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No.2299の一覧
[0] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫~[Shinji](2007/01/23 23:38)
[1] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の2~[Shinji](2007/01/26 13:21)
[2] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の3~[Shinji](2007/02/04 16:34)
[3] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の4~[Shinji](2007/02/09 17:32)
[4] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の5~[Shinji](2007/02/15 00:19)
[5] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の6~[Shinji](2007/02/25 00:59)
[6] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の7~[Shinji](2007/03/03 10:29)
[7] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の8~[Shinji](2008/07/31 07:28)
[8] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の9~[Shinji](2008/08/03 06:37)
[9] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の10~[Shinji](2008/08/07 11:07)
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[2299] ランスⅦ ~魔人の娘 黒姫 其の6~
Name: Shinji 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/02/25 00:59
「信長様、やりました! 足利の軍が撤退して行きます!」

「わははははは!! おととい来おぉい!!」

「ふん……思ったよりも、手応えが無かったな。」

「全くだ、こうなったら足利を攻め滅ぼしてくれるわぁ!!」

「そう簡単にもいくまい。」

「そうでしょうねぇ……」


尾張に攻め込んできた足利家の軍に対し。

織田家は勝家(450名)・乱丸(350名)・光秀(250名)の纏める軍で追い返した。

兵数としてはたった50名の上回りであれど、質が勝っている事から大勝利と言えた。

よって騒いでいる勝家を中心に、乱丸と光秀を傍に、
信長は腰掛けたまま、微笑みながら"ぱちぱち"と手を叩いた。


「はははは、やったやった。 よ~し、それじゃ~後始末だね……っと。」

≪ぐらっ≫

「あ、兄上!?」

『信長様!』

『いかん。』

『これはいかん。』

『……熱が出ておる。』×3


戦いが終わったにしても、まだやる事はあり "よいしょ"と信長が立ち上がろうとした時。

彼はバランスを崩して倒れそうになり、その体を香姫と3Gが慌てて支えた。

そんな信長は熱を出しており、苦笑いをしながら口を開く。


「参ったね……こんな筈じゃ~無かったんだけど……」

「信長様ッ! 後は拙者達に任せて、城にお戻りください!!」

「勝家、こう言う時位は声を抑えんか。」

「香様、3G殿。 信長様を お早く……」

「わかりました。 さぁ、兄上……」

『お先に失礼しますぞ~。』×3

「みんな悪いね、手間掛けて……」

