、マスターさんすごいですね、そんな事見抜くなんて……確かに昔父さんはボディガードをしていたんですよ、今はもう引退していますけど……」
「成程……」
東方不敗は何故そんな士郎が今は喫茶店のマスターをしているのかは敢えて聞かなかった。
(ま、これ以上詮索する必要はなかろうて、何やら複雑な事情があるようだしのう)
「それじゃマスターさんは何を食べます? 今日は張り切ってなんでも作りますよー」
「ふむ、では……」



それから数日後、海鳴聖祥大付属小学校の屋上……そこでシン、なのは、フェイト、アリサ、すずか、そしてつい最近転入したばかりのはやてが、持ってきた弁当を広げて食べながら何気ない日常会話を行っていた。
「それでね、ドモンさんったらパフェを十杯も平らげちゃったんだよねー」
「あの人絶対胃袋が鋼鉄で出来ているよね……」
「俺だったらあれだけ食べるのは無理だなー」
「ふうん……あんた達また妙なのと知り合いになったのね」
「もしかしてその妙なのって私も入っとるん?」
「知り合いと言えば……今日のお昼ぐらいだよね、人類革新連盟から留美さん達が来るの?」
話題は今日引っ越してくる留美たちの話題に移っていた。
「そうそう、留美は一学年上のクラスに編入されるんですって、後から来るルイスも一緒よ」
「じゃあ私の家のお隣の沙慈さんと同じクラスになるかもね」
「ああ、たまに肉じゃがとかおすそ分けしてくれるあの人か、あの人本当に料理上手だよなー」
「それじゃあ今日の放課後、留美ちゃんの歓迎パーティーをしなくちゃならんなぁ」
「そうね……」
そう言ってアリサは少し不安そうな顔で、弁当箱に入っていたサンドイッチを一口頬張った。
「どうしたのアリサちゃん? 折角留美ちゃん達に久しぶりに会えるのに……」
「何か心配ごと?」
なのはとすずかの質問に、アリサはため息混じりに答えた。
「うん、実はこの前メールで教えてくれたんだけどね、あの子……家の当主を継がなくちゃならなくなったみたいなの」
「当主って……王家の? 確かすごいお金持ちだって聞いたな」
「ええ、本当は兄の紅龍さんが継ぐ筈だったんだけど……あの子それでちょっと機嫌悪いみたい、大人になったらもう自由じゃなくなるからって……」
「そうなんだ、この世界のお金持ちって大変なんだね」
「ま、留美ちゃんがどんなに偉くなろうと、私達の関係は変わらへんけどな」
「そうね……」



その頃、海鳴市近郊にある国際空港……そのロビーに数人のボディガードを連れた留美と紅龍が歩いていた。
「よ、ようやく日本に着いたな、留美……」
「……」
留美は不機嫌そうに紅龍の言葉を無視し、つかつかと前へ前へと歩いていってしまった。
「留美……」

そして二人はバスターミナルに用意されていたリムジンに乗り込む。
「それではバニングス邸に向かってくださる? 運転手さん」
留美は行き先を運転手に告げる。
「…………」
しかし運転手は返事をしない。
「あの、聞いてます? 早くアリサさんの家に……」
「!? まて留美、何かおかし……」

―――シュー……

その時、リムジンの中にガスのようなものが充満していく。
「きゃ! うぅ……!?」
「くそっ! 罠か……!」
留美と紅龍はそのガスを吸ってしまい意識を失ってしまう。
「目的地は変更ですよ、おぼっちゃま、お嬢様……」
そう言ってガスマスクを付けた運転手はにやりと笑い、リムジンをある目的地に向かって進めて行った……。



