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No.23718の一覧
[0] 逆行戦記リリカルなのは(なのは×ユーノ)誤って一回全削除 並行世界編一部改訂とその八投稿[舞う奥の細道](2011/05/22 18:04)
[1] プロローグ~例え死が二人を別つとも~sideN[舞う奥の細道](2010/11/07 20:50)
[2] プロローグ~例え死が二人を別つとも~sideY[舞う奥の細道](2010/11/07 20:51)
[3] 第一話 再開~彼女の場合~[舞う奥の細道](2010/11/07 20:53)
[4] 第二話 そして、再び出会いの日[舞う奥の細道](2010/11/07 20:57)
[5] 第三話 再開にして再会~彼の場合~[舞う奥の細道](2010/11/07 21:03)
[6] 第四話 The girl meets the boy again.[舞う奥の細道](2010/11/07 21:05)
[7] 第五話 方針確認[舞う奥の細道](2010/11/07 21:06)
[8] 第六話 それぞれの、過去[舞う奥の細道](2010/11/07 21:11)
[9] 第七話 彼女は、再び彼女を手にする[舞う奥の細道](2010/11/07 21:07)
[10] 第八話 翠屋にて[舞う奥の細道](2010/11/07 21:10)
[11] 第九話 温泉、でも基本的にいちゃいちゃしているだけでござる[舞う奥の細道](2010/11/07 21:13)
[12] 第十話 なのはvsフェイト 初戦[舞う奥の細道](2010/11/07 21:16)
[13] 第十一話 アースラでの説明と高町家での説明[舞う奥の細道](2010/11/07 21:18)
[14] 第十二話 海鳴海上にて[舞う奥の細道](2010/11/07 21:23)
[15] 第十三話 時の庭園[舞う奥の細道](2010/11/07 21:30)
[16] 第十四話 エピローグNoMark~再びの別れ、けれどもあの時とは違って~[舞う奥の細道](2010/11/07 21:34)
[17] 第十五話 闇の書と彼ら[舞う奥の細道](2010/12/01 21:18)
[18] 第十六話 激突!最強の夫婦VS雲の騎士団[舞う奥の細道](2010/11/07 21:55)
[19] 第十七話 ドレッドダンジョン[舞う奥の細道](2010/11/07 21:59)
[20] 第十八話 エピローグA's それぞれのこれから[舞う奥の細道](2010/12/24 23:26)
[21] 第十九話 新暦66・67年[舞う奥の細道](2010/11/07 22:02)
[22] 第二十話 新暦71年 前[舞う奥の細道](2010/11/07 22:03)
[23] 第二十一話 新暦71年 後[舞う奥の細道](2010/11/09 20:23)
[24] 第二十二話 新暦72年[舞う奥の細道](2010/11/24 21:03)
[25] 第二十三話 新暦73年[舞う奥の細道](2011/01/15 19:00)
[26] 番外編1 IF  Dead end 魔王再臨 (鬱注意)[舞う奥の細道](2010/11/08 00:37)
[27] 番外編2 IF  彼が少しだけ早く戻っていたら (鬱注意)[舞う奥の細道](2010/12/05 12:48)
[28] 番外編3 マテリアル“翡翠の守護者”[舞う奥の細道](2010/11/08 00:36)
[29] 並行世界の出来事その一 (ネタ ギャグ 壊れ ハーレム) 改訂[舞う奥の細道](2011/05/22 18:02)
[30] 並行世界の出来事その二 改訂[舞う奥の細道](2011/05/22 18:03)
[31] 並行世界の出来事その三[舞う奥の細道](2011/05/22 08:11)
[32] 並行世界の出来事その四[舞う奥の細道](2010/12/23 19:44)
[33] 並行世界の出来事その五[舞う奥の細道](2010/12/23 19:45)
[34] 並行世界の出来事その六[舞う奥の細道](2011/01/01 18:22)
[35] 並行世界の出来事その七[舞う奥の細道](2011/01/22 20:17)
[36] 並行世界の出来事その八[舞う奥の細道](2011/05/22 18:04)
[37] 特別編 バカップルの日常 12歳デート編[舞う奥の細道](2010/12/23 22:19)
[38] 特別編 バカップルの日常 正月編[舞う奥の細道](2011/01/01 18:23)
[39] 補足と説明[舞う奥の細道](2010/11/24 21:02)
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[23718] 第二十一話 新暦71年 後
Name: 舞う奥の細道◆d2f398e0 ID:cab5c406 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/09 20:23
「では、誓いの口づけを」