「いえ、お気になさらずとも。」

「ごゆっくり、御身体をお休め下されぃ!!」


戦いには参加しなかったにせよ、信長は無理に戦場に赴いていたようだ。

よって今は手を借りずに立ってはいるが、表情には覇気が感じられ無い。

そうならば、直ぐにでも城に戻って休む必要があり、彼は此処での後始末を勝家達に任せた。

何時もであれば最後まで残っていたのだが、今日は特別 彼の様態は芳しく無かったようだ。

そんな信長達が完全に去ってゆくまで、三人の武将は彼の背中を眺めていたのだった。


                  ランスⅦ
            ~魔人の娘 黒姫 其の6~


――――島津の城。


各々の役目を果たした4兄弟達は、大広間に集まっていた。

大抵女を侍らせながら行動する彼らなのだが、こう言う真面目な時だけに限っては、
必ず誰も女性を引き連れて来ない事から、彼らの仲の良さが窺えた。

そんな戦艦長門での戦い・及び戦後処理を終わらせた4兄弟達は、
ひとまず国境に偵察を置いて、一旦本城に引き返していた。

一万五千の大軍を動かすに当たって、そのまま次の領地に侵攻できる余裕は無く、
そもそも彼らの宣戦布告自体がイキナリだった為、それなりに彼らは忙しかった。

だが……有能である彼らは気にする事無く、こうして顔を合わせている。


「……イエヒサ。 毛利の動きはどうだ?」

「う~んと、ようやく出雲の西に部隊を集め始めたみたいだね。」

「赤ヘルには?」

「居ないよ、出雲にだけみたい。 それはそうと、やる気満々みたいだよ~?」

「やっぱりかよ。 まぁ、毛利だしなぁ。」

「だが……相手の作戦に注意を払う必要は無さそうだ。
 思った通りに動かれると、蹂躙のし甲斐が無いんだけどね……」

「トシヒサ。 毛利元就の力は侮れないらしいぞ?」

「確か馬鹿デカい化け物らしいんだよなぁ?
 それに関しちゃあ、トシヒサの鉄砲部隊に任せるって事で良いんだよな?」

「ふふ、任せてくれ……」

「あ~……毛利元就の事なんだけどさぁ、何だか"その必要"は無くなっちゃったみたい。」

「……何だって?」

「アイツが"呪い付き"だったって事だけど、その呪いが"落ち"ちゃったみたい。」

「ほう。」

「おぉ~ッ。」

「…………」

「あはは、だからトシヒサ兄ちゃんが考えた作戦、無駄になっちゃったね~。」

「な、なんて事だ。 敵将を討つ……その大役を任され、
 ずっとそれだけを考えた結果、最も無害で華麗な蹂躙方法を考えたと言うのに……」


本城に戻ってからは主に、ヨシヒサは内政関連・カズヒサは軍事関連。

そして、イエヒサは毛利の動きの監視を中心に行っていた。

勿論アギレダを初め、他の家臣達も内政や軍事を行っていたのだが……

トシヒサだけは強力な人間である"毛利元就"を討つ為の作戦をひたすら考えていた。

だが元就が元の姿に戻ってしまったので、実行できないのは勿論、内容も割合するとしよう。


「ま~ま~、気にすんなって。」

「そうだぞトシヒサ。 どちらかと言えば"良いニュース"なのだからな。」

「仕方ないな……不本意だけど、そう思う事にするよ……」

「では話を戻そう。 イエヒサ、毛利の数はどうだ?」

「えっと、それに関してだけど……"悪いニュース"になるかもね。」

「構わん。 言ってくれ。」

「うん……聞いたところによるとね、2万前後だってさ~。」

「ゲぇッ、二万ん!? 毛利のほぼ全軍じゃねぇかッ!」

「参ったね……何処にそんな兵が……」


毛利の全兵力は、約2万前後。

戦艦長門では不意を突いたので1000名にも満たない数だった事から、
残っているのは少なくとも、19000前後の兵数と予測できる。

しかし、それはあくまで"全軍"であり、常識的に考えるのであれば多少は減るハズだった。

毛利は姫路を攻めたばかりであるし、いくら明石が著しく兵力を失ったとは言え、
数千名の兵を姫路と出雲の境に残しておくのは定石だろう。
(島津の全兵力は15000だが、隣接敵国が毛利だけなので全軍を出せる)