数時間後、翠屋では留美達が何者かに浚われた事を受け、高町一家がお店を早めに閉めて事件の推移をニュースで確認していた。
「犯人は留美ちゃん達のお父さんに身代金を要求しているみたいね」
「お父さん……大丈夫だよね、留美ちゃんと紅龍さん無事に帰ってくるよね?」
「ああ、大丈夫さ……」
不安そうななのはを、士郎は冷静を装って励ます。その時、テレビ画面に映っていたキャスターがこんな一文を読み上げていた。
『なお、王家に送られてきた脅迫状にはデスサイズと黄色のクローバーのエンブレムがマーキングされており、警察は国際テロ組織の犯行によるものとして捜査を進めており、JNNは引き続き取材を続け……』
「……!」
「クローバー……!」
「ど、どうしたの皆、顔が怖いよ?」
なのはは自分以外の家族皆の顔が険しくなっている事に気付きおびえる、その時……。
「はぁなしはきかせ(ゴンッ!) っ……! 話は聞かせてもらった!」
「もらった!」
「もらったー!」
「うにゃ!? マスターさん!? それにドモンさんとアリシアちゃん!!?」
テーブルの下から東方不敗、ドモン、そしてアリシアが飛び出してきた。
(一回テーブルに頭ぶつけたよね)
「東方不敗さん!? なんて所から出てくるんですか!!?」
「ふっふっふ、修業が足りんのう……ワシらが30分も前にここにいたことに気付かんとは! ところで士郎殿、大体の事情はリンディ殿からも聞いているのだが……」
東方不敗は恭也のツッコミを軽くあしらい、カウンターで呆気にとられている士郎に話しかける。
「士郎殿……先ほどニュースで言っていたテロ組織とやら、どうもお主と関係があるようじゃのう」
「え!? そうなのお父さん!?」
「なのは……」
士郎達はなのはの前でその事を話すのに抵抗があるのか、一斉に視線を反らした。
「なあに、この娘は歳に似合わずしっかりしておる、お主のどんな過去でも受け止められるじゃろう」
「……わかりました」
しかし東方不敗に諭され、士郎はなのはに自分と留美をさらった一団との関係について話した。
「なのは……昔、父さんが大けがをして前の仕事を辞めたのは覚えているかい?」
「うん、みんな看病で忙しかったよね」
「あの大けがは……その黄色いクローバーの組織に負わされたんだ」

士郎は昔、フィアッセという少女のボディガードをしていた際、花束に仕掛けられた爆弾から身を呈して彼女を庇い重傷を負ってしまったのだという。
「その爆弾を仕掛けたのが黄色いクローバーの組織なの?」
「ええ、あの後士郎さんの知り合い……美沙斗さんって人にその組織の事を色々調べてもらったんだけど、結局捕まえられなかったみたいで……」
「……」
“美沙斗”という名前を聞いた途端、不機嫌そうに険しい表情になる美由希、それを見たドモンとアリシアは疑問に思いなのはに小声で質問する。
(? 何故美由希さんは不機嫌そうなんだ?)
(えっと……実はお姉ちゃん、お父さんとお母さんの本当の子じゃなくて……その美沙斗さんって人の娘なの、それでその人に捨てられたって思っているらしくて相当憎んでいるみたいなの)
(へえ、複雑なんだねなのはの家って……)
そして東方不敗は、昼間ここに来た時店先ですれ違った男の事を思いだす。
「ふむ、さしずめあの時ここにいた男は、その組織の事を教えに来たと言ったところか」
「ええ、あの人はユニオン軍のホーマー・カタギリさん、美沙斗さんの知り合いなんです、黄色いクローバーの組織が来ている事を知らせに来てくれて……」
「成程成程、事情はよく解った」
そう言って東方不敗は翠屋の入り口に向かう。
「東方不敗さん? 一体どこへ?」
「少し……散歩に行こうと思ってのう、ドモンよ、ついてきなさい」
「あ! 私もいくー!」
「アリシアはここに残っていなさい」
「ぶー」
そして東方不敗はドモンを連れて翠屋から出て行った。

「東方不敗さん、一体どうしたんだろう? 急にフラッと現れて、フラッと去っていって……」
「ま、まさか……」
皆より東方不敗との付き合いがちょっとだけ長いなのはは、彼が何をしようとしているのか何となく感じ取り冷や汗をかいた……。
一方アリシアは、
「あーあ、私も留美ちゃんを助けに行きたかったなー」
不満そうに口を尖らせていた。


一方、留美達が捕えられている場所を勘で探りながら町中を駆けまわっている東方不敗とドモンは……。
「しかし師匠、何故態々こんな危ない事に首を突っ込むんですか?」
「ふん! 修業じゃ修業! 別に昼に御馳走になったコーヒーの礼をしたいわけじゃないんじゃからな!!」
40超えたオッサンのツンデレである。
「さすがです師匠! 俺もあんなカッコいい事が言える男になりたい……!」