そして二人は向かい合う。
そしてそのシルエットが交錯し――







正月。高町家。
ユーノがエリオを連れて遊びに来ていた。
そして今現在、ユーノはなのはと二人で士郎、桃子と対峙している。

「士郎さん、桃子さん。今日は大事な話が有ってきました」
「……聞こう。予想はつくが」
「そうね」

どこか諦めたような表情の士郎と嬉しそうな表情をした桃子。

「お嬢さんを、なのはを僕に下さい!絶対、絶対、幸せにして見せます!!!」

なのはも嬉しそうである。
士郎は大きく息をつき

「なのはを、頼む。幸せにしてやってくれ。……絶対、本気で泣かせない様に」
「はい!」
「ありがとうお父さん!」

そう言った。




そして四人は居間に移動し、先にお雑煮を食べていた美由希とエリオと合流する。ちなみにエリオは四杯目。
和やかなムードで皆でお雑煮を食べる。

「しかし……覚悟はしていたがもうなのはは結婚か」

士郎が感慨深げに呟く。

「そうだね。私も覚悟していたけど先を越されちゃったよ。……私は年齢と彼氏いない歴がイコールなのに」

美由希がぼやく。

「向こうは男女ともに十五歳だからね!」

満面の笑みを浮かべたなのはがそう言う。

「そうだったな……っと、そういえば二人とも」
「何?」
「何でしょうか?」

士郎が二人に話しかける。

「うん。一つ、できればでいいのだけども、お願いがあるのだけど……」
「はい」

ユーノが先を促す。

「できれば、『高町』の姓を残してほしいんだ。恭也は婿入りしてしまったしね」
「僕は一向に構いませんけど……なのははどう?」
「私はユーノ君と一緒になれるのなら全然気にしないよ」

そう言いながらも二人は念話で会話する。

(あれ?何か前回と違うね。なんでだろう?)
(うーん。……多分、美由希さんがまだ結婚してないから、とかだと……)
(あ、そうか。前回は義兄さんが婿に来たんだっけ)

そんな会話をしていると。

「ユーノさんとなのはさん、御結婚なされるんですか?おめでとうございます!」

お代わりをよそってきたエリオに祝福された。

「ありがとう、エリオ」
「ありがとう、エリオ。……ああ、それでエリオ、なのはと一つ話し合って考えたことで提案したいことがあるのだけど……」
「?何でしょうか?」

ユーノは話を続ける。

「僕たちと、一緒に暮らさない?」
「……え?」

疑問符を浮かべているエリオ。ユーノは理由を説明する。

「一応、僕は君の保護責任者なわけだ。にも拘らず、今まで仕事で休暇が不定期だから、君と共に暮らさなかった。放っておくわけにはいかないからね。
 でも、君はそろそろ学校に通うのだろう?」
「はい」

本当は訓練校に入るつもりだったのだが、その前に魔法学校に通うことになった。
ユーノが(口調こそやんわりとしていたが)強く勧めたためだ。魔法学校を卒業した後でも訓練校に入学することはできるからと。

「なら昼間は大丈夫だし、なのはの所属は戦技教導隊。緊急出動がかからない限り、基本的に定時で上がろうと思えば上がれる部署だから」
「でも……新婚家庭にお邪魔をするわけには……」

エリオは遠慮をする。ユーノはそれにため息をつきながら言った。

「はぁ……。何度も言っているじゃないか。あまり我儘すぎるのもあれだけど、君は遠慮が過ぎる。もう少し我儘も覚えなさいって」
「……はい」

同じようなことはユーノだけでなく、なのはや高町家の人たちにも言われている。だから今も割と遠慮せずにお雑煮やらおせちやらみかんやらを食べているわけだが。
……施設ではそう言ったことは一切言われない。でも、もう少し我儘になっても良いのだろうか?

