さよならフェイトという意見が多かったので悪乗りして書いてしまいました。
もしフォトンランサー・ファランクスシフトが殺傷設定だったらという話です。
鬱です。鬱です。鬱です。補足の指輪の項目を読むともっと鬱です。
……それに気を取られていたのがまずかったのだろう。彼に相対していたのは金髪の黒い魔法少女と赤い狼。自分の一番の親友だった女の子とその使い魔。
彼女の魔法は既に放たれている。それは“フォトンランサー・ファランクスシフト”。
その膨大な量の魔力弾は無防備ななのはにも迫り、
「なのはっ!」
(え……?)
なのはを庇った彼を貫いた。
「え……?ゆーの、くん?」
そして、彼から止まることの無く流れ出る大量の血。素人にだってわかる。間違いなく致命傷だ。
「あ、あ、あ……」
なのはは声を出そうとするが声にならない。その時向こうでは
「逃げるよフェイト!さっさと行かないと!」
「でも、でもアルフ……」
逃げようとしているアルフと人を殺してしまったことで動揺するフェイト。……その動揺が仇となった。
「こうなったら引きずってでも……!?」
瞬間。
感じたことが無い感覚をフェイトとアルフが襲う。
それは殺気。
それも圧倒的な殺気。
膨大な、半ば物質化しているのではと勘違いさせるほどの殺気。
「あ、あ……」
「うえ…あ……」
声を出そうにもただの音にしかならない。殺気は目の前にいる少女から噴き出ていた。
彼女はフェイトが殺してしまった人間の元まで行く。
なのははユーノの元まで来た。だけど何も感じない。
心が、渇いていた。
ただ、憎悪と虚無感、そして殺意のみが支配していた。
ユーノをそっと一撫で。そして彼の首にかかっていた彼女を取る。
――さあ、終わらそう。
『な、何を……』
「我、使命を受けし者なり」
レイジングハートが絶句する。
「契約のもと、その力を解き放て」
『あ、貴女は一体……』
「風は空に、星は天に」
答える気が無いと理解したレイジングハートは覚悟を決めた。
「そして不屈の心はこの胸に この手に魔法を レイジングハート セットアップ」
『 ―――Stand by Ready, Set up.』
そうして、“ソレ”は現れた。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
魔力がチャージされていく。
フェイト達はあまりの殺気に中てられて動けない。
そして……
「スターライトブレイカー」
その桃色の光の奔流は、フェイトたちを飲み込み消滅させた。後には塵さえ残らなかった。
終わった。そう、終わってしまった。何もかも。
(ユーノ……君……)
彼の前に来る。抱きしめる。血で汚れるが構わない。
(あ、ああ、あああああああああああああああああ!!!!!)
叫びが出るが、声は出ない。
(何で、何で、何で、何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で!!!)
(何で、私は戻ったの!!!)
彼と幸せな時を過ごすためではなかったのか!だが、そこで彼女は気が付く。
(ん……戻った?)
……気が付いて、しまった。
(ああ、そっか……)
もしかして、また、自分が死ねば。その手に魔力が集まっていく。
そして、“それ”は彼女を貫いた。
ふと思い出す。それは、自分にとってはもう思い出せないようなずっと昔の出来事。
『ねえ……ママ、ユーノさん』
『何かな?ヴィヴィオ?』
『二人はいつ結婚するの?』
『え……』
『え……』
『え、じゃなくて!いつまでもバカップル見ている子供の気持ちにもなってよ!?それに……』
『それに?』
『それに弟か、妹が欲しい!』
『……』
『……』
『…なのは』
『ひゃ、ひゃい!』
『僕の子供を産んでくれ!』
『う、うん。分かった……え?』
『僕と、結婚、して欲しい!』
『あう、その、えっと……。その、不束者ですが、よろしくお願いします!』
『……』
『……』
『あれれー。ふたりとも顔真っ赤だよー』
『も、もうヴィヴィオ!ママたちをからかうんじゃありません!』
『そんな顔で言っても説得力が無いよーだ』
『だ、だから、そのね、ヴィヴィオ』
『――なのは』
『な、何かなユーノ君』
『幸せに、なろうね』
『――うん!』
『うわー……うわー……。ばかっぷるだー……』
(こんどこそ、しあわせになろうね、ユーノくん……)
彼の隣に寄り添うように倒れこむ。流れ出る血がその衣服を真っ赤に染めていった。
そして、高町なのはは、二度と目を覚ますことは無かった。