数分後、とある港にある古びた倉庫……そこに何人もの仮面を付けた男たちが、猿轡をされ喋れない上にロープで縛られて身動きの取れない留美と紅龍を囲んでいた。
「んー! んー!」
(お兄様……暴れてもしょうがないでしょう? まったく……まさか誘拐されるなんて……)
すると二人の前に、精悍な顔つきの白髪の男が歩いてきた。
「ふふふ……お待たせいたしましたお嬢様、おぼっちゃま、我がアジトにようこそ……」
そう言って男は二人にされた猿轡を外す。
「ぷはっ……! お前達は一体何者だ!!? こんな事をしてただで済むと……」
「落ち着いてくださいましお兄様、喚いても何も事態は好転しません」
「ほほう、妹のほうは中々利口だな」
「貴方達、さしずめ私達を餌にお父様から身代金をふんだくろうとしているのですね?」
「ふふ、まあそんな所だ、テロを起こす為の兵器を揃えるにしても金が必要なのだよ、只でさえ我々は正体不明のMSに追いかけられて身を削られているのだし……」
(俗物が……! これだからテロリストは乱暴で嫌いなのよ、もし私が当主になったら傭兵か何か雇って全滅させてやるわ)
留美がそんなことを考えていると、白髪の男はナイフを持って彼女に近づいた。
「さて……何故私達が君達二人を連れてきたかわかるかい?」
「……? 身代金を多く手に入れる為?」
「それもある、だが我々は確実に金を入手したい、そこで……」
そして白髪の男は留美の首筋にナイフの刃を当てた。
「娘のバラバラの死体でも送れば、向こうは残った方を何が何でも救う為嫌でも取引に応じるだろう」
「!!?」
留美は白髪の男の並々ならぬ殺気を感じ恐怖する。
「や、やめろ! 留美に手を出すな!」
その時、紅龍が縛られたまま白髪の男に体当たりを喰らわそうとする……が、ひょいと避けられてしまった。
「安心しろ、君は大事な金づるだ、そこで大人しくしていれば命はとらない」
「くっ……! くっそおおお!!」
紅龍はなおも白髪の男を止めようとするが、回りにいた仮面の男たちに取り押さえられてしまった。
「は、離せ! 殺すなら俺にしろ! 俺は……!」
「はっはっは、勇ましい限りだ、だが子供に何ができる」
「ひっ……! だ、誰か助けて……!」
紅龍は怯える留美の顔を見て自分の無力さに怒りを感じていた。
(くそ! 俺に、俺にもっと闘う力があれば……!)
そして彼は歯を砕けそうになるくらい噛みしめる、その時だった。


―――ドォォォン!!


「!? なんだ!?」
突如工場の外から爆音が響き、一同は何事かと狼狽する。するとそこに外で見張りをしていた白髪の男の部下が駆け寄ってきた。
「ファン様大変です! 侵入者です!」
「警察か? それともユニオンの奴らが嗅ぎ付けたのか?」
「そ、それが……!」


―――ガァンッ!!


その時、突如何者かが壁を破壊して留美達のいる工場の中に侵入してきた。
「ふん! 拳銃ごときでワシを止められるか!」
「さすがです師匠! 勘で犯人達の居所を突き止めるとは!」
「な、なんだお前は!?」
「ほう、貴様が主犯格か……子供を誘拐するなど愚の骨頂! このワシ直々に成敗してくれるわああああ!!!」
そう言って侵入してきた男……東方不敗は、手に持ったタオルをビンと伸ばして戦いの構えをとる。
「ちっ! よくわからないが相当のバカか……おいお前ら撃て!」
「は……ははっ!」
白髪の男……ファンと呼ばれた男は周りにいた部下達に銃撃の指示を出す。すると部下達は持っていた拳銃を構え、銃弾を東方不敗に向かって発射した。
「あまぁい!!」
対して東方不敗は右手を円のように回し、銃弾を“素手で”掴み取ってしまった。
「ゲェー!? 銃弾を!?」
「なんだアイツ!? 化け物か!?」
「ふん……返すぞ」
東方不敗はそう言って掴み取った銃弾を、親指で次々と弾き飛ばした、銃弾を使った指弾である。


―――コココココン!!!