「なら……お願いします」

そう言った。よく分からないけど、もう少し考えてみよう。そう思い、返事をした。

「うん、こちらもよろしく、エリオ」
「よろしくね!」
「よろしくお願いします」

こうしてエリオは、二人と暮らすことになった。










それから暫く後。本日はなのはとユーノは二人で過ごしていた。すべきことは二つ。新居を決めることと式場の下見である。

「ここなどはいかかでしょう」

巡って三軒目。不動産屋に連れられて新居候補を見て回る。

「うーん……。立地はいいのですけど……少し、狭いですね。子供も増やす予定ですし……」
「左様ですか……」

なのはの言葉に少々落胆する不動産屋。どうでもいいことだがこの不動産屋、数ヶ月前になのはとユーノが初めてきた時、若いカップルだと内心あまり期待していなかったが、所属を知って椅子から転げ落ちたことがある。

「うーん、ならば……。少々遠くなりますが、次はこちらを見に行きましょう。よろしいでしょうか?」
「はい」
「お願いします」

そして車で移動する。


そこからやや離れた住宅地。

「ここです」
「へえ……中々見た目はいい感じだね、ユーノ君」
「そうだね」

そして入り、見る。
結果は……

「いいですね」
「そうですか!ありがとうございます!」

上々。不動産屋とそんな会話をしていると……

「あら?お隣に入居する人?」

隣の家から出てきた女性に話しかけられた。その女性の姿を見て驚愕する二人。

((スバル!?))

その姿は成長したスバル、或いはギンガ。幸い、驚愕は声には出なかった。さらには男性も出てくる。

「早えよ、クイント。なんで男の俺よりも用意するのが早いんだよ」
((ゲンヤさん!?))

やはり声にこそ出さなかったが、驚愕。ゲンヤは女性をクイントと呼んでいた。つまり――

(あの人が、スバルたちのお母さんでオリジナルのクイントさん……)
(本当に、そっくりだね……)

そんな会話を念話でかわす二人。

「そっちが遅いだけよ。……ところで私の顔に何かついているのかしら?」

クイントが話しかけてくる。

「い、いえ。そんなことはありませんけど……」
「ん?お前らは……新しく隣に入るのか?」

ゲンヤも話しかけてくる。

「えと、はい。なのははどう?」
「私はここでいいと思うよユーノ君」
「そうですか!ありがとうございます!」

安堵の息を吐く不動産屋。四人は会話を続けている。

「そうか!随分若いみたいだが、いずれにしろよろしくな。俺はゲンヤ=ナカジマ。こっちは……」
「クイント=ナカジマよ。ええっと、二人はなのはにユーノでよいのかしら?」
「はい。高町なのはです」
「はい。ユーノ=スクライアです。……今度、ユーノ=S=タカマチになりますけど」
「うーん……。どこかで聞いたことがあるような……?」

クイントは首を捻っている。だが、心当たりに辿りついたようだ。

「そうだ!フェイトの話に出てきた友人のバカップル!そうよね!?」
「え、ええ……多分……」

その勢いにちょっとたじろぐ二人。

「そっか、貴方たちが……」

頷いているクイント。

「それはいいが時間はいいのか、クイント」
「って、拙い、タイムセールが始まっちゃう!」
「重要だからな。主にお前たち三人のせいで」
「じゃあねー、これからもよろしくねー」

そして車に乗り込み、去って行った二人。それを見送るなのはとユーノ。
それに不動産屋が話しかける。

「えー……。よろしいでしょうか?」
「あ、はい」
「それではここで決まりでよろしいのですか?」
「はい!」
「ありがとうございます!それでは戻って、契約書等の記入などをお願いします」
「はい」

そしてなのはたちも不動産屋の車に乗り込み、戻るのだった。





クラナガン市内、とある祭儀場。

「では、こちらのプランでよろしいですか?」
「お願いします」

結婚式のプランを相談していた二人だが、決定したようだ。

「ありがとうございます!」
「そういえば……ウェディングドレスの試着ができるのですよね。してもよろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ。奥になります」
「はい。それじゃユーノ君、ちょっと試着してくるね」
「うん。僕はこれとかに記入しておくから」
「よろしくね」

