初めまして、小春日と申します。
初投稿で初めて小説というものを書かせていただくので、拙く読みにくいと思いますが、お時間がありましたら読んでくださると大変嬉しいです。
厚い雲に覆われ、不気味な色に包まれた世界。
ある一つの里に災厄が降りかかった。
その里は“木の葉の里”
今、そこに見えるのは禍々しい妖気を放つ九つの尾を持った大きな狐と
それに対峙する山のようなカエルと、そのカエルの頭上に乗った見事な金髪に晴れ渡った空のような青い目をした青年。
そしてその青年の腕の中には・・・
NARUTO ~大切なこと~
――妖気が一瞬にして消えた・・・四代目やったのか・・・!
さっきまで感じていた妖気のあったほうへ顔を向ける。
とそこへ突然
「三代目!!」
呼ばれたほうを振り返ると銀髪にオッドアイの少年が泣きながら走ってきた。
「三代目!!先生・・・四代目は九尾を自分の息子に封印すると・・・その子を俺に任せる・・と言って行かれたんです・・・!!俺は止めることができませんでした!うっ・・・く・・・先生は・・・先生は・・・!!」
少年は嗚咽を耐えながら必死に話す。
「なんじゃと!!」
この里を襲った九尾とは尾獣の中でも最も強い。いくら忍といえども人間、尾獣には太刀打ちできるはずがなかったのだ。
――封印・・・尾獣は人を器にして押さえ込むことができる。
しかし、その器とされたもの―人柱力―は・・・
「いかん!!早くその子を見つけなければ!!」
少年と三代目と呼ばれた年老いた男は先ほどまで九尾と争っていたところへひたすら走る。
地面には壊された建物の残骸や人だったものが転がっている。
そしてひたすら走っていたところに金に輝くものが目に入った。
「・・・四代目・・・・・・。」
力なくうつ伏せて倒れている男。
体中血だらけだが、部分的に見えている見事な金の髪はこの里には一人しかいない。
そう、彼が四代目火影。
「先生・・・!!せんせぇー・・・!!」
少年の叫び声ではっと三代目は遠退いていきそうだった意識をしっかりと保つ。
少年が倒れ伏している男にすがり付いている。と、そのそばに場違いなほど綺麗な白い紙が落ちていた。
三代目はカサリッとその紙を拾い上げると、どこかあわてたような字が書いてあった。
この子の名前は「ナルト」
俺とうずまき クシナの子です。
この子の臍に九尾を封印した。
この子は里の英雄として育ててほしい。
辛い思いをさせてしまうだろうが、この里の人はみな家族だ。
きっとナルトなら大丈夫だよ。
――あぁ・・・。
頬に涙がつたう。
――四代目・・・。おぬしは馬鹿な父親じゃ。
・・・人柱力がどのような扱いを受けるかわかっておろう・・・。
四代目、・・・おぬしの気持ちはわしがしかと受け取った!
ナルトはわしが立派に育てよう!
泣き叫んでいた少年は落ち着きを取り戻し、三代目が手にしている手紙を覗き見る。
「・・・ナルト・・・。三代目!!ナルトは!!・・・ナルトはどこにいるんですか!?」
そう、そこには倒れている四代目しかいなかった。
生存者の気配はない。少年と三代目を追いかけてきている他の忍びたちの気配が近づいてくるだけだった。
三代目はおもむろに四代目の顔を覗き込んだ。
そこにはやさしく微笑んでいる顔があるだけだった。
「おぬし・・・。ナルトは、・・・ナルトはどうしたのじゃ・・・?」
その疑問に答えるものはいなかった。
「ナルトーー!!!!」
後から駆け付けた忍びたちが見たものは、力なく倒れ伏している四代目と、涙を流す三代目、しきりに叫んでいる少年の姿だった。
後に四代目の葬儀が厳かに行われた。その時、四代目のあるものが無くなっていることに誰も気づくことはなかった。
そしてある噂が里中に広まった。
―九尾は生きていて、その九尾は「ナルト」と言うらしい―と。
これは三代目と少年が来る少し前のこと。
里から少し離れた森から何かが里に向かって走っていた。
それは普通より倍ほど大きい狐だった。
「父上ーーー!!!!」
その狐は叫ぶ。先ほどまであったはずの大きな妖気に向かって。
消えた妖気の場所へ近づくにつれて、赤子のような泣き声が大きくなってきた。
いや、赤子のようなではなく、本当に赤子だった。
地面の上で、白い布に包まれた赤子は泣いていた。赤子の隣には微笑んだまま倒れている男。
――あぁ・・・、父上は殺されたんだ・・・。
先ほどまで狐がいた場所には、女性というにはまだ少し幼く、すらりとした体型に淡い金髪を腰まで伸ばし、紅い目をした少女が立っていた。
少女はまだ泣いている赤子に近づき、手を赤子の細い首にかける。
「お前らのせいで・・・。お前らのせいで!!!!」
少女は泣きながら力いっぱい叫ぶ。手に力をこめようとした瞬間、赤子の泣き声がやんだ。
「う・・・あ・・・あー?」
少女と赤子の回りはまるで地獄絵図。そんな中、赤子が微笑んだのだ。
赤子は目の前の少女に向かって短い腕を伸ばす。その姿は必死に愛を求めているただの赤子だ。抱きしめてほしいと声を出して微笑んでいる。
少女は目を見開いた。赤子の目はこんな中でもとても澄んだ青をしていた。
まるで雲ひとつない空だ。
――私はなんて馬鹿なことを・・・。
少女の目には先ほどとは違う涙がつたう。そして、赤子の首から手を離し布に包まれた赤子を抱きかかえようとすると、カサッと何かが落ちた。
それは白い手紙のようなものだった。
少女はそれを手に取り読む。
――ナルト・・・。父上はナルトの中に・・・。
布を少し広げると確かに封印をするためらしい模様が臍を中心に描かれていた。
ナルトと呼ばれる赤子を壊さぬよう大切に抱くと、まだ生えそろっていないがとても綺麗な金髪が目に入った。そして隣の男を見た。
――・・・そっくりね。
少女からやわらかい笑みがこぼれる。
少女は倒れている男に近づき、男の身に着けている首飾りを静かに手にとり、赤子と一緒に森の奥へと消えていった。
その姿を見たものは誰もいない。
あとがき
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!!
改めまして、小春日と申します。
小説というものを今まで一度も書いたことが無かったので、これを小説の言ってよいのか・・・。
こんなものでもしよろしければ、しばらくお付き合いいただけると幸いです。
これからしばらくオリジナルの設定で話は進んでいきますが、ほぼ原作沿いになる予定です。
がんばりますので、よろしくお願いいたします。