実際に油断の為に戦艦長門を落とされているのだし、
4兄弟達は必ず明石の存在の為に、全軍では向かって来ないだろうと考えていたのだが……


「余分な兵を加えたワケじゃ無いみたいだよ? 全兵力で対抗してくるみたいだね。」

「明石と不可侵でも結んだのか?」

「うぅん、そういう話は今の所聞いてないけど……」

「結局どっちにしろ、厄介な事になっちまったなぁ~。」

「そうだね……数で負けないのであれば、勝負は最初から決まっているようなものだったのだが……」


いわゆる4兄弟達の予想では、"15000+呪い突付き元就"が毛利家の戦力だった。

そうなれば、呪い付き元就の脅威が無くなったと言う事で戦いが楽になったと言えた。

……だが、20000前後が相手だと判ると、また作戦自体を練り直さなければならない。

その時間はそんなに残されてはおらず、少し難しい顔をするイエヒサ以外の3人。

そんな兄達を見ながら、若干複雑そうな表情をしているイエヒサが気になったか、
ヨシヒサはタハコに火を点けると、彼に向かって表情を改めると言った。


「心配いらん、俺達は負けん。 黒姫の為にもな……」

「そうそう! イエヒサ、少し読みが外れただけでヘコむのは、お前の悪ぃ癖だぜッ?」

「へんだっ、ヘコんでなんか無いもんねっ!」

「まぁ……毛利さえどうにかすれば、JAPANの"半分"は貰ったようなものさ……」

「あぁ、東JAPANは未だに抗争が絶えないようだしな。」

「とっとと漁夫の利でも狙って、統一しちまお~ぜ~。」

「うんッ。 その為にも、まずは毛利だね。」

「そう言えば……噂の毛利三姉妹……後何ヶ月か貰えれば、
 戦わずして、毛利の領を我が領地にする事もできた だろうけど……」

「そうだな。 三人の内 皆、俺達 誰かの妻になった可能性もある。」

「でも、チンタラしてらん無ぇしなぁ~。」

「黒ねーちゃんの目を、少しでも早く覚ませてあげるんだいッ!」

「三姉妹を俺達の女にできるチャンスが、潰えた訳でも無いしね……」


15000対20000規模の戦い。

有能で優秀である島津4兄弟とは言え、それまで大きな戦いをした事は無い。

その為か少なからず緊張はあるようだが……黒姫の為にはそうも考えてはいられない。

一刻も早く"異人"から彼女を振り向かせる為、彼らは進まなくてはならないのだ。

しかし……4人は、彼女の心意に気付いている筈も無い。

黒姫の気持ちは"こんな事"では変わらないのは勿論……

モチベーションを保つ為の一環である、今回の口説き対象"毛利三姉妹"の存在も、
既に"魔人討伐"の為、ランス達の仲間に引き入れられたと言う事に……


……


…………


毛利の本城を出発し、明石領までやってきたランス達は、何時ものように宿を取った。

そんな彼らの此処での目的は、"明石の瓢箪"を入手する事だ。

だが毛利と違い、明石は先日の戦いで壊滅的な打撃を受けている為か――――


"毛利の瓢箪を手に入れられて、明石の瓢箪を手に入れられない筈無いだろ!"


……と、言う気持ちがランスには強く、他の者達も彼の感情に感化されていた。
(毛利3姉妹のうち、てる と きくは最初から同じ考えであろうが)