そういって奥に行くなのは。
そして暫くして――出てきた。

「どう、かな……?」
「……」

ユーノは無言。不安になったなのははユーノに話しかける。

「えっと、ユーノ君?」
「――凄く、綺麗だ」

そう言うユーノ。なのはは嬉しそうに笑って言う。

「えへへ。そうかな?」
「うん」

そしてそのまま、暫くいちゃつくのだった。スタッフ南無。




もう暫く後。ユーノの部屋。二人は帰ってきた。

「ただいまー」
「ただいま。……ここでただいまって言うのも後少しか……」

ユーノが感慨深げに呟く。

「そうだね……。とりあえず夕飯作っちゃうよ」
「手伝う?」
「お願い」

そして二人で夕飯を食べ、風呂に入り、床に就く。
そして会話。

「それにしても、隣の家がナカジマ家だったとは驚いたね」
「あはは、そうだね」

ユーノの言葉になのはが笑って言う。

「本当に、クイントさんはスバルやギンガにそっくりだったよ」
「そうだね……。ね、ユーノ君!」
「何かな?」

なのははユ-ノに話しかける。

「ウェディングドレスの私、どうだった?」
「祭儀場で言ったじゃない」
「もう一度聞きたいの!」

その言葉にユーノは苦笑い。

「しょうがないなあ……。本当に、綺麗だったよ。……正直、なのはのウェディングドレスには、いい思い出は無かったけど」
「……そっか」

なのはは頷く。

「でも、それもおしまい。これからは、大丈夫」
「……そっか!ねえユーノ君、電気、消して……」
「……うん」

そして――。











それからさらに一月ほど後。地球ではそろそろ二月も終わり。そんなある日、ユーノはなのはに大事な話がある、と通信で言われた。
そして今はユーノの部屋。できるだけ人がいない所が良い、と言われたからだ。