「あだ!?」
「ぐえ!?」
「ぎゃふ!?」
その指弾の直撃を受けた部下達は次々と倒れ、起きているのは東方不敗とファンだけになっていた。
「さて……残るは貴様だけだな」
「な、何を言っている! こっちには人質が……!」
ファンはそう言って留美達を盾にしようとするが……。

「おい、大丈夫か?」
「あ、貴方は?」
「助かった……」
二人はいつのまにかドモンによって解放されていた。

「なっ……! なっ……!」
「さて、ではそろそろトドメと行こう、超級……!」
東方不敗はファンにトドメを刺す為、超級覇王電影弾の構えをとる、その時。
「! 師匠上です!」
「ひいいいいやあああ!!!」
突如上から左目を前髪で隠した白いコートを着た男が大剣を持って襲いかかってきた。
「ぬう!?」
東方不敗はすかさずバック転して男の攻撃を避けた。
「もう一人いたとは……!」
「グリフ! 時間を稼げ! 俺はアレを持ってくる!」
「了解しました……」
ファンは白いコートの男……グリフに殿を任せてどこかに行ってしまった。
「師匠! 助太刀しますか!?」
「たわけ! 貴様にはその兄妹を守る役目がある! 大人しくそこで待っておれ!」
「は、はい!」
そして……グリフと呼ばれた白いコートは地面に突き刺さった大剣を抜くと、気味の悪い笑みを浮かべて東方不敗と対峙する。
「はは、ははははは……! 剣と剣との戦いのほうがいいが……アンタ相手なら楽しめそうだ!」
「ふん! 流派東方不敗に人切り包丁など効かんわ!」
そして東方不敗はグリフの大剣の攻撃を掻い潜りながら、パンチやキックで反撃する。

「あ、あの方は一体何者なんですの!?」
一方、ドモンと紅龍とともに留美は少し離れた木箱の裏から、東方不敗とグリフの人の域を超えた戦いを目の当たりにして驚愕する。
「あの人は俺の師匠東方不敗マスターアジア、なのはの親父さんには大きな借りがあるから助けに来た」
「なのはさんのお知り合いでしたか……」

一方、紅龍は東方不敗の戦いっぷりに見入っていた。
(すごい、あんな大きな剣を持つ男に臆することなく立ち向かうなんて……!)

「トドメだ……!」
そして数分後、激しい戦闘に終止符を打つため、グリフは高く飛び上がり東方不敗に向かって剣を振りおろした。
「あまぁい!!」

―――ガッ!!

東方不敗はそれをピンと張らしたタオルで受け止めてしまった。
「なっ!? 俺の剣が布で!?」
「流派東方不敗! 光輝唸掌! 覇っ!」
そして東方不敗は驚愕するグリフの胸に、気を溜めた掌を当てて吹き飛ばした。
「ぐわあああああ!!!!?」
グリフはそのまま壁を突き抜け、海にどぼんと落ちてしまった。
「ふん! その腕でワシに挑もうなど……百年早いわ!」
「さすがです! ししょおおおおおお!!!」
そう言って感激したドモンが駆け寄ろうとした時、辺りに突如爆音が響いた。
「!? 外か!」
東方不敗が先んじて外にでると、そこには空に浮かぶ一機のMSがいた。
「むう! MSか!」
「あれはリアルドですわ!」
『よくもやってくれたなカンフーマスター……! ここは一旦退かせてもらう!』
そう言ってファンは乗っていたリアルドをMAに変形させてその場から飛び去った。
「師匠! あいつ逃げますよ!」
「解っておる、あの悪党をあのままにはできんな」
東方不敗は拳を握りしめて精神を集中させる。
「もしやあの奥義を!? 皆離れろ!」
ドモンは東方不敗が何をしようとしているのか察知し、留美達を安全な場所に移動させる。

「流派! 東方不敗が最終奥義ぃ……!」
すると東方不敗の周りの空気が震えだす、そして彼の右手にシャッフルハートの紋章が浮かび上がった。
「ワシのこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!」
東方不敗の両手に強大な気が収束していく、そして彼はそれをリアルドに向かって打ち出した!

「石破! 天驚けえええええん!!!!」

『な……うわあああああ!?』
ファンは東方不敗から撃ち出されたエネルギー弾を避ける事が出来ず……


―――チュドォォォン!!!