かと言って、話し合いの場は必要であり……7人のメンバーが部屋の居間に集まる。

そう難しくは無さそうだが、より少しでも楽に手に入る方法を考えるのだ。


「さて、二個目の瓢箪だ。 どうしてくれよう。」

「何とか話し合う事で、譲って頂けないでしょうか……?」

「ランス様、それが一番良いと思います。」

「だが、それだと"魔人"の事も話す必要があるだろ。
 戦力になりそうな奴(女性限定)が居ないのに、わざわざ言ってもなぁ。」

『確かにそうかもしれんな。 魔人の事が他の者の耳に入れば入る程、
 それだけ儂らが動き難くなるかもしれん。』

「きくちゃん、鈴女。 お前らが手っ取り早く、瓢箪を盗んで来るってのはどうだ?」

「ん~? また面倒ごと押し付けよぉってのかよ?」

「やろ~と思えば、できるかも しれないでござるけどね。」

「は~い☆ お茶をどうぞ~。」

「もう毒は入ってないだろうな? シィル、飲め。」

「あ、はい。 んくんくっ……」

「むむっ……ど~してそんなにアッサリと……」

「ちぬ、お友達に毒なんて入れたりしたいも~ん☆」

「何時まで気にしてんだよ? 大丈夫だからさっさと飲めって。」

「何だか腑に落ちんな。 ……ごくごくごく……」

「それじゃ~、鈴女(+きく)がパパっと盗んで来れば良いのでござるか?」

「あぁ。 大した奴は居ないらしいし、それで――――」

「待て。」

「おっ? てるさん、どうした?」

「我に術(すべ)がある。 これから姫路城に赴くぞ。」

「交渉するのか? 面倒そうだし、盗んだ方がなぁ~……」

「"瓢箪のみ"を手に入れるのであれば、盗みも一つの手段と言えよう……
 だが我は"魔人"とやらと戦う為に貴様らと同行すれど、毛利を捨てた訳では無い。」


此処まで来る迄に仕入れた情報や、鈴女の意見からすると、
明石に有力な武将は殆ど残っていないらしく、国主の暗殺すら難しくは無いらしい。

即ち"瓢箪"を手に入れるのも、鈴女ときくの実力であれば厄介では無いのだ。

そうなれば無駄に自分が動く必要は無く、明石の未亡人を狙ってみるのも良い。

ランスは黒姫に頼まれての"魔人討伐"の旅の最中であるが、
JAPANセックス旅行を楽しむ気は依然有り、全てを二人の忍びに任せようとしていたが……

居間の隅で腕を組んで立っていた、てる が何やら口を挟んできたのだ。

そんな彼女の言葉の意味が良く判らず、ランスは首を傾げながら てる を見上げて言った。


「どう言う事だ~?」

「これから元就は……毛利は島津と決する事となろう。
 そうならば、いくら弱国となったとは言え……明石の存在は捨て置けぬ。」

「瓢箪を盗んでも、残った兵はそのままでござるからね~。」

「だったら国主ごと殺っちまうかぁ?」

「き、きくさんっ。 瓢箪さえ手に入れば良いのですから、できるだけ穏便に……」

「はいはい。 わ~ってるよ、姫さん。」

「それ故に毛利が島津との戦いに集中できるよう、明石と交渉を行う必要がある。」

「何だか厄介な事になりそうだな~。」

「案ずるな、既に書状は送り付けている。 瓢箪とやらは、"ついで"に受け取るが良い。」

「そんなに旨くいくのか?」

「明石の今の状況からすれば、この上無く良い条件を記している。
 国主が余程の暴君でもない限り、抗われる事などありえぬ。」

「へぇ~、姉貴。 何時の間にそんな事……」

「てる おねーたま、ちゃんと おとたまの事 考えてたんだー。」

「それって、俺様も行かなきゃ駄目なのか?」

「貴様らが瓢箪を欲しければな。」

「ちっ、めんどい……」

「ランスさん、そう仰らず。 毛利の事は他人事ではありませんし……」

「まぁ、島津を抑えて貰うに越した事は無いしな~。 良しシィル、準備だ。」

「はいっ、ランス様!」

「姫路城に出発~ッ、でござる!」


てる の考え……それは明石を動かさない・邪魔をさせない事。

そうすれば毛利は島津との戦いに集中でき、全兵力を出雲の西に集中させれる。

島津4兄弟の予想に反して、毛利が全軍を対島津として置いてきたのも、
"これから"不可侵を結ぶ配慮があったからであり、まだその情報は彼らに届いていなかったのだ。

本来ならば3姉妹とも残って、島津を戦う事になっていただろうが……

彼女達は異人との戦いと言う"賭け"に負けたので、それを突っぱねる事はできない。

確かに"魔人"との死合いは面白そうだが、元就の事は心配なので、
せめて てる は元就達が全力で島津と向かい合えるように動くようにしたのだ。

だが……彼女に出来る事は"それだけ"であり、後は元就に全てを任せるしかなかった。


「てるおねーたまー。」

「何だ、ちぬ。」

「お茶飲んでー、冷めちゃうよー。」

「……うむ。」

「おとたまなら大丈夫だよー、そんな心配しないでー。」

「そうだぜ~、姉貴。 書状の事だって、何で言ってくんなかったんだよ?」

「…………」

「姉貴ッ?」

「きく、お前は忍びとしてこれから奴に命令を受ける事もあろう。
 そして ちぬ……お前は魔人や毛利の云々よりも、自分の体を気遣う必要があるだろう。
 故に……我がお前らに代わり、面倒事を引き受けてやっただけの事だ。」