「それでなのは。大事な話って?」

お茶を入れてきたユーノがそう言う。

「えっとね、その……」

言葉を濁すなのは。ユーノは言葉を待つ。

「その……出来たの」
「……?……まさか」

一瞬、何を言われているか分からなかったユーノだが、それを理解する。

「うん。……子供が、出来た」

そう、お腹をさすりながら言うなのは。

「そっか……」

ユーノは嬉しそうに笑う。

「知っている人は?」
「私とユーノ君以外は診てくれたシャマルさんだけだよ」
「そっか」

まあ彼女なら大丈夫だろう。普段は割と抜けているところも多いが、こと仕事に関してはそういったことは一切無い。

「じゃあまずなのはの家族たちに話そうか」
「うん!」

そしてその場はそう纏まった。




暫く後、高町家。なのはが大事な話がある、とユーノを連れて帰ってきた。
何だろうという疑問を浮かべる一同。

「それで……話とはなんだ?」

士郎がそう切り出す。

「はい。……子供が出来ました」

ユーノの言葉に一瞬で固まる一同。

「えーと、ユーノがこっそり飼っていた猫が、とか?」

そんなことを言う美由希。

「違うよー。勿論、私とユーノ君のだよ」

満面の笑顔でそう言うなのは。

「あらあら」
「……」

微笑んでいる桃子。それとは対照的に厳しい顔の士郎。

「……お父さん?」
「――ユーノ君」

それに不安になったのか、なのはは士郎に話しかける。しかし士郎はユーノに話しかけた。

「はい」
「殴らせたまえ」
「――はい」
「お父さん!?」

士郎の言葉に頷くユーノ。なのはは驚いた声を上げる。
しかしそのまま、士郎はユーノを殴る。鈍い音が二発分、居間に響き渡った。

「……ふう。これでいい。それじゃあユーノ君。なのはとお腹の子は任せるよ」
「はい!」
「え、え、ええ!?」

よく分からなくて混乱しているなのは。

「え?どういうこと!?とりあえずお父さんが認めてくれたのは分かったけれども!」
「士郎さんは、男親なのよ」

それに諭すように言う桃子。

「……よく分からない」
「そうかもね」

桃子は微笑む。

「まあ責任云々は今さらな話だしな。それに俺が18の時に恭也は生まれたのだし、美沙斗だって16の時に美由希を生んでいるからなぁ……。正直、これ以上強くは言えん」

士郎が補足を入れる。

「ええええええ!?なのはの子供!?八つも下の妹の子供!?私おばさん!?私はまだ彼氏ができたことすら無いのに!!!」
「お姉ちゃん、反応が遅いの……」

そんな美由希の反応に、思わずぼやくなのはだった。






「しかし、まさか初孫がなのはの子供だとは……」

その後。ユーノも交えて夕飯を食べた後、お茶を飲みながらそう言う士郎。

「本当にね……私も遂におばさんかあ……。恭ちゃん達が結婚した時から覚悟はしていたけど、なのは達に引導を渡されるとは……」

美由希もぼやいている。

「そうね、楽しみだわ。……男の子と女の子、どちらかしらね」
「おいおい桃子、ちょっと気が早過ぎだろう」

微笑みながらそう言う桃子の言葉に、士郎が笑いながら言う。

「ところがミッドではそうでもないんだよ!」
「あら。と、いうことは……」
「うん。分かるんだ。解析魔法やらなんやらで」

そのなのはの言葉に士郎と桃子は食いつく。

「それで、どっちなんだ?」
「うん。それでね――」

一拍おくなのは。そして答える。

「両方。双子だって!」
「ほう」
「あら」

嬉しそうに頷く二人。

「そうそう、それで二人に相談があるんだ」
「どんなだい?子育ての相談ならまだ少々気が早いが」
「あら。油断しているとあっという間よ」
「それもそうだな」

やはり嬉しそうにしている。なのはは続ける。

「名前だよ。ここに来るまでユーノ君と二人でマルチタスク――並列思考の技術――を大量に使って考えたんだ。
 それで女の子の方は私とユーノ君の名前から取って『優奈』にしようっていう話になったんだけど、男の子の方はいまいち決め手が無くて。良かったら二人に任せたいなーって……」
「それも大分気が早いと思うが……」