撃墜されてしまった。



数分後、東方不敗達がいる倉庫の周りにパトカーのサイレンが鳴り響いた。
「ふむ……後は警察に任せよう、行くぞドモン」
「はい師匠!」
そして二人はそのままどこかに走り去っていった。

「もう見えなくなってしまいましたわ……とりあえず明日、なのはさんにあの人たちの事を聞かなければ……」
「東方不敗……マスターアジア……」
あまりの怒涛の展開に付いていけない留美を尻目に、紅龍は興奮冷め止まぬと言った様子である決意をしていた……。



同時刻、倉庫の遥か上空……そこに一機の白いMSが、赤い粒子を撒き散らしながら留美達の様子を窺っていた。
「ふふふ……スポンサー候補の子に恩を売ろうと思って来てみれば、とんだ場面に遭遇してしまったようだね」
『三人目、四人目の招かれざる客……僕達と同じ“黒歴史の再現者”……』
「面白くなってきたよ、それで君はどうする?」
『僕はちょっと海鳴を観光していくよ、会いたい人もいるし』
「わかった、それじゃ数日経ったら迎えに来るよ」
そして白いMSはそのまま何処かに去って行った……。




数日後、翠屋のオープンカフェ、そこでなのは、フェイト、はやて、アリサ、すずか、そして留美と最近越してきたルイスは一緒に午後の紅茶を嗜みながらお喋りをしていた。
「いやー、この前は散々だったね留美―」
「散々どころの話ではありませんわルイスさん……でもあの後首領を失ったクローバーの組織はユニオン軍に壊滅させられたらしいですわね」
「うん! カタギリさんが頑張ってくれたおかげだってお父さん喜んでいたんだよ!」
「そっか、これでなのはちゃん達も枕を高くして眠れるわけやな」
「しっかしすごいわねその……東方不敗さんだっけ? 生身でMSを壊すなんて……」
「なのはちゃん達とどっちが強いかな?」
「う、うーん……出来れば戦うのは御免こうむりたいよ……そう言えば紅龍さんは? いつも一緒にいるのに?」
フェイトの質問に、留美はうんざりといった様子で答える。
「あの愚兄ですか? なんでもマスターアジアさんの戦いぶりに魅入られたらしくて……」



同時刻、高町家の剣道場、そこで紅龍はドモンやアリシアに稽古を付けていた東方不敗に向かって土下座をしていた。
「お願いします! 俺を……俺を貴方の弟子にしてください!」
「ほう、ワシに弟子入りとは……何故じゃ?」
「俺は留美を……妹を守りたいんです! そのために……貴方みたいに強くなりたいんです!」
「妹を守るか……それが貴様の選んだ道か! よかろう弟子入りを許可する!」
「あ……ありがとうございますマスターアジア!」
「バカ者! ワシの事は師匠と呼べ!」
「はい! 師匠!!!」
「ふふ、俺にも弟弟子が出来たわけか……」
「二番弟子は私だかんねー!?」
「よし! 弟子が一人増えたところで! 早速修業開始じゃああああ!!!」
「「「おおー!!」」」


そんな東方不敗の様子を、すぐ近くで剣の稽古をしていた恭也と美由希、そしてシンはやれやれといった様子で見守っていた。
「すみませーん、張り切るのはいいですけど道場壊さないでくださいねー」
「まったく……なのはの友達は本当に変わった人ばかりだな」
「え? もしかして俺も含まれています?」


こうして東方不敗は訪れた第97管理外世界で、新たな弟子を得たのだった……。




















月夜の高層ビルの上、そこに一人の16歳ぐらいの少年が下に広がる街を見回していた。
「ここは……どこだ? 俺はデスティニーに乗って……あいつと戦っていたら光に包まれて……」
するとそこに、変わった服装を着た三人の少女達が彼の元に降り立った。
「……? なんだお前達は?」
「くくく、どうやら貴様も闇の書の残滓らしいな」
「やったね! また仲間が増えたよ!」
「とにかく私達と来てください、記憶が混乱しているでしょうから私達が一から説明いたします」
「……わかった」



海鳴に三度目の嵐が巻き起ころうとしていた……。










今回はここまで、これで留美と紅龍は将来訪れる死の運命から逃れることができますね、流派東方不敗に銃弾は効きません。

さて、次回よりマテリアル三人娘と、闇の書の残滓の設定を利用したあるオリジナル?キャラが活躍する予定です、なるべくゲーム版の雰囲気が出るように頑張りたいと思います。


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