「は~いはい、あんがとさん。」

「でもー、今度からは隠し事はなしだよー☆」

「…………」

「親父達なら大丈夫だって! 心配しね~でも勝つよッ。」

「そそ、ランスたま 強かったけどー、おとたまも すっごく強いもーん!」

「……そうだな。 (だが……どちらにしろ、元就は……)」


……


…………


――――明石家、姫路城。


「……っ……」


先の毛利家との合戦で大敗を喫した明石は、国主である"明石風雷"の他、
将来有望とされていた、次期国主予定の三人の息子達も戦死した。

それ故に元服(15歳になった)したばかりの"明石風丸"が国主となり、
彼を中心に連日"白鷺"と呼ばれる姫路城で、連日会議が行われていた。

……そんな風丸の元に届いた、一通の毛利からの書状。

それに目を通した風丸は、意外な内容に別の意味で驚いていた。


「如何なされました、風丸様?」

「毛利からの書状の内容は、如何に……?」


隠居していた筈の元家臣、阿部平三・朝比奈百万が声を掛ける。

すると上座の風丸は顔をあげ、家臣達に顔を向ける。

この仕草はまだまだ頼り無いモノだが、違和感を感じる者は一人も居ない。


「うん、それなんだけど……内容は、暫く不可侵を結びたいと言う内容だった。」

「な、何と!?」

「毛利め……どう言う事だッ?」

「どうやら、今は島津との戦いに集中したいらしい。」

「確かに島津も、大国ですからな。」

「だが、それこそ好機では? いくら毛利と言えど、挟めれば……」

「僕もそう思う。 でも……だからこその、不可侵だと思うんだ。」

「ふ~む。 ですが、信用できませんな。」

「私も平三に賛成です。」

「あの毛利を信用する気は、僕も無いよ。 けど書状にはこう書かれてる。
『これから"毛利三姉妹"が直々に交渉にやってくる』……と。」

「ま、誠ですかッ!?」

「本来ならば、我々が逆の立場だと言うのに何故……?」

「それはわからない。 だけど、受ける事で少しは今の状況が変わるかもしれない。
 だから……追い返さずに話してみようと思うんだけど、良いかな?」

「はっ、風丸様。」

「畏まりました。」


明石の兵力数は、老兵達を入れても2000名足らず。

徴兵を繰り返せばもう少しは増えるかもしれないが、それだけ明石は壊滅的な打撃を受けていた。

もし、毛利が何も言って来ないで島津との戦いを始めても、
当分の間 明石は戦力の建て直しが必要であり、毛利を攻める事は無かっただろう。

それなのに、毛利三姉妹が直々に交渉に来る……これは意外だった。

まだまだ国主として、武士としての経験が足りない風丸にとっては深い意味は判らず、
そんなに動揺していない様子だが、歴戦の老兵達は色々と考えてしまう。


――――三姉妹のいずれかと、風丸との結婚が目的か?


――――島津との戦いが終われば、直ぐ様滅ぼしに来るつもりか?


――――謁見の時に、風丸の命を奪うつもりなのか?


その他にも様々な考えが浮かんで来たが、あの毛利の思惑など読めない。

故に、風丸の知らないところで……老兵達は静かに熱く、警戒を高めた。

……しかし、それらは思い過ごしであり、書状は毛利ではなく、
むしろランス達から……いや、毛利てる から送られた物である。

彼女を初め、毛利三姉妹が出雲を離れていなければ こんな事はしないのだが、
明石が攻めてくる危険性は ほぼ無いにせよ、僅かにでも可能性がある限り、
確実に確率をゼロにする事で、少しでも元就の為になろうと考えていたのだ。