なのはの言葉に士郎が呟く。

「そうね……なにかあるかしら?」
「そうだな……。……『一臣』」

士郎が名を呟く。

「士郎さん、それは……」
「とーさん、それは……」
「?」
「?」

桃子と美由希の反応に、よく分かっていないなのはとユーノは疑問符を浮かべる。

「ああ。亡くなった、弟の名だ」

不破一臣。御神不破の正統伝承者だった士郎の弟である。

「……えっと……」
「まあ別に気にしなくても良い。まだ時間もあるのだからもっと良い名も思いつくかもしれないしな」

そう言う士郎。そのままこの話題は流れていき、やがてユーノも帰る時間となり、話は終わった。









さらに暫く後。聖祥大付属中学校屋上。昼休み。いつもの四人が昼食を取っていた。

「ここで四人でお昼を取るのも今日が最後、か……」

アリサが感慨深げに呟く。

「そうだね……。それに、なのはちゃんとはやてちゃんとは進路も違うしね……」

すずかもしみじみと呟く。

「うん。そうだね……。あと、はい、これ」
「「「?」」」

なのはが三人に何かを手渡す。これは……

「結婚式の、案内?」

そう、結婚式の案内状だった。

「えーっと……」
「えっと」
「あー、やっぱり来たか」

なんだか微妙な表情を浮かべているアリサとすずかと苦笑しているはやて。

「どういうこと、はやて?」
「ミッドの法では結婚は男女ともに十五歳からなんよ」

その言葉に二人も合点がいったようだ。

「うん。せっかくだから三人には手渡し。後ではやてちゃんの所にはシグナムさん達の分を、すずかちゃんの所にはお兄ちゃんと忍さんの分を郵送もするけど」

なのはが補足する。

「しっかし、なのはも結婚かあ……。私達の中で一番なのは予想通りだけど……」
「そうだね。ちょっと羨ましいよ」

そう言っているアリサとすずか。

「えへへ。それだけじゃないんだけどね」

更に嬉しそうにしているなのは。それを疑問に思う三人。

「?他に何があるのよ?」

代表してアリサがそれを聞く。
その言葉になのはが周りを見渡し、念の為防音結界を張る。

「……?なのは?」
「実は――――子供が出来ました!」



時が止まる。



「は?」
「へ?」
「えええええええええーーーーーーー!!!!!」

時は動き出す。叫ぶ三人。防音結界は正解だったようだ。

「ユユユユユーノ君との子供?」
「当たり前だよ。他の誰とも作るわけないよ」

はやての言葉にちょっと不機嫌になるなのは。

「あー、いや、そう言うわけじゃなくってな。ゴメン。でも子供、子供かあ……」
「何やってんのよあんたたちはっ!」

アリサは再び叫ぶ。

「何って――ナニ?」
「そう言う答えじゃないわよ!」
「え?事細かに描写してほしいの?」

なのはの言葉に真っ赤になるアリサ。

「え、遠慮しておくわ……じゃなくって!歳を考えなさいって言っているのよ!!!」

更に叫ぶアリサ。

「ユーノ君、社会人。私、半社会人、春から社会人。お互い割とすぐに育児休暇に入るけど」

言い聞かせるように言うなのは。そんななのはの態度に諦めたようなアリサ。

「はあ……分かったわ……。このバカップルめ。っとすずか?」
「は!」

放心したままの状態だったすずかに声をかける。戻ってきた。

「えと、なんていうか、おめでとうなのはちゃん」
「うん!ありがとう!」

そうして彼女たちの中学最後の昼食の時間は過ぎて行ったのだった。













そんなこんながあった後――遂にその日がやってきた。



花婿控室。

「しかし、君は割と落ち着いているな」
「まあ、君よりは落ち着いているかもね」

ユーノがクロノと話をしていた。

「やれやれ。予想はしていたが……まあ先を越されなくてよかったと思うよ」
「はは。なんだいそれ?」

クロノの言葉にユーノは笑う。その後も何人か来た知り合いと話しながら時間は流れて行った。



花嫁控室。

「しかし、あんた割と落ち着いているわね」
「そう?」

なのはがアリサとすずかと会話していた。

「そうだよ。もっと舞いあがっているのかと思ったのに」
「内心では、そうだよ」

そうなのだ。舞い上がっている。だがそれを自覚できるくらいにはなのはは落ち着いていた。

「ま、いずれにしろしっかりやりなさいよ」
「また後でね、なのはちゃん」
「うん。また後で」

そういって出ていく二人。なのははその後も何人か来た知り合いと話していき、時間は流れて行った。




そして――

「なのは……。本当に、綺麗だ……」
「うん。……ありがとう、ユーノ君」

その時間がやってきた。式場に入場する二人。
そのまま進んでいき、そして……。

「では、誓いの口づけを」

そして二人は向かい合う。
そしてそのシルエットが交錯し――互いに口づけをした。

周りから歓声が上がる。そして二人は――

「あ、あれ……?」
「あれ……?」

疑問の声を上げる。

「なのは、どうしたの?」
「どうしたの、ユーノ君?」

互いに声をかける。

「どうして、泣いているの」
「だって、泣いているよ」

そう、二人は泣いていた。そして泣いたまま抱き合う二人。さらに歓声は大きくなる。

「えへへ、ね、ユーノ君」
「うん、なのは」

そして二人は再び――

「幸せになろう」
「幸せになろう」

誓い合った。













おまけ1 

ブーケトスの時がやってきた。

「私の物よ!」
「いや、妹に先を越された私が!」

特にシャマルと美由希が張り切っている。
それを見たヴィータがぼやく。

「なあシグナム……」
「何だ?」
「何でシャマルっていつもあんなに焦っているんだろうな。別に歳食うわけでもないのに」
「知らん」

ヴィータのぼやきを切り捨てたシグナムだった。
ちなみにブーケはシャマルと美由希が戦りあっているのをよそに、すずかが入手したことを追記する。






おまけ2

「それで、明後日からユーノさんとなのはさんと一緒に住むことになったんです」
「へえ。そうなんや」

エリオがはやてと会話をしている。

「糖尿病にならんように気を付けるんやよ」

そんなことを冗談交じりに言うはやて。しかしエリオは疑問顔。

「……?何でですか?」
「へ?だってあの甘々バカップルと一緒に暮らすんやで!?」

エリオの返答にびっくりするはやて。

「へ?バカップル?ユーノさんとなのはさんが?」
「……当然やろ?」

エリオの返答にびっくりを通り越して戦慄するはやて。

「……そうなんですか。あれが普通じゃないんですね……」

エリオがぼやく。思えば自分がまともに接したことがあるカップルなど、ユーノとなのは以外では士郎と桃子くらいだった。
え、両親?あれは人間だと思っていない。

「はは……」

苦笑いを浮かべるはやて。この子、今の恋愛観のまま育てたらどうなるんかなー、とか思ったのであった。


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