実際の目的は"瓢箪"だが、島津と戦えない てる が元就に行える、唯一の親孝行だった。


……


…………


――――織田家、織田城。


「どうですか? 兄上。」

「うん、大分良くなったよ。」

「ほっ。 良かったです。」

「ありがとう、迷惑掛けたね。」

≪ぽんぽん なでなで≫

「あうっ、それより私によりも……」

「そうだね。 勝家やお乱達にも、お礼を言っておかないとね。」


城に戻ってから二日後……信長は、自室で横になって体を休めていた。

傍には香姫の姿があり、ずっと彼の看病をしていた。

そのお陰で大分 信長の様態は良くなり、今は上半身を起こして香姫と話をしていたのだが……


『信長様ーー!! 香様ーー!!』×3

「ん? この声は……」

≪――――すぱんっ!≫ ←襖を勢い良く開いた音。

『大変ですじゃーーっ!!』×3

「何なの? 3G、兄上の頭に響きでもしたらどうするのっ?」

「香、俺は大丈夫だよ。 それより3G、どうしたんだい?」

『はっ、それが……』

『厄介な事に。』

『伊勢の"原家"が。』

『宣戦布告をして来ましたッ!』×3

「!? そ、そんなっ……」

「3G、もう少し詳しく。」

『どうやら、足利からの誘いに乗ったようですな。』

『原家には"超神"の妹、"亜樹姫"が嫁いでおります。』

『それ故に、"原 昌示"殿は……』

『動かざる得なかったのでしょうな。』×3

「成る程ね。 それで、数は?」

「あ、兄上!? ……と言う事は、まさか――――」

『……お察しでしたか。』

『既に原家の軍勢が、尾張の領内に迫っておりまする。』

『その数、1500名。』

『原家の約4分の3の兵数になりますな。』×3

「そうか……足利にしては1000人で攻めて来たのは少ないと思ったんだけど、
 やっぱり原と挟んで来るのが目的だったのか~。」

「ど、どうしよう……勝家さん達はまだ、戻って来ていないのに……」

「3G。 兵はどれくらい動かせる?」

『二部隊・約750程かと。』×3

「そうだった、後は利家と長秀しか残ってないから……二人に頑張ってもらうしかないね。
 ハチスカ殿には合戦の準備を頼んでしまったし、滝川殿は足利に斥候してる最中だし……」

「で、ですがそれだけでは……」

「やるしかないよ。 少しの間だけ持たせれば、みんな戻ってくるだろうしね。
 3G……そんな訳だから、勝家達に直ぐに伝令を送って。」

『ははっ! ただちに!』


――――休んでいたのも束の間。


足利に続き 原家も織田に宣戦布告をして来たようで、3Gの言葉に驚きを露にする香姫。

信長は平然としているものの、内心では勿論 彼は頭を痛めていた。

ある程度 予測はしていたのだが、結局何も手を打たなかった 浅墓な自分に対して。


「信長様ーー!! 香様ーー!!」

≪だだだだだっ!≫

『なんじゃ? えっぢ。』×3

「尾張の北東から軍勢がやって来ておりますッ、その数1000前後!」

「今度は何処? 足利の新手か、徳川が動いたのかな……?」

「そんな、兄上……ど、どうすれば……」

『うぅむ、何と言う事じゃ。』

『こうなれば。』

『一部の領地を。』

『捨て置く必要があるかもしれんのう。』×3


だが……それだけでは済まなかった。

更にもう一つの勢力が織田に向かっているようであり、もはや絶体絶命だ。

尾張はそれなりに広いので一度で全てを手に入れられる事は無いが、
自分達の国が侵されるのは、決して良いモノでは無い。

かと言って足利家と原家だけでも手一杯であるのに……それ以上抗う事はできない。

そうなれば、戦わずして一部の領地を放棄する必要があるのだが――――


「いえ、向かってくる"もう一つ"の軍勢は、敵勢力ではありませんッ。」

「えっ……」

「なんだって?」

『どう言う事じゃ?』×3

「上杉軍です!!」


――――続く――――


ランスLv46/無限 シィルLv36/80
黒 姫Lv33/99 鈴 女Lv40/49
毛利てるLv35/47 吉川きくLv34/42 小早川ちぬLv33/50


島津 15000名
毛利 19500名
明石 2000名
織田 1800名
足利 8000名
原家 2000名
伊賀 1500名


●あとがき●
今更ですが、黒姫の私は"わたくし"と読んで頂くのが正解です。(ゲーム中では平仮名ですね)
今更ですが、エロシーンは殆ど無いと思いますので、期待しないでください@w@;
さて、私が個人的に思うに、てるさんは かなりの父親思いだと予想できますね。
上杉軍(謙信)は早めに出したいので、明石編はあっという間に終わると思います。
相変わらずスランプ気味なのでイマイチだったと思いますが、次回も宜しくお願いします。


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